第4回厚生科学審議会
医薬品販売制度改正検討部会
資料

平成16年7月21日

医薬品販売制度見直しに関する意見陳述人
へのヒアリング内容要旨(参考)


1.全国消費者団体連絡会からの推薦
 ○  日本消費者連盟事務局員  古賀 真子  氏

2.消費者の相談機関
 ○  (独)国民生活センター商品テスト部調査役  宗林 さおり  氏
 ○  全国消費生活相談員協会  小坂 潤子  氏

3.(社)日本薬剤師会からの推薦
 ○  イイジマ薬局管理薬剤師  宮下 智美  氏

4.日本チェーンドラッグストア協会からの推薦
 ○  (株)小田薬局代表取締役  小田 兵馬  氏
 ○  (株)マツモトキヨシ人事部第2課長  石原 義光  氏

5.(社)全日本薬種商協会からの推薦
 ○  (有)イシダ薬品代表取締役  岩見 圭祐  氏

6.全国配置家庭薬協会からの推薦
 ○  (有)わきもと薬品代表取締役  脇本 勲  氏

 本資料は、第2回部会(平成16年6月8日)で実施されたヒアリングの結果を事務局においてとりまとめた後、各意見陳述人に確認を求め、修正したものである。



1. 日本消費者連盟 古賀真子氏のヒアリング要旨


【1】 制度改正全般
 ○  医薬品の安全性確保の観点から、医療機関と患者とのパイプ役となるよう、薬剤師の権限を強化し医薬品の安全監視責務を明確化すると共に、医療消費者への教育体制も整える。

【2】 販売に必要な業務の内容等
(1) 必要な情報提供の内容
 ○  医療機関への受診に代わる役割を期待して医薬品を購入する場合は、症状に合わせて、同様の作用をもつ医薬品の中から最も適切なものを選べるように、薬の適用と副作用などについて薬剤師による詳細な情報提供ができることが必要。

(2) 情報提供の手法
 ○  医薬品購入の際は、事前に添付文書を提示されて薬剤師から十分納得のできる説明を受けられるべき。
 ○  服用履歴などをきちんと記録した上で、薬剤師等に相談できる体制ができると良い。
 ○  医薬品110番のようなものを設置し、医師、薬剤師に確認できる体制の整備を図るべき。
 ○  特に高齢者や服用に関して切迫している患者に対して、薬剤師の懇切丁寧な説明が不可欠。

【3】 情報通信技術の活用
 ○  医薬品の購入にあたって、添付文書の内容等について、インターネットが発達している現状においては、パソコン等を利用した説明などがされても良い。テレビ電話販売は時期尚早。

【4】 その他
 ○  不必要な医薬品の使用を減少させるための患者教育を実施すべき。医薬品に副作用があること、服用を慎重にしなければならないこと、副作用にあった場合にも救済制度があることなどについて、患者(医療消費者)教育を徹底することが必要である。
 ○  医薬品パッケージ、レシート等に「救済制度を明示する」こと。
 ○  添付文書には、わかりやすく必要十分な情報が盛り込まれるべき。
 ○  薬局で薬剤師が不在であることは法違反であるから厳重に取り締まるべきであり、薬店他などで販売員が販売する場合は、薬剤師がいない旨の「警告表示」をすることも検討されるべき。
 ○ 薬害について、医療関係者への教育を徹底すべき。


2. (独)国民生活センター商品テスト部調査役  宗林さおり氏 のヒアリング要旨
全国消費生活相談員協会  小坂 潤子氏 のヒアリング要旨


【1】 販売に必要な業務の内容等
(1) 必要な情報提供の内容
 ○  受診勧告が適切に実施されること。
 ○  一般用医薬品は症状の緩和が目的であること及び数日間の服用で症状の改善が見られない場合の対処に関してアドバイスが徹底されること。
 ○  服用している医薬品間での相互作用について注意喚起がされること(お薬手帳の利用の徹底)。
 ○  特に注意が必要な医薬品(せき止め、鼻炎薬、スイッチOTC等)について十分情報提供がされること。
 ○  同一成分を含む医薬品、医薬部外品及び健康食品の差異や使用方法について、適切なアドバイスがなされること。
 ○  「総合○○薬」が多く見られるが、個々人の症状にあわせて、効く薬のアドバイスがされること。

