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現行の看護職員の需給見通しについて


 基本的考え方
(1) 平成12年度からの介護保険制度の実施等の中で、看護職員を取り巻く環境が大きく変化、21世紀初頭における看護職員の計画的かつ安定的な確保を図る必要があることから、「新たな看護職員の需給見通し(平成12年12月)」を策定した。

(2) 需給見通しの期間は、医療提供体制が大きな変革期にあること、介護保険制度が施行後5年を目途として検討が加えられることとされていること等を踏まえ、平成13年から平成17年までの5年間とした。

(3) 需給見通しは、検討会がとりまとめた策定方針を踏まえ、各都道府県が需要数・供給数を算定し、策定した都道府県毎の需給見通しの積み上げを基に全国の需給見通しを策定した。


 需要数についての考え方
 地域の実情を反映するため、各都道府県において実態調査等を踏まえて算出したものを基本とし、看護職員の就業場所別に推計したものを積み上げた。

 ○ 病院
(病床数)
医療計画を踏まえ、病床過剰医療圏は増床ないことを基本とした。
病床非過剰医療圏は、必要病床数範囲内で具体的に整備計画がされているものを基本とした。
その結果、各都道府県において、病床数(介護療養型医療施設を除く)は、平成13年で148万5千床程度、平成17年では145万2千床程度(13年比約2.3%減)を前提として算定した。

(勤務条件の改善等)
週40時間労働制、産前・産後休業、育児休業の全員取得、年次有給休暇、介護休暇等に必要な需要数を見込んだ。
夜勤体制は、複数夜勤、1人月8回以内を基本とした。
医療の高度化、在院日数の短縮及び患者の状態等を踏まえて、安全で質の高い看護を提供するため、夜勤人数の増加や緩和ケア等専門的な業務を行う看護職員の配置など、手厚い看護体制を組めるよう考慮した。
外来部門については、外来患者数の推移及び今後の動向を踏まえて需要を見込んだ。
手術部門、中央材料室部門、特殊診療部門、訪問看護部門、看護管理部門、専門的な業務を行う看護師等について考慮する他、他職種との連携等看護業務改善の進展を考慮した。
結果として、平成17年には、100床当たりの看護職員は51.2人(平成10年実績は45.1人)になると見込んだ。

 ○ 診療所
有床・無床別に現状及び今後の動向を踏まえて需要数を見込んだ。
有床診療所については、介護保険が適用される病床にかかる員数を減じた数とした。

 ○ 助産所
助産所に就業する助産師の現状及び今後の動向を踏まえて需要数を見込んだ。

 ○ 介護保険関係
介護療養型医療施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設、訪問看護ステーションについては、都道府県の介護保険事業支援計画に基づき需要数を見込んだ。
居宅サービスについては、都道府県の介護保険事業支援計画に基づき、デイサービス、デイケア、ショートステイ、ケアハウス等について、需要数を見込んだ。
介護老人福祉施設以外の社会福祉施設については、現状及び今後の動向を踏まえて需要数を見込んだ。

 ○ 教育機関
看護師等養成所に勤務する教員の現状及び今後の動向を踏まえて需要数を見込んだ。

 ○ 保健所・市町村、事業所、学校、その他
現状及び今後の動向を踏まえて需要数を見込んだ。


 供給数についての考え方
 ○ 新卒就業者数
学校養成所の新設、廃止等の予定、学生・生徒の入卒状況、進学、就業動向を踏まえて供給数を見込んだ。
新卒者の域外流出・流入について、現状及び今後の動向を踏まえて供給数を見込んだ。

 ○ 再就業者数
ナースバンクを通じて再就業するものについて、過去の再就業者数の状況等を踏まえるとともに、今後のナースバンク事業の強化を考慮して供給数を見込んだ。

 ○ 退職等による減少数
退職、他の都道府県との移動等による減少について、過去の実績を踏まえるとともに、就業環境の改善等も考慮して供給数を見込んだ。


 看護職員の需給を巡る今後の課題等
 ・今後、さらに進行することが予想される患者の高齢化・重症化や医療内容の高度化・複雑化、在院日数の短縮等を踏まえると、一人ひとりの患者に対する単位時間当たりの看護必要量の上昇が見込まれることから、看護の必要量の測定方法、それに見合った看護職員の配置数にかかる算定方法の確立が必要である。
 ・都市部と郡部などの地域間格差、医療機関格差に対する施策が必要である。
 ・少子化傾向を考慮して、子育て期間中の離職防止、子育て終了後の再就業の促進を図る。
 ・採用時研修を始めとする卒後研修の充実など若い看護職員が自信と誇りを持って就業できるような仕組みの構築などが期待される。
 ・今後は、各都道府県の独自性を踏まえつつ、全国的な算定方法のあり方について検討を行うべき。


