04/07/21 感染症分科会感染症部会新型インフルエンザ対策に関する検討小委員会第七回議事録 厚生科学審議会感染症分科会感染症部会 新型インフルエンザ対策に関する検討小委員会                      平成16年7月21日(水)                15:00〜17:00                                    経済産業省944号室(9F) 議  事  次  第 1.開  会 2.議  題  1)新型インフルエンザ対策検討小委員会報告書(案)について(その1)  2)その他 <資料> 資料1    新型インフルエンザ対策検討小委員会報告書(案)(ドラフト その1) 資料2    抗インフルエンザウイルス薬の国内の確保状況(表1)        新型インフルエンザに対するレベル別対応(表2) 資料2    ワクチン接種の優先集団(表3)ワクチンワクチン 1資料1資料1参資料 考資料2−2 鳥インフルエンザ緊急総合対策について ○廣田委員長 それでは、時間がまいりましたので開会いたします。最初に牛尾課長からごあいさつをお 願いします。 ○牛尾結核感染症課長 本日は大変お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございました。 ただいまから第7回の「新型インフルエンザ対策に関する検討小委員会」を開催させていた だきます。 昨年の10月に第1回を開催させていただいたわけでございますけれども、昨年11月に感染 症法の改正がございまして、そして今年の始めに高病原性鳥インフルエンザが実際に我が国 でも発生したわけでございます。それを契機としまして、この新型インフルエンザに関する 関心というのもかなり高まってきたんじゃないかと思っております。 いよいよとりまとめの時期がまいったと思っております。そして、本日御検討いただきた いのは、その報告書の骨子につきまして、是非いろんな御意見をいただきたいと思っており ます。ただ、非常に大部にわたりますので、2回くらいに分けて御議論をいければと思って おります。 併せて私の方から資料の御説明をさせていただきたいと思っておりますが、資料1としま して、次第の次にございますのが資料1でございます。 資料2は、後ろから3枚目でございますけれども、表1、2、3をお付けしております。 それから、7月の人事異動で一部事務局の方に異動がございましたので、併せて御紹介申し 上げたいと思います。 実は山口県の鳥インフルエンザが発生したときに、山口県に勤務しておりました前田とい うのが本課に参りました。どうぞよろしくお願いいたします。 私の方からは以上でございます。 ○廣田委員長 それでは、早速議事に入らせていただきます。本日の議題1「新型インフルエンザ対策検 討小委員会報告書(案)について」ですけれども、前回の報告書骨子の案を基に、これまで この検討小委員会において御議論いただきましたことを踏まえまして、事務局で報告書案が 作成されました。本日と次回の30日、2回に分けて御議論いただく予定でございます。 本日は提示された前段部分につきまして、検討していただきたいと思います。 まず、事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、御説明いたします。座って御説明させていただきます。 まずお手元の資料1をごらんぐたさい。「ドラフト その1」ということで、先ほど委員 長から御紹介ありましたとおり、前半部分について本日お配りしております。 まず、全体像について簡単に御説明いたします。 目次ですが、この報告書はI〜XI章までの構成を予定しておりまして、「I.はじめに」 「II. 新型インフルエンザの危機」「III.前回の報告書以降の取組」「IV. 新型インフルエ ンザに関する危機への対応」「V.新型インフルエンザワクチン」「VI. 治療薬」「VII.医 療供給体制」「VIII. 検査等」「IV. 国際的な連携」「X.終わりに」「XI. 資料」という 構成を取っておりまして、本日御議論いただきたいのは、I.からIV. 章まで、時間がもし ありました場合は、V.章まで御議論いただきたいと思っておりまして、本日V.章のワク チンのところまでお配りしております。 また、先ほど委員長から御紹介いただきましたように、本日は前段部分を、次回の30日に はそのときに後段部分をお示しした上で御議論いただければと思っております。 また、その2回の議論を踏まえまして、8月6日にその最後の(案)を提示したいと考え ているところでございます。 以上を踏まえまして、本日、御議論いただければと思っております。 それでは、まず「はじめに」のところですけれども、この「はじめに」のところでは、全 体の議論が終わった上に「はじめに」は記述したいと思っておりますが、ここで一言だけ本 日お配りしている資料として述べておりますのは、この報告書では新型インフルエンザの対 応については、既定の対応について専ら記述し「新型インフルエンザへの対応については農 林水産省等関係省庁において所要の対策が講じられているので、これは譲ることとする」と しておりまして、この報告書では厚生労働省関係部局について記述することをまず述べてお ります。 引き続きまして、「II. 新型インフルエンザの危機」について、御説明します。 この章は長いですので、2回に分けて朗読させていただきます。なお、この章については、 非常に学問的な部分でございますので、本委員であります田代先生にも御意見をいただきな がら、この部分について書いておるところを申し添えます。 (資料1の2ページより5ページ1行目まで朗読) ○廣田委員長 それでは、今朗読いただいたところにつきまして、御意見、御質問等ござい ましたら、お願いします。 ○岡部委員 「I.はじめに」の方なんですけれども、「本報告書では、新型インフルエンザの対策に ついて、ヒトへの対応について専ら記述し」、これはわかるんですけれども、「新型インフ ルエンザへの対応については農林水産省等関係省庁においても」、そうすると、これは厚生 労働省のが新型インフルエンへの対応はしないということになるんですか。 新型インフルエンザへの対応は農水がやっている、これでいいんですか。 ○喜田委員 家禽の防疫でしょう。 ○岡部委員 もう少し正確に書かないと何だかわからないと思うんです。 ○事務局 そこは正確な表現に努めたいと思います。家禽の防疫等の対策についてはという文章なり、 少しそこは表現を工夫して、はっきりわかるようにしたいと思います。 ○牛尾課長 ここで言いたいこととしましては、今年の始めに発生しました高病原性鳥インフルエンザに つきましても、内閣府を中心として、政府全体の取り組みをしたところでございます。 とりわけ今回の場合はヒトへの感染性というのが余りなくて、鳥の問題で終息したわけで、 農林水産省の方において家畜伝染病予防法改正に至るという大きな動きがございました。 要するに、ここで言いたいことは、一旦発生しますと、さまざまな関係省庁が関係した対 策を取らなきゃいけないわけなんですけれども、ここの報告書としては、厚生労働省を中心 としたヒトへの問題について中心として記載したいという趣旨を表現したつもりなんですが、 表現が足らなければ修正したいと思います。 ○岡部委員 内容はわかりました。 ○菅谷けいゆう病院部長 「1.新型インフルエンザの出現の助走過程」で、2点あるんで すけれども、1つはソ連型が出現してから27年と、確かにそうなんだけれども、ソ連型は新 型というふうにこの会ではとらえているんでしょうか。普通ソ連型は世界各国では除いてあ るように思うんです。 もう一点は「高病原性鳥インフルエンザの流行は、病原性の特に強い新型インフルエンザ 大流行の可能性を危惧させている」というのは、これはちょっと高病原性とあり、次にまた 病原性というのは、鳥に対しては絶対に高病原性だけれども、ヒトに対して高病原性かどう かまだわかりませんから、特に「危惧させている」とまで書くと、これは非常に一般的に解 釈すればH5N1が出てくるんじゃないかということを書いているようなものなんで、ちょ っと問題かあるんじゃないかと思いました。 ○田代委員 そこが一番問題なんで、現在問題になっている高病原性鳥のインフルエンザウイルスが、 その病原性を規定するのはHAが一番問題なわけで、それをそのまま持ってヒト型のインフ ルエンザが出た場合には、同じような病原性を持つ可能性が非常に高いと、そういうことが 危惧されているわけです。現在、高病原性のH5N1が東南アジアを中心に流行して、現在 まで終息していませんけれども、そういう問題が残っていますので、今、そこが一番WHO を中心にして、大きな問題であると。今までの新型インフルエンザ対策はみんな弱毒の鳥ウ イルス由来のものだったんですけれども、過去に経験したことのない強毒の鳥のインフルエ ンザウイルスに由来するヒトの大流行が起こる可能性が危惧されている。それが新たな問題 として、97年以後、具体的な危険性を示唆しているわけです。 ですから、そこをやはり強調しておく必要があると思います。 ○喜田委員 今のところは私も田代委員の意見に賛成です。 「可能性を危惧させている」という書き方ですから、これでいいんじゃないかと思います。 ただ、助走過程というふうに書かれていますが、周期というのは、科学的にはないと考え ていいと思うんです。リスクはいつも同じだと考えた方がいいのではないかと思います。 過去の経験から10年周期で出てくるということと、それまで流行していたウイルスの勢いが 弱まったら新型ウイルスが出てくるということは、たまたま一致した現象であって、科学的 根拠はないと思うんです。 したがって、どういうウイルスが新型として出てくるかわからないということと、いつ出 てくるかわからないということが同時にありますので、このように書かなくてもいいんじゃ ないかと思います。 例えば、いずれの亜型でも最近は大きな連続抗原変異や大きな流行が起こっていないこと などから、現在は新型インフルエンザウイルスが出てくる可能性が高まるというふうには取 れないですね。 もう一つは、フランシスが10年周期とか20年周期と言っていた時代と情報量が違ってい て、結局はブタの世界やヒトの世界に新型と言ってもいいウイルスが出たり引っ込んだりし ていた可能性も示唆されていますので、それが大流行を起こすかどうかということが新型ウ イルスの出現ですね。 したがって、安心もできないし、むやみに心配もできないというリスクは、いつでも同じ にあるという思想の下で検討した方がいいのではないかと私は思います。 ○廣田委員長 田代先生、先ほどの高病原性鳥インフルエンザの流行は、新型インフルエンザ大流行の可 能性を危惧させている。これはみんな納得するでしょう。そこで、病原性の特に強い新型イ ンフルエンザ大流行の可能性を危惧させている。ここを菅谷先生はおっしゃったんですね。 ○菅谷部長 そうです。 ○田代委員 私はこの文章がこの一番大事なところだと思っています。というのは、現在、昨年から流 行しているH5N1というのは、鳥に対して非常に高病原性である。