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平成16年度第1回目安に関する小委員会議事録


1 日時 平成16年6月22日(火)15:00〜16:10

2 場所 厚生労働省専用第21会議室

 出席者
  【委員】公益委員 古郡委員長、今野委員、岡部委員、中窪委員

労働者側委員 加藤委員、久保委員、中野委員、山口委員、

使用者側委員 池田委員、川本委員、杉山委員、原川委員

 配付資料

資料No.1 中央最低賃金審議会日程
資料No.2 中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(第1回)資料

 議事内容

○古郡委員長
 ただいまから目安に関する小委員会を開催いたします。本日より目安審議が始まることとなりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、本日以降の小委員会の公開についてですが、従前より中央最低賃金審議会運営規程第7条に基づき、議事録は原則公開としておりますが、会議については、運営規程第6条の「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合」等に該当することから、これまで非公開としております。各委員には、事前に事務局よりご意向を確認いただいておりますが、今年も同様の取扱いとしてよろしいでしょうか。

(了解)

○古郡委員長
 議事録の発言者名については、今回から小委員会においても、本審同様、発言者名を記載する取扱いとしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、本年度の目安審議の日程については、諮問の本審の際にご確認いただいているとおり、お手元にお配りしてあります資料1の日程表に沿って例年どおり審議を進めさせていただきます。ご協力をお願いいたします。
 初めに事務局より配付資料の説明をお願いいたします。例年どおり、各種指標を事務局に用意いただいておりますが、最低賃金を取り巻く諸情勢について、共通の認識を持っていただくことが重要と考えておりますので、そのことを念頭に置いていただきたいと思います。

