04/03/26 確定拠出年金連絡会議第9回議事録              ┌――――――┬――――――――┬―――――┐              |確定拠出年金|  第10回  | 資料7 |              | 連絡会議 |平成16年6月28日 |     |              └――――――┴――――――――┴―――――┘              確定拠出年金連絡会議                 (第9回)                  議事録              平成16年3月26日 確定拠出年金連絡会議(第9回)議事録 日時:平成16年3月26日(金)15:30〜17:37 場所:厚生労働省 専用第22会議室 議事:(1)確定拠出年金の施行状況について    (2)運営管理機関の実施状況について    (3)確定拠出年金実施アンケート調査について    (4)投資教育について    (5)その他 出席委員:加子座長、伊藤委員、太田委員、田中委員、徳住委員、秦委員      光谷委員、姫野委員、渡邊委員、吉田委員、吉野委員 オブザーバー:      田村正雄(社団法人生活福祉研究機構理事)      石田成則(山口大学経済学部教授) 関係団体等:      松井博志(日本経済団体連合会国民生活本部副本部長)      小野 明(日本商工会議所新規プロジェクト担当付副部長)      神崎忠彦(経済産業省経済産業政策局企業行動課長補佐)      石塚 栄(厚生年金基金連合会企画事業部長) 事務局:厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課 ○ 加子座長  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第9回「確定拠出年金連絡会議」を 開催いたしたいと思います。  本日は、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。  それでは、事務局よりメンバーの出欠状況を報告していただきたいと思います。  お願いいたします。 ○ 矢崎課長  それでは、出欠状況等について、まず、ご報告申し上げたいと思います。  最初に、メンバーの方々に変更がございますのでご紹介させていただきます。  資料1の2枚目でございますが、連絡会議参集者の一覧表がございます。こちらをご らんいただきながらご説明させていただきたいと思います。  まず、株式会社三越の小野様が人事異動により、株式会社三越人事部労務厚生担当ゼ ネラルマネジャーの福原裕様に替わられておられます。  また、関係団体等の方々におかれましては、経済産業省の成瀬様から、経済産業省経 済産業政策局企業行動課長の豊永厚志様に替わられておられます。  なお、本日は後ほどご説明いただきますが、日本証券業協会を代表して、野村年金サ ポート&サービス株式会社から、確定拠出年金部長の大江様及びシニアマネージャーの 和泉様が、日本損害保険協会の年金制度プロジェクトチームのリーダー会社である、東 京海上火災保険株式会社から、営業推進部部長の川村様及びグループリーダーの中村様 にご出席いただいております。  次に、本日のメンバーの出欠状況についてご報告申し上げます。  本日は、株式会社三越の福原様、東日本旅客鉄道株式会社の山根様がご欠席でござい ます。  その他のメンバーの方々は全員ご出席でございますが、徳住委員が少々遅れられると のご連絡をいただいております。  なお、当方の渡邊審議官でございますが、所用のため欠席とさせていただいておりま す。また、関係団体等の方々におかれましては、日本労働組合総連合会の小島様、経済 産業省の豊永様がご欠席でございますけれども、経済産業省におかれましては、経済産 業省経済産業政策局企業行動課課長補佐の神崎様に代理でご出席いただいております。  また、国民年金基金連合会から、本日の資料の説明にあたり、上席調査役の向山様に ご出席いただいております。  なお、本日も何名か実施企業の方々が傍聴されていらっしゃいますことをご報告させ ていただきます。  以上でございます。 ○ 加子座長  ありがとうございました。ただいま、事務局からご報告がありましたとおり、本日も 実施企業の方々が傍聴にお越しいただいているということでございますので、前回と同 様に、会議の最後に若干の時間を設けまして、傍聴者のうち確定拠出年金の実施企業の 担当者の方々からのご質問等がございましたら、意見交換を行いたいと考えております ので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、議事に移りたいと思います。  まず「確定拠出年金の施行状況」「企業年金関係改正案(確定拠出年金関係)につい て」「確定拠出年金関係の通知について」に関し事務局から説明をお願いいたします。 ○ 松岡企画官  それでは、お手元の資料2、3、4についてご説明させていただきたいと思います。  まず、資料の2でございますけれども「確定拠出年金の施行状況」についてでござい ます。  1ページ目をおめくりいただきましてごらんいただければと思いますが、平成16年の 2月末現在でございますが、企業型の年金の承認規約数707件、加入者数が1月末でござ いますけれども、約65万9,000人、実施事業主数が2,007社ということでございます。  個人型年金の加入者等につきましては、2万6,743名となっておりまして、着実に増加 をしているところでございます。  その他につきましては、ご参照いただければと思います。  続きまして、資料の3の「企業年金関係改正案(確定拠出年金関係)について」でご ざいます。  これにつきましては、今回の年金制度改正法案の一部として、2月に国会に法案提出 をしているものでございます。  まず、1点目は、「確定拠出年金の充実」ということで、拠出限度額の引き上げとい うことでございます。  これは、限度額そのものにつきましては、政令事項ですが、年金改正法公布後という ことで、平成16年10月実施を予定いたしております。  下の※ですが、こちらの移換限度額の撤廃といったところにつきましては、法律事項 ということでございます。  それから、中途脱退時の要件緩和につきましては、平成17年10月実施予定ということ でございます。これらにつきましては、前回ご説明いたしましたので、中身については 省略させていただきます。  続きまして、3ページ目の「企業年金のポータビリティーの確保」ということでござ います。  各企業年金間からの資産移換をより拡大するというもので、確定給付企業年金から確 定拠出年金にも資産移換を可能にするといったものでございます。これは、平成17年10 月実施予定ということでございます。  おめくりいただきまして、4ページ目で、3つ目といたしまして「確定拠出年金の運 営改善」でございます。  これは、前回の連絡会議で運営改善事項としてお示ししたもののうち、法改正事項に つきましては、この法案の中に盛り込んだものでございます。  事項といたしましては「○軽微な事項の規約変更手続きの簡素化」「○複数企業が実 施する規約の変更手続きの簡素化」といったものでございまして、これらにつきまして は、平成16年10月実施ということで予定いたしております。  なお、そのほか政省令事項で運営改善事項がございますので、それらも併せて改正す る予定で、時期としては、平成16年10月を予定いたしております。  続きまして、資料の4で「確定拠出年金関係の通知について」でございます。  まず、これらにつきましては、上の2つの事項につきましては、運営改善事項として 前回ご説明したものの中で、通知、Q&Aの事項にわたるもので、3月中旬に通知等を 発出しているものでございます。  1つ目は、規約の承認基準等についての一部改正ということで、1ページ目に書いて いるものでございます。  中身につきまして、3ページ目をお開きいただければと思いますが、Q&A形式でま とめて掲げさせていただいております。  この通知に書いている事項といたしまして、4つ目の事項の「一定の資格」のところ でございます。勤続期間が3年に満たない者に対して、掛金の事業主返還規定を設けて いる場合に、雇用期間が当初から3年未満であることが明確であるような者への代替措 置を不要とできないかといったことでございますけれども、これについて通知、Q&A で示しておりますけれども、3年未満ということが雇用契約等により確実に見込まれる 者につきましては、労使合意により作成される規約等により明確化されるのであれば、 代替措置を不要とすることも可能といったことで、こういったことを通知、Q&Aでお 示しいたしております。  下にございますように、労働条件が著しく異なっている者についての基準ということ で、給与規程、就業規則、雇用形態、退職金の適用の有無等を基準に個別に判断すると いったことで、ここも明確化させていただいております。  そのほか、いろいろございますけれども、こちらにつきましてもご参照いただければ と思います。  おめくりいただきまして、5ページ目で、確定拠出年金の企業型年金の加入資格喪失 者への移換手続の周知ということでございます。  これは、企業型年金をお辞めになって、加入資格がなくなられた方につきましては、 個人型年金に資産移換を行うということになっておりますけれども、ただ、これには手 続が必要でございます。  5行目にございますように、企業型年金の資格喪失日から、6か月以内に手続が行わ れなかった場合につきましては、国民年金基金連合会に自動移換されるということに なっております。  この自動移換の件数が非常に増加する傾向にありまして、特に3月末の資格喪失者に かかる自動移換が多く発生している状況にございます。  平成15年12月末までの累計で見ますと、約7,500人に上っておりまして、資産額も25.7 億円といったことで非常に数が増えてきております。  こういう状況につきましては、自動移換、そのまま資産が置いておかれるということ になりまして、資産の運用もできませんし、掛金の納付もできないということになって おりますので、そういったことで、いろいろ問題がございますので、手続を行っていた だくということが必要であろうということで、各事業主の方に資格を喪失した際の移換 の手続の周知を十分行うようにお願いするということで、地方厚生局を通じまして、実 施事業主への周知をお願いしたところでございます。  各実施企業や運営管理機関におきましても、周知にご協力いただければということで 考えております。  以上が、今回の関係の通知事項でございます。資料4につきましては以上でございま す。 ○ 加子座長  ありがとうございました。ただいまの件に関して、ご質問等ございますでしょうか。  私の方から1件、自動移換の件につき要望でございますが、当然我々も事業主として、 資格を喪失した際の移換の手続については、退職手続き時に よく説明する等、周知のため種々の取り組みをしているところでございますが、一方で、 事業主側の努力だけでは難しい部分もあると思っておりまして、 例えば、事業主が退職手続き時に特定の金融機関を勧めるような行為をしてもよいのか 等判断が難しい部分も多いわけです。従って、  例えば、国基連のホームページをより一層充実させていただく等、情報提供面で少し ご工夫をいただければと思っておりますので、今後も事業主と一体となって取り組んで いただくようよろしくお願いしたいと思います。 ○ 吉野委員  私ども国民年金基金連合会では、通知にも抜粋版を付けていただいていますけれども、 各事業主の方にどういう手続を取ったらいいかということを、どのように教えていただ くべきかというふうな冊子を作成して配付いたしましたり、また、私どものホームペー ジの中でも、特に退職者、離職者の方向けのページを1つ設けまして、そこをごらんい ただければあらかたの手続がわかるようにしたり、また、運営管理機関につきましても、 ほとんどの機関とリンクを結びまして、あるいはは具体的な連絡先も書くということで、 手続がなるべく取りやすいようにというふうな工夫の方はできる限りやらせていただい ているところでございます。  これからも、いろんな面で各事業主さんとご協力をとりながらやらせていただきたい と思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○ 加子座長  どうもありがとうございました。ほかに何かご質問等ございますか。 ○ 太田委員  この問題なんですけれども、実は、私ども退職者がいる中で、若干確信犯的にやって いる人間もいるんです。  というのは、運営管理手数料等々で、自動移換されている方が非常にメリットが大き いという問題がありまして、非常に賢い人間はその辺を見まして、あえてそちらになる ようにもっていっているというようなところも若干見られるようなので、ただ単に周知 徹底のみならず、その辺の経済的な合理性もお考えいただいた方がよろしいんではない かと思います。 ○ 松岡企画官  確信的にやられている方については、なかなか難しいところもあるんですけれども、 そういった点についての対応について、またいろいろ検討していきたいと思います。 ○ 加子座長  ありがとうございました。  それでは続きまして、次の議題であります「運営管理機関の実施状況について」に移 らせていただきたいと思います。  まず、日本証券業協会を代表いたしまして、野村年金サポート&サービス株式会社の 大江様からのご報告、続きまして、日本損害保険協会の年金制度プロジェクトチームの リーダー会社である東京海上火災保険株式会社から営業推進部部長の川村様からご報告 をいただき、質疑応答につきましては、その後まとめて行いたいと思います。  それでは、大江様よろしくお願いいたします。 ○ 大江部長  野村年金サポート&サービスの大江と申します。よろしくお願いいたします。  本日は「運用関連運営管理業務の現状と課題」ということで、私どもの方からご報告 をさせていただきたいと思います。  本日、ご報告させていただきます内容は、主に数値的なものというよりも、私どもが 今まで受託させていただいた経験に基づきまして、加入者様や、あるいは事業主様から のニーズ、あるいは現状の課題や、今後のサービス展開をどう考えていくかと、こうい った点についてご報告させていただきたいと思います。  まず、私どもの資料5でございますが、これの表紙をめくっていただき、1ページ目 をご覧ください。  本日の説明を行います前に、まず、運用関連の運営管理機関であります、私ども野村 年金サービス&サービスという会社が一体どういう会社なのか、その概要についてちょ っと簡単にご説明させていただきます。  私どもは、本年の1月5日に、野村グループにおきまして年金関連のサービス業務を 行っております3社が合併をいたしまして、更に、野村證券の中にありました投資教育 関連の支援業務に携わっておりました人員も移しまして、新たに発足した会社でござい ます。従来、私どもは確定拠出年金の運営に係る業務については、野村グループの中で、 それぞれ最も適した能力を持った部門が担当するという考え方で、そういう体制をとっ ておりましたが、しかしながら、今後ますます多様化してくると思われますお客様のあ らゆるニーズにお応えすることができるように、連携を強化して、お客様のニーズに迅 速かつ柔軟にお応えできるようにしようということで合併したわけでございます。  それでは、運用関連の運営管理機関として、お客様からいただいておりますニーズが 一体どういうものがあるかということについて、ここからご説明させていただきたいと 思います。  次のページをごらんください。  私どもにいただいております事業主様のニーズ及び加入者様のニーズには、一体どの ようなものがあるかということを具体的にご紹介させていただきたいと思います。  運用関連の運営管理機関に対していただくお客様のニーズというのは、大きく分けて、 やはり加入者教育関連のものと、情報提供関連のものに分かれております。  まず、加入者関連の項目で申し上げますと、多いご要望というのは、ここに書いてあ る4つでございますが、1つは、できるだけ加入者のレベルに合わせた、わかりやすい 投資教育を実施してほしいということで、まずは、わかりやすいさということが第1点 でございます。  2つ目は、それぞれ自社の就労形態などに合わせた柔軟な投資教育プログラム、つま りカスタマイズのご要望ということです。  3つ目は、事前の制度変更告知に関するサポートということでございますが、会社の 方で行う制度変更を告知することのサポートをしてほしいということ。  4つ目は、確定拠出年金に関係のあるテーマというものを導入後の継続的な教育とし て是非実施してほしいと、こういったようなご要望でございます。  多くの加入者の皆さんにとりましては、こういった投資性の商品を使って資産運用を 行うというのが、初めての経験という方が多いので、何よりもこれは当然わかりやすく ないといけないということなんですが、制度の内容というのは、個社ごとに違う部分が ございますので、このカスタマイズ対応のご要望をいただくというのも、これはある意 味で当然のことであろうかと思います。  また、確定拠出年金の導入に当たりましては、既存の制度を一部、ないしは全部変更 して導入されるというケースが多いかと思われますので、制度がどのように変わったの かということを社員の皆さんにお伝えするというのは、実はかなり大きな負担で、大き なイベントになるというふうに思われます。  この制度告知の業務をサポートしてほしいというニーズは、非常に多いというのが現 状でございます。  更に、4番目のご要望としましては、導入時にセミナーを行うわけですが、導入され た後に出てくるニーズとして、こういったご要望をよくお聞きします。導入のときの限 定された時間ではなかなかできないことを、導入後の継続教育としてやりたいというご 要望です。  確定拠出年金とは直接関係はないものの、ライフプラニングの知識などの習得のため のセミナーをやってほしいというようなご要望がしばしば出てまいります。  次に、情報提供関連の項目で申し上げますと、ごらんのような内容のものでございま すが、特にコールセンターで自社の制度や手続のことも応えてほしいというご要望が極 めて多い項目でございまして、これらの内容は本来ならば、企業の事務局、人事部さん とか、そういったところに問い合わせが来るんだと思いますが、こういう質問をコール センターで受けることで、企業側の事務局にとって大きな負担の軽減を果たすことがで きるということから、こういったご要望をたくさんいただいております。  あと、これはいつの時点でも非常に多いご要望なんですが、運用アドバイスがほしい ということでございまして、しかしながら、確定拠出年金という制度におきましては、 なかなか実現が困難なことでありますし、私ども運営管理機関としても対応には大変苦 慮しておるご要望ではございます。  ただ、中には制度の運営とは全く異なる外部の投資顧問会社でありますとか、あるい はFPの会社と契約をして、加入者の皆さんの個別相談への対応を検討されておられる と、そういう企業もあるようにお聞きしております。  ただ、いずれこの問題は、加入者の皆さんが、今よりも多くの知識を習得されていっ たり、あるいは年金資産の残高、積み立てした残高が増えていく過程で必然的に今後も 議論になる項目であるかもしれません。  こういうさまざまなご要望に対しまして、私どもは随時サービスを拡充することが重 要であると考えておりまして、対応を図っております。  次のページをごらんください。  こうしたご要望に対しまして、私どもではさまざまに対応してきておりますが、中で も私どもは証券会社系の運営管理機関でございますので、証券系の運営管理機関として の役割でもありますし、また、強みでもあるというふうに認識しておりますが、これが 加入者の皆さんへ、事業主様が提供する投資教育、これを支援するサービスでございま す。  先ほどのご要望の中にもありましたように、事業主様、加入者様、いずれもわかりや すさということを極めて重要視されておられます。  私どもは、年金や資産運用の知識というものを十分にお持ちでない加入者の方に対し て、徹底して易しい用語や、わかりやすい解説を行うことで、加入者の皆さんのご理解 を助けていくようにすることが重要であるというふうに考えているわけでありますが、 この点につきましては、運用とか、あるいは金融商品の専門家は、初心者にはわかりに くい専門用語などを多く使う傾向があると、こういうご指摘を従来から私どもにもたび たびいただいておりまして、私どももそうしたご指摘を踏まえて反省しながら改善、改 良を心がけてやってきております。  幸い弊社グループには、学校教育の場における金融証券知識の普及でございますとか、 あるいは地域で実施されている生涯学習プログラムを支援する活動といったものも一貫 して継続してきておりますので、そういった経験の中からできるだけ平易な説明をでき るようなノウハウを蓄積すべく努力をいたしております。  また、これもしばしば議論されることでございますが、継続教育の重要性ということ でありまして、確定拠出年金は言うまでもございません、加入者にとっては60歳まで続 く非常に長い制度でありますので、導入のときだけではなくて、先行きずっと継続して 教育が行われるということが大切であると言えます。  一方では、先ほどご紹介した事業主様からのご要望にもありましたように、従業員の 皆さんの不安を取り除くために、確定拠出年金制度が始まる前に、そもそもその制度の 変更についての説明を行うことが必要で、そのサポートをしてほしいといったニーズも ございます。  こういう背景を踏まえまして、私ども導入前、それから導入のとき、そして導入後と、 それぞれの段階で最も必要とされると思われる項目に重点を置いた段階的な投資教育プ ログラムをご提案させていただくことが大切だと思っております。  こういうふうにして行っていくことが名目的に教育をやったということではなくて、 より教育の実効性を高めていくことになるというふうに考えるからでございます。  具体的には、ビデオやテキストやセミナーの開催といったような複合的な媒体を使っ て行っていくわけでございますが、導入後は、加入者のモニタリングに基づいた継続教 育のプログラムを提供していくことが重要であると考えております。  この加入者モニタリングについては、ここから後、後ほどご説明したいと思います。  次のページをごらんください。  こうした現状を踏まえまして、今後、私ども証券会社系の運営管理機関がどのような サービス展開を図っていくかについてご報告をさせていただきたいと思います。  確定拠出年金においては、投資信託などのリスク商品というものが加入者の選択肢と して提供されることになるわけですが、多くの加入者にとって、こうしたリスク商品で の運用経験が少ないことが事実であります。  しかしながら、一方では、加入者の皆さん自身のご判断で、これらのリスク商品を選 択するということになりますので、そうした加入者の皆さんの行動をサポートしていく ということが何よりも重要なことであると考えているわけです。  そこで、私どもは3つございます。  