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I 保護施設について

〇 保護施設の概要

施設種別 目的 根拠条文 補助の有無
運営費(措置費) 整備費
県(市) 設置者
救護施設  身体上又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設 生活保護法
第38条第1項
1号
3/4 1/4 1/2 1/4 1/4
更生施設  身体上又は精神上の理由により養護及び生活指導を必要とする要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設   生活保護法
第38条第1項
2号
3/4 1/4 1/2 1/4 1/4
医療保護施設  医療を必要とする要保護者に対して、医療の給付を行うことを目的とする施設 生活保護法
第38条第1項
3号
診療報酬 10/10
授産施設  身体上若しくは精神上の理由又は世帯の事情により就業能力の限られている要保護者に対して、就労又は技能の修得のために必要な機会及び便宜を与えて、その自立を助長することを目的とする施設 生活保護法
第38条第1項
4号
3/4 1/4 1/2 1/4 1/4
宿所提供施設  住居のない要保護者の世帯に対して、住宅扶助を行うことを目的とする施設 生活保護法
第38条第1項
5号
3/4 1/4 1/2 1/4 1/4


〇 保護施設の年次推移

  昭和45年 昭和50年 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年
施設数(か所) 保護施設 400 349 347 353 351 340 336 335 296 295 292
  救護施設 131 145 160 169 173 174 177 177 178 177 180
更生施設 22 16 16 18 18 18 17 19 19 19 17
医療保護施設 78 72 68 69 68 65 65 65 64 64 63
授産施設 118 81 76 76 76 68 65 62 24 24 22
宿所提供施設 51 35 27 21 16 15 12 12 11 11 10
定員(人) 保護施設 44,006 40,123 40,404 42,131 42,445 41,532 41,534 41,531 39,676 39,724 39,674
  救護施設 10,839 13,012 14,135 15,178 15,761 16,066 16,444 16,478 16,337 16,338 16,652
更生施設 2,098 1,518 1,665 1,741 1,764 1,701 1,666 1,776 1,776 1,912 1,772
医療保護施設 19,146 18,093 18,263 19,570 20,158 19,752 19,895 19,909 19,795 19,672 19,558
授産施設 5,100 3,700 3,490 3,435 3,225 2,755 2,525 2,405 855 845 795
宿所提供施設 6,823 3,800 2,851 2,207 1,537 1,258 1,004 963 913 957 897
資料:「社会福祉施設等調査報告」厚生労働省大臣官房統計情報部(各年10月1日現在)
※医療保護施設の定員は、医療法の規定による許可病床数で計上。なお、病床は被保護者のみを対象とするものではない。


〇 被保護者の施設別入所状況

施設に入所している被保護者は54,540人。そのうち、32.2%が救護施設、更生施設等に入所しており、残りは、介護保険施設(42.8%)、その他施設(障害者施設等)(25.0%)に入所している。

(単位:人)
  総数 入所 入院 居宅
総数 救護施設等 介護保険施設 その他施設
総数 1,189,420 54,540 17,560 23,320 13,660 115,320 1,019,560
  (100.0%) (32.2%) (42.8%) (25.0%)    
  高齢者世帯 446,260 32,270 6,640 20,250 5,380 47,930 366,060
母子世帯 200,270 1,810 20 - 1,790 770 197,690
障害者世帯 118,690 10,100 5,860 1,170 3,070 18,120 90,470
傷病者世帯 296,780 7,830 4,370 1,460 2,000 45,520 243,430
その他の世帯 127,420 2,530 670 440 1,420 2,980 121,910
救護施設等:救護施設、更生施設等に入所している場合
介護保険施設:介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び介護療養型医療施設に入所している場合
その他施設:その他の社会福祉施設及びそれに準ずる施設に入所している場合
資料:被保護者全国一斉調査(個別)(平成14年)


〇 保護施設通所事業について

(目的)
  保護施設退所者を、保護施設に通所させて指導訓練等を実施し、又は職員が居宅等へ訪問して生活指導等を実施することで、居宅で継続して自立生活が送れるように支援するとともに、保護施設からの退所を促進し、施設定員の有効活用を図ることを目的とする。
(事業の開始時期)
  平成14年度から
(対象施設)
  生活保護法第38条に規定する救護施設又は更生施設
(事業内容)
 ○通所訓練:施設への通所による生活指導・生活訓練等又は就労指導・職業訓練等
 ○訪問指導:職員による居宅等への訪問による生活指導等
(事業の対象者)
  原則、保護施設の退所者であって、退所後引続き指導訓練等が必要と認められる者
(対象者の通所期間)
  施設退所後1年以内。ただし、延長が有効と認められる者については、更に1年の延長を認めている。
(実施状況)
 ○通所訓練
・実施施設数:35か所 ・利用人数:385人
 ○訪問指導:
・実施施設数:30か所 ・利用人数:385人