マンマリアンに対して も強いわけです。過去に記録されていないほどの広いホストレンジ?を持っているようです。 それから、ヒトに対しても、感染した場合には、非常に重症になっている。致死率も高い。 それを決めているのはHAタンパクですね。遺伝子の組替えがそっくりそのまま起こった場 合に、レセプターの特異性はともかくとして、病原性を決める開裂部位の構造はほとんど変 わることはないと思います。塩基性アミノ酸が7つか8つ並んでいますけれども、それが一 気に全部欠落するということは非常に起こりにくいことだと思います。 ですから、そういう可能性を持ったウイルスがそのままヒトの世界に入ってくる可能性が 非常に高いんじゃないかと危惧されています。 ○廣田委員長 1点だけお伺いします。確かに今ベトナムとかタイとかで致命率がヒトで非常に高いけれど も、あれは特定された患者の中で考えると致命率が高いのであって、もっと感染した人はた くさんいるはずで、それから考えると、現在出ておる致命率だけで、現在のH5N1がヒト に対して致命率が高いというのがすぐさま言えるのかという議論がございますが、あれはど うなんでしょう。 ○田代委員 分母はわかりませんけれども、少なくともあれだけの致命率の高いクラスターを起こした アウトブレイクというのはヒトのインフルエンザではないわけです。 ○喜田委員 私が田代委員の意見に賛成だと申しましたのは、あれがもしヒトでの伝播能を獲得したら えらいことになる。 伝播能を獲得するための変異というのは、大したことではないので、多分、レセプター特異 性だと思うんですが、そうすると、可能性を危惧させるという表現はそれでいいんじゃない かと思います。 ○廣田委員長 頭に病原性の特に強いというのが付いた可能性を危惧させているということですね。 ○菅谷部長 私、いろんな国際会議に出ていると、このH5N1を特に強い病原性、例えば 何十%も死亡するのがはやるという考え方は国際的にはされていないと私は思います。 ○田代委員 そんなことはないです。それは大きな誤解で、何で今WHOがこれだけヒトに 従来のワクチンを打てとか、抗ウイルス剤をやれとか、そういうことをやっているかという と、人に対しても病原性の強いウイルスが新型として大流行を起こすことが危惧されている からなんです。従来の香港型とかアジア型の弱毒の鳥インフルエンザに由来した、従来考え られていた大流行とは病気の質が全く違う。病気としてはもうインフルエンザではないとい う病気が起こる。それが大流行を起こす危険があるということが心配されているわけです。 ○菅谷部長 いろんなところの最近の新型インフルエンザ対策案を見ても、そこまで強い、 例えば高い死亡率でこれが今出ているような30%とか、少なくとも10%でもいいですけれど も、そういうような推測はされていないと思いますが、従来の推測で例えばカナダの案にし ろ、イギリスの案にしろ、オランダもそうですけれどけも、1997年に出た後もそういうよう な数字ですべて新型インフルエンザ対策はされていると思います。 ○田代委員 今のお話でメルツァーとかいろんな人がテリスバーガーのスペキュレーションというか、 エバリエーションをしていますけれども、それはほとんどがアジア型と香港型、 それから従来の毎年のインフルエンザの流行、弱毒のウイルスによる流行を基礎にしている わけです。それに対して、それでは強毒のインフルエンザが大流行した場合には当然、それ では対応できないだろうという今、見直しの機運があるわけです。 ○岡部委員 私もヒトに強い新型インフルエンザ大流行の可能性を危惧させているということについて は全く賛成なんですけれども、確かにH5N1が今の鳥型がヒトにかかってあれだけの症 状を起こしているんで、イコールでヒトに来るかというのはわからない部分ではあるわけ です。 現実にはあれだけの小さいクラスターだけれども、重症化がかなり高かった。しかし、そ のバックグラウンドはわからないという中で、その可能性を危惧しながら検討していくこと は重要だろうと思います。 ○廣田委員長 ほかに御意見ございませんか。 以前、新型インフルエンザの出現の可能性のところで、従来は遺伝子交雑と種の壁突破と、 抗原循環説と3つ挙げていましたね。今回、抗原循環説ではなくて、実験等からの漏れみた いなことになっているんですが、ここはこれでよろしいですか。 ○喜田委員 ロシアかぜのことを想定しているんでしょうか。 さっき私が申し上げたのは、抗原循環説は考える必要はないという意見を申し上げていい と思います。 新型インフルエンザ出現理論なんですが、まず第1か第2に、遺伝子が分節に分かれてい るということはそれでいいと思うんですが、それで動物の世界にもともとのウイルスが全部 あるんだということが今わかったというのは、今までよりもアドバンテージですね。だから、 遺伝子再集合を起こしやすいウイルスだということと、動物の世界にいろんな遺伝子プール があるということ。だから、順序が2番か3番を1番にして、3番を2番にして、1番は最 後でいいんじゃないかと思います。 これは余り大したことではないんですが、亜型がいっばいあるということよりも、遺伝子 再集合を起こすということと、自然界に遺伝子プールとしてたくさん用意されているという ことが理由ですね。 だから、新型ウイルスの定義としては、表面抗原の亜型が、それまでの流行株と違ってい て、人々が数十年間経験したことがない亜型のものが出てきたときに新型というふうに言う わけです。 その理由はというのは、自然界にたくさん予備軍のプールがあって、遺伝子再集合を起こ すからそういうのが入ってくるということですね。そういうことは書いてあるんだと思うん ですが、話の順序としては、まず理屈として遺伝子再集合を起こすんだということと、自然 界にこんなにたくさんあるんだということだと思うんです。1番はそれほど重要ではないと いうか、結果として1番だと思います。 ○廣田委員長 この第2の理由を第1の理由にすると。そして、第3の理由を第2の理由とすると。この第 1の理由は付け足しで書くと。 ○喜田委員 そうです。ついでだと思います。 ○廣田委員長 ほかにございますでしょうか。 それでは、時間の関係もありますので、次、お願いします。 ○事務局 修正点の確認は章が終わったごとではなく、ディスカッションごとでもよろしい でしょうか。 ○廣田委員長 はい。 ○事務局 それでは、先ほどの御議論の中で、まずソ連型を入れるかどうかについて御意見をいただ ければと思うんです。ソ連は新型に入れてよいのかどうかという御意見があったかと思うん ですが、その点について。 ○喜田委員 現象としては新型ですね。だけれども、出現した理由は、多分レブコ由来だろうと言われ ているということですから、新型の定義には入るでしょう。 ○田代委員 私もソ連型は新型でいいと思います。ただ、パンデミックではなかったという ことです。ですから、新型インフルエンザ出現の事実としてはいいんじゃないでしょうか。 ○事務局 わかりました。それでは、それまでの御意見を踏まえまして、まずソ連型が出現 して27年が経過していると、ここで一旦切りまして「いずれの亜型でも」以降は必要ないん ではないかという御意見がありましたので、助走期間にあると考えられるまでを削除いたし ます。 それと「特にヒト感染例を含む」のパラグラフなんですが、とりあえずこれまでの議論を 踏まえまして、口頭で申し訳ないんですが、前のパラグラフ、H5N1のパラグラフと合わ せまして、H5N1型などの鳥インフルエンザの流行が世界各地で起こっており、特にヒト 感染事例を含む高病原性インフルエンザが流行していることから、ヒトにおける新型インフ ルエンザ出現の可能性は高まっているというふうに修正させていただく案はいかがでしょう か。 ○田代委員 反対です。やはりヒトに対して病原性の強いのがはやるというのが、97年のこ の報告は、香港で起こる前に書かれた報告ですから、その時点と今の段階で、この6年間に 大きく変わっているというところをはっきりさせる必要があると思います。 ○事務局 それでは、この箇所については、本日のところは、この原案のまま記載するとい うことでよろしいでしょうか。 ○菅谷部長 私も田代先生のことはよくわかるんですけれども、ただ、インターナショナルにそういう ふうに、こんなに強く書いた新型インフルエンザ対策案は今のところ全然ないから、ここま で強く言う段階では私はないと思います。やることはいずれにしろ同じですから、ここまで 強く書いてしまうと、では、日本の医療はすべてこっちに集中すべきだと、その段階になっ てしまいますから、私はちょっと表現としては強過ぎるだろうと思います。 少なくとも今の世界に存在する新型インフルエンザ対策案にこんなに強く書いてある案は 1つもないと思いますし、つい先日のリスボンのインフルエンザの会議でも、特にそんなも のすごい、これが脅威だという話は1つも出ていなかったと記憶しております。 ○田代委員 今年の2月に出たカナダのものは、パブリックされたのが2月ですから、実際に準備され たのはそれより半年以上前なんですけれども、その段階ではこれだけの危機感は恐らくカナ ダにはなかったと思います。あれが出た後、今カナダは、あれでは甘かったとして、強毒の ウイルスがはやった場合の再検討し直しているという段階だと思います。ですから、これは 絶対に入れておく必要があると思います。 ○加地久留米大学名誉教授 今のようなお話を全部総合して文章を書けば、例えばこういうのはどうでしょうか。 最後のパラグラフで「特にヒト感染例を含む高病原性鳥」云々のところを、特に2つ並んで いるのでちょっとあれかもしれませんので、例えば「最近の致死率の高いヒト感染例を含む 高病原性鳥インフルエンザ流行は、病原性の特に強い新型インフルエンザ大流行の可能性を 危惧させている。 事実としては、非常に致死率の高いヒトのインフルエンザがはやっているわけですね。そ このところを強調して「最近の致死率の高いヒト感染例を含む」と書いておけば、あとの病 原性の強い新型インフルエンザということにつながっていく。そこのところは可能性にかか ってくると思います。 ○廣田委員長 今、一部危惧されていると言いますか、議論になっているのは、新型インフルエンザ大流 行の可能性が危惧されるというのは当たり前のことですけれども、それが病原 性の特に強いウイルスが流行することも念頭に置いておくべきだというのと、とにかく新型 インフルエンザ大流行の準備をするに当たっては、その新型インフルエンザの大流行は、と にかく病原性の強いのが流行するんだと。それに合わせて準備すべきだというのがかなり違 うと思うんです。 そこら辺で意見がかみ合っていないんだと思うんです。だから、病原性が高いのが流行す ることも念頭に置いておかなければいけないということだったら、結構意見はかみ合ってい るんじゃないかと思うんですけれども。 ○喜田委員 それでいいと思うんですが、最初にお話しすべきだったかもしれないんですが、さっきち ょっとお話ししたんですが、新型新型と言っても、今までの新型インフルエンザウイルスが 出てきたときと、今とは情報量がかなり違うわけです。