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厚生労働省社会保障審議会障害者部会ヒアリング
財団法人全日本聾唖連盟松本晶行副理事長発言要旨


1. 介護保険制度は、財源以前の問題として、ろう者にとっては内容的に極めて不十分であり、自由な利用ができない現実にあります。支援費制度もまた不十分な制度ですが、それを別の不十分な制度に統合することが、問題の解決に直接つながるとは思えません。従って、両制度の問題を整理し、解決への道筋が示されることが先決であり、それがないまま結論だけを急ぐことには賛成できません。
2. ろう者にとっての最大の問題は、音声コミュニケーションからの疎外と音声による情報からの疎外にあります。コミュニケーションが保障され、社会的情報の獲得が保障されることは、基本的人権保障の基盤となり、根底となるものです。介護保険制度でも支援費制度でも、対象となるろう者の利用は、一般の場合と比べて著しく低いのではないかと思います。利用しないのではなく、利用できないのです。この点の解決が先決問題であり、前提問題であると考えます。
3. また、介護サービスを必要としない一般ろう者のためには、コミュニケーション保障と情報保障を目的とする新たな制度が必要です。理念的には手話を言語として正しく認めること、具体的には手話通訳保障を法的・制度的に確立させることです。これは、中心は厚生労働省ですが、利用は他の省庁の分野にまたがり、また、司法、立法の分野にも及ぶ広範囲なものです。受益対象は当事者双方、つまり、ろう者であると同時に相手の市民や機関です。このことを正しく受けとめ、手話通訳保障を権利として確立させる新しい法制度の実現を求めたいと思います。
4. 人と人とのコミュニケーション保障はすべての基本的人権の基盤であり、具体的な権利保障の基盤となる、という立場から、
イ) 支援費制度の内容の見直しと改善、
ロ) 介護保険制度の内容の見直しと改善、
ハ) そして、すべての分野をカバーする手話通訳保障の法制度実現、
を強く要望する次第です。


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