○長課長補佐
 お手元に資料2が配付されていると思います。資料2は「全国統計資料編」「都道府県統計資料編」及び「業務統計資料編」と3部構成となっております。1頁は主要指標を整理したものですが、左側は内閣府の「国民経済計算」よりGDPの推移を見ております。実質GDPは、平成14年4〜6月期以降、8四半期連続で、対前期比プラスで推移しております。名目で見ても、平成15年4〜6月期以降、4四半期連続プラスで推移している状況です。
 隣の枠は、経済産業省の「鉱工業指数」から生産の動きを見たものです。平成14年平均の指数は92.0まで落ち込んでおりましたが、平成16年4月には101.2、「製造工業稼働率」は102.0になるなど、増加の動きが見られる状況にあります。「倒産件数」は東京商工リサーチ調べで見たものですが、対前年比マイナスで推移している状況です。「完全失業者数」及び「完全失業率」ですが、完全失業者数は平成14年まで、対前年比プラスで推移していましたが、平成15年に入り、若干減少が見られます。平成16年に入っても、対前年比マイナスで推移しております。このような状況もあって、直近の平成16年4月の完全失業率は4.7%まで低下している状況です。
 2頁左の「求人倍率」ですが、平成16年4月の新規求人倍率は1.2倍を超える水準となっております。有効求人倍率は昨年12月から0.77倍と横這いで推移していますが、平成14年平均が0.54倍ということを考えると、改善が見られている状況にあると思います。「消費者物価」は、平成15年に対前年比−0.3%となった後、平成16年2月に若干上昇が見られ、3月保合い、4月にはまた低下しております。「国内企業物価」は、昨年11月からプラスで推移しております。背景としては、石油・石炭製品などの素材価格が上昇していることが影響しているようです。
 次の「賃金」は、「毎月勤労統計調査」の事業所規模30人以上で見ております。現金給与総額の動きなので、所定外給与なども含まれることになります。直近の平成16年4月の状況を見ると、調査産業計の名目指数が97.4、実質指数が100.0となっています。前月の3月に大きく減少した後、4月に戻した形となっており、なかなか傾向をつかみづらい状況かと思われますが、4月の数字だけを見ると、平成15年の平均名目指数96.3や平成15年の平均実質指数98.6といった数字よりも高くなっております。製造業については、平成16年に入り、4月の名目指数は103程度、実質指数は105.8ということで、大体106ぐらいのところで推移しているように見受けられます。平成15年の平均は名目指数で101.3、実質指数で103.7ですから、それよりも水準が上昇している状況が見られます。
 3頁は有効求人倍率の動向について、各ランク別で見ております。平成16年に入ってからの状況ですが、Bランク県、Cランク県といったところで、全国平均よりも高くなっております。都道府県別の有効求人倍率は26頁に掲載してありますが、平成15年の平均で見ると、Bランク県では愛知県、静岡県、Cランク県では山梨県、岡山県、群馬県、香川県といった所が高くなっております。そのような状況が反映されているものと思います。
 4頁は年齢階級別の求人倍率の推移を見たものです。全体の求人倍率に上昇が見られていますが、各年齢層を見ても、それぞれの上昇幅に差はあっても、上昇が見られます。
 5頁は「毎月勤労統計調査」から、事業所規模別に賃金の動きを見たものとなっております。上段は現金給与総額なので、定期給与と賞与を合わせたものになります。下段は定期給与ですから、所定内給与に所定外給与を合わせたものとなっています。また、定期給与の欄ですが、下段に括弧を付けた数字があります。これは所定内給与だけを見たものです。直近の平成16年4月の動向を見ると、現金給与総額について、5〜29人規模を除いて対前年比はプラスという状況が見られます。定期給与についても、5〜29人を除く対前年比はプラスで、同じような状況が見られます。所定内給与のみ、つまり括弧内の数字だけを見ると、5〜29人だけがマイナスで、後は0.0ということで横這いの数字などが見受けられます。5〜29人はマイナスとなっていますが、これは、パートタイム労働者の構成比割合が高まっていることなどが影響しているようです。
 6頁は初任給の上昇額や率について、高校卒、短大卒、大学卒などの区分を設け見たものとなっております。近年の状況を見ると、平成14年度から対前年度比0.0ということで、ほぼ横這いで推移していることがわかります。
 7頁は所定内給与、所定内労働時間の指数から時間当たりの所定内給与の推移を見たものとなっています。時間当たりの所定内給与は、この表ですと、真ん中にある数字です。「毎月勤労統計調査」で、事業所規模30人以上で見たものですが、平成15年は所定内給与が0.3%減少、所定内労働時間が0.2%減少となっており、所定内給与の減少幅のほうが若干大きいので、時間当たりで見ると、対前年比−0.1%となります。所定内給与や所定内労働時間の減少については、「毎月勤労統計調査」から一般労働者・パートタイム労働者を合わせたもので取っておりますので、パートタイム労働者の構成比変化などもありますから、その点については留意して見る必要があると思います。