したがって、過去の新型インフルエ ンザが発生したときと同じ被害があるぞというふうに世間に対して危機感をあおるようなこ ではまずいのではないかという点については、菅谷先生と同じ意見であります。 今の部分的なことについては、H5N1ウイルス感染で数は少ないけれども、今までもそ ういうことがあって、わかってなかったのかもしれないけれども、そういう事実がはっきり したので、こういうのが鳥にはやって、それがヒトに直接いったときには、ヒトでも同じく 起こる可能性も念頭に置かなきゃいけないということには賛成です。 ○廣田委員長 時間の関係もありますので、今御議論いただいたことで事務局の方で文案をいただいて、 次回にでももう一度御意見をお伺いしたいと思います。 では、次のくくりをお願いします。 ○事務局 それでは、その部分は保留にさせていただきまして、4ページ目の黒ポツの2つ目は、 第1を第3に、第2を第1に、第3を第2に変えるということでよろしいでしょうか。 理由の順序を変更する。 それでは、続きまして、5ページ「5.新型インフルエンザが出現した場合の影響」に移 らさせていただきます。 ○喜田委員 先ほど私が申し上げたのは、新型インフルエンザ出現理論のところですよ。 ○事務局 2ページの理由については、先ほど言った順番に変更するということで、ページを間違えて おりました。申し訳ございません。 それでは、5ページ「5.新型インフルエンザが出現した場合の影響」について朗読いた します。 (資料1 5ページ「5.新型インフルエンザが出現した場合の影響」より 6ページ最後まで朗読) ○廣田委員長 以上この5と6とにつき、御意見をお願いいたします。 ○加地教授 1918年のときには、我が国のは50万人ではなくて、三十八万何千人というのが公式な記録 だと思います。50万のいうのはアメリカの死亡者じゃないですか。 ○菅谷部長 そうですよ。 ○加地教授 39万人に近い、三十八万何千人でしたね。 ○廣田委員長 ほかにございませんか。 ○加地教授 今の5.の新型インフルエンザが出現した場合の影響の下から3行目のところ、「一旦出現 した新型インフルエンザは短期間に」と書いてありますが、正確な表現であれば「より短期 間」、前も大分短期間なんです。 その次の行の「かなりの健康被害」といのは、非常に抽象的なんですが、逆に言えばあの ころよりは、医療事情は非常によくなっておるわげてす。だから、患者数はわかりませんけ れども、そんなにむやみに死亡することはないんじゃなかろうかとも思うんですけれども、 ここは文章として漠然としている。 ○廣田委員長 念頭に置くというところが先ほどのところではないかと思うんですけれども、文章はまた こなれることと思いますが、ほかにございませんでしょうか。 ○喜田委員 厚生労働省はインフルエンザはかぜじゃないというキャンペーンを張りましたね。それで スペインかぜとかアジアかぜというのを続けますか。スペインインフルエンザ、アジアイン フルエンザ、香港インフルエンザとした方がいいんじゃないでしょうか。 ○加地教授 実際にはそのとおりなんです。ただ、スペインかぜとかいうのが定着してしまっているん です。 私、ちょっと調べてみたら、日本でも公式な記録は皆アジアかぜの記録とか香港かぜになっ ているものはどうしたものでしょうね。正確には喜田先生のおっしゃるとおりなんです。日 本だけそんなことを言うと、外国ではスパニッシュフルとか、ただインフルエンザという言 葉は余り長いものだから、マスコミの方があれじゃないかと思うんですが、正確にはスペイ ンインフルエンザ、アジアインフルエンザですね。それを日本だけかぜという言葉を使うも のだから、どうも余りすっきりしないところはあると思います。 ○喜田委員 ロシアかぜというのも、あれはソ連かぜだと頑張る人がいますけれども、そのときそうい うふうに名前を付けたら、未来永劫そうではなければいけないというのはないと思うので、 私自身はスライドなどはみんなスペインインフルエンザと直しております。 実は鳥インフ ルエンザがカタカナで書いてあったのも、漢字に直してもらうのを3年間キャンペーンを張 りまして、漢字になりました。したがって、かぜをインフルエンザと呼び直すことを提案し ます。 ○加地教授 そうであれば、この際こういう文章からかぜをやめてインフルエンザとすれば、 随分よくなってくるんじゃなかろうかと思います。 ○喜田委員 その点賛成です。 ○廣田委員長 岡部先生いかがですか。 ○岡部委員 賛成です。 ○廣田委員長 先生のところのホームページなども全部書き換えないといけないですね。 ○稲松委員 ちょっと待ってください。かぜ云々という言葉とインフルエンザというと定義の仕方が違 うんでしょう。かぜというのはこういう症状という話をしているわけで、インフルエンザ云 々というのはインフルエンザウイルスによる何とかという話をしているわけです。 それをあっちじゃない、こっちだと言い出すと話がおかしくなってしまうような気がするん だけれども。ある意味で軽症のインフルエンザウイルスによる、それか新型インフルエンザ ウイルスによる感染というのは、やはりかぜなんじゃないですか。そういう意味では、イン フルエンザはかぜじゃないという言い方は正確ではなくて、インフルエンザはただのかぜの かぜじゃないというならわかるんです。インフルエンザはかぜじゃないと言うから話がわか らなくなる。 ○廣田委員長 スペインただのかぜじゃないですか(笑い)。これは事務局の判断を入れて、そういう要 望があったということで整理させていただきます。 次に移ってよろしいですか。 ○事務局 それでは、前のページの確認なんですが、まずスペインかぜ等の表記については。 ○田代委員 戻って申し訳ないんですが、6ページの一番最後の整理しておくというのはよく使われるん ですけれども、これはどういうことなんでしょうか。準備をしておくというか、実行できる ようにしておくとか、具体的なことを書く必要がある、その方がいいと思います。 ○事務局 整理という言葉ではなく、準備等の言葉に置き換えた方がよろしいと、はい、わかりまし た。 それでは、前の確認も含めまして、スペインかぜ等のかぜの表現については、インフルエ ンザとすることを念頭に書き方を考えていきたいと思います。 また、5ページ目の5.「我が国においても約50万人が死亡し」のところを38万人に訂 正する。 同じページの3つ目のポツ「新型インフルエンザは短期間」にを「より短期間」にとする。 以上、修正を加えたいと思います。 それでは、続きまして、7ページ「III.前回の報告書以降の取組」に移りたいと思います。 (資料1 7ページ「III.前回の報告書以降の取組」より 9ページ「4.情報提供」まで朗読) ○廣田委員長 今のところで御意見ございませんか。 ○岡部委員 「3.発生情報の収集、分析及び還元」のところの「国内のサーベイランス」なんですけ れども、確かに定点は従来の3,000 か所から5,000 か所に拡充されているのは間違いないん ですが、これの特徴は内科もこの定点に入ったというところが非常に特徴のあるところだと 思うんですが、それを是非書き入れていただきたいと思います。 同じく今の「国内のサーベイランス」のところなんですけれども、豚情報のところは恐ら く田代先生から意見があると思うんですが、その次のインフルエンザ流行の、いわゆるイン フルエンザ株サーベイランスなんですが、あえてここに書く必要がないとは思いますけれど も、非常にこれは何かしら整備されて行っているものではなくて、方法がばらばらであると いうこと。 あるいは予算的に余り確立されていないということ。知見の方に対してインフルエンザの 株収集について、きちっとした通知等でのルールが確立されていないといったようなところ があるので、必ずしも整備されているわけではないということを頭に入れておいていただけ ればと思います。 ○廣田委員長 ほかにございますでしょうか? ○田代委員 あと「国際的な取り組み」の中ですけれども、Flu−netとかGOARNとかはいい んですけれども、もう一つ、2002年にWHOがグローバル・インフルエンザ・プログラムと いうのをつくりまして、昨年のWHOの総会でインフルエンザのプログラムがWHOとして プライオリティーの高いプロジェクトというか、問題であるということが合意された。それ に応じて各国が国際的なインフルエンザ対策に貢献するように求められていると。 そういうようなことが大事なことかと思います。 ○岡部委員 その「国際的な取り組み」の部分なんですけれども、これを書いた目的というのは、国際的 な取り組みを紹介するんですか。これだと整備されたというのは、決して日本が整備したわ けではない。これにどのように日本が関わってきたかということを書くことが重要だと思う んです。 ○廣田委員長 よろしゅうございますか。 ○牛尾課長 岡部先生の御指摘でございますけれども、国際的な取り組みにつきましては、一応こうい うふうに書きましたが、意図としましては、前段で日本の体制としてはこういうのがあるん だけれども、国際的にはこういうのがある。紹介がメインでございますが、日本がどのよう に関与しているかということは、この段階では十分な我々の方の知見というか、なかったも のですから、これは次回と言いますか、それを若干追加したいという思いでございます。 ○岡部委員 具体的に言うならば、Flu−netの方は最近細かに入力するようにもなっていますし、 GOARNの方はメンバーとしても入っているというのがありますし、あるいは今、田代先 生から聞いたんですけれども、こういったようにものに予算を出しているとか、あるいは人 的な支援をしているということは、国際的な取り組みとしてきちんと書かれた方がいいと思 うんです。 ○廣田委員長 よろしいですか。 ○事務局 それでは、変更箇所の確認ですが、まず「3.発生情報の収集、分析及び還元」については、 まず国内の定点数の増加のところに内科も定点として追加されたことを加筆する。 ○稲松委員 成人・高齢者も対象とするとか、何かそういう言葉を入れておいた方がいいと思います。 今まで小児科のみが対象であったものが、成人・高齢者をも調査対象としたという意味合いを はっきり書いておいた方がいいと思います。 ○事務局 稲松先生の御発言も組み入れて、加筆修正する。 また、インフルエンザウイルスの株サーベイランスにつきましては、ここは書き方につい て岡部先生とも相談させていただきながら、文案を。 ○岡部委員 皆さんの頭の中に入っていればいいことで、ここに記入する必要は私もないと 思います。 ○牛尾課長 ○事務局 これは削除した方が無難ではないかという御意見ですか。 ○岡部委員 実際にはやってはいるものの、問題があるということです。 ○事務局 わかりました。 ○岡部委員 ずっと覚えているものではないということを是非御承知置きいただきたいと思います。 ○事務局 国際的な取り組みについては、次回、少し日本も参加していることを書き込んだ部分を国 際協力のところで書いていく。 ○岡部委員 ということは、今後も必要であるということになるわけです。 ○事務局 それと、2002年のWHOのグローバル・インフルエンザ・プログラムが総会で採択され、 各国がインフルエンザ対策に貢献することが求められているということを加筆します。 ○田代委員 採択されたのは2003年です。 ○事務局 この点の細かい表現については後ほど御確認させてください。 それでは、以上を踏まえまして、次のワクチン。 ○岡部委員 済みません。1つだけ質問なんですが、「4.情報の提供」なんですけれども、「平成15 年度の、健康危機管理支援情報システム」、これは承知しているんですけれども、多元電話 会議システムの導入というのは、実際行われているんですか。SARSのときに一時使われ ただけで、生きているようには思えていないんですが。 ○事務局 システムとしてはございます。先生の御指摘のとおり、実際にこれを使って感染症関係の 部門でこれを使って何か会議を開かなければならない事態が起こったというわけではござい ません。ちょっと説明が不十分ですね。 ○岡部委員 緊急事態がないと使えないシステムですか。通常からこれはもっと使ってもいいことだと 思うんです。ですから、導入の試みをしたんで、実際に導入しているというのは 使われているということだと思うんです。明日にでも動かせますか? ○事務局 動かせます。契約関係が必要になりますので、導入したという表現を使っています。 ○岡部委員 明日にでも動かせるというのがはっきりおっしゃっていただけるなら結構です。 そうですね。そうじゃないなら文言は変えられた方がいいと思います。 ○事務局 そこは考えさせてください。 ○廣田委員長 時間の関係もありますので、適当に必要なところだけでお願いします。 ○事務局 わかりました。それでは、以下は必要な箇所のみ朗読させていただきます。 (資料1 9ページ「5.ワクチン」より12ページまで朗読) ○廣田委員長 御意見、御質問がございましたら、お願いします。 ○田代委員 ワクチンのところですけれども、年ははっきり覚えていないんですけれども、多分2000年 だったと思いますけれども、新型インフルエンザのワクチン製造を目標に置いたと言います か、そのためのワクチン製造設備の改善というか、拡張というか、そういうことをしたとい うことは、やはり世界に誇れるプログレスだと思います。 ○事務局 それでは、2002年に新型インフルエンザのワクチンの製造設備を改善したという 内容について、ここは血液対策課と相談させていただきながら、表現を考えていきたいと思 います。 ○稲松委員 突然SARSが出てきて、前後の脈絡がよくわからなくて、SARSは何だったんだろう という疑問を新たに感じているんですけれども、何かうまい手はないですか。 恐らくSARS対策でつくられた対応というのは、今後は余り使われないでそのまま死んで しまうような気がして、むしろそれを上手に新型インフルエンザが出たとき転用していける ような道をあけておいた方がいいように思うんです。だから、もう少し基準を緩めて、新型 インフルエンザに対応できる体制にできるはずだとか、何かそんな感じが多分あるんだろう と思うんて、ちょっと反映しておいた方がいいような気がします。 ○事務局 わかりました。それでは、ここの趣旨といたしましては、SARS入院対応医療機関の確 保について記述したという部分がございましたけれども、そこが余り流れとしておかしくな らないように、前後の表現を見直していった上で、ここについては記述したいと思います。 続きまして、「IV. 新型インフルエンザに関する危機への対応」に入ってまいります。こ の項目では、まず、1.2.について御説明した上で、その後は各レベルごとに細かく区切 って、御説明してまいりたいと思います。 「1.レベル別対応の考え ・新型インフルエンザへの対応は、その発生状況に応じてとるべき対応は異なることから、 あらかじめ状況レベルを想定し、各レベルにおいて迅速かつ的確な対応がどきるよう、平時 より対応方針を定めておく必要がある」。 6つの状況レベルを定め、対応方針を表2のとおり整理する。表2として、レベル別対応 を書いております。 まずレベル0、国内外ともに、鳥インフルエンザウイルスや新型インフルエンザウイルス による感染被害が発生していない状態(平常時)。 レベルI、これは海外において高病原性鳥インフルエンザウイルスの家禽等への感染被害 又は鳥インフルエンザのヒトへの感染被害が発生している状態。 レベルIIは、同じ状態が国内においても起こっている状態です。 レベルII、海外において新型インフルエンザウイルスのヒトへの感染被害が発生している 状態。これはウイルス型の検索で新型インフルエンザウイルスであることが確認できない段 階において、種々の疫学的条件から、新型インフルエンザウイルスであることが疑われる場 合も含む。 レベルIVは、国内において同様の状態である場合です。 レベルV、国内において新型インフルエンザウイルスのヒトへの感染被害が拡大している している状態です。 これらのものについては、まず海外における発生に間する各レベルの状況判断は、原則と してWHOまたは各国政府の発表に基づくが、発生の状況等により、感染情報以外の情報も 緩和することがある。 また、レベル0からVは必ずしも時系列に対応したものではなく、一気に移行し得ること もあり得る。 特に低病原性鳥インフルエンザの場合には、家禽等の異常死として叱正を確認できないこ とが多い。 以上です。 ○菅谷部長 私、委員じゃないので、この決めた経緯がわからないんですけれども、WHOのフェーズ0 からフェーズVまでを合わせて、普通は世界各国のインフルエンザ対策案はそれでやってい ると思うんですが、何がこれは日本独自でこういうふうになったのか、その経緯がちょっと わからないんです。 今、WHOのあれで言うと、フェーズ0のレベルIIなんです。ですけれども、海外でのレ ベルの判断というのは、WHO、または各国政府の公式発表というと、恐らくWHOに出て くると思います。それはどこに対応するのかというのが問題なのと、あとはこれは決め方だ から、これはWHO式でもいいし、日本独自でもいいんだけれども、これで言うと、レベル Iというのは高病原性鳥インフルエンザウイルスの家禽等への感染被害だけでもレベルIに なってしまうとすると、今みたいにサーベランスが発達しているから常にレベルIというこ とになってしまって、平常時がなくなってしまう。WHOのは、鳥だけに出ているのはレベ ルに入れていませんから、それが平常時なんです。ですから、これで言うと平常時はもはや なくなって、常にレベルIから始まることなってしまう。そこはちょっと実用上も問題が、 これは決め方ですから勿論、それでいいとはいっても、実用上もこれは問題があるんじゃな いかな思います。 ○事務局 まずWHOと違ったレベルを決めておりますのは、WHOの方が全世界を対象に考えてお るのに対しまして、日本は我が国がどのような状況にあるかということを判断していく必要 がある。 更にその際には、世界の状況も加味していく必要があるということで、国内においての状 況と海外においての状況を分けて書くと。 その際に、鳥インフルエンザが起こっているか、起こっていないかということは、新型イ ンフルエンザの危機とある程度リンクすることではないかということで、まず、I、IIにつ いては鳥インフルエンザが発生した場合です。III 、IV移行については、新型インフルエン ザが発生した場合というふうに日本は分けて書くということもこれまでの委員会で御了承い ただいた経緯がございます。 もう一つ、原則としてWHO、また各国政府の公式発表に基づくと、この意味合いとしま しては、特に今のような状況においては鳥インフルエンザが発生しているかしていないかと いう状況については、なかなかマスコミ情報だけが流れたりしているようなこともあります し、WHO、またはOIE等の公式な機関が、ここの国では鳥インフルエンザが起こってい ますよということを明確にすることがある。 基本的にはそういった公式発表に基づき判断しますけれども、場合によっては緊急度が高 い場合には、それをまた考えることもありますよという意味合いでこの表現は書かしていた だいているところでございます。 ○菅谷部長 今のわかりましたけれども、そうすると、現実問題として家禽で出ただけでレベルIと言 うと、これは常にレベルIじゃないんですか。それぞれの国に合うかどうかわからないけれ ども、カナダの案もイギリスの案も、全部WHOに沿ってやっていて、ただ、各フェーズの 中で海外でと国内でと分けている感じでやっていますけれども、その案は別として、それは それぞれの国でいいと思うんだけれども、ここで家禽に出ただけでレベルIとしてしまうの は、これは鳥のインフルエンザのいろんな事件とヒトの新型インフルエンザのことと、ごち ゃごちゃに入り過ぎているのではないかなと思います。 ○田代委員 菅谷先生の言うのはもっともだと思うんですけれども、一番最後の表2を見て いただくと、これに対してどういう対応をするかということを考えて、こういうレベルを分 けたんだと思うんです。ですから、レベルという言葉の使い方がWHOの言っているレベル と同じ言葉になっているんで、これはうまくないんじゃないかと思うんです。何か別の言葉 づかいをして、こういう事態が起こったときに、日本においてはこういう対応をするという ようなことがわかるようにしたのがここでのレベル分けだと思うんです。 もう一つ、13ページのところに高病原性鳥インフルエンザウイルスの家禽への感染被害と いうんですけれども、これは新型の出現ということを考えると、高病原性だけとは限らない ので、これは高病原性というのを取って、鳥インフルエンザウイルスの家禽への感染被害と いうか、弱毒場合は被害はほとんどないかもしれませんけれども、感染ポツ?くらいにして おいた方がいい。 ○事務局 先生の御意見について、これまでもそのような御意見をいただいておりますので、 その点については、事務局としても重々承知しておるところなんですけれども、今回、文章 を書くに当たりまして、低病原性鳥インフルエンザというのは、世界各国でどこでも起こっ ている状態で、また、確認することが非常に難しい。これはOIEとかに報告の義務もあり ませんので、正式に確認することができないという意味も踏まえまして、まず家禽への感染 被害については、高病原性鳥インフルエンザということに絞らせていただきました。 ただし、先生おっしゃられるとおり、低病原性鳥インフルエンザがヒトに来ることもうり 得るということから、ヒトへの健康被害については、高病原性、低病原性という言葉は省い て、両方含むんですよという意味合いで家禽とヒトとを分けて書いた経緯がございます。 ○喜田委員 ちょっとよけいかもしれないんですが、今朝、農林水産省の家禽疾病小委員会 がありまして、我が国172 か所の家畜保健衛生所がありますが、そこが1農場を責任を持っ て毎月サーベイランスをするということにしてあります。したがって、低病原性インフルエ ンザウイルスがあった場合も検出できますので、国内に限って言った場合には、高病原性で はなくてもわかることになります。 ○廣田委員長 今、菅谷先生がおっしゃったのを考えると、これは家禽の場合は感染被害が発生ではなく て、流行というとらえ方をする必要があるということですか。感染被害だったらいつでもあ るんじゃないか。 ○菅谷部長 今、流行も東南アジアでは高病原性がかなり流行している状況にあるんじゃな いかと思うんです。私はこれを全体的に見て、バイオロジカルにすぎるというか、確かに鳥 インフルエンザからヒトに来るんだろうと思うけれども、ここまで鳥の方のことは鳥でしっ かりやる必要があると思うけれども、人ヒト方のことは、やはり世界の趨勢からすれば、鳥 インフルエンザがヒトに感染した時点であるということでまだ1例ですね。それがWHOの レベルIですね。レベルIIが1人ではなくて2人以上家禽から感染した場合で、今はレベル IIなんです。これは鳥インフルエンザのサーベイランスの考え方がものすごく入って、ヒト のインフルエンザに対してものすごく入り過ぎているような気がちょっとするんです。 ですから、何もWHOに合わせる必要はないけれども、今、廣田先生の言ったようなこと もそうかもしれません。家禽の感染被害だけでもしもそういうふうになると、確かにこれは 常にレベルIだと思うんです。今、弱毒のことも勿論言っていて、世界でということになる とレベルIになってしまう。ですから、少なくともレベル0があって、レベルIだと思うん で、このままいくと常にレベルIになってしまうような気がします。 ○田代委員 ですから、先ほど言ったみたいにWHOのレベルとフェーズという言葉をそのまま使わな いで、別のカテゴリーにしたらいいんじゃないですか。 ○菅谷部長 そうですね。こういうふうにレベルとなっていると、WHOのレベルのことを 言っていると私はずっと思っていたんですけれども、それで見ていったら違うなと思ったの で、レベルという言葉を使うと、WHOのフェーズ0のレベルIIというのが頭にあったから、 何かこれは間違えているんじゃないかなと思ってしまったんです。 ○廣田委員長 ほかにございますか。どうぞ 。 ○牛尾課長 若干の補足説明をさせていただきたいと思います。我々は確かにWHOがフェ ーズに分けたカテゴリーと言いますか、対策をつくっていることは十分承知しておるんです が、それを採択しなかった理由としましては、何点かございます。 1つは、WHOのフェーズ分類というのは、フェーズ0が非常に幅広くて、フェーズIか らが指定の感染ということで、かつフェーズ6か5か忘れましたけれども、終息までという、 全体の循環するような流れのフェーズ分けをしておりますので、ある意味で終息までという ことを対策の中で必ずしも考える必要もないのかなと思ったのが1つ。 もう一点は、我が国におきまして、79年ぶりに高病原性鳥インフルエンザが発生したこと を踏まえまして、鳥からヒトへの感染を防止するというのが感染症対策の中で非常に重要な 部分を占めるだろう。それを考えると、家禽での発生という段階からある程度公衆衛生部局 もやるべきことをやらなきゃいけないので、人への感染のみならず家禽への発生ということ についても、かなり重点的に対策を取るべきではないかということを考えまして、こういう ふうな分類でやろうというふうに考えました。 確かにWHOに準拠するのは、そういう意味では世界的な標準になり得るのかもしれませ んけれども、日本での今回の事案を考えますと、若干、ヒトへの発生の前段階からの対応を 重点的にやるべきではないかという考え方に基づいた分類でございます。 ○加地教授 今の課長さんのお話のとおりで、私はこういうレベルをつくっておいた方がいいと思いま す。何と呼ぶかは別としましてね。 ○廣田委員長 各レベルにおける対応も細かく分析するとまた話も変わると思いますので、次、お願いい たします。 ○事務局 それでは、今日はレベルという言葉をそのまま使わせていただいた上で以下を御説明してい きたいと思います。 (資料1 14ページ「3.各レベル対応方針」から15ページ23行目まで最後まで朗読) ○廣田委員長 今のところで御意見等お願いいたします。 ○喜田委員 大したことではないですが、14ページの最初のところ、「毎年のインフルエンザ対策の積 み重ねの上に成り立つとの認識のもとに」というのは要らないんじゃないですか。 毎年ということではないですね。この「もとに」というところまで取った方が入りやすいと 思います。 ○田代委員 これは前の97年のときに同じようなディスカッションをしたわけですが、あの ときは切り札が何もなかったもので、何かやろうと要ってもできないので、それには毎年の インフルエンザ対策を地道にきちっと積み重ねていることが必要であるということでこうい う文章が入ったんだと思います。 ○加地教授 今、田代先生がおっしゃったとおりでして、当時はインフルエンザのワクチン の接種率などはものすごく低かったんです。そこにいきなり新型が入ってきたら、とてもじ ゃないということでこういう文言が入っておったと思うんです。もともとインフルエンザの 対策は毎年やるものをしっかりしておかないといかぬよと。その上に新型ということは、当 時のインフルエンザワクチンの接種とか、いろんな状況を考えた上で入っておったと思いま す。 ○喜田委員 私が申し上げたのは、毎年じゃ足らないだろうという意味です。毎年は勿論で すが、冬に決まった話ではないわけですね。 ○加地教授 これは通常でいいんですよ。 これは喜田先生に教えていただきたいんですけれども、15ページの上から4行目に「ブタ からのインフルエンザウイルスの分離調査を行う」というのは、現状ばとうなっているんで すか。 ○喜田委員 私どもほそぼそとやっております。この間、H1N2ウイルスが取れました。 ただ、血清抗体検査では中国のブタはいろんなウイルスに感染していることは明らかなんで すが、我が国のブタについては、ちょろちょろしかやっておりませんので、1年に一遍分離 されるかどうか、尚じ養豚場から血清を送ってもらって20件ずつ調べているだけです。スワ ブも送ってもらって、スワブからも取れました。ただ、これはと場で定期的にきちんとどこ かでやった方がいいんじゃないかと思います。 ○加地教授 例の1976年、フォートジックスでスワインが出ましたね。あのときは日本でも 随分ブタからのインフルエンザウイルスとか抗体の検査が行われておったと思うんですが、 その後、あれはどうなったんですか。 ○喜田委員 その後縮んでしまいました。要するに、のど元過ぎると何でも続かないんです。 多分獣医の方でもそれをやっていていも干上がってしまうんです。論文にもなりませんし、 そういうことではいかないなと思っておりまして、ほそぼそと続けてはいるんです。何しろ 点のもっと小さいところを見ているだけですから、ただ、新型ウイルスが日本で発生すると いう前提が余り可能性としては高くないから、皆さんも熱心にはならないんじゃないかとい う気はするんです。だけれども、定期的に家禽もブタも馬もなんですけれども、サーベイラ ンスは続けていくべきだと思っております ○滝本感染症情報管理室長 厚生労働省関係のブタサーベイランスは9ページ目のところに記載しております。 平成10年度からブタにおける鳥インフルエンザウイルスに対するHI抗 体保有状況調査ということで、ブタから採取された血清を利用して、そこでHI抗体の保有 状況調査をやっております。 ただ、検体数も限られていますし、抗体保有調査ですから、交差反応がでるという問題も あって、このサーベイランスについては、少し改善をする必要があろうということで、今、 感染研の方と検討しておりまして、その1つとしてウイルスそのものの分離調査を今後やり たいという希望を持っておりまして、ここに記載させていただいております。 ○喜田委員 分離調査の方が確実だと思います。技術的にすぎますが、HI試験をした場合 に、抗体があっても抗原となる鳥のウイルスの方が血球凝集阻止をされないケースがものす ごい多いんです。だから、抗体を検出できない可能性が高い。実際には私たちはエライザで まずやって、それから中和試験で検出しています。これを全国でやるというのは大変だと思 います。 ○廣田委員長 よろしいですか。それでは次をお願いします ○事務局 それでは、レベル0につきましては、冒頭の「毎年の」から「認識のもとに」を削除すると いうことで修正をしたいと思います。 続きまして、15ページ「(2)レベルI(海外での 鳥インフルエンザ発生時)」に移りま す。 (資料1 15ページ「(2)レベルI(海外での鳥インフルエンザ発生時)から 17ページ1行目まで朗読) ○廣田委員長 今のところにつきまして、御意見をお願いいたします。 ○岡部委員 これは前にほかの委員会でも同じようなことを伺ったようなことがあるんですけれども、 これは何々すべきである、努める、した方がいいといったようなことがあるんで すが、これはすべて主語かないんです。中には自治体においてはとか、国民はと出ているも のがあるんですけれども、そうじゃないものは、すべて国がと理解していいわけですね。委 員会というのは、国に対してこれを求めているわけですか。それも国がこれを出す。レベル だからもともと国が出すものになるわけですか。そうすると、前提としては、国は以下のこ とをやるというのが一番最初にあるわけですね。それが大前提ですか。わかりました。 ○菅谷部長 「ウ.発生か拡大防止のための取組」というところに、国民においても渡航をできる避け と書いてありますが、これはもしもしそういうふうにすると、今でもベトナムとかタイなど は出たという報告がされているから、ここまで書いてしまうと、では渡航は現実的に制限し なきゃならないとか、ちょっと強過ぎるような、家禽に出ただけでもそうなると いうことになってしまうんですか、この文面からすると。家禽に出ているだけでヒトにいか なくても渡航制限ですか。 ○事務局 渡航制限ではございませんで、実際に、今ベトナム、タイ等病原性鳥インフルエンザが流行 している地域に人々に対しては、検疫所において、その地域で流行しているので、鳥等には 近付かないでくださいよという注意喚起というのは実際に今でも行っております。 そういったことを含めて自らの感染防止に努めていただくというのが趣旨でございます。 その一方で、もう少しレベルが上がった段階ではSARSのときに行いました外務省と連 携した上での渡航延期勧告というのは出します。それとは少し赴きが違うと考えております。 ○菅谷部長 わかました。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○加地教授 菅谷先生にお聞きした方がいいかもしれませんが、今お読みになった16ページの下から2行 目の迅速診断キットの流通状況の確認と書いてありますが、それで思い出して、15ページの 場合は、抗インフルエンザ薬の備蓄の問題のときに、医薬品のことについては使用期限切れ の医薬品云々とあるんです。検査の診断キットというのは期限があるんですか。 ○菅谷部長 大体1年間です 。 ○加地教授 そうすると、使用期限切れの医薬品だけではなくて。 ○菅谷部長 だから、毎年使ってないと、備蓄しておくとキットもパーになってしまいます。 ○加地教授 そうすると、15ページのところは、使用期限切れの医薬品だけでなくて、検査 キットも廃棄するですか。 ○菅谷部長 ということになってしまいますね。日本はずっと使っているからそういうことはないし、物す こく売れていますので、メーカーがあれは相当儲かると思うんで、毎年つくって、そのうちの かなりのパーセンテージが残ってもちゃんと利益があるということです。 だけれども、海外みたいにほとんど売れていない、使っていな国ではこれは問題になるだ ろうと思います。 ○加地教授 実際問題として、こういう事態に備えてたくさんのキットも備蓄が必要ですか。 ○菅谷部長 備蓄は必要なくて、今でも私がメーカーに聞いたところでは、いざつくろうと思えば3,000 万キットとか、全力でつくれば相当数つくれるという、日本は迅速診断キットが物すごく売 れていますので、メーカーも相当持っているから、いざとなればつくれると思います。 ○加地教授 そういう御意見であればいいんです。実際にすべての患者さんにキットで診断するわけじゃな いですからね。 ○菅谷部長 そうですね。 ○事務局 加地先生から御指摘いただきました点について、まずこの項の前段部分については、適正 に用いることが診療体制の確保につながるということを書いているんですけれども、また 以降の文章については、抗インフルエンザ薬の備蓄について記述しているものですので、 ここは段落を分けまして、2つが違うということを書き直したいと思います。 ○廣田委員長 ほかにございますか。 では、次に進んでください。 ○事務局 続きまして、17ページ「(3)レベルII(国内での鳥インフルエンザ発生時)」に移ります。 (資料1 17ページ「(3)レベルII(国内での鳥インフルエンザ発生時)から 19ページ「オ.医療・検査体制の整備」まで朗読) ○廣田委員長 御意見がありましたらどうぞ。 ○菅谷部長 実はここのところを読むと、普通にレベル0、I、II、III と来ると、これがそのまま鳥 インフルエンザが出て、今度それが流行して今度はパンデミックになるという筋 書きみたいにと取られてしまう可能性があるんです。私は普通の人が見ると、そういうふう に思うと思うんです。 ここに書いてあることは全部正しいと思います。鳥インフルエンザに対応は全くいいんだ けれども、鳥インフルエンザの対応のその次、レベルIIの次に、レベルIII で新型インフ ルエンザが出てきてしまうから、今、鳥インフルエンザだけでもかなりいろいろな噂が、鳥 インフルエンザがちょっと出ただけでも、あれは鶏だけの問題だったのに、かなりのいろん な噂が出て、ちちょっとパニックめいたことがあったんだけれども、ここでヒトにもとも移 ったりすると、そういう可能性もあると思いますが、でもそれは決して新型インフルエンザ の発生とは違うので、鳥インフルエンザがヒトに移っただけなんだけれども、この連続的に 書いてあると、この対応は全く正しいと思いますが、厚生労働省はこっちの方に、先生方も 完全に対応しなくちゃならない。理由はわかるけれども、全体的に誤解を招く可能性がある から、ここのレベルI、II、そこは全く正しいけれども、そこと海外での新型インフルエン ザ発生、ここはパンデミックが始まるということをWHOは宣言するところだと思いますけ れども、国民は間違えると思うんですが、いかがでしょうか。 ○田代委員 14ページの真ん中辺に「レベルは必ずしも時系列に対応したものではなく」と 一応書いてあるわけですけれども、ここを今、菅谷先生の言われたことでやる。 それから、ここに書いてあるレベルI、IIというのは、鳥のウイルスがヒトに感染した段 階であって、ヒトからヒトに流行が広がっているということではないということをはっきり しておけばいいんじゃないですか。 ○廣田委員長 最初のレベルの定義で、例えばレベルIIだったら、家禽等への感染被害、ま たはヒトへの感染被害ですね。このレベルIIで、例えば17ページでしたら、鳥インフルエ ンザ発生時とだけあるから、まだちょっと違和感があるんじゃないですか。 ○菅谷部長 私が言ったのはそうではなくて、鳥インフルエンザの発生、勿論それに対処しなければい けないし、重いから徹底的な対処が必要だと思うけれども、その次に新型インフルエンザが レベルとしてつながっているから、ここをさっき田代先生が言っていたみたいに、レベルで 書いていくのはよくなくて、これは1つの時系列にとらえてしまうから、もしも鳥インフル エンザがヒトが出たりしたら日本中がパニックになって、新型インフルエンザとすぐなって しまうと思うので、それはあくまでも鳥インフルエンザでたまたま人に出ただけの話だから そこをはっきり分けるように、今、田代先生がおっしゃったみたいに、14ページのところで これはこうであるときちんと書いておくのもいいし、あるいはレベルでつながないで、レベ ルでつなぐと連続性に思われてしまうから、私はとにかく鳥インフルエンザで人にうつった ところが、世間全体がパニックになってしまうのが、そこを打ち消すのが大変だと思うんで す。 ○廣田委員長 ほかにございますか。 ○喜田委員 細かいことてすが、19ページの一番上の高病原性鳥インフルエンザに感染した鳥が発生した というのは、高病原性鳥インフルエンザというのは鳥の病気てすから、それに感染した鳥が というのは要らないと思います。 ○田代委員 岡部先生に聞いた方がいいのかもしれないけれども、定義を決めていましたね。 高病原性鳥インフルエンザ。 ○岡部委員 今、決まっている分ですか。 ○田代委員 あれのドラフトを見ると、高病原性鳥インフルエンザウイルスのヒト感染症という。 ○岡部委員 今のはそうですね。 ○田代委員 改定されるんですか。 ○岡部委員 その改定についてはディスカッションをしているんで、先生の意見をいただいたところで す。 ○田代委員 今のままだと菅谷先生みたいな疑問が出てくると思うんです。 ○廣田委員長 よろしゅうございますか。それでは、次お願いします。 ○事務局 それでは、先ほどの菅谷先生の御指摘を踏まえ、レベルの定義のところに時系列のもので はないということをもう少しふくらませて、きちんと誤解がないように加筆していきたいと 思います。 それでは、続きまして、19ページのレベルIII (海外での新型インフルエンザ発生時)の 説明をしていきたいと思います。 (資料1 19ページ「(4)レベルIII (海外での新型インフルエンザ発生時)から 21ページの「キ.ワクチン開発」まで朗読) ○廣田委員長 御意見をお願いします。 ○菅谷部長 レベルIII のところは、海外での新型インフルエンザ発生時ですね。先ほどの 繰り返しになるけれども、ここが新型インフルエンザの患者に対してこういうふうにやるの か。海外で鳥インフルエンザが出て、鳥インフルエンザの患者が日本に入ってきた場合やる 話なのか、そこはちょっとごちゃまぜになってしまうんで、もしも新型インフルエンザだっ たら、当然WHOがパンデミック発生と宣言するはずだから、それを書いておかないと、そ れを入れた方が先ほどの誤解は招きにくいと思います。ここは新型インフルエンザの発生、 WHOが宣言したときにこれになるんですよね。 ○事務局 一応最初の部分にもレベルについては、WHOの発表等を基に判断すると書いて いた部分がありますが、その部分については、先生御指摘のとおり誤解がないように、鳥イ ンフルエンザではなくて、新型インフルエンザであるということをわかりやすいように表現 を工夫したいと思います。 ○菅谷部長 今はレベルIVまで行ったんですか。 ○事務局 まだレベルIII です。 ○菅谷部長 わかりました。 ○岡部委員 言葉で教えていただきたいんですが、法整備というのは、現在ある法律を運用 するという意味を含んで法の整備という言い方になるんですか。感覚的には法整備というと、 これからあることをつくるような、法の整備をするという感じがしたんですけれども。 ○事務局 そこは岡部先生御指摘のとおり、整備という言葉はふさわしくないようでござい まして、法の適用とかいう表現に変えさせていただきたいと思います。 ○菅谷部長 20ページの「カ.医療・検査体制の整備」のところで、ここは新型インフルエンザが海外 で出て、この場合は日本に入ってくるかどうかという問題だと思うんですけれども、ここで も何かカのところに国内で新型インフルエンザが発生したと書いてあるけれども、ここで国 内の話が出てきているけれども。 ○事務局 先生の御指摘の点につきましては、海外で発生した場合、基本的に検疫等で止め ようとする努力は勿論するんですけれども、止めることは非常に難しいんではないか。短期 間のうちに日本に入ってくるんじゃないか。そのための準備というのは、レベルIII の段階 ではしていく必要があるということで書いている意味です。 ○菅谷委員 実はここが一番問題があるんじゃないかなと思ったんですけれども、一類感染症に準じた 対応というと、エボラ出血熱とかペストとか、そういう対応ですね。これは勿論、 一類感染症に準じて物すごく重くなるかもしれません。そういうのが来るかもしれないし、 普通のただのインフルエンザかもしれない。わからないです。だけれども、ここにこういう ふうに書いてしまうと、何かやはり私などの立場からするとすごく誤解を招くんで、つまり、 新型インフルエンザが出ればエボラ出血熱とか、ペストと同じくらいに重症さではないかと。 それは確かにわからないんです。可能性としてはわからないんですけれども、一般的に言え ば当然そんなに重いのが出るはずはないと私は思っていますけれども、やはりインフルエン ザはインフルエンザだと思っているけれども、こういうふうに一類感染症に準じてやるのも いいでしょう。もしも海外でものすごい死亡率が報道されれば。 だから、ここはここまで 一類感染症に準じてやるとまで書かない法がむしろ誤解を招かなくていいんじゃないかと思 うんです。 一類感染症で、これは次のところにも行きますけれどけも、SARSの病棟は別として、 一類と言ったら東京都でたしか5、6床だと思います。そういう話が伝わっていくと、何か ここに書いたことが非常に現実的ではないという話になっていくかもしれない。もうちょっ と、新型インフルエンザが出ることは間違いないと思いますし、それが多大な被害を及ぼす ことは間違いないけれども、一類感染症として扱わなければならないかどうかというのはま だ全然わからないことだと思うんで、もうちょっとぼかした方がいいんじゃないかと思うん ですが、これは法律で決まっているんですか。決めてないんですか。 それだったらこれは。 ○田代委員 同意見です。それから、ここでレベルに対応しなければいけないと思うんですけれども、 新型インフルエンザ患者に対しては、これは全部ひとくくりにしているんですけれども、 海外で新型インフルエンザが発生して最初に入ってくる可能性があるわけですけれども、 その段階における患者ということに限定しておかないと、ビップ?が大きく広がって全員が 一類だということも当然あり得ないことなんで、そこは少し言葉を加えておく必要があると 思います。 ○加地教授 今の田代先生のおっしゃるとおりで、ここは最初に海外から入ってきた患者さ んが、それか更に国内に広がるのを極力拡大を止めようという意味の処置だろうと思うんで す。