04/05/17 社会保障審議会障害者部会(第10回)の議事録            第10回社会保障審議会障害者部会議事録    日時  :平成16年5月17日(月)13時〜16時30分    場所  :厚生労働省18F専用第22会議室    出席委員:京極部会長、嵐谷委員、安藤委員、猪俣委員、岡谷委員、         亀井委員、北岡委員、君塚委員、小林委員、斎藤委員、笹川委員、         新保委員、高橋(清)委員、武田委員、丹下委員、長尾委員、         妻屋委員、堂本委員、徳川委員、永井委員、 広田委員、福島委員、         町野委員、松友委員 ○京極部会長  ただいまから第10回社会保障審議会障害者部会を開催させていただきます。委員の皆 様方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただき誠にありがとうございます。本 日は、日頃から地域における障害者保健福祉行政に御尽力をいただいている立場から、 全国知事会、全国市長会、全国町村会の御意見を伺いたいと思います。それでは事務局 からそれぞれの団体の御出席者の御紹介と委員の出席状況及び資料について御説明をお 願いいたします。 ○間企画課長補佐  本日御出席をいただいております地方三団体の皆様を御紹介いたします。まずはじめ に全国知事会より社会文教委員会委員長の宮城県知事の浅野史郎様でございます。全国 町村会より副会長の園部町長の野中一二三様でございます。また、全国市長会より社会 文教委員会委員長の坂出市長の松浦稔明様に御出席をいただくこととしておりました が、本日は御家族の具合が急に悪くなったということで御欠席との御連絡をいただいて おります。次回以降改めて御出席について調整をさせていただきたいと存じておりま す。御多忙の折り、お出でいただきまして誠にありがとうございます。  また、委員の皆様方の出欠状況でございますが、本日は江上委員、岡田委員、加藤委 員、古畑委員、末安委員、高橋紘士委員、西島委員より欠席との御連絡をいただいてお ります。高橋清久委員、長尾卓夫委員、町野委員が遅れておられるようでございます。  続きまして資料の御確認をお願いいたします。お手元に配布させていただいておりま す資料は、まず資料1としまして、前回までの議事概要というものがございます。それ から資料2といたしまして障害者保健福祉施策の見直しの必要性と題しまして、2枚ほ どのペーパーがございます。そして資料3といたしまして経済財政諮問会議(4月26日 )における麻生総務大臣提出資料というものがございます。そして資料4といたしまし て、介護保険制度の見直しに向けた東京都からの提案(平成16年4月・抜粋)というも のがございます。そして資料5としまして、社団法人日本経済団体連合会の意見という ものがございます。それから資料6としまして、社会保障審議会第12回介護保険部会 (4月26日)での主な意見を事務局においてまとめたものがございます。そして参考資 料としまして、介護保険部会に出されました関連資料をご用意させていただいておりま す。  そしてあと一点、前回資料で一部数字の誤りがございましたので、その正誤訂正をさ せていただきたいと存じます。お詫びし訂正をさせていただきたいと思います。そして 前回の議事録を机の上に置かせていただいております。御発言内容に誤り等がございま したらば、次回5月31日(月)までに事務局までお知らせいただきたいと存じます。ま た資料の不足がございましたら御指摘をいただきたいと存じます。以上でございます。 ○京極部会長  それでは議事に入ります。前回は障害者の自立支援のための保健福祉施策の体系の在 り方のうち、ケアマネジメント等の在り方とサービスの計画的な整備と財源配分の在り 方について御議論をいただいたところでございます。今回は全国知事会、全国市長会、 全国町村会からのヒアリングを行なった後、前回に引き続いてサービスの計画的な整備 と財源配分の在り方について中心に御議論をいただきたいと思います。なお、開催通知 にて御案内いただきました委員からの意見発表につきましては、予定しておりました君 塚委員の御了解をいただき、次回にお願いすることとしておりますことを御報告させて いただきます。  それではまず全国知事会、全国市長会、全国町村会からのヒアリングを進めてまいり たいと思います。最初に全国知事会の浅野知事から御発表をいただき、その内容につい ての質疑を行い、その後全国市長会の松浦市長、今日は御欠席ですので代理の事務局の 方からの御発表と御質疑、続きまして全国市町村会の野中町長からの御発表と御質疑を 行なうという手順としたいと思います。大変恐縮ですが、御発表はお一人15分程度でお 願いいたしたいと思います。それでは浅野知事、よろしくお願いいたします。 ○浅野知事  宮城県知事の浅野史郎でございます。今日はこういう機会を与えていただきましてあ りがとうございました。委員として堂本千葉県知事もお出ででございます。また、私は 知事会推薦のようなことでございますが、もとより知事会としてビシッと決まった方向 性がまだあるわけでもありませんし、個人的な意見になります。個人的な意見と言え ば、私は今から17年前、この建物で障害福祉課長を1年9カ月の短きにわたりやってい たということもあって、この問題には思い入れもありますので、かなりそういったこと も含めて個人的な意見ということも相当色濃く出るということを前もって申し上げたい と思います。  二点話してくれということでございました。一つ目は三位一体改革、私ども地方財政 自立改革と呼んでおりますが、ここの中でこの障害福祉の支援費制度などについても国 庫補助金を廃止してくれと、知事の方から、地方から言っているというのはどういうこ となのかということ、二番目は介護保険制度との統合ということ、二点お話をしたいと 思います。 一点目はもう簡単に、どうぞご心配なく、終わりでございます。でもそれ では身も蓋もないので説明しますと、支援費制度など、これだけを狙い撃ちしたもので はありません。国庫補助金の廃止ということでもありません。これは財源の振り替えで す。我々地方独自の税源をこれに見合うだけ移譲してもらって、それで振り替えようと いうことです。しかもこれだけ狙い撃ちしたというのではないというのは、我々知事会 としては9兆円廃止してくれというふうに言っております。  ただし、この国庫補助金を廃止することによって、この補助金の使い勝手をよくする ということだけでもないんです。それだけが狙いではありません。むしろ我々知事なら 知事が、どういう分野にどれだけ使うかということについても含め、自由裁量でやると いう方がこれからの地方の時代にとってはいいでしょうということなので、これだけ狙 い撃ちではなくて、いろんな補助金と一緒に廃止をし、それを独自の税源に振り替える いうことをすべきだと申し上げているわけです。三位一体改革ということは単に方法論 だけを言っているので最近我々は使っていませんが、地方財政自立改革ということが趣 旨です。そしてさっき結論で言ったように、そんなに心配しないでください、これにあ まりかかずらわらないで下さいということを私の立場から申し上げたいと思います。詳 細を言うとこれだけで1時間半かかってしまうので、これは以上です。  二番目は、今日はこれを言いたくて来ているわけですが、介護保険との統合というこ となのですが、そもそもこの問題提起自体が如何かというふうにも思います。つまり、 今この障害者部会でも語られているように、今、我々の抱えている障害福祉の分野にお ける問題点は何なのかということから当然始めなければならないと思います。  いろんな問題がありますが、ここではこの問題との関連で二つに絞って申し上げたい と思いますが、一つは在宅支援です。これはここのところずっと社会の流れになってき ました。施設から地域へ、在宅へということなんですが、そしてもう一つ、支援費制度 がやったことの効果は、寝た子を起こしたということです。実際に支援費制度になって いろんな障害を持った方が支援費制度を使う、それからまた支援費制度は実は在宅支援 というのをまさに支援するために、そこに強調されてできた制度であるということもあ って、全国で障害者自身が飛びついたわけですよね。いい意味で寝た子が起こされまし た。寝た子が起きたけれどあげるミルクが足りないというのが今我々が見ている問題で すが、寝た子が起こされた、これはいいことです。  その一つの流れとして、我がみやぎでは去る2月21日、宮城県知的障害者施設解体宣 言というのを出しました。解体という言葉がややインパクトが強過ぎて、何だというふ うに言われておりますが、我々行政も含んで宮城県における障害福祉施策の方向性は知 的障害者の入所施設を解体できるようなところまでもっていこう、もちろんその裏とし て在宅支援の条件、要件というのを充実していこうということの宣言でもあるわけです が、そういったことが今いろんな形を変え各地で出つつあるという方向があります。今 の障害者福祉という中で、この在宅生活の支援ということが十分担保できるような仕組 みになっているかどうかということが我々が今目の前にしている問題です。  二番目は精神障害者の問題です。支援費制度ができても、なおかつ精神障害者はそこ からも排除されています。一方において精神障害者本人、それからそれを抱える家族と もに高齢化しています。待ったなしです。そういった遅れてきた障害種別である精神障 害者が抱えている問題、これをどうするかというのは私は待ったなしの問題として抱え ていると思います。もちろん現在の障害福祉の問題が今の二つだけに絞られるものでは ありませんが、大きな問題として解決していかなければなりません。  今のような問題というか課題というのをどう解決していくかという時に、我々は支援 費制度というのを持ちましたが、これで解決できるのかという問題提起をしなければな らないと思います。二番目は今言ったようにダメでした。二番目というのは精神障害者 は支援費制度がてきても対象外ですから、これは支援費制度ができて万歳ということに はならなかったということをもう一度確認しておかなければならないと思います。  一番目の問題の在宅支援ですが、これも在宅支援のお金について義務的経費、裁量的 経費という言葉でも象徴されているように、在宅支援のお金は、わかりやすく言えばお 金があるだけ出しますよ、なければやりませんよということになっています。これは施 設支援と対比されるわけです。在宅支援というのをかなり旗印に掲げて出発した支援費 制度がそういうことで財源不足、特に在宅支援における財源不足に陥っているというの は、残念ながら事実でありまして、支援費制度はその意味では、今さっきあげた我々が 持っている課題への解決として十分な答を提供していなかったということを言わざるを 得ないと思います。そういった布石をもとにして、介護保険との統合ということにな り、私はそれを積極的に進めていくべきだという論者です。  ちょっとここで言っておけば、二階建て、二本立てはありということです。介護保険 で全て障害者福祉の問題を代替させてしまうというか、そこで含めてしまうというの は、これは無理なことだし、適当でもありません。従ってこれからも税金を使ってやる 部分というのはある、上乗せの二階建て、横広げの二本立てという部分がある。  詳細については申し上げません、介護保険に入れるということの意味というのを二点 だけに絞って申し上げたいと思いますが、その前にこれはここでも議論になったようで すが、財政的にメリットがあるということだけで言うのではありません。