04/06/24 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会平成16年6月24日議事録         薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会議事録 【日時】 平成16年6月24日(木) 午前10時00分〜午前10時55分 【場所】 中央合同庁舎第5号館共用第7会議室 【出席委員】(敬称略)      長尾美奈子(添加物部会長)、鈴木久乃、棚元憲一、中澤裕之、成田弘子、      山添康、山川隆、四方田千佳子 【事務局】遠藤食品安全部長、中垣基準審査課長、植村課長補佐、蛭田課長補佐 【議題】(1)ステアリン酸カルシウムの新規指定の可否について      (2) その他 ○事務局  それでは、定刻となりましたので、「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部 会」を開催させていただきます。  本日は御多忙のところ御参集いただき、誠にありがとうございます。  本日は、添加物部会の委員13名中、現在7名の委員の先生方に御出席いただいており ますので、本日の部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。本日、棚元委員が 出席される予定でございます。  それでは、まず初めに食品安全部長から御挨拶申し上げます。 ○食品安全部長  食品安全部長の遠藤でございます。  委員の先生方には平素より食品添加物行政に御協力いただきまして、誠にありがとう ございます。  本日、御審議をいただきますステアリン酸カルシウムにつきましては、平成14年7月 に食品衛生分科会で御了承いただきました。国際的に安全性が確認され、かつ汎用され ているものとして国が主体的に指定に向けた検討を進めた品目の1つでございます。平 成16年3月4日に食品安全委員会に対し、食品健康影響評価を依頼しましたところ、添 加物専門調査会におきまして、安全性に懸念はないと考えられ、ADIを設定する必要 はないとの評価結果が示されましたことから、本日新たな添加物としての新規指定と規 格基準の設定につきまして、御審議をお願いするものでございます。  なお、セイヨウアカネから抽出した食品添加物、アカネ色素につきまして、先週18日 に食品安全委員会への食品健康影響評価の依頼を行いましたこと。また、平成15年度に 実施されました、既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究につきまして、それぞ れ御報告をさせていただく予定でございますので、併せてよろしくお願いを申し上げま す。 ○事務局  それでは、座長を長尾添加物部会長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいた します。 ○長尾部会長  それでは、配布資料の確認を事務局よりお願いいたします。 ○事務局  本日、先生方のお手元に配布させていただきました資料でございますが、「薬事・食 品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会」という資料。それと、この資料の一部を差し 替えしていただきたいと思っており、別紙2「ステアリン酸カルシウム規格設定の根拠 」を配布させていただきました。  まず、「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会」の冊子の資料でございま す。御確認いただけますでしょうか。  まず、1枚めくっていただきまして、「委員名簿」でございます。  更に、1ページめくっていただきまして、3ページでございますが、「資料一覧」で ございます。本日のステアリン酸カルシウムの御審議に係る資料といたしまして、資料 の1から資料3、報告事項に関係いたしまして、報告資料の1から4でございます。  1枚めくっていただきますと、5ページでございますが、資料1として、「諮問書」 でございます。  更に、1ページめくっていただきますと、7ページでございますが、資料2といたし まして、食品安全委員会で示されておりますステアリン酸カルシウムに関する食品健康 影響評価に関する審議結果(案)でございます。  更に、ページを進めていただきまして、17ページでございますが、資料3といたしま して、「ステアリン酸カルシウムの食品添加物の指定に関する添加物部会報告書(案) 」でございます。  