04/06/24 薬事・食品衛生審議会医療用具安全対策部会 平成16年6月24日議事録        薬事・食品衛生審議会 医療用具安全対策部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年6月24日(木) 10:00〜   弘済会館萩の間 2.出席委員(16名)五十音順    天 笠 光 雄、 井 部 俊 子、 小 野 哲 章、 笠 貫   宏、    倉  田   毅、 佐 伯 晴 子、 酒 井 順 哉、◎桜 井 靖 久、    佐 藤 道 夫、 土 屋 利 江、 土 屋 文 人、 長 尾   拓、    中 村 達 夫、○外  須 美 夫、 目 黒   勉、 山 口 照 英  (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(6名)五十音順    甲 斐 知恵子、 小  柳   仁、 澤     充、 勝  呂   徹、    野  中   博、 松 谷 雅 生 3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、 平 山 佳 伸(安全対策課長)、   俵 木 登美子(安全使用推進室長)、   黒 川 達 夫(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、   伏  見   環(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全部長)  他 4.備  考   本部会は、公開で開催された。 ○桜井部会長 定刻になりましたので、医療用具安全対策部会を始めたいと思います。 まず委員の交替があったそうですので、事務局から御紹介をお願いします。 ○事務局 日本医師会常任理事でいらっしゃる星北斗委員から野中博委員に交替されま したので、この場をかりて御紹介させていただきたいと思います。なお野中委員は本日 御都合により御欠席という連絡を頂いております。委員の交替については以上でござい ます。 ○桜井部会長 ありがとうございました。それでは資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 今日皆様方のお手元にありますのは、座席表、議事次第と資料目録が各1部 づつ、委員の名簿一覧表でございます。それから資料1として資料1-1「平成15年度の 安全対策について(まとめ)」、資料1-2「整形外科手術用器械器具の自主点検等につい て」、資料1-3「加温加湿器に係る使用上の注意等の自主点検等について」、資料1-4 「オプチペンプロ1(インスリン自己注射用注入器)の使用に伴う過量投与の防止につい て」となります。資料2でございますが、 資料2-1「薬事法第77条の4の4の規定に 基づく薬事・食品衛生審議会への不具合・感染症等報告について」、具体的な報告であ る資料2-2「医療用具不具合等報告」の一覧表、資料2-3「医療用具外国措置報告」の一 覧表、資料2-4「医療用具研究報告」の一覧表。続きまして資料3になりますが、資料 3-1「感染症定期報告の状況」、資料3-2「報告別文献一覧表」。それから資料4として 資料4-1「医療用具の回収報告の状況について」、資料4-2「平成15年度医療用具自主 回収一覧」の別表。以上が本日の報告資料になります。過不足等ございましたら事務局 までお願いしたいと思います。 ○桜井部会長 よろしゅうございますでしょうか。それでは本日は医薬品医療機器総合 機構から安全管理監が御出席のようですが、事務局から…。 ○事務局 本日、委員のお手元には「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 業務の御 案内2004」という冊子をお配りさせていただいていると思います。今年の4月に独立行 政法人医薬品医療機器総合機構が発足しておりますので、この冊子に基づきまして簡単 にこちらの御紹介をさせていただきたいと思います。  資料の6ページを御覧ください。ここに「医薬品医療機器総合機構の概要」と書いて ございますけれども、この一番始めの文章に書いてありますとおり、医薬品医療機器総 合機構は国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センターと医薬品副作用被害救 済・研究振興調査機構及び財団法人医療機器センターの一部の業務を統合いたしまして、 本年の4月に発足しております。組織でございますけれども、一枚おめくりいただきま して8ページを御覧いただきたいと思います。本日の医療用具安全対策部会に関係いた します組織はこの組織図の右下から三番目にある「安全部」というところで、ここがこ の部会に関係します医療用具の安全対策等を行う部署でございます。また本日出席して おります黒川安全管理監がその安全部の左側に位置する「安全管理監」でございます。  では安全部がどのような業務を行うかでございますけれども、資料の25ページを御覧 いただきたいと思います。従来から厚生労働省の方で医療用具の不具合情報等を収集し、 これについての安全対策等を行っておりました。それが、今年の4月からはこの医薬品 医療機器総合機構の方で企業からの不具合情報等あるいは海外の規制情報、文献情報等 を一元的に収集し、真ん中の図に上から下へ流れがありますように、企業ヒアリング、 データ収集・分析・評価、整理・調査等の業務を行いまして、その情報を右図の厚生労 働省に報告していただきます。厚生労働省からは右図の一番下にありますとおり、安全 対策措置の実施として従来どおり医療用具の企業の方に種々の指導等の安全対策を行う ことになります。  このように今年発足しました医薬品医療機器総合機構は、今まで厚生労働省で行って いた医療用具の安全性情報の収集、あるいは企業ヒアリングといった定期的な業務を行 うことによって安全対策の一部を担っていただくという位置付けでございまして、本日 その業務の一部を行っていただく黒川安全管理監にも出席していただいているところで ございます。簡単ではございますが、医薬品医療機器総合機構の御案内をさせていただ きました。 ○桜井部会長 どうもありがとうございました。何か御質問ございますか。これはお金 はどこから来るのですか。 ○安全管理監 安全対策に掛かる費用につきましては、「安全対策拠出金」という法律 に基づくお力添えを医薬品あるいは医療用具製造企業の方にお願いしております。よろ しくお願いいたします。なお救済等については国費などが入っております。 ○桜井部会長 ほかに何かございますか。どうぞ。 ○事務局 今のお金についての補足でございますけれども、医療用具メーカーの方から 安全対策拠出金というものを徴収いたしますが、この安全部門の業務を行う資金としま しては、そのほかに国の予算からも運営費交付金ということで出ております。 ○桜井部会長 これはデータベースといったようなメンテナンスその他で相当お金が掛 かるお仕事でしょうね。 ○井部委員 名称が確かどうか分かりませんが、厚生労働省の中に「医療安全推進室」 というところがあると思うのですけれども、そことの関連はどのようになるのでしょう か。医療安全対策措置の実施についてはどこが主として責任を負うのでしょうか。 ○安全対策課長 安全部の中にも医療事故を取り扱う部署がございます。それから本省 の安全対策課でございますが、従来も安全対策を担う部署がありましたけれども、今も 同様に担当官がおりまして、したがって本省と機構の方で連携を取りながら医療事故に 対する対策を採ることになっております。責任体制からいきますと、機構の方がいろい ろな調査、あるいは相談に乗って対策を考えて、それを具体的に周知徹底するときには 本省の方が担当すると。あるいは医療事故対策について国の方で部会がございますので、 そちらの方に図って答えを頂くという作業をやることになっております。 ○桜井部会長 よろしいですか。 ○井部委員 そうしますと、私は個人的に「物は物、人は人」という医療安全対策の縦 割りのようなところを感じていたのですけれども、それが是正されることを期待してよ ろしいでしょうか。 ○安全対策課長 安全対策につきましては二つの側面から国の方で対策を採っておりま して、物については医薬食品局が担当しております。それから人の関係につきましては 医政局が担当しておりまして、それは従来どおりでございます。先生の「物は物、人は 人」というふうに別個に動いているのではないかという御指摘でありますけれども、法 律の体系から人については医政局が担当する、物については医薬食品局が担当すると守 備範囲を決めております。ただ、それぞれが別個に動いているわけではございませんで、 お互いに情報を交換しながら対応を採っております。例えば医療事故対策の通知につき ましても両者連名で対応する、その中には人に配慮することもありますし、物を改良す ることもありますので、その両方を盛り込んだような形でいろいろな対策を採るという ことになっております。したがって、医薬品医療機器総合機構ができましたのは物の方 の対策についてちょっと手厚く人員を配置するようになったと考えていただければと思 います。 ○桜井部会長 よろしいですか。どうぞ。 ○佐伯委員 最近メーカーが造ったものに対してどれだけ検証が働いているのか、国民 の一人としてかなり疑問に思っているところなのです。今の構図で行きますと、企業か らの「報告」及び「ヒアリング」というのは機構との間では行われますけれども、医療 機関と国民のところには「安全対策の実行」、「広く情報提供」というのがあるだけで、 逆方向の医療機関と国民からの「報告」及び「ヒアリング」という矢印がありません。 これはどのように考えたらよろしいのでしょうか。つまり企業が上げたいものだけ上げ て、そのことに関してのヒアリングは行われて、それに対する対策などはあるのだけれ ども、実は本当に100%必要なことがそこから出ているとは限らない、あるいは出した 側では気が付かなくて実際ユーザーのところで気が付いてくるものがたくさんあると思 うのですが、いかがでしょうか。 ○安全対策課長 物の流れからいくとそういうふうになっているのですが、その改良点 について問題提起をするところは医薬品医療機器総合機構であるし、厚生労働省の方が 主に行うことが多いわけです。それはどこから情報が入ってくるかというと、医療機関 からの例えばヒアリ・ハット事例などから分析していって、これは物の改良をする必要 があるだろうということになって、それをメーカーに対して提示して、メーカーの方が その改良点について相談しながら工夫していくというふうになっております。メーカー の方も自主的にいろいろ苦情を受けて、それに対して相談を持ち込むこともありますけ れども、こちらの方も医療現場からのいろいろな情報を受けて、それに基づいて業者と の間で改良について相談するということでございます。 ○佐伯委員 ちょっと私の理解が悪くてすみません。25ページの図のどの矢印にそれが 表現されているのか教えていただけますか。 ○安全対策課長 「安全情報の収集」という矢印が半時計回りに「医療機関」から「厚 生労働省」と「医薬品医療機器総合機構」の方にぐるっと回っているかと思います。「医 療機関」が下にありますが、これが一つの大きな流れでありまして、そこからの情報に 基づいてメーカーとの間で話をしながら改良していきます。 ○佐伯委員 念のためにもうちょっとお聞きします。「安全情報の収集」とありますけ れども、収集しなければ集まらない。この言葉の定義が分からないのですが、「収集」 と「報告」と「ヒアリング」の違いを教えてください。 ○安全対策課長 「安全情報の収集」というのは、医療事故あるいは不具合等が発生し ますと国への報告義務がありますので、医療機関からメーカーに対して苦情が行って、 企業の方が厚生労働省なり機構の方に情報を報告する義務がございます。それと同時に 医療機関から直接厚生労働省の方にも報告がありまして…。 ○佐伯委員 それは「報告」で、そうすると「収集」は…。 ○安全対策課長 報告されたものを集めるということで「収集」と書いてあるわけです。 それから企業の方にも当然医療機関からのいろいろな不具合の情報が入りますから、そ れを収集することになっております。 ○佐伯委員 行政の使う言葉がまだもう一つ分からなくて、「収集」するのと「報告」 するのと「ヒアリング」するのと…。分からないので、教えてください。 ○安全対策課長 「収集」は集めるということですから、医療機関からのいろいろな苦 情を集めるような制度。「収集」と「報告」とは似たようなものではあるのですけれど も、ただ「報告」については、企業の方に不具合の収集があればそのものを国に対して、 あるいは総合機構に対して報告するという法律で決められた制度がございます。それか ら「ヒアリング」は通常相談業務のようなものでありまして、メーカーと総合機構との 間である不具合に対してどう解決するか検討することを称して言っております。 ○事務局 補足して説明させていただきます。この25ページの図の「報告」あるいは「収 集」、「ヒアリング」という用語なのですが、これは必ずしも法律でこの用語を使って いるわけではございませんで、この図を一般の方が見たときに分かりやすくするために 使っているのです。先ほど課長の平山が御説明したとおり、医療用具企業と医療機関に つきましては、それぞれ薬事法に基づく不具合情報の報告義務というのが課されており ます。医療用具企業の方については、従来から不具合の情報がございましたら厚生労働 省、今年の4月からは医薬品医療機器総合機構に対し報告する義務が薬事法上ございま す。それと医療機関の方は昨年の7月30日に薬事法の改正が施行されておりまして、保 健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するために必要があると認めたときには、そうい った不具合情報を厚生労働省の方に報告しなければならないという義務が規定されてい るところでございます。一般の患者さんからの報告義務規定については現在のところ薬 事法上ございません。ただ、今まで医薬品につきましては消費者の電話相談の窓口を設 けておりましたけれども、今後は医薬品医療機器総合機構の方で医療機器についても窓 口を設置して、一般の方からの相談に応じるという事業も行う予定になっております。 ○佐伯委員 ありがとうございました。少し分かってきました。そうしますと25ページ の「医療機関」から「医薬品医療機器総合機構」への矢印のところは、本来は「安全情 報の報告」というふうに文言が変わっているべきではないでしょうか。  それからもう一つ、私がこの「収集」と「報告」でどう違いを感じるかというと、報 告と言いましても義務ですが、罰則規定のない義務報告になっていて、今これは本当に インセンティブもほとんど働いていないような状況のようですので、どれだけ自主的に 報告してもらえるかで安全が決まってくるのかなと思うのですが。お願いします。 ○事務局 用語のことについて厳しくお問い合わせのようですので御説明させていただ きますが、主語の問題と考えていただければ分かりやすいかと思います。多くの機関が 統廃合して新しい総合機構を設置いたしましたので、今回の図は主に総合機構と厚生労 働省、あるいは総合機構と企業との関係がより分かるような構成になっております。上 流から情報が入ってくるために「だれ」が収集するか。これは「厚生労働省」が、「医 薬品医療機器総合機構」が、「企業」が収集すると読んでいただければ主語としてはす っきりいくことになります。もし主語を下の「医療機関」に置くのであれば、厚生労働 省への報告義務という形で法定義務を明確化すれば分かりやすかったのかもしれません が、機構のパンフレットですので、この図の中央はわざと主人公たる機構として、「機 構はどういう機関ですか」「情報を収集します」、「収集して何をしますか」「厚生労 働省に対して報告します」、「誰が」「機構が」ということで、主語がここにあるから と考えていただければ大きな誤解はないのかなと思います。ヒアリングについても、も ちろん一つ一つの言葉は分かると思いますが、「誰がしますか」「機構が行います」と いうふうに主語に応じた述語を使っていると考えていただければ、言葉の違いのニュア ンスを何となく感じ取っていただけるのかなと思います。ですから報告が義務で収集が 義務でないかということを明確に表現したというよりも、「誰が何をしますか」という ことを図で表したときにこの方が分かりやすいだろうということで作った構成図ですの で、余りそこのところを厳格に、これは法令用語としてどう使っているのか、行政用語 なのかという御心配は要らないと思いますけれども。 ○審議官 先生がおっしゃっているのは、要するに企業の方は医療機関から安全情報を 収集すると。ただ法律の建前からいったら、機構が情報「収集」するという意味ではな くて、医療機関の方は厚生労働省、それに変わる総合機構の方に「報告」ということで はないでしょうかということなので、言葉は事務局の言っているとおりだと思うのです けれども、積極的な意味があるということですから、次にこれを書くときには今言った ところでうまく変えたらいいのではないかということだと思うのですが。先生、よく分 かっております。 ○桜井部会長 もしそうであれば「医療機関」から反時計回りに出ている線のところに 「報告」と書いて、こちらの上の方は「収集」と書くようにすれば非常に明確に分かる かなという気がします。 ○安全管理監 本日の御指摘を踏まえまして、改訂の際に是非更に分かりやすく表現す るようにいたしたいと思います。御意見ありがとうございます。  ○桜井部会長 よろしゅうございますか。ほかにございませんか。余り長くやっていて 収拾がつかなくなると困るので、この辺で終止させていただきます。  本日は審議事項はないそうです。報告事項で、最初に議題1から御説明お願いいたし ます。 ○事務局 それでは事務局の方から御説明させていただきたいと思います。資料1-1を 御覧ください。「平成15年度の安全対策について(まとめ)」といたしまして、医薬品と 医療用具の両方とも併せた資料となっております。  当該資料はさきに行われました6月2日の医薬品等安全対策部会にも報告させていた だいたものと同じでございますけれども、医療用具については2ページに昨年の集計が ございます。一応平成8年度からデータベース等で追跡ができたものについてすべて掲 示させていただいていますが、昨年度1年間に企業より法定報告いただいたのが5,013 件、医療機関から頂いたのは370件、報告者合計は5,383件。それ以外に研究報告とし て38件頂いているという状況になってございます。3ページにはそれ以外に報告のアウ トプットとしてどのようなことが行われているかということでございますが、医療用具 については本日の案にも一つありますけれども、緊急安全性情報が1件。また当課での 情報誌「医薬品・医療用具等安全性情報」に3件掲載。使用上の注意の改訂指示書が9 通という実績になってございます。4ページには平成11年度からの年次変化の比較表が 載っております。5ページには緊急安全性情報1件の内容ですけれども、インスリン自 己注射用注入器オプチペンプロ1の使用に伴う過量投与の防止について。詳細について は本日の資料1-4で御説明させていただきたいと思います。それから6ページでござい ますけれども、今は当課の月刊誌になっております「医薬品・医療用具等安全性情報」 に掲載させていただいた記事の一覧表がこのような形になっております。医療用具につ いては189号5月号の「DEHPを溶出しない輸液セット、カテーテル等の医療用具に ついて」という記事と、次の190号6月号の「ワイヤーレスカードシステム等から発射 される電波による植え込み型の医用機器(心臓ペースメーカ及び除細動器)への影響につ いて」、続いて196号12月号の「ポリカーボネート製などの医療用具の破損(クラック) について」という三つの記事が該当するものになります。資料1-1については以上でご ざいます。 ○桜井部会長 ありがとうございました。ただいまの発言について何かございますか。 それではまた後ほどでも結構ですので、その次の御報告をお願いします。 ○事務局 それでは資料1-2を御覧いただきたいと思います。「整形外科手術用器械器 具の自主点検等について」ということで、これは先ほど資料1-1で御紹介させていただ きました点検通知、添付文書の改訂指示にも当たる通知の一つです。内容は頭紙のとこ ろに書いてありますように整形外科用の手術器具についてでございます。これは再使用 可能なものなのですが、実際にはかなり埋め込み用の器具とマッチングした専用の器材 となっていまして、ほとんどのものが賃貸で医療機関に貸し出されております。実際に は医療機関で適正にお使いになられた後賃貸業者にお返しになられて、保守点検をして 再度ほかの医療機関に貸されていくという形になってくるわけですが、トラブルがござ いまして、分析をした結果どうもこの器械器具専用のジグ、これはインプラントするた めに必要な簡単なのみ、つちみたいなものだと考えていただければいいのですが、どう もハンマー痕があると。この症例については実はあってはいけないところにあったとい うことで、本来そういう使い方はしてはいけないのではないかという議論はあるのです けれども、そういうところの金属疲労が原因で実際に破断、破折してトラブルになった という事例でございます。これは非常に潜在的なリスクが高く、通常きちんと使ってい ただければそういうことはまず起こりません。ただ実際そういうものはきちんと使って いないということを隠されてしまって、なかなか発見しにくいこともあります。その辺 の安全対策として、まず貸し出す側としても適切な品質確保の措置をしなさい、点検す る手順を決めなさい、点検する項目もきちんとセットしなさいということになりまして、 また医療機関からの返却後の手順についても各自整備するような指示となっておりま す。また可能である限り何回使えるかということも設定していただきたいということも あって、点検項目の一つに挙げさせていただいております。そのような項目を1〜4に 挙げて、各担当企業について都道府県衛生主管部局長経由で指導を行わせていただいた ものになります。資料1-2については以上ございます。 ○桜井部会長 では続けて資料1-3をお願いします。 ○事務局 それでは資料1-3に移りたいと思います。「加温加湿器に係る使用上の注意 等の自主点検等について」ということでございます。これについては経緯を一番最後の ページの別紙に挙げておりますので、そちらを御覧いただきたいと思います。加温加湿 器とはどういったものか御存じの方は多いかと思いますが、人工呼吸器に取り付ける器 具の一つで、物はこういうイメージをしていただければと思います。これがその「加温 加湿チャンバー」と言われているものです。これに蒸留水をためて下からお釜でたき、 水蒸気を出してのどを潤すという形で人工呼吸の一つの重要なパーツになっているわけ ですが、実はこれに三つの穴がございます。そちらから御覧になれますでしょうか。三 つの穴、この大きい青いところが空気が通る穴になります。どちらからどちらへという のはありませんけれども、器械側から来て患者側に送気される、管がつながれる大きな 気道になります。そこを通って水蒸気は患者の方へ行ってのどを潤すわけでございます けれども、これが気管でありまして、この文書では「ガスポート」と呼んでおります。 そしてこのちょんちょりが付いている小さい穴が「給水用ポート」と言われています。 水がなくなって給水するときに使うのは給水用ポートというこの小さな穴なのです。た だこの小さい穴は非常に使いにくいということもあって、使用される方の中にはここの 二つの大きな気道の部分を抜き取ってしまって、当然抜き取ってしまうと人工呼吸器が 機能しませんからアラームが鳴ったり使用できなくなるので、抜き取った管を直管でつ なぎ直して、これだけ外したままお使いになって、その状態でここのところからドボド ボと水を加えると。そうすると早くて簡単というようなことだったらしいのです。  ところが実は大きな問題がございまして、これは温度管理をしないと当然やけどをし たりしますから、このたく温度を一定に管理しております。当然たくヒーターの部分と 患者さんののどの近くの温度センサーでフィードバックをかけて温度管理しているので すが、ここを外してしまいますと温度センサーには患者に返る温度が下がってくるよう に見えるわけです。そうするとフィードバックでここがどんどん加熱していって、極端 に言うとボコボコ沸き返るわけですね。本来そういった状態でお使いになってはいけな いと言っているのですが、何が起こったか想像できると思います。その後時間がたつと、 こちらにそれをつなぎ換えたわけです。