(1) | 研究事業の目的 |
(2) | 課題採択・資金配分の全般的状況 |
(3) | 研究成果及びその他の効果 |
(4) | 行政施策との関連性・事業の目的に対する達成度 |
(5) | 課題と今後の方向性 |
(6) | 研究事業の総合評価 |
調査項目:
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<参考1> 「競争的研究資金制度の評価」(平成15年7月23日、総合科学技術会議) C.厚生労働科学研究費補助金−厚生労働省― 3.成果等の評価について 今回の厚生労働省における制度評価は、統一様式で事業担当課が外部評価委員の意見を聞き一次資料を作成し、これを厚生科学審議会科学技術部会で審議して評価結論を得たものであり、資金配分の適切性や研究成果等について概ね適切に評価されている。 なお、本制度は広範な研究開発を対象としていることから、課題の特性に応じて多様な評価指標が必要と考えられる。特に、政策支援的要素の強い研究課題では、学術的な側面に加え、行政への貢献を明確にし、研究者が納得する評価指標を導入することが重要である。また、政策支援的要素の強い研究課題の成果は、目標が明確に設定されれば比較的容易に評価できると思われるが、制度としての成果が明らかにあるまでには長期間を要するので、このための調査分析機能を整備してゆくことが重要と考えられる。 (以下略) | ||||
<参考2> 「競争的研究資金制度改革について」(意見) (平成15年4月21日、総合科学技術会議)
II.改革のための具体的方策4.競争的研究資金の効率的・弾力的運用のための体制整備 (2)公正で透明性の高い評価システムの確立
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<参考3> 「厚生労働省の科学研究開発評価に関する指針」 (平成14年8月27日、厚生労働省大臣官房厚生科学課長決定)
第2編 研究開発施策の評価の実施方法1.評価体制 各研究事業等の所管課は、当該研究事業等の評価を行う 2.評価の観点 政策評価の観点も踏まえ、研究事業等の目標、制度、成果等について、必要性、効率性及び有効性の観点等から評価を行う。 研究事業等の特性に応じて柔軟に評価を行うことが望ましいが、「必要性」については、行政的意義(厚生労働省として実施する意義、緊急性等)、専門的・学術的意義(重要性、発展性等)、目的の妥当性等の観点から、「効率性」については、計画・実施体制の妥当性等の観点から、また「有効性」については、目標の達成度、新しい知の創出への貢献、社会・経済への貢献、人材の養成等の観点から評価を行うことが重要である。 3.評価結果 評価結果は、当該研究開発施策の見直しに反映させるとともに、各所管課において、研究事業等の見直し等への活用を図る。 |
研究分野 | 研究事業 |
I.行政政策 | 1.行政政策 |
2.厚生労働科学特別 | |
II.厚生科学基礎 | 3.先端的基盤開発 |
4.臨床応用基盤 | |
III.疾病・障害対策 | 5.長寿科学総合 |
6.子ども家庭総合 | |
7.第3次対がん総合戦略 | |
8.循環器疾患等総合 | |
9.障害関連 | |
10.エイズ・肝炎・新興再興感染症 | |
11.免疫アレルギー疾患予防・治療 | |
12.こころの健康科学 | |
13.難治性疾患克服 | |
IV.健康安全確保総合 | 14.創薬等ヒューマンサイエンス総合 |
15.医療技術評価総合 | |
16.労働安全衛生総合 | |
17.食品医薬品等リスク分析 | |
18.健康科学総合 |
研究事業 | 研究領域 |
1.行政政策 | 政策科学推進 |
統計情報高度利用総合 | |
社会保障国際協力推進 | |
国際危機管理ネートワーク強化(平成16年度から) | |
2.厚生労働科学特別研究 |
