04/05/21 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成16年5月21日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年5月21日(金) 10:30〜   厚生労働省専用第21会議室 2.出席委員(14名)五十音順  ◎池 田 康 夫、 上 原 至 雅、 岡 田 義 昭、 折 笠 秀 樹、   守 殿 貞 夫、 神 谷   齊、 川 嵜 敏 祐、 後 藤   元、   田 島 知 行、 早 川 堯 夫、○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利、   溝 口 昌 子、 吉 田 茂 昭 (注) ◎部会長 ○部会長代理   他 参考人4名   欠席委員(2名) 木 村   哲、 土 屋 文 人    3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、 岸 田 修 一(審査管理課長)、   平 山 佳 伸(安全対策課長)、   豊  島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   古 澤 康 秀(医薬品医療機器総合機構審議役)、   森   和 彦(医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   赤 川 治 郎(医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   辻 村 信 正(医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   國 枝   卓(医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)、   伏 見   環(医薬品医療機器総合機構安全部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻となりましたので、医薬品第二部会を開催させていただ きます。本日はお忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。当部会 の委員数16名のうち現在までのところ12名の御出席を頂いておりまして、堀内委員と 吉田委員が遅れていらっしゃるとのことでございますので、計14名の予定でございま す。なお、木村委員と土屋委員が御欠席でございます。  まず、委員の交替がございましたので御紹介申し上げます。日本医師会の櫻井委員が 退任されまして、後任といたしまして日本医師会常任理事の田島委員が就任されました。 ○田島委員 田島でございます。こういう体験というのは初めてなので、皆様方にいろ いろ教えていただきながら本分を尽くさせていただこうと思っております。よろしくお 願いいたします。 ○審査管理課長 もうお一方は日本薬剤師会の藤上委員の後任として土屋委員でござい ますが、本日は御欠席でございます。また、本日の審議事項の議題1で国立感染症研究 所の岡部先生に、それからその他の議題、抗がん剤の事前評価でございますけれども、 国立がんセンターの藤原先生、川井先生、国立九州がんセンターの永利先生にお越しい ただくことになっております。それでは池田部会長、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 それでは本日の審議に入りたいと思いますけれども、審議に入る前にま ず事務局から配付資料の確認と資料作成に関与された委員の報告を行っていただきたい と思います。よろしくお願いします。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。資料1〜3-10があらかじめお送 りした資料でございます。本日の席上配付資料といたしましては、本日の議事次第、当 部会の座席表、委員名簿、それから資料1-1といたしまして、「タミフルカプセル75 添付文書(案)差し替え」がございます。それから資料4といたしまして、「医薬品第二 部会審議品目の薬事分科会における取扱い、毒物・劇物の指定の要否及び生物由来製品/ 特定生物由来製品の指定の要否について(案)」でございます。それから資料5といたし まして、「タミフルカプセル75 専門委員リスト」でございます。それから資料3の関 係で、資料3-1'、3-7'、3-8'、3-9'はあらかじめお送りした資料の差し替えということ でお手元にお配りしております。それから抗がん剤併用療法の関係で資料3-11、3-12 を配らせていただいております。資料の関係は以上でございますが、お手元にございま すでしょうか。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。先生方のお手元に資料はおそろいでしょうか。本 日はお手元の議事次第にございますように審議事項が1議題、報告事項が2議題、その 他の事項が1議題ということで、これを見る限りすっと終わりそうなのですけれども、 非常に重要な問題がありますので、先生方には是非活発な御議論をお願いしたいと思い ます。特に審議事項の1、そしてその他は今朝の新聞にも少し載っていましたけれども、 抗がん剤の事前評価についても先生方に御意見を伺いたいと思いますので、よろしくお 願いしたいと思います。田島先生、よろしくお願いいたします。  それでは議題1に入りたいと思いますけれども、医薬品タミフルカプセル75の輸入承 認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定についてということで、総合機構の方 からよろしくお願いいたします。 ── 岡部参考委員着席 ── ○事務局 議題1、資料1、医薬品タミフルカプセル75の輸入承認事項一部変更承認の 可否及び再審査期間の指定について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。 なお、本品目の審査は昨年6月に申請され、医薬品医療機器審査センターにおいて審査 を開始したものであり、審査結果通知書の記載には本年3月までの審査については審査 センターの名称を、本年4月1日以降の審査については医薬品医療機器総合機構の名称 を用いております。  リン酸オセルタミビルは1995年にGilead Sciences社において合成されたノイラミニ ダーゼ阻害剤であり、A型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを阻害 し、ウイルス増殖を抑制することにより抗ウイルス活性を発現する薬剤でございます。 本邦において本剤は海外臨床試験成績を外挿したデータパッケージにより、平成12年に A型及びB型インフルエンザ感染症の治療適応、予防適応の両効能について申請がなさ れました。治療適応については平成12年12月に承認されております。予防適応につい てはインフルエンザウイルス感染症予防における本剤の位置付けや投与対象、投与期間 などを明確にした後に承認すべきであると評価され、この時点では承認に至っておりま せん。  今般米国等において本剤の予防効果に関する新たな試験結果が得られたこと、米国、 欧州連合において予防適応が承認されたことから、本剤のインフルエンザ感染症予防に おける位置付けをワクチンの補完、インフルエンザ患者発現後その共同生活者がインフ ルエンザ感染・発症を予防すべく短期間使用する薬剤として、再度申請されたものでご ざいます。なお、2004年3月2日現在本剤は76か国で承認され、うち26か国について は治療適応のみ、残り50か国については治療及び予防適応の両方が効能・効果として承 認されております。  本申請の専門委員といたしましては、資料5にございますとおり岡部委員、折笠委員、 神谷委員、後藤委員が指名されました。  今回の審査においては米国、カナダ及び欧州で行われました、家族内インフルエンザ 様症状を示す初発患者に接触した場合の発症抑制効果を検討した接触後管理試験の結果 が新たに提出されました。また、平成12年の申請時に提出された資料のうち、第I相試 験及び予防に関する第II相、第III相試験、並びにドライシロップ剤の申請時に提出され た耐性ウイルス発現状況に関する資料が再提出されております。  用法・用量でございますが、予防効果については治療において承認されております1 回1カプセル1日2回投与と、1回1カプセル1日1回投与の間で、その予防効果に有 意差が認められないことが海外の臨床試験によって確認されたことから、1日1カプセ ル1回投与で十分であるとされ、1日1カプセル1回投与という用法・用量にて臨床試 験が実施されております。  本邦では、インフルエンザの流行期間であります冬季42日間に本剤を経口投与するこ とによりその予防効果を検討するプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験が実施されま した。その結果、インフルエンザ発症患者はプラセボ群8.5%に対し本剤群1.3%であり、 その発症率は本剤群で有意に低いとの結果が得られております。本邦において実施され た有効性確認の試験はこの42日間投与の試験1本のみでしたが、海外においては季節を 通した42日間の試験のほかに、家族内にインフルエンザ感染症患者が発症した被験者を 対象とした7日間投与の有効性、安全性確認の試験などが実施されております。これら の資料について審査センター、機構において審査を行った結果、本剤はインフルエンザ 感染症発症予防に対する有効性が認められるものと判断いたしました。  投与期間については、本邦における本剤の位置付けとしては季節を通した予防を目的 とするものではなく、接触後感染を予防するものであるという申請者の見解を了承し、 何日間投与とすることが妥当であるかという点について審査を行いました。審査結果通 知書の4ページにございますように、申請時は少なくとも7日間服用することとされて いましたが、この表記では7日間以上何日間服用したらよいのか不明瞭であること、家 族内でインフルエンザ感染症の患者が発症してから10日以内に接触患者の感染、発症例 は終息していること、接触後感染の臨床試験において10日間投与の安全性、有効性が確 認されていることから、本剤の投与期間としては7〜10日間とすることが妥当であると 判断しております。  また、投与対象については添付文書(案)の1ページの左下、「効能・効果に関連する 使用上の注意」にございますように、高齢者などハイリスク集団に限定すべきであると 判断しております。さらに、専門協議後本剤の耐性ウイルスに関する学会報告がなされ たことから、これらの情報についても審査チームにおいて検討を行いました。詳細につ いては審査結果通知書の33ページから記載がございますが、今回の予防適応の承認に伴 い本剤の投与対象が拡大しますことから、耐性ウイルスの発現については更なる注意が 必要であると審査チームでは判断いたしております。この旨については申請者にも指示 をし、どのような形で今後の市販後調査を実施していくかについては現在申請者と検討 中でございます。  以上のような審査の結果、医薬品医療機器総合機構といたしましては、本剤にA型及 びB型インフルエンザウイルス感染症の予防という効能・効果を追加承認して差し支え ないと判断しております。承認条件として審査結果通知書の3ページに記載いたしまし た4項目を附帯する必要があると考えております。これら4項目は治療効果の承認時に 承認条件とされた5項目のうち、今後も検討が必要であると判断されたものでございま す。なお、4)としてお示ししております承認条件については、これまでは「海外で実施 中の」という限定が入っておりましたが、今回本邦においても耐性ウイルスの発現が報 告されたことを踏まえまして、「国内外」という記載に変更しております。再審査期間 は4年間、薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願い申し 上げます。 ── 説明中、堀内部会長代理、吉田委員着席 ── ○池田部会長 どうもありがとうございました。タミフルカプセルですけれども、多く の委員の先生方は治療効果ということで御審査をお願いしたことを御記憶かと思います が、2000年に治療適応に関しては承認されていると。今回その予防効果、予防内服とい うことで申請が上がってきたものでございます。御審議をお願いしたいと思いますけれ ども、いかがでしょうか。今回専門協議に岡部先生のほか、本部会の折笠先生、神谷先 生、後藤先生にも参加していただいたと理解しておりますけれども、最初に岡部先生の 方から補足説明をお願いできますでしょうか。 ○岡部参考委員 ほとんど事務局の方から御説明があったと思うのですけれども、この 薬が承認されて以来臨床側にとっては非常に有利な薬であるということと、日本では殊 にインフルエンザA、あるいはA、B両方の迅速診断キット、検出試薬の導入とあいま って臨床で非常に広く使われ、またそれが社会的な問題になると、昨年のように薬の方 が不足になるという問題が出てきたのは確かだと思います。先ほど事務局の方から御説 明があったように、多くの国々で治療あるいは予防も含めて承認ということは増えては いるのですけれども、国の数が増えても必ずしもそこで多く利用されているわけではな い。この薬のほとんど、世界で生産されている60〜70%は日本で使われているという現 状は考えておく必要があると思うのです。