04/05/25 雇用創出企画会議平成16年度第2回会議議事録             平成16年度第2回雇用創出企画会議 1 日時  :平成16年5月25日(火)15:30〜17:30 2 場所  :厚生労働省17階 専用第21会議室 3 出席委員:小野旭委員(座長)、樋口美雄委員、久本憲夫委員、矢作弘委員、        八幡成美委員、山川隆一委員 4 行政側出席者:青木政策統括官       (労働政策参事官室)草野労働政策参事官、堀江政策企画官、千葉室長補佐       (労働基準局)寺山監督課監察官       (職業安定局)勝田雇用政策課長       (職業能力開発局)木原基盤整備室調査官       (雇用均等・児童家庭局)武田総務課長補佐    5 議題   報告書(案)について 6 議事経過 ○小野座長  定刻を過ぎましたので「平成16年度第2回雇用創出企画会議」を開催いたします。前 回の4月の会議では、コミュニティ・ビジネスによる雇用創出等に関する論点を中心に ご議論いただきました。本日は、前回の検討結果を踏まえて、お手元の報告書(案)を 事務局が作成してくださいましたので、その案について議論をいたします。なお、本日 は大谷委員、二宮委員、細内委員がご欠席です。  まず最初に、事務局より報告書(案)のご説明をお願いいたします。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  それでは、お手元の「コミュニティ・ビジネスの多様な展開を通じた地域社会の再生 に向けて」という報告書(案)のペーパーをご覧いただきたいと思います。この報告書 (案)については、座長からお話がありましたように、前回の会議等を踏まえながら作 ったものでてす。構成としては、【目次】にありますように、「雇用創出企画会議第二 次報告書概要」ということで本文が並べてあり、図表、さらに参集者名簿、会議開催記 録、ワーキンググループの検討結果等を入れ込んでおります。  またコミュニティ・ビジネスの実例等を豊富に紹介したほうがよろしいかと思い、と ころどころにコミュニティ・ビジネスの生の現状等をお伝えするコラムを差し挟んでお ります。  それでは、報告書(案)の内容について説明したいと思います。6頁の「コミュニテ ィ・ビジネスの社会的意義」です。(はじめに)に、近年、福祉、教育、文化、環境保 護等、社会需要を満たす分野において、多様で柔軟なサービスを提供する地域密着型の スモール・ビジネスであるコミュニティ・ビジネが注目されております。ここでは、雇 用創出はもとより、多岐にわたる機能を持つCB(コミュニティ・ビジネス)の社会的 意義について見ていくということで、1をまとめています。  6頁の(1)の2番目の○に、CBは、地域住民が中心となって、地域社会において 発生している課題を解決するためのさまざまな事業を実施しており、今後一層の拡大が 見込まれております。  3番目の○にありますように、CBの果たす機能は、雇用創出にとどまらず、例えば 若年者、高齢者、障害者等の社会参加、自己実現の場の提供等、多岐にわたっており、 様々な問題を抱える地域社会の再生の担い手として期待を集めております。  7頁にCBの社会的意義は、一体何なのかをまとめており、次の点で地域社会にとっ て大きな意義を有しているのではないかということで、何点か掲げております。政策面 においては、これまで全国一律的な対応をしてきた面が大きかったわけですが、これか らは各地域の個性・実情を踏まえた個別的対応に、また行政主導から住民・民間主導に 転換しようとしている状況にあります。こうした中で、地域における結び付きは、長期 的に希薄化の一途をたどっているわけですが、さまざまな社会問題が、それに応じて生 じているのも事実です。  こうした社会問題について、行政が入り込むのは、なかなか難しい問題もあり、限界 があります。その解決のためには、地域における個別の事情に迅速、かつきめ細かく対 応することが求められ、行政とは異なるアプローチで柔軟、しかも機敏に対応を行うこ とができるCBが活躍することが期待されるのではないかと申し上げています。  なお、EUにおいても、公共部門・利潤を追求する民間企業部門のいずれにも属さな い集団的活動を「第3のシステム」と称して支援を進めているところです。こうした 「第3のシステム」は、活力ある地域コミュニティの再生につながることが期待されて いますが、我が国社会においてもCBが、日本版「第3のシステム」として確立される ことが期待されるのではないかということを申し上げています。  9頁の2「働く側から見たコミュニティ・ビジネスの可能性」についてです。(はじ めに)を見ますと、ここで書いている中身について概略的に示しています。CBは、社 会的な意義があるだけではなく、働いたり社会参加する側から見ても大きな可能性を有 しています。その中身については、若年者、高齢者等の属性によって異なるものと考え られるわけで、これから属性ごとにどんな可能性を持っているかについて申し上げたい と思います。  若年者についてですが、昨今、若年者は安定した就職機会を得ることがなかなかでき ないという問題があります。