04/06/23 第8回社会保障審議会医療保険部会議事録            社会保険審議会医療保険部会(第8回)                    議事録              日時:平成16年6月23日(水)              場所:厚生労働省専用第17会議室 星野部会長  定刻になりました。これより第8回医療保険部会を開催いたします。委員の皆様に は、本日はご多忙の折お集まりいただき、御礼申し上げます。  開会の前に、委員の異動がございましたのでご紹介させていただきます。井堂委員が 退任され、対馬委員(健康保険組合連合会専務理事)、箱崎委員(日本歯科医師会副会 長)が新たに就任されています。  次に、本日の委員の出欠状況についてご報告いたします。本日は、井伊委員、磯部委 員、清家委員、西村委員、山本委員よりご欠席の連絡をいただいております。また、薄 井委員は若干遅れているようでございます。  なお、対馬委員、箱崎委員から発言の申し出がありますのでお願いします。対馬委 員、どうぞ。 対馬委員  過日、中医協診療報酬をめぐりまして、下村元健保連副会長が逮捕、起訴された事件 につきまして、委員の皆様を初め国民の皆様にも大変ご迷惑をおかけし、また御不信を 招いたことに対しまして深くおわびを申し上げます。  なお健保連としましても、二度とこういったことのないよう調査委員会を設置いたし まして議事録の精査などを行うとともに、厳格かつ透明性ある運営ということで、意思 決定プロセスの明確化でありますとかコンプライアンスの徹底ということについて論議 を深め、また取りまとめを急いでいるところでございます。  信頼回復に向けまして組織の総力をあげて取り組んでおりますので、今後ともご指導 ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。どうも大変申しわけありませんでし た。 星野部会長  箱崎委員、どうぞ。 箱崎委員  このたび前任の井堂にかわりまして本医療保険部会の委員を拝命することになりまし た、日本歯科医師会の箱崎でございます。  今般、私どもの前役員が診療報酬の改定をめぐる贈収賄事件を引き起こし、国民の皆 様に対し歯科医療への信頼を大きく失墜させましたこと、また関係する多くの団体、組 織の皆様方に多大なご迷惑をかけましたことを深くおわび申し上げる次第でございま す。  今回の事件につきましては、中医協を舞台にした診療報酬算定要件の緩和にかかわる 贈収賄となっておりますが、決してあってはならない反社会的な違法行為であり、国民 を初め関係の皆様の信頼を裏切る結果を招きましたことは、まことに残念でございま す。  私ども日本歯科医師会は今回の事件を受けて、前役員全員の辞任に伴う新役員の選挙 を5月の21日に行いました結果、不肖私が副会長職を務めさせていただくということに なりました。その後、新執行部による初めての理事会を6月10日に開催したところであ ります。現在、日本歯科医師会の再生を期して、改革刷新に向けた検討を鋭意行ってお りますが、その中で今回の事件を起こすことになった背景や原因は何なのかを調査、検 証し、二度と再びこのような不祥事を繰り返すことがないように役員一同が猛省の上に 立って執行し、歯科医療に対する国民の信頼回復に向けて全力を尽してまいる覚悟でご ざいます。また、日本歯科医師会が推薦している国の審議会等の委員につきましても、 全員改めてその職責を十分に自覚、認識するよう周知徹底を期してまいる所存でござい ます。  このたびは皆様方に大変なご迷惑をおかけし、まことに申しわけございませんでし た。重ねて深くおわび申し上げる次第でございます。今後とも、どうぞよろしくお願い いたします。 星野部会長  続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りします。浅野委員(全 国知事会社会文教調査委員会委員長・宮城県知事)の代わりの厚地参考人(全国知事会 調査第一部長)、上野委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療改革部会長)の代 わりの遠藤参考人(日本経済団体連合会国民生活本部副部長)のご出席につきましてご 承認いただければと思いますが、いかがでしょうか。 各委員  異議なし。 星野部会長  ありがとうございます。  それでは本題に移りたいと存じます。今回は前回に引き続き、高齢者医療制度につい て議論をしたいと思います。事務局より説明を聴取し、議論をいたします。それでは事 務局から説明願います。 間杉課長  事務局、総務課長でございます。よろしくお願いいたします。座って失礼をいたしま す。資料は3つございますが、まず資料1ということで、当面のこの部会の運営につい て前回、進め方についても、縷々、色々なご議論がございましたので、部会長とも相談 をさせていただきまして、当面の部会審議というふうなことでペーパーをつくらせてい ただきました。  これまでの開催経緯はご覧いただくとおりでございまして、初めに基本方針のご説明 に始まって、フリートーキング2回。それから高齢者の医療論を第3回。4回、5回と 保険者再編成。それから6回、7回と、高齢者医療制度についてご議論いただいている ところでございます。今回、第8回は3回目の高齢者医療制度ということで、これまで 若干の御議論がございましたけれども、残された論点ということで、保険者、それから 財政方式、それから私どものほうで、心身の状況にふさわしいサービスの在り方という ことで、いくつかの事例なども集めてございますので、改めてご議論いただきたいと思 っております。  それから来月中に第9回ということで、これまで1巡目というふうな位置づけでやら せていただいてきてございますけれども、これまでの審議の整理というふうなことで、 中間的な論点整理メモのようなものをつくらせていただいたらどうかというふうに思っ ております。もちろん、ここには前回もご議論がございましたけれども、異論のあると いうふうなことは十分に注意をさせていただきたい。色々な考え方があるというふうな ことは、そのとおりまとめていきたいというふうに思っております。  それから、秋口からというふうなことになりますけれども、2巡目の議論を開始させ ていただければと思っております。次回の論点整理メモでの色々な論点、あるいはご指 示に沿った形で私どもも作業を進め、前回も申し上げましたけれども、大臣も、遅くと も平成18年には改革法案を出すというふうなことを再三申しております。そういったこ とから私どもも、秋口からもっと深めた議論ができるような、そういった準備作業をさ せていただきたいと思っていますので、何卒よろしくお願い申し上げます。  それから資料2でございます。これは今申し上げました保険者財政方式等についての 当面の検討の方向性ということでございますが、これも前回の論点案と同じく、性格 は、これはあくまでも私ども事務当局、政策当局として閣議決定の肉づけをしてみたい というふうなことでお示しをさせていただくものでございますので、十分なご論議をお 願いしたいと、そういうふうな性格のものでございます。  ご説明をいたしますと、後期高齢者医療制度の保険者でございます。一番上の○にご ざいますように、後期高齢者については、これまでご覧いただきましたように生理的な 能力とか生活機能の低下に起因する医療とか受療行動の特性がみられます。というふう なことで、そういった特性をもつ高齢者にふさわしい医療というのは何かというふうな ことで、医療サービスと介護サービスとの適切な役割分担と連携を図る、あるいは地域 を基盤として生活している高齢者に対してさまざまな働きかけができる、そういったこ とを考えますと、私どもといたしましては、後期高齢者医療制度の保険者については地 域で担うことが適当ではないかということふうなことでございます。  それから、この医療制度を担う保険者の機能、役割でございますけれども、繰り返し になりますけれども、やはりふさわしい生活環境の中での介護サービスと密接な連携と いうものが1つ、気になってくるだろうというふうなこと。そういったことで、被保険 者に対して良質、効率的な医療サービスを確保する、さらには保健事業、あるいは受療 にあたっての患者への情報提供、そういったことが大切ではないかというふうに思って おります。  それから2番目に、今申し上げましたような取り組みを通じて医療費の適正化を図 り、安定的な財政運営を果たす、そういった機能、役割。それから3点目に、これは再 編成の議論のところでも申し上げてまいりましたけれども、必ずしも今、地域の医療費 の水準と負担というふうなものが明確な形でリンクしていないということでございます けれども、やはり社会保険制度としては、地域の医療費水準に応じた水準の保険料を設 定し、給付に見合った公平な負担を求める、そういった考え方に合致したものであるこ とが必要なのではないかというふうなことでございます。  1枚おめくりいただきまして、2ページ目でございます。財政方式でございますが、 まず老人保健制度の廃止でございます。現在の老人保健制度、これは申すまでもなく各 保険者の拠出金、公費、それから患者の一部負担によって医療費を賄う制度でございま す。その制度の仕掛けといたしましていくつか特色がございまして、実施主体(市町村 でございますけれど)に対して、医療費のサービスの多寡にかかわらず、現にかかった 医療費に見合う拠出金と公費が投入される、そういうふうな仕掛けになっているという こと。それから保険者が負担する拠出金でございますけれども、これはできるだけ各保 険者でそれぞれの適正化努力が働くような仕掛けにしたいというふうなことで、その算 定にあたりましては各保険者ごとの老人医療費、今は保険者の目の前にいるその老人の 医療費を算定の基準にしてまいりました。ここもご説明申し上げたとおりでございま す。それから公費につきましても、国、それから都道府県、市町村が4:1:1という ことで定率の負担を行ってきてございます。  ただ一方で、このような現行制度につきましてはいくつかご指摘もございまして、老 人医療費が世代間で、あるいは保険者間でどのように負担しているのか、されているの かがわかりにくい。それから、実施主体と財政の主体が分かれております。分かれてお りますことから、保険料徴収も行わない、それから財政責任がないというふうな実施主 体ということになってしまっているわけでございまして、医療費の適正化の動機づけが なかなか働きにくいのではないかというふうなご指摘もございます。  それから、老人医療費の適正化のために若年期からの予防というふうに、一貫した取 り組みというものが重要でございます。しかしながら、現在の老人の医療費の水準のみ を算定の基準にしておりますために、かえって全体的な若いころからの適正化の努力と いうふうなものは反映しにくいというふうなことが言われております。  それから老人医療費の水準に大きな地域差があることも、これまでご覧いただいたと おりでございますけれども、にもかかわらず実施主体に対して拠出金公費が一律投入さ れると、そういった問題点が指摘されているのではないかということであります。  私ども、新しい高齢者医療制度の設計に当たりましては、基本的な理念、考え方とい たしまして、やはり後期高齢者の医療費の負担というものについて、だれがどういう考 え方によりどれだけの負担をしているか、それが明らかになる。それで、縷々ご議論が ございましたけれども、負担についての理解、あるいは納得がしやすい仕掛けにできな いだろうかというようなこと。それから、後期高齢者医療制度の保険者が保険料の徴収 といった財政責任を果たす中で、介護サービスとの適切な連携を図ることなどを通じて 自ら積極的に医療費の適正化に取り組めるようにするというふうなこと。