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前回までの議事概要
(第11回障害者部会までの意見を事務局として整理したもの)

 基本的な方向性

今まで狭義の福祉の視点で議論されてきたが、今後は就労なども含めた幅広い視点で議論すべき。

障害者福祉の哲学が求められている。

みんなで支えていくという意識が芽生えるような提案を、この部会から行うことが必要。

3障害の間の縦割り、年齢による縦割りのために、小さな町村レベルではトータルなサービス提供ができていない。

安全、安心、安定の生活を実現するためには、就労などの日中身を置く場、住まい、人的サポート、所得保障の4つが必要。これは3障害共通だが、量的には障害間の格差がある。

福祉は今まで領域ごとに議論してきたが、機能別に考え、それを構造的に結びつけることが必要。

高齢者であっても障害者であっても支援することは必要だし、なるべくシンプルに1つにしていくことが重要。しかし必要なサービスは色々であり、必要なものを提供できるよう財源が重要。

統合の視点で考えるなら、介護保険の現状、将来の見通しについて勉強する必要がある。統合の問題は少なくとも3障害共通で議論しないといけない。

これまでも3障害共通と言われてきたが、実際には精神障害は他の障害とは別に議論されてきた。

「介護保険に行くなら3障害ともに行くこと、障害者向けの制度を作ること、といった条件が整えば介護保険と統合する」というような議論が必要ではないか。そういう前向きな議論があってもいい。

精神障害から見ると、3障害そろって介護保険に行くべき。理由は2つ。(1)精神障害者の地域生活支援を進める上で安定的財源の確保が必要。ケアマネの導入や社会的入院の解消の方針を明確に打ち出したことをきっかけに、関係者が燃えてきた。財源がないとこの機運がしぼんでしまう。(2)社会的入院者には高齢者が多く有用。国民の関心を(介護保険を通じて)障害者に向ける効果もある。障害を身近に感じられるという大きな効果あり。

措置から契約に移行して競争原理を入れる余地ができた。介護保険については障害者についてどう意を用いていくか慎重に考えていく必要がある。

支援費についても直すべきところは直す。単に人的サービスだけでなく、就労や住まいも議論する必要がある。

金がないから介護保険に乗り換えるという議論は狭い。全体を議論する中で、これは介護保険、これは他の制度というように切り分けないといけない。

結婚生活、出産・育児も生きていく上で重要なことであり、議論していただきたい。


 障害者の自立支援のための保健福祉施策の体系の在り方

(1)ライフステージ等に応じたサービス提供

(1)保健福祉サービスの機能の現状

生活保護における収入申告について、作業所が代行しているケースがある。これでは障害者の社会性を奪ってしまう。

通所施設にいろんな機能が混在している。就労を目指して利用している人もいれば、デイケア的に利用している人もいる。本人の希望に沿わず定員が空いているから通うという社会的通所もある。

様々な施設類型があるが、現状ではそれぞれの違いがよく分からなくなっている。

障害児については、18歳以上になっても障害児の施設を利用し続ける、いわゆる「加齢児」が多いという問題、措置制度が残されているという問題がある。ライフステージに応じた一体的システムについて議論しているのに、障害児については、いわばダブルスタンダードになっている。

支援費になって、千葉県でもホームヘルプ、グループホームとも2.5倍になった。障害者がどれだけ選択制を待っていたかの証左と思う。

支援費は国の共通の制度であっても、実際には地域差が大きく、サービスを選択できる地域とそうでない地域がある。財政状況が悪い中では、この地域差が広がってしまうのではないかと危惧。市町村が責任を持って支援するという意識がないことの表れとも言える。支援費が目指している自己決定等のキーワードを生かしつつ、介護保険への吸収合併ではなく新しい制度を作っていくという視点で議論すべき。

移動介護は、ホームヘルプや他のサービスとは別系統のサービスではないか。相談系サービスも重要。

精神障害は他障害と比べて福祉が著しく立ち後れており、医療機関が社会復帰施設を作らなければならなかった面がある。

虐待ケースなど、施設が必要な事例はある。ベッド数も少なく、欧米の大規模施設とは違う。

公的サービス以外にも、手帳を持っていれば受けられるサービスがある。しかし、精神の手帳で受けられる民間サービスは限定的。

新推計では、社会的入院の精神障害者数は3千人減っている。


(2)地域生活を支援するために今後重視すべき点

地域の人々にもノーマライゼーションの考え方を理解してもらわないといけない。住民教育について文部科学省とも協力して取り組んでほしい。

彼らの理解の程度に合わせた情報提供ができているかという意味では、知的障害者についても福祉にとどまらないコミュニケーション支援が必要。

障害者について情報機器からの疎外をどう埋めるかが課題。

障害の重度化に伴い、肢体不自由児施設や重症心身障害児施設への緊急入所という形での対応がないと、在宅ではやっていけない。しかし施設の対応能力も限界であり、一般の小児科でも対応できるようにしてほしい。

地域で暮らすためには、特別なイベントではなく、日常的に住民と交流することが重要。通いやすいようアクセス重視で、街中に日中活動の場を設けると、住民にも分かりやすい場所となる。人目につく場所で活動していると、活動の輪が広がっていく。