若年者にとって職業に関するイメージを的確に把握するの がなかなか難しくなっており、こうした状況を放置すると、若年期に必要な技能、知識 の蓄積を図ることができなくなり、キャリア形成が十分に行われなくなる恐れがありま す。ひいては、中長期的な経済・社会発展の基盤を揺るがす可能性もあるのではない か、と指摘しています。  10頁ですが、若年者を本格的な就労につなげていくためには、職業意識の形成が不可 欠で、若年者が実際にCBで働いたり、社会参加をされるようなルートを開拓していく ことが、勤労観や職業観を醸成する上で、極めて有効なのではないか、と指摘していま す。  10頁の最後にある在職者です。在職者が、CBで地域貢献を行うことは、在職中の勤 労者生活の視野を広げるということもありますし、それがひいては本業の仕事に好影響 を与えることも期待できるのではないかと考えております。  11頁で、高齢者については、いわゆる「団塊の世代」を中心に、これまで企業一辺倒 の働き方をしてきた方が多くいたのではないかと考えられます。ただ多くの高齢者が必 ずしも会社人間的な生き方を、望んでおられたわけでもないと想定しています。高齢者 も地域社会に貢献したいという意識は、むしろほかの世代に比べて相対的に高いという ことも言えるところです。「団塊の世代」が、今後10年間で定年などによって、企業を 退職する時期を迎えている中で、高齢者たちが地域で活躍できる環境を、さらに整備し ていくことによって、高齢者の生きがいの形成、増大する地域社会のニーズにも対応し ていくことにもつながる、ということを指摘しています。  (4)の障害者ですが、障害者がその能力と適性に応じて就労することは、自己実現を 図って、自らが納税者になり、社会に貢献したいという意欲に応えるという点において も重要です。ただ、障害者の中には、短時間の雇用形態を望む者も見られ、そのような 観点からCBは、短時間就労の受け皿としても期待されるのではないか、と指摘してお ります。また、これがひいては本格的な就労への1つのステップとなる場合もあるので はないかと思われます。就労まで行かなくても、社会参加することは、QOLの向上に 資する面があることも、併せて書いております。  13頁の(5)専業主婦です。専業主婦の比率自体は低下しておりますが、依然として大 きな数を示しております。専業主婦の中でも就労を希望される方は多いわけですが、し かしながら長期間無業のままでいる専業主婦もおられます。いきなり本格的な就労を行 おうとしても、なかなか難しいという問題もありますので、その前の1つのステップと してCBにおける就労や社会参加が有効ではないかと考えております。  さらに言えば、主婦の日々の生活実感は、地域社会、地域生活に密着しているCBの 活動に結び付く場合が多く見られます。主婦はCBの担い手としても期待されているの ではないかという旨、記述しています。  (2)のCBの就労条件ですが、CBに常勤する方の平均年収は264万円で、一般の 就労者の年収より低くなっています。もちろん自己実現を図ろうとする方もおられ、必 ずしも報酬の高が目的ではないという方もおられますが、今後CBが社会的な認知を高 めるとともに、期待する報酬が変わることも考えられ、CBの報酬のあり方について は、さらに検討を深めていく必要があるのではないかと述べております。  14頁(2)の「有償ボランティア」就労条件ですが、NPOにおいては賃金以外の報酬 名で支払っていることがしばしばありますが、その中で、従事者が時間を指定されて働 いている場合があります。この場合、労働基準法上の労働者に該当する可能性もありま す。こうしたことなどを踏まえますと、CBにおいては、最低賃金額以上の賃金を支払 うべきところ、そうしていない事業所が存在する場合もあり得るものと考えられ、CB において、使用従属関係があって、労働者性が認められる場合には、最低賃金額以上の 額を支払ったり、労働関係法令に基づく措置を講じるとともに、労働者である旨を明確 にするなど、サービス提供者の処遇の明確化を図ることが望ましい旨、記述しておりま す。  16頁の3「コミュニティ・ビジネスの多様な展開のための課題と方策」です。(はじ めに)に、CBは現在のところ、福祉分野等を中心として展開されてきているが、地域 におけるさまざまな問題の解決が求められている今日、この他、多様な分野においても CBが事業展開され、もって雇用の場を拡大していくことが望まれています。  また、CBは若年者・高齢者など、さまざまな属性ごとに大きな意義があり、今後多 様な主体が、それぞれCBを舞台として自己実現などを図っているための環境を整備し ていく必要があります。ここではCBの多様な展開のため、何が課題となっているかを 整理し、課題を解決するために想定される方策についてまとめています。  (1)の多様な分野における事業展開を促進するための課題と方策ですが、CBの数 は着実に増加しており、例えば、認証NPOの数で見ますと、2万近くにまで及んでお ります。ただ、CBの活動目的を見ますと、高齢者介護や生活支援が多くなっており、 現状においてCBの多くは福祉分野で活動しているという実情です。もちろん福祉分野 は重要ですが、そのほかにも地域住民や地域社会のニーズに応じたさまざまな分野で事 業展開が図られることが期待されるのではないかと考えています。  