ここで、介護 サービスとの適切な連携を図ること「など」と書いてございますけれども、私どもとい たしましては、後期高齢者の医療制度の保険者が、ある程度現役の健康づくりにコミッ トをするというふうなことがあってもいいのではないかというふうなことを、今、中で は議論しているところでございます。  それから3点目に、その支援金を負担する、若年と言いますか医療保険の保険者につ きましても、これは後期の今申しましたような医療制度の保険者と連携をしながら、現 役世代からの健康づくりを通じた後期高齢期に至るまでの医療費の適正化に努める、そ ういう動機づけが与えられるような仕掛けにできないか、というふうなことでございま す。  それから、後期高齢者医療制度の財政方式でございます。新たな高齢者医療制度、こ れは後期高齢者について独立した保険制度を設けます。それで高齢者本人の保険料と、 それから現役世代からの支援、これは明確に区分するということでございます。したが いまして、高齢者の医療費が世代間でどのように負担されているか、これは明確になる わけでございますが、同時に高齢者と現役世代の間の負担割合、高齢者本人の保険料と 現役世代からの支援金の割合、そういったものを明示的に決めていくことが必要となる だろう、というふうなことでございます。  この割合についてでございますが、2点書いてございます。保険料でございますの で、高齢者あるいは現役世代の双方とも、負担能力が向上すれば少なくともそれぞれに 見合う負担というふうなものが基本であるかと思います。また、2)にございますよう に、負担能力を上回って高齢者医療費が伸びた場合にその部分をどういうふうにシェア をしていくのか、というふうな問題もあるのだということでございます。  それから被用者保険、国保による支援金の在り方でございますけれども、後期高齢者 の医療制度に対する支援金の負担ということにつきましては、医療保険保険者の間で負 担を配分することになります。その際には、ということでございますけれども、まず第 1点に、被用者保険と国保の間ではなかなか共通の所得捕捉が困難だというふうな現状 を踏まえれば、加入者割というふうにせざるを得ないのではないか、という点が1点で ございます。  それから、総論部分でも書きましたけれども、被用者保険とか国保が、現役世代が保 健事業など将来における高齢者医療費の適正化努力を行っている場合には、そうした努 力、あるいは成果、そういったものを支援金の負担配分の算定にあたって評価する、そ ういう仕掛けが考えられないかというふうなことでございます。  3点目に、後期高齢者医療保険の運営に関する関与というふうなことが言われてきて おりまして、そういう意味で若年世代の医療保険保険者が高齢者の制度の運営について 意見を申し述べると、そういった運営に関与する場が必要なのではないか、というふう なことでございます。  それから、後期高齢者の公費でございます。後期高齢者につきましては、さまざまな 特性から、医療費が一般的には高い。それから保険制度として見た場合に、定型的にリ スクが高い、そういうふうな集団であるということを踏まえまして、後期高齢者自らの 保険料を後期高齢者医療制度にあてると、先取りするというふうなことを前提とした上 で、後期高齢者に公費重点化というふうな前回改正の考え方を維持することが必要では ないか、というふうなことでございます。  この場合に、現行の老人保健制度におきましては、先ほど申しましたように実施主体 に対して公費が一律に投入されてございますけれども、仮に新たな高齢者医療制度を地 域保険として設けるということとする場合には、これは現在の国保もそうでございます けれども、保険者間に財政力の格差がございます。それから医療費水準の格差、これも 厳密に見ていきますと、被保険者構成の違いによる部分と、それからそれ以外の部分と いうふうなものがある。それから、先ほど来お話し申し上げてまいりましたように、保 険者による医療費適正化の努力、あるいは成果、そういった違い、そういったものに着 目した調整というふうなものを行うべきではないか、行ってはどうか。それから、こう いった考え方は、後期高齢者医療制度の保険者に対する支援金につきましてもパラレル な考え方というふうなものが必要なのではないか、ということでございます。  続きまして、前期高齢者の医療費の調整というふうなことで、右脇2つの○で、これ まで老健年齢に達しない高齢退職者については、被用者OBについて被用者保険が支える というふうなことで、退職者医療制度において負担を行ってまいったわけでございます けれども、しかし最近、雇用の流動化というふうなものが進んできて、20年で被用者OB というふうな考え方を今後も維持することはどうかというふうなことも、前回申し上げ たとおりでございます。  したがって、下から2つ目の○の下3行目でございますけれども、その前期高齢者の 年齢層で被保険者がいずれの保険制度に加入、あるいは移行しようとも、公平な負担の 元に医療が保障されるよう調整を行う制度に移行してはどうかというふうなことでござ います。  それから前期高齢者につきましては、これはむしろ生活習慣病に代表されますよう に、やはり若いうちからの一貫した健康づくり、あるいは予防というふうな取り組みを 進める。  それから6ページでございますけれども、経済的にみても現役世代と遜色のない負担 能力を有する集団であるというふうなことで、現役世代とここは一連の被保険者という ふうなことで、従来どおりの保険集団、国保、被用者保険の加入関係を残したままで、 制度間の前期高齢者の偏在による医療費の均衡を調整してはどうかというふうなことで ございます。  その下の○に書いてございますけれども、調整金の負担・交付でございますけれど も、被用者保険と国保の間は75歳未満の加入者数の割合に応じて負担することが適切で はないか。ここはまたあとで、参考資料でご説明を申し上げます。それから、若年制度 の適正化努力が評価される仕掛けが考えられないか。これもさっきの点とパラレルな問 題でございます。  それから、前期高齢者に対する公費負担の在り方というふうなことでございますけれ ども、実はここは昨年3月に閣議決定をつくりましたときに、与党との間では政府与党 間で引き続き協議・検討すべき事項であるというふうなこと、そういうふうな位置づけ になってございます。現行制度は、前期高齢者を含めまして国保5割、政管13%という ふうな率で国庫負担が入っているわけでございますけれども、その公費負担の在り方を どう考えるかという点につきましても、合わせてご議論を賜れればと思う次第でござい ます。  7ページからが、介護保険、医療提供、保健事業との関係というふうなことで、これ は前回もお示しをさせていただきましたものに少し加筆をさせていただいている、そう いった性格のものでございます。上2つが介護保険というふうなことで、前回、社会的 入院等々についてもご議論をいただきましたけれども、やはり介護との役割分担を明確 にしたうえで連携を評価すべきではないかというふうなことで、その2つ目の○にござ いますように、すでに要介護認定を受けている後期高齢者が心身の状態に応じた必要な 医療を受けるために、医療・介護間で一層連携がとられ、地域において生活機能を重視 した形で総合的にサービスが提供できるようにするなどの仕掛けが必要ではないかと。 「また、このためには」ということで、とりわけ在宅でサービスを受ける後期高齢者に 対して、例えばでございますけれども、地域で主治医、あるいはケアマネージャーが協 働できるような仕掛け、そういったものはどうだろうかというふうなことでございま す。この辺はあとでいくつかのケースをまたご覧をいただきます。  3つ目の、一番下の○が医療提供との関係でございますけれども、介護サービスとの 役割分担というものは引き続き意識をしながら、医療提供関係、医療機関とか病床、機 能分化と連携を強化することを検討すべきではないかというふうなことで、1つは急性 期、それから2つ目に急性期後の患者についてサービスが途切れなく確保されるよう な、地域における連携関係。それから3つ目に、自宅以外の住まい。例えばグループホ ームとか老健施設とかいろいろあるかと思いますけれども、そういった場を含めたいわ ゆる在宅における適切な医療サービス、そういったことでございます。  それから健康づくり、保健事業の関係は、前回と今のところ変えてございません。1 つ目のポツにございますように、生活習慣病というふうなものを中心にして一定の成果 をあげているような事業、手法の検証、より効果的な保健事業の展開ということで、実 は私どもも今、ここのところは具体的にどういうふうなエビデンスがあるか、色々と勉 強させていただいている最中でございますし、それから何か所か申し上げましたよう に、保険者のそうした努力が高齢者医療制度の医療費の負担に反映されるような制度を つくるべきではないかというふうに思っております。  8ページの下が、保険者、医療機関、地方公共団体等の関係者の役割分担でございま すが、今後、医療費の適正化というふうなことでございますけれども、2つの柱、後期 高齢者の生活機能、言いかえれば地域における生活を重視した医療サービスあるいは介 護サービスの提供、それから若齢期からの健康づくりに関する取り組みを促進し、QOL の向上を図ることを通じて医療費の適正化を実現するという考え方を基本とすべきでは ないか、というふうなことでございます。  「そのためには」ということで、地域の医療特性。これはさまざまなものがあるわけ でございますけれども、保険者、被保険者、医療提供者、行政など広く関係者の参画を 得て、十分な把握・分析を行う。これは今、老人医療費ということで位置づけをして、 議論を始めているところでございます。後ほどご説明させていただきます。それで、下 記の点に留意した取り組み、医療費の適正化に向けた取り組みからの計画を策定する必 要があるのではないかというふうなことで、医療機関の機能分化、連携、それから介護 サービスとの連携のもとでの、高齢者の生活機能を重視した医療サービスの提供。それ から効果的な手法による保健事業と、3点あげてございます。  こういった計画の策定に当たりましては、それぞれの主体、関係者が果たすべき役 割、あるいは責任、任務、そういったものを明らかにすることが必要ではないか。それ から、そういう計画というものは、こうして考えてきてみますと、医療計画とか介護保 険事業支援計画でありますとか、あるいは健康増進計画、そういったものと密接に連携 をし、相互に整合性を確保する必要があるというふうなことで、特にこういった面で都 道府県の役割というふうなものが大変重要なものになるのではないかというふうなこと でございます。  続きまして資料3でございますが、いくつか用意をさせていただいておりますので。 2ページからご説明をさせていただきたいと思います。これは現行の医療保険制度にお ける保険者、行政の機能・役割ということで、保険者論に関連をいたしまして、今、保 険者あるいは行政というようなものは、それぞれ制度上どういうふうな機能、あるいは 役割を担っているかというふうなことでございます。  まず1番目にございますように、被保険者管理(適用)。これは何よりもまず保険者 の役割というふうなことでございまして、国保、健康保険、ご覧いただきますとおりで ございます。それから保険医療サービスの確保(給付)というふうなことでございまし て、ご覧いただきますように給付内容の決定は基本的には法律、法定でございます。た だ、条例あるいは規約、そういったものによって付加的な給付というふうなものが認め られるというふうな仕掛けになっております。  それから保険医療機関、保険医の指定。これは制度的には本来、それぞれの保険者と 医療機関との契約でございますが、非常に膨大、多岐にわたるということと、全国的な 通用性を確保すると、そういう観点から、厚生労働大臣あるいは社会保険事務局長が、 いわば公益の代表という形で第三者のためにする契約というふうな形で指定行為等の行 為を行っていると、そういったものでございます。  