ほかの国で使われていないのは耐性の問題よ りも価格の問題であるとか、それからもう一つは、予防としてはワクチンが優先事項で あるといった考え方がその背景にあると思います。今年の3月にWHOで新型インフル エンザパンデミックに備えるということでの会議があり、そのときにこのリン酸オセル タミビルをどのような使い方をするかというセッションもあったわけです。そこでも、 新型インフルエンザの場合は新しいワクチンが要るけれども、実際的なことを含めても やはり予防ということではワクチンが優先であると結論付けられています。オセルタミ ビルの予防的使用は、つまり不安だから広く使う予防ということではなくて、必要に応 じてあるときに集中して予防薬として使う、とされています。ただし、そのときの方法、 どこがどのようにして備えておくかということについてはディスカッションされている 最中です。また現在これも結論が出ていないで議論中ですけれども、優先順位を決めて どこでどういう人に使うかといったようなことも、この薬を予防投与として取り入れら れようとしている考え方ではないかと思います。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかの委員の先生方、折笠先生、神谷先 生、後藤先生、この時点で何か御追加することがございましたら御発言いただきたいと 思いますけれども、もしなければ委員の先生方の御議論の中で適宜御意見頂きたいと思 いますが、よろしいでしょうか。ただいま岡部先生から御説明ありましたように、どう いう格好でこの予防投与を適正にやっていくかという御議論も専門協議で出ていたと伺 っておりますけれども、予防についてはワクチンが第一義ということで、ワクチンを補 完するという意味で予防的に利用できるのではないかということだと思います。これは やはりどういう方にどういうタイミングでやっていくのか、服薬期間を7日と規定され ているわけですけれども、その辺も含めて先生方に御議論いただきたいと思います。ど うぞ委員の先生方から御質疑をお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。 後藤先生、何かございますか。 ○後藤委員 これは今までの治療的な使用でなく予防的な使用になるわけですから、健 康な人に使われて、最終的にインフルエンザにかからない人であったということになる わけです。そういうことで言えば、インフルエンザの大きな流行期に、結果的に無駄に 使われる可能性がある薬剤なわけです。そうすると、この使用基準は厳密に規定してお いて、ここまでの患者さんであれば予防的に使用すべきだろうということは大事だと思 うのです。  その意味で添付文書の1ページの左下にハイリスク群として高齢者と呼吸器疾患、心 疾患、代謝性疾患として糖尿病、それから腎機能障害ということで具体的に挙げている わけですけれども、報告書の中ではもう一つ免疫不全が加わっていたと思いますが、免 疫不全に関して最終的なこの文書では外されているわけです。免疫不全の患者さんはい ろいろなタイプがあるわけですけれども、ワクチンを打っても抗体ができにくい患者さ んが多いだろうと。ですからそういう患者さんに関しては、免疫による抗体よりも抗ウ イルス薬で直接ウイルスをたたくことによるメリットは十分考えられるだろうし、イン フルエンザウイルスに関する二次感染としてのいろいろな感染症に対する治療も難渋す る症例が多いわけで、早く言えばこの薬剤の一番よい対象となるかもしれない群だと思 うのです。  これに関しては、報告書の方の記載ではそれに対する有効性、安全性が必ずしも確立 されたものではないということで、小児に関しては今回は規定しないことになっている わけですけれども、例えば報告書の25ページの上から5行目、糖尿病などその他の代謝 疾患のところには本剤に関しての予防、安全性のデータは得られていないと書いてある わけで、代謝疾患、糖尿病の患者さんに関しても状況としては変わらないと思うのです。 その中でえり分けて代謝性疾患の患者さんは対象となるけれども、免疫不全の患者さん は対象とならないというのは、整合性を考えてこの薬剤が使えるように考えていく必要 があると思います。  それからもう一つの問題は、この薬剤はワクチンの補完という意味付けでの予防薬で すので、ワクチンが打てない患者さんに関してはこの薬剤が唯一の予防対象となるわけ ですね。そうするとワクチンが打てない患者さんで一番多いのは卵アレルギーがある方 ですから、そういう患者さんに対する考え方をどうするかということも、この予防的な 使用を認可する上では議論しておくべき課題だと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。機構の方で何かそれについてございますか。 ○事務局 ただいま後藤委員の方から御指摘いただいた糖尿病のお話でございますが、 確かに審査報告書の25ページにありますように、糖尿病患者を対象とした臨床試験は実 施されておりませんでしたけれども、その後ハイリスク患者の定義について議論を重ね ていった途中で、実施されております臨床試験の中でこのような疾患を背景に持った患 者さんについて、それぞれいろいろな疾患、背景因子を検討してもらいました。その結 果、概要の359ページにございますけれども、糖尿病など代謝疾患については例数は十 分というほどではございませんが、実施されております臨床試験の中から推測できるデ ータがあるということで、それについて検討した結果有効性は確立されていないものの、 安全性について特に問題とする点は検出されていないことから、ここに記載するという ことに至っております。免疫不全の方についてはやはりいろいろな試験を横断的に見て 抽出を試みましたが、そのような患者が抽出できなかったということで、今回この添付 文書に書くには至っていないという経緯がございます。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。神谷委員、どうぞ。 ○神谷委員 先ほどから御議論のあるとおりだと私も思っているのですが、まず免疫不 全ですけれども、最近では臓器移植などが多くて免疫抑制剤を飲んでいても、現実には 例えばエイズなどと比べますと免疫不全と言えるほどではないというグループがあるわ けです。しかし、インフルエンザにかかるということについてはそういうグループも非 常に危険で、初めの専門協議のときにはそこは入っていましたので、入れてもらえるの かなと思っていたのですけれども、それがなくなってしまうと、先ほど岡部先生、後藤 先生も言われたようにせっかく前向きの形でこれを取り入れるということを協議して も、もう一つ片手落ちだなと。ですから、例えば今すぐデータを出せと言われても困る でしょうから、今後市販後調査の中でそういうものをきちんとやれるようにして、希望 者には打つという方法もあるわけですから、そういう方法で何とか早くデータを集めて いただきたいと思います。  それからもう一点、このインフルエンザという診断なのですけれども、今回限定され ている…、例えば32ページを見ますと、「予防に用いる場合には、インフルエンザウイ ルス感染症を発症している患者」となっておりますが、インフルエンザ感染症というの はどう定義するのか。要は医者がインフルエンザと言ったらそれでいいのか、あるいは インフルエンザ感染症ということになりますと、元になる患者さんの方が例えば簡易キ ットでインフルエンザにかかっているということを調べていないという例はかなりたく さんあります。ただ、流行期ですと大体お医者さんの診断は間違えませんけれども、私 は大人のことは余りよく分かりませんが、子供で見ていてももちろんチェックをせずに 多分インフルエンザということで飲んでいる子はたくさんいるわけで、そういうときに この家族の問題でインフルエンザ感染症をどう取り扱うかということは、ここではどう いうコンセンサスになるのか。この前の専門協議のときもちょっとその辺がよく分から ない、私自身としてはなかなか判断がつかないということを申し上げたと思うのですが、 特に委員の先生方がそこをどう考えられるかということは、今ここではっきりさせてお いた方がいいのではないかと思います。以上です。 ○池田部会長 一般臨床医科でもインフルエンザの診断キットをかなり多用されている わけです。ですからそれの位置付け、どのぐらいのフォルスポジティブ、フォルスネガ ティブがあるのかも含めて、正確には今のインフルエンザの診断のついた方と接触した 方、あるいは共同生活者ということになりますね。ですからそこも非常に重要な問題だ と思うのですけれども、岡部先生その辺については何かございますか。 ○岡部参考委員 少し議論がずれるのですけれども、よろしいでしょうか。問題点とし て一応提起したいと思うのですけれども、32ページにある承認事項の対象者ということ であると、先ほど神谷先生がおっしゃった、インフルエンザウイルス感染症を発症して いる患者の同居家族又は共同生活者でこれこれの者ということになるのです。しかし、 これはインフルエンザパンデミックですからちょっと別の状況なのかもしれませんが、 例えばある新しいウイルスが来シーズン日本に入ってその人が感染症を起こしたという ことになると、WHOなどのコンセンサスでもまず最初に防衛しなくてはいけないのは 医療関係者で、特に集中的に治療にタッチする人、SARSのときにそういう経験があ ったわけですが、本来そういう方々に予防投与するというコンセンサスがあるのですけ れども、こういうものだとそれができなくなってくるのではないか、それが一点です。  それからもう一つは、例えばまだヒトに感染症としては来ていないけれども、トリ型 インフルエンザのように来る可能性が非常に高く、来た場合にはその人にとっても社会 的にも影響が大きい場合には周辺にこのインフルエンザウイルス薬を投与する。CDC はそういうリコメンデーションを出したのですけれども、WHOはやはり量的、価格の 問題からそれは結局できなかったわけですが、そういうときに今日決めようとする方法 だけだと実際には使用できないわけです。ところが、現実には日本はついこの間の京都 のときにそういう危険があったわけですが、私たち情報センターの方では、予防投薬と してそういうものを服用した上で鳥の処分等に行くことが望ましいという表現をしたの ですけれども、それは薬事法に入っていないことであるからすぐさまホームページから 削除しなさいと言われました。そういう緊急時にこれをそのまま適用するのかどうか、 あるいはまた別のところで枠組みとしてきちんとした相談ができるかどうかということ も決めておいていただかないと、一度これが決まってしまうとひとり歩きをして金科玉 条、これで全く緊急時に危機管理的に使えないといったことがあるのではないかと思い ます。つまりこの薬の承認は、一つは危機管理的な意味合いも含まれているのではない かというのが私の認識です。以上です。 ○池田部会長 危機管理的な使用ということになると、治療についてここで以前議論し たときもその観点が随分議論されたと思うのですけれども、機構あるいは部長の方から 何か意見はございますか。 ○新薬審査第一部長 まず機構の方から御説明できる点をお話しいたしますが、危機管 理的使用に関しては科学的データの根拠に基づいて審査の中で議論することが困難だと いうことがまず一点ございまして、現在今回の申請においてその部分についての議論は 事実上含まれていないということになっています。ただし、これはこういうお薬の場合 だけではなくて、様々な事故や災害のときに使うであろうような医薬品というのはいろ いろございます。原子力災害のときのヨード剤の使用といったような、事故的なあるい は急激に広がるそういう災害に対応するために必要な薬剤がございますが、それらにつ いてデータに基づいて審査するということは事実上できていないと思います。ただ、そ れに対する社会的な防衛として備蓄するようなことが現実には行われている例もあると は私ども承知しております。したがいまして、ここの審査でその部分をどこまで言及で きるか若干限界があるということで、まず機構の方から御説明させていただきました。 ○池田部会長 分かりました。ありがとうございました。これは一番重要な点だと思う のですけれども、感染症を発症している患者と接触した人と、これはいい。その点では 神谷先生からもお話がありましたように感染症をどう定義するかということが一つ。そ れからやはりハイリスクの患者さんをここに(1)〜(4)まで並べているのですけれど も、後藤先生からもお話がありましたように免疫不全の患者とか、あるいはワクチンの アレルギーの患者、医療従事者、その辺をどのように含んでいくかというのは実際には 問題なのかなと思います。その辺で幾つか問題点があると思うのですが、ちょっと整理 させていただきたいと思いますので、まず最初にその辺の議論をしていただいて、それ からまたそれ以外の幾つかの点について議論したいと思いますけれども、その点につい ていかがでしょうか。どうぞ。 ○田島委員 難しい学問的な議論はちょっとよく分かりませんが、実際にこれを臨床の 診療所で使う場合に高齢者、65歳以上というのが非常に引っ掛かってくるのです。例え ば広報の仕方によりますと、先生、そんなワクチンなどよりこちらをくれというのが殺 到するおそれもないわけではないですね。これは貴重なお薬ですから、その辺のところ を私たちはどうにかすり抜けて説得しなければならないので、もう少しやりやすいよう な決め方を考えていただけると有り難いと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。