そうすると、沸騰までは行かない、実は温度は 70℃までフィードバックがかかるのですが、かなり熱い蒸気が患者さんののど元に一気 に吹き込むと。当然そのときこちらのアラームは瞬時に働くのですが、医療機関の方の 力量によっては間に合わずにやけどを負うというような事件が1例起きました。  これについては当然すべてアブユースでありまして、使用形態としてはいけないと。 少なくとも給水用ポートはこちらですし、あるいはアラームもあるし、いろいろなプロ テクトが掛かっているのですが、それでもそういう事故に至ったので、それについての 注意喚起と捉えていただければ全容が分かっていただけるかと思います。設計からする とこのようなことはあり得ないのですけれども、実際の臨床現場では相当数やられてい るという話もあったので、特に入念な注意喚起になろうかと思います。また、設計につ いてもそういったものを考慮するような指示という形でこのような通知を出させていた だいております。これについては以上でございます。 ○桜井部会長 ではもう一つ。 ○事務局 それでは資料1-4を御覧いただきたいと思います。今お手元の方に物をお配 りいたします。これは資料1-1で御紹介いたしました緊急安全性情報案件ということで 「医薬品・医療用具等安全性情報」にも載せましたが、ページ数にしますと最後のペー ジの両面、「緊急安全性情報」の左上に「重要」という字が書いてあると思いますが、 こちらの資料を中心に御説明したいと思います。両方とも掲載された記事です。一番最 後のページを御覧いただくと分かりやすいかと思います。一部サンプルを今お手元に三 つほど御用意させていただいておりますので、聞きながら見ていただけますでしょうか。  この図を参照していただきますと、実際このようなものになっています。これは医薬 品と医療用具を組合せた製品で、ここに着脱可能の針と外枠、中に医薬品が充てんされ たカートリッジ、それから押し子の部分で構成されております。ここにリセットボタン がありまして、押すとここの部分が飛び上がって注入ができますので、注入ボタンにな ります。投与量については、ここがダイヤルになっておりますので横に回しますと回し た分だけ押し込めます。そこで実はトラブルの過量排出の原因だったものが、図を見て いただきたいと思います。お手元に来たときに確認していただきたいのですが、ピスト ンが上下に動きます。この動く量というのは単位数にすると60単位分動くような可動領 域を持っています。ですからダイヤルを回さなければ60単位動いて、ここのカートリッ ジのぎりぎりのところまで行って何も押し出しません。一つ前に出すとその分だけ軸が 1ずれていて1単位分だけ更に前に来るので、1単位分だけ押し出すというような構造 になっています。可動部分は常に60単位分動くことになっていますので、ここのピスト ン棒の先端の位置が非常に重要になる器具となっています。これはきちんと使っている 分にはそういうことは起きないのですが、例えばうまくいかなかった、あるいはうまく 打てなかったというときにこのような形で外されて、その途中でここの部分は実は動か すことは可能なのですね。先ほど見えていたと思いますけれども、このような中の軸の 位置をずらしてしまうともはや60単位分の空隙がきちんと保全されないので、このよう にをもっと空いてしまうと当然打てない現象が起きますし、もし60単位分より短い形で 元に戻してしまうと、ダイヤルは0でありながら詰まった分だけ自動的に打ててしまい ます。患者さんが3単位、あるいは10単位打とうとして回しても、既に軸がずれている ので、ずれた分だけ余計に打ててしまうというような発生メカニズムのリスクの問題で あります。それについて過剰投与の可能性が示唆されたこともあったため緊急に注意喚 起をしたという事例でありまして、このデバイスについてのトラブルはそれが中心にな ります。ほかにもジャミングした形でロックが掛かってしまう、あるいは動かなくなっ てしまった例はかなりの件数が出ていまして、後ほどの不具合報告の個別症例表の中に も大量に案件が見て取れるかもしれませんが、集中的に起きたものですから、特に過剰 投与のリスクが高いという観点でこの一点について特に入念に注意喚起をしたというこ とです。資料1-4の概要は大体このようなことになります。 ○桜井部会長 どうもありがとうございました。三つの問題がございまして、それぞれ 使い方も違いますし意味するところも違うように思います。一番目の整形外科のものは レンタルであるということで、耐用年数や耐用回数の問題と危険をどういうふうに予知 するかという問題があると思います。それから二番目の加温加湿器は使用面での問題で、 臨床工学技士の先生方にも御発言願えればと思います。三番目は患者さん自身がお使い になるのという形で、一種のセルフケアですね。こういうものの安全対策ということに なると思います。何か御意見なり御質問なりあればどうぞ。 ○小野委員 資料1-3の加温加湿器についてです。医薬食品局としてはメーカーに対す る自主点検という通達は当然のことでしょうけれども、先ほどの井部先生御指摘の医政 局との連携ということで、これはもちろんここのマターではございませんが、これにつ いて使用者に対しどのようなアクションを行ったのかということについて、片方はメー カーに対する自主点検の行政措置を採るということと、同時にこれは間違った使い方な わけですから、医療機関に対し適切な指導を行ったり通達を出すということなども必要 なことのように思うのですけれども、その辺の連携についてお教え願えませんでしょう か。 ○事務局 非常に厳しい御指摘で、先生のように一刀両断に不適正だと言ってくださる と楽なのですが、実は臨床工学技士にはむしろ推奨されている先生方が多数いらっしゃ います。かなりビッグネームの方もいらっしゃいまして、事務局でも非常に困惑してお ります。それこそ専門協議にかけたら「いいのだ」と言われてしまうのではないかとい う勢いのものもありました。  こちらを御覧いただけますでしょうか。先ほど私が御紹介しました給水用ポート、こ れは自動給水装置になっております。実はこれをお使いになればこのトラブルはありま せん。実際にこれも市販されておりまして、先生方は両方選べるようになっております。 したがって、製品としては先生の御指摘のように先生たちのニーズに合ったような品ぞ ろえはできているわけです。ただ、これはこの場でお話しするのは適正か分かりません が、お値段が高いのです。そこは医療機関の自主性になっていまして、もちろん技術の ある方が安全に使う分にはこちらでも何も問題はないわけですので、そこはなかなか難 しいところです。手技についてそこを厳しく詰めたところです。給水用ポートについて は今お話しさせていただいたとおりなのですが、どこまで厳格にそれを書いてあるかと いうところが実は一時期弱かったのですね。例えばこれを御覧いただきますように、外 国社製ですからかなり英語が入っていますけれども、給水用ポートもガスポートも現物 に書いていないのです。そういう意味から、まずこの添付文書の記載を直して、先生方 に使っていただくときにこれはガスポート、これは給水用ポートとはっきり伝えなさい と、やるべきことをやってから「先生が悪いのです」と言いなさいということもあって、 まずは情報提供のあり方として添付文書等の周知徹底から入らせていただいている状態 になっているのも事実です。また医療事故対策の観点からユーザビリティのことを考え るとこちらに統一できないのかとか、あるいはこちらにいかないまでも、ここは小さい 給水用ポートなのでストレスを感じてお使いにならないというのなら何とかならないの かと、そういうような開発のことも踏まえて検討してくれという指示はしております。 実際にそういうところで製品スタイルで行けるところまで行ってみようかと、あるいは 情報提供すべきところでまずやるべきことはしなさいということから始めていまして、 それでも駄目であれば、もう使用者が考えてくださいというところに行くのかどうか。 本件についてはまだ使用統制までは入っておりません。 ○桜井部会長 小野先生、よろしいですか。 ○小野委員 はい。 ○井部委員 小野委員の質問に関連してなのですが、今御説明の資料の前に「加温加湿 器に係わる使用上の注意等の自主点検等について」という文書が付いておりますけれど も、この次のページに1〜3までの文章がありまして、これを読むとこれは医療機関に 出された文書のようにも取れるのです。例えば次のページの1)で、「加温加湿器に給水 する際には、可能な限り、給水用ポートを使用すること」とあります。これは医療者に そのように提案しているのではないかと思うのですが、これは業者に対する文書なのか どうか、それが一点確認したいことと、もし医療者にこのようなことを通達するのでし たら、「可能な限り」というのは、可能ではないことはあるのだということを含んでい るのでしょうか。なぜこのようなあいまいな通達をするのか、そこがちょっとよく分か らないので、どのように検討されてこの1、2、3という文案を作ったのか。特に1に ついて説明をお願いしたいと思います。 ○事務局 それでは二つの御質問点に対してお答えさせていただきます。1)の上位概念 として1ページの1がございます。この項は添付文書の警告欄に以下の点が明確に書い てあるかを確認してくれという趣旨です。その内容が1)になりますので、御指摘のよう に一義的には添付文書の改訂をしていない場合はしてくださいということを製造業者、 輸入販売業者等、製品振出人に対して指示したものになります。  二つ目に「可能な限り」ということなのですが、我々の方もこの一文を入れるかどう かというのは、検討会の中でかなりもめました。実際にかなりの重鎮たちがこの方が安 全だ、速やかにできるなど、いろいろなことをおっしゃっているところもあって、現状 との乖離が甚だしく、それが本当に事故防止になるのかというところも若干難しくて、 非常に微妙な線だったのです。ですからもちろん強く推奨しますけれども、可能でない 場合はあり得ないのかというところについて確証が取れなかったというのが事実です。 これがあいまいだと一刀両断に御指摘いただくとほとんどの割り切れないものが指導で きなくなってしまうのですが、本来の設計はこちらになっていますから極力こちらにし てくださいという話を強く示唆する形で、この通知は落ちている状況になっています。 ○井部委員 私はこの加温加湿器については今非常に反省しているところがあるので す。京都大学でエタノール注入事故がありまして、ただいま公判中なのですけれども、 あれを聞きますと、もちろんナースの確認ミスというのもあるのですが、物品そのもの が給水用ポートからしか注入できないような構造になっていたら、アルコールの瓶から ドドドッと加温加湿器にものを入れるといったようなことはなかったわけです。その点 からしますと、加温加湿器に最初にセットするときには広い口から入れるにしても、も う既に接続した後で水を入れる際には必ず給水用ポートを使用するというふうにしても らわないといけません。京都大学の事故のことを思いますとこの通知はとても甘いので はないかと思います。またあのようなことを繰り返さないようにするためにも、きちん と給水用ポートから給水することを徹底していただいた方がいいのではないかと思いま す。 ○目黒委員 ほぼ毎日取り扱っている当事者としての意見です。当施設では今見せ られました給水用ポートが付いているタイプではなくて、給水のラインが付いているも のを現在使用しているのですけれども、ぶら下げておいた蒸留水がそのまま自動的に追 加されますので、それの方が感染の問題や頻繁に給水する必要がないわけです。ですか らできるだけこちらの方がいいのかなということで、私たちが業務を引き継いだ時点か ら、もうこれに変わっていました。安全の面から、こういう方向に動いていくというこ とについて、先ほどどのような形で先生方の反対があったのかというのは分からなかっ たのですが、その意見が多かったというのは先生方から多かったのか、あるいは現場の 意見として多かったのかということなのですが。この点滴のラインが付いているものは、 コストが高いから使えないという意見が一番多かったのでしょうか。 ○事務局 この御指摘については、定量的かつ正確に調査を行っておりませんので、多 かった、少なかったというのはかなり感情的になってしまって適正ではないかもしれま せんが、当初もういいものがあるのだからそちらにしようという指導方針を固めたとき に実態との背理が甚だしくて、明日から治療に差し支える医療機関があるという情報が あったので、それはちょっとどうなのかなと。