3ページにまいりまして、診療報酬の決定。これはいずれも、「中央社会保険医療協 議会の議論を経て厚生労働大臣が設定」というふうなことがございます。  それから財政責任でございますが、これも保険料の賦課・徴収ということで、適用と 並んで保険者の基本的な任務でございます。市町村国保は条例、それから健保、政管は 法律で両立の形に決まってございますし、健保組合は一応弾力的な措置があると、こう いうことでございます。  4ページでございますが、審査・支払。これはそれぞれ国保連あるいは支払基金に委 託をし、保険者からも再審査が認められる、そういうふうな構成になってございます。 注書きにございますように、それぞれ財政規模あるいは医療費の規模が違います保険者 が多数ございますので、保険基盤安定制度あるいは高額医療費の共同事業、そういった ものを通じて、再保険的な、あるいは低所得者対策に対する支援といったものを行って ございます。  それから4番目が、加入者に対する保健事業あるいは情報提供というふうなことで、 医療費分析を通じて医療の地域特性の把握というふうなことで、あとでご説明申し上げ ますが、老人医療で適正化指針というものが法定化されまして、事業が始まってござい ます。それから市町村国保、健保でも、レセプト情報をもとにして医療費分析というも のが実施をされてございます。  保健事業につきましても、これまで何回かご説明を申し上げてまいりましたけれど も、特に健康増進法によりますそれぞれの保険者は健康増進事業実施者という位置づけ になりましたので、こういった健康増進事業についても責務というものが義務づけられ ていると、そういったことでございます。  6ページに、ご参考までに介護保険におきます保険者、市町村の機能・役割というふ うなことでご紹介をさせていただきますが、基本的な構造は医療保険と、当然保険者と しては似ておりますけれど、2番目に給付でございますけれども、給付は法定でござい ますけれども、2ポツ目の上乗せ給付、それから4つ目のポツのいわゆる横出しの給 付、そういった市町村独自保険料財源による特別的な、あるいは上乗せ的な給付が認め られているというふうなこと。  それから2の(2)でございますが、介護保険の指定事業者にかかる指定取り消し事由 の都道府県知事への通知ができるというふうなことが、保険者の機能として認められて いる。もちろん、指定等は都道府県知事の権限でございます。それから、3の(2)の 「審査・支払」でございますけれども、国保連に委託できるというふうなことでござい ますが、不正請求の疑いがあるときは保険者が直接審査をすると、こういう仕掛けにな っているようでございます。それから、先ほど医療保険で見ていただきましたのと同様 に、個別保険者の財政安定ということで、支援の仕組が設けられるというようなことで ございます。  飛びまして9ページから、財政方式でございます。9ページは一度ご紹介をさせてい ただきましたけれども、75歳以上の後期高齢者につきまして、それぞれ独立した保険料 を取り、公費、それから支援。その支援については、加入者数に応じて国保と被用者保 険それぞれからご負担をいただいたらどうか、というふうなことでございます。  10ページをちょっとおめくりいただきたいと思いますが、現在の老人保健制度、これ はどうなっているかと申しますと、真ん中にピンクの集団がございまして、これは被用 者保険というふうにお考えいただければと思いますが、これをご覧いただきますと、被 用者保険の高齢者の保険料、それから被用者保険の若人の保険料、これは特に区分され ているわけではもちろんございませんで、今は被用者保険にそれが双方とも区別できな い形で入ってまいります。  そこから、一番右側の上に書かれていることでございます、区別できない形で入って いる。それで、右側の上から2つ目の四角でございますけれども、したがいまして、高 齢者の負担する保険料というのは高齢者の医療費にのみにあてられるわけではない、と いうふうなことで、そこは高齢者と若年者がどのような構成になっているかという、そ れぞれの各保険者の財政構造に依拠するわけでございまして、若人の保険料とは区別さ れずに扱われるというふうなことでございます。  それから現在、こうして集められましたその被用者保険の高齢者保険料、あるいは若 年の保険料、そういったものが区別なしに、上のほうの矢印で「拠出」と書いてござい ますけれども、これが老人医療費の拠出金として全国でプールをされるというふうなこ とでございます。したがいまして、若人の負担する保険料につきましても、どの部分が 若人の医療費にあてられているのか、どの部分が高齢者の支援に使われているのか、そ ういったことは非常に不分明な状況にあるわけでございます。  前回の審議会で私が、今の医療保険制度というのは高齢者本人というものは保険料負 担という形を通じて登場してこないのだというふうな趣旨のことを申し上げましたけれ ども、実はこういったことでございます。それを、そうではなくて、独立の制度を後期 高齢者についてはつくり、独立の保険料を徴収したらどうかというのが、今回の1つの 案でございます。  11ページでございますけれども、現在の老健制度。これは下のほうに「老人医療費の 財政を日本全国でみた場合」とございますが、拠出金が5割、公費が5割、こういった 形になってございます。上のほうにございますように、老人医療費が平均的な市町村 も、それから例えばでございますが老人医療費が全国平均よりも高い市町村も変わらず に、使われた医療費に対しては拠出金、公費という形で定率で負担をされているという ことでございます。今後、仮にと言いましょうか、地域において担うというふうなこと を前提として話を進めてまいりますと、当然ここには先ほど申しましたような財政力の 格差、あるいは医療費の高い・低い、そういったことがございますので、そこをこうい った定率の構造でいいかどうかというふうなこともご議論賜れればというふうに思うわ けであります。  12ページが、前期高齢者でございます。一番下にございますが、前期高齢者の給付 費。現在は給付額とございます、国保が大体8割ぐらいを占めている図がございますけ れども、国保のほうに前期高齢者が偏在をしておりますために、それと掛ける1人当た り医療費ということで、こういった給付額の格差が出てくるわけでございます。それを 今回の考え方としては、その前期高齢者の医療費全体を国保、被用者保険全体のボディ ー、全体の加入者数に応じて負担をするということにしてはどうかというふうな案でご ざいます。  1ページおめくりをいただきまして、もう少し具体的にご覧をいただきますと、左の ほうの図でございますが、これは現行というふうなことでございますが、前期高齢者そ れぞれ、国保、被用者保険、網かけをしてございます。国保の前期高齢者、ちょっと数 字を入れるのを忘れましたけれども、恐縮でございますが、1,100万人でございます。 それに対して被用者保険の前期高齢者は300万人というふうなことでございますから、 こういった分布の違いが今、前期高齢者の医療費の偏在になってあらわれているという ふうなことでございます。  もちろん、その一部は退職者医療という形で被用者保険のほうでご負担をいただいて いるというふうなことでございますが、退職者医療というふうなことをやめて、この前 期高齢者の偏在というふうなものを制度間でならす。それで、制度を通じた前期高齢者 の加入者数というふうなもの、それに対して制度としては75歳未満の加入者数というふ うなものを分母・分子といたしまして、それぞれ均等にこの人たちがいるというふうな ことで分けたらどうかというふうなことでございます。その面積というのは、とりもな おさず、75歳以下の国保の面積であり、75歳以下の被用者保険の面積になりますので、 これはとりもなおさず、国保と被用者保険が75歳未満のそれぞれの加入者数に応じて国 保の高い医療費を分担するというふうなことになるわけでございます。   14ページからは、先ほどちょっと申しました心身の状況にふさわしいサービスの在り 方というふうなことで、いくつかのケースをご説明をさせていただきます。  15ページでございますが、これまでさまざまな診療報酬の取り組みの中で、例えば急 性期ということで特定機能病院、まあDPCあるいは救命救急、あるいは一般病院の急性 期というふうな取り組みが行われてきた。それから今回の診療報酬改定の中でも、亜急 性という概念が入ってきてございますし、それから回復期、それから療養病棟とこうあ るわけでございますけれども、急性期から地域に帰る、あるいは施設に帰るというふう なこともあると思いますし、亜急性ないし回復期が入るというふうなケースもあろうか と思いますけれども、要は常にこういった地域における生活重視というふうなことで、 介護老健施設のようなものもあると思いますし、訪問看護という手段、あるいはかかり つけ医、それから自宅以外の住まい、そういった「どうやって地域に帰していくか」と いうふうな循環をつくっていくかというふうな問題認識でございます。  そのいくつかの事例を簡単にご紹介申し上げます。16ページは尾道市の例でございま すが、これは左上のほうに「高齢要介護者」とございます。これは在宅。それで急性疾 患で入院。そこで戻れれば、退院時ケアカンファレンスということで、ぐるっと矢印が 左のほうに返ってまいります。もしそこで残存生活障害というふうなことが残れば、そ こでまた転院時カンファレンスというふうなものをやって回復期のリハにつなげてい く。それで、退院時のケアカンファレンスを行って、在宅復帰。こういった取り組みが 今行われているというふうなことで。ここでご覧いただきたいのは、ケアマネAとか訪 問看護とかヘルパーというふうなものがございますが、在宅の主治医とケアマネージャ ーが常にここの場面に登場して、この流れを常に、コントロールという言い方は悪いで すが、マネージメントしていくと、そういったシステムが始められてきたということで ございます。  それから次のページ、17ページでございますが、これは熊本市でございます。熊本市 というのが、上にございますように人口65万人ということで、熊本の2次医療圏とほぼ 同範囲だというふうなことでございますが、A病院からD病院までいずれも急性期の加算 を算定している病院でございますが、それぞれご覧をいただきますと、ここの急性期の 病院に、例えば呼吸器、循環器中心とか、小児救急中心とか、それぞれの特色がござい ます。それから病気が心臓であったか脳梗塞であったかによって、当然回復期のリハを やる病院も違ってくる。そこでリハをやって、療養病棟あるいは老健施設、さらには地 域の病院とかかかりつけの診療所へというふうなことで、ここの特色というのは、ずっ と書いてございますけれども、連携クリティカルパスと申しましょうか、もうここのA、 B、C、Dに入ったときには、次はどこ、次はどこというのが順次、決まっているような、 そういうふうな流れ、仕掛けというふうなものが今、試みられている。  それから、大変に開業医の先生方との連携といいましょうか、そういったことを重視 をされているというふうなことで、逐次、色々なケースを持ち寄って、勉強会なども開 催をされているというふうなことを聞いております。  それから3点目に、このA、B、C、Dの急性期の病院では、いずれの病院もできるだ け、外来というふうなものに対しては抑制的にいきたいというふうな、そういった、自 分たちはできるだけ外来をとらないというふうな、そういった方針をお持ちだというふ うなことは聞いております。  