その点では恐らくワクチンが第一義であると いうところの徹底という方向がやはりもう少し強調された方がいいと。岡部先生からも その話は冒頭に出ましたけれども、やはりワクチンは非常に普及されているように思う のですが、その点を補完するという位置付けをもう少し徹底した方がいいのかなという 気はするのです。その辺がこの添付文書その他で読み取れるかどうかということを…。 どうぞ。 ○審議官 私が質問するのはあれなのですが、要するにこの申請の効能・効果は「A型 又はB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防」となっているわけですね。それ からその下に「効能・効果に関連する使用上の注意」と。これは薬事法上どのようなこ とになるのでしょうか。 ○事務局 事務局の方からお答えします。まず、一般的な話ということで先ほど岡部先 生からもございましたけれども、薬事法である薬剤が承認されたときに当然ある効能、 ある用法・用量ということで規定があります。それ以外の効能又は用法・用量で使って はいけないかといいますと、これは医療現場の状況、それから医師の専門性の判断でい わゆる適応外という形になりますけれども、使ってもいいと。使えるという状況がある ことは事実でございます。  それで今回の場合でございますけれども、タミフルカプセル75の効能・効果について は「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防」というのが承認の効能 でございます。やはり適正な使用をしていただきたいということで、用法・用量や効能 ・効果に関する使用上の注意に、こういった患者さんに対してまず使っていただきたい という注意書きをしているところですので、薬事法上の効能・効果ということになりま すと、やはり予防と治療ということで規定されると。ただ、使用に当たってできるだけ こういう方に使ってくださいということで注意書きを付けておりますので、一般的に言 うと少し効能・効果の方が広くなるというふうに解釈していただければ結構だと思いま す。 ○堀内部会長代理 具体的には保険適用の問題だと思うのですが。 ○審議官 ということは、まず先ほどどなたかからお話がありましたね。やはりこの表 現からは、危機管理のときに使っても法的には問題ないととらえていいわけですね。一 つの危機管理の話ですね。 ○事務局 規定上はそのようになると思います。ただ、対象に対してデータに基づいて なっているかどうかというのはまた別なところでございます。それは先ほど森部長が言 ったとおりでございます。 ○池田部会長 堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 今の説明は適応外で使えるということですね。実際上問題になるの は、使った場合にそれを保険でやる場合には添付文書が公的文書になってしまいますの で、査定の対象になるかどうかがやはり重要なところだと思いますが、その点はいかが でしょうか。 ○事務局 ちょっと説明が不十分ですみません。適応外というのは効能・効果のところ に書いていない効能、あるいは用法・用量のところに書いていない用法・用量で使った 場合ということで、今回のタミフルについて例えばパンデミックのような鳥関係のイン フルエンザ等で、鳥ですからA型だと思いますけれども、そういったものでインフルエ ンザが流行したときに使った場合というのは一応薬事法上の適応の範囲ということにな ると思います。 ○審議官 保険適用になるかどうかというのはまだ聞いていないですね。 ○事務局 そこは触れていないです。 ○審議官 田島先生や中医協の関係の人は多分これについて、本来予防ですから予防は 保険適用していないですよね。しかし、この薬剤についてはまたそれとは別に保険とし てどうかということがありますので、多分そちらの方でこの新しい効能についてどうす るのかというのは決められると思いますが。 ○池田部会長 この薬は昨年も非常に効果が高いということで、供給も追い付かないよ うなことが一時問題になったこともございますので、予防的な使用になりますと恐らく そういう点も心配しなければならない場面も出てくるかと思うのです。今のハイリスク 患者の定義は四つなのですけれども、一方、もう少し必要とする人は明らかにいるので はないかという御議論が今あったわけです。その辺も踏まえて、添付文書の左側の使用 上の注意の括弧のところはこのままでよろしいのかどうか、後藤委員が言われたように もう少し書きぶりを変えた方がいいのか、その辺についてはいかがでしょうか。ここは 実際には添付文書で特に大事なところですので、御議論いただきたいと思うのですが。 どうぞ。 ○堀内部会長代理 私は後藤委員がおっしゃるように免疫不全、卵アレルギーとか、免 疫抑制剤を投与している患者の場合には使用可能にすべきではないかと思います。した がって、この予防に用いる場合の四つの項が出ておりますけれども、そこに記載をする 必要があると思います。今はデータ主義かもしれませんので、治験をやっていなければ 入れない、使えないということになるかと思うのですが、一方で医学薬学上公知の事実 から当然その状況で何が起こるか分かるわけですから、がちがちのデータ主義でなく添 付文書に記載すべきではないかと思います。 ○池田部会長 先ほど機構の方で免疫不全の患者さんでは余りはっきりしたデータがな かったということですが、臓器移植、骨髄移植、あるいは自己免疫疾患で免疫抑制剤を 長期に飲んでいる患者さんは今非常に増えていると思うのです。そういう患者さんが日 本のスタディーにはなかったと思うのですけれども、国外のスタディーのデータの中に 実際にどの程度含まれていて、そこで差が出なかったのかとか、その辺の症例数はかな りあるのでしょうか。 ○事務局 免疫抑制剤服用という背景因子については特にデータがございませんで、一 応臨床試験のみならず海外においては予防適応が昨シーズンより承認されておりました し、私どもも免疫不全の患者さんには必要だと考えましたので、臨床試験でなくてもい いので使用経験についてもどうだろうということまで枠を広げて尋ねましたが、提示で きるデータがないという答えを受けております。 ○池田部会長 委員の先生方、その点どうでしょうか。どうぞ、岡部先生。 ○岡部参考委員 免疫不全者と卵アレルギーの人が予防の適応になるというのは私も賛 成ですけれども、いずれもワクチンの適応外となるようなレベルであるという記載をき ちんとしておかれる必要があると思います。不用意に卵アレルギーだからというのみで ワクチンを打てない人等々たくさんありますので。 ○池田部会長 ありがとうございます。そのほか先生方何かございますか。この添付文 書を見ると、ワクチンが第一義だということがもう少し強調されてもいいのかなと。こ れはもちろんワクチンの話ではなくタミフルカプセルの添付文書ですので、なかなか書 きづらいのかもしれないですけれども、そういうことは書くわけにはいかないのですね。 ○審議官 第一選択とか、そういうことは書けないのですか。 ○新薬審査第一部長 この「警告」のところに書いている表現の問題で対応可能だと私 どもは考えております。ここの「ワクチン療法に置き換わるものではないことを考慮す ること」という点は、私どもの方ではこれはもうワクチンが第一義なので、これがその 代わりになるのではないですよという意味で書いております。ただ、その趣旨がもっと 明確に伝わるようにという御示唆でございますので、表現には工夫の余地があると思い ます。 ○審議官 それからもう一つ、先ほど言った卵アレルギーなどが書けるかどうかという のは…。 ○新薬審査第一部長 ここの御議論に関しては、海外の添付文書の表現等を見ますと、 基本的には安全性、有効性が確認されているのはこのような対象集団であるという書き 方はよく見られます。あるいはこういう集団はまだデータがないですよというふうな書 き方があります。先ほど審査管理課の方からも御説明がございましたように、もともと 効能・効果そのものはその予防ということですので、何の制限も付いておりません。す べて予防としての使用に関しては科学的には支持されているという基本でございます。 ただ、その中で特に科学的なデータによって支持されている範囲がこれこれであるとい うふうに列記するというスタンスでございますので、今ここでの使用上の注意の表現で 使う場合はこれを対象とするという、むしろ余り強制的な書き方が適当ではないという ことかもしれません。実際にデータが得られているのは、こういったものについて得ら れている、逆に言うとそれ以外についてのデータは余り得られていないという、それが 客観的な事実でございますので、そのことを明示するということで主にここら辺につい ては安心して使えますという趣旨にすることも一つの手ではないかと思います。幾ら何 でもやったことのない人たちに対して使える、使えないの議論を根拠なしにできるかと いうのは、実際に申請企業の方も推奨できないと明確に書いてきておりますので、その 点機構の中での議論としては、推奨できる部分を明示的に書くということでやってまい りました。ただ、それがこのように「下記の者を対象とする」と限定的に書いてしまい ますと、今御指摘のありましたような本来使いたい方々にどうも使いにくくなってしま うという問題だと思いますので、表現ぶりの工夫をさせていただくことは可能かと思い ます。 ○池田部会長 ありがとうございました。「警告」の欄と「効能・効果に関連する使用 上の注意」のところの記載の方法を少し考慮していただくことになると思いますけれど も、そのほかに委員の先生方からございますか。どうぞ、神谷委員。 ○神谷委員 添付文書の中のことです。これは治療と予防で量がはっきり違うわけで、 このところは普通の書き方ですけれども、例えばもう少し太字にしていただくとかとい うことで、きちんと予防のときの投与量がはっきりするような書き方をした方がいいの ではないかと思います。  それからもう一つ、先ほどちょっと話題になりました保険適用のことですけれども、 この会の議論ではないということでしたが、もしこれが保険適用にならないとこれは任 意でということですし、それほど安い薬でもありませんから、かなり使用量も限定され てくると思うのです。ところが保険適用するということになると、これはお医者さんの 物の書き方なので診断名の付け方でいろいろ変わると思いますけれども、片方を通さな くてインフルエンザなら通すということになったら、インフルエンザの人が増えるよう な気もするし、その辺をどのように規定していくかといいますか、お互いのコンセンサ スをきちんととっておくかということはなかなか難しいと思うのです。ただ、薬の量の 問題とか、最初に岡部先生が言われたように日本が非常に多く使っているという問題も 含めて、その辺のところを道義的にといいますか、世界のレベルから考えてやはり使う 量というのはある程度規制されるような形で通る方がいいのかなと私は思っているので すが。 ○池田部会長 ありがとうございました。折笠委員、どうぞ。 ○折笠委員 この追加的に出てきた外国でやられた試験というのは、インフルエンザの 症状が出てきてもう感染している患者さんに、そうなってから治療するのと、なる前の 段階からこの薬剤を使って抗体価で感染する率を比較しているわけで、これはある意味 では明らかといえば明らかなのです。つまり悪くなってからやった方がやはりいろいろ 家族内の人は感染しやすく、なる前の状況というのはいいわけです。むしろこういう問 題はもし予防適応を付けるとなると、例えばこういう薬剤を飲まなくてもうがいをする とか手洗いをするとか、体のことをよく気を付けるということをしても防げることは防 げるわけです。やはりそういう薬以外のことをやるのとそうでないものをやるというこ とになれば、その薬は本当に予防的に優れているということになります。そうするとう がい薬などはどうなるのかという話になりますので、やはり治療の方はいいと思うので すけれども、予防の方はもし予防で保険適用とかという話になるのであれば、普通の一 般的な日常の衛生管理よりも優れているというデータを出してもらわないと、治療より も予防の方がいいというデータは臨床試験をやれば絶対出ると思うのです。 ○池田部会長 ただいまの御指摘は非常にリーズナブルだと思うのですけれども、これ は例えば承認された後にそういう通常のプリベンションと、それに加えてこれをやった 場合とどれだけ差があるかとか、ある程度そういう試験を計画するということはあるの でしょうか。 ○事務局 今のところそのようなものについては特に予定等されておりませんが、適正 使用の推進ということを私どもも大変気にしております。その旨について申請者と既に 数回にわたり調整を行っておりますが、その中でやはり申請者の方も適正に使用しても らうためにはどうしたらいいのかということを考えておりまして、タミフルの適正使用 ガイドというものを作成する予定だと聞いております。この作成には製薬企業のみなら ず、インフルエンザ感染症を専門とする臨床の先生方数名に加わっていただいて、まず インフルエンザの予防としては、先ほど折笠先生の方から御発言もありましたうがい薬 も含めてどういったものがあって、もちろんワクチンも入ってくると思いますし、その 中でこの薬剤はどのように位置付けられて使用されていくべきかというガイドを作成す ると聞いております。 ○池田部会長 ありがとうございました。