少なくとも先生の御指摘のようによりい いものにシフトするように指導という意味で、まずはここから始めようという話にはし たのですけれども、実際に日本のマーケットシェアからすると先ほど御紹介したタイプ の方が圧倒的に多いということでした。お値段のことは本来不適正にあるらしいのです が、相当違うらしく、実際にそちらの販売促進をやると、逆に言うとむしろ勝てないと いうか、買ってもらえないということもあって残ったものだという経緯だったようで、 実際に報告があったのは1例だったことから…。これは専用の水をとるのですが、使う 水の方にもかなり跳ねてくるらしくて、実際に蒸留水を医療機関で作られているところ とかになるとランニングコストがかなり変わってくる等、それからチャンバー自身のお 値段も違う、給水チューブ付きの占有率、そういうことから実際にかなり占有率が低く て、導入率はここでドライブを掛けても逆になかなか上がらないということもあって「可 能な限り」という形で落としたのです。ただ先生方の総意として、この場でこれは絶対 だという御意見を強く頂けるのであれば、それもまた気を新たにすることはあり得るの ですが、実際私どもが見聞きしたところでは、ずっと人工呼吸器を装着された患者の場 合にはチャンバーだけでなく蒸留水の供給ラインとの兼ね合い上ランニングコストでか なり跳ね返ってくるので、実態上乖離しているという御意見があったのは事実です。 ○目黒委員 そういうことであれば分かりましたけれども、多分これはこのチャンバー を加温する加温器というのが下に付いているのですね。これの設定と複合的な問題があ るかと思うのです。私もこの文書が最初に送られてきて読んだとき解釈するのに非常に 悩みまして、多分苦肉の策でこういう文章になったかとは思うのですが、少し分かりに くいなという気がしています。だからといって具体的にどういうふうに変えなさいとい う話は多分今はできないのですけれども、もう少し文章を考えないとちょっと分かりに くい部分があると思っています。以上でございます。 ○小野委員 今の注意書きの1についてですけれども、一つの考えとして給水時に加温 加湿器のスイッチを切れという言い方もあるのではないかと思うのです。実際には直結 してしまうときには加温加湿器がない状態で動いているし、また忘れてずっとそのまま にしていればそのままになっているわけです。実際には水を入れて水から上がっていく わけでしょうから、始めは大きな蒸気は出ないはずですね。したがって、スイッチを切 っておいてたとえ冷えたとしても悪い方向には行かないという意味では、スイッチを切 れと言う方がより適切な指摘ではないかと思うのです。ただ、今私が申し上げたのは論 理的に言っているだけの話であって、実際の臨床においてそれでまずいことが起こるか どうかということは目黒先生にお聞きしなければならないのですが、人間は必ず間違え るものであるとすれば、1、2のようなものは書いてあっても読まなければそのとおり するわけですから、むしろ切れというふうなものの方がより簡単で適切ではないかと思 うのですけれども、どうでしょうか。 ○目黒委員 その方が確実だと思います。先ほど私が複合的な問題と言ったのは、この 加温器がダイヤル式で一定の温度までしか上がらないタイプと、それから複雑な機構に なっていまして、患者さんの吸う側の温度を検知しながら、その温度が下がった場合に は加温器が温度をどんどん上げるようになっています。そういうオートレギュレーショ ンするようなシステム、温度検知をしながら自動的に温度コントールをするようなタイ プの加温器を使ったのかなと私は考えていたのです。ですからこの文章表現だけで見た ときは非常に分かりにくくて、3ページまで全部読んで初めて全体像がつかめたという のが現状ですので、もう少し工夫が要るのかなと。それと実際に一番いいのは小野先生 が言われたように加温器の電源を切るということなのですね。ですから、この文章を作 るときにそこも検討した方がいいのかなと感じています。 ○佐伯委員 目黒先生にちょっと質問したいのですが、先ほどランニングコストが掛か る方が感染が少ないとおっしゃいましたよね。ラインの付いていないものは感染がある わけですか。 ○目黒委員 どういうふうに表現していいのか分からないのですが、実際の文献上のデ ータというのは、ないと言えばない、あると言えばあると。私の知り得る限りでは、要 するに回路の交換というのがありまして、実際に人工呼吸器というのは1週間、あるい は2、3日で換えるところもありますし、以前のCDC勧告では48時間というのがある のですけれども、患者さんが長く使っていますと細菌の繁殖や汚れが出てきますので、 一般的には1週間あるいは10日、2週間ごとに交換ということがあります。ですのでそ の交換時期に汚れが起こる原因になるのは給水、要するにこういうところを開け閉めす ることによって開放されたりして汚染が起こることがあると。それと、この給水システ ムが付いていることによって感染の機会は格段に減るわけです。ここを何回も開け閉め するということは人間の手が介在しますので、そのほかにも先ほど言われたようにわざ わざ人工呼吸を止めることがなくても点滴ボトルがある限り常時スムーズに給水されて いくということです。 ○佐伯委員 そうしますと感染も防げる、逆に言うとあちらを使っていると感染が起こ るかもしれない、あるいはやけどが起こるかもしれないということで、それらが起こっ たときにはかなりのコストが掛かるわけですよね。もちろん患者さん自身の体の負担も ありますけれども、処置をしたり薬剤が掛かったりします。日々のランニングコストと そちらの起こったときのコストと、どちらを天秤に掛けるかという話になるかと思うの ですが。 ○事務局 何とお答えしたらいいのか分からないのですけれども、心強く駄目と言うの であればそれも有難い話なのですが、実はこれが国内で初めての報告例です。今先生が 御指摘のように、日本のマーケットのほとんどがこのものですので、今人工呼吸の患者 さんすべての方が毎日お使いになられていて1例起きている。先ほどスイッチを切れと いう話もちょっと出たのですけれども、スイッチを切った後の入れ忘れの発生率がもの すごく高いという分析がアメリカの方で出ていたという報告を企業から受けていたの で、その発生率を見せられると一義的にどうなのかなと。  ですから、本来どこまでアブノーマルな世界を拾い取るために社会コストを掛けるか というところの答えをなかなか持っていないのが実際です。むしろ先生方がこれこそ正 義だという定規をお持ちで力強くアシストしていただけるのであれば、事務局も元気よ く「これは禁止」と言うのですが、実際ものすごい数が流れていて1例。しかも本来ス ペシャリストである方々が気付いていれば、メカニズムを知っていればできるものです。 1例なのに全部回収しますかという極限的な議論を展開することになったので、「まず はシステムを知ってください、メカニズムを知ってください、分かっていますか」とい う話から、この別紙でございますが、御指摘のように通知だけだと分かりにくいという こともあって、今回の通知からは発生メカニズムの詳細についてまで調べ上げて全部書 きつづって、背景情報も付けてかなり分かりやすくしたつもりではおりましたが、最終 的にはそういうことから初めてみようという結論に落ちたという経緯があります。先生 御指摘のように我々にも実は苦悩があって、駄目なものをみんななくしてしまえと言え ば指導が楽なので有難いのですが、実は発生する可能性が格段に違っていたのです。こ の辺は医療関係の方々、今日はそちらに傾いていただけて非常に有難いのですけれども、 賛否両論ありまして、そこで一体幾ら掛けるつもりだ、もっと危ないことは山ほどある ではないか、これだけのことに一体どのくらいの医療費を使う気なのだという議論まで 巻き起こしてしまったので、そこまで本当に計算している人はいないでしょうけれども、 発生率がとても低かったことから苦肉の策でここに落ちたというのが事実です。  また目黒先生から御指摘のあったこの実際のものがどんなものだったかといいます と、フィードバック機能が付いているものです。患者回路が長い場合には、幾らヒート アップしても患者の口元に行くときに温度が冷えてしまうのです。そうすると意味がな いので、患者ののど元に温度センサーが付いているタイプですのでフィードバックを掛 けます。ですから患者さんをモニターしていて、モニターの方が低くなっていれば当然 ヒートアップして、患者さんに入る瞬間の温度が最適化するようにフィッティングする ある意味で最新鋭のタイプでした。ですから、ただ単にたく温度が40℃にしかならない ものであれば御指摘のようにその事故はあり得ないのですが、そうすると臨床病棟の場 合にはいろいろな配置をしますから蛇管が長い方の場合には最適化されないということ で、ある意味でそこの溝に落ちたボールのような案件であったことは事実です。 ○外部会長代理 今初めて給水用ポートを見せていただいたのですが、非常に小さな穴 なのですね。いかにも入れにくい穴でどうやって入れるのだろうと思うのですけれども、 多分注射器か何かに引いて入れるしかないのかなと思いました。ということは、とても 入れにくいので現場の人たちはある短時間に済まそうと思ってその大きなポートから入 れようとする当然の心理が働くと思うのです。ただ、小さな穴にしていることにも理由 があるのですね。そうしておくと回路を外さなくても、指でふさぐのかどうか知りませ んが、その間の空気の漏れが少ないので、人工呼吸をいったん止めなくても、あるいは 外さなくても入れられるという利点が生まれているのだと思うのです。ですから実際に 使う医療の現場ではやはりその不適正な使用の仕方をしている。現場ではしようがない ということもあるかもしれませんが、やはり適正な使用方法はこういうやり方だという のを示さなければいけなくて、先ほどの御指摘のように私は「可能な限り」という表現 は取った方がいいと思うのです。もちろんそういうやり方は勧めないが、医療の現場で はやむを得ずそういうことがあるかもしれない。それはどうしても防げないのだけれど も、そういう不適正な使用をするには、あるリスクを生んで安全が損なわれるという覚 悟が必要であります。そのためにはこういう文書で「可能な限り」というようなあいま いさを残すのはよくないと思うのです。適正な使用の仕方はやはり給水用ポートから入 れるのだと、そのためにこのように穴をわざと小さくしているのだということだと思い ます。  ただ、ある短時間内に済まそうということで大きなポートから入れてしまうと、その ときには回路をわざわざシャントを自分で作って人工呼吸を止めないでやることを優先 するわけですけれども、その際にその器械の性質上、次に接続したときに温度が上がり 過ぎてやけどを起こすほど上昇したガスが行くというのは、医療機器としては改善すべ きだと思います。やはりそういう間違いが起きたとしても、患者に不利益が起きないよ うな温度までしか上がらないような工夫をすべきではないか。それがもし40℃か45℃で あることによって患者さんに行くときに何分かの時間の遅れがあったとしても、それは 患者さんに及ぼすプラス面の影響の低さというのはそんなに大したことではなくて、何 分かの間にまた戻っていく。その一瞬のやけどを起こす確率を残すというのは、器具と しては問題だと思うのです。ですから私は70℃というのを聞いて驚いたのですが、やは りあるところでストップを掛けるべきではないか。間違ってつないだとしても最低限や けどは起こさない。そしてセンサーが働いて、ある時間内に調節できる。そこのところ は何℃くらいかはよく分かりませんけれども、機器としてはこちらの方で限度を設ける べきではないかと思います。 ○事務局 70℃というのは正確ではなく、もう少し低いかもしれませんのでそこだけ訂 正させてください。60〜70℃ぐらいだったと思います。 ○酒井委員 私は資料1-2の方で質問させていただきたいと思います。これは整形外科 に関する鋼製小物の件だと思いますけれども、以前手術用の鋼製小物の中でねじが脱落 したということがあったと思います。同じようなときにいろいろな注意喚起が必要です けれども、私がこの文書を読んでちょっと気になったのは、いわゆる賃貸の貸出業者に 対して製品の耐用年数とか耐用回数について十分に手順を含めてやってくださいという ように書いているところです。