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資料 No.1

企業関係者等からのヒヤリング概要(第2回、第3回検討会)


A社(製造業)産業医

I.メンタルヘルス対策について
 ○対策の実施状況
スタッフとして産業医(精神科医を含む)、保健師、カウンセラー、看護師など
相談件数は昨年度から若干増加傾向
職場の健康づくりに関するホームページ開設
内容:メンタルヘルスの基礎 、ストレスへの気づきと対処、職場で対応できること、事例(ロールプレイゲーム)、ストレスチェック
メンタルヘルス教育:上位職位任用時教育、衛生週間中の講演等
 ○取り組みのポイント
本人からの自発的な相談・健診等の面接からの発見の割合を高めること
定期健診問診を利用した経年的な職場ストレス・チェック
正しい情報の提供(ホームページ)
 ○今後の課題
今後、人員の減少等により、メンタルヘルス不全者の存在が職場の負担を増し、サポートが得にくくなる可能性がある。
自殺防止や早期発見の観点において、家族と産業保健スタッフとの連携も重要であると思われる。

II.過重労働対策について
 ○対策の実施状況
45h/月以上の従業員情報が産業医に提供されている。
パソコンのon/offによる就労時間の把握(健康管理時間)
 管理職・裁量労働制対象者にも導入
長時間残業者健診とリンクして実施(担当事業所に対して)
対象者:(1)月100h以上、(2)2ヶ月平均80h以上、(3)3ヶ月連続45h以上
内容:毎月対象者全員に紙面問診、全員に対して紙面で回答、
(1)・(2)に対して産業医が面接、面接できない者(長期出張者等)には電話・メールでの健康状態確認
 ○総合対策の実施事項以外での取り組み事項
業務の関係から、国内外への長期出張者が多数存在する。産業医と保健師が定期的に現地に行き、巡視・健康相談を実施している。
 ○過重労働対策の効果と今後の課題
残業時間の削減対策について、従来以上に企業が真剣に取り組むようになった。
03年10月から04年3月末までに、就業上の配慮が必要であったもの1名、医療機関紹介は1名のみ
面接は重要であるが、毎月同じ者に面接することの効果は疑問。
 △面接が必要な残業時間を見直してはどうか。(睡眠時間の確保の観点から)
 △面接以外にも紙面問診やメールなどの手段を認めてはどうか。


B社(製造業)産業医

I メンタルヘルス対策について
 ○対策の実施状況
 健康診断(一般、長時間)での心の健康状況の把握と対応
 社内WEBによる健康情報提供
 カウンセラー・精神科医の配置
 管理職者・一般社員へのメンタルヘルス教育
 復職プログラムの実施
 精神科医による看護師の教育
 ストレスマネジメントプログラムの実施
 EAPの導入
 ○取り組みのポイント
早期発見や発見後の事後措置の段階と職場復帰の段階で産業医の役割が大きい
管理職者や社員への教育や健康診断での把握と対応が有効
 ○今後の課題
うつ病に特化した教育プログラムと発見プログラムをつくることが必要。
マネジメントが複雑になってきており、部下の管理が遠隔地の場合や裁量労働制などの社員の場合にその体調変化に気づきにくい。
事案を発生させたときは、事業者の社会的責任が問われるようにするべき。
CSRの一環として明確に健康管理施策を位置づける必要がある。
行政は具体的な手法を示す形の施策でなく、発生時の責任追及を主としていくべき。

II 過重労働対策について
 ○対策の実施状況
月時間外労働45時間以上の労働者に対する産業医面接を実施
毎月末に人事管理情報から対象者および対象部門を抽出し、必要に応じ、当該部門への注意喚起
管理職者・社員への教育
 ○対策の効果
産業医面接を行い「疲弊社員」の把握に役立っている。
管理職者への教育が有効。
 ○今後の課題
過重労働の制限を行うためには、場合により動脈硬化等基礎疾患にかかわる個人情報の提供を行う必要がでてくるので健康情報の取扱いに慎重さが必要になる。
過労死については、事業者の社会的責任が問われるようにする必要がある。
CSRの一環として明確に健康管理施策を位置づける必要がある。
産業医に社内マネジメント機能として強い役割を持たせるべき。しかしながら、概して責任と権限を与えると、判断基準を過剰に安全なレベルとしてしまいがちになる。