(1−1)政策科学推進研究領域 政策科学推進研究事業は、少子高齢化や社会経済情勢の変化の中で、社会保障制度に対する国民の関心がますます高まっていることを踏まえ、人文・社会科学系を中心に、年金・医療・福祉及び人口問題に関する政策や、社会保障全般に関する研究等に積極的に取り込むことにより、厚生労働行政施策の企画立案及び効率的な推進に資することを目的としている。 公募課題決定、研究採択審査、研究実施の各段階において意見を聴取する等、省内関係部局との極的な連携に基づき、行政施策との関連性の高い課題を優先的に実施しており、「社会保障及び人口問題に係る政策、保健医療福祉における総合的な情報化や地域政策の推進その他厚生労働行政の企画及び効率的な推進に資する」ことを目的とする研究として、その役割を十分に果たしている。 幅広い対象の研究を行うという性格上、研究成果が直ちに行政施策に反映されない研究も含まれるが、中長期的観点に立った施策の検討を行う上で必要な基礎資料を蓄積することも本研究事業の重要な役割であり、今後とも充実が必要である。 (1−2)統計情報高度利用総合研究領域 統計情報高度利用総合研究事業は、保健、医療、福祉、生活衛生、労働安全衛生等に係る統計調査の在り方に関する研究及びこれまでの厚生労働統計調査で得られた情報の高度利用に関する研究を実施し、厚生労働行政の推進に資することを目的としている。 本研究事業においては、事業目的に鑑み、厚生労働省大臣官房統計情報部所管の統計調査に実際に応用可能であるかという点に留意して、研究の評価を実施している。 本研究事業は、統計調査自体の充実・改善のみならず、統計調査の高度利用の推進により省内関係部局にも研究成果が還元されうるという特徴もあり、有用性の高い研究事業である。例えば、患者調査は各種の衛生行政施策の検討等に用いられており、本調査の精度を向上することで、ニーズに適合したデータ提供が可能になりうる。 本研究事業で得られた研究成果は、当部が所管する各種の統計調査の充実・改善に有用であるとともに、既存統計調査の高度利用の推進にも貢献する内容となっており、事業目的を達成しているといえる。 本研究事業では、各府省統計主管部局長等会議で検討された「統計行政の新たな展開方向(平成15年6月27日)」に沿い、ジェンダー統計の整備や世帯機能の把握といった社会等の変化に対応した統計の整備、政策評価への統計活用等の推進、オンライン調査の拡大、標本抽出の支援、データリンケージなどの多面的利用方策の検討等に活用できるような研究課題を設定し、実際に有用な成果を得ているところである。今後とも、これらに沿った方向で研究課題の設定を行うとともに、評価委員会の評価等を踏まえつつ一層の努力を重ねることにより、更なる成果が期待される。 (1−3)社会保障国際協力推進研究領域 医療保険・年金、公衆衛生等を含めた広義の社会保障分野における国際協力のあり方や国際協力を推進するための方策等の検討に資する検討を得ることの本研究事業の目的としている。 当該研究事業により、基本的な知見の集積が達成できたと評価できる。今後も引き続き、当研究事業を継続し、より体系的・戦略的な国際協力の実施に関し、効果を上げる必要がある。 |
図1.行政政策研究事業の具体的な成果の例
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図2.厚生労働科学特別研究事業の具体的な成果の例
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研究分野 | 研究事業 |
3.先端的基盤開発 | ヒトゲノム・再生医療等 |
疾患関連たんぱく質解析 | |
萌芽的先端医療技術推進 | |
身体機能解析・補助・代替機器開発 | |
4.臨床応用基盤 | 基礎研究成果の臨床応用推進 |
治験推進 |