〇 平成16年度の新規施策について(保護施設関係)

1 居宅生活訓練事業の創設
(目的)
  救護施設において居宅生活に向けた生活訓練を行うとともに、居宅生活に移行可能な対象者のための訓練用住居(アパート、借家等)を確保し、より居宅生活に近い環境で実体験的に生活訓練を行うことにより、施設に入所している被保護者がスムーズに居宅生活に移行し、継続して居宅において生活できるよう支援することを目的とする。
(事業の対象者)
  生活保護法第38条に規定する救護施設に入所している者であって、6か月間の個別訓練を行うことにより、居宅において生活を送ることが可能であると認められる者
(訓練期間・対象人員)
 ○訓練期間:原則6か月間
 ○対象人員:1期3〜5名
(訓練内容)
 ○日常生活訓練(食事、洗濯、金銭管理等)
 ○社会生活訓練(公共交通機関の利用、通院、買い物、対人関係の構築等)
 ○その他、自立生活に必要な訓練

2 保護施設の整備促進対策
(1)保護施設の定員要件の緩和
 救護施設
 更生施設
 宿所提供施設

 >
 定員50人 → 定員30人
(2)サテライト型救護施設の設置
 既存の救護施設(中心施設)の周辺における定員10名程度の小規模な施設(サテライト型施設)の設置


〇 保護施設への入退所と実施責任

【原則】
(1)居宅等における保護の場合の実施責任 → 居住地又は現在地を管轄する保護の実施機関
(2)保護施設入所の場合の実施責任 → 入所前の居住地又は現在地を管轄する保護の実施機関
(3)保護施設を退所し、居宅に移行した場合の実施責任 → 居住地又は現在地を管轄する保護の実施機関
【実施責任移行例】
図

【考え方】
生活保護は地域に密接に関連する行政であり、被保護者に対するケースワーカーの訪問調査等のきめ細やかなサービスが行われることから、保護の実施責任は、居住地を管轄する地方自治体がもち、保護の実施に伴う費用についても同じ地方自治体が一部を負担するのが原則。
 したがって、ホームレスやDVの被害者が新たに居住地を設定した場合、前居住地でなく、新たに設定された居住地を管轄する地方自治体が保護の実施責任をもつ。
しかしながら、救護施設等に入所している者について、救護施設等の所在する地方自治体を保護の実施機関とした場合、救護施設等の所在する地方自治体の財政負担が大。
そこで、救護施設等に入所させた元の実施機関である地方自治体が、入所後も保護の実施機関として保護を実施し、保護費についても一定の負担。
(被保護者が病院に入院した場合も、引き続き居宅があり退院後その地域に居住することが予定されているときには、入院前の居住地を管轄する地方自治体が保護を実施。)
なお、救護施設等に入所又は入院している被保護者に対しては、保護を実施する地方自治体のケースワーカーが定期的に訪問し、本人の状態を把握。
救護施設等からの退所後は、原則に戻り、居住地である地方自治体が保護の実施機関となり、保護費についても一定の負担。


〇 保護施設に関する論点について

救護施設や更生施設は要保護者のための施設であるが、他法の専門的施設が充実してきているのであるから、他法の施設に移っていくべきではないか。

他法の専門的施設に入所することが適当な被保護者については、当該施設に移行すべき。
一方、救護施設等は、重複障害者など他法の専門的施設で対応が困難な要保護者のほか、様々な理由により居宅生活が困難な次のような者に対して生活指導を行うための施設として機能しており、今後も、社会情勢に応じて柔軟に対応できる施設としての期待が大きい。
・緊急入所 ・ホームレス ・社会的入院患者 ・その他社会生活への適応が十分でない者
居宅での保護や他法の施設への入所が可能であるにもかかわらず、救護施設の施設数や定員は増加しており、依然としてニーズが高い。


社会福祉基礎構造改革以降、措置制度から利用制度に移行した施設に被保護者が入所していることにかんがみれば、保護施設も利用制度に移行できるのではないか。

生活保護制度において、被保護者は、居宅生活や本人の選択により利用施設への入所が可能となっているところ。
しかしながら、その健康状態、生活状態、家庭関係等からみても居宅での単身生活が困難であるなどの場合には、やむをえず保護の実施機関の判断により施設入所とする必要があり、社会福祉基礎構造改革以降においても、引き続き行政の判断により入所措置が可能となる仕組み及びその入所の受け皿としての保護施設は不可欠
いずれにせよ、保護施設への入所に当たっては、現実の運用において、保護の実施機関が要保護者の意向を把握し、適切に決定に反映することとしている。


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