23ページにいきますと、報告資料1でございますが、6月18日に「食品安全委員会へ の食品健康影響評価依頼」についてというものでございます。  27ページの報告資料2でございますが、この評価依頼の根拠となっております「アカ ネ色素の慢性毒性・発がん性併合試験」の中間報告を掲載させていただいております。  更に、55ページの報告資料3として「既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究 」でございます。  最後の77ページでございますが、報告資料4といたしまして、「既存添加物の安全性 見直しの状況」でございます。  なお、差し替えの資料として配布させていただいておりますが、20ページの別紙2 「ステアリン酸カルシウム規格設定の根拠」を本日別紙2で配布されている資料と差し 替えをお願いできればと思います。  本日、お手元にお配りした資料は以上でございますので、もし、過不足等ございまし たら、お申し出いただきたいと思います。 ○長尾部会長  皆さん、資料おそろいですか。  よろしければ、審議に入りたいと思います。  まず、最初に議題1の「ステアリン酸カルシウムの新規指定の可否について」の審議 を行いたいと思います。  事務局より資料について、御説明お願いいたします。 ○事務局  御説明いたします。  まず、背景からでございますけれども、ステアリン酸カルシウムにつきましては、平 成14年7月に食品衛生分科会にて了承されました、「国際的に安全性が確認され、かつ 欧米で汎用をされている添加物の取り扱いについてに従いまして、厚生労働省におい て、資料を取りまとめた添加物でございます。平成16年の3月4日に食品安全委員会に 食品健康影響評価を依頼したものでございます。食品安全委員会におきましては、本年 5月20日の添加物専門調査会におきまして、審議が行われまして、その審議を踏まえま した報告書案が取りまとめられ、6月17日よりパブリックコメントが実施されていると ころでございます。  資料1は、「諮問書」でございます。  1枚めくっていただきますと、資料2でございますが、食品安全委員会の審議結果案 でございます。  まず、「はじめに」というところですが、ステアリン酸カルシウムは、ステアリン酸 カルシウムとパルミチン酸カルシウムを主成分とする高級脂肪酸のカルシウム塩の混合 物であり、低水溶性で、粉体の流動性の向上・固結防止等の機能を有して、欧米におい ては1920年代ごろからさまざまな用途で食品に用いられております。我が国の使用経験 でございますが、医薬品の分野で既に使用されておりまして、日本薬局方に収載されて おります。  米国におきましては、GRAS物質に該当する添加物として、さまざまな目的での使 用が認められておりますし、欧州EUにおいても一般に広く食品への使用が認められて いるところでございます。JECFAの評価でございますが、何度か評価されておりま すが、1985年の評価においては「特定しない」ということで評価されているところでご ざいます。  この評価レポートの概要でございますけれども、1枚めくっていただきまして、8ペ ージの5から「安全性に関する検討」がなされているところでございます。体内動態、 毒性等々の記載がございまして、海外における使用量の記載がございます。  最後の12ページ、8として、評価結果でございます。ステアリン酸カルシウムについ ては提出された毒性試験成績等は必ずしも網羅的なものではないが、この脂肪酸塩は体 内においてほとんど乖離せず、吸収されないと考えられ、反復投与毒性試験等の結果か らは安全性を懸念するような特段の毒性影響は認められない。また、反復投与毒性試験 の結果から得られたNOAELと既に使用が認められている米国における使用量との乖 離も比較的大きく、また、我が国においては医薬品分野での使用経験があり、これまで に安全性に関して特段問題となる報告もなく、更に、ステアリン酸塩の塩違いの物質で あります、ステアリン酸マグネシウム、これにつきましては、本年の1月でございます けれども、ADIは設定せずということで食品添加物に指定されたところでございま す。  JECFAにおける評価も考慮いたしまして、ステアリン酸カルシウムが添加物とし て適切に使用される場合、安全性に懸念がないと考えられ、ADIを設定する必要はな いと評価したと取りまとめられたところでございます。現在、この案についてパブリッ クコメントが実施されているところでございます。  これを受けまして、17ページの資料3でございます。添加物部会報告書(案)でござ います。