非常に大事な点だと思います。よろしいでし ょうか。どうぞ。 ○堀内部会長代理 もう一つ違う観点でよろしいですか。鳥インフルエンザの関係です けれども、今回は添付文書には記載しないということで、それはそれで結構ですが、鳥 インフルエンザのノイラミニダーゼ活性も阻害するというデータがあるわけですね。概 要の63ページに総括が出ていますけれども、0.8〜100nMというかなり幅の広いデータ が出ておりますが、0.8nMを採ればかなり阻害をする、有効であるという話になるのだ ろうと思います。ところが、添付文書の5ページの「3.作用機序」のところを見ますと 「ヒトA型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを強力(IC50:0.1〜 3nM)かつ選択的に阻害し」という、選択的というのはどこまでかかるかという文章です けれども、これだけではこの文章を素直に読めば、ヒトA型及びB型インフルエンザウ イルスを選択的に阻害するというように読めるだろうと思います。実際上はこの添付文 書に鳥インフルエンザの有効性については記載できないとしても、この作用機序のとこ ろはもう少し書き方を検討していただいた方がいいのではないかと思います。 ○事務局 その点については適切な文章となるように修正させたいと思います。ありが とうございました。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。これは承認条件が四つ付いているわけです けれども、特に今回添付文書の5ページの一番最後に下線で指摘してありますが、「ウ イルスの本薬に対する耐性化に関する国内外の調査結果・情報について、随時、規制当 局に報告すること」ということがございますが、その辺も含めて何か御意見がございま したら。どうぞ。 ○田島委員 先ほど私が質問したのは、一般の国民がワクチンとタミフルなどを両方と も同じようなものだと勘違いをする場合が多いのではないかということを危惧している のです。もしワクチンが第一義だということを言った場合に、ワクチンは地方自治体の 補助があるとはいえ自費ですね。これがやはり保険適用その他のことがあるとすると、 安い方を使ってくれという意見は必ず出てくると思うのです。私はその辺のところを大 変心配しております。的違いかどうかは分かりませんが、本当に心配です。その辺のと ころの善処をお願いしたいと思うのですが。 ○池田部会長 それはどうでしょうか。ここで議論するのはなかなか難しい問題…。 ○審議官 これは効能追加ですから、もう薬価基準に物は載っているわけなので、この まま行ってしまったら保険適用されてしまうわけです。したがいまして、今日の部会が 終わればこれは承認の方向が見えてきますので、私どもの方から保険局の方にこういう 効能になっていますと、保険適用の関係はありますということはお話ししようと思って おります。そこで場合によっては保険局の中で、この追加の効能について保険適用上ど うするかという結論を判断されるのだと思いますが。 ○田島委員 分かりました。ありがとうございます。 ○審議官 1,400万人ぐらい使っていると。 ○池田部会長 今の審議官の御意見で、そのお話は私も非常に大事だと思いますけれど も、一応御理解いただけたというふうに思いますが、よろしいでしょうか。そのほか全 般的に、ほかの話題でも結構ですけれども、先生方何か御意見ございますか。どうぞ。 ○早川委員 今のような本質的なことでは全くないのですけれども、耳が付いている「承 認申請書(写)」がございます。これで一部変更承認申請書という、これは今回変更する というふうに理解してよろしいですね。この後ろから3枚目に「変更前後対照表」があ るのですが、ここで変更後「カプセル中のゼラチンは、ウシ(アメリカ、オーストラリア、 カナダ」以下下線が引いてあって、これを変更しますということを書いてあるのですが、 この背景について御説明いただければということなのですが。 ○池田部会長 機構の方から何かございますか。 ○事務局 機構からお答えします。現在このウシ関係に関しましては本申請後に更に一 変申請されておりまして、そちらとの時間の関係もございますが、そちらの承認の方が 先に下りましたらこのように変更したいということで案を出しています。 ○早川委員 変更したいというのはよく分かるのですけれども、なぜこのように変更し たいのかということの背景といいますか、どういう意味合いなのでしょうか。 ○池田部会長 多くの国が加わったわけですね。 ○早川委員 そうですね。従来はアメリカ、オーストラリアということでBSEが発生 していない国であって、最近アメリカも発生しているのですけれども、そこは残って、 カナダもベルギーもフランスも発生国ではあるのですが、わざわざ幾つかが加わってい るのはどういう意味なのかという…。発生している国から出てきても構わないのですが、 ここに特定しなければいけない理由がどこにあるのかということです。 ○事務局 御指摘ありがとうございます。その点については申請者にきちんと確認して 再度検討したいと思います。 ○池田部会長 どうぞ。 ○新薬審査第一部長 今正確なところは確認いたしますが、基本的に原料供給が2か国 だけに偏っていると、ここで大問題が発生しますとあっという間に供給できなくなると いう今日的な問題がございまして、ここに限らず供給先国をある程度たくさん置いてお いて、この国で問題が起きた場合にほかの国の方に切り替えるという対応をグローバル カンパニーはもう最近やっております。その一環としてこのように国の追加がされてい るということでございます。もちろんこの中にBSEの発生国が入っているのはそのと おりでございますが、そういう国だからもう入れられないとしますと、世界中どこも国 として書けなくなるというのが現状でございます。むしろ発生国であっても危険部位は 除くとか、所要の不活化処理を加えるなどして使うように今はなっておりますので、そ ういうことで供給先の安定化のために国を追加しているという趣旨だと御理解いただけ れば幸いでございます。 ○早川委員 ということでしたら、逆に使ってはいけない国を書いてそれ以外はよろし いと言った方がもっとフレキシビリティーが広がるというか、ちょっと変な議論になっ て申し訳ございませんが、そういう趣旨で。 ○池田部会長 それは確認をお願いいたします。どうぞ。 ○守殿委員 保険適用の件ですけれども、泌尿器科領域でのバイアグラはQOLの改善 薬という形で保険適用にはなっていないわけですが、この勃起障害の患者さんの中には 脊損とかで勃起不全となり、単なるQOLの改善だけではなしに、子供さんが欲しいと の願いで必要な薬なのですね。それだけではなしに、いろいろな器質的機能的な原因で 勃起障害になっている患者さんなどには、バイアグラは保険適用されてもいいのではな いかと思うのです。これはちょっと話が異なりましたが、この本剤についても先ほどか らいろいろ条件付きでの保険適用などのお話もありますが、技術的に非常に難しい面が あるかもしれませんが、保険適用でなくなる場合は是非とも何かそういう本当に病的に なっていくだろうと確実に予測される人においては保険適用されればと考えます。これ は本剤が保険適用されない場合の話ですけれども、そういう形のことも努力していただ いた方がいいかなと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。今守殿委員のおっしゃったことも含めて、是 非機構あるいは当局の方でよろしくお願いしたいと思います。 ○審議官 今日は保険の関係で先生方からいろいろ御意見がありましたので、保険局の 方にその意見をダイレクトに持っていこうと思っています。それから必ずしも予防で全 く保険適用をやっていないかというとそうでもないのですけれども、今までのあれから 見るとその前のは非常に限定してやっているような感じだと私は思っていたのですが。 ○池田部会長 この部会で先生方から頂いた御意見が今のように保険局に伝わるという のは非常に大事なことだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。そのほか に何かございますでしょうか。よろしいですか。どうぞ、上原委員。 ○上原委員 薬物相互作用のことでお聞きしたいのですが、今日配られた添付文書の3 ページの右側にございますけれども、これは前の治療薬としての承認のときに池田先生 が大分気になさって御指摘されていたことが出ています。この薬を使うときに併用する 可能性のある薬物として抗ヒスタミン薬とか、特にNSAIDsなどとの相互作用についてど うかという御指摘があったと思います。それについては臨床試験ではそういう薬が使え ないので、実際に臨床の場で使われた段階で副作用などについてのデータを集めるとい うことで、多分条件を付した形で承認されたのだと思うのです。ところが、ここに出て きた添付文書を見ますと、いまだにこの「<外国人における成績>」ということで、相 互作用が検討されていないというような書きぶりで終わってしまっていますので、これ についてどういう対応をその後…。これはもう4年もたっていますから、日本の臨床デ ータは世界で一番多いという岡部先生の御指摘もあったように、日本での臨床成績が一 番大事な成績を出すのだと思うのですが、その辺についてどのようなデータを集めてお られるのか、もしあるのであればそれについて記載すべきではないかと思ったものです から。 ○池田部会長 ありがとうございました。非常に重要な御意見だと思いますけれども、 機構の方から何かございますか。 ○事務局 その点については市販後調査として実施されております。現在その調査も終 了して解析いたしました結果、種々の併用薬が使用されていましたけれども、相互作用 として添付文書に記載を要するような薬剤が特段検出されなかったという報告を得てお ります。 ○池田部会長 というと、ここにある抗ヒスタミン剤、NSAIDs、マクロライド系抗生物 質を併用しても今までのデータだと問題はなかった…、問題ないと書くことができるデ ータがあるのかどうかは分かりませんが。 ○事務局 市販後調査において検討されましたのは安全性、有効性ということで、細か い動態等については検討されませんでしたが、2,859例を対象とした安全性解析を行い まして、特定の薬剤を併用した患者さんたちにおいて副作用発現率が高かったという結 果は得られていないという報告を受けております。 ○池田部会長 上原委員、どうぞ。 ○上原委員 そうしますと、あの当時池田先生が御心配されていたような危惧はないと いうことで、お医者さんに安心して使ってもらえるような書き方といいますか、そうい うものがあってもいいように思いますが、それはどうでしょうか。 ○事務局 確かに先生がおっしゃるとおりだと思いますので、その点についてはどのよ うな形でユーザーサイドに情報提供できるか検討したいと思います。 ○堀内部会長代理 やはりそういうデータが出た場合に添付文書を改訂するということ が必要だろうと思うのです。市販後調査等をやられたデータが出ているにもかかわらず、 往々にして添付文書が古いままずっと改訂されないというケースが多いわけです。した がって、そういうものが出た場合にはやはり適宜改訂をしていただきたい、新しいデー タを入れていただきたいと思います。 ○審査管理課長 当初の添付文書の記載以降に得られたいろいろな使用成績といったも のについて、やはり添付文書に記載させて医療機関に情報提供していくことが重要では なかろうかと思っておりますので、今回の御指摘のみならずそういった方向で進んでい きたいと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。よろしくお願いしたいと思います。よろしい でしょうか。そのほかございますか。上原委員、どうぞ。 ○上原委員 それで質問ですが、今回の再審査期間は4年ということで御説明があった と思います。この治療薬承認のときは6年だったのですが、その辺の違いがちょっと分 からないので御説明いただけますか。 ○事務局 一般的に再審査期間を何年付けるかというのは法律上決められておりまし て、新しい化合物といったものについては6年ということになっております。また、そ れ以外の効能追加や、化合物としては既に承認があるのだけれども、別の効能や用法を 追加するといったものについては一般的に4年と規定されております。したがいまして、 今回の場合予防効能の追加ということでございますので4年になっております。 ○池田部会長 そのほかに先生方何か御意見ございますでしょうか。よろしいですか。 非常に大切な点を幾つか御議論いただきまして、その点を持ち帰ってまた是非企業と相 談していただきたいと思います。もし先生方御意見がございませんでしたら、承認を可 として薬事分科会報告とさせていただきますけれども、よろしいでしょうか。ありがと うございました。  それでは次に報告事項に移りたいと思います。機構の方から説明をしていただきたい と思います。 ── 岡部参考委員退席 ── ○事務局 議題1について報告いたします。資料2-1を御覧ください。附せん等があり ませんでちょっと見にくいかもしれませんが、資料2-1は本議題の関係の三つの各成分、 塩酸ブレオマイシン、エトポシド、シスプラチンの順序で構成されております。本申請 については胚細胞腫瘍に対する抗がん剤併用療法の申請でございまして、日本化薬株式 会社、ファイザー株式会社、ブリストル製薬有限会社、マルコ製薬株式会社、メルク・ ホエイ株式会社の以上5社より、承認事項の一部変更が申請されたものございます。