04/06/25 社会保障審議会障害者部会(第14回)の議事録             第14回社会保障審議会障害者部会 日時  :平成16年6月25日(金)15:00〜17:30 場所  :厚生労働省9F省議室 出席委員:京極部会長、嵐谷委員、安藤委員、猪俣委員、江上委員、岡谷委員、      北岡委員、小板委員、君塚委員、古畑委員、小林委員、斉藤委員、      笹川委員、新保委員、高橋(清)委員、高橋(紘)委員、武田委員、      丹下委員、妻屋委員、堂本委員、徳川委員、長尾委員、野中委員、広田委員、       福島委員、町野委員、松友委員 ○京極部会長  ただいまから第14回社会保障審議会障害者部会を開催させていただきます。委員の皆 様におかれましてはお忙しい中をお集まりいただき、まことにありがとうございます。 それでは事務局から委員の出欠並びに資料について御説明をお願いします。 ○間課長補佐  委員の皆様の出欠状況でございますが、本日は岡田委員、亀井委員、末安委員、永井 委員から御欠席との連絡をいただいております。また、笹川委員、堂本委員が少し遅れ られるようでございます。  続きまして資料の御確認をお願いいたします。お手元に配布させていただいておりま す資料は、まず資料番号1として論点整理という1枚の紙でございます。そして資料番 号2として、前回までの議事概要というやや厚めの資料でございます。そして資料3と して、今後の障害保健福祉施策について(中間的なとりまとめ)部会長案と題された資 料を御用意させていただいております。そして最後に資料の4としまして、障害者部会 の審議状況という1枚の紙を御用意しております。そして委員の皆様の机の上には前々 回の議事録を御用意させていただいております。御発言の内容などに誤りなどがござい ましたらば、7月9日(金)までに事務局までお知らせをいただきたいと存じます。ま た、資料の不足がございましたら御指摘をいただきたいと思います。 ○京極部会長  それでは議事に入ります。本障害者部会は、今まで論点整理に従いながら基本的な方 向性、障害者の自立支援のための保健福祉施策の体系の在り方、ケアマネジメント等の 在り方、サービスの計画的な整備と財源の在り方について一通り御議論をいただきまし た。今回はこれまで御議論いただいた論点について、先日の3委員からの提言や障害者 団体からのヒアリングを十分にふまえて、私の方から中間とりまとめの案をご提案させ ていただきます。  今回の中間とりまとめ案のポイントは、第一に、3月以降幅広く御議論いただいた各 論点について大きな方向性を示そうとしていることです。それは単に介護保険との関係 にとどまらない施策の広い方向についての議論をまとめております。  第二に、資料2の前回までの議事概要に整理されているような、委員からの御意見を 整理してまとめています。かなりたくさんの意見をいただきましたが、できる限り中間 まとめの中に盛り込みたいということでまとめております。  第三に、前回の障害者団体からのヒヤリングをふまえたものにしていること。  第四に、本日議論した上で28日の介護保険部会において現時点での障害者部会の議論 の中のものとして提示する必要があることでございます。一応そういうことでまとめて みましたが、今日御議論をいただいてさらに深めていきたいと思っております。それで は事務局の方から案を読み上げていただきます。 ○間課長補佐  それでは事務局の方から読み上げをさせていただきます。資料3を御覧いただきたい と存じます。  今後の障害保健福祉施策について (中間的なとりまとめ) 部会長案                                平成16年6月25日  社会保障審議会障害者部会においては、本年2月に社会保障審議会により設定された 審議事項である「ライフステージ等に応じたサービス提供の在り方、ケアマネジメント の在り方、雇用施策等との連携、財源の在り方等、支援費制度や精神保健福祉施策など 障害者施策の体系や制度の在り方に関する事項」について、3月2日以来、ほぼ2週間 に1回のペースで10回にわたり精力的に議論を行なってきた。  これまでは、とりわけ身体障害、知的障害及び精神障害の三障害共通の枠組みに関す る大きな方向性を議論してきたが、中間的なとりまとめを以下のように行なうこととし た。 今後、この中間的なとりまとめの方向に沿って政府及び関係者において施策体系 や制度の在り方についてさらに詳細な検討が行なわれることを期待し、当部会としても さらに議論を深めることとしたい。 1.基本的な方向性 ○障害保健施策の基本的な方向性については、障害者基本法に基づく障害者基本計画 や、「今後の障害保健福祉施策の在り方について(中間報告)」(平成9年12月、関係 三審議会合同企画分科会)をはじめとするこれまでの審議会の議論を踏まえつつ、今後 は、狭義の福祉だけではなく、就労、教育なども含め、幅広く自立と社会参加を進める 視点で考えるべきである。 ○現在の障害保健福祉施策は、障害種別や年齢により、支援費制度、措置制度、精神保 健福祉施策、医療保険制度等が組み合わさっているが、福祉サービスや就労支援等に関 する制度的な枠組みについては、基本的に三障害共通の枠組みとすべきである。 2.障害者の自立支援のための保健福祉施策の体系の在り方 (1)ライフステージ等に応じたサービス提供  (全体的課題について) ○支援費制度は国の共通の制度としてサービス提供量を拡大させるなど障害者福祉の向 上に寄与しているものの、実際にはサービス提供量等の地域差が大きく、サービスを選 択できる地域とそうでない地域とがある。また、精神障害者福祉については、他障害に 比べても立ち後れている状況にある。 ○これまで必ずしも施策の対象となってこなかった高機能自閉症やADHD(注意欠陥 多動性障害)、LD(学習障害)などの発達障害についても総合的な支援に取り組んで いく必要がある。 ○様々な施設類型があるが、実態を見ると違いがわかりにくくなっており、施設の果た している機能に着目した整理が必要である。 ○地域移行を進めるためには、居宅サービスを充実させるだけではなく、入所施設が利 用者を地域に押し出す機能を持つことが重要である。 ○入所、通所に関わらず、施設の機能を一旦分解して、各機能のサービスを地域でも受 けられるようにすることが重要である。施設・在宅の二元論ではなく、自由な利用を可 能とするべきである。 ○地域の人々にノーマライゼーションの考え方を理解してもらう必要性がある。差別を 品性、文化の問題とせず、具体的にどう解消するかという議論をすることが必要であ る。地域で暮らすためには、日常的に住民と交流することや、子どもの時から友達づき あいができるようにすることが重要である。 (ライフステージごと等の課題について) ○ライフステージごとに様々なサービスが不連続となっており、それらのサービスをつ なげていくことが必要である。 ○乳幼児期は障害の発見、療育、障害児の養育に不安を持つ親(特に母親)に対する支 援が重要である。障害の告知方法など、障害を受容できるようなアプローチを検討する ことが必要である。 ○障害の重度化に伴い、肢体不自由児施設や重症心身障害児施設への緊急入所という形 での支援が在宅生活を支えるために必要である。 ○障害児については、18才以上になっても障害児の施設を利用し続ける「加齢児」が多 いということ、措置制度となっていること、措置の権限が市町村に移譲されていないこ と、医療との関係が深いということなどについて議論か必要である。 ○高齢障害者では、生活支援・介護だけでなく、医療支援も重要である。 ○聴覚障害者に対する手話通訳や要約筆記などの情報・コミュニケーション支援や視覚 障害者の移動介護は、ホームヘルプや他のサービスとは別系統のサービスとして考える べきである。 ○公的サービス以外にも手帳を持っていれば受けられるサービスがあり、これを拡大す るように働きかけることが必要である。 (2)就労支援 ○就労支援は、障害者施策の中心課題の一つであり、どう実行し実現するかという段階 に入っている。 ○本人の意欲と能力に応じて就労できるよう、評価、相談、調整の支援の機能を位置づ けることが重要である。この場合において、一旦就職した企業等でうまくいかなくても 再訓練等により就労に結びつけていくことが重要である。 ○施設体系を機能に応じて整理し、機能強化を図っていくべきである。その場合に、量 的な整備を図ることも重要である。 ○一律に一般就労へ移行するのではなく、一般就労につながらないが働きたい人たちの ための雇用の在り方を検討する必要がある。 ○現時点では保健医療・福祉・就労の間のつながりが十分ではなく、それらを含めた連 携が重要である。 ○雇用だけでなく、自営業、起業や在宅就労に対する支援も検討する必要がある。 ○障害者の能力を活かして、いろいろな障害者を合わせて雇用することで、企業にとっ ても有利なこともあるのではないか。また、企業は雇った以上は障害に配慮しながらそ の能力を最大限発揮できるようにするので、就職の際のマッチング、ジョブコーチ、環 境整備等の支援が必要である。 ○通勤や職場の人間関係が難しく、たとえ就職してもすぐに辞めてしまうケースがあ り、人間関係をどうしていくかが重要である。また、精神障害者の場合、長時間の勤務 が難しいといった理由により就労が進んでいないという実態があり、こうした実情を踏 まえた就労支援の取組が求められる。さに、就労支援と合わせて生活支援を行なうこと も必要である。 ○本人がいくら頑張っても支援者がいないと仕事ができない人もおり、どこが責任を持 って支援者を確保するのか議論する必要がある。 ○仕事の場面で障害者の役割を認め、働く意欲がわくようにすべきである。 ○障害の状態等から就労困難な障害者についても、日中活動の場が必要であり、通所の 利便を考えると、小規模なものが多く必要である。 (3)住まいの確保 ○障害者の住まいの確保を進める際には、グループホームなどの福祉施設の充実を図る ことに加え、公営住宅や一般住宅への移行も念頭においた施策への取組が必要である。 ○障害者の地域移行を進める観点からは、住まいの確保が重要であり、とりわけ在院長 期化が問題となっている精神障害者の場合、住まいが確保できれば早期退院、地域生活 への移行が促進する。 3.ケアマネジメント等の在り方 ○障害者の生活を支え、自立と社会参加を進める観点からの総合的なケアマネジメント の制度化を図るべきである。 ○障害者ケアマネジメントは、様々な職種によるチームアプローチを基本とするととも に、その透明性や中立性の確保に配慮すべきである。 ○契約方式の下では、制度を利用するに当たって、権利擁護が実質的に機能する方策を 考える必要がある。 4.サービスの計画的な整備と財源(配分)の在り方 ○市町村障害者計画に精神障害も含めた三障害の記述をするほか、数値目標を義務付け ることが必要である。 ○支援費制度には勘案事項はあるが、全国の市町村で必ずしも統一的に運用されておら ず、また、精神障害者福祉には勘案事項そのものが存在していないため、公費を財源と したサービスの配分の在り方や支給量の決定などに関する基準をより明確に導入するべ きである。 ○現在の制度では、扶養義務者の負担があるために、ヘルパーの利用状況が扶養義務者 にわかってしまったり、扶養義務者に気兼ねしてサービスの利用が抑制されたりする面 がある。 5.今後の障害保健福祉施策に係る制度の在り方について (1)障害保健福祉施策全体の在り方 ○既に述べたように支援費制度をはじめとする障害保健福祉施策については、(1)幼児 期や学齢期における発達支援、青壮年期における就労支援や日中活動支援、高齢期にお ける生活支援などのライフステージ等に応じたサービス提供、(2)障害の有無にかかわ らず共に働き共に支え合う観点からの就労支援、(3)暮しの基盤となる住まいの確保、 (4)障害者の自己決定と適切なサービス利用を支援するケアマネジメント等の在り方、 (5)サービスの計画的な整備と財源(配分)の在り方等、様々な観点から施策の在り方 を見直す必要がある。 ○今後の障害保健福祉施策の基本的な取組の方向性を具体的に明らかにし、多くの課題 に対して法律改正も含めて積極的に取り組むため、当部会においても引き続き議論を深 める必要がある。 ○また、障害保健福祉施策の主な実施主体である市町村をとりまく状況を見た時、住民 に身近な地方自治体が自らの権限、責任、財源をもって行政を進められる体制を整備す るという地方分権の大きな流れがある一方、それぞれの市町村においては福祉に限らず 多くの困難な政策課題を抱えている。そして現行制度のもとでは、障害保健福祉施策の 実施主体である市町村に対する国の財政を含めた支援は十分とはいえない。このような 中で、いかに市町村が障害保健福祉行政を進めていくことのできる施策体系や制度を整 備するかが大変重要である。 ○さらに、介護保険制度については、来年にも介護保険の見直しが予定され、障害者施 策との関係は制度創設当初から見直しの際に検討すべき課題となっている。 ○また、地域住民の視点から見た時、障害の状態に誰しもなりうるものであり、また、 誰しも年老いていくものであることを考えると、障害種別や年齢等に関わりなく、同じ 地域に住まう一人の住民として等しく安心して暮らせるよう支え合うという地域福祉の 考え方が重要になっている。 (2)新たな障害保健福祉施策と介護保険との関係 ○上記のような状況の中で、今後、地域福祉の考え方に立って障害保健福祉施策を推進 するため、国民の共同連帯の考え方に基づいており、また、給付と負担のルールが明確 である介護保険制度の仕組みを活用することは、現実的な選択肢の一つとして広く国民 の間で議論されるべきである。 ○この場合において、第12回障害者部会(平成16年6月4日)において3人の委員が示 した考え方、(「障害者福祉を確実安定的に支えていくために 〜支援費制度と介護保 険制度をめぐる論点の整理と対応の方向性〜」)のように、介護保険制度により全ての 障害者サービスを担うのではなく、介護保険制度とそれ以外の障害者サービス等とを組 み合わせて、総合的な支援体制を整備する必要がある。 ○また、介護保険制度の仕組みを活用することについては、障害特性をふまえたものと なるのかどうか等について関係者から課題や懸念が示されており、これらについて十分 検討し対応することが必要である。 ○現時点においては、障害保健福祉施策の推進のために介護保険制度の仕組みを活用す ることについては、賛成する意見や課題を示しつつ選択肢の一つであることを認める意 見のほか、判断する材料が十分ではないとの意見や反対する意見もある。 ○今後、よりよい制度を模索していく中で、障害者、医療保険関係者をはじめ多くの関 係者の意見を十分聴いて検討する必要があるとともに、障害保健福祉施策の実施者であ り、介護保険制度の保険者でもある市町村と十分協議することが必要である。 ○いずれにしても、介護保険制度の仕組みを活用することを含め障害保健福祉施策をど うするかについては、今後、国民一人ひとりが「障害」の問題を他人事としてではな く、自分に関係のある問題であるとの認識に立ち、広く議論が行なわれ、その理解と協 力が得られることを期待したい。以上です。 ○京極部会長  どうもありがとうございます。私の方から案について若干補足をさせていただきま す。以前に御説明いたしましたように、一番焦点となる介護保険との関係については、 比喩的に申し上げますと、障害者部会と介護保険部会はピッチャーとキャッチャーの関 係にあります。障害者部会から介護保険部会にボールを投げなければ試合開始のサイレ ンが鳴りません。この問題はまことに多くの関係者がいらして、また、技術的検証や制 度的な検討だけではなくて、文字通り国民的な合意がなければ前に進むことができない 話でございます。そして障害者部会が検討を呼びかけなければ議論すら始まらないとい う状況もあるわけでございます。  そこで今回の私の案において、前回の障害者団体の御意見や関係団体の御意見もふま え、障害者施策の推進のために、介護保険制度の仕組みを活用することを現実的な選択 肢の一つとして議論していくことを呼びかける形にいたしました。  なお、巷で支援費制度と介護保険の統合という言葉が使われたようでございますが、 若干不正確でありまして、支援費制度でカバーされている障害者施策の一部を介護保険 に組み入れ、あわせて介護保険以外の様々なサービスとの総合的な組み合わせで障害者 施策をこれまで以上に飛躍発展させるという観点で書かれておりますので、よろしく御 議論をいただきたいと思います。  ここからは中間のとりまとめ案について委員の皆様方から順次御発言をいただきたい と思っております。いかがでしょうか。では丹下委員からお願いいたします。 ○丹下委員  前回申し上げることを発言させていただこうと考えておりましたが、御承知のように 団体からのヒアリングに終始されましたので、不本意ながら本日に延ばさざるを得ない なと思っておりまして、今、発言のお許しをいただこうとしましたら早速にその機会を 与えていただいたということで、冒頭に申し上げる機会を得ましたことをまずは感謝を 申し上げます。以下申し上げることを、ぜひ本日の中間取りまとめの内容に投影をして いただきたいと思うわけでございます。  去る6月4日に3人の先生方がお作りくださいました、いわゆるたたき台でございま すが、大変意味のある御指摘も多々ございまして、内容は優れたものと思っております けれども、全体として私は大変残念であるということを申し上げます。  それはどういう点かと申しますと、まず一つは、支援費制度改革の方向性として、介 護保険制度へ組み入れるという表現をとっておられますが、これが有力な選択肢である とおっしゃっていること、それから20才以上の被保険者は対象とすることが当然である と言い切られたこと、この二つは少なくとも私は時期尚早な方向づけであると申し上げ たいと思うわけでございます。  審議会というのは、ある意図の追認の場であるというよりは、国民のニーズですと か、社会のニーズをくみ止めて、我が国のいくべき方向はどこなのかということについ て委員の自由な意見や知恵を出して、その是非を論ずるという場であるべきではないの かと、こう思うわけであります。  そしてそのためには、考え得る多くの方向を選択肢として、材料を吟味した上で、例 えばAの実現のためにはこういう問題、それを妨げているのはこういうこと、何をどう 修正すればそれが実現できるかといったようなことを議論するところから始めなければ おかしいのではないかと思っております。既に決まった方向があるかのような御提案で あったことに対して、これは何によっておられるかということですが、もし仮に委員の 意見の大勢がその方向だというようなお考えがあるとすれば、それについては私は異論 がございます。  委員が31人おられて、それぞれの御立場で、それぞれのお考えに立って意見を言って おられます。しかしながら、委員の構成は国民のニーズの構成と必ずしも相似形ではな いわけでございまして、例えば産業界といいますのは私は社会経済の中で決して小さい ウエイトを持った存在ではないと考えておりますが、その立場から発言させていただく 意見というのは、私1人であるというのがその証左ではないかと、このように思うわけ です。  産業界は支援費制度の介護保険への統合を、今、部会長は詳しく注釈されましたが、 私の言い回しにもし誤りがあるとすれば、それはお詫び申し上げますが、支援費制度の 介護保険への統合を前提とした検討には産業界は絶対に反対であるということを私は代 弁させていただきたいと思います。この趣旨はすでに私は経済団体を通じて申し入れを させていただいたと聞いております。  この際申し上げておきたいと思うのは、一つは年金改革法の成立に際しての状況に関 連することかもしれません。私はそれ自体を云々するというつもりは全くございません けれども、その時に国民の今後の期待とか課題は、社会保障制度のグランドデザインの 確立ではなかったのかということであります。今回の法律にも修正が行なわれておりま すし、三党合意とやらにもあるわけでございますし、また、産業界からも要請をしてお ります。  要は高齢化というのは不可避でありますけれども、必要のままに負担を増やすという 行き方でいいのかということであります。従来、弥縫策だったという失礼な言い方はす るつもりはございませんけれども、制度ごとにその時々の必要に応じて対症療法の積み 重ねをしてきた結果が今日の姿ではないのかということであります。いまこそ個別の社 会保険制度の手直しといったレベルのことに先だって、社会保障全体の在り方を見定め なければいけないのではないかということを申し上げたいのです。  その上で、その中の障害者介護の姿を考えた結果として、介護保険との一体化が妥当 というのならともかくですが、また、従来と同様、財源問題を中心に据えて、単発単独 の制度見直しを進めるということについてはとても妥当とは思えないということです。 もし、高齢者介護に比べて、この障害者の問題が金額的にボリュームが小さいというこ とであるとするならば、だから大勢に影響がないんだというお考えがもしあるとすれ ば、そういう問題ではないんじゃないかということですね。  所得捕捉の問題に踏み込むということもなさっていない。また、介護保険へのシフト で浮く予算をどうするかという論議もない。そういうままに財源を確実なものにすると いう考え方でまず統合を検討するというのは賛成できません。統合することで浮く税源 資はどうするのか。節減しないというならば、20才から39才を被保険者化すれば、現状 の保険料負担が3,000円強から2,000円強に低減するということで、それは当然そうなり ましょう。しかし、20才から39才層にとっては丸々その分が負担増になるということで ありまして、これは従来行なわれてきた手法の繰り返しということではないかというこ とです。  このことについてその対象層の人たちが理解するのか、共感を持つのかということに ついては、すでに申し上げた通りです。結局、所得捕捉率の問題からも、学生とか、あ るいはフリーターと言われる人たちの徴収が実効をあげられない、勤め人だけが負担す るという事態になるであろうということを危惧するということを申し上げております。  ここで間違えていただきたくないのですが、産業界が障害者福祉をリデュースすると いう考えを持ったことは私はかつてないと思っております。そういうことではない。産 業界が求めておりますのは、福祉あるいは社会保障ということについても、合理化を追 求して欲しいということなんです。合理化という言葉も大変ネガティブに使われる場合 が多いのですが、私がここで申し上げている合理化というのは、文字通り無駄なものを 排して必要なものを強化するということであります。  合理化を追求した上での負担要請というプロセスが従来本当にあったのかという不信 感もございます。高齢化社会で国民の負担が減るか増えるかと申せば、これは増えると いう方向は誰でも考えるわけでございまして、問題は経済を破綻させない国民負担の限 界、つまりグランドデザインの提示であり、負担者の納得ということであります。  もしこういう考え方に対しまして、産業界のエゴであるという受け止め方をされる向 きがあるといたしましたら、それは当たらないと申し上げます。何となれば資源の乏し い我が国で、原材料の調達には少なくともそのフレート(輸入運賃)負担というハンデ ィがあるわけですね。そういうことによって高物価、高コスト体質というのが我が国の 基本であるわけです。  そういう中で民間企業は生存のために、よく言われる例えですが、乾いた雑巾を絞る ようにしてやっているわけです。定められた予算を期末に使い切るという世界とは違う のであります。どうしたら品質を落とさずにコストを低減できるか、賃金の支給責任者 として従業員の可処分所得の低下をどうやったら避けられるか、これについて真剣に考 えなければならない責任を持っているというのが産業界であるということを強調させて いただきたいと思います。  二つ目ですが、じゃあどうしたらいいのか、何を申し上げたいのかということです。 今本当に真に必要なたたき台というのはこういうことなんじゃないかということです が、このたたき台に表現されておりましたように、「支援費をこのまま継続」というこ とじゃなくて、支援費制度の再生という選択肢があるはずでありまして、それはまだ十 分検討されてない、これからでございましょう。まずそれを行なって、その議論をふま えた上で可及的速やかに社会保障の総合的な見直しの中に障害者施策を位置づける、こ ういうことにしていただきたい。  そして方向づけをする前に、本当の検討のたたき台として求めたいのは、皆さんもう 既に委員が発言をされておられますし、事務局からも提示をされておりますが、それに 加えてまとめて申せば、各委員が考えて判断するという手掛かりとしての材料というこ とでなければならないと思うんです。  例えばですが、これは私の考えですから、他にたくさんありましょうが、例として申 し上げます。一つは障害者福祉と雇用を結ぶ法整備をどうするのかという案を提示して いただきたいということ。福祉三法が統合されるということも多分含まれていて、福祉 の中から就労できる障害者をいかにして就労のステージに乗せていただくのかという、 まず前段階は福祉の分野の法律の仕事でございましょう。そしてそれを受け止めて、就 労雇用の世界につなげていくというのが、多分現状の法制度でいえば促進法の問題でご ざいましょう。これをどのようにつなげた体系にするのかという提示がないままに、我 々は結論を出すわけにはいかない。まずそれが基本でございましょう。  そして二番目は、雇用の進展によって期待できる自助努力効果の予測をしなければな らないということです。つまり、雇用が進展することによって、給付を受けるべき人が 本当に必要な人に絞られて来る、こういうことがなければならないと思います。今まで 無駄があるということを決めつけるつもりはございませんけれども、それに似た話はい ろいろ耳にする次第でございまして、支援費をむやみに膨らませない可能性を追求する ということが必要である。これが二番目です。  三番目は、障害者福祉施策における過剰とか重複とか、あるいは欠落といった状況の 評価と改革の案を示していただきたい。これは例えば私は前々回お願いした記憶があり ますが、それは一つは施策とか施設の機能、それから障害種別ということをマトリック スにまとめて、施策の現状実態を教えて欲しい。そしてそこに所在する問題点を実際に 担当しておられる行政としてはどのようにとらえているか、どう直せばいいと感じてお られるのか、そういうことがわかる資料を頂戴したい。これが一つです。  それからもう一ついただきたいのは、今の障害者問題のプロセスのどこにどういう不 具合があるかということを、いつも制度を作る時には絵を示されますが、同じような絵 を使うという手法によって、どこに不具合があるかということを示していただきたい。 私はこの二つをお願いしたつもりですが、今日に至るまでまだお示しがない、これはぜ ひお願いしたいと思います。  四点目を申し上げますが、給付に対して地域の独自性による幅を不当に拡大しない。 不当という言葉がもしきつ過ぎれば他の言葉に置き換えてもよろしゅうございますが、 不当に拡大しない実施基準と、それによる地域格差是正の可能性をもっと追求しなけれ ばいけないだろうということです。  五つ目に申し上げたいのは、支援費制度を通じて、今、精神障害者の問題もございま すからそれも含めてということでよろしゅうございます。提供されるサービスが本当に 過当ではないのか、過当にしないためのルールの在り方はどうすればいいのかというこ とですが、これは一義的には多分私はケアマネジメントの力量にかかると思いますが、 残念なことにケアマネジメントそのものもサービスを提供する側とのつながりが非常に 濃厚でございます。したがいまして私は障害者問題に企業がビジネスチャンスと考えて 進出なさるということについて大いに結構だとは思いますが、そこが単なる利益追求の ための草刈り場であってはならないと思っております。そういうことのためにはケアマ ネジメント制度をどうやって公正性を確保するか、これが大変大きな問題だと思いま す。  今、本当に例として申し上げただけに過ぎません。五つだけではありません。