そこを強調して書いておかないと、菅谷先生もおっしゃるように、一類云々となると大 変にことになる ○廣田委員長 ほかにございますか。なければ次お願いします。 ○事務局 それでは、「カ.医療・検査体制の整備」につきましては、この新型インフルエンザの患者 というものが海外から入ってきたような初期の段階のものであるということを明記するととも に、「一類感染症に準じた対応が必要になるが」のフレーズを削除させてもらうことで修正を したいと思います。 続きまして、21ページ「(5)レベルIV(国内での新型インフルエンザ発生時)」に移り たいと思います。 (資料1 21ページ(5)レベルIV(国内での新型インフルエンザ発生時)より 23ページ3行目まで朗読) 補足なんですけれども、この章におきましては、優先的接種を行うべきかどうかについて 議論いただきたいと思っておりまして、どのようなものを優先順位と考え、ワクチン投与す るか等については基本的には平成9年度の委員会報告書に準ずるものと考えておりますけれ ども、その詳細につきましては、インフルエンザワクチンの章で行っていただきたいと思っ ております。 以上です。 ○廣田委員長 御意見をお願いします。 ○加地教授 最初のレベルIVの「情報の収集・分析・提供」の最初のところ、新型インフルエンザの患 者は届け出ると。このときの診断基準というのはどういう具合になっているんでしょうか。 従来のインフルエンザと一緒になるともあり得ることだし、また、最初、海外でインフル エンザが発生しておる。実際に入ってきたときに、新型インフルエンザというのを診断する のはどういうあれになっているんでしょうか。 ○事務局 まず海外で発生した場合におきましては、WHOなどが診断基準をつくられるということ、 これはSARSのときの経験も踏まえてですけれども、そういったことが予想されますし、 もし、本当に国内で発生した場合にはここにいらっしゃる専門家の先生方の御意見を踏まえ ながら、至急整備をしていく必要があるんではなかろうかと考えております 。今段階では具体的な診断基準を用意しておるわけではございません。 ○喜田委員 まず常識的にはウイルス抗原か遺伝子の検出がウイルス分離そのものかが診断の基本です ね。それでいいんじゃないかと思います。 ○加地教授 とにかく、どこから入ってくるかわらいないですね。そういうのは実際にはど こでやるかということがはっきりしていないと。普通だったら診断キットでAということだ けしかわからないわけですね。それから更に先生のおっしゃるような検査が必要だと思うん ですが、どこまでやってそれを新型インフルエンザと診断するのか。実際に見る立場で言え ば第一線の標準ですね。 ○喜田委員 それは感染研に材料を送るんですね。 ○加地教授 どういうシステムになっておるんですか。 ○田代委員 地衛研でやるか、感染研でやるかで亜型を決めるということになると思います けれども、加地先生心配されるように、それは時間がかかわるわけです。そうすると、新型 インフルエンザの場合には、往復で1日とか2日かかっている間に患者はどうしたらいいか。 それが1日遅れれば大きな問題になるということで、大きく網を張って臨床症状だけでクロ スポジティブを含めてやるのかどうかという、そういうディスカッションを十分にしておく 必要があると思うんです。どういう症状がケースかというのは起こってみなければわからな いというのが正直なところだと思うんです。 ○加地教授 ここでの文章としてはこれでいいと思うんですけれども、実際にどうするんだというのは 当然起こってくるわけでして、第一線の病院では。 ○廣田委員長 アジアかぜのときにはどうだったんですか。 ○加地教授 あのときは、H2が出たと言ったら、何でもかんでもインフルエンザと診断、H2になっ てしまったんですよ。 ○田代委員 アジアかぜのときは時期が夏だったんです。ですから、インフルエンザライクということ で、余り迷うことはなかったんだと思うんです。 ○加地教授 あのときまでの知識であれば、1つの型が流行すればインフルエンザ。それが専ら病原で あって、ほかのいろんな型は入ってこないと思っておりました。インフルエンザと一緒にな れば、当然アジアかぜのときには、もうH2であるということになったんです。 ○菅谷部長 22ページのエのところで3点あるんですけれども、「患者数が少数にとどまっている間は、 レベルIII で確保した病床により、感染症法に基づき入院勧告を行うことになるが」、これ はさっきの一類と診断してという意味なんですか。 ○事務局 ここは指定感染症として指定する、もしくは新感染症として取り扱うという場合は、入院 勧告が行えるという意味で記述しておるところです。 ○菅谷部長 ここまで書くと、普通はインフルエンザで、それも特別な場合を除いてインフルエンザで 患者さんが来ても、新型インフルエンザだろうが何だろうが、普通は外来でほとんど処置さ れると思います。そこで、あなたは新型インフルエンザかもしれないから、入院勧告とかそ ういうふうになったら、もしも親しい人だったら絶対に報告しないと思います。 そのままどこか連れて行かれてしまったら大変だし、大騒ぎになってしまう。これは時と場 合によって、そういう場合もあるかもしれないと思います。ものすごく重いインフルエンザ が出てきたら、一般的にはインフルエンザはたとえインフルエンザでも、香港かぜのときに も、アジアかぜのときにも、学級閉鎖でばっ出てきましたけれども、あの人たちは入院した という記録は全くありません。外来で帰して、当時は薬も何もないから家で寝ていたんだと 思います。 今だったら当然タミフルなどすぐいってしまいますから、普通のインフルエンザだったら すぐよくなるから、ここのレベルIII で確保した病床というのは、もしも一類のすごい病床 で、そこに入れてしまうぞというようなことを書くと、かえって初期の動きがぎくしゃくし てしまうんじゃないかと思うんです。 ○事務局 先生、前の章での御指摘も踏まえまして、この部分につきましては、レベルIII で確保し た病床以上の患者発生も想定して、以下、確保を行うというふうに書くということでいかが でしょうか。 ○菅谷部長 その下が「各都道府県において一般病床、体育館等の患者治療施設の確保を行う」、私は 体育館というのは、スペインかぜの時代ではあるまいし、体育館などに入れられるんだった ら、私は自宅で診てます。体育館はまずいと思います。これは都道府県においてインフルエ ンザの入院のベッドを必ず確保するというようなことを書いておくのがしかるべきことだと 思います。体育館と書いたら、無用な心配となるか、そこまでなったら日本もおしまいだと 思いますけれども、体育館にもしもインフルエンザ患者を収容するとなったら、体育館は消 しておいた方がいいんじゃないかと思います。 ○岡部委員 新感染症、あるいは指定感染症のときには一類に準じるというのがたしかあったと覚えて いますが、厚生科学審議会のときにSARSを一類に規定したときに、1つの条件として、 一類感染症並みに取り扱うことができるんで、その取り扱い方はソフトにというか、運用面 で考えるんだという一文が確かあったと思うんです。ですから、SARSの場合は、SAR Sが発生してすぐに全部一類にしなくちゃいけないんだという考え方ではなかったというの があったと思うんですが、新型インフルエンザの場合も、恐らくそういう考え方が適用され るのではないかと思うんですが、それでいいでしょうか。もしそうだとすれば、菅谷先生が 直ちに体育館に収容されることはなくなる。 ○廣田委員長 よろしいですか。では次をお願いします。 ○事務局 では、エにつきましては、先ほど申しましたとおり改定するということで、次に。 ○岡部委員 その前に、(5)のことなんですけれども、その22ページのウの3つ目のポツ なんですけれども、国際的には云々で、「実施体制を整備する必要がある」と、これだけや らたにそうした方がいいんじゃないかということで、何ら具体性がないんです。この時期に おいて実施体制を整備する必要があると言ったのでは間に合わないので、もう少し具体的な ことが必要なのではないかと思います。 ついでなんですけれども、(5)の「レベルIV(国内での新型インフルエンザ発生時)」 というのは、定義にはちゃんとありますけれども、この時点で小規模であるとか、少数であ るとかということを入れておいた方が誤解が少ないと思います。 ○事務局 まず御指摘の後段につきましては、小規模という言葉を加えたいと思います。も う一つ、検疫の体制につきましては、検疫側とも少し表現について検討した上で、表現を見 直しさせていただきたいと思います 。 ○岡部委員 今すぐ見直さなくても、このままずっと行くのではまずいということです。 ○事務局 時間も少し押しているようですけれども、レベルVまで御説明した上で、御検討 いただければと思っております。 (資料1 23ページ「(6)レベルV(新型インフルエンザ大規模発生時)」より 24ページ「オ.ワクチン接種」まで朗読) ○廣田委員長 御意見を賜ります。 ○加地教授 24ページのエの「医療・検査体制の整備」のところの「結核病床等の空床」と いうのは具合が悪いんじゃないでしょうかね。きちっと消毒してやればいいんですけれども、 普通結局病床にそのまま入れられるような感じのところもあるし、結核病床と書くとそうい う意味で具合が悪いんじゃないかと思いますが、何か表現方法を、体育館とはちょっと意味 が違いますけれども。 ○菅谷部長 私も加地先生と同じところなんですけれども、ここの「医療・検査体制の整備」 のところは、まず入院患者も、今の加地先生の意見と全く同じですけれども、アメリカでは 大体35万から70万人くらいの入院を想定しているし、日本は人口が半分としても、やはり 10万人から30万人くらいは入院すると思うんで、勿論、SARSの病棟では全然足りない し、陰圧病床では全く問題にならないし、結核病棟も問題にならないし、一般の病床を精一 杯活用する。例えばこれはなかなか難しいけれども、不必要な入院は避けるとか、緊急でな い手術は延期するとか、そういうようなインフルエンザ患者の病棟を精一杯確保するという ことが大事だと思います。やはり10万人から30万人の入院は必要になるので、これは厚生 労働省の方でもどうやって確保するか。到底私はわかりませんから、どの程度、柔軟性がき くのかを検討したら方がいいと思います。 もう一つは、外来患者がものすごく増えると思います。普通のインフルエンザの流行でも 1,000 万人近く外来患者は出ていると思うので、アメリカのデータは忘れましたけれども、 やはり1,000 万人から3,000 万人くらいは外来患者が来るんで、ここは病棟の確保もそうだ し、今でも特に小児科の冬のインフルエンザの流行などは大騒ぎでかなり救急でもめていま すから、これが新型インフルエンザで物すごく患者が出れば、大騒ぎになるので、やはり外 来診療の整備、医師会に協力してもらって、休日、夜間の診療体制とか、勿論、病院も夜間 ・休日の入院体制を精一杯取るようにしないと、幾らタミフルとかいろんな薬を利用しても、 相当外来・病棟とも大変になると思うんで、その辺のことをある程度書いておいた方がいい と思います。 