内容は理解できるのですけれども、具体的にここに書い てあるのは「他の使用年数等が異なる器械器具セットの構成品と混在することのないよ う」ということで、これは実際にはそのもの自体にシリアルか何かを打たないとできな いのではないかと。恐らくものが破損した場合には当然交換するわけで、交換した場合 それ自体がそれのものであるかどうかという確認ができなければいけないと。こういう ことをすると実際に業者の方はどういうふうにして方法論を採ったらいいのか分からな いのではないかなという気がします。また、恐らくこの業者の方の多くはディーラーさ んですから、耐用年数、使用回数を勝手に決めるわけにはいかないので、メーカー側の 添付文書によって決まってしまうのかなと。では決まったところで何回使ったと言って も、それは本当に分かるのかなという気がいたします。この件は貸出業者、また整形外 科だけの問題ではなくて、手術室で使っている医療機器全般についても、同じように不 適正な使用をした場合に先が破損してなくなったというようなことを考えると、やはり これは医療機関側の方にこういうことをどのようにするのか十分明確にしていく必要が あるのだと思います。ですから同種の鋼製小物をどういうふうにトレースしていくのか などということについて、もう少し明確な表現をしていただいた方がよろしいのかなと 思いまして、コメントさせていただきました。 ○事務局 それについて若干補足させていただきたいと思います。この通知はできるだ け早く出したいということもあって、取りまとめるところまで取りまとめたのですが、 実際には先生のおっしゃるように製品によってかなりパターンが変わってきます。要す るに、ねじ、スクリュー、プレートなど、いろいろなセットによって大分様態が違うよ うでありまして、実際には業界の製品群ごとに貸出し・返却までのSOPを作るような 形の説明をこの通知とは別に業界にも行っております。例えば1回使ったら元に戻すな というものとドライバーで何回も使うものというのは分けて考えざるを得ません。つま り1回だけ使われたスクリューを患者さんに合わないからと言って元に戻されたのでは ねじ山がつぶれたりして困りますから、それは必ず破棄すると。要するに、1回だけで 破棄するものと連続して何回か使うものとは少なくとも分けるようなSOPを今業界の 方で考えて取りまとめていただいております。また、1セットについてすべてシリアル が入っていて、基本的には混在は防げるような工夫は既に始まっているので、そういう 意味では具体的に何も政策が打てないわけではありませんが、製品群に合ったSOPを 業界単位で作っていただいている状況になっております。 ○桜井部会長 よろしいですか。 ○佐伯委員 その仕組みの基本的なことをちょっとお伺いしたいのですが、この文書の 宛先が「各都道府県衛生主管部」となっているのが二つございますね。それで、この各 都道府県の衛生主管部がどれだけ具体的な仕事をしているのかということは把握してい らっしゃるのかということが一点。もう一つは、先ほどの医薬品医療機器総合機構のパ ンフレットの25ページの図でいくと、各都道府県衛生主管部というのはどこに位置する ことになるのかを教えていただきたいということ。それから具体的にどのように周知徹 底されているのか知りたいということ。例えば資料1-4のセルフケアといいますか、先 ほどの自分で使うシャープペンシル式のような構造のものについて、すべての患者にこ のようなことに気を付けてくださいという操作上の注意点を説明するようお願いしたい ということで通知を出していらっしゃるのですが、実際どのようなことを行っていると ころがあったのか、それについてのサンプルなどを収集していらっしゃるのかというよ うなことを教えていただきたいと思います。 ○事務局 まず都道府県との関係を御説明したいと思います。輸入業あるいは製造業は 現行薬事法における主体責任者になります。これらの責任者は基本的に都道府県知事の 所管下にあるということですので、すべての名簿は都道府県に存在します。したがって、 都道府県の担当部局にこういった情報を提供して、自分たちの所管している中で許可を 与えた人に指示をしてくださいという形でお願いをしております。その内容については この25ページで言いますと、添付文書の改訂等について、もちろん一義的には企業に指 導するわけですが、その企業への指導形態として所管の都道府県から指導が行くと。指 導内容については全く白紙ではなくて、こういうことが起こったからこういうことを企 業に指導してくださいという形になりますので、企業との関係からすると当事者は当然 不具合報告を上げたりしていますから、この機構からの指示の中で一番下のライン、「安 全対策の実行」のやり取りの中で当然知り得るわけですが、それ以外の人についてもこ ういった通知で都道府県の方から所管の許可を与えた先の企業に指導が行くという形で 薬事法は組まれております。したがいまして、不具合報告が上がった事象はこれでいい のですけれども、そういう当事者でない方については、この図には都道府県は出てきま せんが、厚生労働省からの「通知」という矢印が別に出ておりまして、都道府県の県庁 から個別の全業者に対して指示をするということが薬事法の体系上整理されておりま す。  それから二つ目の御質問で、資料1-4にある一般ユーザーが使うようなものはさすが に企業だけではどうしようもないとおっしゃったのだと思うのですけれども、緊急安全 性情報の性格上、すべてのユーザーの手に届くように病院の方に回してもらうような形 になっています。この製品は医療用のインスリンですから病院にかかった方しか手に入 らないものなはずですね。これは必ず病院に来院されて処方されていますので、主治医 を経由して患者さん全員に指導ができるように、納品したすべての病院にこういった情 報をまいてくださいという形で企業に直接指示しております。これは先ほどの話とは違 いまして、対象会社は1社です。ですからこの事象のときのやり取りで直接的にその企 業に指示をしていますので、その企業から直接すべての納品先の医療機関に情報提供が 行き、そこを経由し主治医の元から患者さんへ適切な指導が行われるという形で、医師 と患者の信頼関係の下にすべてのユーザーまで指導が行き届くような仕組みになってお ります。  もう一度繰り返します。先ほどのケースのように関係するすべての業者に指導する場 合には許可業態を持っている都道府県の力を借りなければとても網羅できないのでそう いう形になりますが、この資料1-4のように1社個別の場合については特別に処理をす ることにしています。これで一応お答えになっていますでしょうか。 ○佐伯委員 各都道府県の衛生主管部がどのような仕事をしているのかを検証はしてい らっしゃるのかということです。そこはきちんとフォローしていらっしゃるのでしょう か。 ○事務局 具体的に監査をしろという意味ですか。 ○佐伯委員 こうやって通達だけ出すのですが、結局そこのところが具体的に動かなけ れば仕方がないわけですよね。国民としてきちんと動いてくれていると信頼していいわ けでしょうか。 ○事務局 一応公務員ですので、信頼はしているのですけれども。 ○佐伯委員 そうなのですか。分かりました。ありがとうございました。 ○土屋(文)委員 恐らくこういう通知が出たことを医療機関が知るのは、こういうもの が回ってきたりとかそういうことがありましてかなり遅いので、通知が出たということ が簡単に分かるようになっているといいと思うのです。現実は、厚生労働省のホームペ ージで通知などの欄を見ても必ずしもオンタイムで出るわけではありません。今は医療 機関の方も安全管理部門ができたわけですから、そういう人たちにしてみればどういう 通知が出ているのかを毎日モニターするということは、ある意味では義務化されなくて も自分たちでしていると思うのですね。ですから、もちろんそういうことを企業を通し てやるのはフェールセーフとしての本来のシステムですけれども、一方でそういう通知 がほとんどオンタイムでホームページなどに出れば、我々にもこういう通知が出ている ことが分かりますし、逆にメーカーが来るのが遅かったらどうしたのだろうということ でチェックにもなりますので、そういう仕組みを作られるといいのではないかという気 がいたします。 ○事務局 御指摘のとおりでございまして、なかなか人手が足りなくてできなかったの です。今日も大分エクセル表などを駆使していますけれども、今回の総合機構の発足に 伴ってかなり充実してきたこともあって、そういった情報発信を機構の方のヒューマン リソースと組織を使ってアップしていくような行動計画になっていますので、今後はで きるだけ早くそのようなものを整備していきたいとは思っているということが一点目で す。  あと補足ですけれども、これは実は先生方に分かりやすいように都道府県の通知だけ をお見せしております。当然その通知を待っているとぐるぐる回っているうちに情報が 遅くなるので、直接的に企業の団体を使って、加入者の100%ではありませんが、関連 業界には直接これと同じものを送る、また必要においては先ほど申し上げましたように 直接的に講習を行うような形で迅速な措置ができるよう講じております。ですから都道 府県に投げたら投げっぱなしというようなわけではなくて、併せて関係者にも同じよう なものを投げて、同時並行で指導しつつ、相手が完全に特定されている場合には個別指 導をして作業のペースを速めるような工夫は講じております。何せ不特定のものが多数 点在していると網羅性に欠けるので、通知としてはこのようにシステムで法律の運用を 履行しているというふうに御理解いただければと思います。 ○土屋(文)委員 反省の意味も込めて言うならば、恐らく今までの医療の世界がちょっ と異常だったのは、情報というのはもたらされてくるものだという常識がはびこってい たということだと思うのですね。ただ今の時代、インターネット等が普及したおかげで 情報は取りに行くものだというふうに変わってきたわけですから、本来の法が予定して いる通知の仕方のほかにそういうことをやっていれば、少なくとも毎日情報を取りに行 こうとした人たちは知ることができます。そういう意味で言うとやはりホームページ等 に表示さているということがとても大事であって、それを是非お考えいただいた方がい いかなと思います。今の医療機関の医療安全管理部門はそれくらいのアクティブな行動 をとろうとしておりますので、そういうことを今後是非御考慮いただきたいと思います。 ○井部委員 繰り返すようですけれども、加温加湿器の給水は給水用ポートからしてほ しいと思います。エタノールの誤注入のような事故が再び起こらないように是非ともお 願いしたいと思います。 ○桜井部会長 「可能な限り」というところを取ると…。 ○事務局 具体的にもしこの通知の改訂を行うことになりますと、技術的な話になりま すけれども、2)もなくなってしまいます。この2)についてはちょっと説明が足りなく て申し訳なかったのですが、1)の「可能な限り」というのは2)のためにあるのです。 やむを得ずやる人が皆無なら我々はこのような注意喚起をしません。ただ実際にマジョ リティがここにあるのにこの現状を無視して、「絶対給水用ポートから入れなさい」と 言い切ることで本当に医療機関での事故を防げるのかというときに、いささか危険では ないか、現状との乖離が余りにも甚だしくて実際には無視されるのではないかというコ メントもあって、基本的には給水用ポートですよと、ただし万が一本当にやむを得ない 場合であっても、必ず再接続することとしました。外先生がおっしゃったように、いろ いろなミスを繰り返さないとこのような事故は起きないのです。なぜなら外して、直管 して、加熱して、去っていってしまって、時間がたって沸騰してからつなぐようなこと さえなければ、そこでも異常に気が付けば分かりますし、水を入れているわけですから すぐ直管して戻せばやけどはないわけです。そういう意味で多くのミスが一遍に重なっ て起きた事件なのですけれども、使用実態がほとんどそういう状態であるということを かんがみると、少なくともこのクローズで、基本は駄目ですが、万が一やる場合であっ てもこれだけは絶対抑えてくださいということで実態の教育を図ろうと思ったのです。 したがって1)の「可能な限り」を外すのであれば論理的には2)も外れるので、紋切り 型で「給水用ポートから入れなさい」と、あとのことは知りません、あなたたちが悪い のですよ、駄目ですよとなります。