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第18回「食品の表示に関する共同会議」の議事概要
(平成16年7月23日(金))


1.委員の出欠
板倉委員、神田委員、増田委員が欠席。

2.概要
(1)アレルギー物質を含む食品の表示について
委員: 基本的に前回の議論は反映されていると思うが、一点、本日欠席の委員より指摘があったので報告する。特定原材料等を使用していない旨の表示は、推奨表示をしているのか、していないか分からないことが問題の背景にあるという説明があったと記憶している。推奨品目の表示について、法的に義務づけるということが実行可能性の観点から困難というなら、「推奨品目も表示対象としている」ということを表示したり、ホームページに掲載するなどにより、情報提供をすることが望ましいという表現を加えた方が良いのではないかという指摘であった。
座長: 事務局で対応は可能か。
事務局: 今の委員のご指摘は、推奨品目を使っていれば表示する、ということについては、一括枠外での記載やホームページで情報提供を行うことも有用であるという主旨であると思う。事務局としては、6ページの「(3)特定原材料等を使用していない旨の表示の新規促進」の2つ目の○の後に、「また、一括表示枠外での記載やホームページ等を活用して、推奨品目についても表示対象としているか否か、情報提供を行うことも有用であると考えられる。」といった文章を加えることで対応したいと思う。
委員: 今の提案に賛成である。これで「(3)特定原材料等を使用していない旨の表示の新規促進」の1つ目の○であげられている現状の問題に対応する形の答えができたと感じる。

(6ページの「(3)特定原材料等を使用していない旨の表示の新規促進」の2つ目の○の後に、「また、一括表示枠外での記載やホームページ等を活用して、推奨品目についても表示対象としているか否か、情報提供を行うことも有用であると考えられる。」と書き加えることで、委員了承し、とりまとめられた。)