(3−1)ヒトゲノム・再生医療等研究領域 今世紀初頭に達成されたヒト遺伝子の全解読等を受けて、ゲノム創薬、テーラーメード医療に代表される次世代医療の中心を担うヒトゲノム・遺伝子治療分野における研究競争が欧米諸国を中心に国際的に激化しているところである。このような状況において、本研究事業により、ヒトゲノム研究を強力に押し進め、幅広い分野での新産業の創出を図るとともに、バイオテクノロジーを活用したゲノム創薬につながる研究の推進及び強化が必要である。このような国際的な状況を踏まえ、高齢者の主要な疾患の遺伝子の解明に基づく個人の特徴に応じた革新的な医療の実現などに資するため、(1)高齢者に主要な疾患に関連する遺伝子の解析や遺伝子治療の基盤となる研究、(2)遺伝子治療に用いるベクターの開発及び遺伝子治療に用いるベクターの安全性・有効性評価方法に関する研究、(3)ヒトゲノム分野、遺伝子治療分野及び再生医療分野研究に関連する倫理に関する研究、を推進する必要がある。 (3−2)疾患関連たんぱく質解析研究領域 欧米諸国では疾患からのアプローチに既に国家プロジェクトとしてその取り組みに着手しているが、我が国においては欧米のような大規模かつ集中的な疾患関連たんぱく質に関する研究はない。また、多額の費用を要するため企業単独で取り組むことも困難である。このため、我が国においても産学官の連携のもと、患者と健康な者との間で種類等が異なるたんぱく質を同定し、これに関するデータベースの整備を図ることで、画期的な医薬品の開発を促進する必要がある。 そのため、産学官が連携して、国立医薬品食品衛生研究所、国立高度専門医療センター等医療機関及び製薬企業等からなる共同研究体制を構築し、患者サンプルの提供からサンプル処理・解析・データ処理等までの一貫した体制を構築・運営している。それにより、大規模かつ集中的に疾患関連たんぱく質を解析し、疾患関連たんぱく質のデータベース構築することが期待できる。 (3−3)萌芽的先端医療技術推進研究領域 (1)ナノメディシン 超微細技術(ナノテクノロジー)の医学への応用による非侵襲・低侵襲を目指した医療機器等の研究開発を推進することにより、患者にとってより安全・安心な医療技術の提供の実現を図る必要がある。 そのため、超微細技術(ナノテクノロジー)を活用した医療機器、医薬品の開発技術を民間企業との連携を図り、発展させる研究であり、(1)超微細画像技術の医療への応用(2)微小医療機器操作技術の開発(3)薬物伝達システムへの応用(4)がんの超早期診断・治療システムの開発などを推進している。 また、本事業は、国として着実な推進を図る指定(プロジェクト)型、及び広く知見を集積する公募型で実施されている。 (2)トキシコゲノミクス ゲノム情報・技術等を活用した医薬品開発のスクリーニング法、副作用の解明等の技術に関する研究開発を推進することにより、医薬品開発の促進及び安全性確保の両面に寄与する基盤整備を図る必要がある。 そのため、ゲノム科学を活用し、医薬品の候補化合物等について、迅速・効率的に安全性(毒性・副作用)を予測する基盤技術(トキシコゲノミクス)に関する研究を実施している。 トキシコゲノミクスのデータベース確立の技術開発については、国として着実な推進を図る観点から、指定(プロジェクト)型として製薬企業との共同研究で進められている。また、副作用回避の基本的手法の開発等萌芽的要素の強い研究開発については、様々な研究者が有する知見を広く集積することが望まれるため公募型で事業を推進している。 (3−4)身体機能解析・補助・代替機器開発研究領域 今後ますます高度化する医療への要求に応え、国民の保健医療水準の向上に貢献していくためには、最先端分野の医療・福祉機器の研究開発を進め、医療・福祉の現場へ迅速に還元することが重要である。このことを踏まえ、厚生労働省としても平成15年3月に医療機器産業ビジョンを策定した。本研究事業は、そのアクションプランの一環として平成15年度から開始された新規研究事業である。本事業は、近年のナノテクノロジーを始めとした技術の進歩を基礎として、生体機能を立体的・総合的に捉え、個別の要素技術を効率的にシステム化する研究、いわゆるフィジオームを利用し、ニーズから見たシーズの選択・組み合わせを行い、新しい発想による機器開発を推進することを目的としている。本事業は、現在国として着実な推進を図る指定型で進められているが、今後は、指定型研究に加え、公募枠を新設し、産官学の連携の下、画期的な医療・福祉機器の速やかな実用化を目指すことが望ましいと考えられる。 |
図3.先端的基盤開発研究事業の具体的な成果の例