品目名はステアリン酸カルシウム、分子式及び分子量、用途、諸外国の使用状 況を掲載しております。  5におきまして、食品安全委員会における評価結果(案)ということで、現時点での 評価結果案、一番最後の行でございますが、ADIを設定する必要はないということに なっております。  摂取量の推定でございますけれども、1975年のFDAの報告書がございまして、これ によりますと、米国における1970年における食品向け使用量が280 トンであったという ことで、当時の人口が2億500 万人ということであったことから、1日あたり人一人の 平均摂取量は約4mg であったというような記載がございます。  同様に、またFDAの同報告書におきまして、米国の他のデータを基に摂取量の推定 をしておりますけれども、それによりますと、2歳以上の摂取量が1,500mgに相当すると いうような記載もございます。しかしながら、最終的にFDAの報告書においては、こ れは過大な推計であって4mg 人/日がより現実的な値と考えられると、取りまとめが なされているところでございます。  18ページを御覧になっていただけますでしょうか。これらを踏まえまして、7の使用 基準案でございますが、ステアリン酸カルシウムは米国ではGRAS物質として扱わ れ、使用基準は設定されていないこと、またEUにおいても同様であることから、使用 基準は設定しないとするというような提案でございます。  19ページは、成分規格案でございます。ステアリン酸カルシウムということで、定 義、含量、性状、確認試験、純度試験、定量法という構成になっておりますが、これら の考え方の根拠でございますが、本日、差し替えの資料として配布させていただいてお ります「ステアリン酸カルシウム規格設定の根拠」を御覧になっていただけますでしょ うか。  基本的な考え方でございますけれども、JECFA、FCC、EUの規格及び医薬品 の公定の規格集でございます薬局方、こちらは米国、欧州、日本のものがございます が、それぞれの規格を参考として設定されたところでございます。  まず、含量でございますけれども、JECFAにおきましては、脂肪酸含量として規 定されておりますけれども、国内で医薬品として流通しているステアリン酸カルシウム につきましては、脂肪酸組成の規格が設定されていないということ。また、ガスクロ法 で定量するには技術的に困難であるということから、カルシウムの含量で規定すること としております。この実際にFCCにおいては、酸化カルシウムで規定していること、 製造方法によって脂肪酸組成が異なる可能性もあることから、このカルシウム含量とし て規定し、その値は薬局方と同じものであります。  具体的には、次のパラでございますが、カルシウムとして6.4 から7.1 %というもの でございます。  確認試験でございますけれども、薬局方におきましては、カルシウム塩の定性反応、 以下の(1)、(2)、(4)を呈するという記載がございます。こちらは薬局方の中 で示されているカルシウム塩の定性反応でございますが、これと食品添加物公定書の中 の一般試験法を見ますと、同様にカルシウム塩の定性反応が掲載されておりますが、こ のうち(1)が薬局方と同じものであったことから、カルシウム塩の定性反応は、この (1)を採用すると提案をさせていただいております。  純度試験でございますけれども、局方におきましては、重金属、鉛として20μg 以下 というふうに規定されているところでございますが、EUの規格もしくは薬局方、こち らはアメリカの薬局方におきましては10μg という規定がございますので、それを採用 しております。  ヒ素については、JECFAの規格に合わせ、遊離脂肪酸の規格についてはJECF A、FCCの規格に準拠しております。  不けん化物でございますけれども、JECFA、EUの規格において2%と採用され ているところでございますけれども、現時点で流通している脂肪酸塩においては混入が 考えられないということと、各国の薬局方において規定されていないということから本 規格では設定をしておりません。  乾燥減量でございますけれども、FCCの規格を参考に4.0 %以下ということを提案 しております。  定量法でございますけれども、こちらは局法においてカルシウムとして定量しており ますので、国内での試験の実施可能性を考慮いたしまして、薬局方に合わせておるとこ ろでございます。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○長尾部会長  どうもありがとうございました。  