 8頁は「賃金構造基本統計調査」から、一般労働者について所定内給与、所定内実労働時間、規模別で時間当たり所定内給与を見たものとなっています。「賃金構造基本統計調査」なので、各年6月の数字となります。平成15年を見ると、所定内実労働時間が規模によって異なっていますが、1、2時間程度増加している中で、所定内給与のほうが横這い、若干減少、増加が見られますので、時間当たりで見た場合、対前年比でマイナスという状況となっています。
 9頁は、1日の所定内労働時間の推移を見たものです。1企業平均で見たものと、労働者1人平均で見たものとなっておりますが、ほぼ横這いで推移している状況にあります。なお、1,000人以上規模で見た1企業平均、もしくは労働者1人平均の所定内労働時間が、30〜99人規模で見た場合よりも、時間数が多くなっているという状況も見られますが、これは、大企業のほうが週休2日制などが浸透していることなどから、出勤日数の関係で、このような状況が出ているのではないかと推測されます。
 10頁は、産業別労働時間の動きを見たものです。平成16年に入ってからの状況を見ると、鉱業を除いた各産業とも、所定内労働時間が対前年比で増加しています。所定外労働時間について、調査産業計と製造業を見ていますが、景気の回復を受けて、対前年比で増加が見られているようです。製造業については、10%台後半の2桁増がここ数カ月続いております。
 11頁は春季賃上げ妥結状況を見たものです。左側が連合の中間集計で、平成16年6月10日時点のものです。これの平均賃上げ方式の加重平均部分を見ると、どの企業も昨年より賃上げ率は高くなっているようです。昨年の数字は括弧内に書かれたものになります。日本経団連の集計を見ると、上が主要企業ですが、昨年より0.01%ポイントの低下が見られます。一方、中小企業については、中間集計ですが0.06%ポイントの上昇が見られます。
 12頁は、厚生労働省によって、企業規模300人未満の企業について調べたものです。平成15年までの数字しかありませんが、各ランクごとに見たものになっています。平成15年については、平成14年からほぼ横這いで推移している状況が見られます。下段は参考として、大企業の春季賃上げ率の推移を見ていますが、平成10年以降から低下傾向で推移しているようです。
 13頁は、厚生労働省の「賃金引上げ等の実態に関する調査」から、1人当たり平均賃上げ等の額・率について、その推移を見たものになります。平成15年の賃上げ率は平成14年と同程度になっていると思います。ロでは、賃金の改定状況と、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素別企業割合を見たものです。「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる企業」は6割程度、「引き下げた・引き下げる企業」は7%程度、「改定を行わない企業」は24%程度となっております。それぞれについて最も重視した要素を見ると、どの場合も企業業績を挙げている企業割合が非常に高くなっております。
 14頁は、消費者物価の動向について、ランク別に対前年比で見たものです。平成14年に比べ、平成15年はどのランクでも低下幅が縮小している状況にあるようです。平成16年に入ってからは、2月について、横這いまたは上昇が見られるランクも出ております。直近の4月の状況は、対前年比で0.6〜0.7%でマイナスとなっています。平成16年4月のAランクについてはマイナス0.3%で、全国平均から比べて低下率が小さくなっています。これについては30頁に各都道府県別のものを掲載しておりますが、東京や大阪などで、低下率が全国平均に比べて小さかった影響が出ております。
 15頁は、地域別最低賃金額の未満率及び影響率の推移について見たものです。平成15年度の未満率、影響率は1.6%で、平成14年度に比べ低下が見られます。
 16頁は、「賃金構造基本統計調査」から未満率と影響率を見たものです。先ほどのものは、「最低賃金に関する基礎調査」ですので、調査が異なっております。「賃金構造基本統計調査」では、事業所規模5人以上の特別集計で見ておりますが、平成15年の未満率、影響率ともに1.0%となっています。平成14年に比べ、こちらの統計でも前年から0.1%ポイント、0.2%ポイント低下が見られます。
 17頁は、地域別最低賃金と一般労働者、パートタイム労働者の賃金水準とを比較したものとなります。これは「賃金構造基本統計調査」から計算しております。一般労働者について、企業規模10人以上と10〜99人に絞ったものの2つを出しております。「時間当たりの所定内給与」が若干低下しており、その関係で、地域別最低賃金に対する時間額の比は、幾分上昇が見られます。表では真ん中の「時間額比(2)/(5)」「時間額比(9)=(2)/(8)」になります。パートタイム労働者については、所定内給与額が911円から915円で、幾分上昇が見られることから、パートタイム労働者の賃金水準に対する比率については、72.8%から72.6%で若干の低下が見られます。その隣は、パートタイム労働者を女性に絞ったものですが、時間額比は74.4%で、平成14年と同水準となっております。
