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医療用医薬品の流通改善に関する懇談会

  趣旨
 医療用医薬品の取引については、流通当事者間における自由かつ公正な競争の確保等の観点から、平成7年2月に医薬品流通近代化協議会(厚生省薬務局長(当時)が開催)が提言した「医療用医薬品の流通近代化の推進について」などを踏まえ、従来より、様々な努力が重ねられてきたところであるが、未だ不十分な状況にある。
 一方、近年、医薬分業の進展や卸売業の業界再編、IT化の進展など、医療用医薬品の流通に関する状況の変化がみられる。
 また、平成15年度の中央社会保険医療協議会における審議経過の中でも、流通過程における医療用医薬品の価格形成の実態に関する問題意識が示されたところである。
 こうした状況を踏まえ、今般、厚生労働省医政局長の意見聴取の場として、医療用医薬品の流通改善に関する懇談会を開催し、医療用医薬品の流通過程の現状を分析し、公的医療保険制度の下での不適切な取引慣行の是正等について検討を行うことにより、今後の医療用医薬品の流通改善の方策を検討することとする。

  懇談会の構成
学識経験者(3)
医療関係(9):医科(5)、歯科(1)、調剤(3)
製薬業界(4)
流通業界(5)

  主な検討事項
 (1)  医療用医薬品の流通に関する状況の変化
  医薬分業の進展
  薬価差の縮小及び薬価制度の変化
  卸売業の業界再編
  IT化の進展
  安全対策の充実の要請
  テロ等の災害時対応の充実の要請
 (2)  医薬品流通近代化協議会提言(平成7年2月)への対応状況など価格形成の実態
 メーカー: 割戻し・アローアンスの割合の縮小
割戻し・アローアンスの支払基準の明確・透明化
プロモーション活動の適正化
 卸売業者: 主体性ある価格交渉の実施
不適切な取引慣行の是正
文書契約の推進
 医療機関等: 不適切な取引慣行の是正
文書契約の推進
 (3)  医療用医薬品の流通改善の推進方策

  当面の検討スケジュール
 平成16年末を目途に一定の結論を得る。

  その他
 懇談会の庶務は、厚生労働省医政局経済課において処理する。
 必要に応じ、参考人を招いて意見を聞くものとする。
 懇談会の効率的な運営に資するよう、必要に応じ、関係当事者による準備作業会合を開催することとする。



医療用医薬品の流通改善に関する懇談会名簿

(五十音順、敬称略)
氏名 団体役職
  伊藤 高人 (社)日本医薬品卸業連合会 流通近代化検討委員会 委員
  井上 昭 医薬工業協議会 ジェネリック研究委員会 副委員長
  今川 美明 日本保険薬局協会 会長
  上原 征彦 明治大学大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授
  漆畑 稔 (社)日本薬剤師会 副会長
  江口 博明 日本ジェネリック医薬品販社協会 会長
  大来 邦夫 日本製薬工業協会 流通適正化委員会 委員長
  大塚 量 (社)日本医療法人協会 副会長
  奥村 弘一郎 (社)日本歯科医師会 常務理事
  柿田 章 (社)日本私立医科大学協会 副会長
  河ア 建人 (社)日本精神科病院協会 常務理事
嶋口 充輝 慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 教授
(財)医療科学研究所 所長
  関口 久紀 (社)日本病院薬剤師会 専務理事
  高見 守泰 日本製薬工業協会 流通適正化委員会 副委員長
  仲谷 博明 日本製薬工業協会 流通適正化委員会 副委員長
  松谷 高顕 (社)日本医薬品卸業連合会 会長
  三上 裕司 (社)日本医師会 常任理事
三村優美子 青山学院大学 経営学部 教授
  宮内 啓友 日本歯科用品商協同組合連合会 専務理事
  宮川 信 (社)全国自治体病院協議会 副会長
  渡辺 秀一 (社)日本医薬品卸業連合会 流通近代化検討委員会 専門委員
 ◎座長 ○座長代理



医療用医薬品の流通改善に関する懇談会 検討スケジュール(案)


第1回(6月下旬)
医薬品流通近代化協議会提言について
医療用医薬品の流通に関する状況の変化
 医薬分業の進展
 薬価差の縮小及び薬価制度の変化
 卸売業の業界再編
 IT化の進展
 安全対策の充実の要請
 テロ等の災害時対応の充実の要請
状況変化に伴う課題

(7〜8月 次回会合に向けた当事者間での準備作業)

第2回(8月下旬〜9月)
医薬品流通近代化協議会提言への対応状況など価格形成の実態
 メーカー
 卸売業者
 医療機関、調剤薬局
医薬品流通近代化協議会提言への対応に関する現状認識