他に皆 さんお考えいただきたいと思いますが、そういうことではないかと思うんです。そして こういうことを検討して、支援費制度の再生が可能であるかどうかということをなぜ検 証しないのかということを申し上げたいわけです。以上をまとめて申し上げます。これ は一委員として申し上げる意見でございます。毎回申し上げている通りです。しかし同 時に毎回申し上げているように,この意見は産業界の大方が同じ意見であるという意味 を含めまして以下申し上げます。  まず第一に、支援費制度の再生をまず徹底的に検討すべきである。そして介護保険と の統合ありき、まずそれを前提にするということについては反対いたします。加えて申 せば産業界のヒアリングはなぜ行なわれないのかということでございます。  二つ目は、今ほど述べた5項目のポイントですが、そういう事項を含む支援費制度再 生検証のための材料、つまり真のたたき台と私は思いますが、これを提示していただく ということ。そして今日以降この中間取りまとめの中にこれを投影していただいて、審 議をしていっていただきたい。以上のことを要求いたします。そしてこのことを介護保 険部会にはしかとお伝えいただきたい。以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございました。私のメモでは有力な選択肢という言葉ではなくて、現実的 な選択肢の一つということにしておりますし、それから20歳以上の負担については言及 しておりませんし、30才なのか、何才ならいいのかという、そういう議論はまたさらに 具体的に詰めの段階の議論でありますので、そこは議論しておりません。  それから意見を承りして、そういう意見があったということはお伝えいたしますが、 支援費制度の再生というのは、支援費制度がこれから可能性として、一方でたしかに従 来の措置制度から、利用量の拡大その他はやりましたが、例えばもともとスタート時点 においても財政的な危惧がありましたし、例えば国基準の給付水準よりも市町村では多 く出す、しかし負担は国基準より低くということでやってますので、どうしても一部の 市町村は拡大するところがある、無理がある、スタート時点から若干無理があってスタ ートしたわけであります。  ただ、保険と違いまして税金を使ってやる制度でございますので、措置からの転換の 一歩前進という点では比較的動きやすかったという点があると思いますが、支援費制度 を経済界としてそれほど評価されているとは思わなかったのですが、これはこれでずい ぶん議論してきまして、またこの部会以外にも検討会で精神障害、身体障害、知的障害 とそれぞれ様々な議論が現行の支援費制度見直しについてやっておりますので、その資 料も含めてまた御提示いただいて、御理解をいただきたいと思っております。今の御意 見についてでも結構でございますが、どうぞ。 ○安藤委員  この中間報告の論調を見てみますと、書き方といいますか、例えば1頁ですが、全体 的な課題についてですが、支援費制度についてはサービスを選択できる地域、そうでな い地域がある、断定といいますが、これについてはサービス資源とかサービス業者の問 題であって、これはもう支援費制度がスタート時点から私たち障害者は心配してきた問 題であるわけなんです。  したがって支援費制度のスタートと合わせて資源をどう整備していくか、サービス業 者をどう確保していくかというような課題があったわけですが、そうする面が全く記載 がなくて、サービスを選択できる地域、そうでない地域があるという断定の仕方という もの、これは書き方に問題があるのではないかと思うんです。  介護保険との統合については、現実的な選択肢であるというような強調論があるので すが、支援費制度もそのまま存続というのも、また継続というか、現実的な選択の一つ でもあるわけなんです。けれどもそれが全く触れていなくて,介護保険の統合が強く出 ている感じがします。この論調はちょっと検討する必要があるのではないかと思ってい ます。  ただ、2頁に聴覚障害者に対する手話通訳や要約筆記などの情報コミュニケーション 支援については、ホームヘルプや他のサービス等は別系統のサービスとして考えるべき であるということについては評価できると思うんです。私たちの手話とか手話通訳につ いては言語的文化的な問題をもっていますのに、このような判断を示していただくこと に感謝していますし、これはこの中間報告の確認事項として大事にしていただきたいと 思います。よろしくお願いします。 ○福島委員  今、丹下委員と安藤委員から御指摘がありましたが、たしかに支援費制度の存続ある いは再生、新たに組み直していく、充実などと言った選択肢もその可能性を、もし適切 な場所があれば、そういった選択肢を記述するということも一つの案だろうと思いま す。  というのは選択肢というからにはいくつかの選択があって、その中の一つであるとい うことを言わないと、介護保険との統合が現実的な選択肢であるとだけ書いていれば、 それだけを向いているように思えてしまいますので、ですから支援費についての改善や 組換えの可能性も引き続き検討していくという趣旨の問題がどこかにあれば、たしかに バランスはとれるだろうなとは思います。  その上で私の意見としてですが、私の感想としては、この中間のとりまとめ案自体は 全体として妥当だと思っています。理由は、先程部会長も言われていましたが、6月4 日の案の時点では有力な選択肢という表現だったのが、ここでは現実的な選択肢のさら に一つというふうになっていますので、要するに介護保険の統合について、検討するこ と、その可能性を排除しないということを言ってはいるけれども、介護保険に統合しま すよとは一言も言っていないんですね。つまりこの表現をしないのであれば、最初から もう統合の可能性は全然排除するという表現にしなくてはいけなくなって、それは現時 点ではそういう表現をするのはむしろ妥当ではないだろうと思いますので、この原案の 表現は適切だろうと思っています。  さらに、そのすぐ後で6月4日の3人の委員の案が触れられていますが、3人の委員 が示した考え方のようにというところがございますが、これも必ずしも3人の先生方が 出された案そのものを支持提唱するという表現ではなくて、介護保険制度にかりに乗る 場合に介護保険以外の、そこで網羅しきれない部分を他の制度で手当しますよという、 そういう方式が重要だという、その縛りというか、その限りにおいて引用されているの であって、6月4日の3人の委員の先生方の案をこの部会として中間まとめの中でその まま支持継承するんだというふうには読めないと思います。  したがって基本的な方針は示されているのですが、あえて言えば明確な方向性はあえ て示されていない。つまりそれが示し得ない様々な立場の意見や考えが、今現在錯綜し ているんだということ自体が現状の把握であって、今後そういった様々な意見や立場を 踏まえつつ、制度設計については継続的に議論をしていきましょうという、そういう結 論なんだろうなと私は読み取りましたし、もしそうでなければ多分疑問が、反対の余地 もあるのですが、このこと自体は極めて穏当なことであって、たしかに深く読んだりう がって解釈すればいくらでも読み方はありますが、字句通りに読み取れば今言ったよう に、つまり何でもありの状況を示すのだろうと思います。  例えば現時点での介護保険の問題についても、現時点においてはという段落では賛成 から反対まで四つのスタンスが紹介されていますし、それでも踏まえていますというこ とを表せるので、この中間のとりまとめ自体が明確な何か方向性を示せるものではない と私は思います。あるいはその明確な方向性をあえて示さないこと自体が、つまり様々 な可能性があるんだということを示すこと自体が今のとりまとめなのかな、内容なのか なというふうに認識しています。そしてもしそれと違うのであれば、部会長から訂正い ただきたいですし、今の認識が正しいのかどうかの確認も含めてよろしくお願いいたし ます。 ○京極部会長  福島委員のおっしゃる通りだと思っておりますが、起草委員の話も出ましたが、でき る限り3委員の意見はふまえておりますが、若干表現等は変えておりますので、ただ、 丹下委員もおわかりだと思いますが、介護保険部会には検討をしていただく、向う側か らも検討していただかなくちゃあいけない課題がありまして、支援費制度で十分である といったら検討する必要はなくなりますので、一切ボールは投げられないということな ので、やっぱり現実的な選択肢の一つとして検討もしていただきたいということをこち らから言わない限りは先へ議論が進まないという現状がございますので、その辺は御理 解をいただきたい。ただ、表現については、まだこれ自身が最終的な中間まとめではあ りませんので、それに向けての意見ということであります。 ○丹下委員  介護保険との統合を捨てて、支援費制度の再生のみを論じるというようなことを私は 申し上げているつもりは全くないんですね。介護保険との統合というのがあるいは将来 的にあるのかもしれませんけれども、しかしそれはその前に行なうべき議論を尽くした 上で、他に選択の余地がなければと、私はそういうことではないかと思っているだけの 話でございます。そこをお間違えいただかないようにお願いいたします。 ○松友委員  丹下委員の理路整然たる問題の整理はなるほどなと頷きながら聞くところがたくさん あったと思います。いろんな大きな本質的な、言うなればまさにこの社会保障行政とい いますか、社会福祉行政、あるいは我々の運動を含めたいろんな意味で襟を正したり整 理すべきことは御指摘かと思います。これは一つの本質論であって、これまた半永久的 に、かつ今まで十分やってこなければいけなかった。  私はつい最近委員になったのでよく契機はわかりませんが、前回私たちの団体は一つ の意見を出しました。これは賛成と書かれているところがありますが、タイトルは必然 と書いています。朝日新聞はこれは間違っています。そして見解をセットで出しており まして、私たちは今福島委員がおっしゃったように、3月5日の段階ではまさに一つの 選択肢とというか、このことを否定しないということをベースにして今回は必然という 提案をしたんです。  というのは座長が繰り返しおっしゃっているように、かつ私たちもこの意見書の中で 書いているように、流れというか、歴史的・時間的、そのタイムリミットとか、そうい う現状で議論した時にある種の結論を出さざるを得ない、本質論だったり、構造改革論 というのは非常に重要であるのですが、少なくともいわゆる7年前のこの社会保障審議 会の中で積み残した、この介護保険制度の定期的予定された見直しの中で、その介護保 険部会は障害者部会が結論を出さなかったら議論しないと言っているわけでありますか ら、それに対して正論を並べて、結論としては反対、絶対に反対であると、これだけは 明確なる結論が出てきているということは、かなり論理矛盾であるとともに、プロセス 論から見た場合に、これはいわゆる座して死を待つというべき議論ではなかろうか、ど うなるかは別として、少なくとも介護保険部会できちんと議論していただかないと、だ って7年前に積み残していただいたわけですから、そして我々が議論してくれと言わな い限りはしないとおっしゃっているわけですから、そういうことで我々は一体どうなる んだということを当事者として訴えざるを得ない。ですからきちんと議論していただき たい。それを封じないで欲しい。  ですから28日においては京極部会長は委員として介護保険部会に行っていただいて、 きちんと5年目の見直しの定期的な中において、7年前の審議会で棚上げし、現在やっ てきた問題をどうするんだということをきちんと議論して欲しい。前回の審議会で、こ れは日身連の前田副会長さんから統合という議論はおかしいんだという質問がありまし た。今、座長もおっしゃいましたね。これ統合じゃなくて、もともと介護保険は棚上げ にして、暫く議論を停止しているわけですから、ここに入れるかどうかというのは改め て棚からおろし議論を始める。棚下ろしをして議論をするところであって、結論として はもう入れないということではずしてやってきたものを改めてくっつけるという議論で はないという指摘があって、なるほどなという思いがしました。  そういう意味ではどういう結論になるのか、支援費制度がいいのか、あるいはその改 良がどうなのか、いろいろあろうかと思います。我々が我々の内部でも議論しました が、これは十分な能力、あるいは情報、わかりません。しかし少なくとも介護保険制度 の部会の中できちんとそれを5年目の約束として議論いただくということを思考いただ かなければこれはやはりおかしい。これは明らかなる年齢による差別というか、明らか なる排除であるというふうに思いますので、その点については歴史的なプロセスから見 て介護保険の部会にもっていく。それに対して我が部会はどうするんだという役割を 我々に課されているという視点からぜひ現実的に議論をして欲しい。  そして非常に構造的、国家戦略を含めた体系的議論はその通りでありますので、これ はまた別の意味で、選挙も今はやっておりますし、そういう意味で議論をしていただき たいということで、我が社会保障審議会の障害者部会に与えられた結論、そして今日出 すべき結論については、いろいろあろうかと思いますし、私も若干ありますが、福島委 員の意見とほぼ一緒でありまして、その方向で進めていただきたいと思います。以上で す。 ○徳川委員  私も大体同じような意見なんですが、長い間相当積み重ねてここまで来たわけなんで すね。そして決して支援費に固守するとか、統合するとか、どちらかに決めちゃったわ けではないので、統合の可能性が、前の表現では有力なものとして、また今言えば現実 的な問題として選択肢としてあがっているということを投げかけることについては何ら 私は反対はないんです。  ただ、今丹下さんがおっしゃったような問題が、本当だったらもっと早くからあった ら良かったんだけれども、今急にというと失礼なんですが、まとまった御意見が出たの で、今いろんな御意見をおっしゃったのですが、その中で何が産業界として一番問題な のかということを本当はもう少し知りたいんですね。それについてはやはりそれを解決 する道もあるかもしれないし、またそれは譲れない問題もあるかもしれない。  