(2) 情報提供の手法
 ○  購入する医薬品について、レジ等での積極的な確認行為とともに薬剤師の積極的関与が行われるべき。
 ○  薬剤師に相談したいときにはきちんとした相談ができるシステムが必要。特に、単味剤、スイッチOTC、副作用の重篤なもの、禁忌事項のあるもの、使用方法が非常に困難なものなどについて、適切な対応が必要ではないか。

(3) 販売後の副作用発生時への対応
 ○  副作用及び商品の苦情に関する情報ネットワークの強化・構築がされること。
 ○  これまでの副作用情報については収集ルートを増やすこと。
 ○  副作用以外の苦情等についても情報収集を図り、事故の未然防止を図ること。

【2】 その他
 ○  医薬品と食品に共通して含有可能な有効成分については、薬食区分の見直しが必要。
 ○  苦情が多い配置販売業(販売方法等)については、対処が必要。
 ○  同一成分を含む医薬品、医薬部外品、健康食品の識別がしやすい様に陳列等を工夫すべき。
 ○  消費者から見て薬剤師と他の店員との識別が簡単にできるような目印(統一した制服等)を付けるべき。
 ○  一部単味製剤化の検討とそれに対応する適正なアドバイスも必要。


3. イイジマ薬局管理薬剤師 宮下智美氏のヒアリング要旨


【1】 制度改正全般
 ○  実際に店頭に立っていると、「友人にこれが良いと聞いたから」、「テレビコマーシャルで見たから」または「いつも使っているから」と言って商品を指名してくる消費者がいるが、よく話を聞いてみると、当人はアレルギーを持っていたり、併用薬があったりして、その商品を服用できないことや、その時の症状に適切でないことが多々ある。また、医師の診断を受けるべき症状の時もある。消費者に医薬品を安全かつ有効に使用してもらうため、医薬品販売には本来薬剤師がかかわるべき。

【2】 その他
 ○  外箱の文字が小さいため、もっと読みやすくする必要がある。特に年配者から「読みにくい」との指摘を受ける。
 ○  消費者は外箱や添付文書を捨ててしまうことが多いため、外箱・添付文書だけでなく中身のビン等にも添付文書同様の注意や禁忌事項の表示が必要。
 ○  医薬品のパッケージについて、現在一部には子どもの誤飲を防ぐ構造が使われているが、より多くの商品に取り入れてもらいたい。販売時に、小さな子どもの手の届かないところに保存するように説明しているが、より多くの商品について改善してもらいたい。
 ○  消費者から「期限はいつまでもつか」、「以前開けた薬だが大丈夫か」ということを問われることがあり、開封後の医薬品の使用期限を明確にしてほしい。
 ○  医薬品副作用被害救済制度の国民への周知不足。
 ○  薬の服用や健康の維持増進のための身近な相談者の一人として薬剤師をもっと利用してもらうために、薬剤師のできる業務や役割を消費者に伝えることが必要。