それはもちろ んおかしなわけで、介護保険にするとどこか天からお金が降って来るというわけでもな くて、国民の負担で賄わなければならないというのは同じですから、これは介護保険に したことイコール財政的に豊かになるというものではないという、当たり前のことで す。従ってこれは介護保険ということを導入するということによるメリット第1号にあ げるものではないと思います。  それでは何なのか。一番目は私は連帯という掲記を入れるということだと思います。 介護保険料といいますが、実態というか、内容はこれは目的税ですね。支援費の財源で ある税金は目的税ではもちろんなく、一般税であって、何に使われるかわからないお金 の中で支援費にとり分けて財務省から持って来るというお金です。介護保険の場合には その介護のために使うという目的税でありますので、これはその連帯の掲記がありま す。  2000年に今の介護保険制度ができることを思い起こしてみました。私も宮城県で「介 護保険制度ができるんだよ、保険料を払ってください」ということを特に65才以上の方 に言って回った時に、「損するんじゃねえべか。ずっと保険料を払い続けて20年払って 一回もお世話にならないで死んでしまったら損するんじゃねえべか」という話でかなり 懐疑的だったんですが、今はそういうことを言う人はほとんどいません。  というのはあちこちで介護保険の対象としてかなりな給付を受けている人を見ている 中で、明日は我が身ということを実感として持ってきたわけです。まさにこれが介護保 険料を払うということをもって連帯の証として根づいているということです。これを障 害福祉にももっていけないだろうかということが一つ、この介護保険でやるということ と支援費でやるということの大きな違いとしてあげられるのだろうと思います。  二番目は、ゲームのルールと言ったらいいんでしょうか、こんなふうに申し上げたい と思いますが、我々支援費制度で、はっきり言えば騒動を見ました。この2年続けて年 末毎回そうです。障害者の皆さんがこの建物に座り込んで拳を振り上げてやってきまし た。支援費制度を巡って金が足りないとか何とかということの騒動のゲームのルールは 厚生労働省に押しかけるということなんですね。それは厚生労働省の背中を押して財務 省から金をとりに行かせるということなんです。ゲームのルールは非常に単純です。  介護保険ということになると、これはそう単純ではないんです。保険料負担者が一方 にいます、そしてもちろん事業をする、経営する市町村がいます。その後ろに県、国が います。それから介護保険事業者がいます。財務省もいるでしょう。その中に今一部経 営団体もいます。介護保険の保険料、これは障害者を入れてまた上げられてはかなわな いという人がいます。それでいいじゃないでしょうか。  まさにゲームのルールで、登場人物がそれだけいて、そこでああでもない、こうでも ない、保険料負担を上げるのは反対だ、賛成だ、いや給付を上げろという、その混沌の 中から答えが出て来る、これがゲームのルールだと思うんですが、今は支援費制度では 単純に厚生労働省に押しかけて行って金を取って来るか、取って来ないかということ で、本当に国民的な議論になるんだろうかというか、その辺のところを非常に心配して いるというか、私は制度としては国民を巻き込んでやっていく制度であった方が民主的 というのも変ですが、しかも納得すれば給付のレベルも上げ得るというレッスンも含め てあった方がいいのではないかいというふうに思っています。  それから若干言えば、障害者本人から介護保険には入りたくない。例えば高齢者の自 立というのと障害者の自立というのは意味が違うということがありますが、これは本当 にそうでしょうかというところが実はあります。それと具体的には青天井議論がありま す。現在の介護保険では介護度が一番重い方にとっても月にいくらという限度があっ て、それ以上は介護保険は見ません、自己負担でやってくださいとなっています。そん なものに障害者が入れられたのではやっていけないという話がありますが、それはその 通りだと思います。  私はこれについてはむしろ本体の高齢者向けの介護保険においても,何で青天井にし ないんだろうかということがあるわけですね。医療保険との対比において。医療保険に おいて、いやあなたはガンですが医療費はここまでで後は自分でやってくださいという ふうになっていません。高額医療費制度まであります。やはり介護保険においてもそう いう足切りがあることによって、年金をまだ貯金しなければならないという馬鹿馬鹿し い状況になっている。これはやっぱり保険として不十分ですね。  一番大変なところを賄うというのが保険だと私は思うのですが、例えばそういうとこ ろを障害者の方が今の介護保険制度にこんな問題があるといったような、その通りの部 分がある。だったら直せばいいじゃないでしょうかということで、むしろ、だから介護 保険に入るのは反対だというのではなくて、だから今の介護保険を使い勝手がいいよう に直すべきだという議論というのは、そこそこに散見されると思います。そんなふうに 議論をしていくべきではないかと思っております。以上です。 ○京極部会長  どうもありがとうございました。ただいまの浅野知事の御発表に対して御質問等がご ざいましたら順次御発言をお願いいたします。 ○妻屋委員  お話はよくわかります。浅野知事の言い方はいつも聞いておりますのでよく理解でき ます。要は利用者は、支援費を利用している人が今一番不安に思っていることは、制度 ができてからそんなに経ってないのに、すぐ変えて大丈夫かという心配があるわけで す。その心配に今の話からどういうふうに答えられるのか、それは心配ないですよと言 うのか、その辺がちょっと聞きたいところなんです。  それからもう一つ、措置制度の時でもいろいろと障害福祉のことについて地域間格差 が大きかったわけですね。それで例えば東京都と地方、あるいは横浜と地方という具合 に格差があるわけですね。横浜とか東京ではいろいろ福祉制度が充実している。しかし 地方へ行けばなかなかそれは難しいという話があったんですね。一般財源化されるとい うか、補助金を全部地方に任せるということになった場合に、紐付きの補助金かないわ けだから、地方で独自に判断して福祉制度をやっていかなければいけないわけですが、 そういった時にその県の障害者は安心して県にお任せできるのかという不安があるわけ ですね。そういった不安についてどう思われますか。 ○浅野知事  まず一点目は、支援費制度でやっていける、そちらの方がいいというのならば私はそ れで思うんですよ。ただ、私はどうもそれではいかんのじゃないかというふうに思いま した。特に先程は言わなかったんですが、在宅支援ですから、一旦寝た子を起こされて 在宅に行ってしまって、いやちょっと金がないからダメなんだ、我慢してくれと言われ て戻れますか。これは乾坤一擲で出て行くわけですから。だからこれはやっぱり制度の 安定性ということは絶対の条件だ、そして安定性ということから言って、今の支援費制 度の仕組みとどっちがいいでしょうかということで、これは双方メリット・デメリット あると思いますが、これは政策論で支援費制度という枠組み、税金をもとにしてやって いくというのでも十分というか、十分でないにしてもやれるというのであれば、そちら を選択してもいいと思います。私はかなり不安なのではないか。これは見方の違いで す。  二番目は、多分最初に御安心くださいと言った点だと思います。補助金の廃止、これ は実は全ての行政項目で言えることです。義務教育費国庫負担金の廃止とまで言ってい ます。これは全国で2兆6千億円使われているわけです。もし義務教育費国庫負担金を 廃止したら、宮城県では義務教育で手を抜くんじゃないかと思われる。いろんなものは 全部そうですよ。農水省の補助金も廃止しろとなれば、農業者はどうするんだなど、森 羅万象全部そんなことがあります。  それでいくと非常に乱暴に聞こえるかもしれませんが、それでいいじゃないですか、 だってそういう知事を選んだんだから。民主主義というのは私はそういうものだと思う んですね。自分たちの税金を県に払っていて、その県が自分たち、要するに自分たちと 利害関係はいっぱいあるわけですが、その中で不満足だとすれば、それは退場してもら いましょうというのが民主主義だと思います。  今はそうでなくて、いい意味では下支えがあるから福祉にほとんど関心がない人もあ る一定のところはやるというふうになっているかもしれませんが、そういう状況で地域 の底力というのができるかどうかということも含めて、我々はボンとさらした方が長い 目でみたらというか、日本のこれからのあり方の中ではいいと思う。これは一般論で す。この分野においてもそれは貫かれるのではないかと思います。 ○京極部会長  事実関係だけ申し上げますと、支援費制度の在宅サービスはいわゆる裁量的経費にな っていて、介護保険における在宅サービスは義務的経費になっているという、財政構造 上の違いがあるということを前提にお話をいただいたわけでございます。それでは他に どうでしょうか。 ○徳川委員  障害者施設協議会の会長の徳川でございますが、知事に三点伺いたいと思うんです が、一つは施設解体という非常にインパクトの強い発言をなさって、これについて新聞 紙上でしか我々はわからないのですが、知事は不要論じゃないよというふうな、必要な ものはというふうな御意見だったと思うんですが、その辺少し、全く施設なんか要らな いなとおっしゃっていらっしゃるのか、それとも本当に必要なものはやはり必要だとい うふうにお考えなのか、その知事の解体論について少しだけ御説明をいただきたい。  二点目は、連帯ということを保険が一つの大きな目的だというふうにおっしゃったん ですが、そうなると保険以外にも連帯をもっと強める選択肢はないのか、保険だけが連 帯を強める一つの選択肢なのかということを知事のお考えを伺いたい。  そして三つ目は、高齢者と障害者の自立の問題は本当に違っているのか。何か今途中 でおやめになったんですが、全く似たようなものだというふうなニュアンスをちょっと 感じたんですが、その辺全く同じとお考えなのか、それとも障害者の自立ってどういう ふうに捉えてらっしゃるのか、その三点を伺いたいと思います。 ○浅野知事  施設解体宣言はぜひ新聞だけじゃなくて、新聞にも原文があると思いますが、私が直 筆で書きましたが、A4版2枚ぐらいの大したものではありませんが、読んでいただき たいとは思います。まず、これは入所施設のみです。通所施設は解体ということではあ りません。これは誰に向けて言ったのかというと、これは私の思いからすると、どちら かというと我々県庁職員に向けた部分もあるのです。我々がこれからの宮城県の障害福 祉の方向として、あの島影を目指すのか、こっちの島影を目指すのかということなしに 仕事なんかできっこないでしょうということで、我が宮城県は施設を解体してもいいよ うなふうになるような障害福祉の方向を目指しましょうのが施設解体宣言です。  わかりやすく言った時に、私は100年かかるでしょうと言ってるんですよ。しかし解 体宣言というか、ああいうことでちゃんと方向を示さなければ300年かかってもできな いのではないかということがあります。それからこれは本人が決めて欲しい、施設が決 めるのでもない、それから家族が決めるのでもない、我々が勝負をかけたんですね。残 してもいい施設があるではないかということなんですが、それを我々が決めてはいけな いんです。