障害者雇用問題研究会(第1回)                    議事録 1 開催日時  平成16年6月1日(火) 10:00 〜 12:00 2 開催場所  厚生労働省(中央合同庁舎第5号館) 5階 専用第13会議室 3 出席者  ・ 委員     北浦委員、諏訪委員、関委員、高橋委員、舘委員、中村委員、畠山委員、     松矢委員、箕輪委員、輪島委員  ・ 事務局     太田高齢・障害者雇用対策部長、谷中障害者雇用対策課長、今井調査官、     赤松課長補佐、平川課長補佐、工藤障害者雇用専門官他  (欠席された委員)     倉知委員、森戸委員 4 議題  (1) 「障害者の在宅就業に関する研究会」報告及び「精神障害者の雇用の促進等に関   する研究会」報告について  (2) 今後の検討スケジュールについて  (3) 障害者の在宅就業に関する主な検討課題について 5 資料  資料1 障害者雇用問題研究会開催要綱  資料2 「障害者の在宅就業に関する研究会」報告書及び概要  資料3 「精神障害者の雇用の促進等に関する研究会」報告書及び概要  資料4 障害者雇用問題研究会検討スケジュール  資料5 障害者の在宅就業のイメージと主な検討課題  資料6 在宅就業障害者の考え方(論点1)/在宅就業支援団体の考え方(論点2)  資料7 障害者の在宅就業の実態について  資料8 審議会等会合の公開に関する指針 6 議事 ○事務局(平川課長補佐)  時間になりましたので、始めさせていただきたいと思います。ただ今から、第1回 「障害者雇用問題研究会」を開催いたします。委員の皆様方には、本日はご多忙のとこ ろご参集いただき、ありがとうございます。座長が選出されるまでの間、事務局で司会 を務めさせていただきます。障害者雇用対策課の平川と申します。よろしくお願いいた します。  ではまず、研究会の開催に当たりまして、太田高齢・障害者雇用対策部長よりご挨拶 申し上げます。 ○太田高齢・障害者雇用対策部長  太田でございます。第1回の「障害者雇用問題研究会」の開催に当たり、一言ご挨拶 申し上げます。委員の皆様方には、日頃より障害者雇用の促進に当たり多大なご協力を 賜り、厚く御礼申し上げます。また、大変ご多忙のところ、本研究会にご参集いただき まして、誠にありがとうございます。  この研究会でございますけれども、主に、本研究会に先立って報告書が出されました 二つの大きな課題、すなわち「障害者の在宅就業の推進」及び「精神障害者の雇用促進 」を中心に、いくつかの課題につきましてご検討いただきたいと思っております。  まず、「障害者の在宅就業の推進」についてでございますが、諏訪先生を座長に大変 ご尽力いただきまして、4月に報告書がとりまとめられたわけでございますけれども、 障害者にとりましても、在宅就業の意義でございますとか、在宅就業支援策の方向性に ついて示されたところでございまして、今後、支援策の具体的なあり方、特に法制度上 どのような仕組みを講ずるかということにつきまして、さらに検討を進める必要がある と考えているところでございます。  それから、もう一つの主要な検討事項であります「精神障害者の雇用促進」について でございますが、これにつきましても、高橋先生を座長に大変精力的な研究会を重ねま して、5月に報告書がとりまとめられております。この中で、雇用支援策あるいは精神 障害者への雇用率適用のあり方などにつきまして、方向性が示されております。さら に、具体的な支援策、法整備のあり方につきまして、検討を深めることが必要であると いうふうに考えているところでございます。  この研究会では、今申し上げましたような課題につきまして、特に制度面、法制面か らのご検討をお願いしたいと考えておりますが、あわせて、雇用支援策も大変重要な課 題でございますので、活発なご議論をお願いしたいと思っております。  さらに、これらの大きな二つの課題のほかにも、例えば地域での雇用と福祉の連携に よる就労支援のあり方も大変重要な課題となっておりまして、こういう点につきまして もご検討いただきたいというふうに考えているところでございます。  私どもとしましては、この研究会の検討結果を踏まえまして、法改正も視野に入れて 障害者の雇用支援策の充実強化を図っていきたいと考えているところでございます。委 員の皆様方には、大変ご多忙の折、誠に恐縮ではございますが、障害者雇用の一層の促 進のために、なお一層のご理解とご協力のほどをお願い申し上げまして、ご挨拶とさせ ていただきます。どうもありがとうございました。 ○事務局(平川課長補佐)  それでは、本日は第1回目ということですので、各委員の方々と事務局のメンバーを ご紹介させていただきます。 (名簿順に従い事務局から委員紹介)  なお、本日は、東京福祉大学社会福祉学部助教授の倉知委員、成蹊大学法科大学院教 授の森戸委員が都合によりご欠席されています。  次に、事務局のメンバーを紹介いたします。 (部長以下順に紹介)  なお、谷中障害者雇用対策課長につきましては、本日所用のため欠席となっておりま す。  次に、本研究会の開催要綱について説明させていただきます。  まず、資料1の「障害者雇用問題研究会開催要綱」の方にいきたいと思います。1の 趣旨を読み上げさせていただきます。  「近年、障害者の社会参加が進む中、障害者の就労に対するニーズは高まりを見せて いるが、平成14年末に策定された「障害者基本計画」、「重点施策実施5か年計画」 は、障害者の地域における自立を進めるための施策をさらに進めることとしており、こ うした傾向は今後とも一層強まることが見込まれる。  特に、精神障害者については近年、有効求職者数、就職者数ともに増加しており、平 成14年の「障害者の雇用の促進等に関する法律」の改正に際しての附帯決議では、精神 障害者の雇用率制度の適用について、諸問題を早期に解決し実施することが求められ た。  また、近年、ITの進展等により、通勤が困難な重度障害者がインターネット等を活用 して在宅で就業するといった例がみられており、ITを活用した在宅就業が障害者の就業 機会の拡大を図る上での重要な方策の一つとなることの可能性が指摘され、支援策の必 要性が問われているところである。  これら「障害者の雇用の促進等に関する法律」を取り巻く状況及び諸課題について、 制度面の対応のあり方について検討を行うため、学識経験者等の参集を求め、障害者雇 用に関する諸問題についての「障害者雇用問題研究会」を開催するものである。」  以上が研究会開催の趣旨でございます。研究会の運営、参集者、開催時期はこちらに 書いてある通りですので、ご覧いただきたいと思います。  5の検討事項のところですが 、まず、部長の挨拶にもございましたが、大きく二つ、 まず、(1)精神障害者の雇用施策のあり方について、それから、(2)ITを活用した障害 者の在宅就業について、(3)その他、ということになってございます。  開催要綱の方は以上でございまして、研究会の運営のところで、研究会の座長は参集 者の互選により選出するということになってございますので、要綱に従いまして、座長 の選任に入らせていただきたいと思います。座長の選出につきまして、どなたかご推薦 がございましたらお願いいたします。 ○北浦委員  既に、「障害者の在宅就業に関する研究会」の座長をはじめ、雇用・労働関係の各種 研究会で委員を務められてきた諏訪委員が適任であろうかと思いますので、推薦させて いただきたいと思います。 ○館委員  私も賛成です。 (「異議なし。」の声) ○事務局(平川課長補佐)  ただ今、北浦委員と館委員から、諏訪委員を座長にというご推薦がございましたけれ ども、皆様よろしいでしょうか。 (「異議なし。」「はい。」の声) ○事務局(平川課長補佐)  それでは、ご異論がございませんようですので、本研究会の座長を諏訪委員にお願い 申し上げたいと思います。  次に、会議の公開についででありますけれども、資料8としてお配りしてあります が、厚生労働省における「審議会等会合の公開に関する指針」というのがございまし て、そこにございます通り、懇談会、行政運営上の会合は、個人情報を保護する必要が ある場合などを除き公開することとし、特段の事情により会議又は議事録を非公開とす る場合は、その理由を明示することとされています。これに従いまして、本研究会につ きましても、会議及び議事録につきましては原則公開という扱いになります。会議の開 催の都度、その議題を踏まえまして、会議及び議事録の公開についての取扱いを判断す ることとしたいと考えております。  なお、本日の会議につきましては、第1回の会議でありますので、この場において本 日の会議の公開に関する取扱いについて委員の皆様にお諮りする予定であるということ で、非公開としております。  配布資料につきましては、原則として公開するものといたしますけれども、取扱いに 注意が必要な資料の場合は、その旨を表示し、非公開の扱いとするものとさせていただ きたいと思います。 また、議事録につきましては、各委員に内容をご確認いただいた上で公開とし、公開に 差し支えがあるようでしたら議事要旨のみの公開ということにしたいと考えておりま す。 (「異議なし。)の声)  それでは、諏訪先生、これからの議事進行について、よろしくお願いいたします。 ○諏訪委員(以下、座長)  それでは、ご指名をいただきましたので、座長を務めさせていただきます。どうぞよ ろしくお願いいたします。早速ですが、議事に入らさせていただきます。  最初に、本日の議題のうち、(1)の「『障害者の在宅就業に関する研究会』報告及び 『精神障害者の雇用の促進等に関する研究会』報告について」でございますが、これを 議論いただきたいと思いますが、あわせて(2)の「今後の検討スケジュールについて」 まで、まず事務局からご説明を受けまして、その後、皆様と質疑応答あるいは意見交換 をさせていただこうと思います。  それでは、事務局からよろしくお願いいたします。 ○事務局(平川課長補佐)  それでは、資料2と資料3に基づきまして、説明をいたしたいと思います。  まず、資料2の「障害者の在宅就業に関する研究会」報告書の方についてですが、最 初の2枚が概要版になってございます。それに基づきましてご説明いたしたいと思いま す。  「障害者の在宅就業に関する研究会」でございますが、平成14年8月から今年の4 月まで、延べ11回にわたり開催されました。諏訪先生に座長を務めていただきまし た。  研究会設置の背景でございますが、このIのところになりますけれども、例えば、通 勤が困難な重度障害者の方がインターネットを活用して在宅で就業するという例がみら れるようになってきておりまして、ITを活用した在宅就業が障害者の能力に応じた就業 機会を拡大し、障害者の自立を図る上での重要な方策の一つとなり得るのではないかと いう考え方を背景としてこの研究会が立ち上がったわけでございます。そして、研究会 では、ITを活用した在宅就業による障害者の就業機会の拡大のための施策について検討 を進めてまいりまして、今年の4月にその検討結果がとりまとめられたところでござい ます。  その検討結果ですけれども、IIのところで、「障害者の在宅就業支援の考え方」につ いて整理してございます。最初の○でございますが、通勤等移動に制約を抱え、あるい は健康上の理由等から、企業での勤務に耐えられない障害者にとって、多様な働き方の 選択肢が準備されることは、仕事を通じての自己実現、職業的な自立を図る上で大きな 意義を持つということが、基本的な考え方としてございます。こうした障害者の在宅就 業につきまして、就業機会の増大ですとか、キャリア形成あるいは能力開発機会の提供 といったことのための支援策を講ずることが極めて重要である、といった考え方が示さ れております。  二番目の○印でございますが、企業に雇用されるための支援策に在宅就業支援策を組 み合わせることによって、障害者の就業機会の拡大を図ることが適当、また、在宅で雇 用されて働くことを目指す障害者については、その希望が実現するよう、在宅勤務の推 進を図ることが必要、と書いてございます。これは、雇用のみにとらわれることなく、 その働き方の選択肢を増やすことによりまして、就業機会の増大を図ることが必要、と いう考え方が前提でありますけれども、一方では、多様な働き方についての環境、制度 などの整備が現状においてはまだ途上にあるということで、雇用支援策を基本とすべき である、という考え方が示されてございます。  三番目の○印でございますが、障害者の在宅就業者の労働条件や就労環境を向上させ ていくためには、仕事の確保、知識・技能の修得機会の確保、品質の保証等の面で、在 宅就業障害者と発注元事業主の双方にとってのセーフティネットとなり得る機能を充実 させていく必要、と書いてございます。