インクルーシヴ、バリアフリー、権利の3つの視点から施策を考えることが大切。差別を品性、文化の問題とせず、具体的にどう解消するかという議論をすることが必要。

差別を取り除くには、子供の時から交流体験することが必要。

事件報道で精神科の入通院歴が取り上げられると、差別解消に向けた努力の成果もなくなってしまう。精神障害者だけでなく、あらゆる障害者への差別をなくす努力が重要。

障害種別によって、専門性はそれぞれあるにせよ、地域で暮らすという意味では問題意識は同じ。

地域で暮らす、という意味では、障害者も障害がある以前に人間である。障害特性はあるが、地域生活の面で、他障害との共通事項もたくさんある。

日中活動のニーズは一人一人異なるが、障害種別は関係ない。年齢や障害が異なってもケアの仕組みは変わらない。

ともすれば、事業者の所で抱え込んでしまうが、社会に押し出していくことが重要。

地域で普通に暮らせることが大目標。施設に長くいればいるほど出づらくなるため、なるべく早く地域に戻すことが重要。

居宅サービスを充実させるだけでは地域移行は進まない。入所施設が地域に押し出す機能を持つことが重要。滋賀県の特区は、施設との関係を直ちに切るのではなく、地域生活への移行準備を円滑にできるもの。

在宅サービスを拡充するだけでは、地域移行は難しい。多くの施設入所者は、施設との関係が切れることを心配している。入所、通所に関わらず、地域移行への仕組みを持つことが重要。施設機能を一旦分解し、施設・在宅の二元論でなく、トータルでマネジメントすることが必要。

入所施設については、各サービス機能がパッケージになっていることが関係者の安心感につながっている。施設の持つ各機能のサービスが地域でも受けられれば、地域生活について関係者も安心する。

グループホームも、入所施設の居住部分も、ケア付き住宅と整理できる。このように考えれば入所施設の機能も地域に移行できるのではないか。施設と在宅という対立した概念はやめるべき。

施設かどうかという形態論でなく、機能でみるという方法は科学的。知的障害者の施設は訓練機能を担うものであり、通過施設という位置づけのはずだが、当事者の親の中には生活施設と誤解している者もいる。

施設の機能を分けて考える方向性に賛成する。地域生活に移行し、また状態が悪化したときは施設に戻れる等、入所・居宅の二元論でなく自由な利用が可能となるようにすべき。補助金の在り方も縦割り。

施設の在り方について、施設の持つ機能をどう分解していくか。機能と水準が問題。例えば、療護施設は居住機能としては貧しい。これまで障害分野では、施設と在宅の議論が総合的に行われてこなかった。法律上予定されている施設の機能と現実とのギャップも大きな問題。

入所者は、施設の外の生活を想像する力が弱くなっており、外の生活を経験すると地域移行のニーズが顕在化する。

地域で活動を展開していくには、相手方にモチベーションがないと取組みは進まない。不動産の例で言うと、社会福祉法人に貸せば夜逃げしないしきちんと家賃も納めてもらえる、ということで大家にとってメリットがある。そういう具体的なメリットを示すことが重要。

入所と在宅は車の両輪。施設から出すと生きていけないような人もいる。医療的ニーズが高いケース、虐待のケースもある。施設は最後の砦と認識。

中途障害者の場合、人生を変えるほどの重大な障害を負ったとしても、入院は3ヶ月しかできず、中間施設も不十分で、退院後すぐに社会に出されてしまう。このため、ひきこもりになる者が増えている。

精神障害者が通院するためにガイドヘルプが必要と考える。

地域生活には、訪問系サービスが一番適している。介護を軽減する観点から、住まいの環境整備も重要。また、スポーツ、町内会役員、講演活動など、仕事とは言えないが障害者は様々な役割を果たしており、それを支援する社会参加支援も重要。


(3)ライフステージごとに重視すべき点

乳幼児期は、障害の発見と療育、障害児の養育に不安を持つ親の支援が重要。母親の心のケアが障害の受容をスムーズにし、その後のケアに影響する。医師の告知の仕方も重要。

知的障害は乳幼児の時から障害がある。障害が分かった後の数年間にどういうサポートができるか、特に早期介入の観点からは、母親に対する支援が重要。支援する力を家族につけさせるエンパワーメントと、本人が大人になったときに自立できるように本人に対して行うエンパワーメントの2つが重要。障害の告知方法など、本人が障害を受容できるようなアプローチを検討することが必要。

児童精神科は民間がやってももうからず、日本は児童精神科が非常に少ない。国府台病院が民営化されるという話があるが、せっかく国府台病院の児童精神科で発達障害にも取り組もうとしていたのに、一方で解体しようとするのは理解できない。

発達支援の中においては、児童思春期の精神障害も重要。

学齢期は、学校における障害の理解不足が大きな問題。生活力を高める教育が必要。

精神障害者が一番望むのは就職。働くためには規則正しい生活等の日常生活訓練が必要であり、通勤寮のような施設について検討すべきではないか。

ライフステージで考えるときに一番欠かせないのは所得保障と考える。

高齢障害者では、生活支援・介護だけでなく、医療支援も重なることがある。

ライフステージ毎に様々なサービスが不連続につながっている。その結果、本人のケア記録が施設毎でばらばらに作成されている。



(2)就労支援

就労には起業も含めて、幅広く考えていただきたい。

今の就労支援策では、能力判定やサービス調整をする者がいない。たまたまそこに授産施設があったからそこに入っているだけ。判定、調整機能をしっかり位置づけないといけない。

本人の力量以上の意欲を持っている人もいるので、評価・相談・調整が就労支援の場面では重要。本人の意欲を大事にしつつもきちんと能力評価すべき。

介護サービスや労働サービスもあるが、これらだけでは対応できない。社会活動支援というようなものが必要だと思う。

今は、働きに出ている間は家事援助が入らない。帰宅しても食事の用意がされていないと仕事は続けられない。仕事に就いている人は留守中でも家事援助することが就労支援になる。