それは知的障害者本人に、一方において地域において、こういうようなグル ープホームなり、いろんな手立てで方法がありますよということをちゃんと示して、施 設もあって、さあどっちを選ぶんだ、我々は心意気としては絶対に在宅の方を選ばせて みせる、その方向で強化しようというのが解体宣言の方向です。施設を残してもいいの もあるんじゃないかという問題提起はあるのですが、それを誰が判断するのかというの が私はポイントだというふうには思っています。  二番目の連帯というのは、これは他にも連帯の方法があるということですが、支援費 制度、税金を財源としている支援費制度と、保険料を財源としている介護保険というの を比べたら、連帯という掲記は介護保険にあるでしょう。それは今度の2000年の高齢者 の介護保険を始める時にもやっぱりその連帯という言葉でしか説明できないような現象 が起きた、夢よもう一度ということでした。  三番目の自立、これは多分いろいろ議論はあるでしょう。例えば障害者がデートをす るためにガイドヘルパーをつけるとか、遊びに行くためにガイドヘルパーをつけるとい うのは、高齢者では介護保険の対象になってないですね。だけど若い障害者の場合はデ ートのためにガイドヘルパーをつけるというのも、これは自立というのかどうかわかり ませんが、対応としてはやっぱりより多く考えられますよね。だから対応が違うのでは ないか。  もっと本当は根源的な問題があって、保険というと保険事故ですから、使う側に本当 は裁量の余地があるとなかなか運用は難しいという部分はありますよね。だからデート のためのヘルパーをつけても、これは特に毎日毎時間でも会っていたいという人にずっ と要求がある度につけるのかというような問題もあるのですが、これはちょっと運用の 問題で、私の能力は超えていますが。ただ、あると言えばある。ですからこれは多分障 害者か高齢者かというよりも、年齢とか、そこで分けるということもあったりするのか なというふうには漠然と思っています。 ○京極部会長  他にどうでしょうか。 ○新保委員  精神障害者社会復帰施設協会代表の新保ですが、精神障害者問題について、いずれに しても早急な策が必要だという御指摘、それは大変有り難く思っているのですが、御発 言の中で財源の移譲、それを現状ではなくてもっとたくさん移譲して、知事の裁量権に 委ねてやっていってもいいんじゃないかというお話がございます。しかも民主主義社会 なんだから、きちんとした知事を選べば精神障害者問題もそこで忘れることなくきちん とやってくれるはずであろうという思いが奥にあったんでろうと推測はいたしますが、 現状の精神障害者のおかれた状況を考えますと、とてもそれは難しそうに思えるわけで す。 実際、国庫補助金をなくして知事の裁量権で全てが担われるようになった時に、 地域間格差がますます広がるのではないかというような現状の不安がございます。さら には施策の進展が地方、地域によってバラバラになってしまって大変困難な状況におか れてしまう地域がもし生れるとしたら、それはやはりいくら民主主義とはいえ、民主主 義社会の中で忘れていけないことというのは、最も弱い立場にある人のことを忘れない ことだろうというふうに私は思うんです。  ですからそうしたことをふまえていきますと、三位一体改革の中で、いわば財源移譲 の問題はございますが、基本的には補助金体制でこのまま社会復帰施設の運営がスムー ズに成り立ち得るのかどうかということについての御意見を一つ聞きたいということ と、それからもう一点、現況では大変厳しい状況にあるのは承知しておりますので、新 たな策といった時に、それを担保する財源として、例えば知事は介護保険を活用したら どうかということについてどのような御意見をもっているか、精神障害者の支援の財源 として、どのような御意見を持っているかをお聞かせいただければありがたいと思いま す。 ○浅野知事  後段から言うと、まさに私はそうしましょうと。二つある理由のうちの本当に大きな 一つは精神障害者の問題です。なぜ支援費制度まで除外されたのかということを深刻に 考える必要があると思うんです。だから敗者復活戦みたいなものですが、介護保険で、 これは本当に精神障害者を救うためにということも旗印に掲げていいんじゃないかと思 うぐらいなんですが、まさに介護保険で共通の部分はちゃんと拾ってやっていくという ことによって、精神障害者福祉は間違いなく格段に伸びると思います。急がれると思い ます。  だけど前段は、これは本当に大議論になるのですが、さっきも言ったように他の部門 でもみんな同じような言われ方をします。じゃあそれはいつになったらやめられるんで しょうか、精神障害者のための補助金というのは、いつになったらやめられるんでしょ うか。いつの時代でも理解の薄い首長は選ばれるでしょう。そういう地域はあるでしょ う。だけど私はそれを乗り越えるべきだと思うんですね。それが地域の底力だと思うん ですよ。地域まで巻き込んで。  だからこれはかなり政治的というか、運動論ではあるんですが、それをやらなければ 日本の国は多分救えない。いつまでも国営的に精神障害者福祉も障害者福祉も、これは 危なかしくて見てられないから、国がちゃんと後ろ支えをしてやっていくんだという仕 組みを23世紀でもやっていくんでしょうか。今、我々はちゃんとやっていきましょう、 それは福祉に理解があるかどうかというのは別としても、本当を言えばそうでない、い い加減な首長がいても、ちゃんとそういうものがやれるというシステムを作っていかな かったらこの国は危うい。少し青臭い議論ですが、地方財政自立改革というのは実はそ ういう議論です。 ○京極部会長  それでは最後に安藤委員からお願いいたします。 ○安藤委員  全日本聾唖連盟の安藤でございます。お聞きしたいのは先程の話の中で全国知事会に とっては明確な方向をまだお持ちになっていなくて、浅野知事さんの個人的なお考えだ と言いましたが、その中で三位一体については地方財政確立に関係して非常に重要な問 題だというお話です。ただ、この三位一体の改革については全国の知事の中でも問題に している知事もいるのではないかと思うんですが、地方財政の確立について、それは全 国の知事さんの皆さんが意思統一して国に改革を迫るとか等の統一的な行動が必要では ないかと思うんですが、実際にその三位一体の改革を知事会がどういう決定を持つの か、これについて少しお聞きしたいと思うんです。  それともう一つ、支援費制度と介護保険の国でまた統合についてですが、私の個人的 な考えとして、高齢者の福祉とか障害者の福祉を区分するのではなくて、国民全体の福 祉というものを視野に入れて推進することは非常に重要だと思うんです。ただ、それに は浅野知事のお話もありましたように国民的な合意が必要です。また、支援費制度の内 容についてまだ改善すべき点も多いし、障害者全体の理解力も必要なんです。  それが今年の秋頃までに方向を決めていかなければならないというようなタイムリミ ットがあるということ、それではなくて、非常に重要な問題ですので時間をかけた慎重 な論議の中で方向を定めていくというようなことが必要ではないかと思うんですね。方 法としては理解できるけれども、期間という面をもっと考える必要があるのではないか と思うんですが、いかがでしょうか。 ○浅野知事  まず、知事会が必ずしもまとまってないというのは、この介護保険の問題について私 ほど明確に一つにまとまっているわけではないということです。原文がちょっと今手元 になかったのですが、この問題については十分議論を尽くすべきであるという、介護保 険に障害者を巻き込むという方向についてというふうに書いています。だからこれはま だアンケート調査の結果でも両様慎重にというのが結構多かったりするので、そういこ とを言いました。  一方、三位一体改革、地方財政自立改革については、まず一丸としてまとまっていま す。このあと堂本委員が残られますから、また補足があろうと思いますが、これについ てはもう我々知事会は一致団結です。ともかく補助金、負担金を廃止、その前に税源移 譲をして、それに見合うだけの補助金、負担金の廃止をしようということで、これは全 く異論なく一丸となって進めていくという今年は戦いの年であると、自分にも言い聞か せています。  それからいまのこの問題について慎重にというのは、私は逆に障害者の立場になっ て、もう待てないんじゃないでしょうかという感じが逆にしているんですね。障害者の 命にも限りがあるし、早く在宅生活をしたいと、のっぴきならない状況である時に、で きてまだたった1年と言いながら、こういう支援費制度のもとで本当に大丈夫なんだろ うという議論は、議論だけじゃなくて、安定的な制度を作るというのはものすごく急が れると思います。それが介護保険しかないというのは議論があるというふうにおっしゃ いますが、私はかなりそれに近い介護保険しかないというか、重要な選択肢だというふ うに思っています。  今の文脈で言うことではないと思いますが、時期尚早と言うならば、100年経っても 時期尚早なんですよ。いまやるべきだと言うならば、本気で考えて、間に合わなかった らその時に考えればいいんです。最初から間に合わないだろうということでやるべきで はなくて、今我々に来年も改正ということのスケジュールがあるのだったら、これを逃 したらまた5年後ですね、そんな余裕があるのだろうかということを、拙速はいけませ んが、いたずらに議論を重ねるということもまたもう一方問題ではないか、私が言うべ きことではないかもしれませんが、私は個人的には強くそう思っています。 ○京極部会長  それでは最後に広田委員、どうぞ。 ○広田委員  今、浅野知事が言っていただいた、精神障害者のことが支援費に入ってなかった、私 は精神医療サバイバーという、この国の精神医療の被害者として精神障害者本人です が、そういう認識を持っていただいているということにありがとうございます。ここに 堂本委員とそれから浅野知事と二人いらっしゃいます。全国の地方自治体の施策で精神 障害者が入ってないことがあるんですね。そこには当然精神障害者本人が委員として入 ってないわけなんです。  お二人にお願いしたいのは、ぜひ知事会で、そういう知事を選んでいる県民も悪いか もしれないけれど、知事会の方で精神障害の問題をやろうよと、それがこの国の福祉を 進めるよ、これだけ遅れているのがあるんだということをぜひ言って応援していただき たい。精神障害者ということを知らない知事さんもいらっしゃるわけですよ。そういう 言葉の中には。ですからぜひここには本当に福祉にお詳しいお二人がいらっしゃるわけ ですから、知事会の方で精神障害者の施策を訴えていただきたいということでお願いい たします。 ○京極部会長  どうもありがとうございました。それでは浅野知事ありがとうございました。次に松 浦市長は今日は御欠席なので、あとで代理の方からお話をいただくことにしまして、野 中町長、よろしくお願いいたします。 ○野中町長  それでは今御紹介いただきました京都府の園部という16,000余りの小さな町の町長を 長年努めております野中と申しますが、今日全国町村会といたしましても、財政の見直 しなり、また介護制度、また障害者制度とそれぞれを一定見直していくべき必要性とい う形から、先日来から全国町村会の各都道府県の正副会長の163名の皆さんに意向調査 をいたしました。  その中で120の町村長から回答をいただいたのが実際でございまして、第一番目は障 害者施策との関係についてという形で、内容的には介護と障害者施策の環境をどうする かという形の質問をいたしました。その中で障害者サービスをセットで考える必要はな いという意見が50%でございました。障害者サービスをセットで考える必要があるとい うのが33.3%でございました。