具体的には現在、これらの機能を果たしており ます在宅就業支援団体を整備していく必要があるという考え方が示されております。  一枚めくっていただきまして、こうした基本的な考え方に基づきまして、その具体的 な支援策の方向性ということで、6項目整理してございます。  まず、(1)「障害者の在宅就業への発注に対する奨励」ということでございますけ れども、研究会では、アンケート調査ですとか、ヒアリングなどを行った結果明らかに なったことでありますが、在宅就業の抱える問題の最も大きなものの一つとして、仕事 の安定的な確保が難しいということがございます。つまり、発注される仕事の量そのも のが少なくて、仕事の確保が困難であるという結果が出ておりまして、こうした状況か ら、(1)のところで、仕事の発注量を増やすための奨励策ということで書いてござい ます。そして、そのための仕組みといたしまして、下に、(マル1)、(マル2)、(マル3) と奨励策として考え得る選択肢を挙げてございます。  (マル1)は、一定額以上の外注を一人分の雇用とみなして、発注元事業主の雇用率に 算定する、ということ、(マル2)は、雇用率には算定いたしませんけれども、雇用率未 達成企業が支払うべき納付金を減額したり、雇用率達成企業等が受け取る調整金、報奨 金に加算を行うということ、そして(マル3)は、上の(マル1)、(マル2)とはまた別に、 何らかの経済的な奨励措置を講じる、例えば、助成金のようなものを設定したりという ことで、3案挙げてございます。どの項目が適当かは雇用支援策との関係を念頭に置き つつ、今後検討する必要があるということでまとめられております。  (2)の「官公需における配慮」でございますけれども、これは、今申し上げた(1)と同 じように、発注奨励策の一つでございまして、在宅就業に対する発注上の優遇措置を各 地方公共団体に普及する必要がある、それから、国も障害者基本計画を踏まえ、障害者 の在宅就業への発注に際しての配慮について、十分な検討を行っていく必要があるとい うことでございます。  (3)の「セーフティネットとしての支援団体の整備」でございます。これは先ほども 申し上げましたけれども、在宅就業支援団体は障害者と企業の間に立ちまして、移動に 制約があって営業活動が困難な障害者に代わって営業活動を行ったり、団体として仕事 を受注して、登録障害者に分配したり、あるいは、障害者に代わって企業に対して納品 したものの品質に責任を負うといった機能も果たしておりまして、そのような支援団体 をセーフティネットとして整備していく必要があるのではないかということでございま す。  そして、(4)の「在宅勤務の環境整備」でございます。在宅勤務は企業に雇われて家 で働く雇用形態のとことですけれども、そういった在宅勤務が進み易いような環境整備 を行っていく必要があるのではないかということでございます。  (5)の「能力開発機会の提供」は、非常に制約がある障害者の方の場合ですと、集合 研修への参加が容易でないということがございますので、研修機会の制約を補うための 施策を実施していく必要があるということでございます。  (6)の「在宅就労コーディネーターの育成」というところでございまして、請負、雇 用という就労形態にかかわらず、障害者の在宅での仕事のコーディネートを行う人材を 育成し、その配置を支援していく必要があるということで、六つの方向性が示されてい るところでございます。  在宅就業の研究会に関しては、以上でございます。  続きまして、「精神障害者の雇用の促進等に関する研究会」の報告書ですが、資料 No.3になります。こちらも最初の4枚が概要版になっておりますので、これに基づき まして説明いたします。  この研究会は、平成14年7月から15回にわたり、今年の5月まで開催されまして、高 橋委員に座長を務めていただいたものです。検討課題は、大きく二つございました。  まず、一つ目は、雇用支援策ということで、特に採用後に精神障害者となった在職精 神障害者に対する支援策のあり方が大きな検討課題の一つでございました。二つ目の検 討課題ですけれども、精神障害者に対する雇用率適用のあり方についてということでご ざいました。  最初の、雇用支援策のあり方についてでございます。IIの1として「在職精神障害者 に対する雇用支援」とございますが、在職者に対する雇用支援の基本的な考え方といた しましては、「精神障害者の雇用に伴う企業の負担感の緩和を図ることは、在職精神障 害者の雇用の安定等に役立つことはもちろん、企業の精神障害者の雇用に対する理解の 浸透、ひいては全体的な精神障害者の雇用の促進をもたらす」といった考え方の下に支 援策を検討してございます。  「具体的な支援策の方向性」といたしましては、まず地域障害者職業センターが今現 在行っております「精神障害者職場復帰支援事業」、これは「リワーク支援事業」とい っておりますが、精神障害者の方で今会社を休職中の方の復職を支援するという事業で ございます。本年度より開始されておりますが、これを積極的に展開する必要があると いうことでございます。それからまた、企業が主治医など外部機関との連携を図りなが ら、復職支援の中心となるスタッフを配置することに対して支援を行う必要がある、そ れから、精神科医に対して、産業医療についての理解・普及を図る、さらに、企業向け 相談窓口の設置をする、また、地域障害者職業センターの在職精神障害者に対する支援 についての充実を図る必要がある、そのような方向性が示されております。  2は「雇用促進へのための支援策」ということで、これは新規雇用の方になりますけ れども、まず基本的な考え方といたしまして、実際の職場での訓練あるいは試行的に雇 用される機会をさらに増やすことが必要である、それから、就職後の労働時間の配慮や 生活面も含めた相談支援を行うことにより、職場定着を図ることが必要である、とった 考え方が示されております。  次に(2)の「具体的な支援策の方向性」ですけれども、まず、特例子会社や重度障 害者多数雇用事業所、社会適応訓練事業の協力事業所、いわゆる職親等を委託先とする 委託訓練の活用を図る必要がある、と書いてございます。それから、「障害者試行雇用 事業」、これは「トライアル雇用」と呼ばれているものですが、トライアル雇用のさら なる拡充に努めていく必要があるということ、さらに、短時間労働に対する支援を行う 必要がある、これは、精神障害者の方の特性といたしまして、最初から長時間働くこと が困難であるというようなことが言われておりますので、こういった短時間労働に対す る支援策として、現在でも障害者雇用助成金は精神障害者の方については週15時間以上 働く方も対象となっておりますけれども、その活用を図る、ということでございます。 それから、雇用率について、精神障害者の方に雇用率を適用するに当たっても、短時間 労働者の雇用にかかる特例を設けることが適当である、ということが示されておりま す。  また、障害者就業・生活支援センター、これは障害者の方を就業面・生活面の両面か ら支援するセンターでございますけれども、これの整備を進める必要がある、さらに、 ジョブコーチの積極的な活用など、障害者職業センターの企業に対するサポート機能、 障害者職業総合センターにおける調査研究や技法開発から各地域における支援といった 各段階の支援体制を整備する必要がある、といった考え方が示されています。以上が、 雇用支援策のところでございます。  IIIは「精神障害者に対する雇用率制度の適用について」ということでございます。 1の「雇用率適用のあり方」というところですけれども、現在は身体障害者、知的障害 者の方にしか雇用義務はかかっておりませんけれども、精神障害者についても将来的に は雇用義務制度の対象とすることが考えられる。ただし、現段階では、本格的な実施の 前に、まずは何らかの形で雇用を奨励し、精神障害者を雇用している企業の努力に報い るという形を採るということが適当である、というふうな考え方が示されておりまし て、これを具体的に申しますと、現時点では、精神障害者の方について雇用義務は課さ ない。つまり、現在、法定雇用率の1.8%は変更しないけれども、企業が精神障害者の方 を雇った場合に、それを実雇用率に算定し、例えば納付金の減額等を行うというという ような形が適当である、というような考え方が示されております。  その場合、雇用率適用に当たっての対象者の把握・確認方法ということが大きな課題 としてあるわけでございますが、精神障害者の方の把握・確認につきましては、例えば プライバシーの問題が生じるということなどが指摘されておりまして、その方法といた しまして、公正、自立性、第三者機関によって行われるべきこと等を考えると、精神障 害者保健福祉手帳のの所持をもって把握・確認し、実雇用率に算定することが適当であ る、ということが示されております。また、同時に、プライバシーに配慮した把握・確 認のあり方について、企業にとって参考になるものを示す必要があるという方向性が示 されております。  報告書の説明は以上でございます。 ○事務局(赤松課長補佐)  続きまして、資料No.4ですが、障害者雇用問題研究会の検討スケジュール案について 説明させていただきます。  本研究会につきましては、いわゆる精神障害者の雇用対策、それから在宅就業者対策 とともに、既に長期にわたってご議論いただきまして、報告書もとりまとめていただい たところでございます。論点についても、明確にしていただきましたことから、本日を 含め、計6回のスケジュールを提示させていただいたところでございます。  大まかな流れとしましては、本日、第2回、第3回については在宅就業に関する検討 を、それから、第3回、第4回については精神障害者の雇用促進策についてのご検討 を、そして、第5回はその他の議題といったものを事務局として考えております。  具体的に申し上げていきますと、在宅就業につきましては、本日、施策の対象とする 在宅就業者はどういう障害者であるかとか、また、障害者の在宅就業を支援する団体の 役割、法令上の位置付け、そういったものをご検討いただきたいと思っております。第 2回につきましては、在宅就業の発注奨励策について、報告書で指摘されました3案、 すなわち、一定額の発注を一人分の雇用とみなしまして、発注元事業主の雇用率に換算 していく。二つ目は、雇用率未達成企業が支払います納付金を減額する、あるいは、報 奨金・調整金を増額するといった考え方。三つ目は、これらとは別に、何らかの経済的 な奨励措置を設ける。そういった3案について、それぞれ具体的な適用のあり方、どの ように雇用率に換算していくのか、そして、どのように納付金を減額していくのか、奨 励措置・金額をどういった考え方で設定するのかについて、案を示しまして、ご検討い ただきたいと思っております。また、発注額の把握・証明方法、それから、不正の防 止、諸々の点につきまして、あわせてご検討いただきたいと思っております。  第3回につきましては、この他、例えば、企業が在宅勤務を進める上で、コーディネ ーターを配置する場合に何らかの支援を行う、これは、「障害者の在宅就業に関する研 究会」報告書の中でも指摘されてございますが、そういった支援措置についてご検討い ただきたいと思っております。  そして、第3回からは、精神障害者の問題についても、検討していただきたいと思っ ておりまして、まず大きなのは、雇用率制度の適用のあり方についてでございます。か ねてからプライバシーに配慮しつつ、精神障害者を雇用率制度の対象とするための検討 を行うことが適当であると指摘されておりましたが、「掘り起こし」を防止しつつ、精 神障害者を雇用する企業の負担に応える、報いるという観点から、手帳所持者に対して 雇用率を特例的に適用するという考え方が、報告書で提案されました。これについて、 具体的なあり方を検討いただくとともに、さらに、短時間労働の精神障害者につきまし て、雇用率上どのように評価するのかといった点も重要な論点だと思いますし、ご検討 いただきたいと思っております。  第4回ですが、これは、精神障害者の雇用に対する社会全体の理解を促進するため に、例えば、手帳制度の普及を図っていく。企業などに関して、精神障害者の雇用に関 するガイドラインをさくる。そういった必要性というものも含めましてご検討いただけ ればと思います。また、雇用支援策としましては、企業が精神障害者の方の職場復帰・ 定着に必要な支援を行うスタッフを自ら配置した場合に、これに助成するということが 報告書でも提案されておりますけれども、具体策についてご検討いただきたいと思って おります。  