04/06/17 第六次看護職員需給見通しに関する検討会第1回議事録        第1回「第六次看護職員需給見通しに関する検討会」議事録 日時  平成16年6月17日(木)     17:00〜 場所  厚生労働省省議室 ○赤熊補佐  ただいまから第1回「第六次看護職員需給見通しに関する検討会」を開催いたしま す。委員の皆様方におかれましては、ご多忙のところを当検討会にご出席いただき、誠 にありがとうございます。はじめに医政局担当審議官の中島よりご挨拶申し上げます。 ○中島審議官  医政局担当の大臣官房審議官の中島です。本来でしたら、医政局長がご挨拶を申し上 げるところでしたが、本日は出張用務のため、代わりまして私からご挨拶を申し上げた いと思います。  委員の皆様方におかれましては、日ごろから厚生労働行政に関しまして、ご尽力を賜 っておりますことを、厚く御礼申し上げます。また、本日はご多忙の中、この検討会に ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。  我が国においては近年、少子・高齢化の進展、医療技術の進歩、国民の意識の変化な どを背景として、医療提供体制全般の見直しが求められております。  また、経済・社会のグローバル化の中で、保健医療制度のあり方についてもさまざま な角度から取り上げられてきているところです。このような状況の中で、厚生労働省に おいては、医療制度改革を推進しているところですが、その中で医療を担う人材の確保 と資質の向上を、当面進めるべき重要な施策の1つとして考えているところです。  看護職員については高齢化の進展等による需給の増大等に対応し、看護職員確保対策 を総合的に推進する必要があると考えているところです。  現在の需給見通しについては平成13年から平成17年までの5年間について策定されて いますが、看護師等の人材確保の促進に関する法律及び、これに基づく基本指針を基盤 として、養成力の確保、離職の防止、再就職の促進、資質の向上など、総合的な看護職 員確保対策に取り組んでまいりました結果、平成14年末の看護職員の就業者数は、約123 万人と供給の見通しを上回って、おおむね順調に推移してきているところです。  しかしながら、看護職員の需給見通しについては、看護政策の方向を考える上で、重 要な資料となることから、平成18年以降についても看護職員の需給見通しを策定するこ ととしたところです。  委員の皆様方には、新たな需給見通しの策定方針等について、幅広い識見から、ご検 討ご意見をいただきますようよろしくお願いを申し上げまして、私のご挨拶とさせてい ただきます。よろしくお願いいたします。 ○赤熊補佐  続きまして看護課長の田村から本検討会の委員の皆様、及び事務局の紹介をさせてい ただきます。 ○田村看護課長  看護課長の田村でございます。皆様にはこの検討会の開始にあたりまして、委員を快 くお引き受けいただきましたことを、本当に感謝申し上げます。  それでは委員の皆様をご紹介させていただきます。社団法人日本医師会常任理事青木 重孝委員です。海老名高等看護学院長浅川明子委員です。諏訪中央病院管理者鎌田實委 員です。社団法人看護協会常任理事菊池令子委員です。岩手県保健福祉部長佐藤敏信委 員です。近森リハビリテーション病院副院長・総看護長田村キミ子委員です。独立行政 法人国立病院機構看護担当理事、大阪医療センター副院長内藤正子委員です。社団法人 全日本病院協会副会長西澤寛俊委員です。日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局 次長花井圭子委員です。埼玉県立大学教授宮武剛委員です。愛知県健康福祉部主幹森チ カヨ委員です。  なお本日、お集まりの委員の皆様のほかに、九州大学大学院教授尾形裕也委員と、青 森県立保健大学教授上泉和子委員がいらっしゃいますが、本日はお2人ともご都合がつ かないということでご欠席です。  続きまして事務局の紹介をさせていただきます。先ほどご挨拶申し上げました医政局 担当審議官の中島です。医政局総務課長の榮畑です。看護職員確保対策官の野口です。 続きまして当検討会の座長について、お諮りしたいと思います。座長には医道審議会保 健師助産師看護師分科会の委員でもあり、厚生労働行政にも大変高いご見識をお持ちの 宮武委員にお願いしたいと考えておりますが、皆様いかがでございましょうか。                  (賛同の声) ○田村看護課長  それでは宮武委員に座長をお願いしたいと思います。恐れ入りますが座長席までお移 りいただき、一言ご挨拶をいただければと思います。 ○宮武座長  宮武でございます。この問題の専門家でも何でもないので大変戸惑っておりますが、 司会進行役程度ということで、お許しいただければ大変助かります。皆様のご協力で何 とかこの会を実りあるものにしていきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願 いいたします。 ○田村看護課長  それでは議事の進行をよろしくお願いいたします。 ○宮武座長  最初からお願い事になって恐縮なのですが、私は全く専門でもないということもござ いますし、また、そういうことはないように努めますが、どうしても出席できないとい うことも起こり得るかと思います。そういう意味では補佐役といっては恐縮ですが、前 回のこの需給見通しに参画なさったこともある尾形委員に座長代理という役割をお願い できないかということですが、いかがでしょうか。                 (異議なしの声) ○宮武座長  ありがとうございます。尾形委員は今日は欠席ですので、この旨を事務局からお伝え 願えますか。 ○田村看護課長  それでは尾形委員に私からお伝えをして、お願いしておきたいと思います。 ○宮武座長  それでは早速、議事に入っていきたいと思います。最初に、検討会そのものについて どのような形で進めていくのかということを確認したいわけですが、当然ながら公開で 行って、議事録についても事務局でまとめたものを各委員にお目通しいただいた後で、 資料も含めて厚生労働省のホームページで公表するということになりますが、この点に ついてご了解いただいてよろしいでしょうか。                 (異議なしの声) ○宮武座長  ありがとうございます。それでは議事に入っていきます。まず、事務局から大変大部 な資料が配付されております。その確認からお願いします。                  (資料確認) ○宮武座長  よろしいでしょうか。それでは資料1の検討会の資料及びスケジュールについて、事 務局からご説明をお願いします。 ○野口看護職員確保対策官  資料1です。最後に、4「検討会の位置付け」と書いてありますが、この検討会の趣 旨は、いわゆる審議会ではなく、医政局長が皆様方のお知恵を拝借するためにお集まり いただいたという位置付けです。  1「目的」です。看護職員の需給の見通しは、これまで過去5回行われてきていま す。現行も含め5回あり、そのことについては後ほどご説明したいと思いますが、その 期間が平成17年までということになりますので、18年以降をどうするかということで す。やはり今後の看護政策を考える上で基礎資料となりますので、18年以降の見通しも 持っていたいということから、今回検討会を開催させていただきたい、それが目的とい うことになります。  「検討事項」は、大きく4つのポイントがあるのではないかと思います。最初の2つ のポツがいわば基礎的な状況の把握で、1つ目は、看護職員の需要なり供給なりの現状 がどうなっているのかということです。2つ目は、さらに今後どのような世の中の動 き、変化、制度の見直し等があり得るのだろうか。それがどのように需給に影響するの だろうかということを押さえておく必要があるのではないか。3つ目はそれを踏まえ、 これまで需給の見通しというのは、基本的には過去3回は各都道府県で積み上げていた だいたものを集計したというやり方ですが、今回もそれを念頭に置き、各都道府県ごと にその需給をどのように見込んだらいいのかという基本的な方針をご議論いただこうで はないか。その方針の下に各県でお調べいただいたものを集計して、この「見通し」に していくということになりますので、その集計結果をどのようにまとめていくのか。主 としてそのようなことを大きな柱としてご検討をいただきたいと考えています。  「スケジュール等」です。本日6月17日が第1回ということですが、本日と第2回 (7月9日を予定)の2回を使い、今回は看護職員の需給の現状、さまざまな社会・経 済状況については第2回に、基礎的な資料についていろいろご理解を深めていただいた らどうかと思います。厳密に言うとはっきり分類しにくいこともありますが、1回では なかなかお目通しいただけないため、基本的には資料も分け、それを基に何を決めると いうことではなく、フリートーキングをしていただいたらどうかと思っています。それ を踏まえて、実際にどのような「見通し」を作るのか、基本的考え方をどうするのかと いうことを中心に、3回目でご議論いただいたらどうか。