1つは、加入者が選択するために用意する商品のクオリティーということについて、 絶え間なく継続してサーベイランスを続けていくということが第1点。  2つ目は、加入者の皆さんが運用判断力を向上させていくための支援サービスを続け ていくということ。  更に3目でございますが、加入者の皆さんの行動や意識を常に調査し、実態を把握す ると。先ほどお話ししました加入者モニタリングということでございますが、この3つ を継続することが必要であると考えております。  そのためには、大きく分けて2つのサービス展開を強化すべきであると考えておりま す。1つは、事業主様へのモニタリング支援サービス、そしてもう一つは、加入者の皆 さんへの運用支援サービスであります。事業主様へのモニタリングサービスには大きく 2つございまして、1つは加入者の行動や意識を常に見ながら、適切な対応をしていく 加入者モニタリングと、もう一つは、選定された運用商品が高い品質を維持しているか どうかを判断するための商品モニタリングがございます。  私どもの今までの経験上、加入者の意識や行動といったものを確認しながら、その結 果を継続教育や、その後の情報提供に生かすことは大変有効であるということを強く感 じております。  また、一方では、加入者の皆さんへの運用支援サービスということも極めて重要なこ とでございます。 特に、制度が始まってしばらく経った後に加入者の皆さんというのは、運用の大切さと いうことを実感として感じることになります。  むしろ、制度が始まるときよりも、始まってから後の方が運用に対する関心ですとか、 知識が高まるというのが一般的であると言えます。  とは申しましても、加入者個人の皆さんのレベルというのは、恐らくまちまちだろう と思いますので、導入のときのように、一括して事業主の皆さんが投資教育を行うとい うのも、これもなかなか困難であるというのも事実であろうかと思います。  私ども運営管理機関は、そうした事業主様をサポートして、加入者の皆さんが自分で 運用を行うことを支援する、いろいろな情報やツールを提供することが非常に大切であ りまして、今後のサービス展開のポイントになると考えております。  以上で、今後のサービス展開についてお話をさせていただいたわけでございますが、 最後に、私どもが今まで受託させていただいた経験に基づく実務上の課題といったこと についてお話をさせていただきます。  最後のページをごらんください。  これは、もう皆さんに言うまでもないことなんですが、平成13年に制度が始まってか ら既に2年以上が経過いたしましたが、今後も導入する企業の数は大きく増加していく ものと思われます。同時に、運営管理機関の受託を巡る競争というものも今後ますます 活発になることも予想されます。  サービスの品質を競うという点につきましては、こうした競争原理というのは、加入 者へのサービス向上につながりますし、制度の発展にとって非常に有効なことであると 思いますが、制度のより健全な発展と普及のためには、やはり制度を運用する事業主様 や、実務を行う私ども運営管理機関が、それぞれの立場で制度の根本である加入者重視 や受託者責任に対する意識ということを、より強く持つべきであろうかというふうに思 います。  例えば、事業主様が運営管理機関を選定する場合や、運営管理機関が商品の選定や提 示を行う場合においては、言うまでもないことでございますが、加入者の利益のみを考 えた判断がなされるべきでございまして、サービスや商品の品質やクオリティーといっ たことを最も優先すべきであろうかと思われます。  言わば、こうした制度のプリンシパルとも言うべきものがきちんと意識されることが 制度の健全な発展と普及に欠かせないものではないかというふうに私ども考えておりま すので、私どもも運営管理機関として受託者責任といったことを強く意識した運営とい うことを、今後も続けていかなければならないというふうに私ども自戒の念をもって考 えております。  今後も良好な制度の運営発展に資することができますように、鋭意努力を続けてまい りたいというふうに思いますので、各方面の皆様からのご指導やご意見をちょうだいで きますようお願い申し上げる次第でございます。  以上で、私どもの報告を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。 ○ 加子座長  大江様どうもありがとうございました。  それでは、続きまして、川村様よろしくお願い申し上げます。 ○ 川村部長  東京海上火災の川村でございます。  資料の6になります。損害保険業界におけます、運用関連運営管理業務等の実施事業 につきまして、ご報告をさせていただきます。  それでは、ページを2枚めくっていただきまして、2ページからご説明をさせていた だきたいと思います。  まず、損保業界で運営管理機関を営んでいる会社でございますが、そこにございます ように、4社で運営管理機関登録をしております。  3つ目に損保ジャパンDC証券とございますけれども、これは損保ジャパンが子会社 でありますDC証券会社を通じて事業を展開しているということでございます。企業型 についてでございます。  それから注書きに、この4社以外にございますように、三井住友海上火災、こちらは 運営管理機関ジャパン・ペンション・ナビゲーターへの資本参加を通じまして、この事 業に参入をしております。  以上、4社プラス1ということになっております。  1枚めくっていただきまして、3ページでございます。  運営管理機関の受託状況についてでございます。2月末現在の状況でございますけれ ども、まず、企業型でございますが、内定企業を含めまして、今、316社。そのうち既 に導入をしております企業で169社。全業態との比較でいいますと、先ほど事務局から のご説明の中にございましたとおり、たしか2,007事業者707プランということでござい ましたので、規約承認数も含めまして、大体7%〜8%ぐらいの事業者及びプランのお 引き受けをしていると、こういう状況かと思います。  それから、個人型は下にございますが、全体加入者数のほぼ30%ということで、1号、 2号合計で8,412名。それから事業所の登録数につきましても4,275ということで、全体 の約30%を占めていると、このような状況にございます。  4ページにいっていただきまして、企業型の実施状況でございます。  損保参入4社では、それぞれ中小企業向けの引き受けプランということで、総合型と いうのを開発して取り組んでおります。  2つ目の受託企業の規模別の社数ということでございますけれども、100名未満の企業 が多うございまして、227社ということになっております。300名以上も含めまして、総 合型で294社ということでございまして、先ほど引き受け全体数、内定を含めまして316 社ということですから、90%強がこの総合型を通じた受託ということになっております。 特に、全体との比較でいいますと、100名未満のところが全体316社中の72%でございま すので、一般他業態の平均でございます99名以下のところの3割というのと比べますと、 やはり中小企業、小規模企業の引き受けが当業界では多くなっているということが特徴 であろうかと思います。  次に5ページでございます。  これは他制度からの移換の状況でございます。適格年金からの制度移行が最も多くな っております。  特に、全業態との比較でいいますと、全業態ではたしか45〜46%ということでござい ましたので、10ポイント以上多いことになるます。  逆に、一番右側「なし」ということで、新たに確定拠出年金を立ち上げたというのが 27%で、全業態平均の40%強と比べますと低くなっておりまして、 この辺が特徴であろうかと思います。  それでは続きまして、6ページで個人型の実施状況についてご報告したいと 思います。個人型を取り扱っております会社は、そこにございますように、 東京海上、損保ジャパンの2社でございます。  個人型のマーケットシェアということで、他業態と比較しますと、そこにございます ように、損害保険会社で27.2%ということで、扱い会社数が少ないわりには、シェアが 多くなっております。  7ページにまいりまして、個人型の運用方法の選定本数ということでございますが、 今、申し上げましたように、扱っている会社が2社でございますので、余り有意なご報 告にはならないかと思いますが、合計の商品数は8.5本ということで、6本と11本と、こ の2社の平均でございます。若干企業型の選定本数と比べますと、数が少ないというこ とが言えようかと思います。  次の8ページにいきまして、個人型の分析でございますが、加入者の属性でございま す。第1号被保険者、自営業者の数が56%ということで、過半数になっております。  それから、拠出配分でございますけれども、元本確保型の商品が76%ということで、 これは企業型を含めた平均と似ているのかと思います。  次に、平均の拠出額でございます。自営業者、第1号被保険者のケースが 2万4,000円、第2号被保険者の会社員が1万2,000円ということで、個人型全体と比較 しますと、自営業者の拠出額が高いのかなと。全体平均で自営業者は2万円程度と国基 連様から伺っているところでございます。  最後に9ページ目でございます。  制度全般に関する課題・要望ということで、そちらに6点ほどまとめさせていただい ております。  これは、いろいろな機関、業態からそれぞれ要望が出されているところでございます が、1つ私どもの業界として感じていることを補足させていただきますと、2点目の上 乗せ拠出の容認、こちらをご検討いただけたらなと思います。  損保業界の特徴として、先ほどご説明したように、300人以下、中小企業が多いんでご ざいますけれども、そういった企業様では、会社の拠出余力が少ないために、せっかく の拠出限度額の枠を使い切れていないというのが過半でございます。  従業員の上乗せの拠出が許されれば、企業としても、この401kの導入を従業員に説明 しやすい、こういった意見が多うございます。それを最後に付け加えさせていただきま して、甚だ簡単ではございますけれども、損保業界における実施状況についてのご報告 に代えさせていただきます。  以上でございます。 ○ 加子座長  川村様、どうもありがとうございました。  それでは、ただいまご報告のありました資料の5、6につきまして、何かご質問等あ れば、ご発言をよろしくお願い申し上げます。 ○ 光谷委員  ジューテックの光谷と申しますが、損保関係で企業型の内訳が書いております4ペー ジ目ですが、「企業型実施状況」の中で、100名未満が227社で非常に多いわけですが、 この100名未満の内訳はもう少し出ますか。例えば、50名以上とか、100名未満とか、あ るいは60名以上で100名未満とか、そうではないものとか、そういう内訳は出ませんか。 ○ 川村部長  手元に、今、資料がございませんけれども、調べれば出ます。ただ、私ども東京海上 の個社の状況で申し上げますと、大体70〜80名平均といったところでしょうか。  ただ、総合型といいましても、こちらの表にございますように、300名以上というとこ ろがございまして、人数で500〜600名の企業で総合型を採用されているところもござい ます。  ということで、平均が70〜80名でございますので、やはり50名程度の企業も相当数あ るというふうにお考えいただければと思います。 ○ 光谷委員  わかりました。 ○ 加子座長  ほかにご質問はございますか。 ○ 矢崎課長  損保のご説明の最後の制度論の9ページなんですけれども、マッチングのお話があり ました。マッチング自体なかなか制度的にも、実務的にもいろいろ難しい点があると思 うんですが、現場のニーズということでちょっとお伺いしたいと思います。