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二重就職者の事業場間の移動中の行動について

 二重就職者の事業場間の移動中の行動の実態

 「二重就職者に係る通勤災害保護制度創設のための調査研究報告書」(平成13年1月 三和総合研究所)

 勤務地間の移動中に食事等、移動以外のことを行うことがある者  41.0%

 勤務地間の移動中に移動以外のことを行うことがある者を対象に、具体的に何をすることが最も多いかを聞いた結果
・ 食事 60.0%
・ 日用品の購入 14.2%
・ ショッピング 13.3%
・ 喫茶飲酒 5.0%
・ 映画・パチンコ 3.3%
・ 診療治療 0.8%
・ 趣味活動 0.0%
・ その他 2.5%

 論点
(1) 事業場間を直行する場合
 第一事業場の終業時刻と第二事業場の始業時刻がかけ離れている場合、どちらかの事業場に長時間滞在(=就業との関連性の問題)

(2) 事業場間を直行しない場合
 逸脱・中断の特例的取扱いの範囲の問題

 二重就職者の事業場間移動について特別に考慮すべき点
(1) 就業との関連性について
【現行】
   運動部の練習に参加する等の目的で、例えば、午後の遅番の出勤者であるにもかかわらず朝から住居を出る等、所定の就業開始時刻とかけ離れた時刻に会社に行く場合には、当該行為は、むしろ当該業務以外の目的のために行われるものと考えられるので、就業との関連性はないと認められる。
 また、業務の終了後、事業施設内で、囲碁、麻雀、サークル活動、労働組合の会合に出席した後に帰宅するような場合には、社会通念上、就業と帰宅との直接的関連性を失わせると認められるほど長時間となるような場合には、就業との関連性が失われる。
【考慮すべき事項】
   事業場間の移動の場合、第一事業場の終業時刻と第二事業場の始業時刻とが大きくかけ離れている場合もあると考えられ、そのような場合には、第一事業場から第二事業場間を直行する限りは、いずれかの事業場において終業後又は始業前に長時間滞在することが不可避となるので、単に長時間滞在したことのみをもって、就業との関連性が失われると評価することは不合理であると考えられる。
【対応の方向性(案)】
   第一事業場の終業時刻とかけ離れた時刻に出発したこと又は第二事業場の始業時刻とかけ離れた時刻に到着する見込みであったことのみをもっては、就業との関連性は失われないと解することとする。

(2) 逸脱・中断の特例的取扱いの範囲の問題
【現行】
   逸脱・中断が「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のもの」である場合は逸脱・中断の間を除き「通勤」とされる。
 食事については、独身者が食堂に食事に立ち寄る場合は該当するものとされ、妻帯者で通常自宅で夕食をとっており、通勤所要時間が短いような場合については該当しないものとされている。
【考慮すべき事項】
   事業場間移動の場合、時間帯によっては移動途中で食事をとらなければならない場合があるものと考えられ、移動途中で食事をとることの必要性については、独身者と妻帯者で扱いを変えることに合理性はないと考えられる。
 事業場間の移動の途中で「ショッピング」「喫茶飲酒」「映画・パチンコ」等を行っている者は少数であること等を踏まえると、これらを逸脱・中断の特例的取扱いの範囲に含めることについては、住居と事業場の移動の場合との均衡を失することを正当化するだけの合理的な説明は難しいのではないかと考えられる。
【対応の方向性(案)】
   基本的には、現在の逸脱・中断の特例的取扱いの範囲を踏襲しつつ、事業場間の移動中の食事については、独身者と妻帯者を問わず「日常生活上必要な行為」として取り扱うこととする。
 また、住居と事業場間の移動の場合も含め、逸脱・中断の特例的取扱いの範囲等については引き続き検討を行う。


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