第5回は、その他の課題として二つ挙げてございます。一つは、総合規制改革会議で 提案された内容ですけれども、現在、親会社・特例子会社の関係がある場合に、親会社 に対して調整金・報奨金の受け取りが認められております。特例子会社に対して報奨金 ・調整金を支払う場合には、親会社を経由するという形になっておりまして、二回にわ たる課税があるわけですが、これを特例子会社が直接受け取ることも可とするような内 容の改正を考えております。また、雇用と福祉の連携につきましては、挨拶の中で太田 (部長)が申しました、施設から地域へという流れの中で、雇用支援策を充実させてい くという具体的な内容を現在詰めているところでございます。そういったこともご提案 させていただきまして、ご検討をお願いしたいと思います。  このような中で、第6回にまとめという案を出させていただきたいと思います。非常 にハードなスケジュールになっておりますけれども、どうぞご議論をよろしくお願いし たいと思っております。以上でございます。 ○座長  どうもありがとうございました。それでは、ただ今事務局から説明がありました様々 なことにつきまして、本日は最初でございますから、できるだけ幅広にご意見をいただ きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  入り口論みたいになって大変恐縮なのですが、まずこの研究会の位置付けについて再 度整理していただきたいと思います。今回と同じ「障害者雇用問題研究会」という名前 が付けられた法律改正を前提にした審議会のミニ版のような研究会が、15年ぐらい前 から、過去3度ばかり設置されまして、障害者雇用審議会、分科会と同様に、障害者団 体を含めた四者構成の委員でこれまで運営されてきました。けれども、今回は、そのよ うなメンバー構成ではなく、委員構成も在宅就業の研究会と精神障害者の研究会を中心 にという説明を聞いているわけですが、今回のスケジュールをみますと、どうも二つに 偏っているのではないかと思っております。しかし、最近、大変障害者雇用を取り巻く 環境も変わってきておりますので、私どもといたしましては、第5回の「その他」のと ころで、在宅就業、精神障害者以外のもう少し膨らんだ課題についても整理していただ きたいと思っておりまして、その辺についてのコンセンサスをいただきたいと思いま す。  具体的には、行政の持つ情報公開と障害者雇用促進法との関係が、最近、企業側にと っては心配をしている点でございまして、その辺の整理というのは、厚生労働大臣の裁 決では両方が成り立つんだ、両立するんだというようなことでございますが、その点に ついての議論を是非この研究会でもしていただきたい。特に、諏訪先生は労働法の権威 でいらっしゃいますので、その辺の議論というものも是非していただきたいと思いま す。  それから、雇用率制度のあり方ということに関しましては、教育委員会の法定雇用率 が2.0%に留まっているわけでして、それの取扱いであるとか、それから、特例子会社制 度のあり方というような点を、ともかく議論していただきたいと思っておりますので、 「その他」のところの中に入れていただきたいと思っております。  それから、大きな二点目は、障対法の中には雇用率の見直しというのは少なくとも5 年に1回しなさいと書いてあります。それで、前回この障害者雇用問題研究会をやり、 審議会をやり、改正法が14年から審議をされて、現在改正法が施行されておるところな んですけれども、それからまだ2年も経たないうちに法律改正をするということになる わけです。それで、この本件の法律改正と、5年に1回の雇用率の見直しというのがど ういう関係になるのかということを、事務局からご見解を伺いたいと思います。  それから、雇用率の見直しに関して、先ほどの在宅就業や精神障害も含めて、雇用率 制度の見直しはまだだと思いますので、そうしますと、今回の見直しと法律改正に伴う 見直しとの、雇用率の見直しの関係を聞いておきたいと思っております。  それから、三点目は、これは事務局にお願いなのですけれども、今法律改正を前提に ということで部長からご挨拶がありましたが、資料2と資料3のところの、どこが法律 改正部分で、どこが省令改正部分なのかということも、あわせて教えていただきたいと 思います。 ○座長  それでは、今いくつか質問にわたる部分がありましたので、事務局からお願いできま すか。 ○事務局(今井調査官)  雇用率の改正について、今回は、来年の次期通常国会で法律改正をすることを前提と いうことで考えておりますが、障対法上、少なくとも5年毎に雇用率を見直すとなって ございまして、これは、実態調査を受けて、政令を改正するということになってござい ます。過去の例でみますと、政令による法定雇用率の見直しの際にたまたまタイミング を合わせて、その時々の課題の法律の改正をしているという関係がございます。また、 一方では、この5年刻みの法定雇用率の見直しの時以外にも、必要があれば、その都度 改正をしているということがあります。今回は、どちらかというと、後者の方になろう かと思います。  法定雇用率の見直し自体は、前回は平成15年の4月から見直しをして行ってきている わけですが、次回は5年後に行うというものです。  それから、どれが法律事項なのかというご質問があったわけですが、在宅就業の報告 書の概要版で申し上げますと、ご提言いただいた支援策の方向のうちの、(1)と(3)でご ざいますが、これは、(1)は発注の奨励ということで、三案のどれがいいかということ でございますが、これは何れも法律改正にかかわる事項であると理解しております。ま た、本日、あとの方でご議論いただくことになろうかと思いますが、在宅就業支援団体 の整備ということに関しましても、この発注奨励策と絡んで、法律上に位置付ける必要 があるのではないか、そのように私どもは考えております。  それから、精神障害者の雇用促進の研究会の方でございますと、手帳所持者に対する 雇用率の適用ということについてございます。これは、法律の改正のスタイルとして は、適用の特例という形で、身体障害、知的障害について雇用義務を課して、雇用率の 適用を行っていますが、その適用特例として、精神障害者を位置付けるというもので、 これも法律の改正事項であると理解しております。  それから、「その他」に関してご提案いただいたうちの、情報公開について若干申し 上げますと、情報公開に関しましては昨年審議会においても既に採り上げられておりま すので、そうしたことも踏まえていただく必要があると考えております。以上です。 ○座長  はい。輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  第一点の法定雇用率の件ですが、平成15年に実態調査を踏まえて、見直し作業をした 結果、変わらなかったということになったわけで、次回は平成20年というのがスケジュ ールだろうと理解をしているわけですが、それと、今度の法改正で、法律を改正して、 例えば、精神障害者の方の特例を入れるとなった時には、それは、今の雇用率の見直し 作業とは全く関係のないものなのでしょうか。今回の検討事案が、法改正によって、い つ施行になるのかわかりませんが、平成15年改正の法律の場なので、平成15年の雇用率 の見直しと、今度の法改正を受けた雇用率の見直しというのは、平成20年を待たずにや られるというふうに理解をすれば、本来の見直し作業と、その結果としての雇用率の見 直しと、それから、それが実施されたあとの5年間の関係、つまり、次回が平成20年な のか、それとも、平成22年、あるいは平成23年になるのか。その辺の関係を知りた いということです。 ○事務局(今井調査官)  言うなれば、適用の特例という法律の構造にもかかわるのですが、法定雇用率自体は 少なくとも5年毎に見直すということになっていて、これは本則上の決まり事でござい ます。従いまして、法律改正を行うに当たりまして、今回報告書をいただいているよう な内容が法律上に埋め込まれた場合、これは適用の特例ということでございます。私ど もが実雇用率と呼んでいるところの具体的な算定に当たって、精神障害者を身体障害 者、知的障害者と同じように取り扱う、つまり、一人と算定をするというところに、い わば、その特例の意味がある。ですから、本則上の5年刻みの見直しというものについ て、これはもちろん、これからいろいろご審議いただくわけなのですけれども、そうい うものについてのタイムクロックに消長をきたすものではないと理解してございます。 ○輪島委員  タイムスケジュールが、平成15年、平成20年と続いていくものと、その実雇用率算定 の足元の仕組みが変わるのに、タイムスケジュールは変わらないというところが、今一 つよくわからないのですけれども、民間企業に対する法定雇用率を1.8%と決めていくこ とと足元の実雇用率を実際に算定する際の基礎、足元が変わるということが、本当に関 係がないのかということが、何度も言うようですけれどもよくわからない。 ○事務局(今井調査官)  結局、本則で、その特例が、何らかの影響を及ぼすかという法律の構造上の問題とい うことでお答えすれば、先ほど私が申し上げた通りでございます。 ○座長  よろしいですか。では、松矢委員。 ○松矢委員 いろいろなご見解があろうかと思いますが、私は精神障害者の研究会の方に参加してい まして、精神障害者の法定雇用率への算定の問題につきましては、まだ十分結論が出て いないのではないかと捉えています。つまり、精神障害者を法定雇用率にカウントする ということについては、保留されたような形でなっておりまして、精神保健福祉手帳を 持っている方々の雇用を前向きに捉えていこうではないかというところだったかと思い ます。  順序としましては、知的障害者の法定雇用率への算入が終わって、次が精神障害者だ ということはありました。しかし、法定雇用率の設定につきましては、十分な結論が出 ない形でまとまりました。もちろん在職精神障害者の方々を企業がどのようにして支援 していくかについては、今回報告書の内容にも入っているわけですが、法定雇用率にい つ算入するかについてはやはりペンディングがきていますから、おそらくそのことは、 これからまだ大いに検討されていくことと思うのです。ですから、精神障害者の法定雇 用率への算入というのは、そういう大きな課題を全部背負いきってから、おそらく進ん でいくんだろうと思いますから、私は5年毎のそういう見直しでいくのは当然だろうと いうふうに捉えております。以上です。 ○座長  はい、中村委員。 ○中村委員  今話題になりました雇用率への算入に関してですが、これは多分、お考えはお考えと して当然議論すべきことだと思います。私の方からは、今、松矢先生からご指摘があり ましたが、輪島委員とは逆のことになるかも知れません。先ほど、事務局の説明で、精 神障害者の研究会の報告書についてご説明をされ、概要を読み上げる形で紹介がありま したが、一つだけここに書いていないことを言われました。それは現行の1.8%を前提と してカウントするんですということです。  今、松矢先生からご指摘があったように、精神障害者を含めて、障害者の法定雇用率 をどうするかということの問題は、避けて通ることのできない問題なんだろうと思いま す。その間の議論の扱いとしては、多分これから議論されていくのだろうと理解してお りますが、いろいろな議論が出てくると思うし、少なくとも精神障害者等をそれに算入 する場合に、将来的な算入の仕方は、さらに言うと、これは輪島委員と逆の話になるか も知れませんが、当然それに合わせて算入するとして、全体的な引き上げの方向性等の あり方についてもきちんと議論した上でやるようにしていく。当面のことだけでなく て、あとは、2年後か3年後かということになるのではないかと、私としては思いま す。 ○座長  それでは、今のご意見の部分は何れ第3回の雇用率算定の問題の中で我々が扱ってい かなければならない問題にもなりますので、こうした疑問が出たということは、事務局 の方でも受け止めておいていただいて、ここの議論の中でも反映させていただきたいと 思います。その上で、お考えがいくつかに分かれているようでございますから、改めて その当該の箇所で詰めていただく。そういう形で、今日は進めさせていだきます。  では、今以外の別の論点で、ご質問なりご意見がありましたらお願いをいたします。 はい、箕輪委員、どうぞ。 ○箕輪委員  私は在宅就業の研究会に参加してきたのですが、当社の例を申しますと、身体障害者 と知的障害者についてなのですが、手帳所持の確認の方法としては、税金の特別控除の 申請の上がってきたものについてのみ、月次で把握をしています。家族も社員も含め て、その特別控除の申請を受け付けした時点で、遡って計算し直して、現場の方に連絡 しているのですが、その中で、既に家族に精神保健福祉手帳を持っておられるというも のもありまして、現行制度上カウントにはならないのですが、数としては上がってきて います。今後、本人が精神疾患で休職に入ったり、休職まではいかないまでも、それと 同じような特別控除という考え方で把握できるのであれば、プライバシーの保護にも配 慮できますので、最初は身体障害と知的障害についても企業側では全く考えていなかっ たのですが、本人が税金の控除の関係で申請してくるというのがあれば、ともに敢えて 「あなた手帳を持っているのですね」というように直接確認をしなくても把握できる。 その辺りが、精神障害者の場合の精神保健福祉手帳の所持というのとどのような関係が あるのかということを一つお伺いしたいと思います。  それから、一枚目に、復職というのがありますが、これは、当社には復職者というの が相当にあるのですが、その場合、キャリアの棚卸しとか、職種が変わる場合がありま すので、その辺でキャリアの棚卸しをしたりですとか、社員としての制約の確認をした りするのですけれども、ここに書かれている復職支援の中心となるスタッフを配置する ということは全く考えてきておりません。これは、人事側が、例えば、育児とか介護と か、あるいは、特別な休職をしていた人の復職する場合と同様の考え方でやっていまし たので、在職精神障害者の復職支援のためのスタッフというのは、どういう役割を果た していくのか、ちょつとイメージがわきにくいところがありますので、その辺りを具体 的に教えていただければと思います。 ○座長  今二点の質問が出ていますので、お願いします。 ○事務局(今井調査官)  雇用率適用ということに関して申し上げますと、通常、6月1日時点に障害者として 雇用されている方について確認をして、報告をいただくということになっております。 従って精神障害者の場合についてもその算定の対象になった場合には、手帳所持者でそ れを確認するんですが、では、現実にどのような形で確認をしていくのかについては、 報告書の中でも、企業に対して参考になるものを示していく必要があるということで書 いてあります。つまり、プライバシーに配慮するということがあります。また、一方 で、手帳を自ら取得していくような仕組み、普及啓発をしていく必要があるということ も指摘しています。これは、今後の検討課題になっていくのではないかと思います。  それから、復職支援のことですが、これは、精神障害者の雇用促進研究会で、いくつ か企業ヒアリングをした中で、復職について取り組んでいる企業がありまして、これら のケースは人事の方や健康管理部門の方のこともありますが、いずれにしろ必ず本人 と、主治医とか産業医、上司の方との間に立って連絡調整を行う方がいて、そうした役 割に対して何らかの支援を行うということでございますが、これの具体的なイメージ は、新たに人を置くとかということに限らず、こういった役割を担う方について何か助 成・支援ができないかというようなことでございます。  それから、一点だけ付言させていただきますが、先ほど、輪島委員のご指摘を受け て、法定雇用率の関係について私が申し上げた理解というのは、過去における知的障害 者の雇用率の適用特例を前提にして申し上げました。以上、付け加えさせていただきま す。 ○座長  高橋委員、どうぞ。 ○高橋委員  精神保健福祉手帳のことが話題に出ましたので、補足的に研究会で議論した事柄など を含めてお話ししたいと思います。精神保健福祉手帳によって確認するという議論が出 てきたのは、プライバシーの観点から、障害者の掘り起こしが企業の中で行われないよ うにするには何が一番いいかということで、それには、精神保健福祉手帳であれば、そ れは本人がカミングアウトしたものであるから、事業主にも、人権上も問題はないだろ うということです。そして、本人の障害の確認にそれを使う。そういうことによって、 既に在職、就労後に発病した方にも、そういう申告がし易くなるのではないかというこ とも考えたわけです。それで、今お話があったように、税の特別控除もその一つの方法 であろうし、それからまた、今後、手帳が普及してくれば、もっといろいろな社会的サ ービスも発展するのではないだろうか。そうすると、より手帳の普及にも通じるし、企 業外でも、そういう手帳を取る人が増えれば、企業内でも、把握確認の負担が少なくな る、というような議論がありました。ですから、先ほど、松矢委員が、新しく外から障 害者を迎えることを、受け入れることを優先して、あるいは、それを主に考えて、法定 雇用率への算入は在職者の人たちは多少ペンディングなんて話もございましたけれど も、在職者に対する対応、あるいは、企業に対する支援ということも含めて、手帳によ る在職者の精神障害者の実雇用率へのカウントについては一つの議論になったわけで す。もちろん、企業の方の負担を少なくするためにも、こういう手帳を使って、在職者 の精神障害者を実雇用率に企業がカウントし易くするというところにも、主要な点があ ると思います。私からは以上です。 ○座長  はい、松矢委員どうぞ。 ○松矢委員  私は、その点は十分承知しておりますが、輪島委員のご質問というのは、法定雇用率 に精神障害者をカウントするかどうかについて、今回の改正が一つのその区切りになる かどうかというのがご指摘だったかと思うのです。それは、そうではなくて、やはり課 題が残されているので、従前通り5年毎に見直すということは崩すことはないだろう。 それぐらい大きな課題があって、やはり、それは5年毎の従来通りの見直しで考えてい っていいのではないかということで申し上げました。 ○座長  それでは、箕輪委員。 ○箕輪委員  今のお話はわかりました。関連してなのですけれども、企業として思うに、法律で障 害者の雇用率が定められている以上、それを最低でも遵守しようというふうに取り組ん でいるわけです。そうした中で、いろいろな企業の人事の方と障害者雇用について話し ていて、精神障害のことが話題になりました。それは、実は当社でもあったのですが、 他社でもあった話ですが、普通に障害者の募集をかけていて、応募があって、非常にス キルも高いし、人物的にもいい。ただ、時間的な制約をお持ちだなという段階で、この まま合格を決めようといった時に、手帳を持っていないとか、手帳を持っていても雇用 率にならないと、その段階でネガティブになる。会社は単に人を増やそうとしているの ではなくて、雇用率をクリアするための枠というものを別途考えていますので、そうし た中で、全社的な承諾が得られるのは、一人採るのであれば、手帳をお持ちの方、カウ ントできる人ということになります。企業としては、スキルのことも大きいのですが、 枠を満たさないといけないということがあります。ここで、法定の1.8%というのが変 わらない中で、雇用率に加わってくるのであれば、ありがたいことだと思います。障害 者としてではなく、人物的にみた時に、大きなことは、カウントにならないために採用 できなかった人が今後働けるようになり、それで会社もそういう人たちを活かすことも できますし、ご本人にも働く場が広がるのかなと、少し期待をしているところではある のです。あと、復職の時にも同じようなことがあって、より丁寧に対応できると思いま す。並行して法定雇用率が上がってしまうと、辛い部分はあるのですが、そういう人た ちが実雇用率に入ってくるということは、まずはそうあって欲しいなということはあり ます。 ○座長  それでは、輪島委員。そして、中村委員、お願いします。 ○輪島委員  先ほど箕輪さんが言われた最初のご発言の一番目のご指摘の税金の関係です。高橋委 員がおっしゃった、もしくは、その精神の研究会で議論をしていた適用の問題と、障害 をオープンにしていくということと、社会の理解を進めるということと、それから、事 務的にはどれぐらい対象になる方がいるのかということが別途わかるということは、少 し違う論点だと思うので、その点で、税金の控除の関係で、確認の方法が別途あり、そ れがオートマティックにできるというようなことで、それでいいというふうになるのか どうかについて、今後の議論の中でしていただきたいなと思いました。 ○座長  それでは、中村委員どうぞ。 ○中村委員  今のご説明の中で、企業の負担感などを含めて議論があったというのは、それはその 通りだと思います。それを入れる時に、入れ方として、そもそも雇用率という枠がある から雇う・雇わないというのは、現実の企業として判断してもらえばいいことで、ま ず、精神障害者の適用についてどう考えるか。そして、その枠の中でどうするかという ことの整理をすべきで、研究会でもされたということですが、その通りだと思います。 枠だけで考えるというのであれば、単純に上げるか、上げないか、上げろという話であ って、やはり精神障害者を入れていこうというのであれば、そういう全体のあり方の中 で整理して、全体的なあり方を背景にして、実際にどうするか、これから予定なんかも 考えていかなければならないのだろうと思います。 ○座長  それでは、関委員。 ○関委員  私はこの両方の研究会に参加していないものですから、何と言いますか、研究会の一 つの結論からこのペーパーが出ていると思うので、日程もあることだし、その日程通り 話を進めませんか。というのが僕の意見です。今、今日のテーマでいけば、在宅の話を して、それはもう討論された、私は知らない話かも知れないけれど、ここの方々は研究 会に参加されて、議論は尽くされているわけです。その方が合理的だと思います。言い たいことはたくさんあるので、その中で言わせていただこうと思いますが、これは手続 きの問題として申しました。 ○座長  一種の議事進行の提案でしたが、非常に重要なことだと思います。それでは、畠山委 員。 ○畠山委員  私は精神の研究会に参加させていただきましたけれども、先ほどの法改正の話で、雇 用率の問題に絡んでくるわけですが、雇用率の見直し自体は5年毎に詰めるという大き な問題ですが、たまたま今回、精神障害の人を雇用率にカウントしようという時に、実 は、その具体的方法が決まっていった時、では事務的に雇用率をどうするかということ が本来の問題ではないかということです。  その場合特に、精神障害を持つ人の確認というのは、結局、全体の分母が非常に大き いにも拘わらず、手帳を持っている人が実際には非常に少ないというのが現実だろうと 思います。そういう状況の中で、企業として、「雇用率にカウントされるから、精神保 健福祉手帳を取りなさい。」ということ自体がゆゆしき問題であるということです。  それから、精神障害を持つ方々自身の多くが、障害があることを人に知られたくない ということが非常に大きな問題をはらんでいますので、手帳を持っていても、実際には クローズにしている人もいるという状況の中で、それを雇用率にカウントしていくとい う仕方には、技術的にも難しい問題がまだまだあると思います。  ですから、そのようなことをクリアしていかないと、なかなか雇用率にカウントして いくということにはならないと思いますので、やはり、先ほど輪島委員がおっしゃって いましたけれども、雇用率自体の見直しは、これはこれとして、5年毎の見直しとは別 に進めていくべきであろうと考えます。 ○座長  それでは、先ほど関委員からも、ただ今畠山委員からも整理をしていただきましたの で、本来の日程に戻させていただきまして、様々なご意見は事務局がこの研究会の運営 に当たって考慮していただくことといたしまして、今日はもう一つの重要な、しなけれ ばいけない問題として、まず、在宅就業障害者に対する議論を、以下、集中的にさせて いただこうと思います。それでは、3の「障害者の在宅就業に関する主な検討課題につ いて」ということで、事務局からご説明をお受けしたいと思います。お願いいたしま す。 ○事務局(赤松課長補佐)  お手許の資料の5、6、7を一括してご説明させていただきます。資料の5、二枚紙 でございますけれども、「障害者の在宅就業のイメージ」というペーパーをご覧くださ い。  この資料は、障害者の方が在宅就業を行う場合に、どのような流れで仕事を行ってい るのかを簡単に示したものでございます。上の方の囲みは、企業が在宅就業障害者の方 に対して仕事を直接発注して納品が行われる場合、下の大きな囲みは、両者の間に仲介 機関としての支援団体が介在する場合でございます。