内容的には統合すべきという意見なり、統合すべきで ないという意見にはいろいろございますが、今日ここで詳しく御説明を申し上げている 時間的余裕はございませんが、何はともあれ基本的には国があまりにも財政的な形を主 にしすぎているということに対する批判が町村長には多分にあるということも事実でご ざいます。  先程から浅野知事からいろいろ御発言がございました。私も加勢をいただきながら痛 切に感じましたのは、間接行政をしておられる府県と直接行政をやっている我々町村と には感覚的な違いが大変大きいんだなというのを痛切に感じました。私たちは介護であ れ、障害者の皆さんであれ、直接的に接するわけでございますので、それなりの実感を 味わっておるというのも実際でございますが、この辺の違いを痛切に感じましたのが、 今日はそのことよりも今申し上げましたように、保険者の範囲についての関係について の質問につきましては、保険者の範囲について拡大すべきではない、また拡大すべきと いう設問に対しましてもは41.7%の同率であったことは事実でございます。  なお、具体的な形で範囲の年齢拡大についてよく論議になっております30才までな り、20才までという意向については、将来的には20才まで下げるのは当然であろうとい うふうに思いますが、現況については町村として未収金が多大に増える可能性がある。 20才代の皆さんにはまだ所得のない不安定な人が多いわけですので、そんな中で20才ま で引き下げることは国の施策としてはいいかもわからないけれども、直接的な町村とし ては多大な負担になる。この辺では30才までは認めたとしても、それ以上はすべきでな いというのが町村長の意向であったことをまず申し上げておきたいと思います。  そんな中で私は今日ここでいろいろ私たちの最終意見を申し上げますまでに、私も正 直申し上げまして、この介護保険制度の設立までの間3年余り審議会の委員として大変 な論争をしてきた一人でございまして、特に私は介護制度の5段階制について、6段階 制を終始主張した一人で、私はやはり6段階制が最も必要なんだと思います。  6段階制がなぜ必要かというのは、やはり5段階制というのは国は所得が200万以上 の皆さんは1.5倍の保険料という制度が出された意向がございます。しかし私は少なく とも500万以上の所得の人が大変おいでになるんだから、この皆さんには2倍の保険料 を貰うべきだ、その代わりに所得の少ない人にこの2倍貰った保険料を軽減していくべ きじゃないか、そのことで低所得者の負担が軽減されることが大切なんだということを 大変厳しく申し上げまして、最終的には厚生省の皆さんも私の意向を入れていただい て、市町村の選択制にしてくれという形になりました。  この選択制で私は私の地域へ帰りまして、私の地域は1市8町という地域の市町村が あるわけでございますが、この1市8町の9市町でぜひ我々の地域はこの6段階制を取 り入れて欲しいというお願いをして、1市8町がこの6段階制を取り入れたことは事実 でございまして、発足当時は全国で11の市町村が、確か関東で二つの市だったと思いま すが、11の市町村がこの6段階制を選択をいただいたことは事実でございまして、それ から以降2回目の時には大変多く、200〜300市町村が増えたというふうに伺っておりま すが、何はともあれ私たちはそういうやはり低所得者が安心をして介護が受けられる、 こういうシステムこそ大切なんだ、やはりそういう形をやかましく申し上げまして、私 のところの場合でも今回の平成15年度の制度改正におきましても、私のところの場合は 2,900円で止まっておるのも実際でございまして、そういう2,900円の中で6段階制を対 応いたして最高はやはり年間69,600円の保険料をいただいております。最低が8,700円 でございますので、その差8倍、1対8という保険料の差を作っております。  やはり1対3の保険料がいいのか、1対8の保険料がいいのか、たった1段階の違い でそういう差があることを私はやはり十分御理解をいただき、低所得者の皆さんも安心 して介護のできるシステムこそ重要ではないかということをこの機会に特に皆さんに申 し上げておきたいというふうに申し上げたいことが一つです。  もう一つは、私たちこの介護の問題と障害者のかねあいにつきましては、将来は統一 する必要性があるかもわかりませんが、現在は反対だという意見が多いということを申 し上げておきたいと思います。その理由はといいますと、やはり障害者の皆さんに、特 に聴覚とか視覚とか内部障害者等については介護保険の現在の認定制度では、こういう 今申し上げました聴覚、視覚、内部障害の皆さんでは大半自立となってしまうような可 能性が多分にあります。そういう点からやはり段階については介護の方をもう少し簡素 化して対応して貰うことが大切ではないかという考え方を持っておりますことが一つ。  また認定の有効期限のかねあいは原則最大2年という形になっておりますし、居宅な り施設の3年ということもございますが、やはり重度になっていく場合はそれなりの審 査請求ができますけれども、万一の場合、唯一の欄は施設入所の人たちが介護度が改善 した場合、こういう場合には認定上のかねあいが残っていくような感がするのも実際で ございます。  また保険料のかねあいについては、皆さんも御案内の通り、支援費との一元化の給付 のバランスをとることが保険料の徴集対象年齢を引き下げるという形になるわけです が、先程も申し上げましたように、20才までの引き下げについては私としては反対をす る。これは先程申し上げましたように、やはり20才までの皆さんでは所得の保障ができ ない状態の中では大変である、こんな考え方から20才までの引き下げについて反対をせ ざるを得ないというのが現況でございますので、ご理解をいただきたいというふうに思 います。  私の町のことを申し上げますと何ですが、昭和61年から私たちの町は寝たきりの家族 を介護しておられる皆さんへの感謝金制度というのを作りまして、当時は15,000円の安 い金額でございましたが、やはり感謝をする町民でありたいという願いからこういう制 度をしたのが一つ。  もう一つは家族介護ができる条件をという形で、ホームヘルパーの育成を私たちは平 成7年から思い切りやりました。お蔭様で園部町の場合は3級のホームヘルパーを792 名養成をいたしました。うち450人が2級のホームヘルパーの資格をとっていただいて おりまして、ただし家族介護といっても密室でございますので、この辺をやはり対応し たいということで、平成9年には財団法人として福祉とシルバーをセットにいたしまし た財団を設立をいたしました。  このヘルパーの有資格者はこのシルバー人材センターに全員登録をいただく。そして 家族の介護をしなければならない時には、この福祉とシルバー人材センターに申請をい ただいて、この財団が認定をする。この認定の中でできるだけ身近な人を認定をすると いうシステムにいたしまして、家族を中心に介護のできるシステムをいたしたのも実際 でございます。ただ、密室的な形がございますのが、やはり定期的に民生児童委員さん 等に定期的な監視や指導や助言をいただくという制度を作っておるのも実際でございま す。  ただし一方においては、1日3時間以内、月90時間以内という一つの限度を作りまし て、朝昼夜1時間ずつ3時間したら十分できるじゃないかという形で、家族については 1時間1,200円程度、10万円程度の現金支給のできるシステムを作っておるのは実際で ございまして、やはり我々としては国の制度は現金支給はしてはならないという歯止め はございましたが、私たち弱小の町村はそうじゃない、やはり家族が家族を介護できる システムと、ただしそれはやはり点検するシステムをきちっとすることによって対応す べきである、こんな考え方で対応をいたしております。  ただ、ホームヘルパーの資格のない中で介護しなければならない皆さんもおいでにな りますので、こういう皆さんについては資格を取得するまでの間、現在は月3万円でご ざいますが、3万円の現金支給、感謝金制度を利用していただいておるのが実際でござ いまして、我々として現在園部町には448人の介護の認定者がお出でになります。要支 援が46人です。介護1が118人、2が80人、3が80人、4が75人、5が49人という形で の認定をいただいておりまして、それぞれ地域の皆さんで家族を中心に親戚、知り合い 等が中心になって対応いただいているのが実際でございますので、我々としては円滑な 介護ができておるといっても言い過ぎでないというふうに思っております。  長時間いろいろ申し上げましたが、何はともあれ私が最後にお願いをいたしたいの は、国は財政的な形だけで今あらゆるものの見直しが主張されておりますが、国が財政 的に厳しいのもよくわかります。ただし、我々市町村は直接行政をして住民の皆さんと 接しなければならない立場がございます。国や府県は下に対してものを言っておればそ れで済むかもわかりませんし、補助金等を削ったら国や府県は済みます。ただし削られ た市町村はそうはまいりません。好むと好まざるに関わらず、やはり住民の皆さんへの 施策を怠るわけにはいかないというのが市町村の現況でございますので、大変厳しいも のの言い方をいたしますが、関係者の皆さんがぜひ私は御理解をいただきまして、直接 行政の市町村がお金はなくても住民の皆さんに対し、せめて心温かい施策のできるよう な御支援だけはお願いをしたいというふうに思いますことが事実です。  もう一つは制度を利用される皆さんにも、こういう財政的な厳しい現況を十分御理解 をいただいて、こんな経済事情の時こそみんなが時には辛抱しあったり、助け合って努 力をしていくことが大切であるというふうに私は思います。国においてもこのような事 情でありましても、安定した財政の確立のために市町村に交付税等でき得る限りの配布 をいただきますこととともに、どうぞ我々住民がお互いに苦しい中には辛抱しあって、 この時期を乗り切れるような対応に皆さんの御理解や御協力をお願いを申し上げて、私 の意見とさせていただきます。ありがとうございました。 ○京極部会長  どうもありがとうございました。ただいまの野中町長の御発表に対して御質問等がご ざいましたら順次御発言をお願いいたします。 ○堂本委員  現場の町長さんとして非常に貴重な御意見をありがとうございました。私もそうです し、多分浅野知事も同じだと思いますが、これから100年かかると言われる中で、どこ が主体となって実際に障害者福祉を展開するかといえば、それはあくまでも基礎自治体 である市町村、合併がこれから進んでどういうふうになるかわからないとしても、いま のところは市町村であろうというふうに私は考えています。  ただ、今現段階で、たしかに機関委任事務その他なくなっているとは言え、まだその 移行の時期である。それから国からの財政的な移譲ということもまだ十分に行なわれて ないという中で、今考えているわけですが、唯一申し上げたいのは都道府県がどちらか というと国の方に今ついているのではなくて、都道府県と市町村とが一緒になって国に ものを言う時期ではないかというふうに思っています。  そういう中でこれから国の方の財源が大変好転をすればよろしいのですけれども、そ れは大変難しい事態にある。そういった場合に税金だけを頼りにしていけるのかといい ますと、そのことは少子高齢化が進む中で大変難しい。といたしました場合にどうやっ て多くの障害者の方も選択の自由を確保して、自分の地域で住みたいという方も多いわ けですから、そういった時にどういう制度を作っていくかということがいま問われてい るのだと思います。  