 18頁は、「毎月勤労統計調査」の事業所規模30人以上で見たものとなっています。こちらの数字はパートタイム労働者も含めたものですが、平成15年の時間額比は33.4%で、平成14年と同水準となっております。
 19頁は日本銀行の「全国企業短期経済観測調査」から、企業の業況判断を見たものとなっています。平成16年3月時点が直近ですが、「良い」から「悪い」を引いたDI、大企業、中堅企業、中小企業、それぞれの製造業、非製造業の動きを見ておりますが、DIは改善しているといった状況になっています。先行きの予測についてはばらつきが見られ、中小企業などのDIは、ほぼ横這いとなっています。
 20頁は、同じく日本銀行の「全国企業短期経済観測調査」から、経常利益の増減状況を見たものとなります。平成16年3月時点ということで、平成15年度、平成16年度についてはそれぞれ計画ということになりますが、平成16年度について、企業規模別製造業・非製造業で対前年の状況を見ると、引き続きプラスの計画となっております。中小企業の非製造業については、平成15年度では−3.1%でしたが、平成16年度計画では対前年度比18.0%増ということで、プラスに転じています。隣では「売上高経常利益率」を見ております。これも日本銀行の「全国企業短期経済観測調査」から見ていますが、平成15年度計画よりも平成16年度計画のほうが、経常利益率は高くなるという計画が立てられているようです。
 21頁は、日本銀行から出ている「全国企業短期経済観測調査」の業況判断について、時系列で見たものを載せてありますが、これについては割愛させていただきます。22頁も、「全国企業短期経済観測調査」で見た、売上高経常利益率の推移について、製造業・非製造業の動きを長期時系列で見たものとなっています。この説明についても割愛させていただきます。
 23頁は、中小企業庁から出されている「中小企業景況調査」から、産業別の業況判断(DI)、「良い」から「悪い」とした事業所の割合の%ポイントを見たものです。DIを見ると、平成16年3月は依然としてマイナスですから、引き続き「悪い」という状況が見られるようですが、時系列で見ると、マイナス幅は縮小しています。マイナス幅の縮小についても、業者間・業種間で差があり、建設業などについては、平成15年12月が−32.7%ポイントだったのが、平成16年3月は−35.3%ポイントで、悪化しているような業種も見られますが、その他の業種での悪化幅は縮小している状況が見られます。
 24頁は23頁の表をグラフ化したものです。
 次にIIの「都道府県統計資料編」に移ります。こちらは25〜31頁となります。25頁左から、平成13年度の「1人当たり県民所得」の数字です。その隣の「標準生計費」は4人世帯ということで、都道府県人事委員会が出している資料を掲載しております。その隣は「高卒初任給」で、厚生労働省から出している「賃金構造基本統計調査」から取っております。
 1人当たり県民所得を見ると、東京がいちばん高く、沖縄がいちばん低くなっております。東京を100とした指数で見ると、沖縄は48.8で、大体半分程度となります。標準生計費については、各都道府県の人事委員会が家計調査などを参考にして計算したものですので、サンプルの数もありますから、数字についてはある程度の幅を持って見る必要があると考えられます。最も高い県を見ると、埼玉県、次いで千葉県となっており、東京は5番目です。沖縄は47番目で、東京を100としたとき59.9で、大体6割程度となっております。高卒初任給は、男性・女性ともに東京、神奈川の順に高くなっています。東京を100とした指数で見ると、47番目が沖縄となり、指数では75前後で、県民所得や標準生計費ほどの格差は生じていないようです。
 26頁は、都道府県別に有効求人倍率の推移を見たものとなっております。平成14年から15年にかけて、高知県で有効求人倍率が横這いとなっていますが、他県では上昇が見られます。各都道府県で水準にばらつきが見られますが、愛知県、山梨県、群馬県、岡山県、香川県では有効求人倍率が0.9倍を超えております。
 27頁は、各都道府県別に定期給与の推移を見たものです。直近のデータが平成14年と少し古くなってしまいますが、東京が最も高く36万8,000円程度、いちばん低いのは鹿児島県の25万2,000円となっています。ただ、これは平成14年の数字ですから、その点ご留意いただければと思います。