それから3つ目の例が18ページでございますが、これは大内先生がいらっしゃいます ので、東大病院というふうなことで、また補足などいただけましたら大変ありがたいと 思いますが、医療社会福祉部というところがございまして、そこが退院支援あるいは退 院計画の、医師、MSW、それから看護師というふうな方々が中心になって、病院の検索 とか、あるいは転院、入所のコーディネート等々を行っているというふうなことでござ います。  もう1枚めくっていただきますと、もう少し中身を細分化いたしまして、入院をして 少したったところでもう要介護認定が必要かどうかというふうなことを始めている。そ れで要介護認定の申請が行ってなければ、それはぜひ申請をするというふうなことで、 こういったことがもうすでに退院前に行われているというふうなことでございます。真 ん中でございますけども、サービスニーズのアセスメントというふうなことで、この方 は家に帰ったときに介護が必要なのか、あるいは医療・看護が必要なのか、そういった ところのアセスメントをやっている、そういうふうな取り組みでございます。さまざま な取り組みが地域で、連携関係ということで起きていてということのご紹介でございま す。  取り急ぎまして最後でございますが、20ページが保険者協議会ということで、ここで も何回かご紹介をさせていただきましたけれども、先ほど申しましたように地域でさま ざまな関係者が連携をしていくというふうな中で、保険者、国保と政管、それから健保 組合が共同で取り組んだらどうかというふうな取り組みが進められてございます。  それで平成16年度から、宮崎県と新潟県の2県でモデル実施が行われているというふ うなことでございまして。宮崎県はこの5月に第1回目の立ち上がりがございました。 それから新潟県のほうも、この6月中に協議会が開催をされるというふうなことでござ います。さまざまな保健事業の職域と地域の連携の問題でございますとか、施設、人材 の相互利用でございますとか、それから地域医療の特性の分析でございますとか、そう いったことに取り組むというふうなことです。  最後でございます。老人医療費の伸びの適正化指針の取り組み状況につきまして、ご 質問がございました。これは前回の健保法の中に法律として定められました法定指針で ございまして、昨年の9月に告示をいたしたものでございます。ございますように、都 道府県、市町村が一緒になりまして、学識経験者、保険者、被保険者、医療関係者など の協力をいただきまして、推進体制を整備していくというふうなこと。それから、老人 医療費の地域特性の把握、分析。何が課題かというふうなことを分析をし、評価をして いくというふうな2点を中心として取り組んでいるところでございます。  現在の状況でございますが、もうすでにこういう推進体制を整備済みだというのが4 県、それから20県はもう予算措置ができておりまして、もう間もなく立ち上がります。 それから(3)も、ほとんどの県が既存組織のこれまでの活用でできるというふうなこと で、ほぼ全県、立ち上がっていくと思います。それから推進体制と同時に私どもが重視 しておりますのは医療費分析でございまして、これについては別途、もう全県が取り組 みを始めている。まあそんな状況でございます。以上、大変長くなりまして恐縮でござ いました。ありがとうございます。 星野部会長  どうもありがとうございました。それではご意見、ご質問等お願いいたします。どな たからでも結構でございます。どうぞ。 河内山委員  今日は後期高齢者の独立保険の保険者についてが論点となっておりますので、まずイ メージをされているであろう市町村、今日は町村会の山本会長はご欠席でありますの で、同様のお考えだろうと思いますけれども、市長会としての立場をまず申し上げたい と思います。今、国保の保険者として市町村がずっとこの国保を運営しているわけでご ざいますが、言うまでもないことですけれども、最近のリストラの問題であるとか等々 ございまして、被保険者の中身というのは制度が発足したころとは全く変わっておりま す。  しかしながらこの間、根本的な医療保険制度の改革が行われなかったわけであります ので、現状を申し上げますと、全国の国保の特別会計というのは、一般会計からの繰入 金を投入しまして何とか成り立っている。この10年間で言いますと、その繰入金の総額 は倍増しているということで、今や1兆円近くに上っていると、こういう状況でござい ます。したがって、何とかこの国保を初めとします再編・統合の話をしようということ が同時に議論をされているわけでございますが、その辺がはっきりしてきませんと、結 論的に言いますと、現状のままというか、それが根本的な改革が行われないままに市町 村がこの独立保険の保険者を担うというのは、現状で言いますと到底無理だというのが 現状だということを、まず皆様方に申し上げたいと思います。  今、介護保険制度の改革も同じくこの審議会の介護保険部会で行われておりますけれ ども、国保、それから介護保険、同時に新たな老人保健を変えた形の独立保険、これは 非常に難しい話だということを言わざるを得ないということが現状でございます。  それで、具体的に今後検討される際に、以前にも申し上げましたけれども、国保の再 編・統合、このイメージというものをやはり早く明らかにする。それからそれに対する 財政的なメリットみたいなものがはっきりわかる。加えまして、やっぱりこれも従来か ら申し上げておりますけれども、都道府県の役割というのはいったい何なのかというこ とについても、今後の論議の中では少し深めて議論をしていかなければならないと考え ております。あとは各論では色々とございますが、そういう根本的な部分でまず意見を 申し上げた次第でございます。 星野部会長  ありがとうございました。ほかにございませんか。どうぞ。 久保田委員  まず最初に提起をしていただきました今後のこの部会の進め方等につきましては、次 回に論点に対する意見の整理をするということですので、ぜひそういう形でお願いをし たいと思います。そのときに少数意見も含めて整理をした上で、その後2巡目の議論に ついてもどういう形で意見を集約していくのか、ぜひ基本的な方針を出していただき議 論させていただきたいと思います。そういう意味で次回、論点の整理となっています が、次回1回で足りるのかと感じています。  それから後期高齢者医療制度の問題ですが、連合の基本スタンスについては前回申し 上げましたので繰り返しませんが、やはり画一的な年齢で、しかもリスクの高い後期高 齢者だけで、医療保険制度は本当に持続可能なのか。財政的な面で自立した制度になり 得るのか。あるいは、いまだに保険者が決まっていない中で、本当に財政責任を果たす ことができるのか。また、若いころからの連続した予防、健康づくりが大事という観点 から、連合は突き抜け方式を主張してきているわけですが、本当にこういう方式でいけ るのか。連合が主張する突き抜け方式という案のどこが問題点なのか、議論をさせても らいたい。  こういう前提の中で議論が流れていって、また最後で戻るということがあるのかもし れませんが、どういう立場で議論に加わっていったらいいのか非常に難しく感じている ところもあります。この方向で2巡目の議論が本当にできるのかという問題意識を持っ ております。  それから2ページ目の財政方式のところでございます。全体としての医療費抑制のつ ながりから言えば、2ページあるいは3ページのさまざまなメリハリ、努力が報われる 仕組みをそれぞれビルドインしていくということは、考え方としてわかりますし、方向 性はいいと思いますけれども、もう少し具体的なイメージはどうなのか。例えばどのよ うな評価軸、仕組みでやるのかということにつきまして、具体的な案を示していただき たいと思います。  それから、3ページから5ページにあります後期高齢者の財政方式でございますが、 ここを、実は3ページの下のほうから4ページの上にかけての記述が、具体的イメージ がわきにくい。したがって、例えば各世代全体の負担能力とはいったいどういうものを 示しているのか、高齢者の負担というのも年金制度が改定をされ、今後、賃金スライド を切り離されるようになっていくと思いますが、今後一定の期間が経過する中、いった いどういうところに着目をして、何をもって公平と見るのかということが、よくわから ない面がございます。  そして、高齢者と現役世代の負担の割合を明示的に決定することが必要になるとなっ ていますが、どうするのか。負担能力を上回って高齢者医療費が伸びた場合の「どのよ うに評価し負担すべきか」となっていますけれど、イメージがわきにくいので、この記 述全体をもう少し図示するとかして、論評なり議論を深めるのに一歩踏み込んだご説明 をしていただけないかと思います。  それから、4ページの公費負担のメリハリのところですが、イメージはおそらく介護 保険の25%の部分をイメージされていると思いますが、一律ではなく、公費負担の配分 について一定の努力が報われる仕組みということですが、具体的にどういう仕組みか。 これまたもう少し具体的に、一歩踏み込んだイメージがわくような案がありましたら、 ご説明をいただければと思います。  それから前期高齢者の医療費の調整のところですが、従来、退職者医療制度は廃止を する、そして被用者の退職後は国保に加入することが前提となっていたのかなと思って いましたが、基本方針の記述なりと何か変わっているのか、変わっていないのか。従来 どおりの保険集団の加入環境を残したままというのは、突き抜け方式ということでい く、あるいは特定健保のようなものを想定して何かやるのか、基本方針から別の考え方 で何かやろうとしているのか、具体的なイメージがわきにくい表現になっておりますの で、ご説明がいただけたらと思います。  それから前期高齢者、6ページですが、公費負担の在り方についてですが、先ほどの 説明では「政府与党間で引き続き協議」というようなことを言われていますが、厚生労 働大臣が前期高齢者に一定の公費投入が必要と発言をされたと報道されていますが、や はりこれは責任を持って答えていただかなければならないと思います。空欄になってい ることに違和感があるのですが、これについても見解をお伺いをしたいと思います。厚 生労働大臣の発言は重いと思っております。  最後に、7ページ以降の高齢者の医療費の適正化の問題ですが、初めに財政ありきと いうことではないと考えていますが、しかし、今後の超高齢社会の中で、高齢者の医療 費の適正化をどう進めるのかということは、しっかり踏まえておかないと制度としては 破綻をしていくのではないか、大変大事な問題だと思っています。そういう意味では、 社会的入院の解消を介護保険制度の理由の1つにあげられていましたが、介護保険が導 入されて、その結果はどうなのか。老人医療費は減少したのか。各県ごとの老人医療費 と介護保険給付費がどういう関係になっているのか。あるいは長期入院者の中の老人の ウェイトがどう変化したのか。いくつかのチェックすべき指標について具体的にデータ をもって議論していくべきと思います。  それから介護サービスとの具体的な役割分担と連携というのは、先ほどの資料でいく つかの事例をもとに説明をされましたが、イメージについては評価をいたしますけれど も、もう少し具体的にどうするのか骨太い方針、政策を打ち出す必要があるのではない かと思います。  それから、最後の参考資料に出されていた施策、老人医療費の適正化に向けた取り組 みというのは大変重要だと思っています。説明をお伺いしていますと、非常に順調に立 ち上がっているという印象で説明をされたと思っていますが、はたして本当にそうなの だろうかという印象を持っております。まだ発足して間もないところもございますの で、軽々に結論は出せないのだろうとは思いますが、本当に各都道府県単位、あるいは 市町村との連携において、こういう分析と対応が軌道に乗りつつあるのか。地域医療計 画や介護保険事業支援計画、健康増進計画に基づく支援、施策というものが具体的に進 捗しつつあるのか、もう少し中身の問題も踏み込んで提起をしていただきたい。