お話しされ たのは、企業型の方のお話でしたけれども、逆に個人型の方で、これは個人がお払いに なるんですけれども、企業の方が上乗せを少し手助けしたりという話はあるんでしょう か。 ○ 川村部長  ございます。企業としても会社の制度として企業型で立ち上げるには、まだ手続等荷 が重いと。1つの過渡的な導入形態としまして、補助金を給与に上乗せして支払って、 それで従業員個人に個人型への加入を案内されている企業も多いというほどではないの ですが、中にはあるということです。 ○ 加子座長  ほかにございますか。 ○ 秦委員  サンデンの秦でございます。大江部長も川村部長もいつもよくしていただいてありが とうございます。特に、野村證券さんの場合は、先ほどもちょっと出ていましたけれど も、加入者本位で、本当にいろいろなことをやっていただいて、私ども実は『ゆうゆう 悠介』という漫画の本を入れさせていただいて、実は圧倒的に評判がよかったものでご ざいます。そういう意味で大変ありがたいし、またサポートをしていただいているわけ なのですけれども、ちょっと2点ほどご質問させていただきたいのですが、1点は、今、 野村證券さんがおやりになっている加入者本位で、例えばコールセンターに制度の説明 まで求めるというようなことになってくると、今度は入れる会社の事業主としての責任 との関係において、これをどう考えていったらいいのか。ある意味では、金融機関さん に丸投げして、自分は知らないよ、ということになりかねない状況というのは、事実聞 いているわけなんですけれども、これはたしかに金融機関さんとしては大変至れり尽く せりのサービスかもしれないんだけれども、本質的な問題として、これはいいのであろ うか、どうなのかという辺りをどうお考えになられているかということが1つです。  もう一つは、現状、非常に厳しい競争条件の中で戦っておられて、フィーのレベルと いうのですか、運管の手数料も含めて、初期費用及び継続して出てくる毎年の、言って みれば収入の部分と、実際、加入者に対してやるべきサービスとの間のアンバランスが 生じていないかどうか。  ですから、あるべき姿というのは、だれでも割と簡単に描くことができると思うんで すけれども、しかしながら、現状、会社側の、私も会社の人間ですから、会社の理解が 充分に得られるか、とかいろいろあって、必ずしも運営管理機関さん、金融機関さんか ら見て十分にやり切れていないということがあるんじゃないかなという気もするので、 その辺はどういうふうにお考えになられているかということを教えていただきたいと思 います。 ○ 大江部長  では、お答え申し上げます。  今のご質問の第1点目でございますが、例えば、コールセンター等で企業ごとの制度 の内容まで答えるということが、それでいいのかどうかということなんですが、これに つきましては、秦委員のおっしゃるとおりの部分はたしかにございまして、私どもも基 本的にそれぞれ受託させていただいています企業様の退職給付制度全般のことについて までお答えさせていただくということは難しいかと思っております。  しかしながら、確定拠出年金制度、それぞれの会社で導入されておられる確定拠出年 金制度の概要、どういう仕組みで、どういう特徴があってということについては、基本 的に私ども受ける側としては、きちんと研修を行った上で対応させていただくべきであ ろうかというふうに考えておりますので、どの程度まで事業主様と会社のことをお話し させていただくかというのは、個別にご相談をさせていただきながら対応させていただ いておりますが、現実には、制度のことということよりも、むしろ先ほどのお話の中で もちょっとご説明させていただきました具体的な手続の方法ですとか、そういったよう なご質問が多いというのが現状でございます。  そういった面では、そもそも制度のことについて、加入者の皆さん自体がご理解いた だいていないケースが多いものですから、それほど突っ込んだところまでのやりとりと いうのはないのが現状でございます。  したがいまして、私どもも勿論立場というものがございまして、ある程度限定的なこ としか対応ができないわけでございますが、その辺のところについては、個別に受託さ せていただいている事業主様とご相談の上で決めさせていただいているというのが現状 でございます。  2つ目のフィーのレベルということで、それと加入者へのサービスというものの中に アンマッチが生じてきているのではないかというふうなご質問でございます。  これは、このビジネスが始まりまして、まだそれほどの年数が経っていないというこ ともございます。現在、まだまだ導入されている企業や加入者の数というのは、これか ら増えていくであろうと想定されますので、現時点では、各運営管理機関さんどこも似 たような状況ではないかと思いますが、やはり初期の段階でのそういった設備をつくっ ていくと、体制を構築するというところで負荷がかかっていることは事実だろうと思い ます。  ただ基本的には、やはりずっと制度を運営していくに当たって、加入者の皆さん、あ るいは事業主の皆さんに満足いただけるようなサービスを継続してご提供できるという ようなレベルの価格は提示させていただくべきだろうというふうに私どもは考えており ますので、その点については、私どもも現状はきちんとご請求をさせていただいている というのが状況でございます。 ○ 加子座長  ほかにございますか。  それでは、私の方から1点、大江部長さんへの質問ですが、資料4ページのご説明に もございましたが、特に証券業という特徴を生かして、リスク商品の評価能力あるいは 説明能力の高さを一つのセールスポイントにしていらっしゃるとのお話ですが、そうし ますと、やはり実際の資産残高における投資信託の比率というのは高いのでしょうか。 ○ 大江部長  これは勿論プランごとに異なりますので、一概には申し上げられませんが、全体とし ては、やはりほかの運営管理機関さんと比較して、さほど大きな差はないのではないだ ろうかとは思っております。  ただ、実施されておられる企業様によっては、やはりリスク商品の比率が高いところ もございますが、ただこれは必ずしも我々が証券会社経営であるからといって、特にこ このところを重点的に説明しているわけでもございませんので、そこは多分余り変わり はないんではないのではないかというふうに考えております。 ○ 加子座長  ありがとうございました。ほかにご質問ございますか。  それでは、私からもう一点、今度は川村部長さんに伺いたいのですが、資料の8ペー ジで、個人型の拠出配分を見ますと、元本確保型の商品が76%だという記述がございま すが、そもそも個人型に入られる方に対するいわゆる投資教育は、どのような方法でや っておられるのでしょうか。 ○ 川村部長  個人型につきましては、企業型と違って事前に加入見込者を集めてご説明をするとい った場を設けることは大変難しいことなので、できるだけ、私どもで言うと、加入者用 のキットというのでしょうか、パッケージをつくりまして、そこに読んでいただいてわ かるような資料をあらかじめ渡して、それを読んでいただいてご納得いただければコー ルセンターなどに連絡をいただいて加入申込書を送っていただく、そういうアプローチ をしているのですが、ただ、個人型で、私どもウェッブを実は加入前から加入した人と 同じように、すべての内容が見えるようにしてありまして、自分がこの制度に入ったら どんなサービスを受けられるのだろうか、どんな教育といいますか、情報提供を受けら れるのだろうか、これを全部ガラス張りで見られるようにしてあります。そういうこと で理解をいただいて、初めて受け付ける。やはり、会社と違って集合教育を年度年度繰 り返すといった機会もございませんので、できるだけウェッブ上で、継続教育をするよ うに、いろんなメールマガジンを打ったり、ニュースを流したり、そうやって注意を引 き付けてリテラシーを高めていくといったような努力をさせていただいています。 ○ 加子座長  ありがとうございました。ほかにご質問はございますか。 ○ 秦委員  まず、川村さんに、若干言いにくいお話なんですけれども、個人型は今、東京海上さ んの場合は、たしかに私も拝見しましたけれども、非常にいい制度をつくっておられる と思うんですけれども、必ずしもそうでもない運管の方が、企業型にすると、先ほども 少し大江部長の方にもお話ししたんですけれども、事業主としてのリスクがかかるんだ けれども、個人型にしてしまえば、そういうリスクがかからないと。つまり、導入して 社員もそれなりにハッピーになるだろうけれども、会社は全然負担していなくていいか ら、したがって、企業型よりも個人型を入れた方がいいぞということを、かなり正面切 って売っているところもあると思うんです。  こういうようなものというのは、私は本末転倒の部分があるんだろうと思うんですけ れども、それにしても、今、マガジンみたいな形で出されていて、いずれにしても教育 だとか、継続してサービスしていくというのは、例えば最低限どういうレベルのものを やらなければいけないというものが、今、はっきりしていないんですね。この辺は問題 があると思うんだけれども。  したがって、非常にあいまいになっているところを、もう少し業界としても整理され ていって、一種のガイドライン、例えばそういうようなお考えというのはないのかどう か、そういうような点をちょっとお聞きしたいと思うんです。  それと、大江さんの方にくどくて恐縮なんですけれども、フィーのレベルについて、 ある意味では業界全体ではっきりしてきていることが1つあるんではないかと思ってい るんです。  それは、当初マーケットのプレイヤーとして、ものすごい数の金融機関が入ってきた にもかかわらず、今、猛烈な勢いで引いていってしまっている。したがって、メインの プレイヤーが10本の指の中に入ってしまうのかなというぐらいまで収縮してきています ね。  これは、ある意味では正当なのか、過当なのか知りませんけれども、猛烈なフィーの 競争の中で、やはり淘汰されてきている。ということは、正当な競争であれば、少なく とも勝ち残っている方は利益が上がっていなければいけないのですね。  しかし、私、随分聞いておるんですけれども、先ほどもちょっと大江さんからもあり ましたように、過渡期であるから今はもうかっていない。多分そうだろうと、余りもう かっていないと思うんです。  ですから、そういう状況の中で体力競争をしているということが、このまま幾ら寡占 化が進んだって、寡占化ならよけい競争が厳しくなるということも場合によってはある わけです。ですから、将来像をどう描いておられるのかをちょっと教えていただければ と思います。 ○ 川村部長  ご指摘いただいた点については、大変ごもっともだと思いますし、仮に我々の業界で、 そういった形での企業さんへのアプローチが行われているとすれば、これは業界として も襟を正して、ご指摘をいただいたようなガイドラインというものをしっかり考えてい かなければいけないなというふうに、私も思います。  これは、個社の立場になりますが、そういったことがないようにといいますか、私ど も実は、個人型でいうと、第1号被保険者の方に、税制メリットを生かした老後の資産 形成というようなアプローチを多くやっておりまして、第2号被保険者のところ、中小 企業向けは、基本的には総合型をご案内しております。これは適格年金がご承知のとお り、従業員15人以上企業でやっているのですが、いろいろな制度改正、積立不足の問題 があって大変苦労されている。そこに対する1つの解決策という形でご案内しておりま す。  