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(4−1)基礎研究成果の臨床応用推進研究領域 民間企業は研究開発の段階のうち、治験等の実用化直前の研究に多く投資する傾向があり、基礎研究成果の実用化の可能性を確かめる研究については投資が少ない。このため、基礎的な段階における研究成果が十分に活用されていないという問題が指摘されている。 このような状況において、基礎的な段階に留まっている研究成果について実用化を促進することにより、国民に有用な医薬品・医療技術等を提供する機会が増加することが見込まれる。 そのため、本事業は、医薬品又は医療技術等の基本特許を活用して、治療法として研究期間中に探索的な臨床研究に着手しうる医薬品又は医療技術に関する研究を推進し、基礎研究成果を実際に臨床に応用することを目的としている。 本事業は、平成14年度より開始した事業であるが、すでに本研究事業により、重症慢性下肢虚血患者に対する自家血管内皮前駆細胞移植、癌ペプチドワクチンの臨床研究、重症突発性肺胞蛋白症に対するGM-CSF吸入療法の全国7施設における臨床研究などがすでに実施されており、基礎的な段階に留まっている研究成果について実用化を促進することにより、臨床現場への有用な医薬品・医療技術等を提供する機会が増加することが期待できる。 平成16年度の申請状況では、70件以上の応募があり10倍弱の競争率であった。今後とも、研究者の需要に応えるため適切な額の研究費を確保すると共に、質の高い研究を採択できるよう評価体制を強化充実する必要がある。 (4−2)治験推進研究領域 我が国での治験の実施数が減少しており、そのため、国内における医薬品等の開発が遅れ、優れた医薬品に対する患者のアクセスを遅らせる結果となっている。その対策として平成15年7月に「全国治験活性化推進3カ年計画」を策定したが、本事業はその計画の大きな柱のひとつであり、行政施策の実施に欠かせない事業である。 本事業は、治験環境の整備を行うため、複数の医療機関による大規模な治験ネットワークを形成し、医療上必須かつ不採算の医薬品・医療機器に対して行う医師主導の治験を行うこととしている。 平成15年度から開始された事業であるが、すでに日本医師会に治験促進センターを設立し、500を越える登録医療機関から成るネットワークを構築した。さらに、がん、循環器、小児疾患分野においてそれぞれ医師主導型治験をモデル事業として実施すべく候補薬の決定、治験実施機関の選定を終えている。今後は、平成15年度に立ち上げた治験を引き続き実施するとともに、平成16年度においても新たに治験を立ち上げ治験環境の整備を進める必要がある。 |
図4.臨床応用基盤研究事業の具体的な成果の例
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研究分野 | 研究事業 | ||
5.長寿科学総合 | 長寿科学総合 | ||
痴呆・骨折臨床 | |||
6.子ども家庭総合 | 子ども家庭総合 | ||
小児疾患臨床 | |||
7.第3次対がん総合戦略 | 第3次対がん総合戦略 | ||
がん臨床 | |||
8.循環器疾患等総合 | |||
9.障害関連 | 障害保健福祉総合 | ||
感覚器障害 | |||
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新興再興感染症 | ||
エイズ対策 | |||
肝炎等克服緊急対策 | |||
11.免疫アレルギー疾患予防・治療 | |||
12.こころの健康科学 | |||
13.難治性疾患克服 |