例えば「見通し」の期間は何 年間がいいのかということも議論になると思いますが、そういうことも含めてご議論い ただく。それを踏まえ、実際に需給の把握をいただくのは各県単位なので、各県単位で どのような調査をするのかというメッセージを9月(秋)ぐらいには出していきたい。 それを念頭に置きながらどのような策定を各県にお願いしたらいいのかという中身を、 ある程度出したいというのが9月です。  秋以降年末にかけて、さまざまな制度改正の動きがあるかと思いますが、その動きな どを踏まえながら、年明けて2月ぐらいに、実際に各都道府県が算定する際の具体的な マニュアルのようなものをお示しできないかと考えています。これが第5回目です。そ れを踏まえて平成17年度になると、各都道府県で実際にお調べいただく。それが集まっ てくるのが夏過ぎではないかということで、その集まった結果をご議論いただき、この 見通しにつなげていくということを6回、7回という形で開催させていただいたらどう かと思います。これはあくまでも事務的に想定させていただいている案ですが、一応こ んな流れで検討会を開催させていただいたらどうかと考えている次第です。  3頁以降に、看護職員確保対策との経緯ということで資料をまとめさせていただいて いますので、簡単にご紹介します。これは今回第六次の見通しになりますが、過去5回 がどのような流れであったのかということを簡単にご理解いただきたいという趣旨で す。  3頁です。昭和23年に現在の保健師助産師看護師法(保助看法)といういわゆる基本 法ができています。その一部改正が昭和26年に行われ、そのときに准看護師制度ができ て、いわば今日の看護職員に関する骨格が形づくられたということです。その後、高度 経済成長を迎え、昭和36年には国民皆保険体制になります。その結果、医療需要が看護 を含めて急増し、都市集中問題も出てきます。その中で、医療関係職種の中でも特に看 護職員の不足が社会的に問題となってくるという時期を、昭和30年後半から迎えてくる ということになってきます。  そのためにストライキが起きたり、昭和40年に国立医療機関を中心とした紛争では、 労働組合側からの要求に対して、人事院が一定の裁定を下すというようなこともありま した。  ここで主として問題になったのが夜勤の問題で、1人の夜勤ではなくて2人の夜勤で す。夜勤回数も制限なくということではなく8回までということで、いわゆる二八闘争 といわれた時代ですが、そのスタンダードを確立して、これに向かってやるべきだと方 向が出たのがこの時代ぐらいからということになります。  このような流れの中で、看護職員確保対策も、例えば昭和37年にはいわゆる奨学金を 貸すような仕組みができたり、昭和45年にはほかの職種では見られないのですが、看護 師の養成学校に対しては運営費の補助を行うというようなものが行われたり、昭和47年 には共同利用の保育施設について整備が行われるというようなことになったわけです。  昭和48年にはいわゆる福祉元年を迎え、社会保障の給付拡大が図られました。その秋 に石油ショックが起こり、狂乱物価となり、安定経済成長に移っていくわけですが、こ の時期からいわば人口の高齢化が意識されるようになっていきます。その中で昭和49 年、第一次の看護師の需給計画が作られるということになります。背景としては慢性的 な看護師不足について手立てを講じようではないかということで、4頁、計画期間を5 ヶ年とし、全国調査等ではなく、諸外国、特にスウェーデンとイギリスにおいて、ベッ ド当たり一体何人看護職員がいるのかという比率を出し、その比率ぐらいは確保しよう ではないかということを参考に、必要な数字を出したものです。結果的にはこの5ヶ年 計画は、実績は見込みどおり、ほぼ達成したという結果になっています。  昭和52年に1つエポックメーキングがありますが、ILO総会で149号条約、いわゆ る看護職員条約が採択されました。看護職員は伝統的に各国とも女性が多い、また、宗 教的背景が多くあるということがあり、非常に医療の中で不可欠な人材でありながら、 実は労働条件では近代化が遅れているという状況があり、看護職員の定着が悪いとか、 なかなか優秀な人材が集められない。また最近でもちょっと問題になっていますが、途 上国の人材が先進国に流れるとか、この辺のことが大きく世界各国共通の課題として意 識され、ILOで各国とも看護職員の労働条件を確保しようではないかということで条 約の採択をしたという経緯があります。  日本は趣旨には賛成していますが、今日に至るまで批准は行っていません。そのよう な背景の中、5ヶ年計画の後どうするのかということで、第二次の計画が昭和54年9月 に作られました。背景としてはマクロ的な問題もそうなのですが、より地域別、あるい は設置主体、施設規模別で見た場合に看護職員が集まらない所もあることにもう少し目 を向けようではないか、マクロ的な諸外国との比較ではなく、日本における実情も少し 勘案しながら出そうではないかということで、昭和54年に第二次の計画が作られまし た。このときは7ヶ年計画です。これも実績としてはほぼ計画を満たすような形で、確 保は結果的にはできています。  5頁です。この計画は昭和60年までだったのですが、それから後、若干時間が空き、 平成元年、看護職員の計画という名前ではなく「見通し」という新しい名前で策定され ました。この大きな背景は、やはり昭和60年の医療法改正です。医療計画を作るように なったということで、各県の医療需要がよりはっきりしてきたということと、いわゆる 駆込み増床というような問題もありました。また、ちょうどバブル経済の時期で、看護 師不足がいろいろな状況の中で深刻になるという背景もありました。その中で、平成元 年に見通しが作られたということです。この計画の特徴は1つは7ヶ年であったという ことと、このとき初めて各都道府県ごとに調べてもらって、それを集めるというやり方 になったということです。このときもほぼ見込みを超えて実績が達成されたという状況 にはなっています。  ただその後、かなり状況が変わり、平成元年にはゴールドプランが作られ、同じく平 成元年、子どもの数が少なくなったということで、1.57ショックといわれた少子化問題 が大きな焦点となる時代になります。  特にこの人材に関しては、「介護」と「看護」の2つの不足感が大きいということ で、マンパワー対策本部が作られたりして、その中間報告が出された中で、看護職員の 需給見通しを早急に見直すべきではないかということになりました。  6頁です。その背景を受け、平成3年12月にはまだ計画期間中であったわけですが、 元年に作った計画を見直すということになりました。いま申し上げたとおり、ゴールド プランがあったということと、マンパワーの大幅な確保の必要性を図る、労働条件を改 善するということもあり、そういう条件を盛り込みながら、計画を作り直したというこ とです。このときには、かなり長くて10ヶ年計画にしたわけです。  確保対策の関係では、この時代は非常に大きなポイントで、平成4年に育児休業法が 成立し、また、同じく看護の人材確保法が成立したという時期です。平成6年にはエン ゼルプラン、新ゴールドプランが作られています。同じ年に保健所法が地域保健法に変 わり、いわば県単位の保健所から、より身近な保健センターを中心とした保健体制に移 行するような流れができてきた時代でもあります。ちなみにその翌年、ここには書かれ ていませんが、平成7年に障害者プランも策定されています。  そうした中で平成12年を迎えるわけですが、やはりいちばん大きな事情は、介護保険 制度が実施されるということ、まさに20世紀が終わって今後21世紀を迎えるという中 で、新しく看護職員の見通しを作る必要があるということで、平成12年に作られたもの が現行の「看護職員需給見通し」ということです。その後の動きとしては、平成13年に 保助看法が相次いで改正されていますが、その2つ目の名称変更、看護師が入ったこと ですが、この名称変更により男性の参入拡大の効果がかなり大きくなったと言われてい ます。  平成15年になり、「新たな看護のあり方に関する検討会」なり、平成16年で新人看護 職員の研修をどうしようかというような取組みが行われてきたということです。 ○宮武座長  ありがとうございました。いまご報告いただいたこれまでの経緯なりについて、何か ご質問なりご意見はございますでしょうか。 ○菊池委員  今回第六次の見通しということで検討会が立ち上げられ、これまでの需給の見通しの 評価、あるいは反省を踏まえて考えていらっしゃると思うのですが、どのようにこれま での見通しを評価なさっているかということと、今回、そういうものを踏まえてこの検 討会の役割をどう考えたらいいかというご説明をしていただければと思います。 ○野口看護職員確保対策官  これまでも5回にわたって計画が作られてきています。その計画を需要供給を見込ん で、それを達成しようということで意識的に努力をしたことも大きかったと思います が、実績としてはおおむねすべて達成したというのがこれまでの結果です。