そういう中で、実はもう会社としてそういう企業年金制度を廃止して、少し身軽にな りたいというようなところに1つの選択肢として、完全にやめてしまうというよりは、 今まで拠出していた掛金を給与にオンした形で、どちらかというと、一つの軟着陸のよ うな形でお勧めしているというのが実態でございまして、むしろ秦委員からご指摘を受 けたような形では、我々としてはやっておりませんが、もしあれば本当に襟を正してや っていきたいと思っております。 ○ 大江部長  それでは、私の方へのご質問につきましてお答えさせていただきます。  まず、将来像、今後進んでいった後の将来像はどう考えているかということなんです が、多くの運営管理機関というのが、その母体というか、グループとなっているのが金 融機関でございます。当然のことながら、預金商品でありますとか、投資信託、保険商 品、そういったものを提供して販売をしているところを母体に持つところが多いわけで ございますので、制度自体が今後拡大していく中で、当然のことながら、年金資産の残 高が増えていくということは、トータルな意味での、現時点ではまだスタートした少な い状況ではありましても、そういったものが増えてくるであろうということが想定され るということ。  それから、実情は、秦委員も非常にご承知のことかと思いますが、やはり現時点では、 運用商品自体の収益性というものも非常に低いというものも勿論ございます。ただ、そ れはやはり今後、加入者の皆さんの運用知識なり、あるいは資産残高が増えていくこと によって多様化してくるということも考えられますので、そういった意味で、これは一 つの金融商品の拡大していく部分のマーケットとしては有望ではないかというようなこ とを多くの運営管理機関は考えておられるのではないかと思います。私どもも当然のこ とながら、そういったことは将来的な視野に入れている部分はございます。  もう一つは、こういった制度を通じて、加入者の皆さん自身が自分で資産運用すると いうことによって、言ってみれば、直接金融であります資本市場の拡大ということが、 将来的には必ず伴ってくるというふうに私ども考えておりますので、そういったことが 将来的に私どもにとっても必ずプラスになる部分というのがあるのではないかというこ とでございます。そういったことを現在は考えております。 ○ 加子座長  ありがとうございました。それでは、資料5と6につきましては、これぐらいにして おきたいと考えます。お二人様、どうもありがとうございました。  それでは、次の議題であります「確定拠出年金実態アンケート調査について」に移ら せていただきたいと思います。  企業型年金の調査結果につきましては、社団法人生活福祉研究機構の田村様よりご報 告を、個人型年金の調査結果につきましては、国民年金基金連合会の吉野様よりご報告 をお願いしたいと思います。 ○ 田村理事  生活福祉研究機構の田村でございます。  昨年に続きまして、今年2回目のアンケート調査を実施いたしました。  昨年7月現在の規約承認企業を対象にして調査しておりまして、回収率は余りよくな くて、昨年と同様に、対象企業の大体3分の1の151社から回答がございました。  詳しい内容は、山口大学の石田教授からご報告させますので、よろしくお願いいたし ます。 ○ 石田教授  それでは、まず、初めに資料の7−2に沿いまして、企業型確定拠出年金の企業調査 結果をご報告申し上げます。  なお、時間も限られておりますので、一部資料をはしょりながらご説明をさせていた だきたいと思います。  まず、1枚おめくりいただきまして、ここのところに回答企業の属性を整理してござ います。  全回答企業数151社のうちの企業規模別及び業種別の企業数を下の2つの表にまとめて おります。  同じく1枚おめくりいただきまして、今度は出資金額及び創立年度別に企業数をまと めてございます。下の2つの表に分布がございますのでご参照ください。  3枚目をおめくりいただきまして、まず、大きな項目の1番目、確定拠出年金の導入 理由等についてご説明申し上げます。  まず、1)のところで、導入理由につきまして、昨年度とほぼ同様の調査を行いまし た。そういたしましたところ、下の表にございますように、企業会計改革に合わせた退 職給付債務の解消48%、従業員が自らライフ・プランを考える契機43%、企業の財務体 質の改善42%、このような理由が上位に並んでございます。  なお、この設問につきましては、最大限3つまでを複数回答いただいております。  昨年度も同様の調査をいたしておりますが、昨年度と比べますと、若干企業側の財務 上の要請というのが強く出ております。  1枚おめくりいただきまして、確定拠出年金の導入理由を、企業の創立年度別に見て ございます。下の図表でございます。  これは、調査の前に予測をいたしましたとおり、創立年度が古い企業ほど財務体質の 改善ですとか、退職給付債務の解消という割合を上げるものが多くなっております。  一方、創立年度が新しいところでは、福利厚生の充実・見直し、それから新規人材確 保の割合を上げる企業が多くなってございます。  一番下のところにございますけれども、5つほどメインの理由を挙げまして、そして 一番左の方から創立年度別にグラフを刻んでございます。  1枚おめくりいただきまして、大きな項目のIIでございます。  「確定拠出年金以外の退職給付について」ということで、調査の時点で導入された確 定拠出年金以外の退職給付があるという企業の割合は全体で66%でございます。下の図 表では一番左のところに書かれております。  昨年度の調査結果では、70%となっておりましたので、ほぼ同じぐらい、横ばいの傾 向でございます。  これを下の図表では、従業員の規模別に整理してあります。これも昨年度と同様に規 模に応じまして「ある」という割合が高くなる傾向が見られます。  1枚おめくりいただきまして、確定拠出年金の導入パターンについて設問をしており ます。  下の左の表にございますように、導入パターンには、新規に導入をする、既存の退職 一時金、企業年金に上乗せをする、旧制度を廃止・凍結して新たに全面的に移行する、 最後に、旧制度の過去分を一部減額して導入する、この4つの項目を立てました。  その結果、一番下の旧制度の過去分を一部減額して導入という割合が一番高くなって ございます。  昨年度と若干傾向が違います。ただ、一番大きな違いは、新規に導入するという割合 が昨年度の調査では37%でございました。その割合が17%に20ポイントほど減少してご ざいます。  次に、このような形で廃止・凍結いたしました退職給付の種類を各企業に設問をいた しました。その結果が、右の方の表になります。  廃止・凍結したと答えられました退職給付の種類は、適格退職年金が73%で一番高く なっております。  一方、一部減額をされたものといたしましては、退職一時金47%と、これが一番高い 割合になっております。  1枚おめくりいただきまして、次に確定拠出年金導入前後の退職給付の割合、これを 全企業と企業の規模別に見てございます。  その下の表の「【全体】」と書いてあるところを、まずごらんください。  退職給付の種類が一番左にございまして、導入前の割合は厚生年金基金が17%でした ものが導入後12%に、適格退職年金につきましては、49%が8%と大きく減少してござ います。  導入後の確定拠出年金の割合、これは右の方ですけれども、全体の58%という数字が 出ております。  以下、順次右の方へ企業規模別に退職給付の割合を比較しております。これも当然の ことですけれども、規模が小さい企業ほど確定拠出年金の割合が高く、また、適格退職 年金をこれに振り向けたという割合も高く出ております。  1枚おめくりいただきたいと思います。  次に、大きな項目のIIIのところでございます。掛金等の状況について、まず、規約定 めます掛金額の上限金額ですけれども、平均値で2万2,635円(月額)になっております。 昨年度は2万418円だったので、若干増加しております。  一方、下限金額の全企業の平均値は5,592円(月額)となっております。  こうした上限の金額を「他年金なし」と「他年金あり」、一番下の欄にございますよ うに「他年金あり」というのは、厚年基金と適格退職年金などを採用している企業でご ざいます。  両者に分けて比較をしてみますと「他年金なし」の平均は2万6,399円、「他年金あり 」後者でございますけれども、これは1万5,298円となってございます。その上限金額の 分布をこの表にまとめてあります。  1ページおめくりください。  全加入者の掛金の月額、これの平均値は1万2,211円でございました。昨年度は 1万2,031円でしたので、ほぼ横ばいということでございます。  同じくこの平均値を「他年金なし」と「他年金あり」に区分してみますと、前者は 1万3,744円、後者は8,929円となっております。ここの表には企業ごとの平均掛金月額 の分布をまとめております。  1枚おめくりいただきますと、ここには給付の形態、それを老齢給付と障害給付に分 けました。更には、同じように給付の種類、これについても終身、有期、選択と分けて 比率をとってございます。  後者の方で、終身年金の割合というのは非常に低く、有期年金だけのところが6割以 上を占めている現状でございます。  1枚おめくりいただきまして、大きな項目のIV、運営管理機関についてでございます。 先ほど来、運用関連の運営管理機関による情報提供のことが出ておりますけれども、 非常に多様な情報提供手段が用意されておりまして、ウェッブ・サイトが85%、コール センターが76%、資料の配付72%、そしてビデオ、DVDの配付31%という結果が出て おります。続きまして、1ページおめくりいただいて、大きな項目のV、投資教育につ いてでございます。  まず、初めに確定拠出年金の導入前後で、その実施機関を比較しております。導入前 の教育につきまして、運営管理機関が83%、下の表の一番左でございます。自社は48% となってございます。以下、新入社員の教育、継続教育は見ていただいたらよろしいか と思いますが、導入前の教育につきまして、昨年度の調査では、自社が67%、運営管理 機関が66%ということですので、前者がかなり割合を落として後者の比率が高くなって きております。  もう一枚おめくりいただきますと、投資教育の実施方法、これを先ほどと同じように 導入前、新入社員、継続という3つに分けて調査をしております。これも大方予想され た結果かとは思います。  継続教育では、一番右の欄にありますけれども、説明会の開催という比率が31%と、 非常に低下しておりまして、資料の配付、それからウェッブ・サイト、これらが中心的 な教育手段になってございます。  続きまして、1枚おめくりいただきまして、この2つの表はこのたび新しく設けまし た設問項目でございます。  まず、左の表ですけれども、投資教育の際に重点を置いているものは何かということ について設問をいたしました。全部で1項目からその他を含めまして7項目まで項目を 挙げて、2つまで選択をいただきました。  ここの結果にございますように、リスクとリターンの関係が49%、以下、分散投資と その効果、長期投資とその効果が44%、41%と高い割合になっております。  続きまして、右側の表は投資教育に対する取り組み姿勢を聞いたものでございます。 その他も含めまして5つの選択肢を用意いたしました。  その結果、最低限度は行うべきであるという割合が41%、確定拠出年金を導入した事 業主の責務である、これが40%となりまして、費用対効果を重視しながらそれなりにや っていこう、ないしは労使の新しい対話手段として積極的にやっていこうという比率は 低く出ております。  