17頁の(2)のCBが活動を行うに当たっての問題点ですが、個人が新たにCBを設立 したり、既存のCBの業務展開を図ろうという場合、現状では克服すべき多くの課題が あります。例えば、17頁の最後にありますように、多種多様な人材をコーディネート し、創業の精神を共有できるような環境を醸成していくことは、なかなか難しい問題が あります。こうしたことをやれる中核的人材となり得るような人材が、なかなかいな い、成長しないという問題があります。  18頁ですが、中核的人材がCBの事業を展開しようとする場合に、人員不足をいかに 解消するか、経営管理ノウハウの不足にどう対処するかなど、さまざまな分野における 相談が必要になることがありますが、現状ではこうした相談事項について、一箇所で相 談できる機関に乏しいという状況です。  また、同じような志を持った方などと交流して、成功・失敗体験を学ぶことは、埋も れている地域のニーズを発見したり、事業展開のヒントとなる情報を獲得するという点 で、大きな意義を有するのではないかと思っていますが、そうした機会は現状におい て、必ずしも十分とは言えません。このほかにも活動場所の確保が難しいという問題点 もあります。  (3)の、これに対応して想定される方策は一体何かですが、具体的には地方自治体や 国がこれから申し上げるような施策を展開することが考えられるのではないかというこ とで、19頁以降に掲げています。まず、一箇所で対応できる相談窓口については、厚生 労働省においてもモデル的な事業を開始することとしています。ただ、相談したいとい うニーズの中身は多岐にわたります。例えば、社会のニーズがどういう所にあるかにつ いても、情報提供できるようにしておくことも望まれるところですし、情報提供だけに 限らず、多種多様な活動希望者をコーディネートして、創業の精神を共有できるよう な、それを図れるような人材を育成していくことも求められるかと思います。  さらに申しますと、人材のマッチング、広報のあり方について助言をするといった多 面的な支援を行う窓口として、ワンストップ窓口を改組していくことが求められるので はないかということです。  19頁の最後の○ですが、ワンストップ窓口の事業の取組み状況を、広く全国の自治 体、あるいはCB関連の支援組織に提供していくことは、今後これらの組織が、同じよ うな趣旨の事業を展開されようとする際に、大いに参考になるのではないかということ も申し上げております。  20頁です。同じ志を持つ者が情報交換を行える「たまり場」については、ワンストッ プ窓口に経験交流コーナーを設け、参加者間の触発を図ることが想定されるのではない か、と記述しています。  場所がないという問題については、ほかにもいろいろなケースが考えられるかと思い ますが、地方自治体等が、学校の空き教室などの遊休施設を、無償又は低額で一定期間 貸与していくことも考えられるかと思います。  国においては、2001年度から、離職者に対して多様な内容・レベルの訓練を実施する ため、NPO等を委託先機関として活用しています。ただ、コースの内容としては、介 護などの福祉系、あるいはNPO起業系の一般的な講習が多くなっています。今後につ いては、それら以外のカリキュラムについても、一層積極的に開発していくことが望ま れるのではないかということです。  20頁(2)多様な主体が参加するための課題と方策についてです。21頁最初の○です が、CBの事業所側において、若年者を活用しようとする場合の課題は何かと考えます と、個々の若年者の状況に応じて懇切丁寧に指導・訓練を行う余裕に乏しいということ が挙げられます。  CBにおける若年者の受入れを進めるためには、CB関連の支援組織などにおいて、 活動開始前に職業マナー、あるいは基礎的な知識・能力に関連した講習を行うことが効 果的ではないかという旨を記載しています。  また、支援組織などが、受け入れる情報を整理した上で、若年者に対して情報を提供 していくことも望まれるところですし、こうした支援を行うに当たっては、青年団、町 内会など地域の既存のネットワークを活用しつつ、事業展開を図るほうが、より効果的 ではないかという旨も記述しております。  22頁の(2)在職者です。在職者がCBで活動しようと思っても時間がない、情報に乏 しい、兼業することができないという問題があって、現実にはなかなか難しい面があり ます。こうしたことからボランティア休暇制度、活動情報・機会の提供等、企業におけ るいろいろな取組み、好事例を国が収集・整理して、企業に対して情報提供を行ってい くことは有益ではないかということです。  また、企業においては、兼業禁止規定について、「多元ライフ」実現の観点から、そ のあり方について考慮することが望ましいという形で記述をしています。  この会議においても何回か議論になりましたが、「勤労者マルチライフ支援事業」に ついては、マッチング機能の強化等を図ることにより、在職者の社会貢献活動をさらに 推進していく必要性があるのではないか、ということも述べています。  23頁の(3)高齢者です。これまで企業社会しか体験されなかった方々について言えば、 地域社会にとって、自己のどのような能力が役に立つのか、自分がどういう分野に向い ているのかを的確に特定していくのはなかなか難しいということがあります。