(5−1)長寿科学総合研究領域 本研究事業は、老化や主要老年病の診断治療といった老年医学に加え疫学、介護、リハビリ、社会科学等、長寿に関連する分野の総合的な研究を行うことを目的としており、ゴールドプラン21や介護保険制度をはじめとした高齢者施策の推進を重視したものとなっている。 医学的分野では疾患関連蛋白、老化や老年病発症の機序の解明が進み、また、リハビリテーションに関する諸研究の成果が国の新たな方針に反映された。政策研究分野においては、介護予防事業やケアマネジメントの評価、要介護認定や介護サービスの検証、高齢者の権利擁護等に関する科学的根拠の蓄積に大きな成果が見られた。医学的分野のみならず、様々な行政施策と連動しつつ研究成果がこれらの施策に反映され、本研究事業の目的が十分達成されつつある。 ただ、医学的分野と社会科学的分野の均衡ある評価及び資金配分が難しくなってきているという指摘もある。今後は、先端科学の成果を背景とした老年医学の進展を見据えつつ、介護保険制度等の見直しの動きと十分連動し、均衡ある高齢者の保健医療技術の向上と介護や高齢者政策の進展に資するよう、痴呆・骨折臨床研究事業も併せ本研究事業のあり方を検討する必要がある。 (5−2)痴呆・骨折臨床研究 豊かで活力ある長寿社会を創造することを目指して、要介護状態の大きな原因である痴呆及び骨折を予防と治療の向上を図る必要がある。このため、「メディカル・フロンティア戦略」の一環として、痴呆及び骨折について、より効果的な保健、医療及び介護技術を確立するための臨床研究等を推進するものであり、その実施については長寿科学総合研究事業とも十分連携を図ることとしている。 具体的には、痴呆に対する新たな治療薬や画像診断の技術開発、痴呆予防のための介入評価に関する研究、骨粗鬆症の病態解明に加え、骨折や脳卒中に伴うリハビリテーションの連携システムに関する研究、転倒予防や骨折リスク軽減のための装具の普及に関する研究が進んでおり、これらについて大きな成果がみられた。 メディカル・フロンティア戦略のみならず、ゴールドプラン21、老人保健事業や介護保険制度等の行政施策と連動しつつ研究成果がこれらの施策に反映され、本研究事業の目的が十分達成されつつある。今後は、メディカル・フロンティア戦略の新たな方向性を見据えつつ、老年医学の進展及び介護保険制度等の見直しの動きと十分連動し、均衡ある高齢者の保健医療技術の向上と介護や高齢者政策の進展に資するよう、長寿科学総合研究事業と併せ本研究事業のあり方を検討する必要がある。成果を図5−1および2に示す。 |
図5−1.長寿科学総合研究事業の具体的な成果の例
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図5−2.長寿科学総合研究事業の具体的な成果の例
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(6−1)子ども家庭総合研究領域 社会経済の変化や急速な少子化に伴い、妊娠、出産から子どもの健全な育ちにかかわるニーズは大きく変化してきており、子どもと家庭の多様なニーズに対し、適切な対応が求められている。子ども家庭総合研究事業は、子どもの発達支援や生涯を通じた女性の健康の保持増進、子どもや家庭を取り巻く環境やこれらが子どもに及ぼす影響などについて研究を行い、健全な次世代育成支援を推進し、児童家庭福祉の向上に資することを目的とする研究事業である。 本研究事業については、子どもの健康確保と母子医療体制等の充実、多様な子育て支援サービスの推進、児童虐待への対応など要保護児童対策等の充実を図るため、新たな課題やニーズに対し、実証的な研究を行っている。本研究事業を通じて、母子保健医療及び児童家庭福祉のための行政施策の推進に資する基礎情報、施策への応用が可能な研究成果が提供されているところであり、我が国の取り組むべき母子保健医療・児童家庭福祉の今日的課題に対する大きな貢献が期待される。 (6−2)小児疾患臨床研究領域 現在、小児科領域の現場では、医薬品の7割〜8割が小児に対する適用が確立されていない状況で使用されているという状況がある。小児疾患のように企業が開発し難い疾患分野にあっては、行政的にその研究を支援していく必要があり、根拠に基づく医療(Evidence Based Medicine: EBM)の推進を図るため、倫理性及び科学性が十分に担保される質の高い臨床試験の実施を目指す必要がある。 そのため、本事業において、小児疾患に関する医薬品の使用実績の収集、評価を行うことにより治療方法を確立していくとともに、治験を実施していく上で最も基本となる臨床研究自体の質の向上を図り、日本人の特性や小児における安全性に留意した質の高い大規模な臨床研究を実施することを目指している。そして、小児疾患に関する医薬品の使用実績の収集、評価を着実に実施することにより治療方法を確立し、小児疾患分野において質の高い医療、医療安全の確保に貢献することが期待できる。 |