C社(製造業) 人事労務担当者

I メンタルヘルス対策について
 ○対策の実施状況
昭和39年より,社内にメンタルヘルスに関する専門部署を設置。外部機関に頼ることなく,健康管理スタッフと人事勤労部門の連携した取り組みにより,職場主体の対策を推進。
カウンセラー(臨床心理士)の配置による,カウンセリングの実施
入社時,昇格時,幹部社員登用時などにメンタルヘルス教育を実施
社外講師やカウンセラーによる看護職に対するスタッフ教育の実施
来談者のプライバシー保護の徹底
来談者数は増加の傾向
定期的な安全衛生委員会にて報告し,対策の重要性について浸透を図っている。
 ○今後の取り組み
セルフケアの補助 Webを利用したe-Learning,ストレス自己診断システムの導入
ラインによるケア 職場マネジメント(日頃のコミュニケーション)の更なる強化
産業保健スタッフ等によるケア メンタルヘルス予防の更なる強化(元気な人を不調にさせない継続した啓発教育)
事業所外機関によるケア 外部医療機関との連携強化
その他 復職・再出勤前後におけるフォローの強化

II 過重労働対策について
 ○対策の実施状況
入社時,昇格時,幹部社員登用時などに健康管理教育を実施
昭和53年より,長時間残業の者(時間外労働40時間超過者)について問診票の提出を実施し,健康状況を把握(必要に応じて産業医等による面談も実施)
過重労働による健康障害防止に関する通達に則り,上記に加え長時間残業の者(時間外100時間超過者並びに2ないし6ヵ月平均75時間超過者)に対し,産業医等による面談を実施
定期的な安全衛生委員会にて報告し,対策の重要性について浸透を図っている。
 ○今後の取り組み
産業看護職の活用による,よりきめ細やかな健康管理の推進
職場マネジメントの更なる強化
特に,定期健康診断時等において,健康管理上リスクが高いと診断された者に対するフォローの強化

III 今後強化すべき点
   ・今後,より充実した職場支援を行うために人事勤労部門と産業保健部門が互いに刺激しあい向上し,プロフェッショナル集団として連携することが重要。
   ・特定の職種の職場では休日出勤を含め,長時間残業が多く,他事業所と比較してメンタルヘルスに関連した休職者も多い。長時間残業がメンタルヘルスに影響を及ぼしているとも考えられ,時間外管理と健康管理のさらなる対策が必要である。


D地域産業保健センター 登録医

I 小規模事業場におけるメンタルヘルス対策
   ○従業員50人未満の小規模事業場についてアンケート調査結果では、小規模事業場においても大規模事業場と同様である。
   ○家族的経営に見られる人間関係でのストレスはある。
   ○メンタルヘルス対策について事業者が認識するかが対策実施上の鍵。
   ○従業員は対策を望んでいる。
   ○D地域産業保健センターでは精神科医のネットワークにより、50人未満の事業場を対象として無料で相談を受けられるようになっており、利用されている。

II 小規模事業場における過重労働対策
   ○労働者と会社が運命共同体的な状況であり、また、長時間の残業は期間が限定的であることが多く、対策に対する意識は低い。
   ○今のところ当該地域の小規模事業場で過労死などが発生した例はないが、D地域産業保健センターの医師の面接指導も監督署からの指導により、利用されている。

III 今後必要な対応
   ○地域産業保健センターの活動の充実
   ○保健師等による保健指導等の活用


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