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資料1

診療録等の外部保存について



1. 診療録等の保存を行う場所について
診療録等の保存場所については、平成14年3月の通知(注1)により、一定の基準の下では作成した医療機関等以外の場所における保存(外部保存)が認められている。
(1) 電子媒体により外部保存を行う場合
平成11年4月の通知(注2)に掲げる基準(記録の真正性、見読性及び保存性の確保をいう)を満たさなければならないこと。
電気通信回線を通じて外部保存を行う場合にあっては、保存に係るホストコンピュータ、サーバ等の情報処理機器が医療法第1条の5第1項に規定する病院又は同条第2項に規定する診療所その他これに準ずるものとして医療法人等が適切に管理する場所に置かれるものであること。
患者のプライバシー保護に十分留意し、個人情報の保護が担保されること。
外部保存は、診療録等の保存の義務を有する病院、診療所等の責任において行うこと。また、事故等が発生した場合における責任の所在を明確にしておくこと。
電子媒体により外部保存を行う際の留意事項
外部保存を行う病院、診療所等の管理者は運用管理規程を定め、これに従い実施すること。
(2) 紙媒体のままで外部保存を行う場合
記録が診療の用に供するものであることにかんがみ、必要に応じて直ちに利用できる体制を確保しておくこと。
患者のプライバシー保護に十分留意し、個人情報の保護が担保されること。
外部保存は、診療録等の保存の義務を有する病院、診療所等の責任において行うこと。また、事故等が発生した場合における責任の所在を明確にしておくこと。
(注1) 平成14年3月29日付厚生労働省医政局長、保険局長連名通知「診療録等の保存を行う場所について」
(注2) 平成11年4月22日付厚生省健康政策局長、医薬安全局長、保険局長通知「診療録等の電子媒体による保存について」

2.検討の必要性
e-Japan重点計画−2004(医療関係)(平成16年6月戦略本部決定)〔抜粋〕
○電子カルテの医療機関外での保存の容認(厚生労働省)
医療機関等のネットワーク化を推進するとともに、電子カルテの保存や情報機器の維持管理等に関する医療機関の負担を軽減するため、個人情報保護と管理の遵守義務等を含む要件設定を前提とし、2004年度中に電子カルテの医療機関外での保存を容認する。

規制改革・民間開放推進3か年計画(平成16年3月閣議決定)〔抜粋〕
○電子カルテ等診療情報の医療機関外での保存(平成16年度に措置)
診療を行った医療機関からの依頼を受けて、当該医療機関以外の事業者が電子カルテ等
診療情報の保存を行う場合は、その事業者がデータ管理上必要不可欠な場合に、委託医療機関の了承を得て行う場合のみ、保存しているデータを見ることが出来ることを含め、個人情報と管理についての遵守の義務が確保されている場合には、医療機関等以外であっても保存を認める。

3.医療情報ネットワーク基盤検討会 検討状況の中間取りまとめ〔抜粋〕
診療録等の電子保存について、現在、医療機関等に限定されている保存に加えて、医療機関以外における外部保存を認めるための要件について検討することが求められている。
一つの考え方として、個人情報に係るデータを暗号化して保存し、その復号鍵を保存依頼側の医療機関が管理することなどを想定し、これらを含め外部保存を行う主体が必要な要件を満たすこと(例えば、営利を目的としないこと、公正中立な仕組みによる認定など)を前提とすることが提示された。また、医師等の守秘義務違反に対する罰則規定との均衡に配慮しつつ、関係者が個人情報保護に努める責務を明らかにすべきことが強調された。
なお、外部保存された電子情報の利活用については今後、引き続き慎重に検討していくべき課題である。

4.診療録等の外部保存の利点と問題点等(電気通信回線を通じて行う場合)
(1) 利点
連携を行う施設間での情報共有を促進(ネットワーク化推進の本来の目的)
保存スペースの確保
システム堅牢性の高い安全な保存場所の確保(セキュリティ対策向上や災害時の危機管理等)
電子カルテシステムを負担なく導入(ASP型電子カルテシステムなど)
保存コストの削減
(2) 問題点
患者の情報が漏洩することへの危険性、万が一のときの対策・リスク分析・責任の所在の明確化が必須
情報改ざんなどへの対処の負担(責任の所在・経路のセキュリティ・真正性保証など)
蓄積された情報を外部保存受託機関が独自に利活用することへの危惧

5. 外部保存における情報の保存と利活用(電気通信回線を通じて行う場合)
診療情報等の電子媒体への保存は、保存主体の医療機関等と外部保存受託機関だけで完結する。
保存主体の医療機関等は、患者に対して保健医療サービス等を提供するために電子保存された診療情報等を利活用できる。
一方、外部保存受託機関または保存主体でない他の医療機関等が、保存された当該情報を利活用(参照、解析など)することは引き続き慎重に検討。
医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討状況等をふまえ適切かつ慎重に対応。

6.外部保存受託機関の要件について
(1) 適切な外部保存に必要な技術及び運用管理能力を有することを公正中立な仕組みにより認定されていること。
適切な外部保存のための技術及び運用管理の詳細は、現在検討中の外部保存のガイドラインにて規定する。
(2) 原則として保存主体の医療機関等のみがデータ内容を閲覧できることを技術的に担保するため、外部保存受託機関に保存される情報の暗号化を行う。
トラブル発生時のデータ修復作業等における閲覧の許可要件を検討。
暗号化する情報の範囲について検討(個人識別に係る情報のみ、保存を行う情報全体)。
(3) 外部保存受託機関の健康情報を取り扱う個人に対する情報漏えい等を抑止するためのルールの設定
その他の要件設定の必要性について検討。

(参考)
<外部保存が認められている記録等>
 医師法第24条に規定されている診療録
 歯科医師法第23条に規定されている診療録
 保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第42条に規定されている助産録
 医療法(昭和23年法律第205号)第21条、第22条及び第22条の2に規定されている診療に関する諸記録及び同法第22条及び第22条の2に規定されている病院の管理及び運営に関する諸記録
 歯科技工士法(昭和30年法律第168号)第19条に規定されている指示書
 救急救命士法(平成3年法律第36号)第46条に規定されている救急救命処置録
 保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)第9条に規定されている帳簿等
 歯科衛生士法施行規則(平成元年厚生省令第46号)第18条に規定されている歯科衛生士の業務記録


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