図6.子ども家庭総合研究事業の具体的な成果の例
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図7.第3次対がん総合戦略研究事業の具体的な成果の例
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図8.循環器疾患等総合研究事業の具体的な成果の例
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(9−1)障害保健福祉総合研究 平成15年度よりスタートした「新障害者基本計画」及び「新障害者プラン」に基づいて、各種障害者施策を適切に推進することが課題となっている。 本研究事業においては、身体障害、知的障害、精神障害及び障害全般に関し、治療、リハビリテーション等の適切なサービス、地域における居宅・施設サービス等をきめ細かく提供できる体制づくり等、障害者の総合的な保健福祉施策に関する研究開発を実施しており、これらは公募課題の決定時点から必要な行政施策を踏まえ戦略的に取り組んでおり、施策決定の上での基礎資料の収集・分析、研究成果に基づく施策への提言等大きな成果をあげている。 障害保健福祉施策は、今後、自立支援・介護のための人的サービス、就労支援、住まい対策、発達支援などについて総合的に取り組む必要があり、行政ニーズの一層の明確化を図るとともに、本研究事業の継続的な充実が必要である。 (9−2)感覚器障害研究 視覚、聴覚・平衡覚等の感覚器機能の障害は、その障害を有する者の生活の質(QOL)を著しく損なうが、障害の原因や種類によっては、その軽減や重症化の防止、機能の補助・代替等が可能である。そのため、本研究事業では、これらの障害の原因となる疾患の病態・発症のメカニズムの解明、発症予防、早期診断及び治療、障害を有する者に対する重症化防止、リハビリテーション及び機器等による支援等、感覚器障害対策の推進に資する研究開発を一貫して推進している。 複雑な感覚器障害の全容解明には、まだ多くの課題があるものの、病態解明、検査法、治療法の開発、支援機器の開発に着実な成果をあげている。具体的には正常眼圧緑内障の疫学的研究、人工視覚システムの開発、難聴胎児の診断法、人工内耳の客観的評価法の開発などがある。 高齢化が進む中で、QOLを著しく損なう感覚器障害の予防、治療、リハビリテーションは重要な課題である。特に、失明の原因として増加しているといわれる糖尿病性網膜症や緑内障、突発性難聴などに対する疫学的調査を含めた対策の樹立は急務であり、専門家の意見を踏まえつつ、公募課題の重点化を図っていく必要がある。 |
図9.障害関連研究事業の具体的な成果の例
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(10−1)エイズ対策研究領域 2003年の国内報告数は、感染者640件、患者約336件となっており、残念ながら、我が国におけるHIV感染者・AIDS患者報告数は依然として増加傾向にあり、危機的な状況となっている。感染者の特徴としては、性的接触による感染がほとんどで、男性同性間の感染が、性的接触のうち約7割を占めているため効果的な予防方法の開発が求められている。しかしながら、年齢階級別にみると、若年層(15-24才)の日本人感染者は、男性対女性が約7:10と、女性感染者が男性感染者を上回っていることから、青少年対策として性教育も含めたエイズ予防介入法の開発も今後ますます必要となる。また、東京を中心とする関東地域のみならず、地方の大都市でも感染拡大の傾向が認められているため、更に効果的な検査体制の構築について、保健所等におけるHIV即日検査のガイドライン等を利用しつつ、研究し続けていく必要がある。 