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参考資料1−2

電子保存、外部保存における保存と利活用について

合同作業班長 山本 隆一

 医療の高度化と医療体制の変化にともなって診療情報の共有を主体とする更なる利活用は必須。ただし医療は基本的には極めて私的な存在であり、このような利活用においては1995年に改定された世界医師会のリスボン宣言でも明確に宣言されているように、患者の選択権を確保し、プライバシーの保護に万全でなければならない。

電子保存、外部保存における保存と利活用についての図
 紙やフィルムに固定された情報は再利用が困難であり、多施設連携においては十分な利活用が困難。それゆえ、容易に多施設間で利用可能な形態で電子化を推進する必要がある。電子化診療情報と紙に固定された情報が無秩序に混在しては情報の利用にあたって混乱が生じかねない。電子カルテの推進の必要性の一つがここにある。
 これに対応して電子保存容認の通知がだされ、基準を満たして電子保存することで紙に出力することが必須であった二重帳簿的な運用を行なわなくてもすむようになった。
 電子化情報は紙に比べて飛躍的に利用性は向上するが、一方で、正しく対策を講じなければ紙媒体等にくらべて脆弱で、またネットワーク上で漏洩が起これば大量かつ追跡困難になる可能性がある。正しい安全対策が必要。
 保存に関して万全の安全対策を取ることは大規模な医療機関であれば能力的にも経済的にも不可能ではないが、小規模医療機関では困難である可能性が高い。一方で様々な分野でデータセンターのような、ネットワーク経由で大量のデータの預託を受け、安全に保存する機関やその技術が進歩してきて、医療でも理論的には利用可能と考えられる。
 しかし、このようなデータセンターはデータの保管だけでは高収益を得られないために、付加価値としてデータの分析などの二次加工を提供しているところも多い。
 医療では患者の選択権とプライバシー保護を十分に確保するためには共有を含む利活用は患者と対面で診療を行なう医療機関が常にキーとなって行なうべきで、現時点でそのような仕組みを確保するためには外部保存を行なったとしても利用は保存委託機関に限定すべきで、共有を含む利活用は電子保存や外部保存の普及によって進んだ電子化の基盤の上であらためて考慮すべきものと考えられる。


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