塩 酸ブレオマイシン及びエトポシドに関しましては、胚細胞腫瘍の効能・効果と用法・用 量の追加の一部変更申請でございまして、シスプラチンに関しましては胚細胞腫瘍の効 能・効果の追加の一部変更承認申請となっております。これらについては平成11年2月 の適応外使用に関する医療用医薬品の取扱いに関する通知に基づきまして、医学薬学上 公知であると申請がなされたものでございます。医薬品医療機器総合機構での審査の結 果、本剤の申請効能・効果及び用法・用量に関する有用性は医学薬学上公知であると認 められることから、承認して差し支えないと判断いたしたものでございます。以上です。 ○事務局 続きまして議題2、バルガンシクロビルの希少疾病用医薬品の指定について 御報告いたします。資料2-2、「希少疾病用医薬品の指定について」でございます。1 枚めくっていただきますと、指定品目の概要が出てまいります。医薬品の名称がバルガ ンシクロビルということで、対象疾病が後天性免疫不全症候群(エイズ)患者におけるサ イトメガロウイルス網膜炎の治療でございます。申請者が田辺製薬株式会社でございま す。  更に1枚めくっていただきますと審査報告書が出てまいります。希少疾病用医薬品の 指定の要件として大きく三つございます。対象患者数、医療上の必要性について、それ から開発の可能性についてということでございます。まず1の対象患者数でございます けれども、HIV感染者及びAIDS患者の累計報告数が計8,000人ということでござ います。希少疾病用医薬品の指定条件5万人に達しないということを満たしております。  続いて医療上の必要性でございますが、現在AIDS患者におけるCMV(サイトメガ ロウイルス)網膜炎の治療ということでありますと、ガンシクロビル製剤というものが経 口剤として承認があるわけでありますが、この製造元であるロシュ社が既に製造を取り やめているという状況にございます。したがいまして、その治療薬としての経口剤がな いという状況でございます。そのような状況で、ガンシクロビルにバリンを添加したプ ロドラッグ化した製剤が今回のものでございます。今後こちらの方に切り替えるという ことで、新たな経口剤でございますので医療上の必要性はあるものと考えております。  続いて開発の可能性でございますが、既にこのバルガンシクロビルについては欧米等 で承認を得ているということでございますので、開発の可能性も十分あると考えており ます。以上三点から、希少疾病用医薬品として指定して差し支えないのではないかと考 えております。 ○池田部会長 ありがとうございました。二つの報告を頂いたのですけれども、最初は ブレオマイシン、ラステット、ランダ等胚細胞腫瘍に関する承認がございます。まずこ れから行きたいと思いますけれども、ただいまの報告で先生方から何か御意見、あるい は御指摘ございますでしょうか。これは癌治療学会、婦人科学会、泌尿器科学会等から も申請が出ていたと伺っておりますけれども、守殿先生特に追加することは何かござい ますか。 ○守殿委員 特別な発言はございません。この精巣腫瘍を始めとした胚細胞性腫瘍の救 命率というのは、このような併用療法が始まって以来70〜80%の治癒を得ているという こと。40年近く前になりますが、その当時肺転移の患者さんは半年以内ぐらいにはほぼ 100%死亡されておりましたが、その方たちがこういうレジメで8割以上CRにもってい けるという、そういう画期的な治療法であると思います。 ○池田部会長 そのほかの先生方、特にございませんでしょうか。吉田先生、特にござ いませんか。 ○吉田委員 今守殿先生がおっしゃったとおりで、現場の方から申しますと胚細胞腫瘍 という病名でシスプラチンを投与しますと今切られております。精巣腫瘍と書かないと 駄目なのです。実際問題としては違法行為はしたくないということで、基本的には胚細 胞腫瘍で治療しているのですが、病院としては非常に困っている状況なので、是非とも お願いしたいと思います。 ○守殿委員 余分なことを言いますが、私は病院長をしておりましたときにこの件では 厚生労働省の方から指導を受けました。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。公知の申請ということで、もし先生方から特に御 意見がございませんでしたら、これはお認めいただいたということで。二つ目の報告事 項はバルガンシクロビルの希少疾病用医薬品の指定についてでございますけれども、ガ ンシクロビルの経口剤の販売中止、非常にアベイラビリティーのいい経口薬だというこ とで、CMV網膜炎に対して使いたいということでございますが、どなたか御意見、御 質問ございますでしょうか。特にございませんか。よろしいでしょうか。ありがとうご ざいました。それでは報告事項については二つとも御確認いただいたということで、次 に移らせていただきたいと思います。  次の議題はその他、抗がん剤の事前評価についてですけれども、これも非常に重要な 問題ですので先生方に御議論いただきたいと思います。この議題に関しましては参考人 として国立がんセンターの藤原先生、川井先生、国立九州がんセンターの永利先生にお 越しいただいておりますので、どうぞお座りください。            ── 参考人、発言席へ移動 ── ○池田部会長 先生方、どうもお忙しいところありがとうございました。御議論にお加 わりいただきたいと思います。それでは、まず事務局から検討会の概略、検討会の下に 設置されたワーキンググループで作業された藤原参考人から、検討会での評価の考え方 を説明していただきたいと思います。その後、参考人の先生方から各領域ごとに品目の 御説明を頂きたいと思っております。御存じだと思いますけれども、川井先生には骨肉 腫関係、永利先生には小児科領域の腫瘍ということで、御説明いただきたいと思います。 それではよろしくお願いいたします。 ○事務局 それでは、事務局の方から抗がん剤併用療法検討委員会の検討状況、それか ら今後のプロセス等について簡単に御説明いたします。今日お配りした資料3-1'という ことで図が書いてあるものがございますが、それで流れについて御説明いたします。  「抗がん剤併用療法の適応拡大の新スキーム」ということで、まずこのスキームを作 った目的でございます。先ほどもLEP療法の話もございましたけれども、抗がん剤の 癌の治療というのはかなり併用療法で行われている状況があるわけですが、その併用療 法に使われる薬剤の中で一つでも適応がないものがありますと、なかなか医療現場で使 えないという状況がありました。そのため適応拡大を図っていこうということで、今年 の1月に抗がん剤併用療法検討委員会というものを設置いたしまして、使用薬剤のエビ デンス等の収集、それから適応拡大の優先順位等について御検討いただいたということ でございます。  この資料の下の方に図が書いてございますが、一番左のところに「抗がん剤併用療法 に関する検討会」というのがございます。この検討会におきまして、今年の1月、3月、 5月の3回にわたり優先順位付けと各薬剤についてのエビデンスの収集を行いました。 実際にはその検討会の下にワーキンググループを設置いたしまして、ワーキンググルー プの先生方にかなりの努力をしていただいたということでございます。その結果、七つ の療法につきましてエビデンスの収集が終わったということで、今回薬事・食品衛生審 議会当部会に事前評価をお願いすることになったわけでございます。それで挙げられた 薬剤、レジメンの使用方法、効能・効果についてエビデンスとして十分足りるのかとい ったことについて、当部会で事前の御評価を頂きたいと考えております。  当部会において事前評価で御了解いただけますと、関係する企業の方々に薬事法上の 承認申請を依頼し、申請を出していただくということになります。その申請につきまし ても通常より若干簡略した形ということで、申請資料としては事前評価を頂いたときの 報告書、関連する文献を添付すると。それから添付文書の案といったものを中心に申請 資料をまとめていただいて、申請していただくことを考えております。その申請がなさ れてから迅速審査ということで、これは4か月を目標に審査をしたいと考えております。 その審査の中で終わりますと更に当部会の方に上げて御審議いただいて、御了解が得ら れれば承認するということを考えております。市販後につきましては重点的な安全対策 ということも考えております。  安全対策の関係でございますが、本日お配りした資料3-11の説明でございます。資料 の上の方は先ほど御説明した内容でございます。その半分から下のところでございます が、一番左の方、「重点的安全対策」ということでございまして、これは先生方はもう よく御存じのとおり、抗がん剤の併用療法というのは非常に毒性が強く、使用に当たっ て注意を要するというものでございます。したがいまして、今回の事前評価を頂いた後、 私どもから各都道府県、それから関係学会の方に大きく三点の要望をしたいと考えてお ります。真ん中の下のところでございますけれども、緊急時に処置が可能で、知識・経 験を有する医師のいる医療機関で使用するようお願いすると。また、医療機関において 使用患者を把握し、副作用等を適宜上げていただくということ。使用に際して患者への リスク等について説明と同意を得るようにお願いすると。そういった点について、関係 のところにお願いしたいと考えております。  また、右の方でございますが、承認になりますと一般に広く使うことが可能でござい ますので、それについても添付文書、承認条件で注意を喚起したいと考えております。 主な点が四点ございまして、先ほどと同じようなことでございますが、緊急時に処置が 可能で、知識・経験を有する医師のいる医療機関で使用することをお願いすると。また、 関係学会による講習を受けるなど、知識・経験を有する医師に使っていただきたいとい うこと。医療機関においては、使用患者を把握して副作用等を報告していただきたいと いうこと。それから、患者へのリスクについて説明と同意を得るように努めていただき たいということでございます。  重点的な市販後対策としてイメージでございますが、資料3-12がございます。「抗が ん剤併用療法に係る安全確保対策(案)」ということで、関係するものといたしましては 関係企業、使用する医療機関、関係学会、それから行政側ということで総合機構、厚生 労働省ということになります。各企業におきましては、使用される医療機関等に併用療 法に関する注意喚起を行っていただく。また、コア医療機関、これはどういうものがイ メージされるかというと、全がん協の病院とか地域拠点病院、特定機能病院といったと ころが想定されるわけですけれども、そういったところに共通の副作用報告様式等の配 布をしていただいて、副作用の報告に努めるということでございます。主要医療機関で は関係する企業にそういった報告をしていただくとともに、総合機構の方にも報告を上 げていただくと。また、関係学会については学会員の方々に注意喚起をしていただき、 適宜講習等の提供をしていただくと。そういったことで、重篤な副作用等々の把握を含 めて必要な安全対策措置を適宜実施していきたいと考えております。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。引き続いて検討会におけるエビデンスの評価 について、藤原先生よろしくお願いします。 ○藤原参考人 検討会のワーキンググループの座長をしておりました国立がんセンター の藤原でございます。私どもが事前にいろいろ評価する過程で、適応外使用の中で非常 にエビデンスのレベルが高いものと、一定の基準を用いて臨床試験の成績などを評価し ましたので、まずそれを簡単に御紹介申し上げます。  本審議会等で検討していただくために、私どもが世界中にあるいろいろなエビデンス の内容を評価する際に、こういうものがそろっていればこういうところの検討に上るも のであろうと考えた基準は五つほどございます。一つは、複数の無作為化比較試験とい うものが国内外に存在していること。それから国際的な標準的教科書、これはどの国に 行っても「その教科書なら知っています」と医者が言うような教科書でもございますが、 そういうものに単語としてではなく、できれば文章としてきちんと記載があるようなも の。また、peer-review journalのレビューとかメタ・アナリシスの結果が存在するこ と。それから国際的な診療ガイドライン、これは学会あるいは各種団体が出したガイド ライン等がありますけれども、そういうものが存在すること。それらに加えまして、で きれば国内での使用実績に関するいろいろな症例報告等があると。これはちょっとおか しな話ではございますが、適応外使用というのは実態として私どもが非常に広く行って おりまして、国内での使用実績もペーパーにはなっていない場合も多いのですが、使用 実績はかなり集積されている場合がありますので、そういうものも情報収集しましょう と。こういう五つの観点から報告書の作成を考えました。  恐らくお手元に資料があると思いますけれども、資料3-3から始まるところだと思い ます。今から私ども3人の参考人が御紹介するものに関しては、エビデンスの中身につ いてすべて統一した記載にしております。1枚目の「2.公知の取扱いについて」という ところから御覧いただければいいのですけれども、「(1)無作為化比較試験等の公表論 文」、「(2)教科書」、めくっていただいて「(3)peer-review journalに掲載された総説、 メタ・アナリシス」、「(4)学会又は組織・機構の診療ガイドライン」というような記載 ぶりで、すべて私どもの報告書は統一してございます。