それは一度介護保険部会の方へ投げかけて、向うでもんでいる間にこちらがまた再度 向うの保険部会の方の返答を待ちながら考えていく問題であって、今回はこれでとりや めということはないと思います。私は今まで積み上げたものの中で今の形で向うに提示 するということについては福島委員と同じであります。以上です。 ○高橋(紘士)委員  前々回でしたか、私どもの意見を申し上げた折りに、福島委員がきちんとした評価表 を作れという、そういう御提言をいただきました。介護保険のメリット・デメリット、 支援費のメリット・デメリット、おそらく今日のとりまとめの意見に即してその議論が ようやく始められるのだというふうに私は理解しております。そういう意味で福島委員 の先程の御議論に基本的に賛成でございます。  それから丹下委員の御発言は私はそれなりによく理解いたしますが、それはやはり産 業界が障害の問題にどういうふうにコミットされるのかということについての御発言を なしには、私は第三者の発言だというふうに理解いたします。そういう意味で言えば、 日本の福祉の歴史ということを考えてみますと、やはり障害者の問題を第三者の問題と してずっと考え続けてきたということがございまして、そこからの御発言の域を私は出 ていないという印象を持っております。  そうではなくて、我々の生活の中で働くものの中からも様々な産業活動の中でいろい ろな障害が生れ、我々の生活の中で生れ、その意味で言えばそれをどういうふうにお互 いに担っていくのか、その問題について我々はどう対処していくかという、そういうコ ミットの中で障害の行政は非常に今まで不合理であるとか、弥縫的であるというふうに おっしゃいましたけれども、それは一に障害政策だけではない、一に社会保障政策だけ ではないというふうに、そういう意味で言えばそうではないというふうに思います。  ただ、丹下委員の示された論点は我々としても真摯に受け止めて議論するという必要 はあるということはもちろん言うまでもございませんが、そういう意味で言えばこれか らの議論の中で介護保険部会に検討をお願いするとしても、障害者部会では丹下委員が 御提起されたような議論はここで終わりではなくて、これから議論をするというふうな スタンスになっておりますから、そういう中で丹下委員の御提起された問題は議論した い。  その場合に障害の問題を基本的にどう認識するのかという、これは様々な障害の発 生、あるいは最近現れております様々な新しい障害というのはどういうことによるのか とか、そういうことまで含めた議論、これは私が大変尊敬をいたしますイギリスのリ チ ャード・チトマスという学者が、やはり社会活動の中に産業界というのは今までグッ ズを作ってまいりましたが、それが同時にバッズも作り出してきて、バッズのコンペン セーションというのがソーシャルプルシィの役割であるという、そういう名言をはいて おりますが、そういう意味で言えば産業界の御立場からもぜひこの問題にコミットをし た御発言をいただきたい。要するに不合理な世界であるという、それから無駄が多い世 界であるという、そういう前提に満ちた議論はむしろやめていただきたいというふうに 思っております。以上でございます。 ○猪俣委員  同じ支援費制度の再生という言葉を使っていて、私も安藤委員や福島委員がおっしゃ ったことと丹下委員がおっしゃることと、どちらも正しいことを言っているけれども、 どうも違うなという印象があったのですが、これは今の高橋委員のお話で非常にスッキ リいきました。同じことを言っていて、全く違う結果になってしまうことを恐れます。  もう一つ、福島委員がこの中間とりまとめに関し、結局選択肢はいくつかあって、ど ちらともとれるんだという言い方をされましたが、私は介護保険が現実的な選択肢の一 つであるという表現はもう少し重いだろうという気がします。要するにこの障害者部会 の中でどちらともとれる表現で介護部会に投げかけたとしたら、それはあまり意味を持 たなくなって来る。これはかなり現実的な選択肢の一つとして介護保険を活用していく という方向性を出したことの意味合いは、お互いに言葉の上では全く一緒ですとかとい う先生方は表現を使うのですが、もうちょっと私には意味合いは重いだろうというふう に捉えました。 それから支援費の問題で、これはどうしても事務局にお伺いしなくて はいけないと思ってきたのですが、一昨日の新聞の報道によりますと、当初予算が支援 費制度で602億で、どうも今年度は170億の不足を生むだろう、しかも昨年度のようにい ろいろ持ち寄って埋め合わせすることも非常に難しいというコメントも出ていたように 思います。するとこれは介護保険との統合云々の前に、障害者サービス、今現時点の支 援費制度ということになりますが、これをどういうふうに考えておられるのかというこ とは、基本的に大切な問題だと思いますので、ちょっと離れるかもしれないのですが、 ぜひお伺いしておきたいと思います。 ○高原課長  それでは障害福祉課長の私の方から御説明をさせていただきたいと思います。新聞報 道があったわけでございますが、今の段階で私ども今年度の支援費の所要額の見込みに ついて確たる数字を持っているわけではございません。まだ年度が始まって3カ月が経 過した段階ということで、サービス利用の伸びの状況や、今年の4月からすでに一部運 用上の工夫等も始めておるわけでございますが、そういうものの影響を十分把握できて いるわけではなくて、私どもいろいろ適時適切にデータをとる努力を今続けておる最中 でございます。  ただ、正直申しまして、今後もサービスの利用が昨年度と同じ程度に伸びるというふ うに仮定しますと、昨年度不足額が128億だったわけでございますが、この国庫補助額 としての不足額、昨年度の128億を上回る額の予算不足が生じる可能性は十分にあると いうふうに思っております。  昨年度は新しい制度初年度でありましたことから、緊急避難的に省内の関係予算の流 用や節減などで所要額の確保に務めさせていただいたわけでございまして、そういう意 味で当面の大きな混乱は回避できたと思っているわけですが、平成16年度予算はそもそ も大変厳しい財政状況の中で編成されたという現実もふまえますと、この15年度と同じ ような形での省内の予算の流用や節減を講じることは極めて困難であろうというふうに 思っております。  それから補正予算の計上につきましても、現行制度におきましては支援費の在宅のサ ービスについては、国は予算の範囲内で補助することができるという、そういう性格の 経費でございますので、財政ルール上は通常はやっぱり困難ということであろうかと思 います。  不足した場合の財源確保につきましては、4月から一部いろんな加算の算定方法の合 理化でありますとか、あるいは身体介護の長時間利用された場合の単価の低減というふ うなものと、すでに対応をしているわけでございますが、さらに今年度の執行状況をよ く確認しながら、今年の秋に向けてさらなる運営上の工夫については対応していきたい というふうに思っております。  いずれにしましても、支援費制度の理念を実現して、かつ制度を安定的かつ効率的に していくよう、この本審議会の御意見も十分にお伺いしながら,制度の見直しも含めて さらに検討していく必要があるというふうに考えております。以上でございます。 ○京極部会長  それでは武田委員、その次に新保委員に御発言いただきます。 ○武田委員  丹下委員の発言を聞きながら、企業としてそういうお考えもあろうなと思いますし、 この間私は9回この部会に出席させていただいて、本当にいろんな御意見があるんだな ということを感じております。ただ、精神障害が今日の中間的なとりまとめの中に同列 にというか、三障害ということでもう入っていること自体、これまでになかったことで すし、今、改めて精神障害という分け方はふさわしくないなと思いつつも、私が精神の ことしか知りませんので、精神障害ということをあえて言わせていただきますが、精神 障害者のほとんどが就労した後、病気になって、そして復職できる方もいるけれども、 残念ながら職を失ってしまう。それでも昨今は労災の扱いになる方も増えてまいりまし たが、今一部の方しか利用してない施設でも無年金であったり、労災も受けられないと いうようなところで、何とか少しでも夢を実現させていこうということで地域で頑張っ ています。 でも支援費でもない、単に補助金、そして国が決められた数値目標の中で 本当に地域で必要な障害者数の数に見合った地域資源が準備されているわけでもない。 その国の数値目標に見合うような形であがったものすら昨年度は施設整備もなされなか った。本当にそういった厳しい厳しい精神障害者の状況の中で、検討会は随時開催さ れ、三つの検討会が動き始め、33万人の中の72,000人の退院促進策というようなきれい な言葉だけは動いていますが、現実的に、じゃあその退院した人たちが本当に豊かな生 活、その人らしい生活を送れるような手立てがなされているか、それはなされてない。  そういったことを考えている時に、この部会でこんなにたくさんいろんな議論がなさ れていること自体が、同じテーブルの中で議論されて、そしてこの中間とりまとめを見 させていただく中で、決してこれを断定しているものではなくて、ボールを投げなきゃ あいけない、そこでボールを投げるために議論をすることが必要である。要は議論を始 めようと書いてある。  私たちはこれまで議論すらなかった。福島委員のおっしゃっていることは非常にわか りやすい言葉でおっしゃってくださって、私は本当に議論を始めていただきたい。まだ まだ私自体が施設にいることもどうかと思うのですが、その前に本当に治療が必要な入 院施設は私はもっともっと良質の医療に特化してやっていただきたいのですが、医療の 必要のない人まで入院を余儀なくされている。この人たちが地域の中でより豊かに生活 していくということを保障していくのに、まず議論を始めていただきたいなという思い でこの中間のとりまとめを読ませていただいて、ぜひこれで介護保険部会にボールを投 げていただきたいなと思っております。 ○新保委員  私が所属します全国精神障害者社会復帰施設協会は前回のこの部会におきまして介護 保険を導入するというか、活用することについて賛成するという文書を皆さん方にお渡 ししたところであります。したがいまして先程来の議論をふまえて、若干の意見だけは 述べさせていただきたいというふうに思っております。  この中間意見のとりまとめについて、部会長が関係団体等の技術的な検討、ないしは 検証だけではなくて、国民的な課題にすべきだという補足説明がございました。まさに その通りだろうというふうに思っております。精神障害者問題は国民的課題以前の、こ の三障害合同の部会の議論の中でも決して全ての障害者間の中で対等な位置におかれて いるとは残念ながら思えない状況にあります。  支援費制度の再生という大きなボールを丹下委員から投げられましたが、そのことも 残念ながら精神障害者の施策の枠組みではございません。たまたまとりまとめの中で障 害者基本法にそって3障害共通の枠組みとすべきだと取り上げられているに過ぎないわ けであります。何としても私どもはこうなりたいと願っているのです。  ですからそう願っている願いを実現していくためには、丹下委員の言葉を借りれば、 Aという問題については何を解決すべきという議論から始めるべきだという言葉がござ いましたが、私も精神障害者施策に関してはまさに支援費の枠組みにも入っていない、 すなわち全ての義務的経費のどの枠組みにも入っていない、裁量経費で賄われている支 援形態であります。これはまさに大きな問題だというふうに思っております。  このまま裁量経費、現状での補助金という枠組みで精神障害者施策がこのまま推移す るとしたら、三位一体改革の中で私どもの施設の運営は成り立たなくなるのは目に見え ております。もちろん、私どもは施設運営に汲々として保身を図ろうとしているわけで はございません。現に社会復帰施設を必要とする精神障害者の方々がたくさんおられる わけであります。この方々が私どもの施設を必要とする限りは一生懸命運営しなければ いけないと思っているわけであります。もちろんその役割がなくなった時には、私ども の施設がなくなってもいいというふうに思って多くの施設経営者が運営をしているとこ ろであります。 実態を簡単に申し上げますと、精神障害者の社会復帰施設は繰入金と いうものは一切ゼロであります。したがいまして修繕費をためることもできなければ、 職員の賃金を上げるための人件費の繰入金支出もございません。単年度の補助金でそれ が一切使い切らない限りはお金が貰えないという施設であります。私の施設でも毎年赤 字であります。そして施設を整備する時には、私の施設は施設整備費がたった2億3千 万の施設です。しかしそのうち私が当初頭に出したお金が現金5千万、7千万のさらに 借金をしているわけであります。そしてその借金も私が返しているのであります。これ が精神障害者施設の実態であります。一銭もそこから収入が得られないのが現実です。 それでもやらなきゃあいけないと思って頑張っている多くの施設経営者がいるわけであ ります。この人たちにせめて障害者もともども私どもも生活保障がしていただきたいと 思っているぐらいの実情であるわけであります。  いずれにしましても、介護保険という選択肢がもしあるのだとすれば、私どもは介護 保険は義務的経費として活用できると考えておりますので、ぜひそのことの検討させて いただきたいと願っているわけでありますし、むしろ検討よりもその活用を図っていた だきたいというふうに思っているところであります。したがいまして先般の私どもの協 会の総会におきまして、介護保険の導入についての賛成決議をしたところであります。 もしこの選択肢がなくなった時に、では私どもの精神障害者施策に関して、この場で支 援費に入れてくれるという約束がしてもらえるのでしょうかとさえ言いたくなる状況で あります。私どものところは何の選択肢も今はないのです。そう考えますと、少なから ず社会復帰施設が介護保険の導入について賛成をしたことについての意は汲んでいただ きたいなというふうに思っているところであります。  