すぐに右から左に補助金の問題で市町村がお困りになるような事態を招いてはならな いと強く思っておりますが、同時に少しだけ一緒にやってきた側として、浅野知事のお っしゃっていたことを私なりに御説明すると、それはもう20世紀のような高度経済成長 ではなくて低成長に入り、そして少子高齢化の時代になったところで、自治体と民間が 一緒になって、地域の住んでいる方たちが一緒になって障害をお持ちの方、あるいは高 齢者の介護をどのようにこれから実現していくかということを抜本的に改正していく方 向性を必要としているのではないかという、長期的なビジョンでおっしゃっていたので はないか。  したがって100年というおっしゃり方をなさってましたが、また町長さんも将来は統 合してとおっしゃいましたので、そこのところではそんなに違っておられないのではな いか。ただ、あくまでもやっぱり直接行政の場が一番大事ですし、そこでもって財政的 な破綻をきたさないということのために考えた場合に、はたして今後どうするのかとい うことの課題かと思いますので、それを付け加えさせていただきたい。 ○妻屋委員  先程、浅野知事は補助金を廃止してみんな県の方へ配分して貰いたいということを言 ってましたが、例えばそういうことになった場合に、三位一体が実現した場合に、その 市町村に住んでいる障害者はそのことによってどういう変化がありますか。また、良く なるでしょうか。あるいはそのままでしょうか。どうでしょうか。 ○野中町長  私にそういう質問を今おっしゃられても、こうなりますという自信がないことは事実 でございます。ただ私たちが言えますことは、お金のない時代でございますので、直接 行政の中でやっぱり隣近所、家族を含めての心の温かさをどう私たちは構築していくか というのは、これからの我々市町村の最大の課題であるというふうに私はそう思ってお ります。 ○松友委員  二つ質問なんですが、一つ最初に申された町村会でアンケートされたら統合、つまり 障害の政策と高齢者政策を一緒にやったらどうかで賛否があった、反対と賛成のそれぞ れの理由というの一番二番を教えていただきたいというのが一つです。  二つ目は、いわゆる国民年金の未加入未納問題も大きく話になっておりますが、やは り今おっしゃった介護保険の未徴集の問題も現実的に厳しいとおっしゃって、それで20 才まで広げたらどうなるかということなんですが、もう少し詳しい実態を、お宅様の町 だけで結構なんですが、大体どれぐらいの未納か、そのあたりを教えていただきたい。 この二点について教えていただきたい。 ○野中町長  全国町村会の関係につきまして二、三申し上げますと、特に介護が必要という点では 共通だけれども、サービスの内容は類似もしくは同一であり,特に年齢的要因で区分す る必要はないというのが統合すべきという意見の問題の中での大きな意見だというふう に思っております。また、若くても事故や病気を原因とした障害を持つリスクはみな同 じであって、同様のサービスを提供する両制度を明確に区分する必要はないのではない かという意見が大変強いことは事実でございます。  また、統合すべきでないという意見の関係につきましては、社会全体で高齢者の介護 サービスの基本的な部分を保障する制度であって、障害者サービス施策を含めることは 馴染まないと思われる。高齢者対策と障害者福祉は別枠で論じられるものだという形 で、将来的にはセットで考える必要はあると思うけれども、現時点では障害者と高齢者 の介護のニーズの違いや給付内容の違いから今後さらに時間をかけて検討していきたい という意見が圧倒的に多いということが現実でございます。  二点目の私の町での、いわば歳入的な形でございますが、幸いにして私の町では多く の歳入欠陥はございません。今朝朝から資料を送らせました関係も、賦課の関係につき ましてはほとんど未収はないという形でございまして、平成15年度の介護保険の特別会 計につきましても21,808,000円の黒字を出しているという形でございますので、その点 では安定した財政運営を行なっているのが私の町の現況でございます。 ○京極部会長  ちょっと事実確認で、コミュニケーション障害の方々については全部介護保険でやる かどうかというのはまた別な問題で、これはもし笹川委員の方から御発言があればと思 います。それから保険料の徴集について、もし障害者介護を入れるかどうかは別とし て、20才につまり延ばす場合、つまり第三号被保険者として20才から39才までもし導入 した場合は、これは原則的には働いている方は被傭者保険ですので、市町村ごとで集め ることではなくて、そうじゃない自営の方とか、そういう方は一部大変努力して集めな くちゃあいけないということでございます。  また、その比例配分をどうするかということは、もし介護保険の問題で考える時に、 別途これは制度設計上の大きな問題ですので、考えなくちゃあいけないということでご ざいますので、もしコミュニケーション障害で現行の介護保険制度は視覚障害、聴覚障 害の方にちょっと使い勝手が悪いとか、いろいろ問題が指摘されていますので、かりに もし介護保険を障害者介護に広げた場合でもいろんな措置が考えられなくちゃあいけな いと思うんですが、笹川委員の方で野中町長の御発言に何かありましたら御発言いただ きたいと思います。 ○笹川委員  先程の浅野知事の御発言に比べまして、私は今の野中先生の御意見は大変貴重だと思 いました。というのはやはり福祉は現場です。現場がどうあるかということが一番大事 なので、そういう点では大変参考になりました。その中でこの認定基準のことが今示さ れました。将来的に統合されるとして、どの部分を変えれば介護保険の統合が可能か、 その辺は町村会では検討はなされているのでしょうか。 ○野中町長  現在ではまだそこまでの検討はいたしておりません。 ○京極部会長  他にどうでしょうか。では亀井市長お願いいたします。 ○亀井委員  四点ばかりお伺いします。まず統合の反対ということなんですが、これは機関決定が なされているのかどうかということと、それから全国で町村が2,500ございまして、平 均の人口が約1万人ということです。その中で支援費制度というものがうまく機能して いるかというか、推進されているというのは約何%ぐらいかなというふうなことと、そ れからそのうまくいかないというのはマンパワーの部分が一番問題なんですよね。そん な中で三つ目にそういう話し合いの中で介護保険制度の中のマンパワーの活用について 議論があったのかどうかということが三つ目です。  それから四つ目に、今私ども地方自治体はこの自立に向けた改革を余儀なくされてい るわけですが、その改革の内容というのは、まさに先程堂本知事さんもおっしゃいまし たが、これから将来に向けて財政規模を拡大していくということは非常に困難なこと だ、財政規模を縮小させつつも地方自治体の責任における事務事業を向上させていく、 今そのための改革に取り組んでいるわけでございますが、そんな中でみんなで支え合 う、助け合っていく、そういう社会を作っていかなければならないわけですが、その中 で保険制度というものも非常に有効な一つの手段だというふうに私は考えるわけです が、この支援費制度というものをこれから財政問題で劣化させてはならないというふう に思うんですね。より進化をさせていかなければならない。こんなふうに思うんです が、その辺の手法というか、そういう議論が町村会の中でどの程度今までなされてきた のかな、こんなことについてちょっとお聞きをいたしたいと思います。 ○野中町長  統合反対的な意見とそれぞれ調整をできたのかということでございますが、我々はい わば意向調査はいたしましたけれども、この意向調査に基づく論議まではまだ入ってお らないというのが現況でございますので、先生から四点の御質問をいただきましたが、 今後、我々はそれぞれの分野で論議を重ねて行くことが重要であると思いますので、今 日その関係について我々がお答えできる状態でないことだけは一つ御理解をいただきた いと思います。以上でございます。 ○京極部会長  それでは時間の関係もございますので、松浦市長が今日は御欠席でございますので、 市長会事務局の社会文教部長の猪塚光明様が代理出席をされていますので、御発言をい ただきたいと思います。 ○猪塚部長  全国市長会社会文教部長の猪塚でございます。よろしくお願い申し上げます。今朝、 社会文教委員長の松浦坂出市長から電話がございまして、身内に急病人が出て今日はど うしても東京へ行かれないということでございます。それで厚生労働省の事務局とも御 相談をして、穴を開けるわけにもいかないということで、浅野知事、野中町長の中に入 って私は大変重荷なんですが、事務局としてヒアリングを受けさせていただきます。松 浦坂出市長からは、委員の皆様、それから厚生労働省の事務局の皆様に大変今回をご迷 惑をおかけましてくれぐれも丁重にお詫びを申し上げて欲しいということでございまし た。大変申し訳ございません。それでは説明に入らせていただきます。  まず、私自身は全国市長会の事務局の職員ということで、地域でリーダーシップを発 揮している立場ではございませんので、自ずから発言にも限界がございます。たまたま 私どもは介護保険の検討を昨年の4月からずっとやってまいりまして、今年に入ってか らも介護保険対策特別委員会という、25〜26人の市長で構成される委員会で2回議論を し、それからまた市役所の担当部課長で構成されるワーキンググループというのを設け ておりまして、ここで3回議論をいたしました。それから先程野中町長さんが町村長に 向けてのアンケート調査を報告されておりますが、ちょうど同じ頃に私どもは全国の市 長を対象にして書面調査を実施しております。  そうしてこういったことをふまえまして、4月14日に全国市長会の理事会が開かれま して、150人ぐらいの市長で構成される理事会において「介護保険制度の基本的見直し に関する意見」というのを決定しております。これは15項目にわたって書いてございま すが、この障害者施策との関係については、たった2行で1項目ございまして、ちょっ と御披露をさせていただきます。被保険者及び給付対象者の範囲というタイトルでござ いまして、これは年齢の範囲のことも同時に言っているわけです。「被保険者の年齢の 範囲の拡大及び障害者施策との統合については慎重に検討すること」、こういったたっ た2行にわたる文章で言い表しています。  しかしこの2行の文章に行き渡るまでにあたっては、先程申し上げましたが、今年に 入ってから市長の会議を2回、職員のワーキンググループを3回開き、また全国の調査 を実施して、そしてその結果こういった2行になったわけでございます。私は社会文教 部長という立場上、障害者施策と介護保険と両方担当しておりますから、当然統合とい うことも視野に入れて、統合できるものならしたらいいのかなというふうに私個人は思 いながら取り組んできたわけでございますが、各市長にもいろんな意見がございますの で、このような結論になっているということを御理解いただきたいと思います。  それで具体的にこのアンケート調査結果の数字を御披露させていただきますが、まず 障害者との統合をセットで考えるべき、つまり統合すべきだという意見が、実は当時 704市が全国の市だったんです。今は718だと思いますが、当時調査をした2月の下旬 の時点では東京23区の区長も含めて704の市長がいたわけですが、回答数が628、これは 率にすると89.2%ということでございまして、その後も回答が若干あったと思います が、ある時期で切りましたので、約9割の回答率でございました。  