 28頁は、各都道府県別の総実働時間と所定外労働時間の推移を見たものとなっています。こちらも直近のデータが平成14年で古いものとなりますが、総実労働時間は160時間を超えているものが、Dランク県の山形県、岩手県、佐賀県、宮崎県などになります。地域間でだいぶばらつきがあり、その理由については細かく分析する必要がありますが、産業構造などが異なっていることが影響しているのではないかと推測されるところです。一方、所定外労働時間は、平成14年の状況で8時間から13時間台までばらつきが見られます。これについても、平成14年の数字であることにご留意いただければと思います。
 29頁は、各都道府県別で中小企業の春季賃上げ率の推移を見たものとなります。平成15年の状況は、平成14年と同程度の賃上げ率となっている県が多いようです。
 30頁は、消費者物価指数の対前年上昇率の推移を見たものとなっています。平成15年の状況を見ると、プラスに転じた県が幾分見られる一方で、ほとんどの県で対前年比マイナスとなっております。ただ、平成14年と比較すると、マイナス幅は縮小が見られているようです。平成16年に入ってからの状況は右端に出ておりますが、2月、3月と対前年比でプラスという県も見られましたが、直近の4月はすべての県で対前年比マイナスとなっております。マイナス幅には各県でばらつきが見られるようです。
 31頁は、東京を100としたときの各地域の消費者物価指数を見たものです。これもデータが平成14年のものですが、東京を100としたとき、沖縄県で88.3となっています。このような傾向は平成13年度に比べて、あまり変化がないようです。以上が都道府県別の資料ですが、33頁以降は「業務統計資料」です。
 33頁は、平成15年度の改定審議の状況になります。「採決状況」は表では○の「全会一致」が20件、●の「使側反対」が2件、▲の「労側反対」が24件、「労側一部、使側全部反対」が1件となっております。目安の各ランクの引上げ額は0円でしたが、昨年度は1円引き上げた所が5件あり、神奈川県、他のランクでは福岡県、香川県、山形県、沖縄県で引上げ額1円となっています。引き上げた県については、福岡県と山形県では使側反対という採決状況でしたが、他県では全会一致となっております。
 34頁は、目安と改定額との関係の推移を見たものになります。平成13年までのものについては、日額目安に対して何円上乗せで改定されたかを見たものになっております。平成14年以降は時間額目安に何円上乗せで改定されたかになっていますので、平成13年までと平成14年以降の目安の表示単位期間は変わっていることにご留意ください。
 35頁は、効力発生年月日の推移を見たものです。今回、平成15年度に改定された地域において、福岡県だけが効力発生日が10月19日となっていますが、他は10月1日です。
 36頁は、各ランクごとの最低賃金額の加重平均と対前年の伸び率を見たものです。平成15年はAランクでは神奈川県、Cランクでは福岡県、香川県、Dランクでは山形県、沖縄県が1円ずつ引き上げておりますが、加重平均ということで計算すると、四捨五入の関係もありますが、Dランクだけ1円上がったことになります。率で見ると、0.02%の引上げ率となります。
 37頁は、最低賃金の最高額、最低額及び格差の推移を見たものです。平成15年は沖縄県が1円上げたことから、605円の県が8件となっています。具体的には※の6にも書いてあるように、青森県、岩手県、秋田県、佐賀県、長崎県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の8件が605円で、最低額となっております。最高額については、東京が708円から変わっておりませんので、格差は若干縮小し、最低額の県は東京の85.5%の水準となります。
 38頁は、引上げ額ではなく率で見たものになります。神奈川県では0.14%、福岡県・香川県では0.16%、山形県・沖縄県では0.17%の引上率となっております。
 39頁は、最低賃金の履行確保を主眼とする監督指導結果の推移となっています。法第5条違反の状況ですが、平成15年については860事業場数となっており、違反率は6.6%と低くなっております。この背景としては、最低賃金自体が、ほとんどの県で改定されなかったことなどが影響しているものと思われます。真ん中の「法違反事業場の認識状況」を見ると、「金額は知らないが、最低賃金が適用されることを知っている」といった事業場での割合が高くなっております。平成14年から比べると減少はしていますが、約半分がこのような認識状況となっております。「最低賃金未満労働者の状況」を見ると、最低賃金未満労働者数の比率は、直近で1.4%まで低下が見られます。
 最後の40頁は、最低賃金の種類別監督指導結果になります。地域別最低賃金で見ると、法違反の状況の真ん中辺りに、「違反率」を載せておりますが、6.2%、産別最低賃金については8.3%の違反率となっております。産業別最低賃金については、産業によりばらつきが見られますが、産業ごとに監督実施事業場数も格差がありますので、その点について留意が必要です。違反率の状況だけを見ると、食料品・飲料製造業関係などで違反率の高い状況がみられます。
 説明は以上です。