今、事務局から御説明ありましたけれども、成分規格を取りまとめられました国衛研 の食品添加物部の先生方、何か追加事項、補足事項ございますでしょうか。 ○棚元委員  ありません。 ○四方田委員  ありません。 ○長尾部会長  いいですか。  それでは、ステアリン酸カルシウムの新規指定の可否について御意見を伺いたいと思 います。  ちょっと、私から御質問させていただきます。確認試験でJPでは、1、2、4を呈 するとなっているけれども、食品添加物公定書の一般試験からでは、1だけとしたとい うことですが、JPでは何で1、2、4と3種類あるんですか。要するに三通りやる必 要があるんですか。あるいは、その塩の形によって1または2または4ということなん でしょうか。 ○四方田委員  4つあるうちで使えるもの3つが全部挙げてあるという感じです。3だけは、この条 件では使えないんですけれど、1、2、4はすべてこのステアリン酸カルシウムのカル シウムの確認試験に使えるものを全部挙げてあるという感じです。 ○長尾部会長  使えるけれども、どれでもよろしいと。 ○四方田委員  一応、全部しなくてはいけないと思います、こう書かれていますと。ですが、FCC もJECFAも日本の公定書と同じものが2つ載っていまして、局方には4つ載ってい ますけれども、食品添加物の各国の公定法では公定書と同じ2つが載っているというこ とです。局方に載っているものがすべて各国の食品添加物規格に使われているというわ けではないということです。 ○長尾部会長  ですけれど、1だけで十分、このステアリン酸カルシウムの確認試験には、これだれ で十分であるという判断なんですね。この1のみとしたというのは。 ○四方田委員  一応、判断できるということです。 ○成田委員  1つお聞きしたいことがあります。  別紙1のところの純度試験のヒ素のところですけれども、クロロホルムを溶媒として 使っていまして、今、クロロホルムなどは余り使わない方がいいという風潮になってい るのではないかと思いますので、これがエーテルではいけないのかなと、ちょっとお聞 きしたいと思います。 ○四方田委員  第8版公定書で、有害試薬は排除する方向にございますので、変更になる予定でござ います。 ○成田委員  そうですか。 ○山添委員  教えていただきたいんですけれども、表題はステアリン酸カルシウムで、脂肪酸につ いては定めないということになっていますね。実際のところC16のものとC18のものが ミクスチャーなわけです。それを定めないという理由は何かということですけれども。 ○事務局  含量の設定根拠のところで、記載されているところでございますけれども、この脂肪 酸の部分につきましては、実際にパルミチン酸とステアリン酸につきましては、実際の 製造工程において、若干の脂肪酸組成が異なってくるという可能性があるということか ら、今回カルシウムの含量で規定がなされております。 ○中澤委員  先ほど成田先生からヒ素のところのお話がありましたが、ステアリン酸カルシウムに 限らず添加物全般にある程度共通することとして、このヒ素の純度試験というのは必ず しも必要のないケースというのも、多々あるのではないかと思います。 というのは、日本薬局方の新しい採用医薬品については、製造工程や途中でヒ素が混入 してくる恐れがない場合には、このヒ素試験というのはかなり外していく傾向にあるの ではないかと思います。最近の動向がもしそうであるならば、このステアリン酸カルシ ウムの場合にもヒ素試験というのは、設定する必要があるのでしょうか。 ○長尾部会長  どうでしょうか。どなたか。事務局からお願いします。 ○事務局  科学的に混入の恐れがないということであるならば、その規格については整理をして いくということは可能なのではないかと思います。専門家の先生方と御相談してまいり たいと思います。 ○長尾部会長  先ほどの山添先生の御質問で、よろしいですか。カルシウムの含量だけで規定すると ころは含量だけだというところです。 ○山添先生 ステアリン酸とパルミチン酸の部分だけについてしか、成分として脂肪酸 としてなければ、それでいいのではないかと思いますけども。要するに、心配しました のはステアリン酸とパルミチン酸の脂肪酸の2つであれば問題はない。ただ、その中で 天然物に由来してくれば不飽和脂肪酸が混じってくるとか、そういうことがあって、ほ かの脂肪酸がくれば実際には使いにくい粘土とかそういうものの調整とか、膠着を防止 するという意味の機能力としては落ちてくるから、実質的に使えないから恐らく決めな くていいのかなというふうには思いましたけれども。 ○長尾部会長  何か、この残留物の融点が54℃以上であるというところだけですけど。  ほかには、ありますでしょうか。  それでは、はい。 ○基準審査課長  17ページの資料3の、2の分子式及び分子量のところを見ると、CH2の2の記載を 訂正します。また、ここにステアリン酸とパルミチン酸の分子式が書かれており、なぜ こうなっているのか普通の人にはわかりませんから、ここに添加物たるステアリン酸カ ルシウムは、ステアリン酸とパルミチン酸の混合物であることを記載させていただけれ ばと考えています。 ○長尾部会長  はい。  それでは、ヒ素の問題がございますので、その点を専門の先生と事務局とで修正して いただきまして、私が確認した上で、分科会へ報告するという手続を取りたいと思いま す。  では、ステアリン酸カルシウムの新規指定については、以上のような修正の検討を行い ました上で、可とするということで分科会へ報告する手続を取りたいと思います。  今後のスケジュールをどのようになりますか。事務局から説明願います。 ○事務局  御説明いたします。  今回の審議結果に基づきまして、食品輸入円滑化推進会議における説明、これの後パ ブリックコメット、WTO通報等の所定の手続を開始したいというふうに思っておりま す。 ○長尾部会長  それでは、次に報告事項ですが、6月18日厚生労働省から公表されました「アカネ色 素」の取り扱いについて、事務局より報告をお願いします。 ○事務局  御説明いたします。  23ページ、報告資料1を御覧になっていただけますでしょうか。先週の6月18日でご ざいますけれども、食品添加物「アカネ色素」につきまして、食品安全委員会に対し食 品健康影響評価依頼を行っております。  まず、アカネ色素というものがどういうものかでございますが、1ページめくってい ただきまして、24ページでございます。  こちらアカネ色素でございますが、アカネ科という植物の科がございますが、その中 のセイヨウアカネの根の部分から得られる色素でございまして、主要成分といたしまし ては、アリザリン及びルベルトリン酸を主成分としており、黄色から赤紫を呈する、い わゆる天然添加物でございます。現在、既存添加物名簿に収載されているものでござい ます。  23ページを御覧になっていただけますでしょうか。このようなアカネ色素でございま すけれども、6月28日国衛研の方から、ラットを用いました発がん性試験等におきまし て、現時点ですべての試験結果が得られているわけではございませんが、腎臓に対して 発がん性が認められたとの中間報告をいただきました。  これを受けまして、これまでの遺伝毒性の試験結果等の科学的な毒性試験のデータと 併せまして、6月18日付けで厚生労働大臣より食品安全委員会委員長に対して、アカネ 色素に係る食品健康影響評価を依頼したところでございます。今後、食品安全委員会に よる食品健康影響評価の結果、人の健康を損なう恐れがあるという評価がなされた場合 においては、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いた上で、既存添加物名簿からアカネを 消除して、アカネ色素を消除して、その使用等を禁止することになります。 現時点に おきまして、食品安全委員会のリスク評価の結果は、示されておりませんけれども、こ れまでの動物試験結果等をかんがみまして、厚生労働省におきましては、この食品安全 委員会及び薬事・食品衛生審議会の検討が終了するまでの間、一時的ではございますけ れども、アカネ色素の製造、販売、摂取等の各段階についての注意事項をまとめて通知 したところでございます。事業者に対しては、その製造等の自粛をお願いしておりま す。一般消費者に対しては、アカネ色素を使用した食品の摂取を控えてくださいという ようなメッセージを発しております。  これらの注意事項につきましては、厚生労働省のホームページにおいてQ&Aも含め まして、情報提供を広くしているところでございます。  24ページを御覧になっていただけますでしょうか。  アカネ色素の流通実態でございますけれども、生産量につきましては平成14年度に約 5トン、平成15年度におきましては約3トンと報告がございます。  また、しかしながら、その実際にアカネ色素を使用した食品の国内の生産量について は、現時点で数字を把握しておりません。  一方、アカネ色素を使用しました食品の輸入でございますけれども、平成14年に約40 トン、平成15年においては約23トン輸入されております。