ただ、達成 してそれで十分であったかというと、さまざまな世の中の流れの中で、新たな看護需要 の増がこれまで相次いできたということで、計画を作って達成し、また、さらに新たな 需要を受けてもう1回計画を作り直して、また達成するという、簡単に言えばそういう 繰り返しであったと私は考えています。  この計画を作っただけではなく、それを達成するためにさまざまな予算的な措置、あ るいは法律的な措置を講じてきたということがあり、計画の上に立って、現在の看護職 員の確保対策が形づくられてきたと。ほかの医療関係職種に比べるとかなり手厚く行わ れている部分もあり、やはりこれはこのような積み重ねがあったからではないかと考え ています。  資料2で現行の看護職員の需給見通しについて、また後ほどご説明させていただきた いと思っていますが、その中でさまざまな課題も指摘されていますので、今回はそのよ うな過去の、特に直近の見通しにおける課題を踏まえて、より良い見通しを作るにはど うしたらいいかということを中心に、またご議論いただきたいと思います。また、今回 資料を出させていただきましたが、ほかにもいろいろな必要資料もあるかもしれません ので、是非積極的にお知恵を拝借できればと考えている次第です。 ○宮武座長  よろしいでしょうか。ほかに何かご質問なりご意見等がございましたらどうぞ。追い 追い議事を進めていく中で、後からでも結構ですので、次は現在の看護職員の需給見通 しについての説明をお願いします。 ○野口看護職員確保対策官  資料2です。これはまさに現在進行中の需給見通しということです。1の「基本的考 え方」です。これは先ほどの繰り返しになりますので省略しますが、ここに書いてある ような背景から策定しました。需給見通しの期間は、平成13年から17年までの5年間を 見通しの期間としています。その理由としては、医療提供体制が大きな変革期にあると いうことがあり、まさに平成12年から介護保険制度が始まったというのがこの見通しの 1つのきっかけになっています。施行後5年を目途として見直しが行われるということ がありましたので、あまり長期の計画はどうかということもあったのだと思います。そ れで結果的に5年間ということで、この見通しの期間が決まったということです。  (3)は過去の計画とも同様ですが、検討会として取りまとめた策定方針を踏まえな がら、各都道府県でそれぞれ数を積み上げていただいて、それを計算していただいたも のを積み上げて、見通しを固めるというやり方です。  需給ですので、需要の見込み方、供給の見込み方と分かれるわけですが、需要の見込 み方については書いてあるものがいろいろあるので代表的なところしか申しませんが、 いちばん看護職員の需要が大きい病院については、病床数をどう見込むのかが議論にな ります。ということで、例えばここに書いてあるとおり、病床過剰の医療圏については 病床の増床のないことを基本にしたり、病床が足りない医療圏についてはどうするの か。単純に埋めるのではなくて、具体的に整備されるだろうということを見込んでベッ ド数を想定して出してくださいということにしたわけです。その結果、ここに書いてあ るような数字を前提として病院に関しては算定されているということになっています。 その際に、勤務条件は、毎年改善が進められているがどうするのかということで、2頁 にあるように労働時間は週40時間労働を基本とする。育児休業、産前・産後休業等は全 員きちんと取得する。介護休暇も取る。夜勤は二八体制を基本とする。看護体制につい ても医療の高度化が進んでいる、あるいは特に最近はそうですが、在院日数の短縮も進 んでいるということで、手厚い看護体制を組めるように配慮するため、それを見込んだ ということです。そのようなことで、結果としていちばん下のポツに書いてあるよう に、平成17年では100床当たり看護職員は51.2人、平成10年の実績が45.1人ですので、 6人ぐらい多くなる計算になっていますが、結果としてこのような手厚い配置になるよ うなことを想定して、需要を見込んだということになっています。  以下、診療所、助産所とあり、介護保険関係では都道府県が介護保険事業支援計画と いう整備計画を作っていましたので、それを基にしながら必要なサービス量から需要を 見込んだということです。  3頁です。供給数については大きく3つの供給先の要素があるわけで、最初は新卒の 就業者、要するに学校を卒業して看護の世界に入ってこられる方です。まさに学校養成 所がこの期間内にどれだけ増えるのか、あるいはなくなるのかというようなことを見ま す。もう1つは辞められた方がもう1回職に就く。特に結婚されたり子育てで辞められ た方がどれだけ再就職できるかというところが1つのポイントで、若干政策的要素が入 ってきますが、ナースバンク事業の強化も踏まえながら、再就業者数を見込む。3つ目 は、辞めないでずっと働き続けていただくことが重要ですが、退職減をどれだけ見込む かを考えるということで、この3つについてそれぞれある程度の勘案事項を示し供給数 を出していただく、このようにして需要と供給について見込みを出したということで す。  なお、この見通しにあたり、いくつかの課題が指摘されています。最初が看護必要量 で、一律に何人必要かではなく、例えば患者の重症度に応じてどうするか、ということ をもう少しきめ細かく見れないか、などが宿題として投げかけられていますし、大きな 数の需要・供給だけではなく、都市部と郡部などの地域間格差や医療機関格差について も縮めるような施策が必要だというご指摘をいただいています。まさに子育てと仕事の 両立の問題が大きなテーマで、離職防止なり再就業の促進を図る必要がある。この4月 から医師の臨床研修が必修化されましたが、看護の質の確保という面では卒後の新人の 看護職員の研修はどうするのかということが指摘されていました。  最後のところは技術的な問題で、もちろん各都道府県が積み上げを行うわけですが、 各都道府県の独自性はありながら、あまりばらばらなやり方でも困るので、そこをばら ばらにならないように、しかし各都道府県の独自性も活かせるように工夫すべきだとい うこともあり、この辺は今後ご検討いただかなければいけない点かと思います。  5頁に「見通し」の数字が出ています。需要については平成13年、121万6,000人余で すが、17年には130万人余になると見込んでいて、需要ではこの期間中に7.3%増という 見込みです。供給については118万1,000人余から10%増で130万人ということで、毎年 3万人増えるという見込みを立てており、結果的には平成13年では3万5,000人ほど不 足していますが、17年では若干5,000人足りませんが、ほぼ均衡するという見通しにな っているわけです。  なお、この実績は平成14年末まで数字があり、就業数で見ると123万人、供給数の見 込み121万人を超えて、ほぼ順調に推移していると考えています。  6頁です。看護職員の需給見通しは各地域ごとにどうなっているかということが問題 になりましたので、各都道府県ごとに過不足の状況を出させていただいています。これ を見ますと総体では5,000人余りの参画ですが、地域ごとには多い所と少ない所と、若 干ばらついているという状況です。  7頁は100億円ばかりの予算が看護職員の関係でありますが、看護職員の資質確保の ために、このようなところで予算が使われているということで参考として付けたもので す。 ○宮武座長  ありがとうございました。だいぶ核心に入ってきましたが、いかがでしょうか。本日 はなるべくご自由にご質問、ご意見を聞いていこうということですので、何でも結構で す。いまのデータなり、過去の方針についてご意見、ご質問がありましたらどうぞ。 ○菊池委員  質問をさせていただきます。前回のときに都道府県別に出していただいているのです が、看護マンパワーの特に供給について、実際には都道府県の格差などいろいろな格差 があります。その格差をなくして、必要な所に必要な看護マンパワーを確保していくと いう意味で、国の役割と県の役割があると思うのです。マンパワー確保についてはそれ ぞれどういう役割を前提に考えればいいのかという点をご説明していただければと思い ます。 ○野口看護職員確保対策官  明確な1+1=2のようなご説明はなかなか難しいのですが、いま看護職員の確保法 があります。その中でも国の責務、都道府県の責務ということで書かれていますが、も ちろん国家資格ですので、国として必要な資質の確保は十分しなければいけないという ことです。一方で、実際に医療サービスを受けられる方は地域住民の方ですので、地域 医療の確保、あるいは地域における町づくりの観点から、どのようにそれを確保してい くのかということは、地方行政としても最大の関心事の1つ、地域生活を安定させる上 での基礎条件として、当然行政的に勘案しなければいけないという状況もあるので、私 どもと都道府県と共同でさまざまな確保対策をやらせていただく。