働ける人は働くことで自立を図るべき。

労働には、収入を得る、作業能力が向上する、生き甲斐、といった要素がある。療護施設は就労から外されているが、これらの要素を考えると、どんなに障害が重くても就労すべき。

就労支援に関する提言は、90年代以降繰り返し行われており、方向性は既に議論され見えているものの、実効性のある施策がなかった。

どう実行するかという段階に来ている。障害者が本当に就労するには基礎的自治体である市町村に動いてもらいたい。

就労支援を進めるためには、障害種別を超えた地域生活支援法などの法体系を整備すべき。支援の在り方は障害種別に応じたものがあるが、労働課題が一致すれば種別は超えられる。

暮らしの支援がないと働けない。家族の庇護がなくても自立生活が成り立つような就労支援であるべき。

成人の場合最も多いニーズは就労。就労を支えるには、まず生活を支える必要がある。

就労支援についてパーソナルに対応する体制ができていない。

精神は雇用率にも入っていない、年金のない方が多い。地域の中で安心して暮らせるように、フレックス制を採用したり、通常勤務が難しい場合は3人交代で行うなど、工夫して欲しい。

障害者雇用は、これまで低調だったし、今後も変わらないと思う。就労支援は必要だが、就労を強調すると、仕事をしない人には支援しないかのように聞こえる。また、自営業の障害者に対しては何の支援もない。自営業に対する支援も重要。

雇用、就労に耐える方はその道に進んでいき、本当に支援が必要な方だけが支援を受けることで、支援費の活路は開けるだろう。


(1)就労支援における福祉工場、授産施設、小規模作業所等の役割

入所機能は、授産機能から独立させて、最終的に一般住宅+在宅福祉に移る方向で。今の授産施設は、営業マンが1つの施設に1人しかなく、仕事を取ってくるのが難しい。

重度障害者の場合、福祉的就労に頼らずにはいられない。小規模作業所への助成が毎年削られている一方、小規模通所授産施設にするのは資産要件があり大変。通所の利便を考えると小規模なものが多く必要。

施設体系を機能に応じて簡素化すべき。施設体系を簡素化しても、量的に少ないと本来の機能に合わない人も利用するようになるので、量の整備も重要。

小規模作業所は、一般就労からデイサービス、さらにデイサービスよりも重い障害者の支援まで担っているが、これは他のサービスの量的な不備が原因。他のサービスの量と質をいかに確保するかが重要。

就労支援組織と訓練施設は機能分化してほしい。就労支援組織は、障害者からの一般的な相談に対応する機能、求職する障害者についての詳細なデータを提供する機能、ジョブコーチ機能、就職と再訓練を循環する者の受け皿機能を担うべき。

これまではそれぞれの就労支援施策の壁が厚すぎた。施策間の壁をなくすことが重要。キーワードは「流動化」。

機能分化した上で各施策の垣根をなくすことが重要。

授産施設の73%が1、2級の重度障害者であり、授産施設の中身を精査して議論すべき。また、更生施設は授産施設と類似の作業をしているが、賃金は払っていない。このあたりも精査して議論してほしい。

就労支援は極めて重要。通所授産施設は、日中活動支援の中で一括りにするのではなく、別系統のサービスと整理した方がいい。制度と実態の乖離が大きいところでもある。


(2)福祉的就労から一般就労への移行の在り方(雇用との連携等)

優先発注やみなし雇用、発注額は損金処理できる仕組みなど、この辺の配慮が必要。企業就労を第1義としつつ、社会就労センターを社会雇用の場としたい。

精神障害者の中には週末入院治療を受けながら働いている人もいる。この人たちの能力をどう上げるか。精神障害者でもパソコンのウイルス駆除ができる人もいる。優良事例を広報してほしい。

ワークシェアリングという考え方が述べられていない。労働政策との連携の先に、企業との連携を考えるべき。企業の社会貢献の意義は、職を提供すること。障害者の職を公的に保障してきた歴史的経緯は分かるが、これからはそうはいかない。企業に考えてほしいことを明確に示していけば、企業の側も検討してくれる。

通勤や職場の人間関係が難しく、たとえ就職してもすぐにやめてしまう。人間関係をどうしていくかが問題。一般雇用に組み込むことだけがノーマライゼーションなのか。障害があるがゆえに活かせる分野もあるのではないか。「労働」の定義そのものにも立ち返って議論が必要かもしれない。

本人がいくら頑張っても支援者がいないと仕事はできない人もいる。しかし、仕事の場面では福祉制度は使えない。レクリエーションのためなら通訳者は確保できるが、働くとなると使えない。どこが責任を持って支援者を確保するのか議論する必要がある。

仕事の場面で障害者の役割を認めることが重要。そうしないと働く意欲がわかない。「あなたでなくてもいい」という雰囲気があるとダメ。最終目標が一般雇用とされているが、そこまで行けなかった人が作業所でどんな役割を果たすということも重要。一般雇用しても定着率は低い。施設からの移行率を何%にするか、月収をいくらにするか、数値目標が必要。

「福祉的就労」という言葉は押しつけがましい。「保護雇用」という概念に直すべき。

労働行政は主に国レベル、福祉行政は地方に分権化されているというアンバランスがある。1つの地域の中で暮らすことも働くこともできるようにすべきであり、両者の連携を図るシステムを検討すべき。