そして、この中に、論点1,論点 2、論点3というふうに書いてございます。それぞれについて、次の二枚目に書かせて いただいていますのでお開きください。  この二枚目のペーパーは、在宅就業に関する検討課題をインデックス適にまとめたも のでございます。  論点の1につきましては、障害者雇用促進法の対象となる在宅就業障害者をどのよう に考えるのかという観点から、二つの論点を提起してございます。一つは、在宅就業障 害者にかかる障害の種類・程度等を考えています。もう一つは、どのような業務に従事 する方を考えているのかというようなことでございます。  論点の2の方は、在宅就業支援団体の役割をどういうふうに考えていくのか。こちら についても二つの論点を挙げてございます。一つは、障害者や企業に対して果たすべき 役割というというような論点、二つ目は、支援団体とするための要件、それから、支援 団体になった場合の効果という点でございます。  論点の3につきましては、在宅就業障害者に対する発注奨励策について研究会で提案 された、先ほどの三つの方策について検討いただきたいと思っております。例えば、具 体的にどのように適用するのか。年間いくら以上の発注を奨励策の対象にするのか等々 を挙げているものでございます。  最後に、4番目のところですが、その他としまして、在宅就業障害者であることをど のようにして確認するのか。在宅就業障害者の方に仕事が発注されていることをどうい うふうに確認するのか。発注奨励策をどこが担うのか、行うのか。そういったことなど を検討いただきたいと思っておりまして、本日はこの論点の1,論点の2について、資 料の6,7でご説明させていただきます。  それでは、資料6をご覧いただきたいと思います。最初の5ページですが、論点1で す。  障害者の方の在宅就業支援を進めるに当たりまして在宅で就業する障害者の方の障害 の種類・程度をどのように考えるのかということで、A案とB案をお示ししています。 提案したこの両案以外には考えられないということでは全くございません。広くご検討 いただければと思っておりますが、まず障害の種別について、研究会で行いました実態 調査がございます。資料7の1ページの上の円グラフなんですけれども、肢体不自由者 が46%と、約半数近くを占めておりまして、その他の、不明の方を除きますと、9割以 上の方が身体障害者であるという実体がございます。  また、報告書では、通勤など移動に制約を抱え、あるいは、健康上の理由から、企業 での勤務に耐えられない障害者の方という形で書いておりますので、こういったことを 考えますと、在宅就業支援の対象となる障害者の方は身体障害者と考えればいかがなも のでしょうか、というのがA案でございます。B案は、それよりも広くて、具体的な在 宅就業支援の方策、例えば、発注奨励策をこれからご検討いただきますけれども、それ との関係を踏まえて考えるというものでございます。例えば、障害者雇用率制度、ある いは納付金制度上の発注奨励策を講じる場合には、その対象は、身体障害者、知的障害 者、そして、これから精神障害者の方を対象にしていくというものですが、そういった 三つの障害の方が考えられるわけですけれども、それと同じでなければ、整合的ではな いのではないかというののがB案でございます。  続きまして、2ページをご覧いただきたいと思います。障害の程度について、どのよ うに考えるのかということで、こちらもA、Bと提示してございます。先ほどの資料の 7の下のグラフでございますが、こちらは重度の障害の方が79%を締めております。ま た、先ほどの研究会報告でも、繰り返しになりますが、通勤等移動に制約を抱え、健康 上の理由等からという記述がございます。こういったことから、障害者雇用促進法の重 度の障害者、具体的には障害等級1級、2級の方を対象とすることが適当ではないか、 というのがA案でございます。B案は、通勤等移動の制約、健康面での制約のある障害 者という形で、柔らかめに書いておりまして、重度障害者に限らず、もっと幅広い方を 対象にしていくという考え方でございます。  続きまして、3ページ目をご覧いただきたいと思います。発注奨励策の対象となる業 務についてです。こちらは、ITの関連業務とするのか、あるいは、それよりも広く、IT 関連以外の業務についても発注奨励策の対象にするのかということで、両案に分けてい るところでございます。  議論のポイントを四つの○印で書いておりますけれども、・・・においては、今在宅 就業を取り上げる基本的な動機・背景はいうまでもなく障害者の就労機会の拡大の可能 性としてのITを取り扱うということで、IT関連の業務を意識して整理させていただきま した。では、そのITを活用した業務というのは、例えば、資料7をみていただきます と、2ページでございますが、家内労働調査では、ITを活用した在宅就業として、例え ば文章の入力、設計、製図、デザイン、ライター、翻訳データ入力と、そういった仕事 が挙げられております。また、同じ2ページの下のグラフの実態調査をみていただきま すと、データの入力や文章の入力、ホームページの作成、そういったものに従事したこ とがあるという回答が多くありました。ですから、先ほどの資料6の3ページに戻って いただきますと、二つ目の○印でございますけれども、テレワークが普及する中で、こ れは一般的な話ですけれども、障害者の方についても就業機会の拡大が期待できる。特 に重度の障害者の方の就業機会の拡大に可能性を有しているということがありまして、 そういうことについても議論していただいたところでございます。  また、従来からの家内労働に多くみられますものについては、今後、就業機会の拡大 を期待し、雇用を奨励していくのかどうかという、そういった見方もあろうと思いま す。  最後に、この3ページの最後に書いてありますのは、対象業務を考えるに当たって、 付加価値が高い業務、本人の技術の収得が可能となるような業務、すなわち職業能力の 向上に資するような業務に対象を絞ったり、そういうものを対象とした方がいいのでは ないかというのがB案でございまして、ご検討いただきたいと思っております。  4ページと5ページにつきましては、家内労働法についてということで、・・をオー プンにさせていただいたものです。家内労働法につきましては、家内労働者は委託者に 対して経済的な従属性を有しておりますので、労働法上の労働者に準じた様々な保護が あり、それを書いてありますが、就業時間、最低工賃、安全・衛生上の取扱い、そうい った部分が講じられています。また、その5ページにございますように、現在23万人の 方が家内労働者として就業しておりますけれども、この中の業務をみていきますと、IT の業務というのはほとんどみられないかなという認識でございます。  次に、論点2にいかせていただきます。在宅就業支援団体の意義についてでございま す。研究会報告書にありますように、在宅就業支援団体というのは、在宅就業を営む障 害者、発注事業主双方にとって、いわゆるセーフティネットの役割を果たしているとい うことが考えられます。具体的には、障害者に対する役割としまして、移動の制約のあ る障害者に代わり仕事の受注を行う。最新の知識や議のよう収得機会を提供する。基本 的な労働習慣であるとか、パソコンの技術的なトラブル、そういったものの相談に応ず ること。また、健康面での相談に応ずること、というものが挙げられております。  一方、事業主に対する役割といたしましては、納期あるいは品質に対する保証を行う こと。そういったものが挙げられています。  真ん中でございますが、二番目の在宅就業支援団体の法令上の位置付けについてです けれども、一つは、在宅就業支援団体の主体、それから、業務の体制とかとありまし て、ちょっと飛びますが、資料7の5ページをご覧いただきたいと思います。  実態調査によりますと、法人格のないものが3分の1強を占めておりますけれども、 それ以外ではNPO法人、社会福祉法人など、法人格を持っているというのがございます。 その支援団体のスタッフについては、30人以下が最も多く、次いで、5人以下が多くな っています。この中で、在宅就業の支援施策についてみると、3人以下が最も多くて、 次いで8人以下とか、そういう結果になっています。そこで、在宅就業支援団体の実施 主体というものは、業務の安定的な運営の観点から、例えば、公益法人であるとか、社 会福祉法人、NPO法人とすることが適当なのかどうか。また、支援団体の業務に必要な 人員体制を確保している必要があると考えておりますけれども、以下が出てくるだろう とか。  資料6の7ページをご覧いただきたいと思います。支援団体の業務につい書いてござ いますけれども、これは資料7の6ページと関連いたしますが、資料7の6ページで在 宅就業支援団体の業務として一表書いております。支援団体の業務としては、どういう ものがあるか。企業から仕事を受注し、在宅就業障害者に分配する。技能の陳腐化に対 応するため、技能修得訓練を行う。パソコンのクラブの開設など、業務遂行上の支援を 行う。というようなことを書いてございます。  そういったことを支援団体の業務として考えてはどうかということです。この図で は、就職支援について書いて書いてありますけれども、こういった就職支援の役割を支 援団体に求めるのかどうかということがあります。  7ページの(マル3)ですが、要件として以下のようなものが考えられるということで、 業務の実績、過去に一定額以上の発注を受けていること。これは、確実に業務を遂行す る能力があるかどうかをみるためでございます。この場合、どのような方法で業務遂行 ・・・できるかどうかという問題もございます。また、支援団体につきましては、障害 のない方が登録していないことといった要件を課す。米印の2ですけれども、課すべき であるのかどうかということもあります。仮に障害のない方が労働していた場合に、仕 事がそちらに流れてしまいはしないかということがあるのではないかということです。 発注奨励策を講ずる上で、こういった方を排除するというのですか、そうするにはどう すればいいかということもあります。  8ページをご覧いただきたいと思います。こちらは主に契約の内容についてでござい ます。資料7の9ページとあわせてご覧いただきたいのですが、資料7の9ページでは 契約の実態というデータが載っています。在宅就業に関する契約は、その多くが口頭で 行われておりまして、書面で契約をするというのはわずかでございます。しかしなが ら、企業の発注が在宅就業障害者に行われたことをきちっと証明するためには、きちっ と書面で契約をすることが必要であると考えられますので、その際、ここに書いてあり ますような、注文者の名刺、業務内容、報酬、そういったものを明記することが適当で はないかと思っております。また、在宅就業支援団体につきましては、在宅就業障害者 の健康状態にも配慮しまして、仕事の文体を行う。やむを得ない場合には、他の障害者 の方に分配することができるようにしておくということも、契約の中でしっかり定めて おく必要があるのではないかということでございます。  資料の7の10ページには、いくつかの契約の具体的事例を呈示させていただいており ますので、後ほどご覧になっていただければと思います。  続きまして、資料6の9ページをご覧ください。法令上の効果と書いてございます。 在宅就業支援団体としてオーソライズした上で、実際どのような法令上の効果を用意す ることが考えられるかということです。一つは、在宅就業支援団体に対して企業が仕事 を発注した場合に、直接企業が在宅就業障害者に対して発注したものとみなされるとい うことです。  それから、二つ目が、支援団体は名称中に、障害者在宅就業支援団体であるというこ とを、そういうものを使用することができる。  三つ目が、支援団体は企業の求めに応じまして、在宅就業障害者の方に仕事を発注し たということを示す証明書発行する。企業はこれをもって、発注奨励策の適用を受ける ことができる、というようなことが考えられるのではないかというようなことでござい ます。  資料の10ページ、11ページにつきましては、授産施設と在宅就業支援団体との比較に ついてまとめさせていただいたものです。端的には、在宅就業支援団体が授産施設であ るということが、どうなるかということ。あるいは、授産施設を運営する社会福祉法人 が在宅就業支援団体になれば、問題がないのかどうか。そういったことを検討の中で整 理していく必要があるのではないかというふうに思っております。  10ページでございますが、その授産施設とはということで、最初の○印で書いており ますけれども、雇用されるのが困難な障害者に必要な訓練を行い、職業を与え、自活さ せることを目的とするということが、法律で規定されております。