そこで支 援組織が、いわば能力の棚卸しを行うことも大事かと思います。また情報交換会などを 行うことも考えられるのではないか。さらに受入情報の提供、マッチングなどに努めて いくことも大切ではないかという旨を記述しています。  (4)障害者です。24頁に述べているように、指導・サポートできる人材がなかなかい ないという課題があります。障害者の職場での適応を容易にしていくため、CBにおい てもジョブコーチを活用したりするなど、障害者の雇用を促進していくことが重要では ないかという旨を記述しています。  (5)専業主婦です。専業主婦については、育児や介護などによって長期間就労から離 れていた者も多くおりますので、CB関連の支援組織が主婦向けの基礎的な社会参加講 習を開講し、希望に応じて受講できるようにすることが望ましいのではないか。さらに そういう所でマッチングのための情報提供を行うことも望まれるのではないかというこ とです。  26頁から29頁にかけてコラムを若干入れています。  30頁の4「コミュニティ・ビジネスと企業・行政」です。(はじめに)にありますよ うに、地域における社会的なニーズに対応することが求められるCBについては、企業 や行政との協働が期待されています。双方が連携することによる利点について記述する とともに、新たな地域社会におけるつながりの形成に向けて、CB、企業・行政の間で 克服すべき課題について整理する、というスタンスでまとめています。  (1)のコミュニティ・ビジネスと企業ですが、昨今、企業においてはCSRが要請 されるようになってきて、地域社会に関しても自社の経営資源などを活かして社会貢献 活動を推進するとともに、従業員のボランティア活動参加を支援することなどが求めら れる状況にあります。  企業がCSRを推進していくに当たり、CBは地域社会の課題に精通しており、専門 性などを持っておりますので、重要なパートナーとなりつつあります。ただ協働で実際 に取り組んでいる企業割合は、比較的大きな企業が対象となっていると思われる調査を 見ても、それほど大きいわけではありません。企業においては、今後一層CBと共存を 図っていくことも期待されます。  31頁です。企業においては、ほかにも寄付や空いている会議室のスペースを提供した り、物品を提供するといったことも期待されるところです。こうした各般の支援が、さ らに進展することによって、CBの活動が促進され、地域社会の問題解決につながって いくことが望まれるのではないかということです。  (2)人的交流です。CBにおける活動経験者を企業の中に迎え入れたり、従業員がC Bにおける活動を行えるようにすることは、企業にとっても大きな意義を持つのではな いか。これは新しいアイディアを生むことを通じて、高い付加価値を創造する源にもな るのではないか、と指摘しています。  32頁ですが、ボランティアとしての活動体験や会社とCBとの兼業、さらにはCBへ の出向・派遣等は、企業とCB、さらに従業員本人にとって、大きなメリットになるの ではないか。企業においては、これらが促進されるよう、ボランティア休暇制度の導 入、情報提供と併せて、兼業禁止規定のあり方についての考慮が期待されるのではない か、と記述しています。  (2)コミュニティ・ビジネスと行政ですが、地域住民が主体となるCBの可能性は 広がっています。しかしながら、CBも千差万別の状況にあるのも確かです。したがっ て、個々のCBが自分でちゃんと自己評価を行ったり、CB自身が業務方針などについ て積極的に情報開示をしていくことが重要です。  また行政がCBを支援したり、一部事業を委託するに当たっても、アイディアを公募 するなどによって、CB本来の創意工夫が活かされ、促されることを重視することが望 まれるのではないか。さらに今後、CBを行政が支援していく場合には、できる限り省 庁間の縦割りの弊害を除去していくことも大事ではないか等の記述があります。これは 前回ご指摘を受けたところです。  33頁です。本来、CBは地域と密着しておりますので、CBに対する支援は基本的に は市町村行政が行うべきという考え方があろうかと思います。ただ、市町村行政による CBの支援は、端緒についたばかりという面もあって、本格的に展開されているとは言 えない状況にあります。それまでの間、国がCBに対してモデル的な支援事業を行い、 その成果を市町村に広め、市町村が施策を立案する際の参考に供することが望まれるの ではないか。さらに施策立案のノウハウ自体が、市町村においては十分でない場合もあ ると考えられますので、国が市町村に対してノウハウを提供することも検討に値いする のではないか、ということを述べています。  最後に、今後地域が真の主役となっていくためには、地域住民、地域社会に密着し て、機動的にニーズに対応し得るCBが、その機能を十全に果たしていくことが求めら れます。CBが企業や行政と適切に協働し、それぞれの本来の強みを相乗的に活かし、 地域のつながりが新たな形で構築され、ひいては地域社会の再生の歩みが進んでいくこ とが期待される、という旨でまとめています。  以下、コラム等をまとめていますが、現在、事務局で考えております報告書(案)に ついては以上です。