例えば最初のほうで 申し上げました奨学金を貸与するという事業も実施主体は都道府県ですが、それに対し て国として予算の補助を行うという形で取組みをさせていただく。例えばそれは都道府 県でいうと、自分の所の県内で就職してくれれば奨学金の返還は免除しますというよう なことで、その地域地域の確保対策に資するという面があるわけです。そういう面と国 全体の面と調整して、バランスを取りながら、それぞれご相談しながら進めてきたとい うのが実情だろうと思います。 ○宮武座長  例えば都市部と郡部の地域間格差はわかるのですが、「医療機関格差に対する施策」 とは具体的にはどんなこととリンクしているのですか。 ○野口看護職員確保対策官  医療機関の格差という場合は、例えば病院の場合でもベッド数の規模等に応じて、あ るいは病院と診療所において看護師、准看護師などいろいろ問題はあると思います。さ まざまに人手が不足している問題においても、不足感はかなり違うということも背景に あるのだろうと思います。それに関して、私どもは予算事業として、そのようなさまざ まな格差のある所をどのように解決していったらいいのかということを、各都道府県で まず考えていただく。  例えば関係者に集まっていただいて、養成した人をどのようにうまく配分していくの かということも含め、さまざまに各自工夫をしていただく。あるいは各病院ごとで集ま っていただいて、合同就職説明会をするなど、さまざまな取組みがあると思うのです。 その工夫や先進的取組みに対しては、確保対策として何かいい知恵はないだろうかとい うことで、私どもが予算を100%補助するというかなり高額な予算事業もあります。  そのようなことで、私どもがこれをしなさいというのではなく、各地域ごとに工夫を したものに対して、予算的にバックアップさせていただくという形で、取り進めてきて いるのが実情です。 ○浅川委員  質問というよりも、今回の委員会に対する期待を含めてお話させていただきたいと思 います。実は私は神奈川県の看護行政に長くおりまして、平成4年までの需給見通しの 策定については自分の仕事としてかかわっておりました。そういう中で本当に行政の仕 事の出発点というか、根幹は需給見通しをどのように考え策定し、数字としてはじき出 すかということが仕事の基本にあると感じておりましたので、今回、この仕事にかかわ らせていただくというか、委員として参加できることを大変光栄に思っています。  自分が経験を重ねてきた中で1つ感ずることは、4番の医療機関格差という問題があ ったのですが、医療機関の中にはさまざまな機能を持ったセクションがあるわけなので す。私自身がやってみて、医療機関格差を出すだけでは駄目でして、そのセクションご との差まできめ細かく出さないといけないのではないか。セクションによっては患者対 比が1を超えていなければいけない、例えば2でなければいけないというところもある わけです。そういう病院の中で、どのようなものを提供しているセクションかによっ て、配置要員が変わってくるというところまできめ細かく出さないと、実態につながら ないということが1つあるということを実感しました。  需給見通しの数というのは、先ほどご説明にもありましたように、どのように整えよ うとするかという、つまり政策絡みの数字だと本当に考えさせられたと感じますので、 これからの需給見通しを作る場合には、安心して医療を受けていただける環境作りとい うのはどうあったらいいのか、仕事を継続できる看護職員の就労環境の整備としてはど うあったらいいのかということを十分考えた上で、きめ細かい算定基準を作っていける といいなと感じています。 ○宮武座長  ありがとうございます。大事な指摘が出たと思いますが、これをめぐっていかがです か。 ○森委員  私も愛知県で看護行政に携わっているのですが、やはりいまおっしゃったように、き め細かな数字を出していく。そして需給見通しを立てていくということは非常に大事な ことだと感じています。ただ、それが診療報酬に反映されるかどうかという辺りが、非 常に病院にとっては大事なことではないかと感じています。ですから、担当としては需 給見通しがただ単に、数を積算していくだけでいいのかということを、いつも非常に疑 問に思っているところです。 ○宮武座長  なるほど、よくわかります。 ○内藤委員  いまおっしゃっていただきましたように、私は現場にいる看護部長、また副院長の体 験を通して思いますのは、やはりナースの数そのもの、数がケアの中身に影響しますの で、そのことがコストにつながらないと、いまの病院経営上では、大きな壁になってい きますので、合わせて数が質になり、質がコストにつながっていくといったところの検 討を、是非ともお願いしたいと思います。 ○宮武座長  大変な問題で最初から入りましたが、皆様それぞれご意見があるかと思いますが、是 非ご自由にご発言いただければと思います。 ○田村委員  私も現場のリハビリテーションにいる者ですが、やはり高齢化社会が急速に進んでい る中で、患者を安全に見ていくためには、本当に基準の人員で見ていけるのかというの が不安です。職員を基準以上に入れていますが、それでもなかなか足りないというのが 現状です。 ○内藤委員  もう1つなのですが、今度新人看護師の教育ということでの検討報告書が出ました が、卒業してくる1人のナースを、1人として期待しなければならないという医療の現 実、それはいまの医師の臨床研修制度がきちんと制度化しましたが、看護についてはこ の問題が残っているのです。現場はこの新人を抱えて本当に大変混雑する状況があるの で、こうした研修においても報告にあったように、1つ念頭に入れて考えていく必要が あると思っています。 ○宮武座長  もう現実に病院の運営にかかわっておられる先生方が何人もおいでになるわけです が、西澤委員いかがですか。 ○西澤委員  いままで各委員がおっしゃった意見はそのとおりだと思います。ただ、少子・高齢化 ということで、これから看護師を目指す数が減ってくる中で、いかに効率的にその方々 を使うかということも大事な視点だと思います。数が多ければいいのはわかるのです が、例えばリハビリだとか、高齢者に対する安全に対して看護師でしなければならない 役目と、ほかの職種との協力分担でできるものがあります。その辺りも観点に置いたら どうかと思います。やはりいちばん大事なのは質の高いことですが、一方ではそれをよ り効率的にという視点が必要かと思います。 ○花井委員  先ほどのご説明で二八体制がほぼ整ったなど、本当にそうなのだろうかという大きな 疑問がありまして、その辺の資料もまた出していただければと思っています。育児休業 とか介護休業などを勘案して、需給を見通されたとはなっているのですが、その後の例 えば代替要員がどのように見込まれたのかということも、お聞かせいただければと思い ます。 ○菊池委員  日本看護協会で夜勤の状態など調査しますと、ほとんどの所は二八体制を超えて3人 夜勤が主流になっています。もっと多い所は5人、6人という所も多くなっています。 在院日数が短縮して、重症の患者がずっといるので、夜の業務が非常に多くなって、夜 勤人数が多くないとケアができないという実態があります。現場ではそれでも人手が足 りなくて、非常に忙しい思いと疲労感を持っているということです。この夜勤の体制を きちんと整えたいと思うのですが、先ほどもご意見が出ましたように診療報酬として財 源が保障されないと、なかなか病院としてはその部分を増やすことができないというジ レンマがあり、そこを何とかしたいとは思っているのですが、何かそういうところが解 決できるような方向で、今回需要がきちんと出てくればいいなと思います。 ○野口看護職員確保対策官  若干補足をさせていただきます。検討会をはっきり1回と2回とに分けにくいという のは、委員がおっしゃられたとおりで、2回目で労働条件の話、仕事と子育ての両立に かかわる問題について、資料を用意しご議論していただきたいと考えています。 ○宮武座長  本日は参考資料と資料3についてもご説明はないのですか。それとも2回目にしたほ うがよろしいのでしょうか。もちろんいまの問題でもっとご発言があれば当然お聞きし ますが。 ○青木委員  私は医師会の代表でして、病院の婦長さん方とは何人もお付き合いをしてきましたの で、考えていただいていることなどはよくわかるのですが、看護協会の先生方も、やは り私と同じように考えていらっしゃるということで、今日は大変うれしく思いました。 いままでの話の中で、いちばん大事なことは、需要数をカウントしていくときに、看護 基準だけでものを判断してはいけない。どこかで何かの判断を下さなければいけないわ けですから、そのときに基準数だけで考えていくということをやると、これはやはり間 違いだと。それは医療提供体制が徐々に変わって、相当強く変わっているというか、先 ほどから出ているように入院期間が非常に短縮しているということで、大変濃縮した業 務をやっているからです。また、技術的な面でも、加速度的に非常に高度になっている わけですから、こういうところで間違いを起こさないということを考えると、もちろん 研修も必要なことであるし、そういう研修の間の人員をどうするかというような問題ま であります。