この授産施設という のは、障害者との間で雇用関係はありませんので、労働基準法、最低賃金法、安全衛生 法、その他労働関係法令の適用がないことになっております。また、授産施設の工賃に つきましては、労働に対する対価、賃金という位置付けではなくて、この額は事業の収 入ですとか、施設の必要経費により変動するものであります。さらに、施設の入所者に つきましては、施設を利用するということで、サービス料を自治体に対して支払ってい るというような状況になっています。その他、施設の運営費、人件費については、公的 な補助が投入されているという状況になっております。11ページをご覧いただきたいの ですが、現在、授産施設から一般企業に対する就職率は1%弱という状態になっており ます。  一方で、2番の、在宅就業支援団体についてというところでございますが、こちら は、在宅就業障害者に対して請負契約に基づいて労働の対価を支払うというものでござ いますので、もちろん、施設の利用者というものではなくて、労働者ということでござ います。  在宅就業支援策と授産施設との関係、一番最後のところでございますけれども、授産 施設に、授産における就労それ自体が障害者の職業なのかという観点からみて、奨励し ていくべきものなのかどうかということがございます。また、授産施設に対しては、公 的な支援が行われておりまして、さらに、そうした授産施設の恩典をさらに支援するよ うなものを、施設の対象としてよいものなのかどうか。  それから、授産施設を運営する社会福祉法人が明確に会計処理を行うことができる場 合には、この社会福祉法人というものは、就労支援団体なり得るのではないかというこ と。この場合に、授産施設を利用して在宅就業を行った場合、どのように取り扱ってい くのか。  そういった、いくつかの課題があると思います。  最後に、作業所について、書いてありますけれども、法律に設置根拠を持たない小規 模作業所というものが全国に6000と、非常にたくさんあります。これは、障害者の方の 日中活動の場でありまして、そこのところの中で、仕事をされていないこともあるし、 趣味的な活動をされていることもありますし、これは、こういう性格の施設なんだとい うことでくくるのは難しいものがあります。授産施設を対象とした場合には、平行し て、こうした小規模作業所について、どういうふうに扱うかということも問題になって きてまいります。そういったこともあわせて事務局から資料を出させていただきました ので、ご検討いただければと思っております。  以上でございます。 ○座長  どうもありがとうございました。それでは、いろいろとご質問、ご意見等あるかと思 いますので、残った時間集中的にと思いますので、どうぞよろしくお願いします。それ では、輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  それでは、総論的な部分での質問と各論的な部分に分けて質問したいと思います。ま ずは、これは在宅就業というふうに書かれているものなのですが、研究会の中でどうい う整理になったかをお聞かせいただきたいと思います。障害者雇用促進法という雇用を 前提とした雇用率制度の中に、いわゆる個人事業主に企業が発注するものをカウントの 中に入れていきましょうという話でありますので、今までは雇用、障害者雇用という雇 用なので、ある意味で、厚生労働省は聖域として雇用の促進をずっと進めてきて、それ を施策の中の充実ということにして、これまで一生懸命やってきたわけで、それを大変 評価するわけですけれども、この在宅就業を一度入れるというのは、雇用の中に個人事 業主、もしくは、個人事業主というようなものを、概念上、障害者雇用促進法の中の大 きな方向転換になるのではないかと思っておりまして、この点について、この研究会で どのような議論で、このようになったのかというのをお聞かせいただきたいと思いま す。この総論のそこがよく理解できないと、その先には行けないと思っておりますの で、大変重要な点として、私としてもお聞きしておきたい。  それ以外に、各論でございますが、そもそもこのスキームそのものが、職業安定法上 の労働者供給事業等との関係で、どういうふうな整理になるのかというのは、非常に疑 問に思うところなのですが、その点について、どういうふうに整理をされたのか。  それから、資料の6の1番の絵や図というようなところをみますと、これは最近の流 行言葉でしょうけど、間接差別というような言葉で、身体障害者の方だけを対象にする というのはどうかというふうに書いてありますけれども、それ以外の方に対して閉ざし てしまおうということになると、そういう議論が行われたのかどうかということがあり ます。  それから、9ページに在宅就業支援団体の記述があるわけですけれども、ここの法令 上の効果というのは、ある意味で大変有り難いと思いますが、企業側の発注についての 法令上の効果を指摘していただいているわけですけれども、支援団体としてのメリット というのは、ここからは見えてこないんですが、支援団体にあまりメリットがないの に、そういう設立が促進されるのかと思うのですが、そういった兼ね合いがどうなの か。  あと、その支援団体は、ここも職業安定法上の無料職業紹介所との兼ね合いがどうい うふうになるのか。職業紹介をしていなくて、仕事の斡旋なのでかまわないのか。むし ろオーソライズしていくのであれば、無料職業紹介所というところでオーソライズして いった方が、障害者雇用促進法の中でオーソライズするというよりは、そちらの方が簡 易なのではないかなと思ったりもします。  それから、書面での契約形態ですが、契約形態もかなり自由度が高いかなと思ってお りまして、その場合に、いろいろな法令上の問題とか、契約形態のあり方についてどの ように議論になったのかというのをお知らせいただきたいと思います。  それから、最後に、11ページの「在宅就業支援団体について」のところの二つ目のと ころに、「障害者は在宅就業団体に登録し、その都度仕事を請負う関係」とあります が、これも、派遣法上の登録型の派遣と、その都度仕事を請負うと、先ほど、実際仕事 をするところが請負になるというふうになっているのですけれども、そこらの兼ね合い がどういうふうな整理になっているかというのをお知らせいただきたいと思います。以 上です。 ○座長  それでは、いくつか、とりわけ最初が当面の大きな疑問だと思います。他の先生方の 間でも、これに関しては押さえておきたいことだと思います。では、どうぞ。 ○関委員  「特に通勤が困難な」というのは、どういうことなんですか。こういう文言は本当に 使うんですか。これはちょっと良くないと思います。しかも、通勤が困難な人たちにだ け特化した制度ではなくて、障害者全員に、全体に使えるような制度でなくてはいけな い。この文言は不適当だと僕は思います。  それから、ITが非常にネガティブなものをポジティブに変えるような使われ方をして いますが、大体私たちが1998年ぐらいから全国的にそういう運動をしてきて、最後のと ころで、授産施設等について書いてありますけれども、多くはやはり、授産施設であっ たり、作業所であったりというところが、そういうことを一生懸命やられてきているわ けです。それを除外してもいいものだろうかというふうに思ったものですから。授産施 設と福祉工場等の分け方の問題、あるいは、企業の範疇の中に福祉工場は入るのかどう か。いわゆる雇用率は適用されるわけでありますから、これは施設、授産施設というと ころとちがって企業としてという発想があるだろうかというようなことなど、枠組みは たくさんあるんですけれども、そういったことの大きな枠組みについて少しくお伺いし たいのと、輪島さんのところとよくリンクするところだろうと思うのですが、私は、一 体この数字ですね、資料7のうちの総数ですね。障害がだぶった人の総数が、いわゆる 何人ぐらいになるだろうということ。かなりマジョリティーを占めているものなのかど うかというのが、少し気になっているところです。サテライトオフィスなんていう使い 方をするのは、そう世の中にあるものではないだろうと思いますので、そこらを少し。 そのように、あまり総数が大きくないものを、何か、法令の改正であるとか、そういっ た、ちょっと大袈裟過ぎるのではないかというか、言い方は悪いのですが、そういう思 いがありますので、しかも、実際に我々が今まで取り組んできた障害のある方々でも、 かなり能力のある方々しか、この在宅雇用は本当は難しいという実感を持っています。 そういったことについての可能性はどうなのか。それから、現在、今の制度の中で在宅 雇用はできますね。いろいろな形で雇用されていて、在宅で雇用されている方々もおり ますから、そこら辺のところでは、新たなというのもそうですが、今の法適用を受けて いる方々はどんなもんだろうかというのをちょっとお聞きしたいなと思いました。ちょ っと取り留めがないんですけれども、よろしくお願いします。 ○座長  それでは、他の先生方からも順番にいただくと、これは回答が大変なことになります ので、もうざっとカウントして10ぐらいの質問項目が出ておりますから、事務局でこれ を整理してお答えください。 ○事務局(今井調査官)  輪島委員の質問と関委員の質問を相交えてお答えをしたいと思います。まず最初に、 在宅就業と障害者雇用促進法とのかかわということについてのお尋ねがございました。  これは、まずこの研究会でご提言いただいた基本的な考え方というのは、障害者の就 業機会の拡大を図るということです。これは、いろいろな働き方が出てくる中で、障害 者の就業機会を図っていくとき、特に、ITを活用した在宅という就業形態が有用ではな いかという発想が底部にあるというわけでございます。  先ほどご指摘をいただきましたが、通勤等いろいろ制約を抱えるみたいなことが報告 書に書かれているわけですが、それは、特にそういうITのメリットというものが、いわ ば顕著に効果を及ぼす方々が障害であるということが念頭に置かれていると同時に、や はり本来は、雇用施策が基本とあるべしというご意見がありまして、報告書の中にも、 雇用への道を狭めることなく真に障害者の就業機会の拡大が図れる方向で何かするべき でないかということが書かれてあります。その中でも、そうすると、障害者の中でも絞 り込むという意見があって、特に必要とされている方について集中して支援を行っては どうかということで、通勤等移動に制約を抱えるといったような記述になってございま す。  それで、法体系との関係についてでございますけれども、障害者雇用促進法というの は、職業的自立のための措置を総合的に講ずることを目的としているということ、その 中で考えるときに、具体的なツールとして三つありまして、そのうちどれがいいかはこ れから検討ということでご提言をいただいているのですが、例えば、企業の経済的負担 の調整ないしは雇用継続促進のための財源というものを、雇用以外の方途をもってする 職業的自立の道に貢献する企業に、還元的に使うことはできるのではないかという発想 があります。それが、その職業的自立のための措置を総合的に講ずる法律の中で、雇用 が主ではありますけれども、そういう方向が一つあってもいいのではないかということ で、ご提言をいただいていることでございます。  それから、輪島委員の方から資料の6での間接差別ということですが、それは確かに そういうようなご指摘はあろうかと思いますので、これについてもご議論いただきたい と思います。A案というのは、実態として身体障害の方が多いということをそのまま踏 まえた姿でございます。  それから、支援団体への法令上の効果ですが、企業への効果はわかるんですが、支援 団体のメリットがないのではないかということについて、実際のところは、障害者を特 に相手にする支援団体というのは社会福祉法人や法人格がないところなども多いのです が、そんなところで、たいてい障害者の就労支援というものを行っております。支援団 体のメリットといっても、メリットにもいろいろな理解の仕方があると思いますけれど も、やはり、仕事の確保、これは障害者のために仕事を確保するということについて、 非常に対応が難しいということは、この研究会のヒアリング等の中でもご提言をいただ いていて、それに対する対応として、今言った支援団体をスキーム上オーソライズし て、支援団体に発注すれば障害者に直に発注されたのと同じ扱い、つまり発注奨励策等 の対策となるということになれば、支援団体にとっても、仕事を受け易くなるという効 果は期待できるのではないかと思っております。  