(2)表示方法について
事務局から資料2について説明。
委員: 一括表示は望ましいと思うが、ネックなのは、表示内容が複雑で多岐にわたること。この点をどうするかは難しい。もしも一括表示枠に記載できないなら、どこに記載してあるか分かるようにする必要がある。表面のプライスラベルと裏面の一括表示とのダブル表示に関して、プライスラベルに表示事項を盛り込みすぎると中身が全然見えなくなる例を以前の会議で申し上げた。原材料表示について、つめて話をしないと難しい。
委員: 生活実態の中から、表示が見やすいかというと、ダブりが目立つ。大きいパッケージの中に小さなパッケージが詰め合わされている商品も増えており、全般に小さい包装のものが多くなっている。
 一つの面に表示するEUの例は見やすい。
座長: 一括表示は大事だが、順番まで厳格に決められている点については、緩めてもよいのではないか、という議論があった、例えば、原材料名については、たくさんの種類のものが使われ、しかも、アレルギー表示や遺伝子組換え表示等、たくさんの表示事項があり、書き込むこと自体が難しくなってきている。
委員: 総論としては、一括表示について大胆に見直したいところ。
 消費者は多面的な情報を求めており、皆が全情報を求めているわけではない。多様なニーズに、表示で対応するのか、ITなど他の方法で情報提供するのか将来を見据えて検討すべき時期に来ている。日生協でも、名称、内容量、取扱いの注意点等、多くの消費者が望む内容を表面に書くようにしているが、表面に表示することに拘らず、代替手段があれば将来的に導入することも議論できれば、と思う。
委員: 一括表示は加工食品を対象にしているが、加工食品と生鮮食品の区分が未整理であり、今後、生鮮食品とするか加工食品とするかの線引きに変更があった場合のことも念頭に置いて検討していく必要がある。
座長: 前提として、生鮮・加工の境界の議論はもう少し必要である。それも念頭に置いて検討したい。
 それでは、資料2を順にご議論していただきたい。まず、p4について、名称を表面に書いた場合、一括表示は必要かという点についてどうか。
委員: JASのあり方検討会では、品目横断的な品質表示基準で定める「一般名称ルール」に基づいて名称表示をすることを提案している。「ポテトチップ」のような固有名詞なら良いが、「スナック菓子」のようなカテゴリーの名称を一般名称として表面に表示したことをもって一括表示欄の名称を省略できるとすることは問題があるのではないか。また、固有名詞と普通名詞の整理も難しく、例えば「ホッチキス」は普通名詞のようだが商品名であり、この場合、普通名詞は「ステイプラー」である。どこまでを一般名称とみなすかということも検討が必要。
座長: 個別品質表示基準による名称規制の話はJASのあり方検討会で検討している事項であり、この場で整理することは出来ない。あり方検討会へ提案することになろう。他にも提案すべき事項はあるか。
委員: p4に「商品名から一般的名称が明らかな商品」とあるが、商品名だけでは全くわからない例も多い。牛乳を酢で固めたものは「チーズ」であるが、形状が豆腐のようだという理由で商品名を「牛乳豆腐」とする場合、現在であれば一括表示の名称欄に「ナチュラルチーズ」と表示されるが、これを省略可能としてしまうと「チーズ」であることがわからない。もも肉で作った「ベーコン」であるとか、クリームを使用していない「クリーミーコロッケ」など、一定の定義による一般名称を表示しないと、どのカテゴリーに属する食品なのかわからず、消費者の選択はめちゃくちゃになってしまう。
座長: あり方検討会でも検討が必要な事項であろう。
事務局: あり方検討会は名称規制のあり方について議論する場であり、一般的名称をどうするかという点については共同会議の場で整理すべき。
 また、先程の話にあった「スナック菓子」と表面に表示することは、現実には想定されないのではないか。「ポテトチップ」と書いた場合に「スナック菓子」表示は必要ないということである。一方、「クリーミーコロッケ」のように名称規制がない商品については、一括表示欄の名称が必ずしも一定の定義による一般名称が書かれているとは限らず、企業が一般的であると判断した名称を表示しているのが現状。誤認防止は大切だが、同じ内容をいくつも表示する必要はないという意識を持っている。
座長: 意図は明確になったが、一層難しくなった。この場で結論を出すつもりはないので、各委員とも持ち帰って頂き次回以降再度議論したい。
 続いて、p6の内容量の話に入る。内容量については消費者が重視する事項であり表面に書かれていることが多い。そのような場合に、裏面にも重複して表示すべきかということが論点である。p8の釜揚げシラスの例では、内容量はプライスラベルに見やすく表示してある。このような場合、裏面の一括表示の内容量は省略可能とすべきだろうか。
委員: 内容量については、表のプライスラベル表示と裏の一括表示をダブルで表示する必要は無いようにも思うが、プライスラベルの表示の仕方によってはやはりダブル表示は必要かも知れず、即答は出来ない。
座長: たしかに、2ヶ所に表示することは、目に留まりやすいこともあり、一概に無駄とは限らない。
委員: プライスラベルは、値段が強調されており、内容量については、小さめに表示されているものも多いし、必ずしもグラム表示ではなく、消費者の見やすさを重視して、2人前、3人前のような表示や或いは何個という表示がなされることが多い。この場合、正確な内容量を示すグラム表示も必要ではないか。
委員: 原材料は多い順に書いてあり、内容量がそれに続き表示していることは、例えば栄養表示などとの見やすさからは良いと思う。名称について気づいた点として、例えば表のポテトチップスが名称なのか、一括表示内のスナック菓子が名称になるのか、「名称」といった言葉についてよく分からない。
事務局: 名称は法的に定義が決められているものとそうでないものが混在している。「スナック菓子」については、JAS法による名称規制がなく、業界が一般的であるとして整理しているのであろう。一方で、例えば、「カップめん」はJASがあるので、使用する名称も定義が決められている。
座長: 現在のJAS法による表示は優れているとの声も多い。
 さて、p9の賞味期限の記載場所が分かりづらいという点については、どこに記載されているのかを明確にしていただきたいという趣旨である。
 p10の製造者については、この後の製造所固有記号の議論と一緒に別途検討することとしたい。
 p11の原材料表示をどうすべきかについてであるが、次回以降も議論する必要があると思うが、全体的にこの点は特に調整して議論をして頂きたいと言うことがあればご意見をいただきたい。特になければ、本日のまとめとして、一括して表示することは残すが、自由度は持たせる、内容量表示の重複は無駄であるのか役に立っているのかなど、原材料の表示方法を中心にこの表示方法について引き続き議論したい。

(委員からは、特に意見なし。)