この評 価について「順調」なのかについて、もう少し説明をいただければと思います。以上で す。 星野部会長  はい、どうぞ。お答えください。 間杉課長  いくつかご指摘をいただきました。まず保険者関係につきまして、双方の立場からそ れぞれお話がございましたし、まさにその辺は私どもも極力、これからの議論の中でご 相談をさせていただきたいというふうに思っています。私ども、この高齢者の制度論を やってまいりまして、議論としては、むしろあるべき後期高齢者の医療論から入ってま いりました。それは最後は、もちろん保険制度でございますから、財政的な問題はどう なるかというふうなことに帰着するわけでございますけれども、しかし、さはさりなが ら、縷々お話し申し上げましたように、後期高齢者の医療費というのは本当に生活習慣 病の累積で、累積で、累積でと、こういうふうな形で来ているわけでございますから、 そういう意味で若いときからの対策、それから後期になったときの保険者、そういった ものがどういうふうな役割を担っていただくのか、そういうふうなところを合わせて、 常に表裏の関係でご議論をさせていただきたいと、そういうふうな気持ちでやってきて ございます。  それから介護保険のほうも、おそらく間もなく中間的な取りまとめに入ってくると思 いますけれども、聞くところによりますと、要介護者の8割は後期高齢者だというふう なことでございますので、そうなりますと、やはり介護保険と言いますか介護の、いわ ゆる生活支援的なサービスというのを抜きにして、そもそも医療だけの議論というのも なかなか難しかろうというふうに思っております。そういう意味で、両方向をにらめ る、そういうふうな保険者というふうなものが理想的だと、私も思っております。この 点はまたご相談させていただきたいと思います。  それと、久保田委員のほうからもいくつかご議論がございまして、具体的に見えない かというようなところはまさにご指摘のとおりでございまして。私どもも今日、その指 摘を受けるだろうなと思いながらご説明をさせていただきましたが、今まだ私どものほ うでも、ものの考え方の整理に集中をしてございまして、ぜひ秋口からの議論で、お許 しいただければ、この辺の具体的なイメージでご議論ができるような準備をさせていた だきたいというふうに思っております。  それから前期の調整で、各制度への加入環境を維持すると書いてございます。これは 基本方針と変わってございません。突き抜けとか特定健保化をイメージしているわけで はなく、退職OBは国保に加入すると。ただ、今までそこは退職者医療で持っていたもの をこういった加入者案分の全体で支えるという形に変えたらどうかと、そういうふうな ことで、基本方針から変わってございません。  それから前期の公費につきまして、確かに大臣がフォーラムで、このあたりはぜひ今 後検討させていただきたい検討課題だというふうなことをおっしゃっておられるという ことは、私どもも十分承知してございます。  またその一方で、前回の改正で後期高齢者に公費を重点化いたしましたものですか ら、19年度までは大体年齢が上がる分と率が上がっていくということで大体すんなりい くのですけれども、20年を過ぎますと、その集団がワーッとふくれ上がりますので、そ れだけでも医療費の公費がふくらむことになります。そんな点も含めて、ぜひここは率 直なご議論をお願いしたい。ここが何も書いてございませんのは意図あってのことでは なくて、そういった状況をお話し申し上げながらご議論いただこうかというふうに思っ た、そういうことでございます。  それから介護の社会的入院に関連をいたしまして、各県ごとの老人の1人当たり医療 費が介護保険の導入後どういうふうに推移しているかが出ないかというふうなことでご ざいますが、これは出ると思います。ぜひその点、作業してみたいと思います。  それから適正化指針の取り組み、本当に大丈夫かということでございますけれども、 私どもも県はこれまで医療保険というふうなものに全くかかわってきてございません。 したがって、その老人医療費の分析というふうなものも初めてでございます。ですか ら、少し私どものほうでも技術的に色々、私どもが持っている手法とか経緯とかいうふ うなものを十分に伝達しながらやっていきたいというふうに思っておりますし、もう一 回眺めて見て、少しどうかなというふうなところがありましたら、私もよく県とお話を したいというふうに思っております。 星野部会長  どうもありがとうございました。ほかに御質問、御意見等ございませんか。どうぞ、 北郷委員。 北郷委員  今日は高齢者医療ということですから、1つはおさらいみたいでまことに恐縮です が、高齢者だけで独立保険を運営しているのは、世界中でないと思います。アメリカの メディケアぐらいではないか。なぜできないのだろうか。諸外国でも、高齢者の医療費 は高いと思います。そのことの理解をどのようにされているか伺いたいというのが1つ あります。私はその理由として、日本でこのような提案がなされている理由は、高齢者 の医療費が若年者に比べ5倍も高いということが原因の1つだろうと思うのです。  保険局長は前から保健事業のことをよく言われる。私は非常にそれは重要だと思うの です。介護保険ができて、その辺の関係がちょっとあいまいになったので、5倍の真実 の実態はどうなのか。この辺のところをもうちょっと明確にして、もう少し老人の医療 費を下げる。この努力を徹底的にしなければ、若い人は負担を納得しないと思うので す。よく言われます暇だから医療機関に行くとか、生活習慣病の対策なんかが非常に不 十分だと思います。最近新聞で見ますように、色々な医療技術が進歩して、歯周病が糖 尿病を起こすともわかってきました。新しい色々な知見に基づくものを徹底的に全て動 員してやらなければいけないと思うのです。数字も明らかにして。  そのようなことをしないでいて、若い人が高齢者医療費を不当に高いと思えば、もう 絶対に負担なんかしません。私の子供も、文句を言ってます。何でそんなのを払わなけ ればいけないんだ。これは医療の世界の方々も、一生懸命やっていただく必要があると 思います。  それから若干細かい点に触れますと、この資料2の4ページに支援負担金について加 入者割という提案がなされていますが、被用者保険と国保の間に共通の所得捕捉が困難 である現状を考慮すれば、加入者割とせざるを得ない。これは介護保険と同じような考 え方です。先ほど河内山委員が言われましたが、国保の所得が把握できないという自営 業者や農林漁業者ほんの一部です。大部分は所得捕捉ができている人たちです。さら に、厚生労働省で作成している世帯ごとの3制度の所得格差を見ても、制度間で大きな 格差があるわけです。だから加入者割というものを広げるというのは、これは非常に問 題があります。実際の加入者数の変化を考えますと、これはこんな「共通の所得捕捉が 困難である現状を考慮すれば」などという言葉で片づけられる問題ではないと思いま す。そこをもう少し深く考える必要があると、思います。以上です。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、久保田委員。 久保田委員  ただいまの件は私ども労働組合としても、逆の意味で本当にどうなのか、データ等具 体的な例で明らかにすべきだと思います。逆にこれは年金制度での国民年金の一元化の 問題で、今話題になっておりますが、連合はもともと納税者番号制を入れて経費も含め た収入と所得とを含めて、透明性のある所得捕捉をしないと、サラリーマンのようにと られやすいところからとられていくのではないか。  それで、これが本当に正しいのか、イメージだけで言ってもだめだと思いますし、そ れから同時に年金問題でも議論になっておりますが、同じように働いていても正規社員 ではなくてパートやアルバイト、いわゆるフリーターのように、勤め人だけれども年金 からこぼれるというようなことがあります。税制も同じように、いわゆる会社へ入って 正社員で定年まで働くということをモデルにしたところから、どんどんこぼれていると ころがあると思います。いったいどういう層がどういう実態にあるのか、ここの部分を はっきりしてもらいたい。つけは回さないでもらいたいということで内部では議論をし ています。  ただし、これが本当はそうでもないということになるのかもしれません。ですから、 本当にとことん、年金制度、医療制度、税制を含めて、大変な超高齢化社会を乗り切っ ていくには、土台の部分について本当にしっかりとした社会保障制度を再設計すること が大前提だと思いますので、逃げずにしっかり制度をつくってもらいたいと思います。 以上です。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、大内委員。 大内委員  ただいまのご発言の中にも、多少私の専門に関係するところが出てまいりましたの で、少し意見を述べさせていただきたいと思います。特に老人の医療費削減を徹底的に 行わないと、若い人がついてこないというご発言だったというように思いますけれど も、これはまさにそのとおりだと思います。しかし、医療費の削減というのは、先ほど 久保田委員からもありましたけれども、初めに医療費削減ありきという姿勢は、いかが かと思います。医療費削減をするのであれば、賢い方法で、医療の質を下げないで上げ る方法で削減をしていかなくてはいけないということを、私は一貫して申し上げている わけです。  そのためには疾病の予防ということが重要なわけであります。これはこの間ご紹介い たしました口腔ケアで肺炎が半分に減るということはその典型的な例でありますし、ま た若いころからの健康管理が高齢になってからの疾病を減らしていくわけであります し、さらに高齢者になってからでも色々なやり方があるわけです。そういったエビデン スのあるところを新しい保険制度ではインセンティブをつけていただきたいというの が、私の主張であります。そのためのエビデンスづくりは私たち老年医学者の役目にな ります。  それではなぜ日本ではそういったエビデンスがあまりなかったかということでありま すが、これは色々な背景があると思いますけれども、やはり1つには、医学教育が臓器 別の医療に特化していって、全人的な医療ということがなおざりにされた面もあります し、それからまた、これはちょっと我田引水になるかもしれませんが、そういった高齢 者の医学とか医療を教える機関というのは、医科大学、医学部が80ありますけれども、 そのうち今23しかないのです。そこで全く高齢者の教育を受けないで卒業する医学生も いるわけで、高齢者医療の教育の問題も重要なファクターになるかと思います。  そういったエビデンスづくりはまさに先ほど北郷委員がおっしゃったとおりでありま して、私たちはぜひ今後、そういう方向に向けて努力していきたいと思います。 星野部会長  ありがとうございました。ほかにございませんか。どうぞ、岩本委員。 岩本委員  保険制度の財政に関することですけれども、財政責任をどこに持つかということです が、今のお話で1つ一般会計の繰り入れの話が出ましたが、そういう形で市町村がお金 を出すことがはたしていいのかどうかということは、やはり大きな問題であると思いま す。仮にこれで高齢者医療保険制度を設計した場合に、それを市町村が運営するとし て、やっぱりここに一般会計の繰り入れが行われるということになるのはどうかという 問題に関して、私の意見としてはあまり好ましくはないのではないかと思います。  それはここまでの話で出てくるところで、その老人医療費の水準に地域差が見られ て、それを保険者が責任を持つということですけれども、それはやっぱり保険者と言っ てもその背後にいる被保険者、その人の保険料で責任を持つということであって、市町 村のその形で一般会計で繰り入れすると、だれの責任かまたわからなくなる。