どんなに軽いインフルエンザがはやったとしても、新型インフルエンザでも大してことな くても、今言った入院が10万人とか30万人出て、外来が何千万という外来が押し寄せる。 これは重い軽いに関係なく起きると思うんで、その辺の準備は必要だと思います。 勿論、体育館などを使うような事態にならないようにやっておいてほしいし、あるいは救 急外来がストップしないように何とかやってほしいと思います。 ○岡部委員 ここの部分はもっと別途具体的なものと、この案と別に出した方がいいだろう と私は思うんです。現状でも先生がおっしゃいましたけれども、昨年あるいは先シーズン、 あのくらいの規模でも全体の患者数は1,000 万ですから、そのくらいの患者数は可能性は常 にあるわけです。そのくらいこなしているんだけれども、問題は恐らく短期間に集中して患 者さんが出てくるということで救急医療体制なども混乱すると思うんで、それを別に考えな いといけないだろうと思うんで、これは提案なんですけれども、別にその辺をつくっていな ければいけないと思います。 ○菅谷部長 私も岡部先生の意見に賛成です。ですから、ここにはもっとおおざっぱなことで、確保す るとか、準備するかということで、具体的には考えた方がいいだろうと思います。 ○稲松委員 先ほどから現場の現状を考えますと、何となく釈然としない思いが非常にあり まして、実はSARSのときもそうなんですけれども、SARS怖いでばっといくんだけれ ども、果たしてSARSはどれだけ怖いのか。本当にあの宇宙船が必要だったのか。むしろ 普通の外来でのインフルエンザないし結核を排菌をしている患者に対応するレベルが低い中 で、SARSだけ特化させて、裏に小屋をつくって、あれは何だったんだろうかという思い が非常にあるんです。 恐らく今新型インフルエンザザが出てきても、それが旧型インフルエンザと症状的には少 し重い。これまでとは抗原性の違う新しいものが大流行したと。恐らくそういう形で来るん だろうと思います。 そうしますと、旧型と並行して出てくるときに、新型は体育館に入れる、旧型はこっちで 今までどおりにとか、そんなことで現場では恐らく大混乱を起こしてしまうんです。そこを もう少しマイルドにうまく実際、運用できる格好にしておかないと、多分困るんです。 雪 下先生としてどうですか。こういうことをぽっと言われると現場では困りませんか。 ○雪下委員 この前の委員会でも申し上げましたけれども、何十万、何百万の人が感染して、 それに対応しろと言ったって、対応のしようがないわけで、それだけ発生したら、それこそ 体育館でも道路でも何とか対応しなければいけないということになると思うんです。そうい うことがないように、その前に何とかそういうアウトブレイクが起きないような何らかの対 策が必要だということをこの間申し上げたと思うんですが、実際SARSのときもそうです が、結核病床を使うとか何とか、結核をやっている人に聞いてみると、とんでもない。結核 病棟など使えるわけがない。SARSなんて入れられるわけないというし、ここにも同じよ うに結核病棟とかいろんな空床と書いてありますけれども、そういう話し合いがついている のかどうかわかりませんけれども、結核病床については全くそれを使うという体制はないと いうことを言われていました。 そんなふうで今、ただ、こういうふうに大変だ、体育館も使わなければならないような状 態になるぞと言うと、これはパニックになってしまうんで、むしろ先ほどから言われたよう に、最悪そうなった場合は、それの準備をしろと言ったってできるわけないわけで、それは そうならないような努力をして、なった場合には、全力でそれに対応する以外はないと私は 実はこの新型インフルエンザについては思っております。 ○稲松委員 現実的に体育館と言ったって、酸素はどうするんですか。点滴はどうするんで すかと言ったら、非常に人権問題が生じてしまうんです。私は普通の病室ではなく、どうし て体育館なのか、酸素もないところでどうして治療するんですか。そんなことも非現実的な ことが書いてあるような気が何かしているんです。 ○加地教授 そこで話が一番最初に戻って、田代先生のおっしゃるように、この新型の場合 は、非常に病原性が強いとか、致死率が高いとか、その辺がどうなのかというところに戻っ てしまうわけなんです。それによって対応は随分違うだろうと思うんです。今までのスペイ ンインフルエンザとか、アジアインフルエンザを見れば、今度のベトナムなどの鳥インフル エンザがヒトに感染した例のように、致死率は高くないわけです。そこのところで非常に問 題が、まだわからないわけですけれども、結局そこに話は戻ってくるだろう。それによって 対応がいろいろ可能性としては考えなければいけないし、そこまで考えなくても、やる方法 が現実の問題としてできるのかどうかとなるんですけれども、こればかりは実際に起こって みないとなかなかわからないですね。 ○田代委員 勿論、起こってみないとわからないんですけれども、97年以降、鳥の高病原性のインフル エンザウイルスがヒトに感染して、ヒトの中で流行を起こし得るという、それ以前は絵空事 だったことが現実に起こり得るということがわかったわけです。 そうすると、過去100 年間に我々が経験してきたパンデミックよりももっと大きな健康被 害が出る。病気としてはもはやインフルエンザではないという事態が起こり得るということ を視野に入れてパンデミック対策は考えておかなくちゃいけないと思っております。 ○稲松委員 そういう意味で加地先生おっしゃるように、初めに新型インフルエンザをどう 定義するかというのは非常に大きな問題で、どう定義するかとなると、病原性がどうのこう のという話ではなくて、実際にヒトにどれだけ実害を及ぼしているかということは早期にと らえて、臨床的なサーベイランスで、それで厚生労働省当局として、このレベルで対応しま しょう。このレベルで対応しましょうということを早く決めてもらえばいいんです。 ともかくそういう臨床的なサーベイランスのシステムをきちっと組んで、緊急にその結果 に基づいてこのレベルでやりましょうというふうに厚生労働省でレベルを指定してくれれば、 また対応できるんだろうと思うんです。 今、全く何が起こるかわからない状況で、こうだったらこう、ああだったらこうというこ とを言い出すと、どんどん厳しい対応を組まざるを得なくなって、そこに突然体育館が出て きて、訳がわからなくなってしまうんです。そこを何とかもう少しわかるようにしておかな いと、動きが取れないと思います。 ○菅谷部長 私の考えでは、勿論、最悪の場合体育館になってしまったら困るんで、そうならないように 精一杯やるにしても、病棟の確保、これはいろんなことをやって、体育館だとか結核病棟と いうのではなくて、一般病棟をいかに有効に活用するかということ。 あと今の外来だけでやると、恐らくパンクするから、今は大体病棟とか外来のすごく込ん だので言うと、1999年にシドニーインフルエンザがはやったときに大騒ぎだったと思います。 救急車の記録的な出動回数とか、いわゆるレスピレーターがないと言ったときですけれど、 恐らく最低であのときの倍くらいのインパクトは医療に与えると思うんです。 そうすると、レスピレーターは全然足りなくなるし、入院が非常に厳しくなる。でも、前 もってどういうふうにやろうということを決めておけば、あのときは突然でしたし、まだ、 薬もタミフルなども許可されていない時期ですから、あれですけれども、前もってどういう ふうにやるかとやっておけば、日本は一番そういう意味で、要するに一番最初の治療でタミ フルとか迅速診断がありますから、世界の中では一番有利な国ではあると思うんです。 でも、外来はものすごく来ると思うんです。必ずみんなタミフルをもらいに来るし、迅速 診断ということで必ず来るから、外来の体制は相当しっかりやって、それから後は病棟をど うやって確保するかというのは、それもこの中でもう少し詳しく書いておいた方がいいので はないかと思うんです。ここで無理だったら、今後の課題としてやっていくべきだと思いま す ○廣田委員長 あとよろしいですか。時間も詰まっておりますので。 ○雪下委員 同じことで菅谷先生にこの間苦言を呈したわけですが、スペインかぜ、そのたいろんな経 験があって、今になってから何千万人感染して、何十万人死ぬという、今、そういうことが 、同じようなことをただ繰り返していて、それしかないのかどうか。それに対しての対応が できないのかどうかということを何とか学者の先生方にもお願いしたいとこの間も申し上げ 、今日も最後に申し上げるしかないと思っているんですが、今、一般病棟を使うだの何だと 言っても、先生言われたように、第一の段階は一般外来に来るわけですから、その外来での 対応ができるわけないんで、あなたは今までのインフルエンザ、あなたは新型そういう振り 分けも、先ほどの診断基準をどうするかという問題もありましたけれども、現にそんなもの できるわけないんで、そこに至るまでの私はワクチンの製造というか、それに対するワクチ ン対策の充実というか、それしかないのではないか。 いろんなワクチンの備蓄、その他対応を含めて100 億くらいで準備できるとこの間の委員 会で言われたので、国はそのくらいの金は出して、何とか対策、何十万人というのが亡くな るのを見ているわけにいかないと思うわけで、何とかそれに対する対策は是非とも必要、勿 論、その治療薬のタミフル等についての備蓄も必要だけれども、それ以前に何からの形でワ クチンでの対応ができないかどうかということの準備をしてもらいたいと思います。 ○廣田委員長 ありがとうございました。ワクチンについて次回検討することにもなりますし、本日は時 間も過ぎましたけれども、報告書の内容を検討するというのからちょっと離れつつある部分 もございますので、今日はここで議論を閉めさせていただこうと思います。 本日はIV章まで御議論いただきました。残りについては、7月30日の委員会にて引き続 き御議論いただくということでお願いいたします。 なお、さっきのレベルVのところでは、いろんな意見がたくさん出ましたので、今ここで まとめるというわけには多分いかないだろうと思いますので、また作文の方を十分くみ取っ てお願いいたします。 それでは、事務局から何かございましたらどうぞ。 ○事務局 準備しているものは特にございません 。 ○廣田委員長 委員の皆様方では、これまで検討をし残していて、次回議論すべきテーマなどございました ら、また事務局の方にお知らせていただきたいと思います。 そのほか何かございませんか。 それでは、これで閉会いたします。どうもありがとうございました。 28 (照会)                                厚生労働省健康局結核感染症課                      担当:近藤(内)2379                         佐藤(内)2386         TEL03−5253−1111