それで調査結果でございますが、統合すべきという考え方が125市ございました。こ れは全体の19.9%です。それから統合すべきではないというのは、想像したよりは少な くて141市、22.5%でございます。それからもう一つ調査項目でございますのは、特定 の障害者ということで、例えば知的障害者、身体障害者、精神障害者のどれかについて は保険のサービスの対象とすべきである、要するに三障害全部ひっくるめるのではなく て、ある部分については高齢者の介護保険に統合してもいいのではないかというような 意見が20市、3.2%でございます。それで平成17年の改正、つまり介護保険施行後5年 後の見直しに向けて結論を急ぐことなく、もう少し時間をかけて慎重に議論すべきであ るというのが一番多くて339市、54.0%でございます。それでこれは調査するにあたっ て市長に回答してください、市長が財政部局、福祉部局、介護保険部局と相談をして回 答をしてくださいというふうにお願いしておりますので、一応私どもは市長の回答とい うふうに受け止めております。  それで具体的に申し上げますと、介護保険と障害者施策をまず統合すべきという意見 が19.9%ございました。これは125市ございましたが、私どもの議論の場ではどういっ た意見であったかというと、この地域保険という観点からいった場合に、介護保険と障 害者施策というのをトータル的に考える必要があるという意見がこの統合すべきだとい う意見の中心的なものでございます。ここで尚書きみたいなものがございまして、被保 険者の年齢の範囲、今は40歳以上ですが、これも拡大をはかる方向でその場合は検討す る必要があると、こういったところでございます。  それから介護保険と障害者施策を統合すべきではないという意見は22.5%、141市で すが、この理由には二つほど大きなものがありまして、まず障害者施策はそもそも公費 でやるべきだという考え方が非常に強い意見がございます。そして社会保険制度には馴 染まないんだという、そういった意見がまず一つございました。それからあとは障害者 の所得保障が十分でない中で介護保険でやった時に保険料とか利用料負担の課題が新た に生じてしまうではないか、そういった意見が統合すべきではないという意見の主なも のでございます。  それからもう少し時間をかけて慎重に議論をすべきだという意見の主なものでござい ますが、先程来も出ておりますが、支援費制度が1年間やってみて立ちゆかないからと いう理由で安易に介護保険と統合する考え方であるとしたら、それは如何なものかとい う意見が結構ございました。それから介護保険も支援費制度も始まって日が浅いので、 もう少し実態や動向を見極める必要があるという意見で、具体的に言いますと、障害者 に対するサービス基盤の整備をちゃんとやるにはもう少し時間がかかるではないかとい う意見もございました。そしてまた逆に、介護保険と統合することによってサービス基 盤がさらに進捗状況が進むのではないかという意見も同じ問題に対して賛否両論という か、両論あるわけでございまして、整備が十分でないから統合すべきじゃないという意 見と、統合した方が話が早いんだという意見と両方あったところでございます。  それからもうちょっと見極める必要がある、もう一つの理由としては、支援費制度の 資料などを見るとサービスの給付に地域格差がある、現在地域格差があるような施策を 全国統一の社会保険制度として行なうことには無理があるのではないかという慎重論で ございます。それからもう一つあったのは、社会参加を前提とする障害者サービスと、 これは社会復帰を前提としたりして、社会参加をする障害者サービスと現行の高齢者の 介護保険では目的で異なる面もあるのではないかという慎重論があったところでござい ます。  私どもとしてはこの障害者施策の議論というのを実はこれまで十分しておりません。 今日申し上げた点は介護保険の観点から統合を考えたということで、いろいろと意見を 申し上げることができましたが、障害者施策の議論というのは、まだ十分していないと いうのが現状でございます。  6月9日に私ども全国市長会議がございまして、その前日にちょっと大きな委員会が ございます。そこに本日御出席の塩田部長さんにもお越しいただいて議論をする場が若 干ございますが、これから障害者の問題と介護保険の問題というのは、ボールを厚労省 に投げただけじゃなくて、私どもとしても改めて本質的な議論もしていかなければいけ ないと考えている次第でございます。駆け足で申し上げましたが、以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございました。丁寧な御報告でございました。大変恐縮ですが、今日は市 長が御欠席ですので、また機会があると思いますし、事務局の猪塚部長にまた細かい質 問をするのも失礼だと思いますので、今日はここで終りたいと思います。今お三方のヒ アリングを行ないましたが、これをふまえてこれからの議論に活かしたいと思います。 どうもありがとうございました。  それでは時間が押し迫ってきておりますが、多くの視点から御議論をいただきました ので、これからサービスの計画的な整備と財源配分の在り方について御議論をいただき たいと思います。まず事務局の資料6にも4月26日の介護保険部会の議事概要が用意さ れておりますので、私の方からもう一度議論を整理しておきたいと思います。なお、5 月の介護保険部会においても熊本県知事の潮谷委員から御発言がございましたが、浅野 知事と同じように知事会を代表しての御意見でございましたので、それを割愛しまして 主として議論が集中した26日の議論について若干の御報告を指せていただきたいと思い ます。  4月26日に私の方から障害者部会における議論の状況をまず簡単に御説明しました が、それについて被保険者の範囲、受給者の範囲の拡大について様々な御意見がありま した。積極的な意見としては、これは介護保険統合に関する積極的意見という意味でご ざいますが、障害者や高齢者という縦割りの福祉の考え方は限界ではないかという意 見、また一人の人間の支援を年齢で区切ることには無理があるという意見、さらに現行 の介護保険を十分見直した上で支援費制度と介護保険制度を一本化すべきという意見、 それから介護保険により高齢者介護は社会化されたが、障害者介護がまだ社会化されて いないという意見など出されました。  他方、先程町村会のお話があったように時期尚早、また慎重であるべきという意見も ございました。例えば障害者団体から要望が出る前に障害者の問題を検討するのは少し 早過ぎるのではないか、介護保険制度を改善し、立派な制度が確立すれば障害者の問題 も決してないがしろにすべきではないのか、今は時期尚早という意見、さらに障害者向 けサービスが現行の介護保険制度の枠組みの中で一体的効果的に行なえるかどうか議論 であるという意見等が出されています。  いずれにしても障害者施策と関係を検討するにあたって、障害者部会等との関係に言 及する委員も多く、障害者部会の検討を待たずに介護保険部会が先に議論して決めるべ き問題ではないという意見が大勢を占めておりまして、介護保険部会としては障害者部 会からいわば球が投げるのを待っているという状況になっております。以上でございま す。  それではこうしたことから障害者部会をどう考えるか大変重要になっているわけでご ざいますので、より議論を深めてまいりたいと思います。事務局より提出された資料の 説明を含め、3月以降の障害者部会の議論の流れを少しここでふり返って整理しなが ら、今後の介護保険との関係の議論を含めて障害者施策のおかれた状況について、全体 的な御説明をお願いしたいと思います。それでは事務局の方からよろしくお願いいたし ます。 ○村木課長  それでは事務局の方からこのあとの議論の御参考になるように介護保険との関係を中 心にしまして、これまで事務局側で説明をしてきたような事項を少し整理をした形で再 度御説明をしたいと思います。ごく簡単な資料を作りました。お手元の資料2でござい ます。障害者保健福祉施策の見直しの必要性、介護保険との関係と書いた資料でござい ます。これをご覧いただきたいと思います。  これからの議論、今後のことを考えるにあたりまして、まず障害者福祉施策そのもの にどういった課題が残されているかということをまず最初に整理をしてみたいと思いま す。支援費をはじめとする現在の障害者保健福祉施策の課題の整理でございます。課題 としては制度的な面や運用の面、あるいは人材ですとか、サービス提供基盤など、かな り広範な問題がございますので、ここでは主に制度的なものを中心にして整理をしてみ たところでございます。お手元の資料の1頁目のまず一番上のところを御覧をいただき たいと思います。  まず課題のそのIとして、大きな地域差と増大するニーズへの財政的な対応の必要性 というところです。まずこの審議会ですでに様々な形で御覧をいただきましたが、支援 費が始まりましてから見えてきた状況の一つに、いろんなサービスの地域差という問題 があろうかと思います。介護保険との比較も若干いたしましたが、これに比べるとかな り地域の差が大きく、日本中、全国どこででも必要なサービスが受けられるというため にはこの地域差を縮小することが必要であろうというふうに思います。  代表的な数字をその資料の中に参考1という形でそこにあげてございます。ホームヘ ルプサービスを代表的な数字としてそこに書いてございますが、まずホームヘルプサー ビスにつきまして、サービスの広がり具合、普及具合と申しましょうか、それを見るた めに一定の人口あたりの利用者の数を見ました。これで見ますと一番高い都道府県と一 番低い都道府県との格差が6.2倍という地域差があったということでございます。それ からもう一つそこに書いてあります数字でございますが、一人あたりのサービスの量と いうことで、これはいわばサービスの深さと申しますか、濃さということだろうと思い ますが、これを見ますと4.7倍の地域差がございます。  実際にそのサービスの中身、例えばホームヘルプでございますので、身体介護とか移 動介護とか日常生活支援とか、そういったサービスの種類を見ましても都道府県ごとに かなりウェイトに差があるというのが現状でございます。もちろん先程から話もありま したように、地域の実態はそれぞれ違うわけでございますので、地域差そのものが全部 悪いということではございません。地域によって、福祉サービスを利用することについ て考え方にまだ差がありましょうし、それからサービス提供基盤そのものがまだ地域で 格差がございます。それから市町村が支給決定をいたしますので、その市町村の考え方 の違いといったようなものもあろうかと思いますので、地域差がある程度出ることは当 然でございますが、それにしても相当大きな地域差があるというのが一つ大きな特徴で ございます。  それから参考2という数字を御覧をいただきたいと思います。もう一つ支援費が始ま りましてから大きな課題になっておりますのが、サービスの伸びに対する対応でござい ます。そこに書いてございますのは、平成15年の4月から支援費制度がスタートをいた しまして、いま最新のデータが11月のデータでございますので、支援費制度がスタート をしてから11月までの間の、これもホームヘルプのサービスの事業量の伸びで、この間 の伸びを見たところでございますが、11月と4月を比較しますと全体で35%増という数 字でございます。内訳が書いてございます、実は身体が24%増、知的が72%増、障害児 が120%増ということで、平均をいたしますと35%増ということになったわけでござい ます。  