○古郡委員長
 ただいまの説明について、何かご質問、ご意見があればお願いいたします。

○加藤委員
 「毎月勤労統計調査」を使った箇所で、数字の変化に与える影響として、パートタイム労働者比率の高まりが大きく影響しているのではないかという説明が、5頁や7頁であったのですが、ここ2、3年の推移で結構ですが、「毎月勤労統計調査」の場合のパートタイム労働者比率の傾向について、変化などをご紹介いただければというのが第1点です。
 もう1つは、難しい質問かもしれませんが、15、16頁の影響率にはショックを受けております。私どもは常日ごろ最低賃金の果たすべき役割として、一定の影響を持つ最低賃金の水準というものが必要なのではないかと申し上げてきた立場で、影響率を非常に気にしております。
 例えば、15頁の「最低賃金に関する基礎調査」のデータで見ると、それまでの2%程度から平成11年度には1.9%程度に少し低下をして、それ以降の4年間はほぼ横這いと言ってもいいような感じできたのですが、平成15年度の数字が1.6%というのは、あまりにも落ち幅が大きいという感じを受けました。16頁の「賃金構造基本統計調査」で見た推計値でも1.0%ということで、前年に比べてマイナス0.2ポイントの低下になっているのですが、これほど落ちるのだろうかと思っていまして、もし、見解があればのことですが、何か特別な要因などが考えられるのかどうか、その辺をお聞かせください。

○長課長補佐
 1点目のパートタイム労働者比率ですが、「毎月勤労統計調査」の調査産業計で見た場合、5人以上ですが、平成14年が21.97%だったものが、平成15年は22.58%と上がっており、パートタイム労働者比率は上昇傾向にあるものと考えております。なお、直近の平成16年4月では、パートタイム労働者比率が25.08%となっており、前年の平成15年4月が22.29%ですから、平成15年4月と平成16年4月とを比べると、パートタイム労働者比率は3%弱ほど上がっていると言えます。
 2点目の影響率ですが、こちらはもう少し詳細に分析しないと、個別に具体的なことは申し上げることは難しいと思いますが、おそらく、最低賃金自体が上がっていないために、未満率も下がってきているのではないかと思います。

○加藤委員
 「毎月勤労統計調査」のところで、パートタイム労働者比率の影響のコメントがあったわけですが、取りわけ5頁で、5〜29人の規模の小さい所で、パートタイム労働者比率の高まりが影響しているのではないかというお話でしたが、規模の小さい所での増加傾向が顕著だったのかどうかをお聞かせください。

○長課長補佐
 5〜29人規模で見た場合、平成14年が25.6%、平成16年が27.01%となっております。直近の平成16年4月は30.72%となっており、1年前の平成15年4月が26.60%ですから、比率は大体4%ポイント程度上がっているようです。

○岡部委員
 11頁の連合ないし日本経団連の数字ですが、これは所定内賃金の賃上げがどのようにあったかということで書いてあると思うのですが、最近、新聞などを見ると、所定内賃金よりも賞与で業績を反映させることが流行になってきていると思うのです。そうなると、我々が賃金を論ずる場合、所定内賃金だけで論じていいのか。もとより賞与というものは、そのときの業績を反映するものですから、特に最低賃金などを論ずる場合、直ちに参考にすることはできないと思いますが、参考資料として業績を入れたところの賃金上げ動向は、取れるのか取れないのか、その辺はいかがでしょうか。

