1 | 平成15年度国庫補助金の状況 |
○ | 平成15年度、国は76億円を流用して予算を増額したにも関わらず、25億円の財源不足となった。その内、12億円は東京都内区市町村分である。 |
○ | サービス提供実績のあったすべての自治体で歳入欠損になっており、1億円を超える歳入欠損になった自治体も3か所ある。
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2 | 平成16年度の見通し |
○ | 平成16年度当初予算342億円では、平成15年度と全く同じサービス提供量としても、既に70億円を超える財源不足が見込まれる。 |
○ | このような状況においては、当初予算を前提とする限り、いかなる国庫補助基準を設けたとしても、事業実績に基づく国の負担割合2分の1の補助金交付は困難と考えられる。
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3 | 国庫補助基準についての東京都意見
(1) | 地域格差の解消、サービス水準の低い地域の底上げについて |
○ | 東京都は、従来から1日8時間のサービス提供を限度とする「全身性障害者介護人派遣事業」をホームヘルプサービス事業の中に取り込んで実施してきた。 このような取組の結果が、東京都における障害者の地域での自立生活を支援してきた経緯がある。 |
○ | 国庫補助金は、国として望ましいサービス水準を確保するために交付するものである。地域格差を解消するために、先駆的に高い水準でサービス提供を行ってきた自治体の補助金を削るのではなく、全体のレベルアップを図る方向で検討すべきである。 |
○ | 国庫補助基準の範囲内の補助金は交付されるが、基準を超える分は交付されないとすると、基準が上限になり、障害者の自立生活を促進する上で重大な支障を来たすことを懸念する。
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(参考)1人暮らしをしている肢体不自由者の割合
| 国調査(H13) | | 8.3% |
都調査(H10) | 15.8% |
都調査(H15) | 集計中 |
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(2) | 個人の枠ではないことについて |
○ | 全身性障害者の中でも、常時見守りの必要性の有無や日中活動の状況等によりサービス提供時間数には幅がある。一律125時間という基準設定では、真に長時間サービスが必要な状況にある障害者のニーズに対応できない。 |
○ | 都では125時間未満の全身性障害者は全体の3割未満であり、基準を超えた分をならす余地は少ないことから、個人の支給量の上限とならざるを得ない。 |
(3) | 従前保障について |
○ | 従前保障の措置は、国庫補助金の激変緩和に一定の効果があった。 |
○ | しかしながら、支援費制度開始以前の実績に基づいた保障であることから、支援費制度開始後の新規利用者のサービス水準を保障するものとはなっていない。 |
以上のことから、今後の国庫補助基準については以下の点を強く要望する。
(1) | 平成15年度と同様、国庫補助金の財源確保に最大限努めること。 |
(2) | 全身性障害者について一律125時間という基準ではなく、実態に応じたきめ細かな基準を設定すること。 |
(3) | 従前保障については、引き続き実施すること。 |
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4 | 社会福祉施設等施設整備費国庫補助について 平成16年度の社会福祉施設整備費については、厳しい財政状況の下、対前年度6.2%増の1,304億円を計上し、新規事業分は、社会福祉施設全体で約600億円を確保したとのことであった。 しかし、障害者施設分に関しては、新規事業分が全国で約29億円と極めて不十分であったため、各都道府県・市とも例年になく厳しい内示を受けるに至った。 「地域での自立した生活支援」という基本的方向を具体化していくため、平成17年度政府予算編成に向けて、新障害者プラン施設の整備に係る財源の予算確保を確実に行うよう、強く要望する。
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5 | 小規模通所授産施設への移行促進について 障害者基本法に、障害者の地域における作業活動の場及び職業訓練のための施設の拡充を図るための費用の助成が盛り込まれるなど、障害者の就労支援の重要性が高まる中、平成16年度における小規模作業所から小規模通所授産施設への移行が、財源不足により、厳しく抑制される見通しが示されている。 小規模通所授産施設の国庫補助金が減額されたことに続き、移行が抑制されることによって、障害者の地域での自立生活支援に重大な支障を来たさないよう、所要の財源確保を強く要望する。 |