需給を考えていくときには5年間やるのなら、やはりきちんと見ていかな ければいけない。ほとんどの病院が現状においても、少なくとも何カ月かは研修を当然 やっているはずです。そういう基準だけで考えないということを、私はこの際基本に置 いていただきたいと希望します。 ○鎌田委員  年間を通したいままでのデータを見ていくと、かなり足りつつあるというデータが出 てきているのですが、現場ではあまりそう思っていないのではないかと思います。それ は1つは、民間の病院などでは年度当初も職員をなかなか集めきれないでアップアップ している所もあるようですが、多くの病院では年度当初は何とか集められるけれども、 途中で退職した人の分を補充できない病院が多いのではないか。それで全体を通した現 状では、院長たちが集まると「足りなくて困っている」と言っているのではないか。だ から、数字上で足りているというのとは違って、現場の看護師長や院長たちは、むしろ 足りていないと言っているのです。それはかなりぎりぎりの人数でスタートを切らざる を得なかったり、経営の問題や診療報酬の問題にリンクしてくるわけですが、いま言っ た医師の2年間のレジデント制度がきちんとしてきたということを考えると、せめて看 護師の新卒研修も半年を見込んで年度当初は定数に入れないでおき、途中で辞めていく 人たちの分として、秋からは1人分として数えられるようになれば、多くの病院は年間 を通して不足感を感じないで、きちんとした医療をやっていけるのではないかという感 じがしてはいます。 ○宮武座長  ありがとうございます。折角ですので、全員に一言ずつということで佐藤委員は計画 をお作りになる立場ですが、いままでの中でご意見はいかがでしょうか。 ○佐藤委員  もう感想にすぎないのですが、個人的には哲学的にいろいろ思うところがあります。 先ほど野口対策官からスケジュールをお伺いしましたが、要するにここで出たご意見を 踏まえて検討して、雛形を作るのがどうも自分の役割かと思います。むしろ自分の役割 と帰ってから部下や職員にどう説明しようかと、ちょっとドギマギしているところで す。いずれにしても、力の及ぶ限り努力いたしますので、よろしくお願いいたします。 ○宮武座長  ありがとうございます。それでは先へ進みながらご意見を聞いていけますので、残り の資料についてのご説明をお願いいたします。 ○野口看護職員確保対策官  資料3、需給の現状ということで、就業と養成とに分けて資料を整えています。1頁 です。就業者数の推移です。この10年間で92万2,000人余から、123万人余ということ で、31万人ぐらい増加しており、年間平均ほぼ3万5,000人の増ではないかという状況 です。病院のベッド数、数とも減少していますが、就業者数自体は顕著に増加をしてい る。もちろん高齢者の介護関係もあり、福祉関係が就業者数が伸びているという状況が 見受けられます。訪問看護ステーションは非常に伸びたのですが、実は最近伸び悩みの 状況が見受けられるかというところです。  2頁、保健師です。保健師の就業場所については保健所が減少傾向にあり、市町村が 増加傾向にあるということだと思います。これは平成6年に地域保健法が改正されたと いうこともあるでしょうし、介護保険制度によってケアマネジメントなどもあり、その 意味で市町村における保健師の需要増があったということではないかと思います。  3頁、助産師です。助産師の就業場所は、実は病院が極めて多いという現状です。助 産師は助産所の開業ができるわけですが、助産所自体は減少傾向にあるという状況で す。  4頁です。看護師と准看護師です。看護師は病院に診療所の5倍くらい働いていると いう状況です。それに対して准看護師の方は診療所での勤務の割合がかなり多いという 状況です。また、介護関係の施設について准看護師の方が結構多く就業されてきている ということかと思います。  5頁です。いままで申したことをグラフにしたものです。看護師、准看護師で見ます と、線が交差しているのは昭和54年で、この時点で看護師の就業者が准看護師を抜き、 以後急上昇し、一方で准看護師の方は若干なだらかになってきているという状況です。  6頁です。年齢階層がどうなっているかということですが、看護職員全体で見ます と、25歳から29歳という20代後半の方がいちばん大きなグループ(赤)をなしていて、 以降年齢階層ごとに、ほぼ10ポイントずついるわけですが、55歳を超えるとガクっと減 っています。そういうことで、かなり若いほうにシフトしている形の就業形態ではない かと思います。  いちばん下の看護師を見ますと、それがより傾向としては、はっきりしているかと思 います。  顕著な特徴は、准看護師で、7頁です。実は平成6年では准看護師の方も25歳未満が いちばん多かったのですが、それ以降、40歳代、ないし最近は50歳代前半という高い年 齢層が大きなグループになってきています。いわば若手の参入が少し減っているのでは なかろうかということだろうと思います。  次は8頁です。女性の職場とよく言われるわけですが、男性がどのくらい占めてきて いるか。全就業者で見ますとここ8年間で、全体的に1ポイント上昇し、この傾向はず っと続いており、着実に男性職員の比率は上がっているという状況です。これを職種別 に見ますと、准看護師の男性比率が高くなっていますが、これはおそらく精神科看護の 部分が影響しているのではないかと思われます。全産業で言うと男性は6割ですので、 ほかと比べるとかなり特徴のある就業だと言っていいかと思います。  9頁は離職率です。近年の推移で見ますと、ほぼ10ポイントぐらいで離職率が推移し ております。全産業で見ますと、これは定義等も違うので単純な比較はできないのです が、全産業の離職率が2割ぐらいですので、決して看護が全産業に比べて離職率が高い という状況ではないということです。  その離職を、新人に関して見たものが10頁です。平成14年で言うと、84.1%の方が1 年経っても残っている。逆に言うと16%、6人に1人の方が1年経った時点ではもうい ないという状況です。比べてみますと、どうも辞める率がだんだん高くなっているのか なということで、「石の上にも3年」ではないですが、新人職員の方が、あまり辛抱し ない傾向も出てきているのかなと言う方もいらっしゃいます。  その辞める理由が11頁です。やはり出産・育児・子どもと、子ども絡みの理由がトッ プで、その次に結婚という順位は変わっていませんが、3位と4位が、いわば仕事と言 いますか、「看護の内容が不満」とか、「ほかの分野に興味がある」というところが近 年は逆転していて、他分野への興味で辞めたという人がちょっと増えているのが、やや 特徴的かもしれません。1位と2位は順番は変わらないのですが、比率は下がっていま して、そういう意味では子どもと子育てを、両立できるような環境がある程度整備され てきているということが、反映はしているのではないかとは思われます。  12頁は求人・求職の状況です。ナースセンターとハローワークと分けてありますが、 ハローワークは皆さんご存じのとおり、別に看護だけではなくすべての労働者に関し て、全国に何カ所かある公共職業安定所です。それに対してナースセンターは、都道府 県ごとに1カ所で、職務としても、看護職員に特化した職業紹介をしているということ です。有効求人倍率でいくといずれも1は超えていて、ナースセンターの場合は1.5倍 ぐらい、ハローワークの場合は若干低くて1.2倍ですが、この不況の時代の中で言うと、 恵まれた状況にあると思います。  ナースセンター、ハローワークとも「紹介者」というのがあって、センターやハロー ワークのほうから、ここに就職したらどうかと言って紹介するわけですが、その紹介を した人のうち、どれだけ就職に結びついたかというのが「紹介者就職率」です。その紹 介者就職率が、ここで言うとナースセンターが7割。若干比率は下がっているのです が、それでも7割を超えていて、ハローワークが4割ですから、ナースセンターはかな り看護職員に特化した相談を行っているというところが、数字的には現れているのかな と思われます。同じく求職者の就職率で言っても、ハローワークよりナースセンターの ほうが2倍ぐらい高いという現状です。  次の13頁は、先ほど就業の場所ということで、病院の話が出てきましたが、その「医 療施設数の推移」です。病院の数、ベッド数とも若干減少する傾向にあります。一般診 療所だと特に、数自体は増えているのですが、有床診療所のベッド数は、病院の減少よ りかなり多く減少しているというのが現状です。  次の頁はベッドの種類別に見た数の推移ですが、実は平成12年に病床区分を、「その 他病床」から「一般病床」と「療養病床」に明確化するという医療法改正が行われて、 その届出期限が平成15年8月までということですので、この数字にはその経過的な数字 が入っていてややわかりにくい状況になっております。そういう意味で15頁を見ていた だきたいと思います。