そこまでの指導力がいけるかというのが実態上いさ さか心配だったので、入念的に2)を入れようとしてある意味でリンクしてしまうところ もあったのです。先生方の御指摘で「可能な限り」を取るという御決断であれば、2) も併せて取るということの意思確認もお願いしたいのですが、そういう御意見でしょう か。 ○審議官 この中でこういう御意見であるなら、やはりその方向で一回当たってみてい ただきたいと思うのです。よければ「可能な限り」を落とすと。少なくとも場合によっ てはもう少し説明を入れて、あいまいな表現でなくして、やらなくてもいいというよう な雰囲気は残らないようにするなど、そこはここの意見を踏まえてやってもらいたいと 思うのですけれども、いいですか課長。 ○安全対策課長 その件についてはまた持ち帰って、関係のところとも相談して対応を 考えたいと思います。 ○外部会長代理 「可能な限り」は私も取るべきだと思うのです。では2)は自動的にな くなるかというとそうではなくて、括弧から「おそれがある」というところまでは表現 として入れるべきだと思うのです。つまり「やむを得ず」から「再接続すること」とい う逃げ道をここで出すのではなくて、その後に続くこういうおそれがあるということを 書けばいいので、不適正に使用した場合にはこういうおそれがあるから不適正使用は止 めましょうというのが基本的なスタンスなのですね。それをあえてやるという人にはこ ういうおそれもあることを知ってほしいという書き方でいいのではないかと思うので す。 ○笠貫委員 先ほど事務局から説明のあった安全対策の中にもポシビリティーとプロバ ビリティーの問題と、致死的かどうかという重症度の問題と、今の制度の問題も含めて、 トータルとしてどこでレベルを引くのかというのは非常に難しいことなのだろうと思う のです。そういう意味で、今一応通達が出ておりますので、さらに医療の現場が今医療 経済を100%無視してできるかというと、これもまた難しい問題でもありますので、そ この実態調査をもう一度した上でどうしたらいいのかということを検討していただく方 がよろしいのではないかと。その中でポシビリティーとプロバビリティーの問題、ある いは重症度の問題、いろいろなことを含めて考えて、もしどうしてもこの給水用ポート に換えるとしたら、ある過渡期措置をどういうふうにするのか、その過渡期のときに2) をどういうふうにきちんと決めるのかというプロセスを踏んだ上で御検討いただくこと をお願いすると、今日のところはそこまでかなと。そういう意味では是非実態調査をお 願いしたいと思います。もしこれが本当に1例だけだと、それがどれくらいの母数であ って、そして各医療機関がどうしてこれを使っているかということをもう一度いろいろ な意味で、医師の立場、あるいは看護師の立場、臨床技師の方々の御意見も含めて検討 していただいたらと思いますけれども。 ○桜井部会長 ありがとうございました。ほかは…。 ○目黒委員 補足なのですけれども、オートレギュレーションするタイプの熱傷事故は、 熱い蒸気が出るだけではなく、ヒーターワイヤーが入った特殊な回路でもありまして、 そうしたいろいろなシステムのことを考えて我々はこれを導入しないことにしました。 それはそのような熱傷のリスクがあることや、我々は技師が少ないということ、また医 療器械あるいはシステムを理解させる教育と全体の協力を得るためには莫大な労力がい ることなど、いろいろなことを考えてそれを使わないのが一番いいことだとしました。 そうでなければ、リスクを背負って対応できればいいのですけれども、結局は人が少な いとできない。これはシステムを理解しないとできないと私は考えています。別にオー トレギュレーションしなくても現状のシステムがあるわけですから、それを使えば済む のではないかという気がしたので、当施設ではやめました。 ○桜井部会長 そのほかにございますか。よろしゅうございますか。私の考えでは、や はり「可能な限り」というのは削除してもそれ以後全体の文脈は変わらないと思います ので、可能な限り削除したらどうでしょうか。大体そういう御意見のようですね。井部 先生、それでよろしいですか。  これはよく申し上げるのですが、安全に関しては三つの問題がある。一つ目は安全は ただではない、金が掛かるのだということを認識しなければいけないということ。二つ 目は安全のために可能な限りハイテクノロジーを使うこと。今はユビキタス社会などと いうとんでもないハイテクが使われているのに、いまだに温め過ぎて熱傷したというの はいかにもレベルが低いなという感じですよね。それから三つ目、これは事務局は相当 御苦労なさったと思うのですが、リスク・ベネフィットというか、コスト・ベネフィッ トのバランスの問題ですね。これをどう考えるかというのは一種のコンセンサスになる ので、その辺をどういうふうにしていくかというのは非常に難しいと思いまし、事務局 の御苦労もよく分かるのですが、そのような三つがあるかと思います。これは一般論で、 直接役には立たないと思うのですけれども、普段考えていることです。どうぞ。 ○審議官 私どもも安全対策につきましては、例えば今年の3月15日にこれを出してい るわけですが、必要があれば何らちゅうちょすることなくいつでも訂正するなり通知を 出し直したいと思っております。 ○桜井部会長 よろしくお願いします。それでは大分時間がたちましたが、議題2につ いて御説明願います。 ○事務局 それでは資料2-1を御覧いただきたいと思います。1ページは昨年の7月30 日より改正薬事法の一部施行ということで、前回の部会のときにも施行されたものにつ いての概略を御説明させていただいたのですが、ここでもう一度簡単に触れさせていた だきたいと思います。改正薬事法の一部前施行の部分において、当該薬事・食品衛生審 議会に報告するべきものが定められておりまして、それがこの資料2-2、2-3、2-4。そ れから今回初めて御報告させていただきます資料4-1、4-2についても載っておりまし て、この法律に基づいて報告させていただくものであるということを、まずもう一度リ マインドをお願いしたいと思います。今回は2のところですが、10月27日から年度一 杯までの案件を集計させていただいております。前回は7月30日から10月26日までの 分を御紹介させていただきましたので、今回はその後ということになります。  次のページをめくっていただきましたものが、すべての実績になります。不具合・感 染症報告としましては2,936件。具体的な一覧表は後で2-2を御覧いただきたいと思い ます。海外においてどういう措置が講じられたかという外国措置報告については94件、 研究報告は44件ございました。医療機関からの直接報告は186件になります。約5か月 間でこのような数字になっております。また、当然データの取扱い上どのような形で算 定するかというのがございますので、注意事項を下の四角囲いのところに載せてありま す。結果的には調査していくうちに実は違ったなど形が変わってくることは多々あるの ですけれども、少なくとも報告様式としては、まずその期間に報告のあったものを集計 して載せさせていただいております。  具体的には、まず不具合報告でございますが、資料2-2の一覧表を御覧いただきたい と思います。横表でずらっと並んでおりますが、2,936件をそのまま書くとかなりの行 数になりますので、一応ルールとしましては同じ不具合と健康被害の場合には「他同一 不具合0件」というふうに1行にまとめることによって視認性をよくする工夫を講じて ございます。並べている順番は用具の種類を表す一般名称分類順です。また前回の部会 との変更点について一点御紹介したいと思います。前回は「不具合状況」の欄だけで「健 康被害状況」のところがなかったわけですが、10月27日から様式変更が始まりますと 御紹介させていただいたことは御記憶にございますでしょうか。今回の様式からは健康 被害までが補足できるようなデータシートになりましたので、この部分を追加した形で 報告させていただくことに切り替わっております。一応資料2-2までで止めさせていた だければ、このようなことになります。説明は以上でございます。 ○桜井部会長 ありがとうございました。今のは資料2-2の御説明ですね。これに関し てはいかがでしょうか。では資料2-3と2-4もお願いできますか。 ○事務局 それでは一度に御説明させていただきます。基本的には資料2-3も2-4も先 ほどの資料2-1の個別案件一覧表になってございます。資料2-3と2-4については前回 の報告と様式は変えてございません。特に多くて御覧になったときに「あれ」と思われ るかもしれないので、資料2-4の「医療用具研究報告」を先に御説明申し上げます。こ れを御覧いただくと一つの製品が圧倒的に出ているように見えますけれども、これは特 にこの期間に何かトラブルが頻発したというわけではございません。不具合報告、ある いはこういった報告をされたときに「これも報告するのではないのですか」というよう な指摘をされるとずるずると一遍に報告されることがあります。したがってこの期間に 大きなトラブルが大頻発したということではなくて、その期間中に報告すべきものがた くさん出てきたと。特に論文についてはいつ気付いたかという議論がありますので、こ ういう場合には報告すべき時期を若干遅延しているということはありますけれども、そ ういう意味で誤解のなきようにお願いしたいと思います。以上です。 ○桜井部会長 ありがとうございました。それでは資料2-2〜2-4までで何か。どうぞ。 ○天笠委員 資料2-2で8ページの156〜162辺りに「歯科用インプラント材」の中でね じの破折があるのですが、これは手術中のものなのか、それとも装着後経過してからの ものなのか、もし分かれば教えていただきたいと思います。 ○事務局 ちょっと調べてみたいと思います。 ○小野委員 資料2-2でたくさんあるのですけれども、例えば25ページの589、自動縫 合器のところに不具合状況が「なし」で健康被害が「イレウス」と書いてありまして、 こういうものが幾つかあるのですが、これは因果関係が分からないというような意味で しょうか。 ○事務局 基本的にこのデータシートは誤字・脱字、助詞ぐらいの調整は行いますが、 極力報告者のままにしてあります。「なし」というのは恐らく製品自身には基本的には 不具合、オブザベーションとしてトラブルがないけれども、結果的に健康被害が起きて いると。ですから、健康被害に何らかの関与をしていることが否めないというときに出 てきてしまう。それから不具合報告の概念としては明らかに用具が壊れていて健康被害 の可能性の部分と、健康被害があって用具が絡んでいるかもしれないという両方の側面 から報告が来ますので、こういうことは論理的にはあり得ますが、両方の欄がなしとい う本来ない概念以外は基本的に来てしまうというイメージで考えていただければと思い ます。 ○桜井部会長 ほかにございますか。どうぞ。 ○佐伯委員 薄い資料2-3についてです。確か前の部会のときに「回収」と「改修」が 同じ音でややこしいので、「リコール」などを付けておいてほしいということをお願い したかと思いますが。よろしくお願いします。 ○桜井部会長 そうでしたね。「回収」と「改修」が同じ発音なものですから分かりに くいですね。 ○事務局 次から直させていただきます。それから今天笠先生から御質問があった資料 2-2の8ページのブレンベースの件ですが、歯科用インプラント材のねじの破折はすべ てインプラント後ということです。 ○天笠委員 「後」ですね。経過の期間などは分かりますか。特に腐食があったとか。 ○ 事務局 可能な限り調べてみます。  ── 井部委員退室 ── ○桜井部会長 よろしゅうございますか。資料2-2は資料2-1の3枚目に…。感染症も 入れて2,936ですか。これは不具合だけですと661件ということになるのですね。 ○事務局 不具合・感染症報告というカテゴリーでありまして、そういう意味では帳票 の方は「不具合・感染症」の方が正しいかもしれません。確かにそういう意味では「等」 と打っていると平仄が合っていないので、資料2-1で示します不具合・感染症報告2,936 件そのものが、このデータシートそのものになります。何症例もあるものは「参考」欄 の方で圧縮をかけています。多分そのまま2,936行にすると見にくいものですから同じ ものだけ集めておりまして、行数はその分少なくなってございます。 ○桜井部会長 よろしいでしょうか。それでは議題3…。 ○事務局 天笠先生の御質問ですが、分かったところだけでも。使用期間についてはか なりばらけておりますが、4年、3年5か月、3年、3年8か月、4年6か月、5か月、 3年6か月、6年、1年1か月というような状況です。 ○天笠委員 ありがとうございます。 ○桜井部会長 では議題3に。 ○事務局 それでは議題3、薬事法第68条8に基づきます生物由来製品の製造等をした 企業から報告された感染症定期報告の状況について御報告いたします。お手持ちの資料 3-1、3-2を御用意ください。まず資料3-1からでございます。これは前回も御説明いた しましたが、今回は平成15年10月16日〜平成16年3月31日までに生物由来製品の製 造業者等から報告された感染症定期報告につきまして、報告登録順に表にして並べた資 料でございます。この期間に46件の報告がございまして、主にブタ由来に関する製品の ものが多く報告されております。このうち感染症に関する文献等を添付してきた報告数 が18件でございます。今報告順に並べておりますが、同一の文献などがございますので 感染症ごとにまとめたものがありまして、それが資料3-2でございます。本日はこの資 料に基づきまして感染症定期報告で添付されきた文献等の内容について御説明させてい ただきたいと思います。  全体といたしまして報告者から約20種類の感染症に関して約80の文献等が提出され ております。文献が多く提出された感染症といたしましてE型肝炎、クロイツフェルト・ ヤコブ病、コレラ(豚コレラ)といったものが報告されております。これらの文献につき ましては、本日も御臨席いただいております国立感染症研究所長の倉田委員に御相談し ながら、必要があるときには事前評価委員の先生方に査読していただき、緊急に措置を 講ずることがあるかどうか御意見を頂いているところでございます。  これらの文献に基づいて主な点につきまして御報告いたします。まず資料の1ページ からE型肝炎について御報告があるのですが、この中でブタのHEV肝炎の保有率ある いはイノシシ、シカの生食によるヒトへのE型肝炎感染発症事例などについての報告が なされております。E型肝炎につきましては、各製品においてウイルスの不活化行工程 などが施行されていることから、その安全性については確保されていると考えていると ころでございます。  4ページからのインフルエンザにつきましては、今回の調査期間が鳥インフルエンザ がアジアで流行していた時期でございましたので、それに関係する論文が提出されてお ります。ブタがインフルエンザウイルスの宿主となりますが、ブタ由来製品からのイン フルエンザウイルス感染につきましては各製品においてのウイルスの不活化工程などが 施行されていることから、その安全性については確保されていると考えております。  6ページのウエストナイルウイルス感染につきましては、米国での流行状況を受けて 文献が提出されています。現在国内ではウエストナイルウイルス感染がまだ発生してお りませんが、今後とも情報収集に努めてまいるようにお願いをしております。  続きまして8ページからのクロイツフェルト・ヤコブ病につきましては、ちょうどこ の調査期間中に米国でBSE感染ウシが発生したことや、既に発生している日本、イタ リアでのBSEウシの事例についての詳細の報告、英国におけるBSEの疫学データの 報告などがございました。これに関しまして事前評価委員の先生方からは、米国で発生 したBSEの対応についての措置が必要であるということですが、既に薬事・食品衛生 審議会の医薬品等安全対策部会 伝染性海綿状脳症対策調査会の審議に基づき、我が国と いたしましては米国産ウシを原料とする医薬品、医療用具等への措置を行っているとい うことですので、今後は米国の汚染状況の情報を入手するようにとの御意見を頂いてお ります。   10ページからのコレラ(豚コレラ)につきましては、世界各地での感染状況に関する報 告がなされているところでございます。その他、例えば口蹄疫などの感染症について資 料のとおりの論文が報告されております。人畜共通感染症が中心となってはおりますけ れども、これらの概要につきましては今日御出席の倉田委員、山口委員、御欠席の甲斐 委員にも御覧いただいたところ、流行地域が限定されていることやウイルスの不活化工 程などを踏まえますと、緊急の措置を講ずる必要はないが、今後とも報告者は情報収集 に努めるようにとのことでございます。なお、文献以外の情報につきましても事務局で 適宜対応いたしております。関係する委員の先生方から御意見があれば、またお願いし たいと思います。報告は以上でございます。   ── 井部委員入室 ── ○桜井部会長 ありがとうございました。倉田先生、恐縮ですが、お願いします。 ○倉田委員 今事務局から報告がありましたように、動物由来感染症のもので動物が持 っているいろいろなウイルス、そのほかのバクテリア等の疾患の問題が全部整理されて きていて非常にいい報告集だと思います。そういう意味では、今最後におっしゃったよ うにバリデーションなどがきちんとされているし、いろいろの不活化工程がありますの で、これが直接ヒトの世界に医療医薬品あるいは医療用具を通じて飛び込んでくるとい うのは今のところちょっと言えないと思います。論文そのものはヒトに関係があったと いうことではなく動物が持っていたということ、一部はヒトにもそういう例が見られた ということであって、むしろこれは動物由来の感染症に通常の生活の中で気を付けろと いう話には非常にいい情報だと思います。以上です。 ○桜井部会長 ありがとうございました。山口先生。 ○山口委員 事務局にとってはこのデータを整理するということ自体がとても大変な作 業だったと思うのですけれども、そういう意味では非常にきちんと整理していただいて います。今倉田先生がおっしゃいましたように直接この論文になるような原材料が実際 使われているというわけではなくて、そういう情報を収集しながら原材料としては全く そういうことのないものを用いておりますので、そういう意味では今回事務局から報告 がありましたように問題になるようなことは全くないだろうと考えております。 ○桜井部会長 ありがとうございました。これに関しまして何か…。 ○佐伯委員 一つ教えていただいたきたいのですが、資料3-2で原産国を明記している 会社と明記していない会社がありまして、アボットジャパンとアリージャンスというと ころが原産国を一切書いておりません。一つだけの製品として34番に生化学工業という のがありますけれども、それに比べてアボットジャパンとアリージャンスはかなりの数 が上がっております。やはりこれはトレーサビリティということで、今後必ず必要にな ってくると思います。ひょっとしたら動物由来ということをもっとたどってそれのDN Aなどということになるのであれば、メーカーとしてはきちんと示す、あるいは出せる ようにしておくよう御指導があった方がいいかなと思いました。 ○事務局 今の御質問についてお答えいたします。原産国の表示につきましては原材料 のところでウシのような反すう動物について明記するという制度になっておりまして、 ブタは反すう動物ではないということで本来原産国の記載は任意になっているところで ございます。ただ、報告者の皆さんはブタについては原産国を積極的に記入していただ いているところが多うございまして、先ほど御指摘のところは制度的には特に書かなく てもいいのですが、今の委員の御意見も踏まえて、我々担当といたしましてはできる限 り書いていただくようにお願い申し上げているところでございますし、今後もそのよう にしていきたいと思っております。 ○桜井部会長 「アリージャンス」というのはどこの国の会社ですか。 ○事務局 フランスです。もちろん日本法人が提出しております。 ○桜井部会長 ほかに何かございますか。 ○中村委員 クロイツフェルト・ヤコブ病の欄でほとんどの原材料のところにブタのヘ パリンが挙がっているのですけれども、私はヤコブ病でブタで発症したという報告を聞 いたことがないのです。こういうものをリストに挙げてあるのはどうしてなのですか。 ○事務局 ただいまの御質問にお答えいたします。この感染症定期報告制度の考え方と しましては、報告者、企業の方々が御自分の製品に関して必要な情報を私どもの方に提 出されるということで、ブタと言えどもまだ不明のことが多いクロイツフェルト・ヤコ ブ病であるため、メーカーの方が積極的に御報告いただいたと考えております。御指摘 のように、確かに基本的には本来このクロイツフェルト・ヤコブ病はウシ関係のものが 多うございますが、その点につきましてはメーカーさんの判断の中でお出しいただいた と考えております。 ○中村委員 分かりました。 ○倉田委員 ウシの3年とか2年で出てきたなどというケースは非常に少なくて、ほと んどが3年以上です。それから見ればブタの飼育はほとんど半年などと非常に短い期間 ですので、そういう病気自体が知られていないということです。 ○桜井部会長 ヘパリンというのは圧倒的に多いのですね。ほかはよろしいでしょうか。 どうもありがとうございました。次に議題4について御説明願います。 ○事務局 それでは資料4-1を御覧ください。今回医療用具の回収報告ということで、 初めて御説明させていただくわけでございますけれども、制度のことも含めて御説明さ せていただきます。「医療用具の回収報告の状況について」でございますが、平成8年 の薬事法改正を受けまして医療用具等の製造業者、輸入販売業者等につきましては、そ の製造し、若しくは輸入等した医薬品等の回収に着手しましたときは、その旨を厚生労 働大臣又は都道府県知事に報告しなければならないこととなりました。これは薬事法第 77条の4の3に基づいてございます。これは厚生労働大臣が許可しているものについて は厚生労働大臣へ、都道府県知事が許可しているものについては都道府県知事へとそれ ぞれ指導対象のメーカーが異なってきますので、それぞれ報告することとなってござい ます。また、平成12年には医薬品・医療用具等の回収に関する研究の報告書を受けまし て、医薬品等の回収に関する監視指導要領を通知いたしております。この中で回収に当 たっての基本的な考え方や対象範囲、手続の詳細等について明確化を図るとともに、製 造業者等から回収着手報告がなされた場合には、現在すべての事例をインターネット上 で公開してございます。  「1.回収件数年次推移」でございます。こちらは一応報告対象が昨年度の7月30日 以降ということになりまして、過去の経緯からこちらで把握している数字の方をざっと 7年分程度出させていただいておりますけれども、昨今の医療用具の回収件数を見てみ ますと大体200〜300件程度のところで推移してございます。参考までに医薬品、医薬部 外品、化粧品の回収件数についても同時に記載させていただいております。  次のページに移っていただきまして、「2.平成15年度医薬品等の回収件数及びクラ ス分類」でございます。下の方に説明がございますが、クラスI、クラスII、クラスIII と分けております。クラスIというのはその製品の使用等が重篤な健康被害又は死亡の 原因となり得る状況にあるもの、クラスIIにつきましてはその製品の使用等が一時的な、 若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能性があるか、又は重篤な健康被 害のおそれはまず考えられない状況、クラスIIIはその製品の使用等が健康被害の原因に なるとはまず考えられない状況となっておりまして、その中で回収が行われた時点での クラス分けをしてございます。医療用具の方は一番目のカラムに載せさせていただいて おりますけれども、先ほど申し上げました292件ということで、昨年度医療用具ではク ラスIが7件、クラスIIが236件、クラスIIIが49件となっております。  資料4-2にまいります。こちらは既にインターネットに公開されているものでござい ますけれども、昨年度1年分のそれぞれの品目と回収理由を一覧にしたものを掲載させ ていただきました。こちらについてはかなり量がございますので、説明は割愛させてい ただきます。回収の要因は種々ございますが、承認事項と異なるものを売ってしまった とか、ソフトウェアの回収を要する状況に至ってしまっている、若しくは例えば電気的 な部分で不良があったものについては接続部分に不良があった等の回収が昨年度1年間 でございました。