国が縦割りでも地方では一本化している。アイディアもある。新たな制度を作るのもいいが、国は規制緩和の方向で考えてほしい。

縦割りの構造は、障害間にもあるし、保健医療・福祉・就労の間にもある。保健医療、福祉にとどまらず就労も含めた連携が必要。

日本の施設は一般就労と福祉的就労に二分して議論されてきたきらいがあるが、バリアフリーに配慮した企業や福祉サイドの福祉工場はどちらも保護雇用と言える。授産施設は福祉と保護雇用の中間。このあたりの整理が必要ではないか。

企業と施設の見方は根本的に違っているが、今後これにどう橋をかけていくか。障害があるために健常者よりいい能力があることもある。例えば、知的障害者は持続力がある。いろいろな障害者を合わせて雇用することで、企業にとっても有利なこともある。

施設内の仕事は限られているので、施設外授産も橋渡しとして考えていくべき。個別援助計画どおりに実行されているかを評価することも大切。

精神障害の場合、企業と医学との連携が不可欠。しかし企業が相談したい専門家が少なく、雇用する上で不安が残る。また、長時間の勤務が難しいということもあり、どういう人事で受け入れるべきか。在職中に障害が発生した方への対応も課題。例えば、同僚に知られることなく精神疾患を治療したいという思いもあるだろう。これを企業がどうサポートできるか。

授産施設等は就労支援の役割が法律上明確になっていない。福祉分野と職業安定分野のつながりがない。雇用できるか、福祉的就労がベターかを一元的に判別して前者を雇用に送り出してほしい。

障害者の生活能力の喪失度の判断は明確にされているが、就労能力の喪失度は十分に判断されていない。

障害者が企業就労向きなのか、福祉的就労向きなのか判別することは、障害者の可能性を狭めることにつながる。一旦就職した企業でうまくいかなくても、センターで再訓練して徐々に就労に結びつけていくことが重要。

企業の求める質から外れた障害者をどう就労に結びつけるか。一般就労につながらないが働きたい人たちの社会就労の場をどうするか。一律に一般就労へ移行するのではなく、障害にあった雇用の在り方を考えるべき。

企業では常に労働能力が求められる。企業としては、雇った以上は障害に配慮しながらその能力を最大限発揮できるようにする。雇用率を達成するためだけに雇うことはない。

企業が障害者雇用に取り組む動機は2つ。1つは理念面での動機。企業は社会の一員として雇用促進に取り組んでいく立場にある。障害者雇用はCSR(企業の社会的責任)として大企業を中心に広まりつつある。ネガティブな動機としては雇用義務の履行がある。企業イメージの向上も動機の一つ。

パラダイムの転換が必要。アメリカでは公的事業を受注している企業には社会的責任を負わせていると聞く。

求職者のプールを大きくして(適職との)マッチングを考えるべき。マッチングの見極め期間が十分にほしい。トライアル雇用はいい試み。これからのハローワークには、求職者のプールを増やすために求職者を発掘することを期待する。また、何がどれだけできて、何が不得手かの求職者情報を提供してほしい。

ハローワークを中心とした協力体制に不十分な面があるのではないか。

ジョブコーチなどの就業後の支援体制も重要。また、退職やむなきに至ったときの支援や再訓練して就職につなげる制度も必要。

免罪符的に納付金を納付している企業もある。職業技術は入社後に身につければいいが、基礎的な社会生活の訓練は就職前に身につけておくが大切。

納付金はペナルティではない。障害者を雇用しにくい産業は存在する。努力しても雇用を推進できない場合、別のやり方で支援することがあってもいい。

障害者が企業で働くには環境整備などの投資が必要。

企業ではバリアフリー対策がほとんどとられていない。例えば聴覚障害者に対する手話通訳がなく、会社での対話がないことから離職してしまった人もいる。

在宅就労に対する支援も不十分。

障害者雇用の先行きは決して暗くない。企業は障害者雇用に積極的になっている。今までにも増して真剣に考えないといけないという企業も多い。福祉各法と障害者雇用促進法の連携ができていないことも問題。福祉各法からも法的整合性を図っていけるよう議論すべき。


(3)住まい対策

住まい(生活の場)の在り方

不況により住宅の空き物件が出てきた。不動産業者の方からグループホームを作ってほしいと提案されるようになった。

基本的な考え方としては、住まいの「確保」とすべきではないか。福祉的住宅から公営住宅、一般住宅への移行を明確にしてはどうか。精神障害者の場合、住まいが確保できれば退院できる人が多い。生活の拠点がないと地域生活は始まらない。

精神障害者の場合、住まいが確保できれば地域生活への移行が促進する。

家賃助成の議論が欠けている。公営住宅は地域に偏在しており、公的住宅手当が重要。公的住宅手当の創設が難しければ、生活保護の住宅扶助を単給化してはどうか。


 ケアマネジメント等の在り方

ケアマネを地域で活かしていくためのポイントは次の5つ。(1)利用者のニーズ中心であること。制度の枠やサービスの整備状況に利用者を合わせるのではない。(2)個別ケアプランの作成を通して、個々の障害者が抱える課題を地域の課題とする。(3)ケアマネを担う人は、課題に応じて入れ替わるものである。(4)新しい資源を開発するというケアマネの機能を考えると、サービス調整会議は行政が招集するのが効果的。(5)課題が解決しないことを、特定の者の責任として非難しない。
 ケアマネを実践して、チームアプローチの必要性や資源開発の必要性を感じる。

ケアマネの理念が実際に機能しているか検証が必要。研修修了者が現にケアマネに従事しているかどうか。自治体からはケアマネの制度化を求める声がある。支援費の利用者は重度の障害者であり、サポートするためにケアマネを制度化してほしい。地域格差が大きいがこれを解決するにはケアマネの役割が大きい。