それから、在宅勤務の関係については、これはやはりこの提言の中にもありますけれ ども、在宅においても、雇用の可能な方については、積極的に雇用を進めるべきという ご提言をいただいていて、実際に研究会でも、在宅勤務を採用している沖電気という会 社を呼んでお話をお聞きしました。雇用管理について、やはり遠隔であることによる負 担が大きくて、そこの支援策というものも考えていかなければならないという意見があ り、とにかく、在宅でも、雇用を希望する方については、その希望がかなうように進め ていくというのが、今回の提言の考え方です。  それから、在宅就業障害者数ですが、これは自営でございますので、きちんとした統 計はないんですが、テレワーク、これは障害者以外の方も含めた在宅就業者の推計です が、大体29万人ぐらいということで、最近のJILの研究の中で出されています。労働 人口全体におけるこの29万人の割合を用いて障害者にあてはめますと、障害者の在宅就 業者というのは大体5千くらいという数字が出てまいります。  授産施設をどのようにみるかということについては、まさにご議論をいただきたいと 思っておりますが、私どもの施策は障害者の職業的自立のためにいかにすべきかという 観点に立って、どのように推進していくかということではないかと思っております。 ○事務局(赤松課長補佐)  支援団体と在宅就業障害者との関係で、派遣あるいは安定法上の労働者供給事業とす るかどうかというのは、そこのところは、我々としては、安定法上の施行規則で請負契 約の形態について記載しておりますし、それに該当しない場合は労働者供給というもの にならないという取扱いになっておるわけですけれども、そこはきちっと整合性をとっ てやっていかなければいけないと考えております。支援団体と労働者、障害者との間で は、民法上の請負契約がきちっと結ばれているというふうに考えておりますので、そこ のところは、労供に当たらないような形の契約遵守が必要になってくるかと思います。 ○座長  はい、それでは、太田部長どうぞ。 ○太田部長  一点だけ、基本論にかかわる部分です。輪島委員の一番最初の総論のところについて です。これまで雇用中心にやってきたものを方向転換して、少し就業まで広げることに なるのかということでございますが、資料2の報告書をみていただくと、そこに基本的 な考え方が書かれていますので、ご覧いただきたいと思います。  12ページのところでありますけれども、一番上のところに、「労働者の意欲と能力 に応じて自立的に働き、主体的な働き方を選択することを可能にするためには、就業率 を高めるという政策目標に立って」とありますが、雇用だけでなくて、就業率を高める という政策目標を打ち出しています。そして、「雇用のみにとらわれることなく就業機 会の増大を図っていく必要があり、障害者の職業的自立支援のための支援策も障害者の 多様な働き方の選択肢を準備し、就業機会の増大を図るという観点から、制度的な見直 しを含め、これを充実していくことが重要である。」と述べられており、まさに、基本 的考え方はここでございます。こういった考え方の下に、「多様な働き方全般について の就業環境、あるいは働き方に中立的な社会制度が未だ整備の途上にある現段階におけ る障害者の職業的自立のための支援策は、雇用支援策を基本とし、これに事業所での勤 務に制約を抱える障害者の多様な働き方に対するニーズに対応するための支援策を組み 合わせることによって、さらなる就業機会の拡大を図る形をとることが適当であり、在 宅就業の支援策も雇用支援策との関係に留意しながら推進することが適当である。」、 そして、「おわりに」もそのような考え方が述べられておりまして、基本的には、雇用 だけでなくて、就業というものを幅広く考える、政策目標的にも少し幅を広げようとい うことです。  法的にいえば、障害者の雇用促進等に関する法律は、その目的も、「職業の安定」と いうことですので、まあ、かなり幅広くとっておりますので、その中で、就業等の支援 というのを位置付けることが必要ではないかという基本的な考え方に立つものです。 ○座長  それでは、輪島委員。 ○輪島委員  ご指摘いただいた12ページの「就業率を高める政策目標」というのは何に書いてあっ て、それは厚生労働省の政策目標と同じなのかどうかということを確認したいのです。 それに伴って、先ほど申し上げましたように、今太田部長から、障害者雇用促進法は広 くみるという答弁があったわけですけれども、これまで、私どもが厚生労働省とここ何 年かお話をした限りでは、広くみるというよりは、雇用に重点を置いて、これまで雇用 についてギリギリと指導を含めてやってきたわけで、広くみるというようなものでは全 く違っているのではないか、ここで実際に広くみるのですよというのは、やはり、大き な方針の転換だと思いますので、その点について、明確にしていただきたいと思いま す。 ○座長  では、太田部長、お願いします。 ○太田部長  具体的には、例えば雇用対策基本計画なり、そういう文言なんかも精査してみますけ れども、基本的な最近の政策の流れとしては、やはり雇用だけでなくて、幅広く就業を いろんな形で働ける形をとっていこうというのが、政策の潮流ではないかと思います。 ちょっとそれはもう少し精査してみます。  もう一つは、ここの「就業率を高めるという政策目標」というのは、まさにこの研究 会で、こういう形でやるべきではないかというような形でご提言をいただいたものです が、それは今までの政策の流れになっていて、さらにそういう方向性を打ち出すべきで はないかというご提言をいただいたと理解をしているところでございます。  それから、障害者雇用促進法も、私ども今まで、雇用だけということで限定的にやっ てきたわけでなくて、いろいろな働き方があり、そういう中で支援策を講ずるべきでは ないかということで、例えば、視覚障害者の自営の問題とか、そういうものも取り上げ られて、やってまいりましたし、なるべくいろんな形の働き方ができるという形で支援 策を講じているところでございますけれども、かなり大きな政策転換ではないかという ことでございますけれども、今までの流れに乗って、さらにそういうものを推し進めて いく必要があるのではないかということで、ご提言をいただき、ここでもご議論いただ きたいということでございます。 ○輪島委員  では、二点だけ懸念していることを申し上げると、障害者雇用促進法には、障害者雇 用率制度、納付金制度であるとか、報奨金、助成金という制度があって、それは、ある 意味で、企業が拠出するファンドというもので、それをもう少し使い勝手が良いように するべきではないかという議論が、いろいろなところで行われていると聞いておりま す。そういたしますと、この障害者雇用というところで特化してきたものを、今度の在 宅就業の件をここで議論して、雇用促進法を改正するということになりますと、そちら の議論に将来的に結び付くのではないかなと、大きな疑念を持っておりますので、その 点について、むしろ、そういう疑念があるということだけを申し上げておきます。 ○座長  それでは、他の方で。 ○太田部長  ちょっと、あまり時間がとれないんですけれども、確かに全体の納付金制度そのもの を、少し全般に使えないかという議論もあるわけですけれども、私どもは、それは一定 の制約があって、事業主からいただいたものは基本的に事業主に還元していくというの が基本的な立場でございますけれども、この在宅就業支援は、例えば、事業主が自分の ところでは雇用はできないけれども、アウトソーシングして、その中で、誰かが仕事を されるということですので、一定の経済的調整の中で考えられるのではないかと思いま す。当然、その歯止めが必要であって、その辺も含めてご議論いただきたいと思ってお ります。 ○座長  それでは、館委員。 ○館委員  私は別の懸念なんですが、精神障害者の場合はまだ雇用率にカウントされない段階に あって、在宅就業は、企業にアウトソーシングすると、雇用率にカウントするというの は、どういうものなのかなあということはあります。非常に大きな懸念にはなっていな いですけれども。 ○座長  北浦委員、どうぞ。 ○北浦委員  各論的議論に入ってしまっていますけれども、皆さん、いろいろご不満もあろうかと 思います。私は在宅就業の研究会に参加してきて申し上げますと、ただ今おっしゃった ような議論というのがやはりあって、ただ、一点押さえなければいけないのは、在宅就 業の問題は、障害者の皆さんの働き方を広げるために特別に取り出したものではなく て、「そもそも論」的に、働き方のあり方、つまり、自由な、多様な働き方を推進する という大きな労働政策の流れの中で、在宅就業というのが生まれてきて、その在宅就業 というものを活用することによって、障害者の方も働く機会が広がるというもので、そ ういう順序で出てきたものであって、その特別のスペシャルメニューということではな いということです。  そこのところをまず一点、押さえておかなければいけないと思います。  しかも、もう一つあるのは、雇用が重点だということですが、これも、さんざん力説 されたところであって、雇用率の問題も含めて、雇用もしっかり果たさなければいけな いということです。未達成もあるのではないかとか。そういう問題も含めて、そこを阻 害するような形ではなくて、それも含めて、将来的にもっと雇用が広がって、就業の場 が広がるというように、そういうような形にしなければならない。ですから、中には、 就業から雇用への流れもつくる。こういう在宅就業から雇用の流れもつくるんだという ような議論もあったわけです。それは、別に、プロセスとしてではなくて、そういう道 も広げて、雇用というものも、雇用の対策も充実するという一項を設けておくというこ とです。  そして、もう一つの背景として考えなくてはいけないのは、やはり実態としても、仕 事の流れとしては、アウトソーシングの流れが実態として出てきているということで す。そのこととの絡みが、アウトソーシングとして位置付けるという形で出てきてい る。ですから、雇用そのものではないのかも知れないけれども、就業の場を広げること にもなるという、経済の実勢というものも大きく考えていく必要がある。  ですから、障害者の方の働く側のニーズ、それは障害者だけでなく、全体のニーズに 対応することになるし、それに応えなければいけない。それから、働く場である企業側 の変化、そういったものにマッチした、障害者の在宅就業というものを考えていく。  それから、先ほど来の議論については、おそらく、このところの、発注奨励策という ものをどのように考えていくか。発注の奨励という意味においては、望ましいものだろ うと思いますが、その奨励策をどのような手法でとるかによって、おそらく議論がかな り変わっていくでしょう。そのための議論が絡んでいる問題ではないかと思っておりま す。その点は、論点に含まれておりますので、その辺とかみ合わせて議論した方がいい のではないか。そんな感じがいたします。 ○座長  高橋委員、どうぞ。 ○高橋委員  現在、精神障害者の生活支援システムをつくる検討会で議論していますけれども、そ こでの就労のあり方というのは、雇用だけではなくて、いろいろな形の就業があるとい うことで、就労、あるいは就労とまではいかなくても活動への参加というようなこと で、そういう多様性、その人の能力、状況に応じた多様性というのは認めていく方向 が、大きな流れだと思います。そういう観点からいえば、就業率を高めていこうという 方向性は正しいのではないかと思います。  それから、この資料6の最初のところですが、対象者についてA案、B案とあります が、障害者基本法では三障害の障害別を超えて、一本化という方向へ向かっている気が します。そういう観点からいえば、やはりB案であると思います。  それから、対象となる業務に関しましては、やはりITというものだけでなくて、もっ と幅広く、障害者の従事している職業、就業しているものがあるのであれば、そういう ものにも広げる方向で考えるべきではないかと思います。  それに関連してですけれども、資料7の4ページの、就業場所として、精神障害者の 中には通所施設というのがあるんですが、これが入っていませんが、これはどのように 理解すればいいんでしょうか。他の障害では入っているんですが、その点を、ちゃんと それをカウントすると、最初のページの数字がもっと増えてくるのではないでしょう か。 ○座長  それでは今、質問にわたったところについて。 ○事務局(今井調査官)  精神障害者の通所授産が含まれていないのは、端的に言って、母数が少な過ぎるから です。  