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。抗がん剤の事前評価についてのシステムです ね。これからこれが承認されるまで、あるいはその後の市販後の安全性確保の流れにつ いて御説明いただいたと同時に、ワーキンググループでどういう考え方でそれぞれの抗 がん剤併用療法を評価したかということを御説明いただいたわけです。事務局あるいは 藤原先生の御説明について、先生方の方から何か御質問ございますでしょうか。今まで のところで御質問ございますか。もしなければ、それぞれの先生方から乳癌関係、骨腫 瘍関係、あるいは小児科領域の悪性腫瘍について御説明いただきたいと思いますけれど も、よろしいですか。それを聞いてからまた先生方の御質問を受けたいと思います。そ れでは最初に乳癌関係のレジメンの報告書について、藤原先生お願いできますか。 ○藤原参考人 先ほど述べましたいろいろな基準に従いまして評価をいたしました。ち ょっと先ほど申し上げなかったのですけれども、複数のランダム化比較試験という大原 則を打ち立てましたが、私に引き続く整形外科とか小児科領域では患者数の問題等から、 なかなか複数のランダム化比較試験の存在というのは世界中にございません。そういう 場合は質の高いシングルアームの第II相試験、抗腫瘍効果をエンドポイントとするよう な試験に関しても評価対象とするということをあらかじめ申し上げておきます。  では、お手元の資料3-3を御覧ください。これは乳癌のAC療法と申しまして、アド リアマイシンとシクロフォスファミドという併用療法の中で用いられるドキソルビシン (アドリアマイシン)の適応外使用に関する報告でございます。現行の添付文書上のいろ いろな取決めでは、1日量が10mg、20mg、30mg/ボディー程度で、3日間のワンショッ トIV投与というのが一応用法・用量でございますけれども、実際臨床現場では昔から 広く体表面積当たりの大体40mgあるいは60mgを使いまして、3週置きに投与するとい うことがごく標準的に行われております。今回はAC療法の塩酸ドキソルビシン1回60 mg/平方メートル3週置き投与がどの程度エビデンスが高いかということを、この報告書で述べさせ ていただきます。  (1)を見ていただきますと複数の無作為化比較試験は存在しておりますし、それぞれ Journal of Clinical Oncologyと申しまして、がんの化学療法の領域ではトップジャー ナルでございますけれども、それに複数の比較試験の報告がございます。「(2)教科書」 を見ていただきますと、これも乳癌あるいはがん化学療法としてはどこに行っても皆が 知っているような教科書に詳しい記載がございます。それからめくっていただきますと peer-review journalでございますが、これも皆さん御存じのLancet、あるいはNew England Journal of Medicineという総合内科領域の一流誌にきちんとしたメタ・アナ リシス、総説等が載っております。またAC療法の投与に関しましては、次の「(4)学会 又は組織・機構の診療ガイドライン」として乳癌学会から診療ガイドラインが出ており ます。また、アメリカのNCIが作っているPDQというガイドライン、あるいは2) でございますけれども、セントガレンのコンセンサスカンファレンスといいまして、乳 癌のいろいろな術後、術前の治療に関するコンセンサスガイドラインを作るようなカン ファレンスがあるのですが、そこでの記載とか、4)のNational Comprehensive Cancer Networkと申しまして全米のがんセンターを束ねる組織がありますが、そこのガイドラ イン等でもAC療法でドキソルビシン(アドリアマイシン)を60mg/平方メートル3週置きに投与す るということは推奨されております。これに関していろいろ吟味しましたところ、「(5) 総評」にはいろいろな成績をまとめまして、この60mg/平方メートルというもののエビデンスレベ ルは高いですよというお話をしております。  次のページ以降は、実際にそれぞれ過去の代表的な臨床試験の報告に関して特に安全 性の部分、適応外使用と申しましても、もし薬事法上の承認等を頂けるのであれば安全 性に関する配慮というのは非常に大切になりますので、どのような有害事象、あるいは 副作用、治療関連死が出ているかということに重点を置いた記載ぶりを3〜5ページと しております。  6ページからは「4.本療法の位置付けについて」としておりますけれども、これはA C療法が現行の術後、あるいは術前の補助化学療法として割ときちんとしたエビデンス が存在して、これを使用することは患者さんに何ら不利益を与えませんということを記 載しております。  8ページにまいりますと、「5.国内における本剤の使用状況について」というところ でございます。ここは非常に苦労したところでございまして、皆が一様に普通に使って いる薬につきましては、その使ったことを論文等にして報告するという習慣は私どもご ざいませんので、なかなか公表論文という形では把握できないことが多々ございました。 幸いこのAC療法につきましては、現在ここの2行目にあります「財団法人パブリック ヘルスリサーチセンター乳がん臨床研究支援事業」というところで、これはインターネ ットのサイトもリファーしていますが、NSAS B02と言いまして1,200例ほどの大規模な ランダム化比較試験を全国で行っており、その中でAC療法を使用しております。まだ これは現在登録中ですのでなかなか詳しい成績をお出しすることはできませんけれど も、このAC療法のドキソルビシン60mg/平方メートルとシクロフォスファミド600mg/平方メートル3週置き 投与というのは非常に安全に投与されておりまして、このNSAS B02試験が途中で登録中 止ということにならずに順調に推移していることが、国内でも安全に使用されているこ との傍証の一つと考えましてここに載せております。  「6.本剤の安全性に関する評価」、それから「7.本剤の投与量の妥当性について」 というところでございます。安全性は先ほど申しましたように現AC療法に関しては悪 心・嘔吐、脱毛、白血球減少というのがメジャーな副作用なのですけれども、それに関 しては十分マネージアブルであるし、ほかの発熱性好中球減少、感染症、口内炎、下痢、 出血性膀胱炎、肝機能障害、皮膚の色素沈着や爪の変色、あるいは長期には心不全や無 月経、二次性の白血病等も報告されておりますが、これらはすべて患者さんに投与する 前には十分インフォームした上で現在も治療しておりますし、どのぐらいの発生頻度で 出るということも十分知られております。今回薬事法の承認内容と一番異なるのはドキ ソルビシンの承認の投与量なので、それに関して7のところで記載しております。過去 にドキソルビシンの投与量として30、40、60、あるいは60、75、90というドーズでそ れぞれ複数の無作為化比較試験が行われておりまして、ドキソルビシンの60mg/平方メートル3週 置き投与というのが非常に妥当な用量であって、この用量がむしろ少ない用量よりも大 切ですということが十分検証されております。それに関しても今回のこのドキソルビシ ン1回60mg/平方メートル3週置き投与は非常に待望されているものであると考えております。ま ず資料3-3は以上でございます。 ○池田部会長 引き続いて資料3-4も乳癌関係なので、一緒にお願いできますか。 ○藤原参考人 これはパミドロネート、商品名はアレディアと申しまして、現行では悪 性腫瘍に伴う高カルシウム血症で点滴静注として承認されている薬剤でございます。現 行の用法・用量では45〜60mg程度を使うのですが、海外を含めまして癌、特に乳癌の溶 骨性骨転移に対してこのパミドロネートを投与する際には、もっと高い用量の90mgを4 時間以上掛けて点滴する、90mgという用量が非常に重要であるということがプラセボ投 与試験とのランダム化比較試験等で明らかになっておりますので、この資料3-4のポイ ントはパミドロネートの90mg/ボディーの用量を御検討いただきたいということでござ います。  先ほどの資料3-3と同様に無作為化比較試験も複数存在しますし、Cecilの内科学書 を始めとする各種教科書にもパミドロネートのこの用量の記載はございます。メタ・ア ナリシスはBMJ(British Medical Journal)の大きなメタ・アナリシスの結果等を始め としまして、複数のメタ・アナリシス総説がございますし、国内では各種の乳癌学会の 診療ガイドライン、あるいは海外の種々の学会、機構のガイドラインにもパミドロネー トの90mgというのは推奨されております。総評でその内容をまとめております。  3ページはちょっと白紙になっておりますけれども、実際にはその次のページから始 まります。4〜9ページまでがキーとなる臨床試験の内容、特に安全性に関して力点を 置いて記載いたしました。10ページには主にパミドロネートを始めとするビスフォスフ ォネート製剤が乳癌の骨転移、特に溶骨性骨転移を持っている患者さんにとってどの程 度の福音であるかということを記載しております。かいつまんで申し上げれば、骨合併 症と申しまして病的骨折あるいは椎体の圧迫骨折、コードコンプレッションに伴ういろ いろな症状、それから歩行障害など、骨転移に伴ういろいろなQOLを落とす、あるい はADLを落とす合併症をこの薬は非常にきれいに抑制してくれるというデータが複数 ございます。ただし、残念ながらサバイバルベネフィットと申しまして生存に対する効 果というのは検証されておりません。したがって、乳癌の患者さんは非常に予後がよく て、転移、再発してからも何年も御存命でございますが、その方々がその期間中非常に 高いADLといいQOLを保てるという意味でこの薬が必要であるというのがここの記 載でございます。  「公表論文等」のところは、過去に高カルシウム血症でこの薬が承認された際に行わ れた国内での用量設定試験の成績でございます。ここで申し上げたかったのは、90は高 カルシウム血症では行われておりませんが、用量を15、30、45、60まで上げていくに従 っても相関的に有害事象が発生するようなことはございませんで、この薬の安全性は高 いものであろうと判断するという一つの傍証として、ここに国内試験成績を記載させて いただいております。  「6.本剤の安全性に関する評価」に関しては、これまで過去のキーとなる論文でこの 薬が非常に安全であるということを申し上げまして、最後にやはり投与量が90mgとこれ までの用量よりも2倍くらいに上がりますので、その用量の妥当性について十分検証さ せていただきました。12〜13ページにそれが書いてございますけれども、プラセボ対象 の比較試験として45mgのパミドロネートとプラセボ、あるいは60mgのパミドロネート とプラセボとの比較試験が海外では行われております。いずれも骨合併症をプラセボに 比べて抑制しなかったり、長管骨や骨盤の骨折、あるいは骨転移の痛みに対して放射線 治療をよく使うのですけれども、放射線治療の頻度等を45mgあるいは60mgでは抑制し 切れていないというデータがございます。この臨床試験成績の中で一番キーとなってい るのはNew England Journal of Medicineに1996年に出たペーパーと、1998年辺りに JCO(Journal of Clinical Oncology)に出たペーパーなのですけれども、それらでは すべてプラセボ対象で90mg/ボディーのパミドロネートの比較試験が行われておりまし て、それらの成績では今申しました有意差のなかった部分もすべて有意差がきちんと付 きまして、プラセボに比べてこの薬が十分に効果を上げているという成績がございます。 以上を総合的に判断しますと、90mg/ボディーというのが非常に妥当な用量であろうと 考えております。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。まず乳癌に関してAC療法、併用療法のエビ デンスについて御説明いただきました。もう一つはパミドロネートについて、オストリ ティックな転移に対してADLあるいはQOLを明らかに上げるということで、エビデ ンスがあると御説明いただいたのですけれども、御質問をお願いしたいと思います。御 意見いかがでしょうか。吉田先生、何かございますか。 ○吉田委員 今ありましたように、AC療法というのも世界中でも標準的に使われてお りますし、最近はハーセプチンを加えたときにどう使うかという、さらに次の検討がな されているという状況ですし、むしろ我が国で認めていなかったということを聞いて驚 いております。 ○池田部会長 そのほかの先生方、いかがでしょうか。乳癌の方から見るとパミドロネ ートはこれだけエビデンスがあるわけですけれども、パミドロネート、アレディアの方 から見るとほかの疾患、例えば多発性骨髄腫とかにもやはり同様の効果が認められてい るというエビデンスは、ワーキンググループでは検討されたのでしょうか。 ○藤原参考人 それに関してはまだワーキンググループでは検討対象としておりませ ん。 ○事務局 この抗がん剤の併用療法の進め方でございますが、ワーキンググループの方 で今優先的にどういうものを順番に扱っていくかという議論をしております。