看護職員需給見通し

区分 平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年
需要数  
(1) 病院 768,800 776,300 782,700 788,300 794,200
(2) 診療所 231,000 234,000 236,900 239,900 243,000
(3) 助産所 2,100 2,000 2,000 1,900 1,900
(4) 介護保険関係 142,500 154,500 166,600 178,600 189,300
(5) 社会福祉施設((4)を除く) 12,900 13,300 13,600 14,000 14,300
(6) 保健所・市町村 32,200 33,000 33,900 34,600 35,300
(7) 教育機関 14,500 14,800 14,700 14,700 14,800
(8) 事業所、学校、その他 12,700 12,800 12,800 12,900 13,000
(9) 上記の計 1,216,700 1,240,700 1,263,100 1,284,900 1,305,700
供給数 (10) 年当初就業者数 1,151,100 1,181,300 1,212,000 1,242,000 1,271,400
(11) 新卒就業者数 61,300 60,300 58,600 57,600 56,200
(12) 再就業者数 35,400 37,900 40,100 42,000 43,800
(13) 退職等による減少数 66,600 67,400 68,700 70,100 71,000
(14) 年末就業者数((10)+(11)+(12)-(13)) 1,181,300 1,212,000 1,242,000 1,271,400 1,300,500
(15)差引計((9)−(14)) 35,500 28,700 21,200 13,500 5,300
 
就業者数 1,187,550 1,233,496
需要数と就業者数の差 29,150 7,204
(備考)四捨五入のため、各項目の数値の合計等は一致しない。


都道府県別の看護職員需給見通し

  平成13年 平成17年
需要数 供給数 過不足数 需要数 供給数 過不足数
北海道 71,156 65,614 △5,542 73,848 72,180 △1,668
青森 17,082 17,123 41 18,131 18,193 62
岩手 15,017 14,962 △55 15,951 15,976 25
宮城 19,796 19,668 △128 21,932 21,873 △59
秋田 14,148 12,251 △1,897 14,190 13,638 △552
山形 12,125 11,764 △361 13,130 13,116 △14
福島 21,712 21,168 △544 23,374 23,416 42
茨城 21,989 21,067 △922 22,741 24,122 1,381
栃木 19,250 17,479 △1,771 20,002 20,064 62
群馬 19,339 19,098 △241 21,686 21,795 109
埼玉 41,269 41,956 687 45,122 43,797 △1,325
千葉 36,061 35,082 △979 38,724 37,359 △1,365
東京 104,257 101,057 △3,200 108,383 108,342 △41
神奈川 55,351 52,786 △2,565 61,076 61,271 195
新潟 23,322 23,121 △201 24,902 24,903 1
富山 12,750 12,332 △418 14,310 14,192 △118
石川 14,408 13,992 △416 15,260 15,187 △73
福井 8,957 8,812 △145 9,741 9,473 △268
山梨 8,378 8,077 △301 9,164 9,147 △17
長野 21,480 20,755 △725 23,338 23,210 △128
岐阜 17,549 17,145 △404 19,028 19,058 30
静岡 31,049 30,188 △861 36,855 36,938 83
愛知 58,016 56,235 △1,781 61,011 60,666 △345
三重 17,143 15,768 △1,375 18,010 17,144 △866
滋賀 11,556 10,542 △1,014 12,010 12,021 11
京都 26,770 25,847 △923 28,800 28,809 9
大阪 76,618 76,411 △207 80,471 80,610 139
兵庫 50,684 50,190 △494 53,909 53,860 △49
奈良 12,858 11,257 △1,601 13,831 13,771 △60
和歌山 11,840 11,092 △748 13,172 12,491 △681
鳥取 7,159 7,118 △41 7,589 7,569 △20
島根 9,793 9,724 △69 10,602 10,512 △90
岡山 23,755 22,868 △887 25,479 24,878 △601
広島 32,745 32,443 △302 36,909 36,811 △98
山口 18,452 18,218 △234 19,318 19,261 △57
徳島 11,134 11,201 67 11,796 11,856 60
香川 12,936 12,468 △468 13,772 13,698 △74
愛媛 20,184 19,519 △665 20,978 21,287 309
高知 12,043 12,034 △9 12,955 13,275 320
福岡 63,878 63,907 29 71,185 71,521 336
佐賀 12,489 12,100 △389 13,011 13,175 164
長崎 20,042 19,094 △948 20,855 20,984 129
熊本 27,397 26,298 △1,099 29,650 29,606 △44
大分 16,092 15,342 △750 17,639 17,535 △104
宮崎 16,227 15,899 △328 17,338 17,350 12
鹿児島 26,886 26,770 △116 29,491 29,498 7
沖縄 13,601 13,440 △161 15,056 15,012 △44
1,216,743 1,181,282 △35,461 1,305,725 1,300,450 △5,275


