【田中委員提出資料】 |
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全国救護施設協議会 会長 田中 亮治 |
資料1 | 救護施設利用者の障害状況に関する比較(平成5年・15年実態調査より) |
資料2 | 支援の事例(多重債務者への支援、アルコール依存症を有する利用者への支援) |
資料3 | 主な障害者入所施設との在所率の比較(平成14年社会福祉施設等調査概況より) |
平成5年度 | 平成15年度 | |||
人数 | 構成率 | 人数 | 構成率 | |
身体障害 | 2,091 | 13.5% | 1,518 | 9.0% |
知的障害 | 5,466 | 35.3% | 3,599 | 21.2% |
精神障害 | 2,258 | 14.6% | 4,777 | 28.2% |
重複障害(身体+知的) | 1,503 | 9.7% | 1,438 | 8.5% |
重複障害(身体+精神) | 260 | 1.7% | 754 | 4.4% |
重複障害(知的+精神) | 1,037 | 6.7% | 2,382 | 14.1% |
重複障害(身体+知的+精神) | 179 | 1.2% | 590 | 3.5% |
障害なし | 2,685 | 17.3% | 579 | 3.4% |
いわゆる生活障害 | ― | ― | 1,312 | 7.7% |
合計 | 15,479 | 100.0% | 16,949 | 100.0% |
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該当利用者の状況 | |||
性別・年齢 | 女性 49歳 | 障害状況 | 精神障害 |
利用者の抱える具体的な問題 | 5社の消費者金融からの借金の他、夫の連帯保証人となっている業者が8社あり債務総額136万円であった。夫婦・子供4人で債権者から逃げ回る生活をしており、家族崩壊、離婚に至る。統合失調症を発症。 | ||
施設としての対応 | |||
夫婦・子供4人、サラ金から追われ田畑のハウスの中に逃げて寝泊りしており、役場から保護され緊急避難で本人は当施設に、夫は県内の別の救護施設に、子供は児童施設や親類の家にとばらばらになった。夫が所在不明となったが、その後本人(妻)に何度か電話があり、自宅に放火、逮捕される。夫のサラ金各社に本人の所在地がわかってしまい、その分の督促が数社入るようになる。夫と離婚の話し合いも進まず。福祉事務所と相談の上、夫・本人それぞれに自己破産の手続きをすすめる。法人扶助協会、弁護士会を利用。破産申し立てが認められ、免責決定。夫との離婚成立。訴訟費用は本人が分割にて返済し終了。各社からの督促の連絡が直接本人に行かないよう施設で対応。夫との面会(夫から本人に更に借金の要請あり)に施設や身内が立ちあったり、裁判所へも同行した。弁護士、実施機関との相談を密に行った。 | |||
このケースに関する特記事項 | |||
法律扶助協会や弁護士会を活用し、自己破産を申立て、免責が決定し、訴訟費用の返済まで済んだケースである。しかし、その過程で、緊急避難的な入所ゆえ、施設側が外部に所在を隠していたのに、夫のサラ金業者に本人の所在が知られる結果になり、対応が更に複雑になってしまったことについては今後の課題となった。 |
該当利用者の状況 | |||
性別・年齢 | 男性 18歳 | 障害状況 | アルコール依存症、両尖足性硬縮による歩行障害 |
利用者の抱える具体的な問題 | 契約での日雇労働をしていたが、アルコール問題により職と住居を失い路上生活となる。主に雑誌集めなどをしながらその日の飲み代を稼ぐ生活をしていたが、アルコール問題が常につきまとい、飲酒時の事故により歩行困難となり入院生活、保護開始となる。 | ||
施設としての対応 | |||
他者との信頼関係構築と、アルコール依存症の病識を深めることに重点を置き支援開始。担当職員との定期面接を行うなかで、信頼関係を形成し、施設内プログラムとして、作業、ミーティングへの参加を促した。退所後はアパート生活を希望していたことから、在宅支援プログラムを利用し、退所後のアパート利用を考慮した措置機関管轄地区方面のAAに参加、アパート生活を意識した週間スケジュールの作成、アルコール治療継続のためのクリニックデイケアへの試験通所を実施するなどした。また、退所支援プログラムを活用しての、措置機関との調整、アパート契約、外泊訓練等を行った。結果、1年3か月で退所に至り、その後AA、クリニックのデイケアへの通所、月に一度の退所後6か月までの方を対象にした当施設のOB懇談会にも確実に参加している。 | |||
このケースに関する特記事項 | |||
施設が開発した在宅支援プログラム、退所支援プログラムの活用と、退所後の断酒環境の整備(クリニックのデイケア、AA、福祉事務所にそれぞれ本人の居場所を設ける)により退所が実現された。また、アフターケアとしてOB懇談会にも参加を奨め、順調に在宅生活を送っている経過をみると、支援内容は妥当だったと思われる。 |
平成14年社会福祉施設等調査の概況をもとに作成 | ||||||||||||||||||||||||
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