また、その論議の課程の中で、丹下委員から御指摘があった支援費の再生について議 論するということが行なわれ、その過程の中で改めて精神障害者施策について同様の枠 組みの中で一緒に考えられるのであれば、それはそれで有り難いというふうに思ってい るところであります。  ともあれ今後の社会保障の全体像に関わるグランドデザインをきちんと描けというふ うに丹下委員から御指摘があったわけでありますので、それについては私どもの社会復 帰施設、すなわち精神障害者施策に固守することなく、全ての障害者施策ないしは加齢 による障害等も含めた施策について一緒に議論していきたいというふうに思っていると ころでありますので、ぜひとも私どもの意をお汲みいただきたいということを一言申し 上げておきたいというふうに思います。 ○京極部会長  次は高橋委員お願いします。 ○高橋(清久)委員  6月4日の起草委員の1人としてお話をしたいと思いますが、先程丹下委員、あるい は他の委員の先生方から御意見がございましたが、たしかに多くの選択肢があるだろう と思います。しかしながら私の方はいろいろな選択肢を考えた上で、比較した上で、や はりこの介護保険制度の仕組みを活用することが有力な選択肢であろうという結論を得 たわけでありますが、その過程で丹下委員の御発言の中にもありましたが、その経済的 理由だけでこの結論を得たわけではもちろんございません。というよりもむしろ理念的 な面でずいぶん議論したわけです。私個人としては、むしろそういう経済的な基盤を得 るというよりも、やはり理念的なものに立ち返ってもう一度そういう社会保障、あるい はこういう障害者対策に関する議論をしたいと思ったわけです。  その介護保険制度がやはり一つはユニバーサルという考え方、高齢者も若年者もどの ような障害も含むという、それが第一の考え方。二つ目にはやはり誰しも障害になり得 るんだということ。であるからやはり自分自身の問題としてそれを国民一人一人がとら えるべきだ。それならばやはり応分の負担を担うべきだという考え方。それからもう一 つは、私は介護保険という名前が本当にいいかどうかはわからないので、もっと適切な 言葉があればその方がいいかと思いますが、そういう保険に入る、あるいはそういう保 険料を負担するということによって、よりその障害ということを身近に感じる、それが いわゆるノーマライゼーションという理念の発展につながるというようなこと、こうい った理念的なことをふまえて私どもはこれを介護保険の仕組みを活用することが非常に 有力な方法であろうということの結論を出したわけです。ですから単に経済的な理由と いうことだけではなくて、いわゆる理念的なものに立ち戻って考えたということを強調 させていただきたいと思います。  そしてこのことは介護保険のスタートの時点でも議論されたというふうに聞いており ます。しかしその議論が詰められなかったために介護保険がスタートしたということ で、やはりこの部分は残っていたんだろうと思います。そういう意味でこの理念的な面 での検討からの結論ということも御理解いただきたいということです。  それから介護保険に反対される方の中に、やはり国の責任なら国が100%責任を持つ べきだという考えもありますが、介護保険も国の責任は50%は公費で負担されるわけで すから、そういう意味での責任は当然国が持つわけですから、国の責任は果たされてい ないという議論は少し当たらないのかなとも思いますし、そういうことを全体を含めて 理念的な面からの介護保険の制度の持つ優れた面といいますか、それについて国民の一 人一人が議論を深めていく、そういうことをぜひお願いしたいと思います。以上です。 ○京極部会長  それでは古畑委員お願いします。 ○古畑委員  ちょっと各論に入ってしまうかもしれませんが、丹下委員さんからも御指摘がありま したし、今回のこのまとめが介護保険部会の方に話が行くということなので、今回の文 書の中の3のケアマネジメント等の在り方ということについてちょっと意見を述べさせ てもらたいたいと思います。  まず基本的に障害者の方のケアマネジメントということで、今までのいわゆる介護保 険のケアマネージャーさんと基本的に役割が全然違う。いわゆる介護保険以外の今まで お話に出てきた二階建ての部分も含めて、障害者ケアマネの方は担当していくことにな ると思いますし、それから老人の方の当事者の方ってなかなかセルフケアマネジメント をやる方は少ないということなんですが、障害者のケアマネジメントについては、ここ に○が三つありますが、まず一番最初のところで、障害者のケアマネジメントは当事者 の判断を基本としてまずやる、そして御本人が判断能力が不十分な方については後見人 等がこの制度を使うかどうかを判断をするというのが一段目かなと思います。  そして二段目が、次はどういった方がケアマネジメントをするかということなんです が、ここでもやはりケアマネジメントそのもの自体も当事者の方がやっていただくとい うのが基本になりますし、もしそのケアマネージャーという方がやる場合でしたら、前 にも松友委員さんたちからも御指摘がありましたように、せっかくある制度ですので、 社会福祉士とか精神保健福祉士等の職種ということで、名前を入れていった方がいいの ではないかなということを思います。  そして三番目の○のところで権利擁護に関してなんですが、これは丹下委員からも御 指摘があったように、第三者によるサービス提供状況のモニタリング、これがいわゆる サービス提供量が適切であるかどうかもやはりそこでチェックをしていくことがありま すし、最初のところに出てきました後見人等とそのケアマネージャーとその評価を判断 をして、サービス提供自体に不適切な部分があれば、苦情解決等のシステムを使って対 応していくといくところで、老人の方のいわゆる今までの介護保険の方のケアマネジメ ントとかケアマネージャーさんとはちょっと役割が違うよということを明確にして提示 していただければいいと思います。よろしくお願いします。 ○京極部会長  ケアマネの具体的なことについてはまた議論が必要だと思います。では高橋委員から お願いします。 ○高橋(紘士)委員  古畑委員はちょっと基本的な誤解があると思います。高齢者介護保険については、介 護支援専門員が行なう業務でございまして、居宅介護支援専門員が一部ケアマネジメン トの手法を活用して行なうということでございます。それから現に今介護部会等で検討 されている様々な論議を見ておりますと、介護保険給付では、これは2015年の高齢者介 護の地域包括ケアの中で議論を提起いたしましたが、介護保険給付だけでは賄えない様 々な生活困難事例が存在する、それについてどう対応するかという議論も課題提起して おりますので、障害者ケアマネジメントと高齢者のケアマネジメントが違うということ には当たらないというふうに思っております。  介護給付を活用できる場合は、おそらく居宅介護支援専門員の業務でこと足れるわけ ですが、我々の認識はそういう形ではないタイプの事例が高齢者の中にもあるというふ うに認識をしておりますし、私は精神と知的の検討会にも出席して、委員としてケアマ ネジメントの議論に参加しておりますが、基本的にはケアマネジメントという手法は共 通でございます。これを違うというふうに言ってはむしろ間違いでございます。  ただ、ケアマネジメントの対象たる対象の方々の特性に応じて必要とする仕切りは異 なるであろうということ、そしてそれを制度として扱う場合はまた議論の仕方が違う。 これはむしろ今後詳細に検討すべき課題で、ここの中間報告ではあまり立ち入るべき筋 ではないというふうに思いますので、そのあたりのことは御了解をいただきたいと思い ます。 ○京極部会長  ありがとうございました。それでは岡谷委員、北岡委員、広田委員にお願いいたしま す。 ○岡谷委員  この中間まとめで介護保険制度の活用が現実的な選択肢の一つであるということにつ いては、たしかに選択肢ということであればその一つだろうというふうには思います が、私はたとえば三障害の方々が介護保険制度を活用したとしても、必要なサービスが 全て介護保険制度のサービスで充足するかどうかという点については、非常に難しいと ころもあるのではないかなと思います。  全く保険だけでやるのか、税の部分も当然出てくると思うんですが、どこが税の部分 で、どこまでが保険で見ていくものなのかという、そういうことを判断していく材料と いうのが今ほとんどないというのが現実で、ですから統合がいいとか、あるいはそうで はないというようなことをきちんと判断できる、それは障害者の方々の立場に立って本 当に必要なサービスがちゃんと受けられるということを前提にして議論ができるよう な、そういう材料を出していただいて議論を進めていただきたいということが一つで す。  それからこちらからボールを投げた時に、介護保険部会の方でどういう、そこでの結 論がまたこちらに投げ返されて来るんでしょうか。介護保険部会とこの障害者部会との 議論のやりとりというのは、今後どういうふうに進むのかということをちょっと教えて いただきたないというふうに思います。 ○京極部会長  これは制度的なことなのですが、一点目は介護保険以外は税ももちろんありますし、 それから医療保険、僕は在宅医療を重視していますので、やっぱり介護保険はややもし ますと医療保険と介護保険をあまり峻別し過ぎてダブルで使わなくちゃあいけないとこ ろを使ってないきらいがあって、特に精神障害の方は非常に深刻だと思うんですね。だ からその辺の問題を含めていずれ議論しなくちゃあいけないのですが。それからボラン ティアみたいなものもやはりもう一つ別な面で必要になってきますので、その棲み分け をどうするかというのは、介護保険を適用する場合においてもまた議論を進めていかな くちゃあいけないと思っています。  それから後者の問題については、これは実際来週の月曜日にボールを投げるわけです が、向うからどう受け止めて、打ち返してくるかもしれませんので、それを行ったり来 たりしなくちゃあいけないので、いずれにしてもお約束しておくことは、これはあくま でも部会長案でございますので、ある程度ここで議論をまたさらに積み重ねて、特に医 療関係者とか障害者自身、それから特に実施主体でございます市町村の意見をもう少 し、この間伺ったのですが、もう少し聞かなくちゃあいけない。それから経済界の意見 ということで、先程厳しい御指摘が丹下委員からありましたが、少し詰めた議論をし て、そして中間まとめをしたい。それはまた改めてもう一回介護保険部会にぶつけると いう形になるのか。それで介護保険部会の中でも7月以降具体的な制度の見直しを精力 的に進めるというふうに伺っていますので、その中でまたこちらの方にボールが来るか もしれないということなので、これは厚生労働省全体の仕組みの問題と関係しておりま すので、事務局からお答えをお願いいたします。 ○村木課長  今日ここで御議論をいただいたものを28日の介護部会の方にボールを投げていただき ます。そしてまた介護保険部会の方でもそれを受け止めていろいろな御議論をいただく ということでございます。この部会はこの部会でそういったものも眺めながら中間とり まとめは今回あるいはあと1回とか2回とか議論をしていただいて、中間とりまとめを きちんとしていただくということになろうかと思います。その後の議論は介護保険部会 がどのような結論を出すかを見ながら、また議論の仕方等々を御相談をしていきたいと いうふうに思っております。 ○京極部会長  それでは北岡委員お願いします。 ○北岡委員  いろいろと意見がこの間も出ております。介護保険の仕組みを一部活用しながら進め ていくべきかどうかという議論について、先程から福島委員もおっしゃっていました が、今回のこの中間的なとりまとめの文章を読む限りは、やはり現実的な選択肢の一つ であるというところから議論を進めていこうということを介護保険部会に投げかけては どうかと、私もそういうふうに思います。  ただ、この中で現実的な選択肢という言葉なんですが、現実的ということは何をもっ て現実的な選択肢なのかということが、このとりまとめの中では少し不十分ではないか なという感想を今お話を聞いていて、さらに思いました。例えばなぜ現実的な選択肢な のかということなんですが、支援費制度も財政的な欠陥というようなことがこの間もこ の場でも議論されました。例えば在宅の予算が裁量的な経費で補正も組みにくいのであ るということであるとか、給付と負担ということもありました。それから知的障害分野 を中心としたサービス利用の急増であるとか、緊縮的な国家財政の状況であるとか、さ らには地域間格差、そして地域住民の視点に基づいた地域福祉というようなことについ て等々が議論された中で、現実的な選択肢の一つであるというふうなことが導き出され たのではないか、そしてそういうことからこれから議論を進めていこうということなん だろうというふうに私は理解をしております。  これからの議論ということは、前回の各団体の方の御意見の中にもいろいろありまし たが、もともと自立という概念が違うんだとか、費用負担の在り方だ、ケアマネの在り 方、それからサービスの上限の問題や横出し上乗せと言われているようなことについて 議論がこれから必要になるんだろうということですとか、介護保険がどこまで改革され るのかというようなことも一方であるのかなと思います。  私は何回か前のこの審議会の中で支援費制度と介護保険制度のそれぞれが発展的に生 み出す自立と共生を支える新しい制度の創設というようなところを実は期待をしており まして、そのために議論を今後深めていきたいというふうに思っております。そういう 視点に立ってもう一度この中間のとりまとめを読んでみましたら四つほど、もう少し書 き込んだ方がいいのかなというようなことを思いますので意見を言わせていただきたい と思います。  一つは、基本的な方向性というところで、例えば新障害者基本計画の中には、例えば 当事者性であるとか、利用者本位であるとか、地域生活支援の充実というようなことが もう少し出てきていたかと思いますので、こういった視点をもう少し強めるといいます か、そういうようなことが必要なのではないかというふうに思います。  