(3)製造所固有記号について
事務局から資料3について説明。
委員: 販売者表記された食品について責任を有する者は誰なのか。
事務局: 誰が責任を有する者といった判断は、その内容によることになると思うが、食品衛生法では、基本的には製造者と考えている。販売者が、レシピ等で製造を委託しているなら販売者にも責任が生ずることもあるだろう。
委員: 製造所固有記号のデータベースを食品衛生監視員のみが使える現状に何か問題はあるのか。食品に事故があった場合に責任の所在の追求、行政措置を行うために製造者を特定することに使うのであれば、食品衛生監視員のみが使えれば十分ではないか。
事務局: 一般の方々は、このデータベースを使うことができない。どこで作っているのか、明らかにすべきとの声がある。自主的にホームページ等で公表している食品事業者もあり、情報公開の観点からの検討も必要だろうと考えている。
委員: ある商品について、そのライバル関係にある企業は、委託製造者などは一番知りたい情報である。知られた結果、安い費用で生産できる製造者に集中してしまい生産構造が崩れてしまうなどの商権の関係も出てくる。海外でもどこで作っているのかという情報は、行政機関には守秘義務があるので行政機関に登録しているという認識がある。また、販売者が責任を持って設計した食品に問題があった場合のクレームが製造者に集中してしまい、混乱を来す可能性もある。売っている製品の総合責任は誰が持っているのか、委託製造者という企業経営のノウハウにまで情報公開を迫るのかという2点を整理して検討しなくてはならないだろう。
委員: 食品の検査をしたときの過去の経験があるが、その当時は、固有記号は何かすら分からなかった。制度を理解した上で、固有記号を使うと、製造者を特定でき、調査するときは便利だと思った。まず、一般の人には固有記号の制度がどの程度理解されているのか、という視点も大切だと思う。情報公開というという話があったが、確か当時はデータベースがなかったと記憶している。いつからできたのか。
事務局: 平成12年4月からである。
委員: まず、情報公開という観点も大事だが、様々な表示項目がある中で消費者にとって「どこで作っているのか」ということが優先順位は高いのか、知りたいということの中でどの位置にあるのか、という視点も含めて検討する必要があるのではないかと思う。また、万が一食品に事故があった場合の対応として、どこで作っているのか、ということは義務ではないとしても、昨年改正された食衛法第3条の規定でクリアできるのではないか。さらに、JAS法との整合性をどうするかという議論もある。現状として、消費者の目が厳しくなり、一括表示で製造者表示をしている流れもあることも認識しておく必要があるだろう。
委員: ここ数年の消費者の目は厳しく、固有記号を使った商品について、実際の製造者はどこか、との問い合わせは非常に多い。われわれとしては、こういった問い合わせには対応している。こういった流れもあり、基本的には、製造者を表示することを原則にし、販売者を併記するようにしている。情報公開の方法として取り入れているが、結果として法的に一括表示に製造者を表示すれば製造者が責任を、販売者を表示すれば販売者が責任をというように理解しているので、リスクを分担するということにもなっている。
座長: 例えば、消費者が販売者に固有記号をもって製造者を問い合わせた場合、それに答える義務はあるのか。
事務局: 現時点ではない。このため消費者が回答を得られないケースもあると聞いている。
委員: 現場の食品衛生監視員の意見としては、固有記号は現在の情報公開の流れからは廃止していくべきだと思う。
事務局: 今の固有記号廃止という意見は、つまり製造者の表示を必須とするという意味でよいか。
委員: そのとおりである。
事務局: 先ほどJAS法との整合性という指摘があったので、JAS法での考え方を紹介する。JAS法では製造者を書くのが原則である。製造者に代わって販売者を表示できるのは、このことについて販売者が製造者と合意がある場合に限定されている。資料5ページを例にすれば、食品について厚労食品が責任を持って販売しますということであれば、右側のような販売者表示となるが、もし委託工場を表示する場合では、左側の製造者表示のみでは不充分であり、販売者も併記する必要性があるし、JAS法上の責任を持つのは販売者となる。食品について厚労食品が責任を持って販売するという合意がなければ、左のように製造者表示となる。なお、食衛法と不整合があるが、JAS法では製造者を表示する場合、通常、製造している所ではなく本社の所在地を表示することになっている。
座長: 製造所固有記号の問題点をまとめると、1つめとして、食品について何か問題が生じた場合の責任の所在という問題がある。2つめとして、固有記号をもって表示する場合、どこで作っているのかという問い合わせには必ずしも企業が対応していないという問題がある。3つめとして、情報公開の観点から、企業の経営のノウハウとトレーサビリティと相反するなかで、どこで作られているか、という情報をどこまで消費者が知ることができるようにするのかという問題がある。本日は、制度の紹介をしてもらい、問題点を明らかにすることができたと思う。
委員: 製造者表示に関して、資料2の10ページの部分に係るのだが、「加工者」の定義について判断に苦慮している。海外で作ったものを国内で小分け包装する場合、その小分け包装する者を製造者と書くのか、加工者と書くのか、その辺りで行政の判断が異なることがある。今後も整理をしていかなければならない課題だと思う。
座長: 国外の製造所について固有記号で表示することは可能なのか。
事務局: 国内のみであり、国外の製造所については固有記号では表示できない。
座長: この場合は固有記号は使えず、輸入者を表示することになるのか。
事務局: そのとおりである。ここで固有記号について補足しなくてはならないことがある。現在、データベースに現在26万5千件の固有記号があり、これについては平成12年度より整備をすすめているが、それ以前については整備ができていない部分がある。従って、流通している食品全ての固有記号がデータベースに反映されているわけではない。
座長: 次回以降もどういう方向にするのが望ましいか、引き続き御議論いただきたいと思う。
事務局: 先ほどとりまとめていただいたアレルギー表示に関する検討報告書に関してだが、今後パブリックコメントを行い意見を頂き、最終的には薬事・食品衛生審議会の意見をふまえて、必要な見直しをさせていただきたいと考えている。

(事務局より、次回第19回の日程について、9月29日(水)の午後に開催することとし、時間、会場が決まり次第委員へ案内する旨、説明があった。)

以上


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