平成16年3月26日
厚生労働省医政局看護課

平成16年度看護職員確保対策予算について


(平成15年度予算額) (平成16年度予算額)
(10,744百万円) ( 96.3%)
一般会計(補助金等)  11,154百万円  →  10,117百万円  (対前年度比 90.7%)


1.資質の向上 1,290百万円
ツ(1)訪問看護推進事業750百万円
 ALS等人工呼吸器を装着しながら在宅で療養している患者等への訪問看護の充実に向けたモデル事業の実施、がん末期患者等の在宅ホスピスケアの推進及び訪問看護ステーションと医療機関の看護師の相互交流による研修などに対する支援を行う。
ツ(2)新人看護職員研修推進費16百万円
 新人看護職員の臨床技能の向上を図るため、各医療機関の院内研修責任者及び新人研修担当者に対する講習会を実施する。
 (3)看護職員臨床技能向上推進事業160百万円
 質の高い看護職員の育成を重点的に促進するため、がん看護や感染管理などの専門性の高い研修の実施に対する支援を行う。

2.離職の防止 1,864百万円
 (1)病院内保育所運営事業1,685百万円
 子供を持つ看護職員等の医療従事者が安心して勤務を継続、あるいは再就業できるための環境を整備し、病院内保育施設の運営に対する補助を実施。
 (2)看護職員確保対策特別事業170百万円
 看護職員の確保を総合的に促進するため、地域の事情を踏まえた地方公共団体等の創意と工夫のもとに看護職員の確保を目的とする特別事業を実施。

3.再就業の支援 166百万円
 (1)中央ナースセンター事業136百万円
 求人・求職情報の提供や無料職業紹介などの潜在看護職員の再就業の促進を図るナースバンク事業、訪問看護支援事業等の推進を図る。
 (2)看護職員就労確保総合支援事業30百万円
 看護職員の確保が困難な医療機関に対し、専門家による調査、相談等に取り組むなど、看護職員の就労確保に向けた総合的支援を実施。


4.養成力の確保
(7,381百万円)
6,754百万円
 (1)看護師等養成所運営費5,672百万円
 看護職員の養成及び資質の向上を図るため、民間立養成所の運営に対する補助を行い、看護教育の充実及び運営の適正化を図る。
 (2)「看護師養成所2年課程(通信制)」導入促進61百万円
 准看護師が働きながら看護師資格を取得できるようにするため、看護師養成所2年課程(通信制)の設置に対する支援等を行う。

 (3)

看護師等修学資金貸与事業
(1,648百万円)
1,021百万円
 事業実施都道府県の区域内において業務に従事する看護職員の確保及び資質の向上を目的として、養成所等に在学中の学生に修学資金を貸与する事業に対する支援を行う。
 また、自治体立養成所等に在学中の学生に対する貸与費(627百万円)については、都道府県の事業として同化・定着していること等を踏まえ一般財源化を行った。

5.看護職員確保対策の総合的推進 43百万円
 (1)医療技術評価総合研究事業
(看護技術の開発、評価及び看護提供体制に関する研究)
35百万円
 新たな看護のあり方の検討を踏まえ、医師との十分な連携に基づく看護師の活動を推進するため、効果的な看護システムの開発等に関する総合的な研究を行う。
ツ(2)看護職員の需給に関する検討会3百万円
 看護職員の需給見通しの検証等(需要及び供給の増減要因の分析等)を行い、今後の看護職員の需給見通し等について検討会を設ける。

(注) 上段( )書きは看護師等修学資金貸与事業における一般財源化分を含めた金額である。


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