戻る

e-文書イニシアティブについて−e-文書法の立案方針−【ポイント】

1.e-文書イニシアティブのねらい
民間への紙による文書保存義務について、原則全て電子保存を容認。
→民間の文書保存コストを軽減。(〔経団連試算〕帳簿書類の保存コスト:年間約3,000億円)

2.e-文書法立案の考え方
e-文書法」=通則法と整備法により構成。


通則法:電子保存容認に関する共通事項を定める。
整備法:通則法のみでは手当てが完全でない場合等の規定整備を行う。
□  通則法により措置する法律数は、約250本。
 (通則法形式の採用により、個別に法改正せずに電子保存を容認。)

□  税務関係書類も、原則的に全ての書類の電子保存を容認。
 (適正公平な課税の確保のため、一部書類については対象にしない。)


□  一部の文書について電子保存対象外となる法律(約50本
  (例) 緊急時に即座に確認する必要があるもの:船舶に備える安全手引書など
現物性が極めて高いもの:免許証、許可証など
イメージ

3.今後のスケジュール
□  平成16年2月のe-Japan戦略II加速化パッケージにより、e-文書イニシアティブの推進を決定。
 同年4月に法制準備室(関係省より13名)を立ち上げ。
□  平成17年4月の施行を目指し、平成16年度のできるだけ早期に国会提出



e-文書イニシアティブについて
― e-文書法の立案方針 ―

平成16年6月15日
内閣官房IT担当室


1.e-文書イニシアティブのねらい
  ○法令により義務付けられている紙での保存が、民間の経営活動や業務運営の効率化の阻害要因となっている。

  ○情報通信技術の進展により、紙での保存に代えて、電子的に保存することが可能となっている。

 ⇒ e-Japan戦略IIを加速化させる施策の一つとして、電子保存を容認していない多数の法令について、統一的な方針の下に電子保存を容認する措置を講ずることにより、民間の文書保存に係る負担の軽減を図る。


2.e-文書法立案の考え方
 (1)民間に紙での文書保存義務が課されている場合、原則として全て電子保存することを容認することとし、これを電子保存容認に関する共通事項を定める通則法及び通則法のみでは手当てが完全でない場合等の規定整備を行う整備法により措置する。

 (2)通則法方式とすることにより、関係する法律を個別に改正しなくても電子保存が容認される。

 (3)文書の内容、性格により、真実性・可視性を確保するための要件(改ざん防止措置等)の要請の程度が異なりうるので、電子保存の方法等については主務省令で具体的に定める。

 (4)通則法においては、
(1)書面に代えて電子保存を行うことができる規定を整備するとともに、
(2)電子保存を容認することが適当でないもの(※)については、適用除外とする規定を整備する。
※・緊急時に即座に見読可能な状態にする必要があるもの
(例)安全のため船舶に備え付けるべき手引書 など
現物性が極めて高いもの
(例)許可証、免許証 など
条約による制約があるもの

 (5)税務関係書類の取扱い
(1)民間から強い要望のある税務関係書類については、スキャナ方式による保存を容認する。相手方から受け取った見積書、契約の申込書、請求書等原則的に全ての書類を対象とする。(なお、適正公平な課税を確保するため、決算関係書類や帳簿、一部の契約書・領収書については、対象としない。)

(2)電子保存範囲の拡大に当たっては、現在認められている電子的に作成された帳簿書類の電子保存の場合と同様、税務署長による事前承認を求めるため、整備法において措置する。

※通則法、整備法の概要については、別紙参照。


3.e-文書法対象法律

 内閣官房を中心に精査した結果、e-文書法により措置する法律数は、約250本。
各省庁別には、以下のとおり。
※また、e-文書イニシアティブの対象法律ごとの対応の詳細は、別添参照。
(本)
内閣府 文部科学省 12
警察庁 11 厚生労働省 67
金融庁 28 農林水産省 31
総務省 10 経済産業省 43
法務省 21 国土交通省 41
外務省 環境省 11
財務省 16 合計[重複なし合計] 296[251]
 (注)法律の本数は今後の精査・調整等により変動があり得る。