1枚おめくりいただきまして、従業員の規模別に投資教育への取り組み姿勢を見たも のが、ここの図表でございます。  期待されたような明確な傾向というのは見られませんで、あえて言いますと、規模の 小さいところで最低限度は行うべき割合が高く、規模の大きいところでは事業主の責務 と考える割合が高い、このぐらいの傾向でございます。  更に1枚おめくりいただきまして、5)の投資教育効果の把握状況でございます。こ れは、昨年度も調査をさせていただいた項目になります。把握しているという割合が23 %、昨年度は26%でしたので、3ポイント下がっております。今後把握する予定である という割合は35%、昨年度は30%でしたので、この割合はやや上がっておりまして、最 後に把握する予定は全くないんだと、これからもないんだという割合は37%、昨年度は 44%ということでしたので、この割合は7%ほど減少しております。それだけ投資教育 効果の把握の必要性というものも徐々に認められてきたのではないかと思われます。そ れを従業員規模別に見ましたものが、下の図表になっております。  もう一枚おめくりいただきまして、では、教育効果の把握状況別に、導入前の退職給 付割合と、導入後の退職給付の割合が相違するのかどうか、これを簡単に見たものが6 )と次の7)でございます。  それぞれ「把握している」「今後把握する予定である」「把握する予定はない」、導 入前の退職給付の割合については、ほとんど傾向は見られません。  それに対しまして、1ページおくめくりいただいて7)のところになりますと、導入 後の退職給付の割合では、把握している企業群において確定拠出年金の割合が非常に高 くなっております。71%となっておりまして、全体よりもかなり高い比率が出ておりま す。  それから、大きな項目のVI、今度は手数料についてでございます。  これは、昨年度も調査をさせていただきました、各種の手数料、運用関連業務、記録 関連業務、そして資産管理業務、更には投資教育ということにつきまして、初期費用及 び月額の維持管理費用を設問して、その一人当たりの手数料の金額を下のようにまとめ ております。  昨年度とは、母数、それから企業の構成、これもちょっと違いますので、一概には言 うことはできません。ただ、これを見てみますと、資産管理業務、初期費用がかなり低 い、低位な値、それから投資教育の維持管理費用、月額の費用ですけれども、これが昨 年度と比べて半減していると、このような傾向が見てとれます。  最後にVIIのところで、運用商品について幾つか調査をしております。  まず、事業主が加入者に提供しております運用商品の数は、平均で12.9、これは下の 図表の上の方の破線でございます。昨年度は13.3でしたので、やや減少してございます。 そのうちの元本確保型の商品数は平均で3.2、これは下の方の破線で表わされておりま すけれども、昨年度と全く同じ数値でございます。  これを従業員の規模別に見てみますと、規模に応じて若干運用商品数が多くなってい る。一部に蛇行というか跛行もございます。  続いてもう一枚おめくりいただきまして、従業員一人当たりの運用残高割合、これを 商品類型別に見ております。預貯金がちょうど5割です。株式投資信託と保険商品、そ れぞれが25%と11%になってございます。  昨年度と比べますと、預貯金がかなり増加して、公社債、株式の投信はかなり減少し ております。昨年度の運用残高割合よりも安全志向になっていると、こういう状況でご ざいます。  そして、これを年齢別に見てみますと、一番上の預貯金のところで、年齢が増えるに したがって預貯金の割合が高い。  それから、4番目の株式投信につきまして、年齢が経るにしたがってその割合が減っ ていくという傾向が見られます。  次に、運用残高割合を導入年度別に比較をしてみました。  これも当然のことなんですけれども、経済状況等を反映いたしまして、2003年度に導 入いたしました企業で、預貯金の割合が非常に高く、株式投資信託の割合が非常に低く 出ております。  図表では、下の方に導入年度をとって、それぞれの残高の割合を比較しております。  最後に2つですけれども、投資教育の取り組み別に運用残高割合を比較しております。 一番左が全体になっておりまして、その隣りの最低限度行うべきというところ、それか ら一番右側の事業主の責務と考えるところ、ここら辺のところで預貯金の割合が比較的 高く、株式投資信託の比率は低くなっております。  一方で、費用対効果を注視したり、積極的に取り組むという企業では、よりポジティ ブといいましょうか、リスクとった運用資産残高内容になっております。  同じく今度は投資教育の把握状況別に運用残高割合を比較しております。  これを見ていただくとおわかりになりますように、把握しているという企業群で預貯 金の割合が低く、また、保険商品の割合も低く、そして株式投資信託の割合が高いとい う傾向が見られます。  以上が企業調査の結果でございます。  引き続きまして、簡単に資料の7−3で、企業型の加入者調査についてご説明をいた します。  まず、資料を1ページおめくりいただきまして、ここには「回答加入者の特性」を記 載してございます。  企業型加入者の全回答者数は327名。性別で見てみますと、男性が77%、女性が23%。 加入形態別では、勤務先、一律適用者が66%、希望による加入者が33%でございます。 年齢別の加入者数を下の表にまとめてございます。  1枚おめくりいただきまして、加入の状況ということで、下の表を見ていただくとお わかりになりますように、税金等を考慮して老後資産形成に有利である47%。自ら資金 運用するよい機会39%、同じく公的年金だけでは老後生活が不安という割合が39%、こ の3つが上位を占めております。  これを主要理由に限定して年齢別に比較をしたものが、次のページになります。  これも少し傾向を読み取るのは難しい。あえていいますと、20歳代で自ら運用するよ い機会を選択する割合が高く、30歳代の前半、40歳代、50歳代の前半で公的年金だけで は老後生活が不安を選択する割合が若干高くなっております。  1枚おめくりいただきまして、大きな項目のII、投資教育についてでございます。  ここの2つの表には、上の表が実施方法別の理解度、下の表は教育内容別の理解度を 見ております。  下の方に注目していただきますと、制度内容、加入手続につきましては「十分理解で きた」「理解できた」の合計割合は8割近くなっております。  一方、資産運用方法と運用商品については6割を切っております。  なお、同じ調査を昨年度もやっております。全般的に見ると、5ポイント以上すべて の項目について理解度は高まっている、このような結果が出ております。  1枚おめくりいただきまして、以下は、年齢別にそれぞれの実施方法及び実施された 内容についての理解度比較をしております。少し長くなりますので、簡単にご説明をし たいと思います。  まず、初めが説明会の理解度ということで、これは20代の前半を除きまして「十分理 解できた」「理解できた」という割合は8割前後と非常に高くなっております。  続きまして、もう一枚おくめくりいただきまして、資料配付の理解度でございます。  これは、グラフを見ていただくと、ちょっと山型のようになっておりまして、30代の 前半辺りで「十分理解できた」「理解できた」の合計割合が77%と一番高く出ておりま す。次に投資教育の内容別に理解度比較をしております。それが1ページおめくりいた だきました4)のところでございます。  制度内容につきまして、20歳代前半で理解できた割合というのがやや低いんですけれ ども、ほかの年齢層では7割を超えております。  続きまして、加入手続につきましても年齢別に比較をしております。20歳代と50歳代 の前半で相対的に低くなっておりますが、そのほかは大体7割を超えておりまして、特 に30歳代の前半及び40歳代の後半辺りの年齢層で理解度が高くなっております。  もう一枚おめくりいただきまして、運用商品の理解度についてです。  これは、先ほど言いましたように山型に同じくなっておりまして、20歳代の前半で極 端に低く、また40歳代の後半、50歳代の前半でも大分低くなっております。先ほどと同 じく30歳代の前半で理解できる割合が高く出ております。ちょうど山型のようになって ございます。  最後に運用方法の理解度でございます。  運用方法の理解度は、20歳代前半で低いという以外は、大体5割から7割弱という割 合で理解度が高く出ております。  次に、先ほども幾つか話題に上っておりました投資アドバイスの意向という質問いた しました。一般的な投資教育に加えて、具体的なアドバイスがほしいと考えている加入 者の割合は69%、昨年度が68%だったので、ほぼ変わらない、横ばいでございます。  それを年齢別に見たものが下の図表でございます。傾向といたしまして、若い層ほど 投資アドバイスを受けたいと考えている割合が高く出ております。  次に1ページおめくりいただきまして、大きな項目のIII、運営管理機関についてでご ざいます。  これは、コールセンター及びウェッブ・サイトの利用頻度を聞いてございます。コー ルセンターの利用経験については、2割ということで、利用経験がないものは8割とな っております。  一方、ウェッブ・サイトの利用状況につきましては、利用したことがある割合は64% とかなり高くなっております。ただ、利用の頻度につきまして、この表を見ていただき ますと、週1回ですとか、月に2〜3回というのは1割以下にすぎませんで、かえって ほとんど利用しないという割合は20%になっております。  次に1枚おめくりいただきまして、年齢別のウェッブ・サイトの利用状況を見ており ます。  これは、ちょっと見づらい図表にはなっておるんですけれども、一番言えることは、 頻繁に利用する層というのは、30歳代の前半辺りが一番よく利用する。一方で40歳代の 後半辺りが逆に利用していないという状況でございます。  1枚おめくりいただきまして、ウェッブ・サイトを利用している加入者たちの理解度 を聞いております。これは、平均で8割を超えております。ですから、ウェッブ・サイ トをよく使う方たちは、かなり理解度が高いとみていいのではないかと思います。昨年 度は、75%でしたので、これも約5ポイントほど上昇をしております。  次に1枚おめくりいただきまして、コールセンター及びウェッブ・サイトの利用目的 が記載されております。これは表の方を見ておいてください。  最後のIVの項目で掛金及び運用状況について見ております。  まず、1)のところで、平均掛金月額1万3,691円となっております。これが、この図 表の中で破線で表わされております。これを年齢別に見たものが下の方の図表になりま すけれども、30歳代の後半以降で1万4,000円を超えております。  もう一枚おめくりいただきまして、この掛金月額を年収別に比較をしております。同 じく破線が平均値になっております。年収が徐々に上がりますと、大体掛金月額は上昇 して、そして年収800万以上で1万6,000円を超えているという状況でございます。  今度、3番目のところでは、加入者が選択をしている運用商品総数を見ております。 上の方の破線が平均値の3.8、下の方の破線が元本確保型商品数の平均値1.2でございま す。年齢別に見てみますと、運用商品総数は50歳代前半で最高の4.5、50歳代後半で最低 の2.8となっております。  1枚おめくりいただきまして、今度は総数と元本確保型商品数を年収別に見ておりま す。これも先ほどと同傾向と言っていいのかもしれません。年収800万円代で最高の4.9、 年収900万円台になりますと、最低の2.5、1,000万円以上でも3.0という数字でござい ます。  