委員: | 販売者表記された食品について責任を有する者は誰なのか。 |
事務局: | 誰が責任を有する者といった判断は、その内容によることになると思うが、食品衛生法では、基本的には製造者と考えている。販売者が、レシピ等で製造を委託しているなら販売者にも責任が生ずることもあるだろう。 |
委員: | 製造所固有記号のデータベースを食品衛生監視員のみが使える現状に何か問題はあるのか。食品に事故があった場合に責任の所在の追求、行政措置を行うために製造者を特定することに使うのであれば、食品衛生監視員のみが使えれば十分ではないか。 |
事務局: | 一般の方々は、このデータベースを使うことができない。どこで作っているのか、明らかにすべきとの声がある。自主的にホームページ等で公表している食品事業者もあり、情報公開の観点からの検討も必要だろうと考えている。 |
委員: | ある商品について、そのライバル関係にある企業は、委託製造者などは一番知りたい情報である。知られた結果、安い費用で生産できる製造者に集中してしまい生産構造が崩れてしまうなどの商権の関係も出てくる。海外でもどこで作っているのかという情報は、行政機関には守秘義務があるので行政機関に登録しているという認識がある。また、販売者が責任を持って設計した食品に問題があった場合のクレームが製造者に集中してしまい、混乱を来す可能性もある。売っている製品の総合責任は誰が持っているのか、委託製造者という企業経営のノウハウにまで情報公開を迫るのかという2点を整理して検討しなくてはならないだろう。 |
委員: | 食品の検査をしたときの過去の経験があるが、その当時は、固有記号は何かすら分からなかった。制度を理解した上で、固有記号を使うと、製造者を特定でき、調査するときは便利だと思った。まず、一般の人には固有記号の制度がどの程度理解されているのか、という視点も大切だと思う。情報公開というという話があったが、確か当時はデータベースがなかったと記憶している。いつからできたのか。 |
事務局: | 平成12年4月からである。 |
委員: | まず、情報公開という観点も大事だが、様々な表示項目がある中で消費者にとって「どこで作っているのか」ということが優先順位は高いのか、知りたいということの中でどの位置にあるのか、という視点も含めて検討する必要があるのではないかと思う。また、万が一食品に事故があった場合の対応として、どこで作っているのか、ということは義務ではないとしても、昨年改正された食衛法第3条の規定でクリアできるのではないか。さらに、JAS法との整合性をどうするかという議論もある。現状として、消費者の目が厳しくなり、一括表示で製造者表示をしている流れもあることも認識しておく必要があるだろう。 |
委員: | ここ数年の消費者の目は厳しく、固有記号を使った商品について、実際の製造者はどこか、との問い合わせは非常に多い。われわれとしては、こういった問い合わせには対応している。こういった流れもあり、基本的には、製造者を表示することを原則にし、販売者を併記するようにしている。情報公開の方法として取り入れているが、結果として法的に一括表示に製造者を表示すれば製造者が責任を、販売者を表示すれば販売者が責任をというように理解しているので、リスクを分担するということにもなっている。 |
座長: | 例えば、消費者が販売者に固有記号をもって製造者を問い合わせた場合、それに答える義務はあるのか。 |
事務局: | 現時点ではない。このため消費者が回答を得られないケースもあると聞いている。 |
委員: | 現場の食品衛生監視員の意見としては、固有記号は現在の情報公開の流れからは廃止していくべきだと思う。 |
事務局: | 今の固有記号廃止という意見は、つまり製造者の表示を必須とするという意味でよいか。 |
委員: | そのとおりである。 |
事務局: | 先ほどJAS法との整合性という指摘があったので、JAS法での考え方を紹介する。JAS法では製造者を書くのが原則である。製造者に代わって販売者を表示できるのは、このことについて販売者が製造者と合意がある場合に限定されている。資料5ページを例にすれば、食品について厚労食品が責任を持って販売しますということであれば、右側のような販売者表示となるが、もし委託工場を表示する場合では、左側の製造者表示のみでは不充分であり、販売者も併記する必要性があるし、JAS法上の責任を持つのは販売者となる。食品について厚労食品が責任を持って販売するという合意がなければ、左のように製造者表示となる。なお、食衛法と不整合があるが、JAS法では製造者を表示する場合、通常、製造している所ではなく本社の所在地を表示することになっている。 |
座長: | 製造所固有記号の問題点をまとめると、1つめとして、食品について何か問題が生じた場合の責任の所在という問題がある。2つめとして、固有記号をもって表示する場合、どこで作っているのかという問い合わせには必ずしも企業が対応していないという問題がある。3つめとして、情報公開の観点から、企業の経営のノウハウとトレーサビリティと相反するなかで、どこで作られているか、という情報をどこまで消費者が知ることができるようにするのかという問題がある。本日は、制度の紹介をしてもらい、問題点を明らかにすることができたと思う。 |
委員: | 製造者表示に関して、資料2の10ページの部分に係るのだが、「加工者」の定義について判断に苦慮している。海外で作ったものを国内で小分け包装する場合、その小分け包装する者を製造者と書くのか、加工者と書くのか、その辺りで行政の判断が異なることがある。今後も整理をしていかなければならない課題だと思う。 |
座長: | 国外の製造所について固有記号で表示することは可能なのか。 |
事務局: | 国内のみであり、国外の製造所については固有記号では表示できない。 |
座長: | この場合は固有記号は使えず、輸入者を表示することになるのか。 |
事務局: | そのとおりである。ここで固有記号について補足しなくてはならないことがある。現在、データベースに現在26万5千件の固有記号があり、これについては平成12年度より整備をすすめているが、それ以前については整備ができていない部分がある。従って、流通している食品全ての固有記号がデータベースに反映されているわけではない。 |
座長: | 次回以降もどういう方向にするのが望ましいか、引き続き御議論いただきたいと思う。 |
事務局: | 先ほどとりまとめていただいたアレルギー表示に関する検討報告書に関してだが、今後パブリックコメントを行い意見を頂き、最終的には薬事・食品衛生審議会の意見をふまえて、必要な見直しをさせていただきたいと考えている。 |