それは被 保険者の負担だけではなく、そこの地域の財政収入が、さらには国のお金も混じってい るかもしれないという、そういう形になると思います。  ですが、このインセンティブの正しいつけ方としては、制度設計をする段階ではそう いう一般会計の繰り入れが起こらないという前提でまず制度設計をするというのが、最 初の出発点ではないかというふうに思っております。それで絵が描けるかどうか。それ で独立した高齢者医療保険制度いうものがきちんとした形で描けるのかどうか。やっぱ りそれを先に議論しておいて、それでいけるのかどうかということで、保険者の議論に なるのではないかという気がいたします。先に保険者の議論が来て、まだ財政のところ は煮詰まっていないという状態ですので、もう少し財政の状態を煮詰めてから、それか ら保険者のことに関してやはり議論するべきではないかというふうに思っております。  それで、もう1つの財政の責任ですが、負担をする、帳尻を合わせる主体としては、 公費負担ということで、国、地方。大きな主体は国ですから、とりあえず国のことを考 えてみますと、今の制度を前提としましても、政府の予算の中で社会保障関係費という のは、比重としてはどんどんふくらんでいくことになると予測されます。特にこの医療 費は先ほど事務局からご説明がありましたように、後期高齢者という、医療の中でも成 長していくところに重点的になっているわけですから、これは政府の予算編成をする財 務省から見ますと、制度変更してでももっと圧縮したいというふうに思っている立場と 思いますので、やはり財政のシェアを見ればどんどんふくらんでいくとなれば、かなり 風当たりが強くなるだろうということで、今度はさらに前期高齢者と公費負担を導入す るということは、実現可能性から見れば非常に低い面があります。  逆にそれを主張するのであれば、それがいかに納得のいくものになるかということの 議論をしなければいけないわけです。この審議会としては、財務省の審議会ではないわ けですから、仮にこれからどんどん増える医療費はすべて公費負担で賄うと、だから保 険料は引き上げないと決めてしまえば、それは非常に問題が片づくかも知れませんけれ ども、それは実現可能なものになるのかというふうに考えると、やはり疑問点が残りま す。そういった意味では、これから増え続ける医療費、あるいはすでに高齢者偏在が起 こっている地域での高い医療費というものをだれが責任を持つかということを先にしっ かり考えて、やはりそれは保険者、その範囲は保険料で賄うというのが、やはり原則で はないのかという気がいたします。そういった意味で、公費負担に今頼れればいいので しょうけれども、現実問題としてはなかなか頼れないだろう。最初はとりあえず知恵を 絞って、保険料で賄う絵というものをまず描いてみることが大事ではないかという気が いたします。  あと、その負担比率の話が出てきておりまして、若年者の支援とそれから高齢者の保 険料で賄うことなのですけれども、「明示的に決定することが必要となる」というふう に書かれていますが、この負担割合、本当にこのあと議論をして、もし制度ができたと して、議論して決めていくようなものになるのかというのは、若干懸念が残ります。ど うなのでしょうか。保険者で協議してこの負担割合を決めていくとか、そういう話にな るのでしょうか。これは毎年そういうことをやっていると、とても制度としてぎくしゃ くして、持続可能ではないような気がいたします。ですからこちらの割合はあとから決 まるものであって、先にその負担のルールですね、それぞれの負担能力でどれだけ負担 できるのか。それが公平な負担ルールというものが決まって、そのあとでそのときの人 口比あるいはその負担能力というものに応じて負担比率が決まっていくものではないの かという気がいたしますので、ここの書き方、負担の比率が先に来ている書き方という のはどうなのかという点が若干疑問に思いました。  それから、長くなりまして申しわけありませんけれども、その加入者割の話ですけれ ども、あるいはお2人の意見に私、賛成でありまして、やはり理想はこの負担能力に合 わせた負担というのがまずあってしかるべきでありまして、そのためにも所得捕捉を完 全にしていくという考え方をまず打ち出しておいて、それが当面だめであれば、次善の 策としてもう少し考えるということであって、やはりこれは長期の話ですから、この負 担のことに関しても、長期的にはやはり所得捕捉をしっかりして、そして負担能力に応 じた負担という形にすべきではないかというふうに思います。以上でございます。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、遠藤参考人。 遠藤参考人  1つお聞きしたい点がございますが。政府が決めました基本方針の2004の中で、社会 保障制度の総合改革といった指摘があったかと思います。また加えて、税制改革のほう では税制の抜本改革を確か平成19年度を目途に行うという指摘があったかと思います。 それと今回の高齢者医療制度に関する財政方式との関係をどのように理解したらよろし いかご説明いただければありがたい。つまり前期、後期それぞれ公費負担割合、若年、 それから高齢者自身の保険料負担の割合等と社会保障制度の総合改革の在り方等と大分 影響してくるのではないかと思われますので、ご説明をいただければと思います。  それから、以降は意見に関するものですけれども、高齢者を別立てとするという考え 方につきましては基本的に理解いたしたいと思いますが、75歳で区切ることについて、 制度がかなり複雑になるということで、国民が十分に理解できるかどうかといったこと を十分踏まえて制度設計をするということが必要ではないかと思います。年金制度や介 護保険制度との相違は、十分国民に納得できる形で制度設計をする必要があると思いま す。  それから、論点にわたる点でございますけれども、先ほどの社会保障制度の総合的改 革に関連すると思いますが、医療・介護・年金、特に今回は医療と介護についての役割 分担でありますとか連携といったことが指摘されてはいるのですけれども、それを年金 も含めて、一体的に管理するシステムづくりについても検討していく必要があるという 点も、論点に加えていただければありがたいと思います。  医療費の適正化、高齢者医療費そのものに関連する点といたしまして、高齢者自身の 自己負担の問題がこの論点案の中に抜けていると思います。定率負担の問題であります とか、あるいは食費、居住費などにつきましても、この論点の中につけ加えていく必要 があると思います。  現役世代からの支援の話が出てきておりますけれども、これも検討するときにやはり 医療費の水準、高齢者医療の医療費の水準そのものと合わせまして、現役世代が年金と か介護の保険制度の負担をしている現状等も合わせて検討していく必要がある。高齢者 御自身の資産、それから若年層の資産との格差もあるということも含めて、十分慎重に 検討していく必要があると思っております。  6ページに、調整金の負担・交付につきまして、先ほど来加入者割に応じて負担する というご指摘がありましたけれども、これにつきましては私ども、同じように、国庫負 担割合に差がある問題でありますとか、それから保険料収納率の問題でありますとか、 それから久保田委員が指摘されたような所得捕捉の格差等、十分この辺を議論した上で 適切な結論を得るべきだと思っています。以上です。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、局長。 辻局長  社会保障制度改革全体との整合性という、進め方そのものについてのご指摘がありま したので、私のほうからお答えさせていただきたいと思います。基本的には、年金の改 正、大変大きな議論になり、そしてまた成立し、さらにもちろん議論は続いているわけ でございますけれども、その議論の中で、年金、医療、介護、すべてを含めた総合的な 社会保障の在り方をどうするかと。それから、所得の把握を含めたような在り方論もお そらくその中で出てくると思いますが、これはこれから本格的に行われているというこ ととの関係だと思います。  それで私ども、もとより年金、それから介護、医療とこの順番で私どもとしては制度 改革を行っていくということで、年金が、ちょっと言葉が適切かどうかわかりません が、いわば口火を切った、すなわち年金の国庫負担2分の1という大変大きな年金改革 の大テーマが、いわば税負担の在り方にかかわるということで、それが引き金になって すべて総合的な整理を、平成19年までにやらなくてはいけないということですので、平 成17年介護、遅くとも平成l8年までに医療保険という、そのいわば土台整備をするとこ ういう位置づけの中で私ども、この作業を進めております。  そのときに、いわば総合化というときに、医療と介護の関係性というものが非常に大 きな、全体的に総合化していく上での大きな関係になると思います。それからもちろ ん、医療、特に介護と年金の関係だと思いますが、ご指摘のように居住費用をどうする かと、俗にホテルコストをどう扱うかというようなことは、年金のいわば受け持ちとの 関係の調整という意味で議論になります。そのようなことから、すべてが絡みながら進 むのですが、居住コストの関係なんかはおそらくすでにもう出てきておりますけれど も、介護保険の改革で議論がされるでありましょう。そして今度は、介護の費用と医療 の費用、そして後期高齢期の在り方はどうなのかと、そこをどういうふうに国民の生活 の質を維持、向上させながら効率化させるのか。そして国民にご負担について納得いた だくのだという議論が、さらに続こうかと思います。  こういうような議論からいきますと、この平成17年、平成18年という期間に順番にそ ういう議論が深めていかれるという流れを、私どもは想定いたしております。そういう ことから考えますと、今ご指摘のありました公費のことであるとか、あるいは一部負担 のことであるとか、居住費のことであるとか、これは相当大きな流れの中で、しかもお そらく政治的な問題も絡んで進んでいきますので、私ども、この審議会でご議論いただ くに当たっては、それは大きな流れの中で、状況に応じてその都度ご議論いただくとい うふうに考えるべきだし、その問題を今から、最初から「公費をどうする」という議論 をしておりましても、なかなか議論は進まない。むしろ私どもが今強調したいことは、 この医療、介護の関係を考える上で、医療保険制度の改革の骨格、この思想というもの をどうするのかというところをまずご議論いただく、ここが一番大事だと思っているわ けです。  その思想は、今まで色々なご指摘がありましたように、老人の医療費が高いというこ とが、いわばこの老人医療制度が随分議論されている、正直言って率直な、大きな理由 でございます。したがって、この老人の医療費が高いということを根本からどう考える のか。その点を議論して、それが国民生活の質の向上と医療費の適正化という問題にど のように組み合わさっていくのか、それをどのように皆が追求するのかという仕組みが 内在したような制度をつくっているということをちゃんと議論して、そのためにはどん な枝ぶりがいいかという議論をいただきたいというのに、一生懸命に私どもなっている つもりでございます。  そのときに、総務課長が申しましたように、この今の医療費の高い理由は、今まであ るいは病状については資料を出してまいりました。がんという問題が1つ、いわば相当 若い年齢に出てくるということもありますので、そのあたりの、生活習慣病としてのが んと早くから出てくるがんという問題がありますけれども、総じて言えば、生活習慣病 が若いときから蓄積をして高齢期を迎えて、それで高齢期に大きな、急性期の医療を必 要とするようなエピソードと言いますか事実が出て、そして介護につながっていくとい う姿でございました。これをもう一度、本当に生活習慣病というのは今は20歳、30歳か ら始まっております。