先ほどの説明にもございましたように、障害種別不明を除くと、9割の方が身体障害 者ですから、数としては微々たるものです。 ○座長  予定していた時間も少なくなりましたが、今日は各論の部分も随分盛り込んで議論し てしまいましたので、せっかくですから、もしお時間の都合がつきましたら、もう少し 論点を出していただいた上で、次回以降に整理していただくことにしたいと思います。 それでは、輪島委員。 ○輪島委員  つまらないことばかりで大変申し訳ないんですが、この機会に。  第一は、北浦委員のご指摘のことなんですけれども、私どもとしても、雇用の場に限 らず、すそ野を広げていって、就業率を高めるという全体の流れについて、否定をする わけではないし、その点については、例えば、精神障害者の方についても、そこについ てネガティブであるべきではないというふうに思っております。まあ、そのことはちょ っとまた検討しなければいけませんが。  もう一つは、この在宅就業をカウントに入れるといった時の、障対法上の整理を聞い ておきたいのですけれども、雇用率制度においては、未達成であれば、即指導なんです ね。達成指導というのが一方にあって、もう一つはまた、達成していないわけですか ら、納付金を払うという現実があります。ここの、この二番目の案を採ると、未達成で はあるけれども、納付金は払わないということが起きる。そういうことになった時に、 これは達成指導の対象になってくるのかどうか。  今までは、雇用率未達成イコールその額に応じて納付金を払うということだったんで すけれども、発注奨励策によって、納付金が免除されて、もしくは減額されてとなる と、雇用率との関係はどうなるのかということを、一つお聞きしたいと思います。 ○座長  それでは、今井調査官お願いします。 ○事務局(今井調査官)  これらの3案は、それぞれ切り離して考えますので、(1)というのは、雇用率自体は カウントされるんだけれども、納付金の取扱いはそれとは別途に切り離して考えられる ということです。(2)についてだけ取り出してみますと、これは、納付金は算定上減免 になるんですけれども、ただ、雇用率を守らなかった場合は、最終的には勧告措置であ るとか、公表へ至る手続きというのは、これまでと変わりないということになろうかと 思います。障対法上は、ご案内のように、雇用率制度と納付金制度というのは、もちろ ん実際連動はしているわけですが、雇用義務制度と経済的負担については、別々に同じ 率を使って動いているという形になっております。それぞれ別々ということであれば、 その場合、納付金は減額されても、雇用率はそのままカウントするということになろう かと思います。 ○座長  はい。輪島委員。 ○輪島委員  そこで、私どもはやはり疑問に思うんですね。雇用率は未達成であっても、仕事の場 の提供は別途アウトソーシングをしているのではないかと思う。企業の立場からいう と、雇用率を達成していないというお叱りを受けるけれども、しかし、雇用の場もしく は就業の場の提供は別途していますよということについて、どういうふうにみていただ けるのかということが、先ほどの第一点の雇用率の外にあるものを雇用の中に入れると いう、大きな方針転換になるのではないかというふうに思うという、大きな疑問がある ということです。 ○座長  それでは、太田部長、お願いします。 ○太田部長  その点はまさに第2回の発注奨励のところの大きな課題ですので、次回ご議論いただ きたいと思っておりますけれども、要するに、雇用率にカウントするのか、あるいは、 納付金制度の減免でやるのかという、それぞれの選択肢で評価する。発注奨励、アウト ソーシングをどう評価するか。雇用率にカウントするということは、完全に雇用率の導 入として評価するので、雇用率指導上も同じ扱いです。ただ、私どもが考えているの は、第2案で、やはり雇用が基本であって、発注者、アウトソーシングは次善の策であ るということです。そうしますと、それは納付金制度の減免になることもあるので、そ ういうメリットは与えるけれども、雇用は達成していないのであくまでも指導を受け る、こういう整理になるかと思いますけれども、その辺も含めて、まさに第2回の一番 大きな論点ですので、ご議論いただきたいと思っております。 ○座長  松矢委員、どうぞ。 ○松矢委員  基本的な問題で、関委員からも出ているんです。この対象ですね。この奨励策の対象 となる人はどういう方々なのかということと、それは雇用促進法の対象とうまく重なっ てくるところなんですが、例えば、ここで、自営業的なそういう就業、生業ですね。生 業促進の支援みたいなことを明記するのか。それとも、関委員がご指摘のように、実際 こういうことはワークセンター、授産施設とか、そういうところでやっていたわけです ね。可能な人にはIT化ということでやっていた。だから、そういう意味で、広く能力開 発というところに焦点を置いてやっていくのかですね。そこら辺のところが、非常にポ イントだと思います。  先ほどいろいろなアウトソーシングのことが出てきました。確かに、発注奨励という 考え方がありますけれども、今現実に、特例子会社を立ち上げているところを考えます と、その会社では特例子会社に外注作業を委託しているわけでして、特例子会社の方は もっと仕事が欲しいわけです。そのような時に、一般の業者に仕事を流すというより も、むしろ、特例子会社を立ち上げてください、そこにどんどん委託という形で発注し てくださいというのが今はメインの流れではないでしょうか。  要するに、全体の中で何を重点的に我々はやっているのかというところを、拡散しな いようにする必要がある。焦点化していくということですね。ですから、このIT等は基 本計画に入っていて、当然のことなので、それをどこに特化して、この際に、もっと強 化すべき施策は何か、そんなところを次回もっと集中的にやっていただきたいと思いま す。 ○座長  手が挙がった順番で、関委員、それから畠山委員、箕輪委員。それから、中村委員。 それでは、皆様のご発言があったところで、今日はこれで。 ○関委員  すみません。私はアウトソーシングという言葉はとっても嫌ですね。要らないものを 外に出してみたいなニュアンスがあって、それを障害者が始末をするのかということに なって、何だか使いたくない言葉です。それと、永続性のあることなのかどうかという こともありますので、企業の戦略だと言われればそれまでですが、できたら使いたくな いですね。意見として、願いとしてそういう思いがあります。 ○座長  では、畠山委員、どうぞ。 ○畠山委員  二つございます。一つは、先ほどの雇用率へのカウントの問題なんですが、企業にと りましては、やはり複雑な制度に切り替わることはあまり好ましいことではありませ ん。今までの制度が継続されていくならいいのですが、今度、精神も新たに入ります し、在宅就業も入るということになると、何がどう変わるのか、雇用率に何をポイント としてカウントするのか。要するに、企業が取り組み易い方法を工夫していただきたい ということと、もう一つは、在宅就業については、身体障害者だけを対象にするという のはおかしいのではないかと思いました。  資料7で、ここに出てくる数字というのは、在宅で就業している身体障害者は9割以 上であると書かれていますように、実際多いんだろうとは思いますけれども、これはお そらく現在在宅就業を行っている障害者というイメージであって、その意味では、実際 には、精神障害を持っている人の中には、潜在的な働き手はもっと存在するし、そうい う意味で、身体障害者に限らず、大きなニーズがあるのかなと思います。実際に精神障 害の人たちというのは、どういった状況なんだろうかと思うわけです。 ○座長  では、箕輪委員、どうぞ。 ○箕輪委員  先ほど松矢委員がおっしゃったことと関連するのですけれども、グループ算定の制度 についてです。これは今の社会の縮図のようなものと思えば、イメージし易いのではな いかと思うのです。グループのいろいろな機能がありまして、今は職種も限られてい て、いろいろ場所の問題だとかで、なかなか進まない面もあるというこれまでの中で、 グループ参入に取り組んできました。  直接雇用する会社は、グループの中に特例子会社がもちろん多く占めているのですけ れども、私どもが直接雇うのですと、雇う場合には、仕事と受注の拡大を、そのグルー プ参入の中でルールを決めていただきますので、そういった中で、どんどん仕事をつく っていきたい。また、そういう仕組みによって、グループの他社にも仕事を出そうとい うふうになるのかも知れない。  その中で、IT化というものによって、まとまった仕事を企業の外に出し易くなってき て、IT化の中で外に仕事を出すことが非常に進んできたなと思うのですが、初めに言っ たように、グループの中で今まさに雇用をする。雇用するための仕事を出す。そういっ た形で、いろいろなことを研究する仕組みが、実際にうまくいっていると思っているの で、そういった中でも、グループの中にどんどん雇っていくメリットはたくさんあるの かなと感じていましたので、グループ算定にはヒントがあると思っています。 ○座長  それでは、中村委員。 ○中村委員  ITの部分のところの考え方で、広く就業率を高めるというのは、それは全体の考え方 でよいのではないかと思います。  ここでの焦点は、障害者がITを使うことによって就業機会が広がるという論点、障害 者は特別だよというふうに捉えるのか、普通に考えましょうと捉えるのかでは、見方が 違ってくると思います。  それは、普通の人の選択肢でいえば、自営業、あるいはサラリーマンという選択肢に なると思います。この場合、在宅の障害者に在宅で就業を奨励をするということは、い わゆるその人の生涯的なキャリア、特に、能力開発の問題と職の確保の問題だと思いま す。  これを現実的に資することとして考えるということで捉えて、全体的には仕事の確保 ことを考えていく、という切り口みたいなものでいくべきだと、私は考えています。  私はその場合に、いわゆる雇用率等の扱いについて、そことの整合性は確かに必要で あるということの議論は一つあると思うし、そこの観点を申し上げますと、やはり今ま で、いわゆる雇用という部分をベースとした雇用率であった。これは、いわゆる社会全 体で実現していこうというもので、そこの決め事の方に行こうということと、それか ら、そういうことが促進をされなくなってしまうようなことにならないのかということ の部分は、そこはルールの考え方として、きちんと整理をつけていかなくてはならない と思う。 ○座長  まだまだいろいろご意見はあろうかと思いますが、随分大幅に時間をオーバーしてし まいましたので、今日はこの辺りで終了させていただこうと思います。それで、皆様方 から大変活発なご議論があり、また、新たな論点、あるいは、さらに課題なども浮かび 上がってまいりましたので、第2回以降、適宜議論をさせていただきたいと思います。  そこで、会議の公開についてお諮りをしたいと思います。もし皆様の方で、特に公開 はよろしくないというような事情がありませんようでしたら、今日のような議論推し進 めていく上で、会議を公開させていただくというふうにしたらいかがだろうか、また、 議事録も公開ということで、いかがだろうかと思うのですが、この点はいかがでしょう か。 (「異議なし」の声。)  よろしゅうございますか。それでは、特に問題がある時にはまた、毎度確認をしてい きたいと思いますが、今回の議事録は公開をしていく。それから、次回の会議も公開を していくということでさせていただきたいと思います。  では、次回以降の日程でございますが、事務局からお願いします。 ○事務局(平川課長補佐)  次回の第2回でございますが、6月11日(金曜日)18時30分から20時30分ということ で、場所はこの厚生労働省内の13階専用第16会議室で行うことを予定してございます。 なお、お手許に第2回研究会の出欠についての用紙を配ってございますので、できまし たら今ご記入をいただきまして、お帰りの際に机の上に残して置いていただきたいと思 います。以上です。 ○座長  何だか、夜討ち朝駆けみたいな研究会になってしまって、大変恐縮でございますが、 いろいろな事情から日程調整が大変難しい状況でございまして、ご無理を申し上げます が、どうぞよろしくご協力のほどお願いしたいと思います。  それでは、本日の会議は以上をもちまして終了させていただきます。時間が延びまし たことを改めてお詫びいたしますとともに、非常に熱心なご議論ありがとうございまし た。   照会先:職業安定局障害者雇用対策課 雇用対策係(内線5854)