それから二つ目は、これはかなり細かい話になりますが、地域に押し出す力という時 に、私たち審議会の中ではこういうことを議論してきましたので、この地域に押し出す ということについては、私も私の発表の際にこういう表現を使わせていただきました が、障害福祉にあまり関わりが深くない方にとってみれば、この言葉の意味みたいなも のを、例えば本人の意思とは無関係に追い出されてしまうんじゃないかみたいな、場合 によってはそういうふうに読まれがちになってしまわないかということも一つは危惧し ております。  それから三つ目は、サービスの計画的な整備と財源の在り方というところなんです が、現状でも利用者数の比率で考えると、在宅より施設運営に偏っている予算配分の在 り方を見直すとか、そういうような視点もあったらいいのではないかというように思っ たりしています。在宅予算案が裁量的経費であるがゆえの不安定さは部長も再三にわた って、これは支援費制度の欠陥であるというようなお話もされてきましたので、そうい う問題意識を書くことは技術的に難しいのか、そんなことを考えました。  次は介護保険制度の仕組みを一部活用するというようなことで、現実的な選択肢とい うことがあるのですが、目的の中で障害のある人の地域で自立した生活ができるよう に、これらを活用するんだというような視点をしっかりとやっぱり明確にしておく必要 があるのではないかと思いました。  それから最後に、先程安藤委員の方から先程手話の問題であるとか、視覚障害の方の 移動介護について別系統で云々というようなお話がありました。この部会の中の議論の 中でユニバーサルなサービスであるというようなことを議論をしてきたわけでありまし て、こういうような立場から考えると、例えば移動介護の問題について知的に障害のあ る人や、または身体障害のある人の移動介護とどう違うか、別系統のものとして考えた らいいのかというようなことが、やはり私は日頃から知的障害の方と関わる仕事をさせ ていただいているわけですが、やはりより普遍的なニーズとして日常生活支援の保障と して取り組まれるべきではないかというようなことを考えておりまして、この辺につい てはユニバーサルであるということに考え方をとりあえず中間的なまとめとしては出し ていった方がいいのではないかという意見を持ちます。以上です。 ○広田委員  さっきの丹下委員のお話はすごくよくわかります。一昨日も私はとても疲れやすいの でタクシーに乗りましたら、「今日からタクシーの運転手を始めたので道がわからない から教えて欲しい」と言われました。「昨日まで何をやってましたか」お聞きしたら、 「新聞社の印刷局に勤めていた、そしてリストラにあいました、56才です」ということ で、日本は現在そういう時代ですね。そして年間3万人以上の自殺者を出しているとい う中で、本当に今日の丹下委員のお話をもっと早く伺って、ここにそういう本当に企業 で直面している方に来ていただきたかった。  私自身は身内からも近隣の人からも、「世の中は障害者だけじゃないのよ。障害者が いいことばかり考えてはいけないわよ」ということをかなり厳しく日頃から言われてい ます。そういう中でここに集まっているのは、丹下委員の他はほとんどが障害者の業界 で生きている。多くの方々は組織を背景に発言をされている。私はたまたま個人で出さ せていただいております。そういう中で前々回に申し上げましたが、私自身の生活保障 は生活保護でできている、それについてはとても感謝しています。  ぜひ介護保険に投げていれていただく際に、今日はマスコミもたくさん見えてます が、朝日新聞が言ったとか言わないとか、出ているとか出てないとか、何度も何度も出 てきて、朝日の購読料は増えるかどうかわかりませんが、介護保険ということがベスト か、例えば生活保障保険とか生活支援保険とか、社会保障保険とか、いろんな言い方が あると思うんですね。そういう中で統合といったって精神障害者はもともと支援費に入 ってないんだから、別立てで介護保険ということじゃないのかなというふうに私は考え ているんですね。  そういう意味で先日もある学校に講演に招かれましてお話をした時に、学生さんに20 才からいわゆる介護保険の支払者になることに対して抵抗のない人ということを伺いま したら、3分の1が抵抗がない、そして3分の2が抵抗があるということなんですね。 こういうことをこの業界だけで話しあっていて、厚生労働省の前に来て反対とか賛成と か騒いでいるだけではなくて、ここには大学の先生もたくさんおられるわけですから、 もっといろんなところに投げかけて、介護保険部会に投げかけると同時に、いろんな人 に私たちか語りかけることが大事だと思います。  そして私は精神障害者の方の心の健康を正しく理解していただくための啓発の副座長 をやらせていただきましたが、丹下委員の御協力をいただいて、財界にも、さっき武田 委員の方から出てきた、働いている中で病んで精神障害者になっているということもあ りますから、そういう啓発をさせていただくことが、それが精神障害者にもしかしたら なっている本人やこれからかもしれない就労者だけではなくて、そういう人を抱えてい る企業にとってもプラスではないかというふうに思っているんですね。  そういう意味で言うと、たったお一人ではあるけれど、丹下委員の意見の背後にはす ごい、私が11年前に民間の零細企業で働いて、仕事を間違えると社長が飛んできて、 「そこがあんたの障害だ」というふうに言われた体験があります。でも私がアメリカに 行く前に、当時の海部総理のところに表敬訪問に行くといった時に、社長は「今は景気 が悪いから海部さんに早く退陣してくれと言ってきてくれ」と、こんなことがあったん ですね。ですからそういうことも含めて世間の人が自分の問題として考えられるよう に、わかりやすいようにマスコミは報道していただきたい。  そしてこの問題を日本に住んでいる全ての人がいつ障害者になっても安心して暮らせ ていくための社会保障制度、その名前はいろんな名前が思い浮かべますが、そういう中 で報道していただいて、私たちも一人の日本に住む人間として全体の問題として考えて いかないと、ここだけで何かやっていくと、丹下委員がいないと本当に障害者の業界だ けの論議に終ってしまうというふうに私は思っております。  それから高橋紘士委員にお願いしますが、度々私は日本語で義務教育程度でというふ うにお話をしているにも関わらず、さっきもイギリスの英語が出てきましたら、ぜひ日 本語でお願いしたいということで、ぜひマスコミはダイナミックに報道していただきた いというふうに思います。よろしくお願いいたします。 ○高橋(紘士)委員  私の発言は日本語にならないので、要するにグッズとバッズというのはシャレの一つ なのです。 ○広田委員  それならば、例えばこういうことですよと言っていただかないと、私は実はここでお 話しするといろんな人が広田さん言っていただいてありがとう、私もアレはわからなか ったという人がたくさんおられるんですよ。その一番多いのが高橋紘士委員でしたか ら、お願いします。 ○京極部会長  それでは堂本委員、それから続いて福島委員、妻屋委員の順番でお願いします。 ○堂本委員  私は前半は出席できなかったので適切に発言できるかどうかわかりませんが、地方自 治体の立場で申しますと、これが今介護保険の方の部会に投げられることの是非という ような形で議論されていますが、それが投げられる、投げられないということ以前に、 やはりこれから社会保障制度が作られる場合に、やはり地方自治体、特に基礎自治体で ある市町村に主体性が確保されるような形でぜひとも作られる必要があると思うんです ね。  ですから今一番困りますのは、かつての機関委任事務の時と同じように、どうしても 微に入り細に入り制度ができてしまう。そうではなくてやはり誰もがその人らしく、そ の地域に住めるということを、その地域でもって構築できるような、柔軟な制度にぜひ ともしていただきたいというふうに大変強く思っています。  どういう制度にすることがいいのかということに議論が終始してしまいますが、その 制度がかっちりと作られてしまうと、やはり地方の自主性がなかなか入って来ないとい うことは、地域で自由に住む、誰もがその人らしく住むということのための可能性とい うのが狭くなってしまうんですね。ですからそういった意味で、財政的にも、いろんな 意味で市町村の柔軟な対応ができるような形でこれからの仕組みを作っていくように運 営をしていただきたいと思います。以上です。 ○福島委員  この場では委員の方が賛否とか、具体的な意見を出す場ではないと思うんですね。少 なくとも今日については。今日は中間まとめがこれで良いのかどうか、全体的なバラン スはどうかということを検討することだろうと思います。一つ、精神障害の方の問題に ついて申し上げれば、介護保険に入れば精神障害者も含まれる、支援費に残れば入れな いという議論はおかしいのであって、どんな制度、どんな運営であっても精神障害の人 たちのニーズにきちんと叶った制度設計をされるべきだろうと思います。そこが議論が 本来独立しているものがリンクしてしまっているのが論理的におかしいだろうと思いま すので、そこはきちんと切り離して考えるべきだろうと思っています。  その上で、今日の論議をふまえて具体的にこの文案の最終的なとりまとめを部会長が なさるんだろうと思いますが、私の個人的な案ですが、最後の方で新たな障害保健福祉 施策と介護保険との関係というところがございます。その最初の段落で、いきなりこの 介護保険の制度の仕組みを活用するというところが出てきて、しかも現実的なという修 飾語がついている。  ここがおそらく丹下委員や北岡委員が言われた問題とも絡んでくるのだろうと思いま すので、一つの案ですが、丹下委員がおっしゃったように、支援費の再生という表現を 使ってらっしゃいましたが、表現は何にするにしても、引き続き支援費制度の充実につ いての検討を進めるほかといった趣旨の問題をまず入れて、その上で介護保険制度の仕 組みを活用することはそれも選択肢の一つというふうに入れてしまう。つまり現実的な という修飾語はとる。現実的なという修飾語をつけちゃうと、かなり価値判断が入って しまうので、そこはとって、しかしながら客観的な選択肢の一つになることは明らかな ので、そういう表現を残す。そうすればバランスがとれるのではないか。  さらに次に段落、この場合において6月4日の云々という段落、ここは3人の先生方 が非常に苦心して作ってくださったところで、非常に恐縮ではございますが、この段落 は削除する。なぜかというと、6月4日のたたき台は相当鮮明な方向性を示していて、 介護保険が有力な案だということはかなりバンと出されているので、それは仮に引用と はいえ、また条件つきの限られた取り扱いとはいえ、ここで持ち出してくると6月4日 の案がイコール本日の案なのかというふうにも読めてしまうので、恐縮ですが、この段 落はカットする。カットしても全体の文意は変わらないので、その次の段落でも補足説 明がありますし、というのが私の具体的な修正案です。 ○京極部会長  ここはやはりこの障害者部会で議論されたことをふまえて全て提言するという報告を 出すので、今の趣旨はわかるのですが、「〜のように」というのではなくて、「ふまえ て」というぐらいに変えたいと思います。それから5のところも、当面の制度改善を図 りつつもとか、そういうような表現を一部加えて、いきなり現実的な選択肢の一つとい う形にしないような、ちょっと工夫をしたいと思います。それから現実的なというの も、前は有力だったというんですが、ただ理論的な選択肢でないのであって、それは当 然選択肢としてはいろいろ支援費制度の拡充も理論的にはあるのですが、現実的にそれ がありえるかどうかということでセレクトされていくわけなので、猪俣委員の御発言だ とかなり重たい表現だという御指摘があったのですが、その通りなんですね。だからそ のあたりは今回は部会長の案でごさいますので、最終的にはもうちょっと文章も変わる と思うんですが、中間まとめとしてはいろいろな意見を組み入れて、もう一度出すとい うことにしたいと思います。 ○堂本委員  一つだけ追加しておきますと、今、福島委員がおっしゃたことと同じような言い方で 申しますと、私もこの障害者福祉施策全体の在り方の三つ目の○のところですが、いか に市町村がというところの後に、地域の特性に対応して主体的に障害者福祉というふう に、そこに入れていただくことがよろしいのではないかというふうに思いました。もう 一度言いますと、三つ目の○の下の3行なんですが、「いかに市町村がその地域の特性 に対応して主体的に障害保健福祉行政を進めていくことができる……」というふうにし ていただけると嬉しいと思います。ありがとうございました。 ○妻屋委員  前回の部会で反対を表明したものですが、若干この案について意見を申し上げたいと 思います。まず2頁の一番下の、視覚障害者に対する手話通訳や要約筆記、あるいは情 報コミュニケーションの支援、これはこれでいいと思いますが、視覚障害者の移動介護 はホームヘルプや他のサービスとは別系統のサービスとして考えるべきであるというこ とは、またぞろこの他の肢体障害者との格差をつくるのではないかというふうに思うわ けですが、いかがでございましょうか。  それからもう一つ、3頁の就労支援の中で○の三番目にあるのですが、「施設体系を 機能に応じて整理し……」とあるのですが、その場合は量的な整備を図ることも重要で あるということがあるのですが、またぞろここでこういった予算をつけなければいけな いのかということを、そちらでは予算が足りないと言っているのに、こちらでまた予算 をつけなければいけないような案はどうかと思うんですが、いかがでございましょう か。  それからケアマネジメントの在り方についての4頁の意見なんですが、総合的なケア マネジメントの制度化を図るべきであるということはあまりはっきりわからないのです が、先程古畑委員からも意見がありましたように、これは自立と社会参加を進める観点 からということになりますと、障害者は自らで自分のケアをプランを立てなきゃあいけ ないというのが最終的目標と考えなければいけないと思います。いつまでも最後まで人 に頼ってケアプランを作ってもらうのではなくて、できる限り自分で、最後は自分でプ ランを立てなきゃあいけないという考え方があると思います。