4. (株)小田薬局代表取締役  小田兵馬氏 のヒアリング要旨
(株)マツモトキヨシ人事部人事2課長  石原義光氏 のヒアリング要旨


【1】 制度改正全般
 ○  医薬品を危険度に応じて区分・整理し、分かりやすく間違いのない医薬品区分と、販売体制を再整備すべき。

【2】 販売に必要な業務の内容等
 ○  情報提供の内容等のバラツキを抑えるため、OTC販売における情報提供のガイドラインの整備の必要性。

【3】 医薬品販売に従事する者に関する責任
 ○  薬剤師が特定の消費者への販売を拒否できる権限を創設すべき。

【4】 その他
 ○  指定薬であることを外箱に表示すべき。
 ○  添付文書が理解しにくいので、フォーマットを統一すべき。効能を現在使われている表現で統一すべき。
 ○  成分ごとの効能効果を記載してはどうか。
 ○  老人量、受診の目安、長期に服用される医療用医薬品(糖尿病、高血圧等)及び健康食品などとの関係、賦形剤及びコーティング剤に関する注意事項、飲み忘れたときの次回服用法、並びに「PL法(製造物責任)、薬事法(承認審査、販売管理責任)、使用者責任(自己責任)により安全、安心が保証され、万一事故が発生した場合は、医薬品副作用被害救済の対象となる」旨を添付文書に記載したらどうか。
 ○  医薬品のビタミン剤と保健機能食品のビタミン剤と健康食品のビタミン剤では、消費者がエビデンスをもって選択するのが難しい。
 ○  かつて地域の薬局薬店が担っていた軽医療の復活と受診勧告の目安を整備する。
 ○  使用期限切れの医薬品の処理の明確化。


5. (有)イシダ薬品代表取締役 岩見圭祐氏のヒアリング要旨


【1】 制度改正全般
 ○  近年の店舗形態・開業形態の変化、パソコンや通信機器の進歩、生活の長時間化などにより、現行の薬事法では想定し得なかった事態が数々あり、医薬品の適正使用、安全性の確保及び消費者の利便性の向上のために規制緩和と規制強化の両方が必要だと考える。

【2】 販売に必要な業務の内容等
(1) 情報提供の手法
 ○  適切な情報提供のためには、「資質の向上と適切な情報の収集が大切(必要)」である。
 ○  一般用医薬品の対面販売の義務化が図られるべき。
 ○  セルフサービス的な販売(薬剤師・薬種商の説明等のないままの販売方式)は問題。

【3】 医薬品販売に従事する者の資質とその確保
 ○  薬種商の個人資格化の実現。
 ○  国民のセルフメディケーションを支援する専門家として薬種商の生涯教育の義務化。
 ○  医薬品販売従事者の疾病、医療用医薬品に関する知識不足による情報提供不足。
 ○  医薬品、健康食品、サプリメントの専門家としての薬種商に関する現行制度の改善を検討してほしい。

【4】 その他
 ○  営業時間の長時間化に伴う管理者の複数設置の必要性。
 ○  管理者常駐が必要なため、長時間勤務により薬剤師・薬種商が疲労して従業している。
 ○  添付文書に記載されている適正使用のための重要な情報(使用禁忌事項)が目立たない。
 ○  外箱に使用禁忌の人の明確な表示がない。副作用情報の表示が目立たない。医師又は薬剤師等に相談の表記はあるが薬種商と記されていない。
 ○  医薬品、健康食品、医薬部外品及びその他雑貨を混在して陳列するのは問題。


6. (有)わきもと薬品代表取締役 脇本勲氏のヒアリング要旨


【1】 医薬品配置販売のシステムと医薬品の情報提供
 ○  配置販売業者は、直接得意先の家庭を訪問し、消費者との直接対話を通じて、その家庭に必要とされる薬の傾向や、家族の健康状態を把握し、医薬品の服用方法、効能、副作用等の説明や健康相談のアドバイスをしている。
(配置販売業の販売システム自体が服薬指導と顧客家族の健康管理に適している。)

 ○  配置している医薬品について、その分類と数量を記録。どの薬を・いつ頃・どれだけ服用したかの履歴を顧客ごとに記録カードを用い管理に努めている。



【2】 医薬品販売に従事する者の資質とその確保
 ○  全国統一テキストによる都道府県別研修会(年4回)を実施している。

 ○  平成8年6月の薬事法改正により、医薬品の使用者に対する情報提供の努力義務規定が加わったことを契機に、配置販売業認定制度(資格)を業界独自に創設して、資質の向上に努めている。また、合格者には資格認定者のネームプレートを作成配布し、廻商時に着用している。

トップへ