よろしくご審議のほどをお願い申し上げます。 ○小野座長  どうもありがとうございました。それでは、報告書(案)について質疑応答に入りた いと思います。ご質問、ご意見等がありましたら、ご自由にご発言をお願いいたしま す。 ○樋口委員  皆さんの前回出た話は、だいぶ盛り込まれているので、これでいいのかなと思いま す。この報告書自身を、誰が、どういう形で利用していくのだろうかと考えたときに、 実際にCBを始めようと思っている人の立場からすると、例えば、こういう情報はどこ にあるということを、明記していただくと有難いかと思います。33頁に雇用政策の話が あって、「なお」に、本来、市町村行政が行うべきであるということが書いてあります が、いくつかの自治体では、すでに始まっており、総務省では、雇用政策についての自 治体における能力アップということをやっているという話もいくつか耳にするのです が、そういう情報を織り込んで、どこを見ろということを再提唱してもらうと、もっと 使いやすくなるのではないかと思います。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  いまの樋口委員のご指摘の点ですが、この報告書の中でも、それぞれの施策が、どう いうところを見れば分かるような形になるのかということは工夫をさせていただきたい と思います。もちろんCBに関する総合相談コーナーを展開していく際に、そうした情 報をパッと提供できるようにしていくことは、極めて大事ですが、併せて、そういう点 についても留意しながらやっていきたいと思っています。 ○山川委員  7頁の囲みの文章の上から4つ目と5つ目の文章の「児童虐待・ひきこもり・自殺等 といった社会的病理が広がるなど、様々な社会問題が生じている」というのを受けて、 「これらの社会問題について」と書いてあり、それがCBの社会的意義につながってい るのですが、児童虐待・ひきこもり・自殺等というのは、シリアスな問題ではあります が、それに特化したものとして、社会的意義があるみたいに読めなくもないのですが、 もう少し広くて、言いたいのは家庭内の支え合い機能や地域における紐帯機能を補完す るという趣旨ですから、それを活かすような文章のほうがいいのではないかと思いま す。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  了解いたしました。これについては、ここには書いておりませんが、例えば高齢者に ついても支え合いなどが必要になってきているにもかかわらず、現状ではなかなかそう したものができなくなりつつあるなど、いろいろなケースが考えられるかと思います。 確かに今の書き方は、どちらかというと、社会的病理が浮き立っているような書き方に なっていますので、これはこれで大事な問題だとは思いますが、もう少し広く包含的に 読めるように工夫したいと思います。 ○小野座長  ほかにご意見はありませんか。 ○山川委員  細かいことですが、14頁の(2)の最初の○の「賃金以外の報酬名で支払って」いてと いうのは、私が申し上げたのですが、目的語がなかったものですから、「賃金以外の名 称で報酬が支払われていても」ということではいかがでしょうか。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  「賃金以外の名称、ないしは賃金以外の報酬名で報酬が支払われていることがしばし ばあるが」という文言に直しておきたいと思います。 ○小野座長  山川委員のご意見は、「賃金以外の名称で報酬が支払われている」ですか。 ○山川委員  目的語ではなく、主語がなかったのです。 ○小野座長  「賃金以外の名称で報酬が支払われている」と、2カ所とも直したほうがいいです ね。 ○山川委員  はい。 ○小野座長  そういう小さいことでも結構です。大体私どもの意見を取り入れて文章が作られてお り、大きなところでは大変結構に書かれていると思います。 ○久本委員  私も前回いろいろなことを言ったのですが、そういうことをしっかり受け止めていた だいて、非常にいい報告書になったのではないかと思っています。それだけにあまり言 うこともありませんが、樋口委員が言われたことは、ああ、そうだなと思いました。例 えば、ワンストップ・サービスに関しても、やや抽象的かなという気がします。これだ けを読んで、「では、それは」と言ったときに、何を参照したらいいのかが、ちょっと 使いづらいのです。関連する分野で、いろいろなことがされているわけで、「これにつ いてはこれを見なさい」と言っていただくと非常に有難いのです。特に、いまはインタ ーネットが非常に発達していますので、画面上で見た人はクリックすれば関連する画面 にパッと行く。ワンストップ・サービスでもそれに関する所をクリックすれば、その画 面に飛ぶようにしていただければ、非常に使い勝手が良くなるのではないかと思いま す。 ○小野座長  19頁に厚生労働省が2箇所設置したとありますが、場所は前のほうのどこかに出てい たのですか。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  特に場所などが細かく出ているわけではありませんが、今年度始めるということで、 いま仕込みの作業をやっているところです。