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社会保障審議会−福祉部会
生活保護制度の在り方に関する専門委員会
第15回(平成16年7月26日) 資料2

生活保護制度の在り方に関する論点の整理
(事務局において論点を整理したもの)

第1 生活保護基準の在り方について

1 生活扶助基準の評価・検証等について
 ○  一般国民の消費動向に対応するよう生活扶助基準を改定する、いわゆる水準均衡方式については基本的に妥当であるが、生活扶助基準が一般低所得世帯の消費実態と均衡が図られているかを見極めるため、今後、定期的に全国消費実態調査(5年に一度実施)等の結果を踏まえて検証を行うことが必要ではないか。その際には、地域別、世帯類型別等に分けて検証を行うとともに、調査方法及び評価手法についても専門家の知見を得た上で行うことが妥当ではないか。
 ○  地域別の生活扶助基準の設定については、市町村合併の動向にも配慮しつつ、見直しを行うことが適当ではないか。
2 加算の在り方について
 ○  母子加算については、ひとり親世帯の消費の実態を見た上で、世帯の自立につながるよう、要件、金額、名称等について見直しを行うことが必要ではないか。
注)  なお、生活保護基準の在り方については、老齢加算の段階的廃止、多人数世帯の基準の是正に向けた見直し等についても「生活保護制度の在り方についての中間取りまとめ」(平成15年12月16日)に挙げられているところ。

第2 自立支援等生活保護の制度・運用の在り方

1 自立支援の在り方について
(1)自立支援のための組織的な取組の推進について
 ○  被保護者の自立・就労支援を一層推進するため、生活保護制度において、各地方自治体が、その実情に応じた自立支援プログラムを策定し、これに基づいて組織的な取組を進めることが必要ではないか。
 ○  自立支援プログラムにおいては、被保護者の類型別に基本的な取組方針を定めるとともに、グループカウンセリング、福祉や環境分野等における社会貢献を通じた社会参加活動、トライアル雇用等、被保護者の自立・就労支援のために活用すべき多様かつ重層的なメニューを整備することとし、このプログラムに基づき被保護者それぞれの実情に応じた支援を行うことが必要ではないか。また、被保護者の自立・就労に向けた取組状況を定期的に評価し、必要に応じて支援の内容の見直しを行うとともに、十分な取組が行われていない場合には保護費の減額や保護の停廃止を行うことが必要ではないか。
 ○  自立支援プログラムの策定・実施に当たっては、(1)就労支援等に関する知識・経験を有する非常勤職員の活用、(2)社会福祉法人、民間事業者等の協力、(3)救護施設等の社会福祉施設との連携など、地域の様々な社会資源を活用することにより、その独自性を生かした実施体制を構築することが必要ではないか。また、国においても労働行政、福祉行政とも連携しつつ、地方自治体の取組を支援していくことが必要ではないか。
 ○  さらに、生活保護の適用には至らない低所得者に対しても、自立した生活が営めるよう、自立支援プログラムを早期に適用することが必要ではないか。
 ○  なお、自立支援プログラムの実施に当たっては、被保護者の実情把握や、その実情に応じたメニューの選定等に当たる専門的な知識を持った生活保護担当職員等の確保が必要ではないか。
(2)教育支援の在り方について
 ○ 生活保護を受給する有子世帯の自立を支援する観点から、高等学校への就学費用について、生活保護制度において対応することを検討すべきではないか。

2 資産、能力の活用等の在り方について
 ○  保護の適用に先立ち自らの資産、能力などの活用を求める補足性の原理については、その考え方を維持することが必要ではないか。
 ○  保護開始時の預貯金、保護受給中の累積金等の在り方については、社会的公正の確保や一般世帯との均衡に配慮しつつ、その金額や趣旨・目的について、預託制度の活用等も含め、見直すことが考えられないか。
 ○  居住用不動産を保有する生活困窮者に対しては、居住用不動産を担保とした生活資金(長期生活支援資金)の貸付制度の積極的な活用を推進すべきではないか。
 ○  稼働能力の活用の要件については、より客観的な判断を可能とするための指針を策定することが必要ではないか。
 ○  扶養義務者の扶養能力の調査については、夫婦間、親子間等については調査を厳格に実施し、他の扶養義務者については、個々のケースの状況や地域の実情に応じて、各地方自治体が判断して実施する仕組みとすべきではないか。


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