主に、お菓子、キャンディー に使用されたというものでございます。  国際的な状況でございますけれども、韓国においては使用が認められているポジティ ブリストに掲載されております。しかしながら、米国、EUにおいては、そのようなリ ストには掲載されておりませんで、使用は認められていない状況でございます。その他 の国の情報は、把握しておりません。実際にどのような食品に使用されているかという ことでございますが、ハム・ソーセージ等の畜産加工品等、ここに掲載させていただい ておりますが、これは、私どもの方での調査報告書に基づいて、掲載しているところで ございますが、現時点において事務局で流通を確認しておりますのが、ハム・ソーセー ジ、もしくはお菓子でございます。  25ページでございますけれども、アカネ色素に関するQ&Aでございます。これによ り、アカネ色素について御説明し、広く情報提供を行っているところでございます。  報告資料2でございます。27ページでございますけれども、アカネ色素の慢性毒性、 発がん性併合性試験ということで、こちらは国衛研の病理部の方で試験が実施されてい るものでございます。  1ページをめくっていただきますと。過去に、90日の反復投与試験、遺伝毒性試験等 のデータが既に存在しており、平成8年の厚生科学研究において、アカネ色素につきま しては、得られている科学的データに基づくと、安全性に大きな問題はないとの評価が なされております。  しかしながら、この28ページの下方でございますけれども、平成10年のドイツの報告 でございますけれども、ラットを用いた発がん性試験が実施されております。その結 果、有意差はないものの肝臓と腎臓に腫瘍の増加が認められたという報告がございま す。ただし、この試験は、動物数が少ないなど不十分な点も多いことから、国衛研病理 部においては安全性の再評価の一環としてこの試験が実施されたものです。  用量でございますけれども、29ページの上方でございますが、コントロール群の0 %、2.5 %、5%の用量で試験がなされております。  試験結果等については、結果のところだけ御説明いたしますと、36ページでございま すが、「発がん性試験」の病理組織学的検査の結果、アカネ色素投与により雌雄とも近 位尿細胞管上皮の核の大小不同、異型尿細管が全例に発生し、腺腫・腺がんの発生頻度 は用量依存的に、かつ有意に増加し、アカネ色素は腎臓に対し明らかに発がん性を有す ることが示されたという記載がございます。  また、発がんメカニズムとしては、細胞障害性に加えて、遺伝毒性メカニズムで発生 した可能性を示唆しているとまとめられているところでございます。  このような中間報告のレポートに基づきまして、先週の18日に食品安全委員会へ食品 健康影響評価を依頼したというものでございます。  以上でございます。 ○長尾部会長  どうもありがとうございました。ただいまの報告について、御意見等ございますでし ょうか。  これを読みました私の受けた印象なんですが、最初は余り問題の化合物ではないと考 えられた。結局、ここの最後に構造式が書いてありますように、Lucidin-3 ですが、こ の化合物に関しては、変異原性や何かも非常にはっきりしているんですけれども、この 含量が恐らく消費によっていろいろ変わって、いろんな結果が出たんではないかという 印象を受けたんですが、このLucidin-3 というものの含量は、大体どのぐらいかとか、 そういう情報ってありますか。 ○事務局  29ページでございますけれども、本件、この試験で用いました資料の中の配合割合の 記載がございまして、分析の結果色素の主成分はRuberythric acid、 Lucidin-3-O-primeveroside 及びAlizarinであったということで、それぞれ34.3、 53.0、12.7%の割合で存在したという記載がございます。 ○長尾部会長  これで、この真ん中のLucidin-3-O-primeveroside というのが、これはグルコサイド なんですが、よくわかりませんけれども、どうなんでしょう、後ろに書いてあるフリー の形ですと、確かに遺伝毒性は出るんでしょうか。  毒性物質との関係が、これだとよくわからないですね。 ○基準審査課長  確かに、この報告書においても、何が原因なのかというところは明確ではない。1つ の可能性としてLucidin というのを挙げられているところだろうと考えるわけでござい ます。  