若いときからどのように管理していくのかと、国民あげてやらな ければ、おそらくその高齢期にたどり着くプロセスというものがコントロールできな い。ここのところをどう制度の中で位置づけていくのか。それからもう一方において、 75歳以降は生理的能力が低下してやはり力が落ちていくという中での医療というものを どう考えるのか。これは今の介護保険がどのような議論を進めていっているのかという ことと非常に関係がございます。これとのつなぎで、高齢者医療をどう考えるのか。  今、なぜ医療費が高いのかというご指摘がありましたが、少なくとも言えますこと は、例えば各県別の医療費の格差は、おそらく後期高齢者だと思います。老人の入院在 院日数の長さとほぼ相関していると言ってよいと思います。そのような事実に着目し て、高齢者の生活の質をどのように向上させるのかということと絡めて、それをどのよ うに、本当に国民の幸せとともに医療費が効率化するような仕組みをどうもっていくの かというのを、この改革でどう取り組むのか。長々申しましたが、そのような観点から の議論がまず先行して欲しい。そして、そういう議論が先行する中で、今言った事態の 推移とともに、公費やそれから居住費用の問題や、あるいは議論も織りまぜて、そのペ ースに合わせてご議論いただきたいと思います。  そういうことから何卒、私どもとしては、このたどたどしい論点で申しわけございま せんけれども、いわば予防、保健、それから医療提供体制の在り方、いわば急性期の医 療から、医療の機能分化の在り方、そしてそのケアといわば総合化された医療の在り 方、これがくっきりした姿をあらわして、しかもそれに皆が参加していく。後期高齢者 の医療は独立した制度に見えますけれども、必ず各医療保険制度が関与するという中で 運営されなければ支持されないと思います。そのいわば総員参加のシステムをどうつく るのかと、こういうのが、抽象的ですが我々の認識でございまして、その点の議論を何 とぞ先行させて御議論いただければと存じます。ちょっと長くなりましたけれども、非 常に基本的な進め方で、一貫して出ている疑問についてお答えしているつもりでござい ます。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、河内山委員。 河内山委員  辻局長のご発言に対しまして、全く同感をすることがたくさんあるのですが、ただ1 点申し上げたいのは、現在、後期高齢者になっておられる方の、あるいはすでに生活習 慣病になりかけたり、なっておられる方がどんどんと高齢化を進めておられる。ですか らこの間の医療保険制度というのは、やはり独立保険制度として本当に成り立つのかど うかという議論もあるわけでございますが、これはなかなかすぐさま医療費の適正化が 同時進行で行われるというわけにいかないと思います。どうしてもそれはすでに病気に なっておられる方、あるいは残念ながら健康増進に対する取り組みが非常に意識が薄い まま年を重ねておられる方、どんどんとそういう方が増えているという中で言います と、非常にその医療費適正化の功を奏するのと相当にタイムラグが発生するということ は、これはもう現実に起こると思います。  したがって、現在の高齢者医療保険制度については、先ほど岩本委員がおっしゃった 公費をどこまでという話は、これはやはりかなりの確率で起こる可能性の高いものが保 険制度になじまないとするならば、本当に税の投入、いわゆる公費、財源の話ですね、 このことについてはきちんと話をしていかないと、やっぱりいい制度というか、持続可 能な、そのいつまで持続可能というのはわかりませんけれども、そういうことにならな いのではないか。そうするとやっぱり、そこのところを公費の問題、税の問題というの を議論せずにやりますと、以前にこの部会でも下村前委員がおっしゃったかと思います けれども、財源論というのはどうするのだという話が、やはり表裏一体の話として出て くるのだろうということを感じました。これは決して辻局長のお話しになった、みんな が幸せを感じながら同時に医療費が削減されると、これはみんなの願いですから、それ は全く同感ですが、当座すでに起こっていることをどうするかということについては、 少し別の議論が必要ではないかと思います。  それから、今のことに加えて言いますと、今年、年金の問題、来年、介護保険の問題 等々、大体公費と言いますか財源がどれぐらい使われるのかというような骨格がわかっ てきますと、やはり限られた税の中での話ですから、医療保険制度の改革をしようとし たときに、全くもって議論にもならないというような話ではやっぱりおもしろくないの で、それは同時進行で議論をすべきではないかということを申し上げたい。以上でござ います。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、岩村委員。 岩村委員  もう時間もないので、二、三、簡単にコメントさせていただきたいと思います。1つ は、言葉の問題と言えば言葉の問題ですが、後期高齢者の医療の制度というものについ て、これを保険というふうに位置づけているということの意味というのはどういうこと なのかというのが1つ、ちょっと気になっております。というのは、まだ具体的なイメ ージというのは特に財源についてはないのですけれども、おそらくはその後期高齢者が 被保険者という形になって、保険料を負担するというふうに言っても、今までの議論の 流れからすると、その保険料が占めるその全体の財源に対する割合というのはあまり多 くないであろうというふうに考えられます。公費の負担も入るだろうし、それから若年 者の連帯保険料なるものが、これが支援金という形で入ってくるということになるとす ると、保険だということを言いつつ、しかし実際には、被保険者自身の負担する部分と いうのは小さいものということになる。  そうすると従来、保険制度というのを考えた場合には、保険料を払っているから給付 がもらえますという形で、ある程度連携させて考えていたと思いますが、保険料以外の 部分の財源が非常に大きいというふうになったときに、そうしたある意味で非常に簡単 なイメージでの、シンプルなイメージでの保険というもののイメージというのが、どこ まで貫けるのか。公費なり、あるいは若年者から入ってくるお金なりというものの分が 大きいと、保険以外の考え方、例えば扶助とかそういった考え方が入ってこないのかど うかというのが1つ、気になるところであります。  もう1つは、若年者のところについて、その連帯保険料なる言葉を使うということの 意味をこの間つれづれ、ずっと考えてきていたのですが、今回のペーパーを見ると、ど うもいくつかの意義があるというように思います。1つは、もともと強調されているよ うに高齢者と若年者の負担の割合を明確化したいということが当然あるのだと思います が、他方で、ちょっと隠れてはいるのですが、やはり若年者層をある意味で代表するよ うな、医療保険の保険者が高齢者の保険制度に関与するという、そのモニュメントを提 供するという意味がどうもありそうであるという気がいたします。それは社会保険とい うものをどう見るかということにも関係するのですが、他方で、ただそうなると、高齢 者の保険制度だということを言ったとすると、では被保険者である高齢者の参加のモニ ュメントというのは保険料を払ってくることによって出てくるはずなのですが、そこは どうなるのだろうかというのが、もう1つ、若干気になるところだと思います。  あともう1つ、今日の論点とは若干ずれて、やや脇にそれているのですが、その前期 高齢者の医療費のところが、医療制度のところはまだいまひとつイメージがよく描けな いという気がいたします。今日のペーパーでは5ページから6ページのところでまとめ られているのですが、ただ、この今の仕組みにしたとしても、従来の老人保健制度につ いて言われていたような、例えば若年者と高齢者というか、この場合だと高齢者の負担 の割合がよくわからないとか、そういったような批判というのがやっぱり出てきてしま うのではないかと。その辺の整理はどうするのだろうかというのが1つ、とかですね。  それから、65歳から75歳までのところがワングループになって、75歳以上がもう1つ のワングループになる。そうすると、65歳までと65〜75歳、75歳以上という3つのグル ープができるのですが、その間が、年齢が加齢をしていくにつれて、スムーズに移って いったほうがいいという気がややします。  被保険者としてどこにくっつくかということとか、それから健康保険の被扶養者の在 り方との関係はどうなるのかとか、保険料の負担の仕方というものがどうなるのかとい うようなところが、何か連続性をもってまだうまく描けていない部分があるのではない かという気がしておりまして。その辺、今後さらに論点を詰めていく上でご検討いただ ければというように思っております。以上でございます。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、漆畑委員。 漆畑委員  保険者と保健事業について、ちょっと意見を申し上げたいと思います。今までのご議 論を聞かせていただいて、確かに今の市町村の国保を抱える大変な財政の状況を見る と、河内山委員の発言は極めて納得できるのですけれども、今日のお手元の資料、事務 方が説明される内容は、これは今までの議論の整理でありますけれども、これを見ると やっぱり、そういう意味でも、そうは言いながらも、介護保険との整合性とか地域に応 じた保険の運用ということを考えますと、やっぱりどうしてもイメージとしてはみん な、市町村ということを描いて多分議論をしていることになると思います。  それで、それについては先ほど岩本委員がおっしゃったとおり、保険者をどこにする かということの前に、財政方式とかサービスの在り方とかの議論をもう少し積み重ねな がら合意形成をするという方法が、私はよろしいのではないかと思いますが。その中で 1つ、ご提案と言いますか感じましたのは、いずれにしても大変リスクの大きな集団の 保険でありますから、どこが保険者になるにしても、これは相当な支援の仕組みが一緒 に議論できないと、そういうものが担保できないと、誰がやるにしても保険者としては 大変な状況になると思いますので、財政支援とかあるいは財政以外の行政上の色々な支 援もあると思いますが、そういうものも多分一緒に議論をした上で、では保険者として どこがなり得るかというようなことに多分なるのかなというふうな感じがします。私自 身は、財源だけで言えば、保険の費用の中だけの支援だけではなく、むしろ別な行政上 の財政支援のようなものも考えていただく必要があるかなというふうに感じてきまし た。  それから、これはそもそも論でありますけれども、独立した高齢者医療制度というこ とで議論をしているんですが、これが独立かどうかという議論ですけれども、言葉では そういうふうに書いてありますから、私もそういうイメージをずっと持ってこの議論に 参加したのですけれども、今色々お聞きしますと、公費の問題とかあるいは現役世代の 方に保険料負担をお願いするとかということから見ると、もうすでにそれは独立ではな い、要するにもっと大きな議論としては独立ではないのかなというような感じがしま す。これは否定的に言っているのではなくて、そういう意味で個別制度として独立させ ているけれども、全体、日本国ということから見れば、必ずしも独立をしていないのか なというふうに聞かせていただきました。ですから、あまり独立、独立ということにこ だわらなくてもいいのかなというようなことで聞かせていただいております。  