これからということもあり、必ずしも十分 な情報をこの中に盛り込めなかったということもありますが、方向性については、こう いうことが言えるのではないかということで、19頁にまとめました。 ○労働政策担当参事官室政策企画官  いまのは、全体として便利帳のようにも使えるようにという趣旨だと思います。例え ば、2箇所に過ぎないというのは、まだできていないものなので、ここまでしか書けな いわけですが、その後の展開で、例えば4箇月後にこれを見た方が分かるようなリンク のあり方みたいなものを、少し工夫して、文章は文章で誇りを持って作っていますが、 便利帳としても使えるような形にしていったら、少し発展性があるかと思います。 ○久本委員  いまは画面を見ながらやる人が多いので、そういうことを考慮していただければと思 います。 ○小野座長  いまいくつか出たようなご意見も、できたら、加えていただきます。 ○八幡委員  専業主婦の話でどう書き込んだらいいのかと考えていたのですが、高学歴の専業主婦 の働く場があまりないというか、その人たちがいちばん家庭内にいるというか埋もれて いるのですが、その人たちを引き出す場として、こういう分野もかなり有効なはずなの で、彼女たちの知識ノウハウが活かせる場だと思うのです。そういう場だということ を、どこかに触れてほしいという感じがしました。小規模企業の創業者という話になる と、統計で見れば、決して学歴が高くないのです。SOHOなども高学歴者がやってい るわけではないのです。収入は二の次で、地域貢献をしたいが、何をやったらいいのか 分からなくてということでこもっている人がかなりいます。それもだんだん団塊の世代 ぐらいの層が増えてきていますから、そこはかなり高学歴化しているわけです。その人 たちがしばらくぶりに社会に復帰するときの1つの場として、比較的ソフトランディン グするための場として活用したらいいのではないかというニュアンスです。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  高学歴の主婦におかれましては、スーパーのレジ打ちなどは嫌がるという話を聞いた りして、本格的な就業に向けて一段落というか、1つの踊り場としてCBを使っていく という位置づけで考えていくことも、ルートとしてはあり得るのかと思います。高学歴 の方々の無業の状況などは、私どもとしても調べられる限り押さえて、特に13頁の専業 主婦の辺りで盛り込むことを工夫した上で、またご相談したいと思います。 ○小野座長  真ん中の3つ目の○に、いま八幡委員が言われたようなことを入れることができます ね。 ○樋口委員  先ほどの利用者の立場からとしたときに、14頁で有償ボランティアや労働者性などと いう議論が出てくるわけですが、我々も何を見たらいいのかといつも思うのが、その基 準です。基準を労働省として示しているものがあったら、再提唱してもらい、「これが ベースになっています」と言ってもらうと、我々もボランティア活動をするときにどう したらいいのか分からないところがありますので、何かないのかと思います。 ○寺山労働基準局監督課監察官  貴重なご意見をありがとうございました。事務局といたしましても、労働者性の一般 的な判断の基準になるようなペーパー等があります。ワンストップ・サービス等の機関 がこれからも増えてくると思いますので、そういう所で十分ご活用いただくことも考え ています。  また折しも私どもとしても、ボランティア、特に有償ボランティアが1つの就労形態 として、課題として認知されつつある時期に差し掛かっているのではないかという認識 も持っております。そうしたことから、まだまだ先は長いのですが、とりあえず未確定 な部分もありますが、有償ボランティアの類型というか、そういう実態的な調査をする 必要があるという検討をしているところです。  私どもが認識しているものとしても、例えば介護保険事業者以外にも児童養護施設、 知的障害者施設、地方公共団体等、いろいろな類型があって、その類型ごとにボランテ ィアの働き方にも特色があるようなお話も伺っております。そういうことから考えます と、CBだから簡単にこうなのだというものがあるということではなく、もう少し実態 をきめ細かく類型化していきながら、その中から判断を明確化していくことが考えられ ると思います。 ○樋口委員  以前の研究会で、インターンシップの労働者性というか、学生がインターンシップで 行ったときの基準を作ったことがあったと思います。諏訪先生が委員長をやり、厚生労 働省、文部科学省、経済産業省の間で線引きをやった記憶がありますが、その辺も少し 遡って、こういう線引きがなされているということがあったらと思います。雇用保険に は入らないのでしょうが、労災の問題があって、たしか水産大学における何とかという のがあったのです。 ○久本委員  そういう意味では、ボランティア保険というのを、このように書かれると、では、ど うしたらいいのかと思うわけです。ポッと書かれても、実際に入ったほうがいいと思い ますが、どのようになるのかは分からないので、参考になるようなものを付けていただ けると非常に有難いという感じです。ボランティアをするのですが、事故が起こったと きにどうするかというのは、意外に深刻です。