5)のところで、運用商品の類型別の残高割合を見ております。この表を見ていただ くとおわかりになるように、株式投資信託が37%と高く、預貯金は33%と2つの割合が 高く、債券と保険商品が1割、10%程度でございます。  昨年度と比較をいたしますと、これも株式投資信託の割合が46%から9ポイントほど 減少をしております。  最後に、これまでの運用商品の変更経験を聞いております。数値は平均値でわずか0.4 回ということで、まだ変更経験している割合は低くなっております。その変更理由につ きましては、左の方の表に整理してあります。  それから、残高などの変更に役立った情報源といたしまして、右の表に整理してあり ますように、運営管理機関のウェッブ・サイト、これが54%と一番高く、次にその他、 これは知人などからの情報ということで、その他が24%、次に金融関連専門誌、これが 13%となっております。  以上、少しお時間を長くちょうだいいたしまして、また早口になりましたけれども、 ご報告申し上げます。 ○ 加子座長  ありがとうございました。それでは、向山上席調査役よりご説明の方をお願いします。 ○ 向山上席調査役  それでは、若干お時間をいただきまして、私、国民年金基金連合会確定拠出年金部の 向山と申します。  個人型の確定拠出年金の実態アンケート調査結果につきまして、時間の関係もござい ますので、資料8−2の方でご説明させていただきたいと思います。  ご説明に入ります前に、一言今回の調査の実施の方法等につきまして、若干コメント させていただきたいんですが、個人型年金の加入者、あるいは運用指図者につきまして は、昨年度は、ただいま田村理事、石田教授からご報告のありました昨年度の調査にお ける中で、企業型年金の加入者と同じ調査票を用いて調査を実施していただいていたわ けでございますが、個人型年金は、始まってもう2年以上経過いたしまして、大きな特 徴といたしまして、個人型のみしか加入経験がない場合と、企業型年金に最初に加入し て、それから退職して資産を個人型に移す場合、これはかなり大きな違いがございます。  あと、当然のことですが、個人型年金の特徴として、加入者本人が運営管理機関を決 めるということがございますし、今、申しましたように、加入者だけではなくて運用指 図だけを行う、運用指図者というカテゴリー、これも個人型年金の特有のものでござい ます。こういった特徴もございますので、今年度は、そうした特性ごとの加入者の意識 をより明らかにしたいというふうに考えまして、昨年度の調査票を基本的にはベースと しながらも共同で実施させていただきます厚生労働省と私どもの方で、若干調査の項目 を変更いたしましたということで、その辺のところを若干ご留意いただければと思いま す。  早速でございますが、内容につきまして逐次ご報告申し上げます。  まず、1ページ目でございますけれども、回答者の特性でございますが、個人型年金 の加入者の今回の回答者は356人でございました。  調査対象といたしましては、既にご報告も申し上げておりますけれども、加入者が 1,000人、それから運用指図者が500人という形で抽出しております。年齢別に無作為抽 出を行っておりまして、加入者1,000人、運用指図者500人でございます。回答者は356 人で、回収率は24%。平均年齢は47.3歳ということでございます。性別には、男性が 72%、女性が28%。資格種別、これは第1号加入者、国民年金の被保険者の人は第1号 被保険者になりますが、その第1号加入者が101人、28%。第2号、厚生年金の被保険 者ですが、これが128人、36%。運用指図者は127人、36%ということでございます。  次に、2ページ目をおめくりいただきますと、個人型年金の普及というのを今後より 一層進めていくために、加入していただいた方々がどのような点にメリットを感じてお 入りになったかということにつきまして、今回新たに設問を設けてございます。 これは、基本的に1つだけの回答ということでございます。  今、申しましたように、個人型のみ加入経験のある場合と、企業型年金から移ってき た方と、これはかなり特徴が違いますので分けて集計いたしましたが、個人型年金のみ の方の場合は税制優遇を挙げる方が57%ということでございます。  他方、後者の企業型年金から移ってきた方につきましては、割合としては運用指図者 がかなり多くございます。したがいまして、それを反映して税制優遇をメリットと考え る方というのは、こちらの方は少なくて20%。一方でポータビリティー資産をそのまま 移換することで、年金の確保が図れるということで挙げた方が37%ということで一番多 かったということでございます。  3ページをお願いいたします。  運用指図者というカテゴリーということで、その運用指図者になった理由というのを 聞いております。  運用指図者と申しますのは、制度上は加入といいまして、掛金を拠出できるけれども、 あえて拠出をせずに運用指図者になるというケースもございますし、制度上掛金を拠 出できないということで運用指図者になるという場合、大きく分けてその2つがござい ます。その辺のところを運用指図者の意識を問うたものでございますが、回答者の約半 数は加入資格がないということを挙げております。  他方、加入資格はあるが、掛金を拠出したくないという2番目の項目。  それから、4番目の加入資格はあるが、支給開始年齢が迫っており、掛金を拠出する メリットがない。これを挙げた方が24%ということで、必要な資産の移換手続は済ませ て、ただ加入資格があるにもかかわらず、何らかの理由によって掛金の拠出までには、 まだ至っていないというケース相当数あるという現状がわかったかと思います。  4ページをお願いします。  今回、掛金額と年収のデータを併せてお聞きしまして、掛金額とクロス集計をいたし ております。  1号と2号で掛金の拠出限度額も違いますので、当然ながら分けてございますけれど も、全体的には、ごらんのように、年収が高い層の掛金額が高い傾向は見られると思い ます。ただ、1号と2号では状況がやや異なっておりまして、1号加入者につきまして は、左から4つ目までの年収1,000万円未満の層では、下から3つ目までの1万9,000円 以内の掛金額を設定している方が半数か、あるいはそれ以上ということでございます。  他方、一番右の1,000万円以上の層につきましては、その合計は27%ということになっ ております。逆に3万円以上の掛金額を設定している方が、上の2つのピンクとワイン レッドのところですが、63%となっております。  下の2号加入者の方でございますけれども、年収500万円未満、左の2つの棒でござい ますが、その層では掛金額の分布が比較的分散していると見てとれますが、右の3つの 方につきましては、上限額に近い設定をする割合が高いという形が出ております。  5ページ目をお願いいたします。  現在の運営管理機関を選んだ理由ですが、個人で運営管理機関を選定するというのが 必要な手続としてまずあるということから、その選んだ理由というのを、今回初めて設 問に加えましたところ、項目がごらんのように8つほど挙げてございまして、2つまで 選択可といたしました。  回答としましては、上の「これまで取引があるから」、3番目の「一般的に信用でき る機関だから」というのを挙げた方、この辺がかなり割合としては高い。  次いでは、企業型年金に加入していたときに利用していたということで、あえて変え ずに個人型年金においても同じ運営管理機関を利用するというケースも割合としては高 いわけでございます。  その下に運用商品とか手数料、その他運営管理業務の運営の実態を評価して選んだ割 合というのは、現在のところは余り高くないという結果だと理解いたしております。  6ページ目でございます。  ここから先は、いわゆる投資教育につきましてまとめておりますけれども、まず、運 営管理機関の加入時とか移換時、当初における情報提供をどのような形態で実施をして いるかということについての設問をしております。  企業型と比べますと、やはり個人型は、先ほどもご説明がございましたが、必ずしも 実施形態といたしまして、多くの形は現在のところは余りとらえていないので、資料配 付、担当者からの説明、あるいはそれに加えて金融機関でのウェッブ・サイトの利用、 この辺で設問しておりますが、結果といたしましては、資料配付と担当者からの説明と、 これを併せて受けているというのが73%と最も一般的であったということでございます。  7ページをお願いいたします。  投資教育の項目といたしまして、A〜Dに書いてある諸項目につきまして、理解度を尋 ねております。  自己評価でございますけれども、大きく分けまして、上の2つ、制度内容と加入等の 手続の関係、これについての理解度は6割、有効回答者で見ますと7割ぐらいが理解で きたと答えております。  金融商品の仕組みと特徴、C番目とD番目の金融関係の内容につきましては約半数、有 効回答者ですと、6割の者が理解できたという評価をしております。  8ページ、9ページで、今の4つの項目につきまして、理解度の年齢階層別の比較を 行っております。  まず、制度関係の2項目でございます。特徴としましては、その両者はかなり似通っ ていまして、20代の後半から40代の後半にかけましては、年齢が上がるにつれて理解度 が高まっております。ただ、50歳代は、ごらんのように理解度がトレンドから見ますと、 やや異質な傾向ということで、そこの部分はちょっと違うということがあろうかと思 います。  9ページも同様に、今度は金融関係の投資教育の理解度についての年齢階層別の分布 でございます。  大きく言えば、やはり今と同じように、20歳代後半辺りから40歳代にかけましては、 年齢が高まるにつれて理解度は高まっておりますけれども、50歳代につきましては、ち ょっとそこがやや異なるという状況でございます。  ただ全般的には、前の制度関係の内容に比べますと、余り年齢ごとの大きな特徴はな いというふうにも考えられるかと思います。  10ページでございます。  当初の教育を踏まえて、その後の継続教育の課題ということで議論をされているかと 思いますが、どの項目について希望をするかということにつきまして聞きました結果は、 ごらんのように、基本的には「希望する」と答えたものが、すべての項目で「希望し ない」と答えた者を上回っておりますけれども、特にあえて言えば、当初の理解度が相 対的に低かった金融関係の知識については、半数以上の方が継続教育を希望していると いうことでございます。  11ページでございますが、では、継続教育を希望すると答えた方を対象にして、どの ような方法で受けたいか。ツールといたしましては、先ほど挙げた3項目、すなわち資 料の配付、それから担当者からの説明、ウェッブ・サイトの活用、こういったところで 設問しておりますが、資料配付と担当者からの説明を挙げた者が、それぞれ約四割で拮 抗している状況でございます。  12ページをお願いいたします。  コールセンターとウェッブ・サイトの利用状況でございます。今、主要な情報提供の ツールといたしまして、この2つに絞って利用状況を聞いてあります。  ごらんのように、コールセンター13%、ウェッブ・サイト22%というような利用状況 でございました。  コールセンターにつきましては、定期的な利用者は余り多くございません。必要に応 じて利用するという割合が高いということでございます。  下の方で利用目的を聞いておりまして、これは複数回答で答えていただいております が、制度の内容や手続を知るというのが、利用者のうちの9割はその利用でございまし た。  