ケアマネと権利擁護を別々に議論するのは無意味。支援費は第3者契約を安易に認めてしまっている。ケアマネの機能をサービス調整と本人の援助に分けて、ケアマネ機関、ケアマネのエリア、個々の障害者支援の在り方について考えるべき。

乳幼児から成人期まで対応するにはケアマネが必要。


(1)ケアマネジメントを行う範囲

ケアマネがコーディネートだけで終わっているのではないか。地域で暮らせない方にも個別生活支援は必要であり、これも含めて個々の障害者の生活を支える極めて専門的な仕事。中立性が大切。

精神の地域生活検討会でも、ケアマネを制度化してほしいとの意見があった。ケアマネという手法を通じて入院からの社会復帰が促進される。市町村が責任を持って地域生活支援センターに委託し、多様な職種が関わって実施されることが大切。透明性確保のためには委託が必要。

精神の地域生活検討会の議論では、病院から地域に戻ろうという人もケアマネの対象とすべきという意見があった。再入院してもケアマネが途切れず、病棟の中でもケアマネが続けられる方が退院促進にもつながると思う。

精神障害者の場合、事業者と利用者の橋渡しだけではケアマネとして不十分。相談支援、権利擁護、(増悪時の)危機対応などの直接サービスもケアマネの大切な機能。

(2)ケアマネジメントを担う者の在り方

ケアマネの必要性は誰しも認めるところ。一刻も早く制度化してほしい。マネージャーは事業者からも利用者からも信頼されるよう独立性を保つべき。身分保障、生活保障が必要。ケアマネはエリア内で責任を負った人が当たるべきではないか。チームアプローチの場合、関係者の中で官尊民卑や職種間の上下意識があると、一部の人の意見で調整会議の結論が決まってしまう。調整会議には全員平等の立場で参画しないと実質的には意味がない。

ケアマネを速やかに制度化してもらいたい。人数を増やすだけでなく、質も確保してほしい。視覚障害者の場合契約書を読むことができずトラブルになることもある。ケアマネを制度化して契約の補助をしてほしい。

福祉サービスは基礎的自治体に一元化される方向にあると認識。障害者についても、公正中立なケアマネジメントが制度化される必要がある。そのためにはマンパワーの養成と資格の認定がしっかり位置づけられないといけない。これまでの議論で理想型は見えてきたが、スタート時から理想型というわけにはいかない。進化させていくべきもの。

利用者はマネージャーにプライバシーをさらけ出すのだから、マネージャーは利用者から信頼される必要がある。調整会議で本人を交えて議論することで独断にならず公平なものとなる。マネージャーには調整会議を招集する権限を与えるべき。

中立性を仕組みに落としていくのは難しい。

欧米で言うソーシャルワーク(カウンセリング、ケアマネジメント、地域ソーシャルワークからなる)の一部として、障害者ケアマネを考えてきた。欧米的ソーシャルワークの考え方を前提とするなら、一定の資格を持った者が携わるべき。社会福祉士がケアマネを担っていくべきと考えるが、全然議論されていない。

社会福祉士が活用されていない。社会福祉士をベースにおいたケアマネを議論してほしい。

介護保険導入時はケアマネを大量に養成する必要があったが、社会福祉士ができて間もない頃だったため、対象資格を広くとった。今後は社会福祉士や精神保健福祉士を軸に据えるべきと考えるが、それ以外の方を排除する理由もない。

障害者ケアマネジメントは必要だが、どうやって実施するか難しい問題。介護保険のケアマネジャーのように1人の専門職だけで担えるものではない。様々な職種によるチームで対応すべき。

様々な職種や当事者も入ったチームでマネジメントすることが大切。介護保険でもケアマネ制度については見直しているところ。ケアマネ研修も大切だが、修了生がマネージャーとして働ける受け皿があれば障害者福祉は進む。

(3)権利擁護の在り方

支援費は後見人でない人が契約しているケースが多い。金がないために後見をつけられないケースもある。生活保護で「後見扶助」といったものを考えてほしい。

支援費では契約書自体有効に成立していないケースがある。成年後見の活用なども考えるべき。


 サービスの計画的な整備と財源(配分)の在り方

まず障害者福祉の問題は何かから議論を始めなければならない。大きくは在宅支援と精神障害者支援の2点。精神障害は支援費からも外されているが、精神障害者本人も家族も高齢化しており待ったなしの問題。

支援費は措置制度の変形ということが認識されていない。財源的にも社会保険方式とは溝がある。支援費はこの1年で利用が伸びている。他方、三位一体による一般財源化の問題もあり、私はは限界だと思っている。支援費は措置制度の延長線であり、措置制度のいいところは残し、介護保険のいいところを取り入れていくべき。

介護保険と統合した場合、国は障害者施策にどこまで責任を持つのか。精神は遅れているが、介護保険に行ったら基盤整備がどう確保されるのか。精神障害は疾病と障害の両面があり、医療との関係は切り離せない。

3障害の差が介護保険だけで埋まるのか。基盤整備はある程度まで国の責任でするべきではないか。

精神は今でも遅れている。このまま市町村に委ねられると格差が拡大するのではないか。ある程度の水準までは国で責任を持つべきではないか。

厚生労働省の予算は、医療費が一番大きく、以下、年金、介護保険、生活保護、福祉が大きい。16年度予算案では、各分野が2〜3千億円増えているのに、福祉は9百億円減っている。なぜ福祉だけ減るのか。また、福祉関係1.7兆円のうち、障害関係は0.7兆円で厚労省全体の3.5%。これを大きいと見るかどうか。