○長課長補佐
 今月に入りまして、日本経団連と連合から、夏期賞与・一時金の中間集計というのが出ておりますので、これで見ることができると思います。日本経団連から出されている資料では、2004年6月16日時点の夏期賞与・一時金の中間集計は、150社の組合員加重平均で84万6,343円、前年と比べ3.31%の増となっております。
 連合による調査では、2004年6月10日現在、夏期賞与が71万7,078円で、2003年と比べ4.4%の増加となっています。

○中野委員
 1点目は単純な質問ですが、7頁(2)「賃金・労働時間指数の推移」の所定内給与を見ると、平成14年から平成15年にかけて、600円程度上昇しているように思うのですが、左側の指数で言うと、−0.3%下がっていますし、所定内労働時間も141.7時間で全く変わっていませんが、指数は0.2%下がっているのです。この理由を教えていただきたいと思います。
 2点目は賞与の問題ですが、先ほどお答いただいた内容は全体の一般労働者の中身だろうと思います。最低賃金にかなり影響するようなパート労働者の一時金水準が大体どのくらいなのか、わかれば教えていただきたいと思います。

○長課長補佐
 1点目について、7頁で、指数と実数で数字の動きが違っているのではないかという指摘だと思いますが、「毎月勤労統計調査」の時系列で見る場合、ギャップ修正ということで、調査対象が変わったり、廃業になったりする影響を踏まえて、割り戻した指数を時系列で計算しております。一方の実数のほうは、その年その年に出された生数字ですので、その関係で指数と実数の間に若干の差が生じているという状況です。
 2点目のパートタイム労働者の一時金についてですが、資料が手元になく、実際どのように取れるのかということもありますので、現時点では把握していないということでご理解いただければと思います。

○久保委員
 未満率については、労働者割合でしか出てこないのですが、未満の金額で言うとどの程度なのか。金額を表すものはお持ちなのかどうかが1点目です。
 もう1つは、39頁に「監督指導結果」という表があるのですが、指導した後、どうなったのかということについては何かあるのでしょうか。このようにしたら、全部是正されたと読んでいい資料なのかどうかを伺いたいと思います。

○長課長補佐
 未満率と影響率ですが、計算上何人というのは出しているのですが、具体的に、いくらぐらいの層がどれだけいるというところまでは出しておりません。手元に資料がないということになってしまうかと思います。2点目の「監督指導結果の推移」ですが、指導結果後、どうなったかという指摘かと思いますが、こちらについても手元に資料がありませんので、後ほど確認させていただきたいと思います。

○古郡委員長
 資料についてはこのぐらいでよろしいでしょうか。それでは今後の審議の進め方について、いくつかお願いをしたいと思います。第2回の目安小委員会は7月9日(金)に予定されていますが、審議を円滑に進めるため、例年どおり、その場において本年度の目安についての労使双方の基本的な考え方を表明していただくようにお願いしたいと思います。そのためにも、第2回目安小委員会で提出予定の「賃金改定状況調査」については、次回の会議前に事務局より労使各側に対し説明を行っていただくようにお願いいたします。

○長課長補佐
 委員の皆様方のお手元に、「最低賃金の引上げ改善に関する要請書」を配付させていただいております。全国労働組合総連合等より要望がきておりますので、お手元に配付させていただきました。

○古郡委員長
 他になければ、本日は以上で終了いたします。本日の議事録の署名は加藤委員と原川委員にお願いいたします。次回、第2回目安小委員会は7月9日(金)午前10時より、第16会議室(13階)で開催いたします。本日はご多忙のところ、どうもありがとうございました。


(照会先)
厚生労働省労働基準局賃金時間課最低賃金係(内線5530)


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