また、行政的に申し上げますと、現在このアカネ色素という添加物をつくっておりま すのは、一社でございまして、その会社のものを試験しておりますから、そういう意味 で申し上げますと行政的な問題としては、先生の御指摘の点というのは解決されている と考えますが、サイエンティフィックにはまだまだ詰めていかなければいけない点が多 々あるんだろうと思っています。 ○山添委員  多分、さっきの糖のところは恐らくグルクロのキシロスの2単類だと思います。だか ら、Oのエーテル結合は切れる可能性はありますね。糖のエーテル結合が切れて、フリ ーの今の混合物質が出る可能性はあると思います。 ○長尾部会長  ほかに何か御意見ございますでしょうか。  よろしいですか。それでは、特に御意見はないということで、適切に手続を進めてい ただきたいと思います。  それでは、次に平成15年度に実施されました、既存添加物の安全性の見直しに関する 調査研究報告書について御説明お願いします。 ○事務局  御説明いたします。55ページの報告資料3でございます。こちらにつきましては、平 成15年度に、下にお名前が出ておりますが、国衛研のセンター長の井上先生を中心に、 国衛研の先生方を中心に、長尾先生、東京農工大の三森先生にもお加わりいただき、そ の安全性の見直しの調査を行ったものでございます。  1枚めくっていただきまして、57ページでございます。「研究要旨」でございますけ れども、平成8年度の厚生科学研究報告書におきまして、国際的な評価結果、欧米での 許認可状況、安全性の試験成績の結果等から、既存添加物の基本的な安全性について検 討した結果、既存添加物名簿に収載される489 品目のうち、139 品目については今後安 全性試験の実施も含め、その安全性について検討することが必要であると報告されてお ります。  今回は、この139 品目のうち、平成11年度に、これは当時のセンター長の黒川先生が おまとめいただきました既存添加物の安全性評価に関する調査研究において報告がなさ れた14品目を除く125 品目を対象に、新たに安全性の試験成績の収集ができた品目につ いて検討を行ったものでございます。  本報告書につきましては、アウレオバシジウム培養液、5’−アデニル酸、アルカネ ット色素、カキ色素、ガストリックムチン、クーロー色素、コメヌカ油抽出物、サバク ヨモギシードガム、シソ抽出物、5’−シチジル酸等の17品問題につきまして、検討の 結果をまとめて収載したものでございます。  検討をいただきました、17品目につきましては、現時点で直ちにヒトへの健康影響を 示唆するような試験結果は認められず、新たな安全性試験を早急に実施する必要はない ものと考えられたというふうなおまとめをいただいたところでございます。  次の60ページから、個別の品目の記載をさせていただいております。添加物名、基 原、製法、本質、主な用途、安全性試験成績の概要ということで、反復投与試験と遺伝 毒性試験というような記載でまとめさせていただきました。  そのような17品目についての安全性の報告があったわけですが、77ページでございま すけれども、報告資料4でございますけれども、既存添加物の安全性見直しの状況とい うことで、さきの139 品目も含む全体の489 品目がどうなっているかということでまと めさせていただきました。  安全性評価済みの品目ということで記載させていただいておりますが、平成8年度の 厚生科学研究、平成11年度の既存添加物の見直しに関する調査研究、今回の平成15年度 の調査研究、国際的な評価が既に終了しているものとして、JECFA、FDA等の評 価が終了したというもの、それぞれ品目数をここに掲載しておりまして、これを合わせ ると、現在安全性評価済みの品目は228 品目ということになります。  ちなみに、この※1でございますけれども、この8年度の調査研究においては、41品 目について安全性について特段の問題がないというような評価をしておりますけれど も、今回のアカネ色素、もう一つ個別の添加物につきまして、安全性情報が新たに得ら たので、アカネ色素については食品安全委員会に評価を依頼しております。※1が2つ ございまして、下方の※1は※2でございます。訂正いたします。もう一方の既存添加 物については、国衛研の専門家から成る検討会において後日検討する予定でございま す。  現時点で安全性情報を収集している品目は、62品目でございます。  平成8年度の厚生科学研究において、基原、製法、本質等から見て安全と考えられ、 早急に検討を行う必要はない品目ということで137 品目。  