第3回、第4回(10月〜11月)
医薬品流通近代化協議会提言への今後の対応
状況変化に伴う課題への対応
流通改善に向けた提言案

第5回(12月)
流通改善に向けた提言
今後の対応



医薬品流通近代化協議会の取組の経緯

開催年月 流近協の動き 備考
昭和 58年3月
医薬品流通近代化協議会(流近協)設置 厚生省薬務局長(当時)が設置
昭和 62年9月
「医療用医薬品流通の近代化に関する報告書」
モデル契約書の作成等
平成 2年6月
「医療用医薬品の流通の近代化と薬価について」
値引き補償制の廃止
流通改善に資する薬価算定方式を提言
平成 3年1月
 
公正取引委員会が独占禁止法ガイドライン案を公表
4月  
大手6社が新仕切価制へ移行
5月  
中医協建議
(加重平均値一定価格幅方式への変更)
10月  
製薬メーカー各社が新仕切価制へ移行
平成 4年2月
「医療用医薬品の流通近代化の促進について」
各流通当事者の留意事項が提示
4月  
薬価改定(R15)
平成 5年6月
医薬品卸売業将来ビジョン検討部会「医薬品卸業将来ビジョン」
卸の主体性の確立を求める
平成 6年2月
「次期診療報酬改定及び薬価改定に向けて」
診療報酬上の配慮等を求める
4月  
薬価改定(R13)
平成 7年2月
「医療用医薬品流通の近代化の推進について」
各流通当事者の具体的な留意事項等を改めて確認
平成 8年2月
「次期診療報酬改定及び薬価改定に向けて」
各流通当事者の流通改善の精神を再度確認
4月  
薬価改定(R11)
平成 9年4月
 
薬価改定(R10 一部R8)
消費税上げに伴う改定
8月 医薬品流通近代化協議会(流近協)の廃止
厚生省の組織再編



流近協メッセージ(平成7年2月22日)


平成7年2月22日


医療用医薬品の流通近代化の推進について


医薬品流通近代化協議会



 医療用医薬品の流通の近代化については、当協議会の平成2年6月の報告「医療用医薬品の流通の近代化と薬価について」において、その方向と具体的改善策を提示したところであるが、この間、値引補償の廃止等の取引慣行の改善や、薬価差の縮小、価格の不自然なばらつきの是正など、一定の成果が見られたところである。
 流通近代化については、昨年4月の薬価改定を機に新たな段階を迎えたわけであるが、依然、未妥結・仮納入、総価山買いや過度のリベートによる対応等克服すべき問題もあり、また、メーカー、卸売業者、医療機関及び薬局(以下「医療機関等」という。)の各流通当事者の流通近代化や新しい薬価改定方式への理解について未だ不十分な点もあるように思われる。
 平成2年6月の報告で示された流通近代化の方向は、(1)自由な競争の確保、(2)過大な薬価差の是正、(3)透明性・公平性の確保であったが、各流通当事者においては、改めて流通近代化の原点に立ち返ってその意義を再確認するとともに、医療を支える者としての相互の信頼関係を基礎として、流通の改善に取り組んでいくことが望まれる。
 現在、流通近代化は真に定着するか否かの岐路に立っているといっても過言ではなく、当協議会においては、こうした現下の状況に鑑み、各流通当事者が特に留意すべき事項等について下記のとおりとりまとめることとした。各流通当事者においては、これらの趣旨を十分に理解し、流通近代化の一層の推進に取り組むことを期待する次第である。




1. メーカーについて
(1) 仕切価格の設定に当たっては、市場の実勢等を十分勘案するとともに、マージンに占めるリベート(アローアンスを含む。)の割合の縮小が図られるよう、リベートを縮小し、仕切価格に反映させること。
(2) リベートの支払基準を明確かつ透明なものとすること。
(3) プロモーション活動の適正化を図るため、公正競争規約の徹底、遵守を推進するとともに、規約の整備、充実を図ること。

2. 卸売業者について
(1) 流通の一層の合理化、効率化に努めるとともに、価格交渉は適切な利益管理の下に主体性をもって行うこと。
(2) 取引価格の未妥結・仮納入、総価山買い等の不適切な取引慣行を是正すること。
(3) 医療機関等との取引条件の明確化のため、文書による契約の締結を進めること。

3. 医療機関等について
(1) 過度の薬価差要求、取引価格の未妥結のままの納入の要請、総価山買い等の不適切な取引慣行を是正すること。
(2) 卸売業者との取引条件の明確化のため、文書による契約の締結を進めること。

4. 診療報酬上の配慮
 流通近代化の着実な推進を図るためには、各流通当事者の適切な取組みに加え、診療報酬改定において医療機関の経営安定が図られるよう十分な配慮が行われる必要がある。また、薬価改定により生み出された財源は、外部からみて明確な形で診療報酬の改定に充てられることも重要である。


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