特に今御 指摘いただいたような骨髄腫に対するパミドロネートの適応という部分で、実は今回こ の第二部会の方の検討対象にはなっていないのですけれども、恐らく次回以降出てくる と思いますが、造血系腫瘍、例えばVAD療法とかESHAP療法とか、そういうもの が今優先順位として上がってきております。これらについては単にQOLということだ けではなく、やはり現在はまだ国内で治療法がないというところでございまして、ワー キンググループの方では現在そういったものをまず優先的に検討対象としております。 当然そういうものが出そろってきたところで、パミドロネートの骨髄腫等の検討も順に なされてくるというスケジュールになってございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。併用療法の多くは1対1で、疾患と癌腫とそ の併用療法が大体規定されるのですけれども、こういう単剤ということになると適応が 広がってきますので、多少意味合いが違うかなという面で質問したのです。どうぞ、上 原委員。 ○上原委員 どちらの薬も用量が2倍か3倍に増えるということになっておりますが、 単剤で承認されたときはきちんと臨床試験の結果を経てこういう用量になっていると思 うのです。それを増やすということについては素人から考えるとちょっと副作用の心配 とかがあるのですが、そういうことについて最初の臨床試験の結果との相違、なぜ増や すことが必要なのかということについてはどういう…、その後の臨床試験の結果からそ のようになったということでしょうか。 ○藤原参考人 当初このアドリアマイシンがどのような経緯を経て承認されたかは存じ ておりませんけれども、私どもが医者になったときには多分そうなっていたのだと思う のですが、それ以降全世界のいろいろな臨床試験成績等の中では、もう併用療法として このドキソルビシンに関してAC療法というコンビネーションの位置付けがございま す。これは例えば資料3-3の9ページの用法・用量の妥当性というところで書いており ますけれども、どのドーズの組合せが一番ふさわしいかということが過去に行われてお りまして、それを踏まえてこのドキソルビシン60mg/平方メートルの安全性を考えました。更に言 えば、現行の用法・用量ではたしか1日量が30mg/ボディーの3日間とか、20mgの3日 間などですので、1コース当たり60mgとか90mg入るわけです。今回のものは60mg/平方メートル の3週置きなので、1コース当たり1.5平方メートルぐらいだとすれば90mgぐらいの量なので、既 承認の用法・用量よりも適増といいますか、3〜4倍という非常に高いドーズまで上げ ているわけではございません。1コース当たりの投与量から見ればそれほど危険ではな いし、事実自分たちが日ごろ使っているのはこの60mg/平方メートルで、何年も毎年何百人とまで はいきませんけれども、多数の方々に何も問題なく投与できておりますので、感触とし ても各医師、私どもがんセンター以外の病院でもその量を使っておりまして、安全性が これまでの既承認の用量と比べて著しく劣るとは考えておりません。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。吉田先生もおっしゃっていたように、非常にスタ ンダードの教科書に載っているような治療法だということで、もし特段の御意見がなけ れば次に進ませていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは 整形外科領域の品目について、これはイホスファミドとドキソルビシンですけれども、 骨・軟部腫瘍についてよろしくお願いいたします。 ○川井参考人 整形外科で扱います骨・軟部腫瘍領域については、今回イホスファミド とドキソルビシンの御検討を頂きたいと考えました。まず対象となる疾患が非常にレア ・キャンサーでありますので、その疾患背景について簡単に御説明したいと思うのです が、資料3-6のドキソルビシンの8ページ以降に、私どもが想定いたしました骨・軟部 腫瘍の疾患背景について簡単に説明させていただいております。まず軟部肉腫でありま すが、発生頻度といたしましては米国の統計を見ますと、米国国内で軟部肉腫が年間約 8,000例、全悪性腫瘍中の0.6%と発表されております。我が国の発生頻度についてはこ れに相当するしっかりとしたエビデンスはございませんが、軟部肉腫として年間大体 1,500例程度発生していると考えております。  次に10ページにまいりますと悪性骨腫瘍でありますが、これも同じく米国では年間 2,100例程度発生しておりまして、内訳としては骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、 以下様々な組織型の腫瘍が発生しております。我が国においては年間約400〜500例が発 生していると考えております。その疾患の内訳については表1、2にそれぞれ組織型を 書いておりますが、非常にまれな腫瘍まで入ってまいりますので、各組織型ごとの腫瘍 に対する適応拡大ということではなくて、悪性骨・軟部腫瘍全体に対して今回は検討を お願いしたいと考えました。  まず、イホスファミドの御説明をさせていただきたいと思います。資料3-5でありま すが、用法・用量については既承認の用法・用量と全く同等であります。予定効能とい たしまして骨肉腫以外の悪性骨・軟部腫瘍を追加していただきたいということで、用法 ・用量といたしましては通常成人にはイホスファミドとして1日1.5〜3g/平方メートルを3〜5 日間連日点滴静注又は静脈内に注射する。トータルの投与量といたしましては1回投与 量が4.5〜15g/平方メートル、これを3週間隔で投与するということを推奨用量とさせていただき たいと思います。併用療法といたしましては後に述べますドキソルビシンとの併用を考 えております。すなわちイホスファミド、ドキソルビシン併用療法でありますが、イホ スファミド2g/平方メートル、ドキソルビシン20mg/平方メートルをそれぞれ併用いたしまして、総投与量は イホスファミドが10g/平方メートル、ドキソルビシンが60mg/平方メートルを推奨用量として提示したいと 考えております。  「2.公知の取扱いについて」でありますが、藤原参考人の方から御説明がありました とおり、全く同じ並びで報告書を作成いたしました。まず無作為化比較試験等の公表論 文でありますが、挙げました九つの論文が代表的と考えております。以下、教科書、 peer-review journalに掲載された総説、メタ・アナリシス、診療ガイドラインという ふうに続きます。  「3.裏付けとなるデータについて」でありますが、進行悪性骨・軟部腫瘍に対する本 剤、イホスファミドの単剤での奏効率は報告を見ますと7〜38%(中間値26%)と報告さ れております。ここに以下代表的な論文を挙げさせていただきましたが、論文C)を見て いただきますと、成人悪性軟部肉腫に対してイホスファミドを投与した群としない群の 第III相無作為化比較試験の結果がJCOに載っております。その結果を見ますと、本剤 とエピルビシンを投与した化学療法群の方が予後が有意に良好であったということが既 に報告されております。海外の文献を当たりますと、このイホスファミドが悪性骨・軟 部腫瘍に対する現在でのキードラッグであるということはまず間違いない事実と考えら れます。  「4.本療法の位置付けについて」は骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性軟部腫瘍、それぞ れについて考察をさせていただきました。  8ページを見ていただきますと、「5.国内における本剤の使用状況について」であり ますけれども、どのようにして国内における使用状況を調べるかということが非常に難 渋いたしましたが、一つの方法といたしまして医学中央雑誌刊行会のWebサイトで文 献検索を行いまして、骨肉腫とイホスファミドをキーワードにいたしますと56件、軟部 肉腫とイホスファミドをキーワードにいたしますと134件の公表論文が抽出されまし た。これはpeer-review journalに載るほどのいわゆるスタディーではありませんが、 明らかに使用しているとみなされる発表であります。こういうことから見まして、本剤 は国内において既にかなりの使用実績があると私どもは判断いたしました。  「6.本剤の安全性に関する評価」でありますが、既に報告されている副作用と同様で すけれども、本剤に特徴的な副作用である出血性膀胱炎の発生はメスナのほぼ等量の投 与によって抑えることができると考えております。そのほか骨髄抑制、中枢神経障害、 腎障害、これは既に発表されている副作用でありまして、化学療法の施行に十分熟知し た医師が投与する限りにおいて十分な安全性が担保されると考えました。  最後の12ページに書きましたように、最終的には悪性骨・軟部腫瘍に対する本剤の使 用においては、多くの臨床試験の結果から通常の単独投与して本剤5〜10g/平方メートル、大量投 与として12g/平方メートルないし14g/平方メートルが用いられており、これらの投与量が最もエビデンスの 豊富な本剤単独投与時の推奨用法・用量と考えられました。一方ドキソルビシンとの併 用療法については、ドキソルビシン40〜75mg/平方メートルと本剤5〜10g/平方メートルの併用が適当ではな いかと考えました。以上、イホスファミドでございます。 ── 守殿委員退席 ── ○池田部会長 ありがとうございました。まれな腫瘍ですけれども、骨・軟部腫瘍に関 するイホスファミドとドキソルビシンの単独及び併用療法にかかわるエビデンスをワー キンググループ検討会で評価していただいたわけですが、ただいま御紹介いただいたエ ビデンスのレベルについて、先生方何か御意見ございますでしょうか。先ほど藤原先生 の方からどういう考え方でワーキンググループでは議論しているかということで、無作 為化比較試験、国際的標準的な教科書の記載、peer-review journalの総説あるいはメ タ・アナリシスがある、ガイドラインに載っているということで、さらに日本で実際に もう使われているのかという五点について、その角度から骨・軟部腫瘍も御議論いただ いたのですけれども、挙げられた論文あるいはその内容について先生方から御意見を頂 けたらと思います。折笠先生、これはそれぞれの比較試験の…、なかなか一つ一つディ テールを見るわけにはいかないと思うのですが。 ○折笠委員 基準としてはよろしいのではないですか。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。先生方、何か御意見ございますでしょうか。 ○川井参考人 今イホスファミドについて御説明させていただきましたけれども、ドキ ソルビシンも全く同じような報告書を作成いたしました。ドキソルビシンについての一 番有力な証拠として私たちが考えましたのは、7ページの術後補助療法のところでござ いますが、悪性軟部腫瘍に対するドキソルビシン(単剤あるいは併用療法)を用いた術後 補助療法の14比較試験(総患者数1,568例)を対象としたメタ・アナリシスの論文であり ます。それによりますと、10年局所再発抑制率が6%、遠隔転移抑制率が10%、無病再 発抑制率が10%ということで、体幹例を含めた全症例での生命予後改善効果は確認され ておりませんが、サブグループである四肢発生886例を対象といたしますと、7%の有 意な生命予後改善が確認されたというのがLancetで1997年に報告されております。こ れに準じた数多くのエビデンスがドキソルビシンに関してもございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。いかがですか。吉田先生は何か付け加えるこ とはございませんでしょうか。 ○吉田委員 特にございませんけれども、これは事前審査ですよね。 ○池田部会長 そうです。 ○吉田委員 ですから今日のお話を聞いて、もう少し見させていただこうと思っていま す。特に追加して質問することはありません。 ○池田部会長 今の時点ではよろしいですか。 ○吉田委員 結構です。 ○池田部会長 ここで検討会での結果を御報告していただいて事前評価をすると。そこ で審査をして承認を通す、この期間は4か月ぐらいで非常に迅速にやるということです けれども、基本的にここで御議論いただいてエビデンスのレベルとして、例えばこうい うことであればそれが非常に迅速に進むというプロセスでありますので、よろしいでし ょうか。特に御質問ございませんでしょうか。川井先生、どうもありがとうございまし た。それでは小児使用領域の品目について、永利先生よろしくお願いいたします。 ○永利参考人 御説明させていただきます。本日お配りいただいた資料3-7'〜3-9'の三 つがお手元にあると思いますが、先ほどの整形外科領域のお話と小児領域も同様であり まして、小児領域の悪性固形腫瘍は希少疾患でありますため、国内はもとより海外でも 各腫瘍に基づいたランダム化比較試験、第III相試験といったものは極めて数が限られて おります。その一方で今回はドキソルビシン、エトポシド、イホスファミドの三つの薬 剤を報告させていただいておりますけれども、このようなほとんどすべてと申し上げて よろしいかと思うのですが、そういう小児の悪性固形腫瘍に対してほとんど共通して必 要な薬があるにもかかわらず、国内では全く承認がなされていないという背景がござい ます。  実際の報告書でございますけれども、最初に資料3-7'のドキソルビシンですが、「予 定用法・用量」とその下の「用法・用量等に関する参考情報」等にアンダーラインを引 いてございます。