これは医政局で独自に集計した数字です。平成15年9月現在で、 病院の「一般病床」が92万2,000ベッド余、「療養病床」が34万6,000ベッド余、その比 率が72.7対27.3ということで、療養病床は若干3割に満たない、両方合わせて126万ベ ッドというのが現在の状況です。簡単に言えば、もともと見込んでいた病床の減少数ほ ど、減少はしていないというのが現状だということと、もう少し療養病床が増えるかな と思われたのですが、それほどでもないということではないかなと思います。  16頁は病院の入院患者、外来患者の推移で、いずれも総数としては増えています。こ れは、高齢の患者の方が増えていることを反映しているのではないかと思います。  17頁は「100床当たり看護職員数」です。先ほど、現行の見通しの所で51.2人と申し 上げましたが、数字的には着実に増えていまして、平成14年段階で、100ベッド当たり 48.2人の看護職員が配置されているという状況です。この8年間で6ポイント上昇して おります。1年間でほぼ1ポイント若上昇しているということで、この傾向が続けば、 大体見通しのとおりの配置水準の状況にはいけるのではないかと考えています。  18頁からは教育、養成です。最初の所は皆さんご専門ですので簡単に申し上げます が、いちばん左のルートが、高等学校を卒業して3年間の養成所に行って、看護師試験 を受けて看護師になるという、1つのオーソドックスな形です。この看護師3年課程に 対して大学、これは3年ではなく4年間通うわけですが、4年間の大学の数が増えてい るというのが現状です。真ん中に、高等学校にさらに2年間をつけて5年間の一貫教育 を行って看護師になるというのがあります。それを踏まえて助産師、保健師ということ でいくというのが上の図ですが、実際上は、大学の場合にはこの助産師、ないし保健師 を兼ねているコースが多いという状況です。准看護師の場合は、制度上は中学校を卒業 したあと、准看護師の養成所に2年行く、あるいは、高等学校衛生看護科に3年行っ て、知事の試験を受けて准看護師になるというルートで、さらにそれに加えて、その准 看護師の方が看護師になるためには、2年課程の看護師学校養成所に通うということに なります。しかしこれは、2年課程と言っていますが6割は、いわば働きながら勉強す るという定時制で、その場合には期間は3年ということになります。  なお、この准看護師が看護師になるルートとして「入学資格」の(3)、これは平成 16年4月から動き出していますが、10年以上の経験のある方は、2年間の通信課程を受 けることによって受験資格が得られる。これが新しく導入されたわけですが、平成16年 4月現在で、3校で一学年定員650名になっていまして、これは今後さらに増えていく と考えられます。  一学年定員の推移を平成10年から見たのが19頁です。例えば看護師の3年課程と2年 課程、これを両方合わせると、平成10年に一学年当たり5万2,000人余でしたが、これ がほぼ同じで、平成15年4月も同じです。准看護師の方は平成10年に2万9,000人余だ ったものが、平成15年には半分ぐらいになっている。なお、准看護師から看護師になる ための2年課程の定員が1万5,000人ばかりありますが、その数と准看護師養成所の数 が、ほぼ見合うような形になってきています その状況をグラフにしたのが20頁です。  21、22頁は入学した方の男女比を見たものです。例えば、平成6年には全体で6%ぐ らいだったのが、11%とほぼ2倍ぐらいになり、この入学した方が学校を出て就業する ので、そういう意味でも就業する方の男性比率はさらに高まっていくだろうと予想して おります。22頁です。この男性比率がいちばん高いのは准看護師で、平成15年でほぼ2 割に達するぐらいになっているという状況です。  23頁は養成所の水準と言いましょうか、それをどう測るかは難しいのですが、一応、 競争率という形で見たらどうかということで出してみたものです。大学については、一 学年定員が顕著に伸びています。応募者数も、それに見合うほどではありませんが増え ていまして、結果的にその競争率は5.5倍から3.8倍と、若干下がりつつはあるという状 況です。なお、その合格者の中から入学した方(入学率)は若干低下傾向で、8割ぐら いあったのがいまは7割強という状況になっています。定員の充足は105%ぐらいで安 定しているというのが大学です。  その2つ下の3年課程の養成所で見ますと、一学年定員は若干増加しており、応募者 数もそれに見合った形で、競争率はほぼ維持されている。ただし定員充足率は顕著に下 がってきている傾向が見受けられます。  24頁は准看護師の方の場合です。競争率はもともとそれほど高くはなくて、1.5倍程 度で維持、ないし若干増えていることもあるといったところですが、2倍以下というの が状況です。一学年定員は顕著に減っているのですが、それに見合って応募者も減って いる。これは鶏か卵かという話もありますが、それに見合った形で競争率としては、結 果的にほぼ維持されている。しかし定員充足率は若干下がっているかなということも見 受けられます。  その定員充足率をグラフにしたものが25頁です。大学ないし短大は105%ぐらいのと ころをいっていますが、養成所は100を切り始めているという状況です。  先ほど18歳人口の話がありましたが、26頁は「18歳人口に占める入学者の割合」で す。ここで入学者と言っているのは、新しく学校を卒業して看護の世界に入ってくる人 というイメージで、いちばん近いのは看護師の3年課程を卒業される方、それから准看 護師の方です。この3年課程というのはここに書いてありますように大学、短大、養成 所を含んでいますし、准看護師は養成所と高等学校の衛生看護科を含んでいますが、新 しく学校を卒業して看護の世界に入ってくる方々です。もちろん、准看護師で必ずしも 18歳ではない方もいらっしゃるわけですが、おおむねということでその数を見たもので す。  それで言いますと、数自体がいちばん最高だったのは平成7年で、6万人を超える数 になったのですが、それがだんだん減って現在は4万4,000人ぐらいという状況になっ ています。ただ、その18歳人口自体が非常に減少しているということがあって、18歳人 口に占めるこの割合で言いますと、いちばん最高になったのは平成9年で、女性が多い ということで考えて、わかりやすくイメージすれば、女性の7.3%が看護師の学校に入 るという状況になっていた。これは男性も入れた総数で見ると3.8%(4%弱)という 状況です、養成所の定員自体は減っているのですが、18歳人口自体も減っているという こともあって、現在は女子の6.3%(6%強)がこの看護の世界、学校に入ってくると いう状況です。  27頁は、看護師の養成所における質の問題の一例として、どれだけ中途で退学するの かという率を出してみたものです。特に顕著な傾向だと思われるのは、3年課程の養成 所の退学者の率が、平成6年に4.3%だったものが、平成15年に11.3%と2倍以上にな っている。つまり、入ったはいいが途中でドロップアウトしてしまう率が、かなり顕著 に増えてきている状況があります。28頁に准看護師の方についても書いてあります。こ れは率がやや高いのですが、ほぼ同じ傾向で続いているという状況です。それをグラフ にしてみたものが29頁です。  このようにして学校を卒業したあと国家試験を受けるわけですが、その国家試験の合 格率については30頁です。看護師で見ますと、最近はほぼ90%を超えるところですが、 合格率は年によって若干の差があり、特に平成13、14年は若干低くなっています。  31頁です。試験を受けて合格し、就業するということになるわけですが、新卒者と就 業者がどういう率なのかを就業者率ということで出してみたものです。これで見ますと 大学については、もちろんこれは看護系の大学ですが、就業者率はかなり高い、9割弱 の方が看護職員として就業したという状況が見受けられます。短大になると若干下がっ て7割強。短大の場合にはさらにまた保健師なり助産師の学校に進むということも当然 あるので、その分があって下がっているとも考えられます。3年課程の養成所の場合 は、平成15年で大体9割が就業している。その前の平成13、14年がちょっと低いのは、 合格率が低かったのが反映されているとお考えいただければいいと思います。  32頁です。准看護師の方の場合はいま申し上げた傾向とちょっと違いまして、新卒者 のほぼ5割強が就業されているということです。この就業の中には、先ほどの2年課程 の定時制に行った方、つまり、准看護師として働きながら勉強するという方も含まれて いますが、それを入れても半分強の方しか働いていないというのが現状です。以上をグ ラフにしたのが33頁です。  私どもで用意させていただいた資料は以上です。 ○宮武座長  ありがとうございました。大部な資料ですが、ご覧いただいてご質問なりご意見なり ありましたら遠慮なくどうぞ。 ○西澤委員  17頁の「病院の100床当たり看護職員数」という所の数字は、病院の場合は外来にも 看護職員が必要となっていますが、補正した数でしょうか。