支援費はまだ1年しか経っておらずこれから改善を図るべきもの。

支援費が1年経たないうちにこうなったのは、厚労省は実態把握できていなかった、杜撰だったということ。

支援費が1年経たないうちに予算不足に陥った、という見積もり間違いについて反省が必要。なぜ不足したのか、なぜ義務的経費にしないのかの議論がまず行われないと始まらない。将来的に税金ではやっていけない理由は何か、明らかにしなければならない。

施行後1年で介護保険との統合が議論の俎上に上ること自体、計画性がないという意味でほめられたものではない。審議会もだが、行政もユーザーも見通しの甘さがあった。これから新しい制度設計をする際は、同じ誤りを繰り返さないよう慎重に議論すべき。ただ、周知の通り財源がひっ迫しており放っておけない。

「なぜ1年で」という気持ちはあるが、急速に変わる時代にあって予測するのは難しい。逆に言えば、今検討を始めるのは英断。支援費により、措置から契約へ変わったが、これは福祉の歴史に残る大きな変化。これを進めていくためには財源確保が重要。「より良い財源を」という視点が重要。

支援費はまだ1年しか経っていないが、介護保険の問題は元々5年前から見直すことになっていたもの。

介護保険導入時の検討では、当初障害者も含めて議論したが、最終的に時期尚早であり将来の課題とされた。当時、障害者団体の中には積極的な意見もあったが、利用者負担について反対もありまとまらなかった。支援費から見ると始まって1年しかたっていないが、介護保険から見ると導入時の議論依頼10年以上も残されてきた課題。

介護保険導入時と現在との状況の違いを考えるべき。三位一体改革が過小評価されているのではないか。これは支援費導入時にはなかったこと。この辺りの理解を共通にする必要がある。

支援費は理念的にも制度的にも欠陥はない。スタート時に三位一体改革という予想外のことがあり、財源だけが問題となっている。

支援費がひっ迫しているのは(介護保険の給付対象外となる)要支援以下の人が支援費を利用している面もあるのではないか。

三位一体改革のタイムリミットが迫っているので、支援費制度での充実ばかり議論していてもいけないのではないか。三位一体改革の内容が決まる前にしっかり議論しておかないといけない。

一般財源化し市町村長の裁量に委ねたとしても、選挙で票にならない精神障害者福祉については進まない。制度的に仕組むことが必要。年金改革でも分かるように、厚生労働省案が出た後でも各方面から意見が出て修正される。介護保険のどこを修正すればいいか、どこが介護保険に向かないのか、もっと議論すべき。

自治体としては、財源がないとサービス提供できない。三位一体改革は予想外の出来事。精神障害者も含めて障害者が求めてきたものをやめてしまうのではなく、財源をどう確保するかということも考えないと。「わずか1年で」という気持ちはよく分かるが、しかし急速に動いているので、この部会でしっかり議論したい。

介護保険の善し悪しはともかく、安定財源を確保するには他に財源を求めなければならないのだから、今議論しないといけない。財源問題のために理念が忘れられてはいけない。

財源の問題と見ると、これはもう厚労省の問題ではなく、どこに予算を配分するかという国の哲学。この審議会で議論し、この審議会から提案すべき。

国の予算82兆円のうち36.6兆円は借金。厚労省予算は20兆円くらいあるのだから、三位一体改革で厚労省に色々言ってくるのは当然。我々は厚労省予算を守らないといけない立場。情報を共有したい。支援費導入の時の苦さを味わいたくない。


(1)ニーズを把握して計画的にサービスを整備する仕組み

市町村障害者計画の策定メンバーに当事者を入れるよう指導してほしい。

市町村計画には精神障害者の数値目標がほとんどなく、地域差は広がる一方。国のプランも、老人と違って市町村計画の積み上げではない。数値目標を市町村に義務づけることが必要。そうすれば自治体の責任も担保される。精神障害者についても、他障害と共通の基盤は確保したい。

市町村計画について、精神障害者の記述がない自治体に対して厚生労働省から指導すべきではないか。


(2)障害者施策に関する財源配分の在り方(福祉・医療・所得保障)

医療の方が福祉より費用がかかっている。その金額でどれだけの人が在宅で暮らせるか。国として英断を下すべき。全てが公的なサービスだけでするわけではない。


(3)障害者施策に関する財源構成の在り方(利用者負担、保険料、公費)

税か保険かどちらがいいか悪いかではない。両者のメリット・デメリットを比較しても差はない。地域差は許されないという立場から保険方式への統合を考えた。「新しい保険制度」という考え方であり、吸収や2階建てではない。ただし、サービス利用の目的について、高齢者の場合は生活援助だが、障害者の場合は新しい人生の(再)構築であるため、サービス必要量を的確に判断する必要がある。認定項目の在り方、支援手法、エンパワメントの視点、応能負担に留意してほしい。

170の市町村が介護保険で赤字になったと報道されているが、そんなところに大赤字の支援費が行って、障害者の社会参加が保障されるのか。

今の要介護認定基準で障害者がきちんと認定されるか不安だったので、実際に当てはめてみた。結果は要介護1が多く、介護量としてはとても足りないと感じた。精神障害者が要介護認定でどのような状況になるのか教えてほしい。

障害程度区分では、要介護性について日常生活介護と社会参加性の強いものを両方勘案しているが、今の介護保険では、社会参加性の高い人は要介護度が低くなる。このように両者の整合性が十分図られていないので、この辺りを分析してほしい。