それが自立だと思いま す。そういう意味からいいますと、「セルフマネジメントを含めた総合的な……」とい うふうな文言にしてはいかがでしょうかということでございます。  そして最後に、6頁の上から二つ目の○ですが、「賛成する意見や課題を示しつつ選 択肢の一つであることを認める意見のほか、判断する材料が十分でないとの意見や…… 」というところまで、いろいろ説明をしてあるのですが、いきなり反対する意見もあっ たというふうにぶっきらぼうに書いてあるのですが、ここは介護保険部会にもっていく 時にはっきり示しておかなければならないことは、国の責任において税で賄うべきであ るという理由から反対であるということを入れておいた方がわかりやすいと私は思うわ けですが、いかがでしょうか。以上でございます。 ○京極部会長  修文できるところは修文していきたいと思います。 ○笹川委員  今の妻屋委員の発言ですが、そこは修正をしないでいただきたいと思います。もしそ れを修正するのであれば、視覚障害者のこの移動介護については全身障害者と同じ取り 扱いにしてもらいたい、と申しますのは、やはりどうも視覚障害者の移動介護というの は簡単なように思われていますが、実際はそうではありません。例えば行動中にトイレ に行きたい、その場合に自分でわかるかというと、全くわからない。全てヘルパーの介 助を受けないと用が足せないというのが実態です。食事についてもそうです。だからそ こで差別をするということは、これは極めて大きな問題ですから、もしそれを削除する のであれば全身障害者と同等の移動介護をするということにしてもらいたい。 ○妻屋委員  今、削除するとは申し上げていません。格差を作ってしまうのではないかという意見 でございますので、よろしくお願いいたします。 ○京極部会長  2頁の一番下で笹川委員から疑問が出たのは別系統のサービス等を手厚く考えなくち ゃあいけないという趣旨で書いたので、格差をもうけて抑えるという意味で書いたわけ ではございませんので、むしろ今以上に手厚くしなくちゃあいけないという意味合いで 書いたので、ただ表現が十分伝わってないということがあるかもしれません。そこは注 意したいと思います。 ○笹川委員  それから支援費制度についての見直しということで、特に障害者の地域生活支援の在 り方に関する検討会でずいぶん議論しました。会議も27回開いております。そこでいろ いろとこの支援費制度問題が提起されたわけですが、それとのすり合わせが十分できて いるかどうかというのがちょっと気になります。  というのは先程丹下委員や福島委員からこの支援費制度についてももっと検討する必 要があるんじゃないかという御意見がございました。私は正直申し上げまして今の支援 費制度には無駄がある、これは絶対に改めなければならないというふうに考えていま す。そうしませんと今のままの支援費制度でやったら本当に予算はいくらあっても足り ない、この辺は明確にする必要がある。そういうことでこの統合については正直言いま してほとんど議論はここではされていません。今日初めてといっていいぐらいではない でしょうか。  ですからとにかく部会長として28日に一応この部会としての意見をまとめられる、そ れは当然のことで介護保険部会の方に投げかけられるわけですが、先程から出ておりま すように、やはり議論を十分尽くして、たとえ統合されるということであっても、仕分 けをする部分はしっかり仕分けをするということでお願いしたいと思います。  実は今日の朝早く電話がかかってきて、視覚障害は介護保険からはずれたなという連 絡を受けました。私は全然そんなことは知らないでびっくりして、新聞を見ましたら、 骨子の五つの最後のところに、視覚障害など介護保険に伴わないものについては別枠で 対策を講ずるというふうに書いてあったものですから、はっきり言ってそれなら介護保 険に入らないんだなというふうな受け止め方をされたわけですが、先程からの御議論や らこの資料を見ますと、決してそうではないけれども、ただ、やはり実施主体の市町村 でもまだ慎重論がかなりあるというようなことで、方向を決めるというところまではま だいってないんじゃないか。議論が足らないというのが正直なところです。基本的には 先程福島委員が指摘された修正部分はぜひ御検討をいただきたいというふうに思いま す。 ○江上委員  私は全国精神障害者家族連合会の専務理事をしております江上といいますが、全国家 族連合会は47都道府県、6万家族会で組織されているものですが、そういう中で私は平 成13年11月まで東芝に勤務しながら家族会活動をしていて、翌月の12月から全家連に来 たのですが、そういう中で今回の介護保険の問題については、丹下委員が言われるよう に、私は利用者側にも無駄の排除とか、いろんな部分をしなければならないことがたく さんあると思っております。今回の支援費の問題についても。  そういう中で赤字が当初よりも120億ぐらい出たという中で、企業でそういうものが 当初目標しておって、そうなった場合、やっぱりいろいろな改善の手を打つし、使う側 もいろいろと進めていく。そういう中でJDという日本障害者協議会の役員会に出た時 に、そのようなことを話しました。そうしたらある人が、やっぱり使う側も24時間の介 護でもやっぱり無駄な部分がある、今笹川委員が言われたように、やはりこの制度をう まくやっていくためには使う側も無駄とか、そういうものがないかをやって進めていく べきだというふうに考えております。そういう中で全国精神障害者家族連合会としまし ては、この中間まとめで進めていただいて、いろいろな問題があるにせよ、これからい ろいろなものを改善していくというので進めていただきたいというふうに考えておりま す。以上です。 ○京極座長  ありがとうございました。それでは次は安藤委員お願いします。 ○安藤委員  確認ですが、この中間報告については立場の違いによって読み方も変わってくるので はないかと思うんです。私の読み方としては、介護保険への統合または繰り入れを期待 する読み方になっています。ただ、最初の福島さんとか座長さんのお話では妥当であっ てというふうな意見ですけれど、玉虫色にまとめあげられているとは思えないです。け れど今福島さんの意見で文章を変えるとなると、それこそ玉虫色になってしまって、こ れを介護保険の部会に投げ入れても何のことか、この障害部会の建議そのものも疑われ るのではないかと思うんですけれど、障害者部会として介護保険の統合組み入れに最初 から賛成、反対の話というような検討をした皆さんの一致の中で、介護保険部会へ投げ るということが本当ではないかと思うんですね。  このように玉虫色にまとめて出して、そして障害者部会は統合案に賛成なんですか、 反対なんですかと言われて、賛成もしませんでした、反対もしませんでしたということ で、座長さんはどうなるんでしょうか。これを投げた場合、座長さんが行って説明する ことになるんですけれど、座長さんはどう説明するんですか。それをちょっと確認した いと思います。 ○京極部会長  この原案は現実な選択肢の一つということで、検討せよということを投げかけるわけ ではありません。この部会で何も決まっていませんでしたというのでは球は投げられな いわけですね。だからこっちの意見もある、こっちの意見もあるということで、両論併 記はとっているわけではございません。  ここの文章のことはきちっと説明して、そしてこういう疑問の意見も出た、丹下委員 の意見も出たということは伝えますけれど、ただ基本的には向うに議論していただくわ けですから、賛成も反対も両方あって何も決まっていませんでしたというのでは、もう 一回出直して来いということですから、それはできないわけであります。だから両論併 記は一切とってないので、ただ見方によるとそう見えるかもしれないけれども、現実的 な選択肢として一つ検討していただきたいということが統一したいと思っております。 この部会もそこでは一致していただかないと困る。 ○安藤委員  そうするとやがてそのまま差し戻しも考えられるわけですか。 ○京極部会長  それは介護保険部会の受け止め方であって、ただ、もう一つ確認したいことなんです が、これはあくまでも部会長メモでして、もう一回正式に最終的なまとめというのを、 必要な修正を施した上で議論をして出したいと思っています。だから二回球をぶつける ということになるかと思うんですね。だからここで私の部会長メモを出すことを認めて いただいて、さらにまたこの議論でまだ積み残している課題があって、ここにも書いて ありますが、市長会の意見とか、医療関係者の意見とか、障害者当事者の意見とか、そ ういうことでまだ残っている議論につきましてはさらに盛り上げて出したいということ で、二回出すということですね。 ○長尾委員  本来は最初に丹下委員が言われたような社会保障の何たるかということがきちっと論 議されるべきだろうと思うんですが、それはともかくとして、この介護保険の全体像が 見えない中で、賛成・反対というコメントはちょっと私の方は控えさせていただきます が、各論的なことの文言で一つ、4頁の住まいの確保のところですが、精神障害者の場 合住まいが確保できれば早期退院、地域生活への移行が促進するということで、これは ただ単に住まいがあれば促進されるというようなことにとられるんですが、この前に支 援体制の整備を前提としたということがなければ、いくら住まいがあってもどうしよう もないので、そういう言葉をきちっと入れていただきたい。  それから先程ケアマネジメントの在り方ということがありましたが、二番目のところ で「これは様々な職種による……」というところの前に、「障害者特性に応じた」とい う言葉がやはり入るべきかなというふうに思いますが、これは今後もしそういったこと になれば論議はされるんだろうと思うんですが。一応各論的なことで指摘させていただ きます。 ○福島委員  介護保険部会に行って賛成か反対かわからない、玉虫色のものを出すだけでは何を言 っているんだというふうに言われかねないというのはもちろんそうかもしれませんが、 先日のヒアリングを見ても、割合をとって一番大きいのは判断の材料が足りないという ことです。賛成が1ないし2団体、反対が2団体、残りの4団体は賛否の判断をするた めの材料が基本的に少ないので言いようがないというのが大勢だったわけで、そう考え た時に現実的な選択肢の一つというのは、あくまでも現実的な選択肢の一つだろうと思 うんですね。  介護保険を仮に統合ないしはそれを利用する場合に、どういうパターンがあり得るの か、どういうことになるのかということを今後検討するという段階が訪れるだろうと思 います。 ○京極部会長  ここではあくまでも皆さんの意見をまとめて、かなり長くなりましたが、今まで議論 が出たことをほとんど盛り込んだつもりです。おそらく今まで障害者福祉でこれだけ大 きな体系的なとりきめを出したのは厚生労働省で未だかつてないことなので、知ってい る方は知っていると思いますが、そういう形で出しておりますので、ただ、現実的な選 択肢ということのみをお話しして、そしてこれは私たちも現実的な選択肢としてこれか ら本当に十分に検討しなくちゃあいけないんですね。今まではとば口のところで検討に まだ入ってないと思うんですね。でも検討に入った場合にはさらにこの部会でも積極的 にもう少し福島委員がおっしゃったように、メリット・デメリットを求めて相当細かく 議論しなくちゃあいけない。  それからここに書いてあるように市町村にもこれはボールを投げているわけです。検 討してくださいと。国民的議論でこれは解決しなくちゃあこの問題は進みませんので、 私は賛成とか反対とか言ったってどうにもならないんですから、ただ、部会としてスタ ンスを決めて、少なくとも現実的な選択肢の一つとして検討して欲しいということを、 さしあたりは介護保険部会ですが、これは実はここに書いてあるように、医療関係者に 対しても市町村に対してもいろんな方々にボールを投げるわけですから、そのもとでま た検討が各分野でも進んでくる。私どももまたここでもうちょっと突っ込んだ議論をし ないと、どうも絵が見えないといことは言われておりますので、そこは誤解のないよう に一つよろしくお願いいたします。 ○高橋(紘士)委員  今の部会長のお話でよろしいかと思いますが、基本的に私は3人の委員で誘導的だと いう御批判はございましたが、相当程度介護保険の可能性について突っ込んで検討した わけです。しかしそれはここでの立場の意見は言ってみれば当事者としての議論ではな いんですね。こうして欲しい、ああして欲しいということで、だから逆にいうとここに 問題点があるのではないかという指摘に止めざるを得なかったというのが実情でござい ます。そういう意味でいえば介護保険部会にこのボールを提起することによって、そこ に関してこうではないかという議論をきちんとした、それこそ判断材料としてなるよう なものが、そこから出てくるということだというふうに認識しております。  要するに判断材料というのは、要するに我々がこうして欲しいとかこうなるのではな いかではなくて、介護保険部会との共同作業ということになるのかもしれませんが、そ の中で介護保険部会としても障害者としてはこう考えようという、そういう議論があっ て初めて、先程判断を保留した団体の皆様に判断材料を提供できるようになる。他方で 障害者部会として出ております支援費の今いろいろな議論については、もちろん継続を するという、それが前提でございます。そこで投げることによって初めて判断材料が出 てくるという、そういう意味で判断材料が出てくるような形で部会長に発言をしていた だくということが非常に肝要かというふうに思っております。 ○新保委員  先程の福島委員のその前の時の発言についてちょっと触れておきたいというふうに思 います。福島委員は精神は賛成・反対という言い方をするけれども、ここは賛成反対の 意見を言う場所じゃなくて、中間的なとりまとめについて議論する場だというふうにお っしゃいました。なるほどその通りかもしれません。しかも委員は精神は独立している 問題なのに、ここでリンクしているのがおかしいという発言をなさいました。  