さらにサービスの伸びで考えますと、実はまだ支給決定と実際の利用の間にかなり乖 離がございます。大体平均すると2倍ぐらい、実際の利用量の2倍ぐらいの支給決定を しているという状況でございますので、これをいわば潜在的なニーズと考えれば、さら に今後サービスの利用量が大きく伸びる可能性があるということでございます。こうし た意味で地域差を解消していくために、あるいは実際に伸びているこのサービス量を確 保していくために財政的にどうするかということが非常に大事な課題になってきている というのが一点目でございます。  次に課題の二点目でございます。障害種別や年齢により制度が縦割りになっているこ とへの対応の必要性でございます。障害者御自身の立場から、あるいは市町村という基 礎自治体の立場で考えた場合に、いま障害福祉の施策、障害種別、三種別縦割りになっ てございますし、また高齢者との制度が分かれているという点ではそこも縦割りと申し ますか、横割りと申しますか、そういうふうになっているということで、それが実はサ ービス提供の制約になっている部分があるのではないかということでございます。これ に関しましては参考3というところに少しデータを入れてございます。  障害者の年齢構成のデータでございます。身体障害約350万人のうち約6割が65才以 上の高齢者、知的障害者につきましては3%が65才以上、精神障害者につきましては約 3割が65才以上ということになっておりまして、特に身体を中心にしまして、実態とし て障害者と高齢者というのがかなり重なりがあるわけでございます。特にこの65才以上 の障害者の方で介護を必要とする方々は、現在まず介護保険のサービスを利用して、そ れに対して補足的に支援費を使っているというような状況にあるところでございます。  障害種別や年齢別にこういう縦割りの制度を整備をしていくという今の現状につきま しては、実は市町村、特に人口の比較的少ない市町村からかなり、これは非常に非効率 である、あるいはそういう形では不可能である、各障害別にそれぞれのサービスを別に 用意するということは実際上難しいという声があがってきておりまして、御承知の通り 構造改革特区の提案の中でサービスの相互乗り入れ、老人と障害者、あるいは障害の種 別ごとのサービスの相互乗り入れという要望がずいぶん上がってきまして、これが実際 に特区として取り入れられて自治体でこの相互乗り入れが始まっているというのが現状 でございます。 そういった意味で地域の実情に応じて縦割りではなくて、それぞれの 障害者の方が身近なところでサービスを提供できる仕組みというのを考えていかなけれ ばならないというのが一つの課題かと思います。当然、サービスの中身そのものはそれ ぞれの方の必要にあった形のケアが求められるわけでございますが、制度、枠組みとし てはもう少しシンプルなものにしていくということが、効率性も高め、サービスの質も 高めることになるのではないかというのがもう一つの課題でございます。  次に三つ目でございます。働く意欲と能力を有する障害者への支援の必要性というこ とが書いてございます。実際に今働く意欲や能力を持っていらっしゃる障害者の方が自 分の能力にあった職場で働くことができるように、特に福祉の側から一般就労へ押し上 げていくというようなことが非常に大事になっているということでございます。データ としましては、そこの参考4でまず一つ、養護学校等の卒業生の進路についてのデータ をあげてございます。  就職をされた方が19.4%ということで、この数字は年々低下傾向にございます。そし て社会福祉施設へ行かれた方が54.6%という数字が出ております。また参考5のところ を御覧いただきたいと思いますが、施設の利用者のうち就職を理由に退所をする、一般 の就労に移られた方のデータがございますが、1.1%という比率が出ているわけでござ います。これはやはり受け入れ側の企業の方の問題もございましょうし、それから御本 人だけではなくて、親御さんの考え方ですとか、あるいは学校の問題もあるかもしれま せん。また施設の方の取組の問題もあるかもしれません。いずれにしましても就労を望 んでらっしゃる障害者の方が大変多い中で、施策の強化が必要というのが三つ目の課題 でございます。  続いて資料の2頁をあけていただきたいと思います。四つ目の課題ということで、一 番上のところに簡単にまとめてございます。自治体から指摘されている様々な制度的な 課題への対応の必要性ということです。支援費制度がスタートいたしましてから、実施 主体である地方自治体から制度改善への様々な御要望が出てきております。特に多かっ た御要望が、参考6のところに代表的なものとしてあげてございます。まず一点目は安 定的な財源の確保、二点目は障害者ケアマネジメントの制度化、三点目は市町村がサー ビスを支給決定する場合の基準の策定、四点目として弾力的なサービス提供、その他に も利用料について応益的な利用料の設定でいいのではないかといったようなことも出て きております。  これらいずれも介護保険との比較で言いますと、介護保険制度の中にはすでに組み込 まれている仕組みではありますが、市町村からはこの辺の制度の中に組み込むことにつ いてかなり大きな御要望が出てきているという状況でございます。いずれにしましても 非常に大きな課題がたくさん残されているということで、障害者の地域での安定的な安 心安全な生活を保障するために、これを継続的にサポートできる仕組みというのを作っ ていかなければいけない。そのために支援費制度の改善を相当抜本的にやっていく必要 があるのではないかという状況が見えてきたところでございます。  次に少し角度を変えまして、制度の見直しを考える際に考慮すべき現在のいくつかの 大きな政策議論の流れをもう一回改めて御紹介をしたいと思います。一つは資料2頁目 の中程にございますが、三位一体改革の議論でございます。先程から何度かお話に出ま したが、もう一回かいつまんでこの三位一体改革の流れを把握をしておきたいというふ うに思います。御承知のように三位一体改革は去年の6月、経済財政運営と構造改革に 関する基本方針2003、いわゆる骨太方針という閣議決定でございますが、これで方針で 定められて動いているところでございます。地方分権という大きな理念のもとに平成16 年度、本年度から18年度までの3カ年間に国庫補助負担金を概ね4兆円程度廃止縮減 し、税源を地方に移そうというものでございます。  先程からお話に出てきておりますが、この方針のもとで昨年の秋には全国知事会や全 国市長会から障害者福祉に関わる補助金や負担金は他のものと合わせて廃止をし、地方 に主体を持って来るという御要望が出されたところでございます。こういった状況の中 で去年の12月の予算編成の際に、16年度予算分としてこの4兆円のうちの1兆円が廃止 をされたということでございます。この中には非常に反対論は強かったわけでございま すが、公立保育所の運営費の補助負担金が福祉の中では特に大きなものとして地方へ移 されたということでございます。残りの3兆円が17、18年度の分として残されているわ けでございます。17年度の予算編成の議論がちょうど始まったところでございまして、 まずこの関係で新しい動きがございましたので、資料をちょっと御覧をいただきたいと 思います。  お手元の資料3というのがございます。経済財政諮問会議4月26日における麻生総務 大臣提出資料でございます。これは経済財政諮問会議で来年度の予算編成の議論が始ま った中で、この三位一体改革の関係として残された17、18年度分の具体的な対処方針に ついて総務省から提案がなされたものでございます。資料の9頁をお開きいただきたい と思います。残りの2カ年の大方針でございます。  その柱書きのところに、知事会、市長会等からの提案も踏まえつつ、以下の方向で改 革を行なうことが必要ということで、その(1)のところですが、奨励的国庫補助金とい う言葉を使ってございます。これにおそらく障害者関係の福祉のお金は入って来るんだ ろうと思います。これはごく限定された地域の特殊事情に対するものなどを除き、原則 として廃止ということで、これは2.6兆円あるわけでございますが、そういった大きな 方向がなされているということでございます。これはまだ決まったわけではなくて、総 務省からのまず提案がこういうことだというようなことでございます。  以上のようなことで、三位一体の議論の第二弾、来年、再来年の部分の議論がちょう ど始まったということでございます。こうした事態は私どもが社会福祉基礎構造改革、 支援費制度を検討していた時にはなかった事情であり、大きな状況の変化であるという ことが言えるだろうというふうに思います。  次にもう一つ大きな議論の流れとして、介護保険そのものの議論の流れでございま す。御承知の方も多いと思いますが、介護保険の議論の中で障害の問題がどう扱われて きたということをもう一回簡単におさらいをさせていただきたいと思います。介護保険 を最初に創設をする時の議論といたしまして、はじめの段階ではその検討におきまし て、高齢者のみならず若年の介護を筆要とする人も対象とする。要するに年齢で区切ら ないという発想で議論がなされたというふうに聞いております。  ただ、実際に具体的に議論が進んでいく中で、いろんな関係者との調整の中で、今ま で介護保険という制度は全くなかったわけでございますので、新しい制度に対する国民 の理解、特に保険料を納めていただくということに関して理解を得るために、結果とし て特に高齢者介護を身近に感じられる年齢ということで対象を主に高齢者に絞っていっ たというプロセスがあるというふうに聞いております。  またその時に、じゃあ障害をどうするという議論が当然なされているわけでございま して、その時の一つの整理といたしまして、すでに御紹介いたしましたが、身体障害者 福祉審議会におきまして、介護ニーズへの対応について、介護保険制度に移行すること についてはなお検討すべき点も少なくなく、またこれらの点についての関係者の認識も 必ずしも一致していないという現状をふまえて、さらに審議会で検討をしていくという ことで宿題として残されたわけでございます。そしてさらに検討をしたその検討結果 が、介護保険制度案大綱で予定されている将来の見直しにおいて適切に反映されること を期待するという結論を一旦出したわけでございます。その介護保険の見直しがちょう どこの時期にあたるわけでございます。  その時にそういった議論もありまして、成立をした介護保険法の附則におきまして、 お手元の資料の参考8というところに条文を載せてございますが、介護保険制度につい て障害者の福祉に関わる施策等との整合性に配意し、被保険者及び保険給付を受けられ るものの範囲を含め、この法律の施行後5年を目途として検討を加え必要な見直しを行 なう、こういう附則がつけられたということで、この附則に基づいて、今、介護保険の 見直しも行なわれているというところでございます。以上、この問題に非常に関連する 大きな流れを御紹介しました。  それで介護保険の改正につきましては、今、介護保険部会の方の議論の流れは京極部 会長から御紹介をいただいたところでございますので、この関連にいくつかすでに意見 表明をしておられるところがございますので、資料をおつけしておりますので、御覧を いただきたいと思います。まず一つは東京都でございます。お手元の資料の4でござい ます。東京都が介護保険制度の見直しについて既に具体的な意見表明をしておられま す。1頁を御覧いただきたいと思います。東京都の見解ということで、真ん中のあたり に太字で書いてございます。