それともそれは無視した数 でしょうか。 ○野口看護職員確保対策官  これは外来の部分も含めて、病院の職員全体を、単純にベッド数で割ったものです。 ○西澤委員  ということは、現状から見ると、外来での必要数を無視したということになります ね。 ○野口看護職員確保対策官  そういうことになります。 ○花井委員  10頁の「新規採用者存続率」は、各県ごとの統計はあるのですか。さまざまな所で看 護師さんの話を伺うと、地方の学校を出ても、地元に就職しないで、みんな都会のほう に行ってしまうとおっしゃる先生が結構いらっしゃいます。医師の地域格差があると同 じように、残っている方も退職されている方も、相当地域差があるかと思うのです。そ の辺の資料はあるのでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官  この資料自体、なかなかいいものがなくて、これは看護協会でやっていただいた調査 をもとに出したものですので、私どもで中身までなかなか申し上げられないのですが、 私どもの手に入る範囲で見ると各地域ごとに出しているものはありません。看護協会の ほうでそういうものを出せるかどうかということかと思います。 ○菊池委員  いまの「病院看護基礎調査」や「病院看護職員の需給状況調査」を各県別に集計する ことは可能ですので、もし必要でしたらそれを次回にでも準備することはできると思い ます。 ○宮武座長  32頁です。准看護師の方たちは就業者率が50%台で、その中には当然、ステップアッ プを目指して、働きながら定時制で学んでいる人もいるということですね。そうする と、それ以外の人はどこへ行ってしまうのですか。 ○青木委員  私も、いままでずっとお話を伺って、ほぼ納得なのですが、これだけはちょっと本当 にそうかなという部分があります。高等学校衛生看護科と書いてありますね。5年制に 変わってきた部分というのはありますが、高等学校の衛生看護科を卒業した者は、ほぼ 100%近く専攻科に入っているはずですから、この数字はそういう数字が入っているの ではないかと思います。  それと、准看護師養成所は医師会立が多いわけですが、その実態調査等からすると、 社会人入学が非常に増えています。ですから、その資格は取ったが仕事はしないよとい う人が多いのかなと。それはもう1回調査しようとは思いますが、ちょっとこの数字は 納得できないですね。 ○田村看護課長  私どもでは各学校・養成所に対して入学者・卒業者の調査をさせていただいておりま す。それで出ている数字を申しますと、この平成15年については、准看護師の学校・養 成所を卒業しながら未就業という人のうち、いま青木委員がおっしゃられたように、 「進学」とする人が8,113人おられます。高等学校の専攻科なり2年課程の学校にその まま進んだということだと思います。全く未就業で「その他」という人が1,513人。就 業はしたけれど、看護職以外で何かの仕事に就いたという人が290人。そういう卒業時 調査の結果でした。圧倒的に2年課程への進学が多いということです。 ○花井委員  8頁の准看護師の所です。男性比率がほかと比べて5.8%と高くなっていて、先ほど、 精神科のほうに多いというご説明だったかと思うのですが、その辺の背景分析は何かさ れているのでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官  先ほども、そういう事情を反映しているのではないかと申し上げたのであって、正式 な数字として把握して申し上げたわけではないのですが、精神科の、特に民間の病院の 場合、准看護師で働いていらっしゃる方が多いので、場合によっては、力仕事になった りするところもあるのかなということも考えられるので、そういうところも反映されて いるのではないかと。ちょっと印象で申し訳ありません。もし数字等あればまたお出し したいと思います。 ○宮武座長  資料があれば後ほどまたご提出願います。 ○菊池委員  1頁の就業場所別の就業者数の所で、訪問看護ステーションが最近は伸び悩んでいる という数字になっているのですが、実際にはこの訪問看護に対する需要、潜在的なニー ズは非常にあるのではないかと思っています。「ゴールドプラン21」でも9,900カ所か を予定しているけれど、その設置が遅れているようです。在宅で人工呼吸器を装着して いるような方に訪問看護をしていくとか、医療的なケアが必要な所に訪問看護が出向い ていくというようなことは、本当はニーズがあるのだけれど、なかなか就業者に結びつ いていないということがあります。これは政策的に是非、確保という方向で進めていた だきたいと思います。実際にニーズがあるということが、各県が見通しを立てるとき に、反映するように、こちらが算定方法のところに織り込むのでしょうか。今度の見通 しを立てるときには、そういうこともちゃんと盛り込んだほうがいいと考えています。 ○宮武座長  その表で訪問看護ステーションの隣の「社会福祉施設」は、平成13年から14年にかけ て、人数が突然ガクッと減っていますね。これはどういう理由ですか。 ○野口看護職員確保対策官  申し訳ありません。説明を補足すればよかったのですが、平成10年について、やや、 その集計の方法を変えたのです。それまでは介護老人福祉施設を社会福祉施設に入れて いたのですが、それを隣の欄に別掲し、居宅サービスの欄も増やしたからで、総数が減 ったということではありません。 ○宮武座長  老健施設は別に掲示して、残っているのはどういうものですか。 ○野口看護職員確保対策官  障害の施設とか、保育所、児童福祉施設などです。また事業所も、平成13年には1,700 ぐらいだったのが急に6,000に増えて、「その他」の所が1万8,000から7,000に減って いるのは、それまで「その他」に計上していた部分を集計のときに明確にどちらに入れ るべきか、はっきり方針を出したものですから、これが事業所のほうに入ってきたとい うことです。 ○宮武座長  それは何ですか。 ○野口看護職員確保対策官  企業内の保健師です。 ○田村看護課長  ちょっと追加します。これまでは「事業所」という欄が看護師、准看護師には作られ ていませんでした。しかし実態として、そうした所で働いている人も多いということも あり、そういう欄を作った結果、そこへ計上されてきた人の数がかなりあって、4頁に あるように看護師で2,987人、准看護師で1,100人いた。そうした数を「その他」の欄か ら新たにこちらの欄に加えた結果、これまでは保健師だけしかカウントされなかった 「事業所」の所が、急に人数が増えたかのように見えているということです。 ○宮武座長  企業などの、要するに会社内における診療所などの問題もここですね。 ○田村看護課長  はい、そうです。 ○青木委員  同じく1頁で、ちょっと理解しづらいのが診療所の就業者数です。これは10年前に比 べて30%ぐらい増えているということですね。有床診療所はずいぶん減っているはずで すが、どうしてこういう形になるのか。実数が把握できてきたということですか。下の 注には、推計方式のようなものがありますが、少し変わったのですよね。 ○野口看護職員確保対策官  診療所については、医療施設調査は平成11年と平成14年で数字が出るのですが、その 間の数字はないので、その部分は推計させていただいているという。技術的にはそうい うやり方をさせていただいているということが1つあります。診療所自体は、先ほど医 療施設の数の所でありましたとおり、診療所自体の数は増えています。有床診療所のベ ッド数は減っているのですが、開業されている診療所の数自体は増えているという状況 がありますので、それを反映していると考えております。 ○森委員  愛知県では昨年度、平成15年に基礎データであるこの「需給見通し」の中間年にあた り、基礎データの検証をしろということで実態調査をしましたが、そのときに「見込み 」と違っているのが診療所の人数です。細かいデータを今日は持ってきていないのです が、診療所の人数が「見込み」よりはるかにたくさん就業しているというデータが出て いました。診療所の数ももちろん増えています。  それと、先ほど離職率が、平成11年で10.9%でしたか。平成12年に需給見通しを策定 するときには、その数値を使って離職率を見込んでやっていましたが、今回の調査で、 回収率はちょっと悪いのですが、離職率が13%ちょっとぐらいに上がっているという状 況でした。また、ナースセンターを通しての就職者は毎年大体1,200〜1,300人ぐらいと いう実績があるのですが、ナースセンターを通さずに就職している人の数、潜在してい る人の数が「見込み」よりはるかに多かったという実態がありました。だから今回、そ のあたりも踏まえて需給見通しを考えていく必要があるかなと感じております。 ○宮武座長  ありがとうございました。予定の時間までもう少し余裕がありますが、大変大部な資 料なものですからいきなり見てもなかなか難しいです。