私はたしかに精神障害者問題が対等な立場におかれてないというふうには思います が、しかし、できる限り三障害が対等に共通の枠組みを目指していくという意味におい て、精神障害者の関係団体や関係者がいることは意義があることだというふうに思って おりましたし、またそうでなければいけないというふうにも思っております。だからこ そこのとりまとめで三障害共通の枠組みとすべきという文言も出てきたんだろうという ふうに考えております。もし福島委員がおっしゃるように、精神は独立している問題で この課題とリンクしてないんだとすれば、私どもがいる必要がないというふうにおっ しゃっているのと同じであります。大変不満であります。  そして合わせて6頁の障害者部会におけます3人の委員が示した考え方をその時に省 くような御発言がございました。私の立場とすればぜひともこの文言は残していただき たいというふうに考えております。そして介護保険に賛成するというふうに言ったの は、介護保険が絶対だというふうに思っているわけではありません。私どもがじゃあ支 援費で、先程も申し上げましたが、すぐに支援費に入りたいから皆さんウンと言ってく れますか?おそらくすぐに今日はウンとは言わないと思います。  精神障害者の施策に関して事務的経費が少しでも欲しい。そのための選択肢として今 介護保険しか目に見えるものがないとすれば、当面それに賛成し、そのことによって他 の障害者の方々と一緒に議論ができる土俵に上がれるんじゃないかと考えているからで あります。ぜひともその辺の意をお汲みいただきたいというふうに思います。以上で す。 ○嵐谷委員  日身連の嵐谷です。この問題は我々障害者当事者の方からの意見の方が多分に有効で はないかなというふうにも思います。親部会の方へこの条文でどうこうという形もあり ますが、それよりもこれをじゃあ投げかけて、もう一回返ってきた球をどうするかとい う論議になっていると思うんですが、それはそれとして将来に向かって障害者施策をど うするのかという部分がもうちょっと明確にしていただきたい、そのように思っており ます。  自立と共生社会の確立、社会の連帯感、国民の理解と共感、先日も前田委員長が発言 した、その部分のトータル的な部分をもう少し論議した上でこの話を進めていただきた い。そしてまたもう少し材料になる部分を出していただかないと、色形が全くない、味 がどうだと言われても、うまいともまずいとも言えないというふうな部分がございます ので、もう少し論議を重ねた方がいいのではないかなというふうにも思っております。 以上です。 ○斎藤委員  3頁の就労支援について意見を述べたいと思いますが、この就労を支援するという中 に大きく三つあるんだろうと思うんですが、一つは当然一般就労ですね。この一般就労 につながらない人々に対する就労の在り方として、今の福祉工場なんかの俗に言う保護 雇用と言われているものがあるんだろうと思います。これが上から四つ目の○なんだろ うと思います。  そしてもう一つは自営、これが六つ目に書かれておりますが、一つはこれからを含め てその就労雇用対策支援というものが整理されなければならんだろう。二つ目には職業 訓練という項目があるんだろう。そして三つ目にはそのバックアップシステム、要する に諸外国にございます優先発注制度、税制優遇制度、みなし雇用制度、ここの三つ目の ところがここに抜けているんですね。今まで何回か発言してまいりましたが、これが抜 けているということで、かなり賃金支給なんかに影響を及ぼしておりますので、できま したらこういう分け方にして、最後に言ったものを追加をしていただきたい。  それからもう一点が5頁ですが、今後の制度の在り方の整理された中の二番目に今の 就労支援、一番上の○の(2)で就労支援施策が打ち出されておりますが、これが今3頁の 中身なんだろうと思いますが、これらを含めて一番下の2のところに「上記のような状 況の中で……」というところから始まって、「介護保険制度の仕組みを活用することは 現実的な選択肢の一つである」とおっしゃっているというふうに私は解釈したのであり ますが、そうするとこの3頁の就労支援も含めて介護保険の部会の方へ投げ込まれるの かどうか、その確認をしたいと思います。 ○京極部会長  これは明確に介護保険に就労施策の一部が入るか入らないかということは議論してい るわけではなくて、全体として就労支援を位置づけています。ここは各論で議論してい きますと、例えば授産施設みたいなものは介護施設になるかどうかという議論はここで もまだしておりません。それから福祉工場みたいなのはちょっと違うというのはわかり ますが、それから一般就労といろいろ区別がありますが、そのあたりをどう考えたらい いかということはこれから議論していくことで、ここの中では一般論として言っており ますので、個別の施策体系を就労支援の例えば施設をどこに入れるかということはあえ てはずした、抽象的にしているということであります。  それから先程量的な整備のことが就労支援で出ましたが、これは一般的な施設の支援 ではなくて、就労支援に関する整備というふうに前提で、その中の一部ですので、何か 一般的な施設整備のことを書いてあるように受け止められたんですが、そうではござい ませんので、そこは間違いないようにお願いしたいと思っています。 ○斎藤委員  そうしますとこのペーパーを介護保険部会の方に投げ込むんじゃないという解釈でよ ろしいんでしょうか。 ○京極部会長  これは全て介護保険部会にぶつけるということで、ただ、介護保険部会が議論するの は介護保険の制度の中身の見直しですので、それをどこを切り取るか、また我々はもう ちょっと議論を詰めて、もうちょっと介護保険部会にこうして欲しいとか、こうさせる べきだということは出さなくちゃいけない。それはこれから現実的な選択肢ということ を確認してからの作業になると思うんですね。 ○徳川委員  6頁なんですが、これは私は非常に重要だと思っておりますが、6頁の一番上の○な んですが、ここに3人の委員が示されたようにという、先だって6月4日に示された、 これは僕は非常に貴重な考え方だと思いますが、その中で図式がございましたね。介護 と、そしてプラスそうでないもの、いわゆる横出しといいますか、上積みというか、あ れについてはほとんど議論がされていなかったと思うんですね。  ところがここではそれをそのまま「介護保険制度により全ての障害者サービスを担う のではなく、介護保険制度とそれ以外の障害者サービス等とを組み合わせて……」とい うふうになっているのは、二つの制度が竹と木を結びつけたようになってしまうんじゃ ないか。ここのところがさっき広田委員がおっしゃった、それは非常に重要なことなん で、あれきりそれが途絶えてしまったのなら残念なんです。  広田委員は高齢者も障害者もやはり人間として同じニーズを持っているんじゃない か、大きい小さいはあっても、若干の特異性はあっても、だからその全部を含めた一つ の新しいものを作るべきじゃないかという御発言があったんですが、私は広田委員のそ の考え方に賛成でありまして、私どもの協議会でもそういった考えで、単に介護保険が 今あるのを一部利用させてもらうのではなくて、彼らもまた17年に見直しなんですか ら、その中で国民全体の在り方についてもう一度新しい社会保障を構築しようじゃない かというような考えを我々の協議会でも持っておりますが、今の一番上の○ではそう じゃなくて、介護保険は介護保険だよ、そこへ障害者が介護については利用して、あと はまた別の制度でやるんだというふうにとられるんですが、この3人の委員の示された ことについてはまだ議論が尽くされていませんので、これをそのまま出すということ は、これは介護保険の方に出すにしても、やはり非常に重要な点じゃないかというふう に思って私は提案をしたいんです。いかがでしょうか。 ○高橋(紘士)委員  ぜひ御理解をいただきたいのは、高齢者ケアについても介護保険だけでやっているわ けではございません。要するに介護保険制度に馴染むものについては介護保険制度で給 付が行なわれ、それ以外のものについてはそれ以外の手法で政策が行なわれておりま す。これは現実でございます。  ですからそういう考え方に立てば、要するにあの表で出しましたような考え方がある ということが現実で、これは今の議論を前提とした議論でございます。それで御理解く ださい。もちろん徳川委員がおっしゃった、あるいは広田委員が提起された、あるいは 他の委員が御提起されたような介護保険そのものが将来どうなるかということの中でそ れをどう考えるかというのは次の議論でございます。  ですからとりあえず我々が議論ができるのは、現状の介護保険、現状の制度を前提と して、しかしそれは一方で言えば介護保険の方も、先程の御議論ではございませんが、 やはり持続可能な制度として厳しい目が注がれているわけでございます。そういう現状 の中でどのような仕組みをこれから考えていくかというのが、先程の部会長の御発言で 言えばピッチャーがキャッチャーに投げ、そしてキャッチャーがそれではこういう形で ボールを投げ返そうというところから議論が始まるというふうに思っておりますので、 そういうふうに私は考えております。以上です。 ○京極部会長  今度の介護保険の見直しは施行後5年後に定められた見直しの時期で、この介護保険 部会でも生活支援保険にして、全てのものを保険でという議論は基本的にまだやってお りませんので、それはもし議論するとしてもおそらく次の見直しの時期じゃないか。少 なくとも今回の見直しは今高橋委員からも補足的な御意見をいただいたように、その議 論そのものは介護保険をどうしてこれから国民に定着させ、さらに守っていくのかとい うことで見直しをしているわけで、これをどんどん広げてやるという議論のところまで はいってないと思うんですね。だからその辺は御議論としては将来方向の問題提起は確 かに非常にいいアレだと思うんですが、当面の問題ではないということです。 ○君塚委員  入所・通所に関わらず施設の機能を一旦分解してという言葉の中身なんですが、分解 してという言葉が一人歩きするというふうに危惧します。それで例えば根本的に見直し してとか、そういう表現に変えた方がいいと思います。 ○京極部会長  あちらの方の議論がかなりあって、それを受けたというか、検討会で出された資料も あったので、まあ機能を細かく整理して、医療的な機能とか、介護的な機能とか、教育 的な機能とか、施設が持っている諸機能を少し整理して、そしてその諸機能については それぞれ地域でも個別に在宅でもできるようにしようという趣旨だったので、表現は少 し誤解されないように直したいと思います。 ○福島委員  あまり時間がないようですので短く申します。文案のことで、現実的な選択肢という のが度々出てきているのですが、やはりのこの現実的なというのが相当バイアスがかか っている。やはり価値判断が入っているので、そこは例えば相談員の選択肢という表現 にしたらどうかなというのが私の提案です。  もう一つ、先程新保委員が精神障害のことについてのことですが、あれは誤解だと思 います。私はそんな趣旨で発言したのではありません。私が言ったのは精神障害者を独 立だとするのではなくて、精神障害者のニーズに応える制度設計をするということと、 支援費か介護保険かという議論とかを、この二つを独立に考えるべきであって、例えば 介護保険にいかなくて支援費のままであったら精神障害者はそのニーズにかなった制度 がないままでいいんだというふうになるのはおかしいのであって、どんな福祉施策の仕 組みになっても、これまで遅れていた、もし軽視されてきた精神障害者の方々への施策 を手厚くするのは当然の方向であって……。議事録を見ていただければ私の趣旨はわか るだろうと思います。正確に聞いていただければと思います。でも誤解をしながらそれ を修正するのが、それが議論の場だと思いますので、もちろんどんどん言っていただけ れば結構だと思いますが、もし本当に精神障害者を排除すればいいと思っていれば、そ もそも私もここにはいません。 ○新保委員  ですから発言が間違いでしたと言ってくださればそれでよかったわけです。 ○松友委員  私は賛成じゃなくて必然という表現までした団体から言っても、福島さんの意見に対 しては、先生誤解ですよ。私は中立的に聞いても、福島さんがおっしゃったことはそう いうことではありません。ですからそれに対してゴメンと言えとおっしゃるのはおかし いと思います。彼が言っているのは基本的に賛成・反対、あれは介護保険との統合は別 にして、精神障害の重大なものは別の時にきちんとやるべきであってということですか ら、全然先生と対立的な意見ではないのであって、そこはお互いに理解しあっていかな いという、蛇足ですが、発言です。 ○京極部会長  ありがとうございました。議論が尽きないようですが、一応5時半を過ぎておりま す。そして来週早々月曜日には介護保険部会が待っていますので、障害者部会として最 終的な中間とりまとめについては必要な修正をした上で、確認の意味を含めましてもう 一度御覧いただき、その場で決定したいと考えております。そこで皆様にお諮りしたい と思います。来週の月曜日に介護保険部会が予定されておりますので、障害者部会から ボールを投げるという意味で私の案を障害者部会で議論しているものとして提出し、本 日の議論を含めて説明をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。 ○委員各位  結構です。 ○京極部会長  ありがとうございました。それでは次回の日程について事務局より説明をお願いいた します。 ○間課長補佐  ただいま部会長から御提案がありましたように、もう一度御議論をお願いしたいと考 えております。次回につきましては至急調整した上で、詳細につきましては後日事務局 より連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上でござい ます。 (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                     厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3017)