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労災保険率適用の基本原則


 個々の事業に対する労災保険率の適用については、(1)事業の単位、(2)その事業が属する事業の種類、(3)その事業の種類に係る労災保険率の順に決定する。

第1 事業の単位
 事業の概念
 労災保険において事業とは、一定の場所においてある組織のもとに相関連して行われる作業の一体をいうものである。

 適用単位としての事業
 一定の場所において、一定の組織の下に相関連して行われる作業の一体は、原則として一の事業として取り扱う。
(1) 継続事業
 工場、鉱山、事務所等のごとく、事業の性質上事業の期間が一般的には予定し得ない事業を継続事業という。
 継続事業については、同一場所にあるものは分割することなく一の事業とし、場所的に分離されているものは別個の事業として取り扱う。
 ただし、同一場所にあっても、その活動の場を明確に区分することができ、経理、人事、経営等業務上の指揮監督を異にする部門があって、活動組織上独立したものと認められる場合には、独立した事業として取り扱う。
 また、場所的に独立しているものであっても、出張所、支所、事務所等で労働者が少なく、組織的に直近の事業に対し独立性があるとは言い難いものについては、直近の事業に包括して全体を一の事業として取り扱う。

(2) 有期事業
 木材の伐採の事業、建物の建築の事業等事業の性質上一定の目的を達するまでの間に限り活動を行う事業を有期事業という。 有期事業については、当該一定の目的を達するために行われる作業の一体を一の事業として取り扱う。

第2 事業の種類
 一の事業の「事業の種類」の決定は、主たる業態に基づき、「労災保険率適用事業細目表」(昭和47年労働省告示第16号。以下「事業細目表」という。)により決定する。 ただし、建設事業における事業の種類、製造業における構内下請事業の事業の種類及び労働者派遣事業における事業の種類は、次により決定する。

(1) 建設事業
 建設事業における事業の種類は、請負契約の形態(分割請負、一括請負等)及び併せ行われる工事の内容如何にかかわらず、事業細目表に照らし完成されるべき工作物により決定する。
 なお、完成されるべき工作物により難い場合は、主たる工事、作業内容によるものとする。この場合の主たる工事、作業の判断は、それぞれの工事、作業に係る賃金総額の多寡によるものとする。
 また、建設事業において一の事業の中に、事業細目表の「事業の種類の細目」欄又は「備考」欄において除外すべき事業として掲げられている工事であって本通達で指定する工事(以下「除外事業」という。)が含まれている場合には、当該除外事業を分離し、当該除外事業の事業の種類は、その業態により決定する。

(2) 構内下請事業
 製造業に属する事業の事業場構内において専ら作業を行う事業であって、当該製造業に属する事業(以下「親事業」という。)の主たる製品を製造する工程における作業及び当該工程に直接附帯する作業の一部を行う事業は、親事業と同種の事業の種類に分類される。
 なお、親事業が主たる製品以外の製品を製造している場合には、当該主たる製品以外の製品を製造する工程における作業及び当該工程に直接附帯する作業の一部を行う事業は、当該主たる製品以外の製品を製造する工程を一の事業とみなした場合に分類される事業の種類に分類される。

(3) 労働者派遣事業
 労働者派遣事業における事業の種類は、派遣労働者の派遣先での作業実態に基づき決定する。
 派遣労働者の派遣先での作業実態が数種にわたる場合には、主たる作業実態に基づき事業の種類を決定することとし、その場合の主たる作業実態は、それぞれの作業に従事する派遣労働者の数、当該派遣労働者に係る賃金総額等により判断する。
 なお、労働者派遣事業と他の事業を一の事業として併せて行う事業であって適用上一の事業として扱われるものについては、その主たる業態に基づき事業の種類を決定する。

第3 労災保険率
 決定された事業の種類に基づき、労災保険率表(労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則(昭和47年労働省令第8号)別表第1)により労災保険率を決定する。


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