要介護認定基準を精神障害者に当てはめてみたが、軽い能力障害だと3割が非該当、2割が要支援になってしまう。この辺も十分議論されたい。

今の制度では、ヘルパーの利用状況が扶養義務者に分かってしまい、障害者の日中の行動が分かってしまう。そういう観点からも扶養義務者問題を考えてほしい。

介護保険化のメリットの1つ目は、「連帯」という契機を導入できること。高齢者介護については、明日は我が身の問題なので介護保険に反対する人はいない。介護保険化により、これと同じ考え方を障害者介護に持ってくる。2つ目は、障害者の問題が国民的議論になること。関係者が厚生労働省の背中を押して支援費予算をとって来るという今のやり方では、国民的議論にはならない。

介護保険という枠組みにすることで国民全体を巻き込んでいくという指摘はもっとも。精神障害者も含めて支援できるシステムを作ることがまず大切。

基礎構造改革は措置制度の改革であり、応能負担を改革することだったはず。基礎構造改革の検討時には、精神障害者は医療機関にかかっている時は医療保険(応益負担)であり、福祉サービスも契約(応益負担)だったため、支援費の対象から外された。応益負担を真剣に考えないといけないが、他方、公的責任をどう考えるか。このように見てくると当然介護保険との関係を考えざるを得ない。

税の配分の在り方を考え直し、障害者が困らないようにしてほしい。福祉産業は国にとっていいものだということをこの部会から打ち出してほしい。

財源のことを考えると、障害者がこれから財源のなくなるシステムに入らないようにしないといけない。若い頃から保険料をかけて支え合うことでそれが可能になると思う。

障害者福祉の間に差別があってはならないとすると、精神障害者も支援費制度に入れることになるが、対象者は飛躍的に拡大する。介護保険との統合なくして可能か。

国民誰もが障害者になりうることを理解すること、障害者への相互扶助。この立場からは介護保険が適している。精神障害者が支援費に入るのは非現実的であり、介護保険がよい。

介護保険のスキームでできることは介護保険でやってはどうか。介護保険により特養待機者が増えたことから、統合した場合再び「地域」から「施設」に戻ってしまうという不安があるのではないか。
 方向性を考えていく際の視点は7つ。(1)重い障害のある人も地域で生活できるように。(2)3障害の認定基準をどうするか。(3)介護保険で足りない部分を補うシステム。(4)家族介護の人の自立。(5)施設・病院からの退所・退院の促進。(6)働ける仕組みをどうするか。(7)差別禁止法、総合的福祉法をどうするか。

共通部分で統合できるところは統合すべき。特に、精神障害者福祉は自治体の裁量だけに任せていて十分なサービスが提供できるか。精神障害は地域で支えるマンパワーがない。

少子高齢化のなか互助の精神で、という観点から、介護保険でできるものはそうすべき。国の議論と地域ごとの合意形成との両輪で取り組む必要がある。

市長会、町村会は統合反対という意見が多い。8団体でも賛否を議論しているが、反対の理由が市町村とは全然違う。この点は検討しないといけない。冷静な議論が必要。支援費でニーズが顕在化したが、制度を作ったのだから当然。今後、支援費の改善で何とかなるのかどうか。5年後まで議論していていいのか。

既に保険事故が発生した人を組み込む保険はない。障害者を介護保険に入れることについては、既に保険事故が起こっているし、低所得の障害者の負担能力なども問題であり、納得できない。被保険者範囲の拡大は、保険料を徴収しやすいところから取ることにならないか。財源論としての統合は明確に反対。
 要介護認定基準とケアマネの2つがないことが支援費財政に大きく影響している。支援費に介護保険のよい点を取り入れる改革がまず行われるべきであり、その上で将来、障害者介護保険が生じる可能性までは否定しない。

介護保険は要介護状態の人も被保険者になっているので、社会保険と保険事故が発生した者との関係は、年金のように整理されてはいない。

国は財政的問題を主にしすぎている、という批判が町村長にある。(障害者福祉と介護保険は)将来は統一する必要性があるが、現時点では反対。視覚、聴覚、内部障害は今の要介護認定では「自立」となってしまう。

町村会アンケートでの統合賛成の理由は、「年齢で区切る必要はない」、「若くても事故等で障害を負うリスクは同じ」など。反対理由は、「介護保険は高齢者介護の基本を支えるもの」、「将来的には統合だが時間をかけて議論していきたい」など。

市長会アンケートでの統合賛成の理由は、「地域保険としては高齢者と障害者は統一して考えるべき」など。反対理由は、「障害者施策は公費で行うべきであり保険になじまない」、「所得保障が十分でないときに統合すべきでない」など。急ぐべきではないとする理由は、「安易に財源で統合するのは問題」、「支援費は1年しか経っておらずもう少し様子を見たい」、「社会参加サービスがあり統合困難」など。

今の介護保険でさえも財政的に厳しい状況にある。そういう中に支援費が入っていった場合にどうなるのか。とにかく行ってみようというわけにはいかない。

不安材料が多いのに明確なものが全く出てこない。全身性障害者は24時間ホームヘルプが必要だが、高齢者はそうでない。統合後の地域生活の具体的な姿が全く見えない。保険料負担、利用者負担はどうなるのか。介護保険との関係は、もう少し時間をかけて議論すべき。

障害者施策と介護保険の統合について、介護保険部会は歓迎しない、財界は反対、市長会も今の時点では反対となれば、いま統合するのは難しい。とすると、支援費でどうするかを考えないといけない。3年間は支援費を継続することを考えてほしい。そのまま継続したのでは財源的に苦しいので、単価の検討も行う。