ウェッブ・サイトにつきましては、右の方ですが、月1回以上の割合で定期的に利用 している方というのが11%ほどいらっしゃいます。  利用目的としましては、運用商品の最近の情報を知るということが一番多くなってお ります。  最後に運用商品の内容についてでございますが、まず、商品の選択数につきましては、 平均では1.9でございました。加入者と運用指図者でやや特徴がわかれておりまして、 加入者につきましては、2つ以上選択していると答えた方が59%でございましたが、運 用指図者は逆に1つというのが64%ということでございます。  それから、商品の内容につきましては、これは元本確保型とそれ以外ということで、 ご本人に判断をしていただいて、ここに集計をいたしました結果、いずれも元本確保型 の商品の方が6割以上ということで高いわけでございますが、運用指図者の方がその割 合がやや高いということがございます。  14ページですが、運用商品のスイッチング、あるいは配分割合を変更する。この状況 について聞いておりますが、有効回答者のうちでは、全体の2割の者が経験があると回 答しているということでございます。ちょっと、無回答のものもかなりあったんでござ いますが、有効回答者のうちでは、全体の2割者が経験があると回答していらっしゃい ます。  その理由としましては、経済環境の問題と、それから運用商品の実績、これはほとん ど似通っているかと思いますけれども、こういったところが多いということが挙げられ ます。最後に15ページでございますが、それらの運用商品配分割合の変更に役立てた情 報源といたしましては、運営管理機関のウェッブ・サイト、コールセンター、これらが 多くなっていると、過半数はその情報源を活用しているという結果が出ております。  簡潔でございましたが、以上でございます。 ○ 加子座長  向山様どうもありがとうございました。  それでは、改めまして資料の7、それから資料の8のアンケート調査結果に関しまし て、ご意見、ご感想、ご質問等あれば、よろしくお願い申し上げます。 ○ 光谷委員  企業型年金について商品ごとの、いわゆる運用に関してなんですけれども、最も関心 がありますところ、つまり、そういった商品ごとの運用に関して、何が最も大きな相関 関係があるかということについて、ここのアンケートで集計されている内容よりは、例 えばその人が持っている年収、あるいは一般的に言えば、従業員規模の大きい会社の方 が給与がいい、一般的な話ですけれども、それから逆に非常に零細の方が給与が低い、 つまりそれは年収ということに関わってくると思います。  もう一つは、その企業がほかに年金を持っているのかどうか、あるいは拠出額が大き いのか、小さいのか、どのぐらいの拠出額か、そういったところと、いわゆる商品ごと の運用の割合といいますか、状況といいますか、それとの相関関係を示すようなアンケ ートの集計結果がほしかったなと。今回のデータからそういうのが取れるのであれば、 取っていただきたいし、もし今回はそういう取り方ができないということであれば、次 回からのアンケートにそれを反映したような形でのアンケートをやっていただきたいと 思います。 ○ 田村理事  今日紹介した結果には出ていないのですが、ご指摘頂いた項目も調査していますから、 再集計をすればできる部分もございます。それは、できれば次回に用意いたしますけれ ども、次年度以降、また同じ調査をやりますので、そのときには今のご要望も含めまし て検討させていただきたいと思います。 ○ 石田教授  ご質問どうもありがとうございました。  昨年度の調査結果の最終報告書になりますけれども、ここの中には運用のポートフォ リオの割合を決定する要因を分析しておりまして、そこの中に、今、ご指摘いただきま したような掛金額ですとか、退職給付に占める割合でございますとか、それから加入形 態、一律適用なの、希望加入なのか、こういったものの質的な変数を取ってポートフォ リオに与える影響を分析しております。今年度も同じような分析ができると思いますの で、引き続き分析を行っていきたいと思います。  ご指摘ありがとうございました。 ○ 加子座長  ほかにございますか。 ○ 松井副本部長  資料の7−2の16ページに、投資教育効果の把握状況という設問がありますが、ちょ っとプリミティブな質問になりますが、具体的な投資教育効果というのは、どのように 把握しているのか、例などを教えていただければありがたいのですが。 ○ 石田教授  一番多い企業の工夫というんでしょうか、投資教育を把握する工夫といいますのは、 アンケート調査でございます。ですから、実際に投資教育を行ったら、それについてど ういうふうな理解が進んだであるとか、こういうふうなことを考えて投資行動を行いた いとか、これは定量的なものというより、定性的なアンケートの調査を行って、それを もってここでは投資教育の効果の把握ということに変えております。  そういう意味で、投資教育の効果とは一体どういうものなのか、もう少しきちんと定 義して、そしてもう少し定量的に把握するという仕組みもこれから必要になるかと思い ますけれども、現在は、そういう定性的な評価を行っているという段階でございます。 ○ 加子座長  ほかにございますか。 ○ 秦委員  では、時間が押しておりますので手短に2点だけ。  1つは、私は前から申し上げているんですけれども、例えば加入者調査の結果という のは、かなり実行されている会社から見ると、いろんな意味で懸け離れていると思うん です。悪いけれども、理解度の高い大変優良な加入者のデータを集めたとしか思えない ような形になっている。  やはり、どうしたら平均的な姿の加入者の状況をつかめるかという工夫が必要なので、 今までどおりのようなアンケート方式ではないやり方もちょっと検討する時期に来て いるんじゃないかなという感じがいたします。  もう一つ、今度は企業サイドからの投資教育は来年度の重要なテーマになると思いま すので、アンケートの中に、例えば説明会の開催というんですけれども、これが要は、 例えば出たい人だけ出てもらえばいいような形にしたのか、それが就業時間内であった のか、時間外であったのかとか、この辺のところは非常にキーになると思います。  やはり、いろんな企業は一応形式的にはやったと言っているんだけれども、ほとんど は大体時間外で希望者だけというのが大部分で、しかも余り人数が来なかったというの が実態だろうと思うんです。  ですから、そういう辺りのところがもう少し出てくるような、同じように資料配付も 単純に新しい商品が出たとか、運用実績を出した以外に、例えば運用は今どうなってい るんですよとか、今、並べている商品の運用実績がどういう形で動いているんですよ、 これからどんなところに注意したらいいですよとか、そういうようなものを出している のか、出していないのかと、これは決定的に違うと思うんです。ですから、この辺のと ころをもう少しきめ細かく質問を設定される方がいいんではないかというふうに思いま す。 ○ 田村理事  ありがとうございました。実は、今お話のような点は、まだ調査の方に入っておりま せんので、いいご指摘をいただきまして大変ありがとうございました。  それから、先ほどの件も、今回はちょっとできませんでしたので、次年度以降、検討 の内容に加えさせていただきます。 ○ 加子座長  それでは、時間も押してまいりましたので、まず、次の議題の「投資教育事例集に係 る調査について(案)」及び「平成16年度のスケジュールについて」をご説明いただい た後に、更にまたご質問等があれば、そのときにご発言いただくということで、進めさ せていただきます。  それでは、次の議題につきまして、事務局からご説明をお願いします。 ○ 松岡企画官  資料の9と10をお開きいただければと思います。  資料の9で「投資教育事例集に係る調査について(案)」ということでございます。  前回、投資教育について16年度のテーマとして投資教育事例集を作成していくという ことで申し上げましたけれども、その取り組みについて具体的に少しブレークダウンし たものを挙げさせていただきました。  1つは、連絡会議参加メンバーの企業における投資教育の状況調査をさせていただき たいと思っております。  下に掲げておるような内容につきまして、調査票を作成いたしまして、またご記入な どご協力をいただきたいと思います。それを事務局の方でまとめまして、また報告をさ せていただきたいと思っております。  内容につきましては、できるだけご意見なり、定性的な部分がわかるようなもので、 いろいろ工夫をされている点などを挙げていただければと思っております。  そのほか、最後の(4)にございますけれども、課題なども挙げていただければと、 考えております。  2ページ目ですが、2つ目が「運営管理機関に対する調査」ということでございまし て、運営管理機関の方でいろいろこの件について要望や課題がある点につきまして、関 係団体などを通じて調査をさせていただきたいと考えております。  3つ目が、先ほどのアンケートの16年度版ということでございますが、厚生労働科学 研究費で、特に投資教育などについて調査分析を行いたいということで、アンケートや ヒアリングなどで実施しようということで考えております。  それから、下に付けておりますのは、法令上の規定などでございます。  資料10ですが、16年度のスケジュールでございます。次年度は、また引き続き開催さ せていただきたいと思っておりまして、4回ほど予定をしております。第10回が6月ご ろに開き、今、申しましたような項目について、それぞれやっていきまして、最後に、 年が明けましてまとめということでやらせていただきたいと思っております。  必要に応じまして、いろんな方からヒアリングを行うということもございますし、そ のほか、制度改正の施行状況や、準備状況などについても適宜報告させていただきたい と、考えております。  以上でございます。 ○ 加子座長  ありがとうございました。本来ですと次に少し時間をとってフリートーキングを行お うと思っていたのですが、時間が押してまいりましたので、最後に、先ほどのご質問等 も含めまして、ご意見等あればご発言をいただければと思います。よろしいでしょうか。 (挙手なし)  それでは最後に、冒頭に申し上げました実施企業の担当者の方々からご意見があれば挙 手をいただければと思いますが、何かございますでしょうか。  それでは、最後に次回の連絡会議につきまして、事務局からご説明をお願い申し上げ たいと思います。 ○ 矢崎課長  本日は、長時間にわたりありがとうございました。  次回ということでございますが、次年度は、今、松岡の方から申し上げましたように、 投資教育というのを1つ大きなテーマにしてご議論をいただけたらと思います。  これは、今までの連絡会議でも投資教育のご議論をいただいたところでもございます し、この制度の着実健全な発展、普及のためにもやはり大事なテーマではないかと、こ ういうのが我々の問題意識でございます。  具体的な次回の開催時期でございますが、一応6月を目途に考えてございますが、ま た具体的な日程等につきましては、別途調整させていただくというふうに考えてござい ます。また決まり次第、ご連絡申し上げますのでよろしくお願い申し上げます。 ○ 加子座長  ありがとうございました。本日をもちまして、今年度の連絡会議は終了ということに なりますが、来年度におきましても、今年度に引き続き意見交換等を行ってまいりたい と思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、本日の連絡会議は、これで終了いたしたいと思います。本日は、ご多忙の 中、お集まりいただきまして大変ありがとうございました。