説明の方は以上で終わらせていただきます。 ○桜井部会長 ありがとうございました。ただいまの件について何かございますでしょ うか。資料4-1の2ページのクラス分類というのは、医療機器のクラス分けと混同して しまいますよね。ですから例えば「1群」、「2群」とか、「カテゴリー1」、「カテ ゴリー2」とか、何か言葉を分けた方がいいのではないですか。私は最初クラスIの機 器、クラスIIの機器かなと思って見たらそうではなかったのです。先ほどの「回収」と 「改修」と同じように、言葉がつまらないことでコンフューズしてしまう…。 ○事務局 分かりました。こちらの方は回収の程度のクラス分けということで薬事法上 の全品目が対象になっておりますので、書き方について工夫してみます。 ○桜井部会長 言葉使いも分かりやすい方がいいと思います。 ○事務局 記述については「クラスIの機器」ではなく「クラスIの回収」であるとい うことが分かるように工夫してみます。 ○土屋(利)委員 私も桜井先生と同じように、最初にこのクラスIというのは機器のク ラス分類と間違えやすいと思いました。それから実際この2ページに載っています回収 件数は、こちらの資料4-2に記載されていると考えてよろしいわけですね。 ○事務局 はい。そのようにいたしております。 ○土屋(利)委員 それから実際ここで起きてきた様々な事故については、当然審査管理 課等との協議はなさっておられるということでしょうか。 ○事務局 回収の要因には複数ございまして、表示の違反であるとか明らかに薬事法上 の違反で回収しているケースにつきましては監視指導課の方で判断しております。しか しながら、薬事法の違反のみではなくて、その不良が安全性や有効性に跳ねる場合にあ っては関係各課と協議をして決定しております。 ○土屋(利)委員 整形外科系の破損事故が多いように思うのですが、そういったものは 多分審査管理課の方とは対応されているというふうには考えておりますけれども、把握 されているいろいろな事故の中には添付文書に記載されていない、いわゆる適応外の使 用による事故がかなり多いと考えてよろしいでしょうか。 ○事務局 一概には言えませんけれども。先ほどの天笠先生からの御質問にもお答えす る一つの例になるかと思いますので、この場をかりて御説明したいと思います。ブレン ベースの破折事故でございますが、大きく分けて三つの原因だったという報告を受けて います。このように網掛けをしている部分が台座なのですが、この内枠のような骨を上 に乗せているのです。本来は点線で書いた外枠のようにやらなければならないのに、内 側の方に乗せやすいために乗せてしまっていて、当然強度が足りないと折れる。本当で あればこの外枠のとおりに上を乗せなければいけないのですが、下の実線のようなとこ ろでやってしまうと。要するにホームベース型になっているのでどこまでかぶせるかに よって強度が変わるのです。もちろん太い方が強いわけですから、逆に言うと細く作っ てしまっていると折れやすかったというのが一つの類型。二つ目としては、この上のホ ームベース型というのはねじ式になっていまして、二つのジョイントでできていますが、 しっかりねじ込んでいない。この二つのセグメントはしっかり付いていないためにぐら ついて、バキッと折れているという類型。三つ目は埋め込みの深さです。歯根が歯肉に 対してかなり浮き出ていますと弱い部分が前に出ていますので、大きな振れでバキッと 折れると。このように、先ほどここに報告されているものは大きく分けるとこの三つに 類型化されています。これは先生から御質問のあった発生メカニズムの回答になります が、こういったケースが一つの例でありますので、プレートやジョイントなどいろいろ なところではありますが、多分に先生の手技ややり方にも影響を受けているのは確かで す。そこについては原因メカニズムをできるだけ追って、再発のないような形でインス トラクションをかけるのですが、主義主張が学科でかなりばらけているので、その辺り はなるべく抵触しないような形で、かつ発生メカニズムを科学的に検証したものを添付 文書に折り込むようなことは随時行ってはいます。 ○土屋(利)委員 もう一つ、企業の方からお聞きしたことがあるのですが、いわゆる骨 補てん材等の売り方についてです。これは製造メーカーと販売メーカーが別々でして、 製造メーカーから離れた後、あるほかの販売業者がドクター側への説明で「これは何で も大丈夫ですよ」というふうな売り方をされていたと。そういう意味でドクターが余り 添付文書も読まないで使われた経緯があって不具合が起きているというお話でした。今 後は市販後の対策も練られていますので多分その辺は考えておられると思いますけれど も、一応御紹介です。 ○事務局 御回答になるかもしれませんけれども、この改正薬事法においては製造物の 振出人だけではなく流通である販売業者もクラス分けされて、高いクラスの医療用具販 売には許可制をしきますので、ある意味でそういう無責任な売り方はできなくなる。ま た、振出人自身も市販後の安全対策を要件化したものを許可要件にしますので、そうい う意味では今御指摘のような御心配はこの流通主体としてはなくなってくるような法改 正はされていると承知しておりますが。 ○土屋(利)委員 ある一つの失敗例によってほかの類似製品まで影響を及ぼしますの で、やはりこういうところがキーポイントになるということをきちんと表に出していた だいて、そうすると類似の製品についてはこのような対策をすればそれほど恐れること なく、いい製品は出すことができるというふうにやっていただかないと、開発が遅れて しまうということになると思います。よろしくお願いします。 ○佐伯委員 資料4-1に「インターネット上」とあるのですが、インターネットの主語 を教えください。どこのインターネットですか。 ○事務局 正確に言いますと過去2年分につきましては医薬品医療機器総合機構のホー ムページ上に載っていまして、それ以前のものは厚生労働省のホームページに載せてお ります。これは二つをそれぞれ見なければならないかというと、そういうわけではござ いませんで、厚生労働省のトップページの緊急情報の上から1行目か2行目のところに 日々更新していますので、そちらの方から必ずアクセスできるようになってございます。 ○佐伯委員 なぜお聞きしたかと言いますと、資料4-2の「回収理由」というところに 書いてある文言が「お客様に納入いたしました」などと書いてあったり、いろいろなの ですね。どこに載っていた文章がここにはり付けられているのかが分からなくて、ひょ っとしてこれはどこかのメーカーさんのホームページに載っている文章なのかもしれな いし、厚生労働省のホームページに載っていたのかもしれないということで、ちょっと その辺りが分からなかったので。 ○事務局 分かりました。これは各メーカーが回収したときにそれぞれ回収した製品名 や会社概要やロット番号などをいろいろ書いて報告いただくのですが、それを一定の書 式に従ってすべてインターネットに載せたものの抜粋でございまして、載せるときの言 葉は大体国や県の方で統一を図っております。ホームページから抜粋したというのは厚 生労働省及び医薬品医療機器総合機構のホームページからでございます。 ○笠貫委員 先ほどの重篤な健康被害又は死亡をもたらすというクラスIでペースメー カが目立つのですけれども、出力停止というものがクラスIで二つの機種については完 全に自主回収という形になっていますが、会社によっては出力停止がクラスIIに入って いるものもあるのですね。この辺のクラスI、IIというのは最終的にはメーカーサイド の判断になるのでしょうか。 ○事務局 一義的にはメーカーです。それについて許可権者が監査をしまして、それか ら最終的にクラスを決定していくわけなのですけれども、出力停止といいましてもそう したものについて直ちに死に直結するというケースだけではございませんで、こちらの 方につきましては、ペースメーカに限らず出力停止をしたときにブザーが鳴るなどの代 替措置であるセーフガードが働く器機と全く働かない器機がありますが、これが働かな いものについては死に直結する可能性がございますので重篤な健康被害の可能性がある クラスIに分類させていただいております。 ○笠貫委員 ペースメーカの場合、出力停止が起こったところでセーフティーシステム が働くというのは余りないかなと思います。そうしますと例えば7ページにあるこの機 種に関しては、どういうメカニズムで出力停止したものがまた新たにペースメーカの悲 劇を出すというふうに考えたらいいのでしょうか。7ページでも一番上のものは出力停 止で回収になっていますし、あるいは6ページにある機種についても最終的に回収にな っていますけれども。 ○事務局 そこの部分のカイシュウというのは、「改修」…。 ○笠貫委員 これは自主回収になっていますので、すべて「回収」という意味ですよね。 全部引き上げるという形ですね。 ○事務局 ペースメーカの場合は、まだ埋め込まれていないものについてはすべて引き 上げますが、埋め込まれているケースにつきましてはその患者さんに現在使われており ますので、各先生方にモニタリングするようにメーカーの方から文書を出していただき ます。例えばモニタリングの頻度が通常4か月であるとしたらそれをもっと短いターム で見ていただいて、機会を見て回収、注意喚起をしていただくようなことも含めてこち らの方には記載させていただいております。 ○笠貫委員 それはペースメーカを実際入れている方の場合と在庫を回収することは両 方同時に行えることだと思うのです。もちろんモニターで植え込んでいる患者様の場合 には換えることもあり得るわけですけれども、それが必要かどうかの判断と、あとは在 庫しているものを回収するかという二つの対処だと思います。例えば先ほどの7ページ の一番上の機種でいうと、出力停止で多分在庫に関しては回収だと思うのですが、一番 下の出力停止に関しては、在庫品は回収しているのですけれども、クラスIIになってい まして、このクラスIIはどういうことかちょっと意味が分からなかったのですけれども。 ○事務局 これについてはちょっと確認いたします。 ○笠貫委員 クラスI、IIというのはどこで判断して、どこでオーソライズされている かということを確認したかったのです。 ○桜井部会長 これはメーカーが申告したクラスIとかIIということがここに記載され ているわけですか。 ○事務局 そうです。クラス確定はまずメーカーの責任でやりまして、それを許可権者 が確認するという形を採っております。 ○桜井部会長 そうすると一度評価と言いますか、検証が入っているわけですね。要す るに笠貫先生の御質問は、申告のまま…。 ○笠貫委員 もし出力停止で在庫回収ということでいけばクラスIと通常考えていいの ではないかなと思ったものですから、そこのところを確認しただけです。 ○事務局 それについては確認いたします。もし参考になればと思うのですが、同じ出 力停止でも予兆が見える場合と見えない場合があります。例えば出力停止にも、電池の 早期消耗をトリガーとする、あるいはオーバーカレントによって急激に電池が落ちてい くような場合には、モニタリングを例えば3か月に1回、6か月に1回やること、ある いは交換指標を見ることによって事実上見えるという場合には、同じ出力停止でも軽減 される場合はあり得ます。ちょっとここだけの文面ですと先生の御指摘のように分かり にくかったので、ここにIとIIを間違えて入れているなどの記載ミスがあるかどうかは 一応再度事務局でチェックさせていただきたいと思います。その次に、今申し上げよう な原因をよく分析してみると予兆を発見できると、通常のトラッキングで見えるという ものについてはクラスIIに落ちている場合も論理的にはあります。そういう整理になろ うかと思います。 ○桜井部会長 よろしゅうございますか。ほかに何か御発言ございますか。もしなけれ ば時間も来たのでこれで閉会します。今日は対策についていろいろと具体的な御発言を 頂きまして、ありがとうございました。事務局から何か。 ○事務局 本日はありがとうございました。次回は9月ないし10月ごろにまた開催した いと思いますので、改めて日程調整の御案内を差し上げたいと思います。よろしくお願 いします。 ○桜井部会長 それでは、これで閉会にいたします。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 渡邊(内線2748) - 39 -