頑張って取り組んでいる自治体にとっては、支援費をあと7年続けるのは厳しい。

障害者の基本的人権を守るのは税。そういう原則論は措くとしても、この部会は障害者の声を代表するものであり、財源的に苦しいからではなく、障害者にとって使い勝手のいい制度はどのようなものかという観点から議論すべき。

仲間が不安がっている。どの部分が介護保険で、どこが補助金で、どこを地方に下ろそうとしているのか分からない。介護保険にない支援の部分が多い。

支援費の理念を否定する人はいない。介護保険でカバーできる部分とできない部分がある。カバーできないところは3障害固有の問題がある。

高齢者福祉も介護保険だけによっているのではない。障害者サービス全体の議論をし、その上で介護保険というスキームでできる部分はどこか考えるべき。

介護保険は決算主義。所得保障、権利擁護、住宅施策などサブシステムの問題もある。介護保険が全てを救うわけではないが、よく考えられた特定財源確保のシステム。

個人的には、介護保険自体は否定されるべきものでないと考える。ただ3点は留意してほしい。(1)支援費が1年でダメになったことについて1度きちんと説明してほしい、(2)抽象的議論ではなく、新制度の姿を提示して議論しないと皆不安になる、(3)3障害共通ということなら法律は別々のままでよいのか検討すべき。

統合する場合、高齢者施策と障害者施策の基本理念が少し違うので、それぞれ整理して整合性を取らなければならない。したがって、介護保険法の抜本的な改正が必要。

介護保険も地域ケア型に変わっていっているところ。今までの介護保険を前提にそれと統合する、というのではない。

介護保険については、給付費増をまかなうため、保険料引き上げやホテルコスト徴収など利用者負担増が議論されていると聞く。介護保険との関係を考える際は、これらの利用者負担増をどう考えるかも重要。

介護保険部会では、利用者負担を2割にする意見は少数派。高齢者にも低所得者は多い。ホテルコストは、在宅利用者とのバランスから徴収する方向。

介護保険は少なくとも4分の1は国の負担を確保するということ。介護保険は市町村主義だが、それなりに国の責務はしっかりしている。介護保険なら限度額の範囲内でサービスを自由に選べる、他方で保険料という痛みを伴う。

精神障害者福祉は義務規定のない補助金。介護保険は税の部分が大きく、このまま介護保険が伸び続けると、限りある税収が介護保険に持って行かれてしまうのではないか。介護保険サービスを受給する権利もあれば、負担する権利もある。低所得者対策は、最低生活の保障など別の次元の議論がいるのではないか。

ドイツの介護保険では、20歳以上を被保険者にする関係で障害者も対象となった。障害、難病等による介護も等しく介護保険により提供しようということ。

介護保険は、もともと高齢者介護保険として設計されたものではないと認識。長期ケア保険、支援保険と言うべきもの。ケアの中身はアプリオリに決まっているわけではない。

40〜64歳は、介護保険料を負担するものの、介護保険サービスは受けられない。そういう整理がいいのかどうか考えるべき。


(4)支援の必要度等に応じた効率的な財源配分の在り方

20年間施設に入っていた人が退所する時に、1千万円の貯金を持っていた例もある。全部年金。福祉充実のための制度が本人の福祉に全然使われていない。こういう矛盾を考え直すべき。

高次脳機能障害や高機能自閉症、新生児医療の進歩により生まれる重度障害児など、障害分野のニーズはどんどん変わっている。予算配分を分析して必要な所に予算をつけるべき。


 その他今後の進め方等

統合した場合、新たに保険サービスを使う人がいるのか。介護保険の現行の施設類型はどうなるのか、障害者独自のものは何があるのか。これらが示されないと賛否の判断ができない。

関係者の不安についてはどうなるのか。相手のあることだが、試案として何か出せないのか。行政側で出せないのなら部会長提案でも出してほしい。

ある程度具体的なスケルトンを基に議論すべき時期。細かい議論は無理でも方向性だけは明確にしておくべき。

統合のシミュレーションが必要。統合により予測されるメリット・デメリットと、支援費に残った時のメリット・デメリットを示してほしい。

介護保険部会とも整合性をとって議論してほしい。

介護保険も行き詰まっており、財源問題があるのは介護保険も同じ。財源については介護保険部会でも並行して議論すべき。まず障害者部会から介護保険部会に意見を投げるというのは時間的に無理ではないか。

「何年続くからいい制度」というものではない。必要があれば改正すればいい。内容も大切だが、議論のプロセスがより重要。市民の感覚で納得できる議論が必要。前向きで、必要かつ十分な議論をしてほしい。そのためにも生の声をヒアリングしてほしい。

この場で介護保険を議論するとき、統合を前提とするのかどうか。それにより議論の内容が変わる。

まず施策体系から幅広く議論するなら、1〜2年はかかる。議論の大枠が決まらないと6月までにはまとまらない。

早く会員に検討状況を伝えていかないといけない。このペースで議論していて、6月までに結論を出せるのか。

障害種別により考え方は異なる。障害毎に様々な論点があっていつまでも議論が終わらない。統合という大枠から絞り込んで介護保険に持っていくのか。こういう議論をやっていたら1年でも終わらないのではないか。

6月までに介護保険への方向性を審議会で議論するとなると、様々な立場の意見があり、まとめる時間がない。支援費の時のように、また見切り発車になりかねない。

地域生活支援検討会に参加している8団体のうちDPI、JDは部会委員ではないので、何らかの形で彼らのヒアリングをしてはどうか。生の声を聞くことが重要。


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