そのために非常にややこしいという意識 が皆さんにあるのではないか。お金をもらうかどうかよりは、普通の場合はいいが、何 かがあったときを考えると、二の足を踏むみたいなところがあるのではないか、と思い ますので、その辺を充実させていただければと思います。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  了解いたしました。この点については労働者であろうがなかろうが、こういう活動を するに当たって、いざというときに何らかの対応があるということは、極めて大事なポ イントであろうかと思います。そういう点を踏まえて書きましたが、さらに補充ができ るかどうか検討させていただきたいと思います。 ○矢作委員  「コミュニティ・ビジネスと企業・行政」という章で、資金のことも書いています。 企業と書いていますが、政府系金融機関あるいはネットで、農産物などの販売の場合は 農林中金ということもあり得るのかもしれませんし、地元の信用組合などの場合もあり ます。企業の中に全部ひっくるめないで、金融機関というニュアンスも、少し前面に出 したほうがいいかな、という印象を持ちましたが、いかがでしょうか。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  ここはCBと企業という関係性について、総論的に記載した部分ですが、矢作委員が お示しの点については、金融機関が融資の際にいろいろ手助けなどをしているという関 係について、もう少し明示的に盛り込んだほうがいいのではないかというお話だろうと 思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。 ○矢作委員  はい。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  それについては、ここの中で入れ込むのが適当かどうかというのはあるかもしれませ ん。あるいはCBの多様な展開のところでさらに入れ込んでいくというやり方のほうが いいのかもしれませんが、「金融機関においても融資の際にいろいろご相談に乗られた りして、事業展開の手助けをしている。こういう取組みを進めていくことが期待される 」という文言を、この文章の中に入れ込むことを工夫したいと思います。 ○久本委員  私はあまり詳しくないのですが、資金的な面でいうと、国民金融公庫が中心になると 考えていいのですかね。つまり、一般の銀行がすぐ貸してくれるのなら問題がないので すが、なかなか貸してくれない。いちばん下の所に、政府系金融機関という役割が出て くるのだろうと思うのですが。 ○労働政策参事官室政策企画官  そこはNPOの皆さんに集まっていただいたときの話が53頁辺りに載せてあり、先 回、信用金庫が比較的金利は高いが、融資はしてくれるのかとか、なかなか報告書の文 言に馴染まないようなことですが、ワーキンググループからヒアリングしたことはその まま載せて、見ていただけるようにはしています。それで国民金融公庫から不動産担保 がないと融資されず、中小企業者向けの融資は営利企業なので、そこからも排除されが ちということが、議論されていましたので、そこは少し関係するところです。 ○矢作委員  利息はあるが、開業支援で無担保、無保証で、750万円というのがあります。 ○労働政策担当参事官室政策企画官  そのときにこちらがに十分に詰め切れなかったのかもしれませんし、また別の制約が あって、そこの団体はうまくいかなかったのかもしれません。 ○久本委員  だから、信用金庫があって信用組合があって、そこも貸してくれないと国民金融公庫 に頼るみたいな構図ではないかと思います。ここにファンドと書いてありますが、その 形で何かやるのかというのは今後の検討課題だとは思いますが、実際にそういう事業を しようと思うと資金の問題がものすごく重要です。 ○小野座長  そうすると、実際にCBを始める人は、利子率が高くても、53頁ので言うと、お金が 自分の所に十分なければ、信用金庫から借りざるを得ないということになるわけです か。 ○労働政策担当参事官室政策企画官  お聞きしたときは、「ひなたぼっこ」という所は、自分と将来のためだということ で、とりあえず始めるときは、中高年の女性が親と一緒に家を担保にして捻出したみた いなことをおっしゃっていたように記憶しています。ですから、最初の弾みのところ は、「これから始めますから貸してください」というのでは行きにくくて、何かの信用 を自分で切っていかないとやりにくいという話だったと思います。それはある程度、覚 悟みたいなことを見せないと、ただ「NPOを始めたので貸してください」では、どん なものやら分からないということもあるのかもしれません。 ○久本委員  何年間か継続していたら貸すことはできるが、最初に始めるというのはやはりという ことですね。 ○矢作委員  直接CBの今回の議論にかかわる話ではありませんが、3セクも広い意味ではCBで すが、3セクについては世の中が一貫して厳しく推移してきましたが、うまくいって黒 字を出しているのもあります。ですから、CBとしての3セクの成功研究というのがい ずれあってもいいのかなという感じがします、金は出すが口は出さないというタイプが 比較的うまくいっているのもありますが、いずれ課題かなと思います。