流通実態の確認できない品目でございますが、消除予定添加物名簿、現在既存添加物 の消除の手続を行っているところでございますが、現在手続中でございますけれども、 既存添加物の中の38品目について、現在手続が進んでおります。  また、流通実態の再調査を要する品目ということでございますが、前回の消除予定添 加物名簿の公示に当たりまして調査を行いました際に先ほど提供があった品目のうち、 実際に事務局の方で再度確認をしたところ、添加物ではなかった、誤認等であったとい うことが確認されたもので、今後再度流通実際の確認を行っていく必要があるという品 目で、23品目でございます。  最後に、食品安全委員会に評価依頼した品目ということで、今回のアカネ色素でござ います。  以上でございます。 ○長尾部会長  以上で既存添加物の御説明をいただいたわけですが、何か御質問、御意見等ございま すでしょうか。489 品目あってどうなるのかと思うようですが、このように現状を拝見 しますと、かなり支柱に収まってきつつあるという印象を受けます。 ○鈴木委員  安全性とは関係ないかもしれませんが、これらの色素というのは、天然からの抽出物 ということで、天然の植物等というのは、いわゆるどこの地域で栽培されているものな んですか。例えば、シソの抽出物といったものを、これだけのものを抽出するのに、例 えば、我が国だけで栽培されたもので間に合うのかいったようなことを含めて、その地 域によるこれらの成分の違いみたいなものというのも想定したときに、どういうことが 安全性として確認されるんですかということも含めて、こんなにたくさんいろんなもの から、こういう添加物がされていると改めて、なぜこんなことをしなければいけないん だろうということも含めまして、単純な質問なんですが。 ○基準審査課長  お答えるのが非常に難しい御質問をいただいたと思っています。まず、国内の現状か ら申し上げますと、いわゆる天然添加物をこれほど使っている国というのは珍しいんだ ろうと考えております。  その背景には、恐らく昭和50年、あるいは40年代にありました天然志向と申します か、あるいは私どもの行政的にも、いわゆる化学合成品は厳しい規制でしたけれども、 天然物については規制をしなかったということがあるんだろうと考えてございます。  一方では、そのような現状の中で、いろんなところから原料が来ておる。例えば、シ ソについても先生おっしゃるとおりだろうと思いますし、コチニールというカンパリソ ーダの赤というのは、サボテンに付く虫を干したものでございますから、メキシコ、ペ ルーとか、そういったところでつくられておると聞いています。  また、コストの問題と品質の問題とあると思いますので、そういう意味から申し上げ ますと、いろんなところから来ておる現状にあるんだろうと思います。  この試験をやっていく際に、先ほど部会長からも御指摘があって、今回のアカネ色素 についてはどういう成分分析をしているんだということがあったわけでございますけれ ども、一応の成分分析をして、複数の製品が出回っているときには、その差が余り大き な差でないということを確かめた上でこういった毒性試験をやっているわけでございま すけれども、将来的にそこから外れていくのがあるのかどうかというのがありまして、 ステアリン酸カルシウムのときも議論していただきましたけれども、いわゆる規格をつ くっていく、それで一定の品質にとどめていくというような作業を、この天然添加物に ついてもやっていただいております。  現在、第7版の公定書の段階で約60数品目規格が定められておりまして、第8版 が、今、作業中でございますけれども、ここでも少なくとも50品目程度は拡大してい って、そういう意味で品質を担保していくというような作業をしていかなければいけな いわけですが、その公定書の方もなかなか苦労しておるというのが事実です。 ○長尾部会長  ほかに御意見ありますでしょうか。では、一通り御意見いただいたようですので、今 後の施策に反映していただければいいと思います。  そのほかに議題は、事務局で何かありますでしょうか。 ○事務局  議題はございませんが、報告事項でございますけれども、次回の添加物部会でござい ますが、8月26日の10時からを予定しているところでございます。開催場所につきまし ては、決まり次第御案内をさせていただきます。  以上でございます。 ○長尾部会長  それでは、本日の審議をこれで終了いたします。どうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課添加物係 蛭田、加藤、坂西(内線2453, 2444) TEL: 03-5253-1111(代表)