4.立案作業の進め方

 法案について、平成17年4月の施行を目指し、平成16年度のできるだけ早期に国会提出することとし、今後、内閣官房を中心として関係府省の協力を得ながら立案作業を進めていくこととする。

以上



(別紙)
e-文書法通則法案の概要

 民間の主体に対して書面の保存等が法令上義務付けられている場合について、原則として全ての場合に当該書面に係る電磁的記録による保存等を行うことを可能にするための共通事項を定める等、所要の法整備を行う。

1 骨子
 (1)法律案の名称
 民間の主体が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案(仮称)

 (2)個別法の改正ではなく、通則法の制定により措置する。
 (電磁的記録による保存等を原則として全ての場合に容認するという立法目的を実現するためには、個別法を改正しなくても電磁的記録による保存等が可能となる通則法方式が望ましい。通則法により立法目的が明確化され、国民にとっても分かり易いものとなる。)

 (3)電磁的記録による保存等

(1)電磁的保存可能規定
 他の法令の規定が書面の保存に代えて当該書面に係る電磁的記録による保存を行うことを容認していない場合には、保存義務者は、当該法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、電磁的記録による保存を行うことができることとする。
*1 電磁的記録による保存とは、当初から電子的に作成された書類を電子的に保存すること及び書面で作成された書類をスキャナでイメージ化し、電子的に保存することの両者を含む。
*2 保存を義務付ける個別の法令ごとに、スキャン文書とする場合の改ざん防止や原本の正確な再現性の要請の程度が異なりうるので、電子的な保存についての方法等については主務省令で具体的に定めることとする。

(2)電磁的作成、縦覧、交付等可能規定
 保存だけでなく、書面の作成、縦覧、交付等についても書面に代えて電磁的記録により行うことを容認していない場合には、保存義務者は、当該法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、電磁的記録による作成、縦覧、交付等を行うことができることとする。

(3)書面等みなし規定
 (1)、(2)により行われた保存等については、個別法令に規定する書面により行われたものとみなして当該個別法令を適用する旨の規定を設ける。

 (4)適用除外
 法整備の時点で、その性質上電子化になじまないなど、電磁的記録による保存等を容認することが政策的にできない(※)と判断されるものを別表に列記し、例外的に本法の適用を除外する。

緊急時に即座に見読可能な状態にする必要がある場合(安全のため船舶に備え付けるべき書類など)
複製により制度が運用されることを想定していない場合(許可証、免許証など)
条約上の制約がある場合

 (5)その他(地方公共団体の責務等)
 本法律が適用されない条例による書面の保存義務について、電磁的記録による保存を可能とするための必要な措置の努力義務 等

2 法案提出予定時期等
 (1)法案提出予定時期 平成16年度早期
 (2)施行目標時期 平成17年4月



e-文書法整備法案の概要


 民間の主体が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案(仮称)の施行に伴い、関係法律の整備等を行う。

骨子
 (1)法律案の名称
 民間の主体が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(仮称)

 (2)民間の主体が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案(仮称)(以下「本法」という。)の施行に伴い、本法で包括的に規定する事項の例外事項、本法のみでは手当が完全でないもの等についての所要の規定整備を行う。
現在考えられるものは以下のとおり。

(1)事前承認制等の導入に係る規定整備(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律等の一部改正)

 一定の要件に適合した状態で電磁的記録による保存をすることが必要不可欠である等、適切な電子化を確保する必要が特に高い国税関係の帳簿書類等について、税務署長等による事前承認制や省令で定める条件による保存の義務付け等に係る所要の規定を整備。
*この関係で改正を要するものとして、他に地方税法、関税法がある。


(2)主務省令に係る規定整備(特定非営利活動促進法の一部改正)

 文書の保存等の方法について条例で定めることとしている場合に、電磁的記録による保存等の方法についても条例で定めることとすることが適当であることから、通則法における主務省令とは異なる委任の取扱いが必要なものについて所要の規定を整備。
*特定非営利活動促進法第44条の2と同旨の規定を置く。


(3)その他
 関係法の整備。


トップへ
戻る