また、全てのエイズ患者・HIV感染者が、医療スタッフとの信頼関係のもとに安心して医療が受けられる体制の構築に関しても、抗HIV治療ガイドラインやHIV・HCV重複感染時のガイドライン、HIV母子感染予防対策マニュアル等を利用しつつ、拠点病院の現状把握とともに今後のあり方について考察・研究していくべきである。 これからも、「エイズ予防指針」に基づき、予防及び治療を「車の両輪」とした総合的な研究を推進していくことが重要である。 (10−2)肝炎等克服緊急対策研究領域 肝炎等克服緊急対策研究事業は、肝炎ウイルスの病態及び感染機構の解明並びに肝炎、肝硬変、肝がん等の予防及び治療法の開発等を目的として、平成14年度に新設された事業である。15年度までの2年間の主な成果としては、基礎研究分野においては、チンパンジーを用いた感染実験による感染成立に必要な最小のHCV量、感染初期のHCV増殖速度の解明、「日本固有株」と呼び得るHEV株の存在の証明、遺伝子発現パターンに基づく肝障害度のスコア化等が挙げられる。また、臨床研究の分野においては、C型慢性肝炎の標準的治療ガイドラインの策定、生体肝移植の再発率等の成績向上、透析医療、歯科診療における感染予防法、行政研究の分野においては、肝炎ウイルスキャリアの健康管理・治療ネットワークの構築、慢性肝疾患患者の健康管理及び適切な治療のための健康管理手帳の作成等、社会的にもインパクトのある成果を挙げている。 C型肝炎のキャリアは全国に100万から200万人いると推定されており、本事業による、発がん予防、肝硬変・肝がんの治療向上等への貢献を大いに期待したい。 (10−3)新興・再興感染症研究領域 近年、新たにその存在が確認された新興感染症や既に制圧したかに見えながら再び猛威をふるいつつある再興感染症が世界的に注目されているが、これらの感染症は、その病原体、感染経路、感染力、発症機序、診断法、治療法等について不明な点が多い。このため、平成9年度より、これらの感染症の病態及び感染機序等の解明並びに予防、診断、治療法の開発等を目的とした新興再興感染症研究事業を実施している。これまでにも、バイオテロに使用される可能性のある病原体の迅速診断法の開発や診断治療マニュアルの策定、動物由来感染症対策に有用なサーベイランスシステムの開発や輸入動物のトレーサビリティシステムの開発等、優れた成果が上がっている。今後もSARSやデング熱に対するワクチンの開発や新型インフルエンザ対策としての診断法の開発及び健康危機管理体制の確立等を目的とした研究が実施される予定であり、その成果を大いに期待したい。 |
図10.エイズ・肝炎・新興再新興感染症研究事業の具体的成果例
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● | 基礎研究、基盤開発研究等の成果を十分に活用し、免疫メカニズムに関する知見を十分に踏まえた上で研究を推進する。 |
● | 関係機関との連携の下で研究を進める必要がある(平成16年度からは、理化学研究所免疫アレルギー科学総合研究所と国立病院機構相模原病院との共同研究が開始)。 |
● | 環境要因、ゲノム情報を取り入れた予防法の確立 |
● | 個人の病態を考慮したテーラーメード医療の確立等、免疫システムを考慮した治療法の確立 |
● | 疫学情報、予防法、治療法等の正しい情報を還元する |
図11.免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業の具体的成果例
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図12.こころの健康科学研究事業の具体的な成果の例
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図13.難治性疾患克服研究事業の具体的な成果の例
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