ですから次回からはなるべく事 前に配付していただけると大変ありがたいと思います。 ○浅川委員  検討会の日程(案)の所に「9月上旬に需給見通し策定の方向性提示」とあります が、提示というのは、都道府県に提示でしょうか。それとも、2月に都道府県に、算定 方法を決定してから提示するのでしょうか。都道府県による作業が4〜7月と4カ月間 になると、とても厳しいのではないかと思うのです。第4回目が9月ですので、もう少 し早く算定方法を都道府県に提示されるほうが実態に即した、または、政策と十分関連 させながら数が出てくるのではないかと思いますので、私は早く、平成16年の中で提示 されることができないのだろうか、そのほうがいいのではないかと感じるのですがいか がでしょうか。 ○宮武座長  ご注文ですね。 ○野口看護職員確保対策官  これはあくまでも事務的に、こういうように予定させていただいているということ で、またさまざまご意見をいただければと思いますが、この9月の頭に、頭というわけ でもないのですが、8月を超えて都道府県向けにメッセージを出したらどうかと言いま すのは、場合によってこれは調査に予算がかかるのではないだろうか。そうすると各都 道府県で予算要求をしなければいけないと。その予算要求の作業が、実際に秋ぐらいか ら都道府県で本格化するということがありますので、予算要求向けの材料がないとなか なか議論ができないのではないだろうかという意味で、事務的には予算要求ができるよ うな資料を想定したというのが実情です。  そういう意味であまり細かいところまで出すということではなくて、例えば何年間ぐ らいの見通し、例えば5年にするのか、7年にするのかとか、実態調査については抽出 調査がよいとするのか、それとも、やはりある程度全数で見たほうがいいのかとか、予 算要求をする際に、金額に影響しそうなところを特に頭におきながら、骨格的なものが 示せないかというのが、私どもがもともと想定しているイメージです。  確かに、この調査の期間で時間が十分かという問題はあるのですが、平成12年のとき にはもっときつかったという反省を踏まえてこのぐらいの時間を確保させていただいた らどうかという私どもなりの考え方と、要は、調査をするにしてもあまり変動要素が大 きいと、なかなかつかみきれないのではないか。特にいつごろ介護保険の見直し議論に 先が見えてくるのかということもあります。その辺は置いておき調査しましょう、とい うわけにもいかないのではないかということもあったものですから、その辺の動向がわ かった上で、翌年の2月ぐらいにある程度、もう少し細かいものが出せればということ を私ども、事務的には想定したという事情ですが、そのことも含めてまたいろいろご議 論いただければと考えております。 ○宮武座長  いかがですか。 ○浅川委員  それにしてももう少し早いほうがよろしいかと思います。また検討していただきたい と思います。 ○宮武座長  そうですね。 ○浅川委員  なにも、一斉にということではなくて、段階的に方向性を促すとか、いろいろあろう かなと思います。 ○宮武座長  佐藤委員、いかがですか。いまのご説明でやれるのか、それとも、わりと配慮してく ださっているのかが私どもはよくわかりません。 ○佐藤委員  いろいろ申し上げたいことがありますが、こういうものをどのくらい精緻にやるかと いうのは、ある程度エイヤっの部分がありますので。きっちりやればそれはもう、とて つもなくきっちりになります。例えば最近の流れで言うと、病床利用率などはかなり下 がっていますから、それをどう見ていくかといったようなことまで含めて本当に細かく やると、それはもうとんでもないものになりますね。私自身はこのスケジュールでも、 まあまあ、なんとかなるのかなという気はします。 ○宮武座長  要するに、予算をつけるために、9月の上旬ごろというほうがむしろ都合がいいので しょうか。 ○佐藤委員  ですから、何度も言いますが、そのためだけにまた新たにどのくらい精緻にやるかと いうことにもなるかと思います。既存のデータを使いつつやるということであれば患者 抽出だとか、医療施設動態調査や静態調査など、そういうものを使えばかなりのものが できますし。この場で、どの程度新しい要素を盛り込むということになるのかによると 思うのです。ちなみに、ちょうど私どもでは、地域医療計画の見直しをやろうとしてい るのですが、そこではもう特別に調査はしないという形で考えています。 ○宮武座長  浅川委員、これは議論の中でもう一度ご注文があるかと思います。 ○菊池委員  今回の需給見通しは、看護対策の基礎資料になる重要な資料だと思いますので、でき るだけ丁寧に看護の需要を見て、それに必要な供給がどうなるかという見通しをできる だけ、丁寧に拾っていただきたいと考えております。  それで、次回に、もしあったら資料として出していただければと思うものがありま す。それは、就業者の実態の所で先ほど診療報酬の話が出ました。実際に入院基本料 で、いろいろな段階・基準があって人が確保されていますが、その入院基本料別の実態 として、どのくらいの看護職員が配置されているのかというような資料。それから、夜 勤の人員を確保するために、夜勤看護加算の1、夜勤の10対1の点数がこの前ついたの ですが、その辺がどのくらいちゃんと利用されて確保されているかとか、そういう資料 もいただけたらと思います。  もう1つ。前回の需給見通しのときに、専門的な業務を担う看護師の需給も考慮する ということが入っていて、各県でそれを入れてくださったかもしれませんが、その専門 的な業務を担う看護師も増えてきています。例えばリスクマネージャー、認定看護師、 専門看護師などが増えてきています。私どもとして出せるものもありますが、そのあた りの数も出していただいて、そういう専門的な業務を担う看護師を確保し、量だけでは なくて、看護の質を向上させるためのマンパワーの必要性も、算定のときに考慮してい ただきたい、そのための資料を出してくださればと思います。 ○宮武座長  あとはいかがでしょうか。 ○佐藤委員  先ほどのどのくらい精緻にやるかという話は、何と絡むかというと、この需給見通し 検討会の結果を踏まえてどういう方向、何か施策に反映していくのかどうかというとこ ろと、大きくつながってきていると思います。先ほど野口対策官がおっしゃったよう に、まあまあ、いろいろご不満等はあろうかと思いますが、何十年の歴史の中で、おそ らく初めてと言っていいくらい均衡に近いところまできました。そうすると、今日は少 し難しいと思いますが、養成施設みたいなものをどうするのかという議論にいくのかい かないのか、あるいは養成施設と全く別の議論にいくのか、というところでその調査を もう少し精緻にしていくのかとか、特別の調査を入れていくのかによると思います。た だ単に、数字を出せばいいのだ、よろしくという話であれば、それはそれで1つの見識 だと思いますし、その辺を教えていただければと思います。それによって予算も取っ て、精緻な調査をするというところにいくと思います。 ○浅川委員  策定された需給見通しの数値は、本当に望ましい形で進展してきていると感じます。 神奈県も、かなり策定した状況に近い形で進んできてはいるのですが、実はその数と、 実態として必要とされている数との間に乖離があるように感じるのです。例えば病院と しては、本当はもう少し手厚く配置したいとか、訪問看護ステーションも、看護職員が 確保できないために閉じざるを得ないとか、いまの在院日数の短縮化を受けて、在宅で 対応していかなければいけない部分が整わないとか、老人保健施設・福祉施設に至って は、いくら求人をしても、少なくとも看護師という人は来ないとか、そういう実態があ ります。それを考えると見通しを立てられた当時の整えるべき体制というのが、実は実 態よりも少し低く見積りすぎたのではないかという感覚があるのです。いま委員がおっ しゃったのですが、私としてはもう少しちゃんと、本当の必要性が反映できた需給にし ていく必要がある、作るための数字ではなくて、と考えたのです。細かく都道府県が積 み上げる段階できちんと見て、ある程度現場のイメージ化を図って進めていく必要があ る。もちろんお金の問題も絡みますが、その数を出したときにはじめて、お金も動いて いくのではないかと感じます。 ○青木委員  全く賛成です。最初に申し上げたように、看護基準でものを考えるとやはり間違いだ と思います。それと、いまの浅川委員のお話にプラスさせていただければ、最初に出た 地域間格差と医療機関の間の格差。これがしっかり現存していると私は考えます。 ○宮武座長  検討会を設けないで需給見通しを立てたときもあるわけですから、検討会を設けられ たということは、真剣にやろうということだろうと思います。 ○宮武座長  どうもありがとうございました。本日はこれで終わります。 ┌──────────────┐ │照会先           │ │ 厚生労働省医政局看護課  │ │ 赤熊(内線2593)吉武(2597 │ │ ダイヤルイン 03-3591-2206 │ └──────────────┘