例えば用法・用量で「ドキソルビシン 1日20-40mg/平方メートルを24時間持続 点滴」と。これは現在認められていない用法・用量、それから適応であるところにこの ようにアンダーラインを引いてございます。このような用法・用量を設定したわけです けれども、それに関する参考情報としまして、例えばドキソルビシンですと「VDC療 法」、それから「CDDP/ADR療法」などと書いてございます。先ほど少し申し上げました けれども、これは希少疾患でございますので、海外においても比較試験が余りなくて国 や大きな治療施設、その他もろもろによりましてレジメンが必ずしも統一されていない と。投与する薬剤や量は大体似通ってはおりますけれども、必ずしも一つに決められな いということで、参考情報として幾つか挙げさせていただいております。  「2.公知の取扱いについて」ということで、無作為化比較試験等の公表論文を挙げて おります。これ以降の二つの報告書も同様ですけれども、これらの公表論文を検索しま したのはアメリカのNCI(National Cancer Institute)の文献検索データベースである パブメドというだれでもアクセスできるところがございますが、そこで各薬剤あるいは 各疾患名ですべての臨床試験を網羅できるように検索をかけまして、その中から今回の 報告書に関連が強いと思われるものだけを抽出しております。それから教科書は小児の 腫瘍性疾患の代表的教科書から引用しております。希少疾患と申し上げましても、一応 (3)のpeer-review journalに掲載された総説、メタ・アナリシス等がこのようにいろい ろな各種疾患によってそろっております。(4)の診療ガイドラインは、先ほど文献データ ベースのところで申し上げましたけれども、NCIのホームページにPDQという指針 のようなものがございますが、そこにいろいろな疾患名に応じまして、例えばドキソル ビシンであればこのように使う必要があるのだという指針が出されております。  以上のようなことをもちまして、医学薬学上公知であると判断したわけでございます。 それ以降試験成績に関する資料としましては、2ページ以降に記載しております公表論 文であるとか教科書、メタ・アナリシスの内容を一応抽出してサマライズしたものをこ のようにお付けしております。  「4.本療法の位置付けについて」でございますけれども、先ほど申し上げましたよう に何々療法というのでもって小児の悪性固形腫瘍を治療することは不可能でございます ので、一応薬剤として挙げさせていただいているということです。  「5.国内における本剤の使用状況について」ということでも検索をかけております。 エトポシド、イホスファミドの検索でも同様でございますけれども、国内での文献検索 システムで疾患名と各薬剤のキーワードで検索をかけたところ、これだけの報告がなさ れております。詳しくは報告されておりませんけれども、海外で報告されているものを ほぼそのまま外挿しておりまして、成績も副作用に関してもさほど相違はなかろうと判 断いたしました。  対象が小児でありますので、恐らくその次の「6.本剤の安全性に関する評価」が一番 気になるところではございますけれども、その後半のところに記載しておりますが、小 児の悪性腫瘍の化学療法は基本的には長期無病生存、ほとんど治癒と考えてよろしいか と思うのですけれども、有効性は非常に期待できます。成人の腫瘍ですと抗悪性腫瘍剤 が効きにくいものが比較的ございますけれども、小児の場合はかなりの部分が反応を示 します。その反面副作用対策は重要でありまして、十分に支持療法を行う必要があると。 ただし、それでも合併症が重度になる場合がございますので、がん化学療法を熟知して いる小児腫瘍専門医が使用するか、ないしはそのような専門医師の監督下において必ず 使用される必要があろうと考えております。以上より、ドキソルビシンを小児悪性固形 腫瘍に対しまして適応拡大をお願いしたいと考えております。 ○池田部会長 ありがとうございました。小児の悪性固形腫瘍、もちろん個々にはそれ ほどたくさんあるわけではないのですけれども、いずれも非常に大切な…、悪性腫瘍は みんな大切なわけですが、ドキソルビシンとエトポシド、イホスファミドについて適応 の拡大をということで、エビデンスを御紹介いただきました。ただいまの御説明につい て何か御意見ございますか。吉田委員、どうぞ。 ○吉田委員 小児の抗悪性腫瘍剤の承認の過程が実は全然ないのです。要するに、小児 がんの患者さんに例えばフェーズIIをやって有効性が確認されて承認しますというやり 方ではなくて、成人が通ればそれを参考にして小児用としてこれぐらいという、いわば 臨床家の勘と言いますか、そういうところとか文献でやっているのが現状ですね。私が お伺いしたいのはそういうことなので、今後小児についてはこういう取り方しかないと いうことなのでしょうか。それはむしろ機構の方にお聞きしたいのですが。 ○池田部会長 そうですね、機構の方でその点について御説明いただけますか。 ○新薬審査第一部長 吉田先生が御指摘の点、それが現状だと私ども認識しております し、小児悪性腫瘍の領域だけではなくて、かなり重篤性の高い小児科の疾患の場合どれ も同じ問題を抱えています。そうした場合使えるようにしてさしあげたいというのはだ れもが思うことなのですが、どうすれば安全にかつ効果的に使えるのかということ、こ のデータをいかにして集めるかというのがすべての人が悩んでいる問題でございます。 現在最初の承認の段階で、非常にリスクの高い集団を治験の中に組み込むことが基本的 には困難なので避けているということで、いわゆる一般的な非高齢の成人の方を中心に データが収集されると。そのために高齢の方や腎障害、肝障害の方、小児の方、あるい は女性の中でも例えば妊娠前後といった方が除外されているのが現状でございます。そ うした方々のデータは市販後に収集するということを基本にしておりますが、ではどう いうストラテジーでデータを集めるのかということについて、いまだに世界各国どこで も悩んでいる問題だと思います。  ただ、最近は市販後のデータ収集に当たってPPKアプローチとか、いわゆる薬物動 態のデータをできるだけ使用例の中でとっていくということも、実際にはなかなか適正 な使用量や用法、投与スケジュールを合理的に決めるというわけにはいきませんが、そ ういうデータの支持の下に方法を改良していくということも行われていると伺っており ます。したがいまして、そういった科学的なアプローチで収集された使用経験を基にし て、できるだけ使用範囲を広げていくということを我々としてもやってまいりたいと考 えております。したがって、例えば最初の承認の時点ではなくて、その後の効能追加や 用法の追加あるいは剤形の追加をされる際に、そうした比較的取り残されやすいオーフ ァン適応のケースについて、市販後のデータを随時求めて取り込めるものは必ず取り込 んでいくようにしているのが現状でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。どうぞ、吉田委員。 ○吉田委員 そういうことを含めてこの小児の抗がん剤に関する問題点をアピールとい いますか、よく分かってもらう意味で、国内の使用状況のところの記載が文献でなく、 実際の症例を挙げてこれぐらいのバリエーションがあるとか、こういう使い方をされて いるということが分かる方が、むしろ皆さんに説得力があるのではないかと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。非常に重要な御指摘だと思うのです。繰り返 しますけれども、この新しいスキームで事前評価をするときに、国内での使用実績に関 するエビデンスがどれぐらいあるかというのが、冒頭に一つの非常に重要な項目として 挙げられているわけですが、特に小児領域については現状がもう少し詳しく分かるよう にしてくださいという御指摘だと理解いたしましたので、その点についてまた機構の方 も…。藤原先生、何か御意見ございますか。 ○藤原参考人 まだこのワーキンググループはずっと継続しておりまして、今後も同じ ようなスタイルで進めてまいりますので、ワーキンググループの方としましては今後そ ういう小児効能の際にはその辺にも配慮した記載ぶりにしてまいりたいと思います。 ○池田部会長 よろしくお願いしたいと思います。本日はこの新しいスキームになって、 今朝も新聞に載っていましたけれども、なるべく早く教科書レベルで使われているよう なものをきちんと記載して、それこそ堂々と使っていただこうという動きなものですか ら、これが我が国の特に悪性腫瘍の治療にとっていい方向に行くことは間違いないので すが、本日のところはワーキンググループでやっていただいた事前評価について先生方 から御意見を伺ったということです。今吉田先生からも御意見を頂きましたけれども、 もし事前評価について御了解を頂ければ、今後はこのスキームにのっとって関係する企 業から承認申請が出されて迅速に審査をして、またこの第二部会で最終的に御議論いた だくというスキームになっていると理解してよろしいのですね。その際はまたよろしく お願いしたいと思いますけれども、是非この新しい仕組みが軌道に乗って患者さんのた めに安全に、そしてなお使って有効に治療が行えるようなものになっていけばと思いま す。恐らく先ほども御説明がありましたように、この重点的な市販後の安全対策という ことがどうやって行われるか、そこもまた非常に重要になってくるだろうと思いますの で、その点も折に触れて先生方に御議論いただきたいと思います。どうぞ。 ○折笠委員 長引いて申し訳ないのですが、一般的な話なのですけれども、今いろいろ なエビデンスを紹介していただいて外国の方が多いというのは当然分かることなのです が、標準的教科書も外国のものばかりで日本のテキストにそういう使い方が書いていな いというのは、保険適用上書けないから書かれていないのか、なぜ日本の教科書に書い ていないのかという疑問があるのです。 ○藤原参考人 日本の教科書にも例えば臨床腫瘍学会ですと臨床腫瘍学などがあります し、それからがんセンターのレジデントが書いているマニュアルがございまして、そち らには記載されておりますけれども、EBMの概念からするとそれをアメリカに持って いってこれを知っていますかと聞いて知らないと言われたら困るので、一応この報告書 の中ではそれは載せなかったのですが、実際にはそういう記載はたくさんされておりま す。ただし非常に困るのは薬事法上承認のない、保険適用のないものをそういうマニュ アルや教科書に載せるのかという批判が一方でございまして、非常にデリケートな問題 なので今回は余り深入りはしないようにしております。 ○折笠委員 私もそうかなと思ったのですけれども、日本のテキストにもきちんと書い てあるのであればかなり広く使われているということが分かるわけですね。書いてある ことは事実であると…。 ○藤原参考人 書いてあることは事実です。それから、これを使用成績のところにどの 程度細かく書くかということもワーキンググループでかなり議論しました。一方で考え ると、これは余り書き過ぎると例えば医療監視とか厚生労働省の人がこれを見て、これ ほど適応外使用しているのかと言われてはいと言ったらまた医療機関の長に迷惑が掛か るのではないかという議論もございまして、書きぶりはちょっとオブラートで包んだよ うになって、皆様方に歯がゆい思いをさせていると思うのですけれども、これは適応外 という現状の非常に大きな問題を反映している記載ぶりと御理解いただければと思いま す。 ○池田部会長 最近は学会のガイドラインなどではやはり公知のものは書いて、しかし これはまだ日本では保険適用はないとか、あるいはまだ承認されていない薬であるとか というものが少しずつ増えてきているような気がしますけれども、それは機構あるいは 本省としてはそういう方向でよろしいのですか。そういうことの方がよろしいのでしょ うか。 ○審議官 やはり治療とか医学も進んでいるわけですから、余りかたくなになってしま って…。ですからそういったものが出てきていいものであれば、またエビデンスが整っ ているのであればこの薬事・食品衛生審議会なり医療保険なりでその評価をして、やは り積極的とは言いませんが、少なくともポジティブに考えていって検討する価値はある のではないかと思うのですが。 ○池田部会長 ありがとうございました。もうお約束の時間が過ぎてしまったのですけ れども、今日はタミフルという薬の予防的な使い方とか、この抗がん剤の併用療法の適 応拡大というような非常に重要な議題でしたので、時間が過ぎて申し訳なかったのです が、御議論いただきました。一応こちらで用意した議題は以上ですけれども、先生方か ら特に御質問あるいは御意見がなければ、事務局から最後に報告をお願いしたいと思い ます。 ○事務局 当部会で2月に御審議いただきましたメロペン点滴用0.25g、同0.5gにつ いては4月23日付けで承認しましたことを御報告いたします。また、次回の日程であり ますけれども、7月9日金曜日2時からとなっております。よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 それでは少し時間が過ぎましたけれども、先生方の御協力感謝いたしま す。本日はこれで終了させていただきます。ありがとうございました。                                    ( 了 )    連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 1 -