それから保健事業ですが、これは重要なことは私どもも十分認識していて、現実にそ ういうものに参加させていただいているのですが、先ほど、適正化指針の実施状況につ いての議論がございましたけれども、適正化指針の内容だけではなく、実際に都道府 県、市町村が従来から地域住民の方の保健事業、健康増進事業というようなものを、も うずっとやっていただいているわけで、多分ここの議論で言えば、疾病予防について言 えば、20歳以下の方の疾病予防について言えば、20歳以下の方の学齢期の子供さんたち のことまで含めて、これは教育委員会の事業になるわけでありますけれども、学校保健 事業として行っているとか、現実にそういうものもあるわけでありますから。私、実行 している内容としては結構なボリュームのものがあると思いました。ただ、惜しむらく は相互の関連がないということがありますので、そういう意味ではこの際、そういう関 連する保健に関係した事業について一度整理をして、統合的にできるものについては統 合的にしていただけるとよろしいのかと思いました。  現場の話で恐縮ですけれども、1例を申し上げますと、健康大学とか健康教室のよう なものが地域の保健センターとか保健所を単位で行われるわけでありまして、近々、私 どもがそういうものに、栄養士さんなんかと一緒に参加させていただいているのです が、私ども、高齢者の方にお集まりいただいて、その疾病予防とか現に持っている疾病 の3次予防とかあるいは治療のために、食生活をこんなことを気をつけましょうという ようなことをお話しすることがよくあるのですけれども、実はそういう方の多くは自分 で食事をつくっておりませんから、いくらそういうことを聞いていいと思っても、実行 の手段を持っていないんですね。ところがその同じ保健センターの別な部屋では地域の 方を集めて料理教室をやっているというような、そういうことがございますので。これ は非常に現場の小さな一例でありますけれども、そういうことを一元化してやると、も う少し効率的になるかなと思って聞かせていただきました。  それから予防でありますけれども、今の議論はこれはやむを得ないのですけれども、 1次予防、2次予防、3次予防がごっちゃに議論されておりますので、これはここでの 議論はやむを得ないと思いますけれども、実際の制度をもう少し細かくつくることにつ いては、やっぱり1次、2次、3次をきちっと分けて議論をしませんと、整然としませ んと、機能しにくいかなというふうに聞かせていただきました。 星野委員  どうぞ、対馬委員。 対馬委員  時間も押していますので、1点だけ絞ってお話しさせていただきたいと思います。次 回が論点整理メモということですけれども、これがおそらく2巡目の議論の出発点とい うことになると思いますが、極めて重要であろうというふうに思うわけです。それでこ の論点整理メモですが、基本方針というのはもちろん閣議決定をされて、そこの重みと いうのは各委員みんな十分承知しての上で議論しているわけですから、基本方針の整理 とか、そこを敷衍してとか、ないしは意味合いとか、そこだけにとどまらずに、やっぱ り基本方針は基本方針として非常に重要性は受け止めながらも、各委員がいろんなこと を言っているわけですから、そこはぜひ整理していただければと。例えば、委員名はも ちろん要りませんけれども、こういった項目に対してこういった論点があったと、こう いう意見があったということを整理して、その上で論点整理をしていただければ大変あ りがたいなと、こう思います。  例えば、1点だけ申し上げますと、私どももやはり75歳で前期・後期に分けるという のはどうしても、色々なデータなんかを見ながら何度も反芻しているのですけれども、 やはり理解しがたいところがどうもございまして。そういったことも含めて、次回の2 巡目の議論をさせていただければと、こういうふうに思いますので、ぜひよろしくお願 いしたいと思います。 星野部会長  どうぞ、岡谷委員。 岡谷委員  この後期高齢者の高齢者保険制度を構築していくというところの背景になっているの が、老人医療費が非常に高いということで、それを何とか適正化するというようなこと が背景にあると思いますが、では75歳以上の高齢者保険制度を構築したからといって老 人医療費が適正になるかというと、なかなかそういうふうにはならないのではないかと いうふうに考えられるわけですが、今の医療の提供の仕方の仕組みをそのままにして、 ただ保険制度だけをつくっても何の改善にもならないのではないかというのが、率直な 感想です。  例えば今日、例に出ていますけれども、今現在入院している高齢者をどうやってスム ーズに退院させていくかということについては、さまざまな工夫が今行われているので すが、やはり高齢者が医療にかかっていくときに、本当に必要な医療はちゃんと受けな いといけないわけですけれども、そのときにやはり医療が必要ではなく、もっと生活手 法ですとか、生活の仕方を変えるとか、あるいはそういう色々な生活の面での工夫をす ることで身体機能を正常に保てるとか、そういう部分もあると思いますが、今はなかな かそれが、やはりすぐ安易に医療にかかってしまって、薬を飲まなければならなくな る。ですからその医療にかかる前の相談の仕組みですとか、あるいはそういう適正に医 療に振り分けていくというような、そういう仕組みを構築するというようなことも必要 ではないかと思うので、ぜひそういう医療提供体制の在り方についても、具体的な議論 を進めていただきたいというふうに思います。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ。 久保田委員  先ほど、辻保険局長のおっしゃった社会保障全体の改革との関連性ということは、大 変重要だと思っています。その中で辻局長も言われた、医療と介護の関連性というのは 本当に大事で、ポイントの1つではないかと思っています。  私自身も専門家ではございませんけれども、かつては例えば医療も介護も福祉も含め て、北欧の、例えばスウェーデン等々がやはり1つのモデルに考えられたりする中で、 やはりお年寄りの自立を含めて、町の中で、あるいは病院や医療体制も含めてどういう 介護、支援をしていくのか。しかも自立型でどうやっていくのかというようなことにつ きまして、理念と哲学がしっかり社会全体に通っている中で、社会保障制度が張り巡ら されているという印象を非常に持っておりました。それで、ああいうところを目指して いくのだろうと、私ども、かなり前は思っていたのですが、そういう中で、日本は非常 に超高齢化が進んでいくと同時に、一方で経済の低迷もありまして、財政論が一方で出 てきまして、本当にどこを目指すのかという議論になっていっているのだろうと思いま す。  また医療制度を見ましても、やはり老人医療の無料化が大きかったと思いますが、介 護の問題、あるいは高齢期をどうやって過ごすか、家族がどう支えるかということにつ きまして、社会的入院、老人病院など、医療制度のほうに全部押し込んできた部分とい うのはやっぱり否めなかったのではないかというふうに思います。  それをもう一度、医療と介護がどういう役割分担をしながら、トータルとしてのコス トの問題もありますし、トータルとして高齢者が最後、どういう形で「この国に生まれ てよかったな」と言うようなことをやっていくのかということにつきまして、家族で本 当にやる部分、社会的にそれを支えていく部分というのは、どういう切り分けでやるの かということについて、本質論の議論と理解、納得が得られる絵を描かないと、医療制 度自体の中でやっても答えが出ないのではないかと思います。  そういう意味では、介護の問題と非常に絡まるだけに、介護の問題が終わったあとで 医療の問題ということで十分いけるのか一体のものとして設計図を描きながら、国も考 え、保険者も考え、そして個人個人が自分の家族の問題として考えるということをやら ないと答えが出てこないのではないかと感じていますので、全体問題の中で、介護保険 制度の改革の問題のときに医療制度改革の骨格部分みたいなものについて、どういうふ うに関連してこの審議会の中で議論していくのか、ぜひ考えていただきたいなというふ うに思います。以上です。 星野部会長  どうもありがとうございました。特にこの際ご発言をしたいという方はいらっしゃい ますか。ちょうど5時になりましたので。  それでは予定の時間になりましたので、本日はこれまでとさせていただきたいと思い ます。一言、蛇足を加えますと、これまで8回やってまいりまして、本日はちょうど8 回目に当たるということで、ちょうど今日ご意見を伺っていまして、第1回目からの議 論がまたもとへ1循環いたしまして戻ってきたなという気がするわけであります。戻っ てきたのは多分、中身がふえて戻ってきたという気がするのです。  これは議事録にとどめるような話ではありませんけれども、例えば北郷・岩本ライン と、それから大内・事務方・それから河内山ラインですか、というような、意見として こういう対照がかなりはっきりしてきたのではないか。それを一言で言ってしまうと、 岩村先生がまとめたように「保険というのかしら」というのは非常におもしろい表現だ ったと思いますけれど、要するに75歳以上の後期高齢者というものをひとつの保険集団 でまとめてやっていけるのかというのが、北郷・岩本ラインだっただろうと思います が、それに対して、生活習慣病から、若いうちからずっとこれから医療費を長い目で落 としていこうという考え方で言うと、大内・総務課長ラインみたいなこと。あるいは当 面の短期的な事実、現実からスタートすると、河内山委員の議論のように「そう言った って、ほうっておけないじゃないか」と、こういう議論になってくるのだろうと思いま すし。いずれもおもしろいというか、非常に本質的な議論だったように思います。  そういう意味で、1回目から、最初に「何で75歳で切るのよ」とか、今日も「65歳か ら切るのよ」と。何でも耳タコになるような議論が何べんも出てくるわけですけれど も、それも中身が深まりながら、もう一回もとへ戻ってきたなというので、大変この8 回、皆さんのご協力というかご努力に、座長として深く感謝する次第であります。これ で次に論点整理を事務方にしてもらいますが、事務方もあまり自説にこだわらずにそれ ぞれの意見の本質的なところをとらえていただいて。  それで第2ラウンドは、これからは、これは河内山委員の言われましたように、少し ずついろんな意味でイメージを具体化していくのが第2ラウンドでありましょうし、今 最後に久保田委員が言われたように、介護とこの医療との関係というのは別々でやられ たのでは何の意味もないわけですから、それをきちんと、「老人医療ですよ」というの をつなげながらやっていくとかですね。そういう非常に長いスパンで考えるところと、 短期で考えるところと、それから最初からこういう箱があってその箱をつくらなければ いけないのだと、こうあまりしゃかりきに思わないで、「箱は本当に大丈夫かしら」と いうことを、多分ゆすぶりながらもう1回、何べんも議論する。そういう議論なら、繰 り返しても耳にタコはできませんから、何べんでも議論していいのではないかというよ うな気がしますので。ひとつ、そんなことを踏まえながら論点整理をしていただいたら ということを希望を申し上げたいと思います。  次は、やるとすると7月ですか。これもまた私のほうから勝手なことを申し上げます が、7月は暑いから、今度はネクタイはもうやめて、皆さんもご登場いただくという格 好にしたほうがさらに議論が、論点整理ですから、けんけんがくがくになると思います が、楽に議論ができるのではないかと思いますので、そういうお取りはからいを願いた いというふうに思います。  それでは、今日は本当にありがとうございました。日程につきましては事務局によっ て調整の上、ご連絡申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。散会い たします。                                    (終了)    (照会先)   厚生労働省保険局総務課企画調査係  (代)03−5253−1111 (内線)3218