第4回厚生科学審議会
医薬品販売制度改正検討部会
資料

2−2
平成16年7月21日

医薬品販売業者に係る刑法の秘密漏示罪について

刑法(明治四十年四月二十四日法律第四十五号)抄
(秘密漏示)
百三十四条 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
 (略)


【1】 法人への適用について
 刑法134条第1項は、両罰規定(注1)が存在しないことから、法人処罰を認めていないものとされている。

【2】 薬局・薬店の従業員等への適用について
 刑法134条第1項は、秘密漏示の主体を限定しており、それ以外の者については本条の適用はない。そして、「医薬品販売業者」とは、許可を受けて医薬品の販売業を営む者とされているため、刑法第65条第1項(注2)の規定に該当する場合を除き、薬局・薬店の従業員は本罪の主体たりえないものとされている。
 なお、薬局・薬店の従業員が職務上知り得た秘密を漏らしても、本条を根拠に、その雇用主や法人の代表者に罰則を科すことはできない。

(注1): 両罰規定
 ○  両罰規定とは、「犯罪が行われた場合に、行為者本人のほかに、その行為者と一定の関係にある他人(法人を含む。)に対して連座的に刑を科する旨を定めた規定をいう」。(『法令用語辞典【第八次改訂版】』(学陽書房))
 ○  両罰規定の例:薬事法第89条
 第八十九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第八十四条、第八十五条、第八十六条第一項、第八十七条又は第八十八条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
(注2): 刑法第65条第1項(身分犯の共犯)
 ○  犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは、身分のない者であっても、共犯とする。

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