3セクはCBの 1つの形態ではないかと思います。 ○山川委員  労働者性の点に若干戻りますが、19頁の記載にかかわると思います。いちばん上の○ で、報告書の文章の問題であると同時に、サービスの内容にかかわるのかもしれません が、資金調達・行政手続・雇用管理のほかに、例えば関係法令などに関する相談があ り、最終的には労働紛争解決促進法上の相談に移行するのかもしれませんが、ワンスト ップである以上、こういう相談も受け付けて、こういうところもあるということも含め ると、いろいろな労働者性の問題もカバーし得るのではないかと思います。 ○久本委員  このあとの取り扱いはどうなるのでしょうか。 ○小野座長  いろいろご意見も出ましたので、それを取り込んだ形で変えるところは変えていただ き、あとは座長に一任という取り扱いをさせていただきます。取扱いについては、事務 局からお願いいたします。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  本日いただいたご意見、あるいは本日は都合によりご欠席の委員から、さらにご意見 を承らなければならないところもありますので、そうしたご意見を踏まえて座長等と相 談させていただきながら、報告書を最終的に固め、6月中に公表したいと考えておりま す。  併せてコミュニティ・ビジネスにおける働き方に関する調査を三菱総研に委託してや っておりましたが、これについても、いま委員の皆様にご意見をいただいております が、いただいて直した上で、同じような時期に公表したいという考え方です。具体的な 公表時期等については、また委員の皆様方に連絡したいと思います。 ○小野座長  大体このような案を中心に少し手直しということで済むと思いますが、ほぼこのよう に報告書をとりまとめることができましたので、青木政策統括官からご挨拶をお願いい たします。 ○政策統括官  委員の皆様におかれましては、昨年5月に第一次の報告書をいただきまして、今日ま で7回にわたり、大変精力的にご検討いただきまして、誠にありがとうございました。 報告書については、先ほどおっしゃったような段取りで詰めた上、来月中には正式に公 表させていただくことになりますが、いずれにしても本日、大方の集約を図っていただ きまして、ありがとうございました。  コミュニティ・ビジネスについては、報告書などにもありますように、かなり広範囲 に、高齢者についても若年者、障害者あるいは在職者についても触れられていますし、 多様な働きがあると思いますし、さまざまな人たちに対する有効なものであると思って おります。  第3セクターの話もありましたが、コミュニティ・ビジネスについてまとめて議論を されてきたのがここのところということだと思いますし、そういう意味では、私ども行 政としても、こういうことを契機として、いろいろな問題点を認識して、さらにでき得 ればいろいろな政策支援についても結び付けていきたいと思っております。  ただその際には、お話にも出ましたように、コミュニティ・ビジネスということで民 間の力を活用するということですので、いろいろな支援も手取り足取りということでは ないと思います。例えば、NPOについても、このところ私どもも能力開発を担う人た ちとして随分活用させてもらうということでやっておりますが、それにしてもその人た ちの力を使うということですので、そういう人たちがどんどん積極的にいろいろな所で 力を付けてもらうということでの支援をしていくことになるのだろうと思います。  横浜にヤング・ジョブスポットを作りましたが、NPOの人たちが自分たちで、若 い、これから働きたいという人たちに対して、いろいろな相談をしたり、就職のために いろいろな所にインタビューに行って啓発などを、仲間意識でかなりやっているという ことがあって、そういうものを行政として取り上げて施策化したのですが、その際も、 まさに金は出すが、口は出さないというスタンスで、これは国のお金ですから、厳密に はなかなかそうはいきませんが、そのような基本的なスタンスで、自分たちの力を殺さ ないようにやっていく必要があるのではないかと思っています。  コミュニティ・ビジネスについても、行政としても地方自治体を中心にいろいろ考え ているでしょうが、厚生労働省としても、そのような観点でできるだけいろいろな環境 整備、あるいはいろいろな人たちとの協力をしていきたいと思っています。  皆様方におかれましては、大変ご多忙の中、熱心にご議論いただきましてありがとう ございました。引き続きご理解、ご協力、ご支援をよろしくお願い申し上げます。 ○小野座長  どうもありがとうございました。それでは、本日の「雇用創出企画会議」はこれで終 了いたします。皆さんご協力をいただきまして、ありがとうございました。今後の「雇 用創出企画会議」の進め方につきましては、事務局のほうで委員と相談の上、追ってお 伝えすることにいたします。それでは、本日の会議はこれで終了いたします。                                      以上 照会先 :政策統括官付労働政策担当参事官室 政策第一係 電話番号:03(5253)1111 内線(7723)