こういう基本的な考え方でございます。  介護保険制度及び支援費制度の理念を発展させる観点から、被保険者の範囲拡大及び 障害者福祉との統合について、広く国民の理解を得るための十分な議論が必要、そして もう一つその下にございますが、被保険者の範囲拡大及び障害者福祉との統合の実現に は困難な課題が山積しており、これらを実施する場合には十分な準備期間を確保すべき という大方針が整理をされているところでございます。  その考え方のベースになったあたりがその後に書かれてございます。2頁を開けてい ただき、上から4行目あたりを御覧いただきたいと思います。東京都としては制度見直 しの基本的な方向性として、高齢者や障害者をはじめとして介護を必要とする全ての方 々にそのニーズに応じた介護サービスを提供できる体制を整備すると共に、その実現の ため将来にわたる安定的な財政基盤を確立することが必要であると考えるということ で、大きな考え方はこういったスタンスのようでございます。  では実際にどういうプロセスでそこに行くかという点で、3頁の下から2行目を御覧 いただきたいと思います。かなり具体的に書いてございます。仮に被保険者の範囲拡大 及び障害者福祉との統合を実施する場合にあっても、課題の解決に向けて相当の準備期 間を要することから、第3期事業運営期間の始期である平成18年度からの実施は困難と 言わざるを得ず、次の第4期事業運営期間の始期である平成21年度からを目途とするな ど、具体的なプロセスを国民に明示すべきであるということで、大きな方針とそれに至 るプロセスについて意見が出されているところでございます。  もう一つ、日本経団連の意見が既に出てございます。資料5を御覧いただきたいと思 います。日本経団連全体としまして、その介護保険全体について評価すべき点、それか ら問題点をあげて、今後の具体的な制度改革に盛り込む具体的な内容を提案をされてい るものでございますが、特に被保険者の範囲等々につきまして、5頁に具体的な御意見 が出ております。一番上の行です。結論としまして、被保険者の範囲は現行を維持すべ きということでございます。そこに書いてございますように、被保険者の年齢基準を引 き下げて保険料負担者の枠を広げることには極めて慎重であるべきである。介護保険制 度と障害者福祉施策との統合問題については現行の支援費制度など、障害者福祉施策の 改革を優先すべきである。まず支援費の方を改革をしてからと、こういうふうにおっし ゃっておられるわけでございます。  具体的な懸念がそこに四つほどあげておられます。被保険者年齢の変更についての懸 念が四つほどあげられております。一つは介護保険というのは高齢者を主な対象にして 加齢に伴う要介護状態の改善のためにサービスを提供するというシステムになってい る。まだ制度ができてから数年しか経っていない段階で、制度の趣旨そのものが大きく 変わるという、そういう状況にはないのではないかということ。  それからもう一つは、やはり保険である以上、受益者と負担者をできる限り一致をさ せるというのが制度設計の原則である。そういった場合に親の介護に関わる負担軽減が 期待できるという意味で、受益者になり得る年齢層、すなわち今の40才以上の人を被保 険者とするというのはやはり理解が得られるし、納得感があるということを言っておら れます。また20代、30代というのは、先程の40代以上に比べますとそういった問題に直 面する状況が少ないので、実際問題保険料を払えということになりますと、そこに対し てあまり理解をして貰えないのではないかという懸念が表明をされております。それか ら若年の障害者については、就労支援等々、高齢者と比べて多様なニーズがあって、今 の介護保険制度の枠組みの中で一体的効果的に障害者福祉施策が機能するかどうかが疑 問であるというような御懸念を述べておられるところでございます。  以上のような形で最近のこの問題に関する大きな議論の御紹介をさせていただきまし た。いずれにいたしましても、この部会でずっと議論をしてきております通り、障害者 福祉の問題、障害者の方が地域で普通に当たり前に自立をして暮らせるという大きな目 標を掲げて、就労支援の問題ですとか住まいの問題ですとか、そして生活支援、介護の 問題を御議論をいただいているところでございます。そういった視点に立ちまして、こ れらの課題を解決をしていくための制度としてどういったものがいいか、またその制度 を維持するための費用負担について、実際に安定的な財源が確保できるという観点と、 そのことに対して国民の理解や共感が得られるかどうかということが非常に大きな問題 になっているところでございますので、ぜひこのあと十分な御議論をいただければと思 います。 ○京極部会長  どうもありがとうございました。それでは前回に引き続きましてサービスの計画的な 整備と財源の在り方について、介護保険との統合の関係も含めて御議論をしていただき たいと思います。特にニーズを把握して計画的に整備する仕組みはいかにあるべきか、 また障害者施策に関する財源配分や財源構成の在り方、さらに支援の必要度に応じた効 率的な財源配分等の在り方につきましても御議論をいただければと思います。なるべく 全員が発言できるようにしたいと思います。それでは経済界からの唯一の丹下委員から まず先にお話をいただきまして、その後猪俣委員というふうに御発言をお願いいたしま す。 ○丹下委員  これからこの部会でもだんだん各論に議論が入ってまいろうかと思います。先日来部 会長からも介護保険部会の様子を伺いましたし、今日もまた重ねて事務局からのお話が ございます。今、介護保険部会からこの部会にボールが投げられているという状態だと 思われますので、総論的なことでございますが、私なりに介護保険との関係を少し申し 述べさせていただきたいと思います。  まず障害者を介護保険の対象にするのかどうかという介護保険の制度が始まった時の 議論を先程村木課長からも御説明がありましたが、私は慎重な検討が必要との結論で今 日に至っていることは確かであるし、それをまたここで議論するということが、これは 骨子であることは間違いないわけでございまして、それだけに大変難しい、慎重であら ねばならないという状況であると、こういう具合に理解しております。  そしてその介護保険の最初に議論されました集約は、先程村木課長からも御披露のあ った身障審の意見具申の中に要約されている通りではなかろうかと、このように思うわ けであります。ここで介護保険というものについて整理をさせていただきたいと思うの ですが、私の考えを申せば、介護保険というのは紛れもない社会保険でございまして、 社会保険というのは強制適用の対象であるということです。強制適用というのは被保険 者があって初めて成立するものであるし、被保険者が保険料を負担するという原則がな ければならないと、こういうことでございます。  そして被保険者の中で保険事故が起きた場合、この場合は要介護等の状態ということ になるんですが、保険事故が起きた時に初めてそれが受給者になる、こういうプロセス がなければいけないわけでして、ここで申し上げたいのはすでに保険事故の対象である 人を組み込んだ保険というのは、常識的原則的にはあり得ないと、こういうことを指摘 させていただきたいと思います。  ただし、先程話にも出てまいりましたが、私も40歳以上の今の二号被保険者につい て、この現行制度は私は是認し得ると思っておりますが、例えばその理由といたしまし ては、高齢という、これは誰も回避することのできない現象を前提としているというこ とですね。そして要介護状態という多くの人間にとっても可能性の高い状況を対象とし ているということからしますと、40歳以上という年齢層の中に、制度出発時点で保険事 故の対象者がすでに入っていたということも、時の経過のよって自然な制度の回転が始 まれば解決し得る問題であるという、こういうことが一つあると思います。それから何 にも増して40才から64才の層というのは、65歳以上の年齢層の方々の実際の介護の当事 者であるということだと思います。その二つで今の制度については是認できると考えて おります。  ただ、現行制度に障害者を加えて、さらにその財源負担の見地から20才以上を被保険 者とするという考え方については、これはなかなか納得できないと申し上げざるを得な いのでありまして、理由は今までもそれぞれ皆さんから言い尽くされているところでご ざいますが、繰り返させていただければ、最初の一点目は、やはり今申し上げた身障審 の意見具申の中に言われておりますように、高齢者給付との整合性がはたしてとれるの かというような問題がまずありましょう。  それから二つ目には、すでに保険事故が起きている方を対象にするということが本当 に許されるのかということです。三つ目は、20才から39才層というのは一号被保険者に 対する年金、所得保障ですね。これの負担に加えて介護保険費用を負担させるというこ とが理解してもらえるのか。これも先程話題に出ておったところだと思います。四つ目 を申せば、障害者、特にこれは重度のもの、それから障害基礎年金の受給者でない所得 の低い方、この方々に保険料負担がどこまで可能かという問題です。  五つ目を申せば、従来から税とか保険料につきましては、私どもは徴集しやすいとこ ろから取るという批判があったように記憶しているところでございます。これはつまり 所得補足率の問題なんですが、今回20才以上にした場合、結局その負担は勤め人中心に なるんじゃないかということを私どもは最も深刻に考えているわけでございまして、私 がかつて勤務しておりました経済団体で福利厚生費調査というものを昭和30年から現在 までやっております。  直近のデータは平成14年まで47年間の毎年の調査、650社程度の企業を対象にして、 これは定点観測でございますから、ほとんど企業の入れかわりがございませんから、傾 向が出ると思いますが、そこで法定福利費が現金給与総額に占める比率を調べておりま す。昭和30年にはそれは6.1%だったんです。それが平成14年には12.3%と倍増してお ります。これはもう社会保障制度全体を見直さなければならんという議論もある中で、 これ以上負担をさせるのかということに話がつながってまいるという気がいたします。 まして国民年金の未納率が40%近いというような議論も今かまびすしくされている状況 ですから、まことに時期が悪いということを申し上げなければならないと、このように 思います。  そして最後のポイントですが、国民負担率が現在我が国は35〜36%ぐらいだろうと、 こう言われております。申すまでもなくスウェーデンは70%というようなことです。こ ういう負担水準で考えた場合に、我が国は申せば中負担中福祉という姿であるべきとこ ろを、従来の経緯からして中負担高福祉というところになってきているんだと、このよ うに感じるわけですが、これがまた財政を極めて不健全化している要因の一つじゃない かということを申し上げなければならないと思います。中負担高福祉ということは理論 的にあり得ないわけでございまして、この辺が極めて曖昧に推移してきたというのが今 までの姿だろうと思っております。  中福祉中負担なのか、あるいは高福祉高負担なのか、国民のコンセンサスは一体でき ているのかということを申し上げたいということです。こういう状態の中では、私は財 源論としての介護保険への統合という考え方には明確に反対を申し上げておきたいと思 います。これは申し上げるまでもなく私個人の意見ですが、しかしこの意見は私は産業 界の大方の人に共感をいただける意見だろうということを申し上げておきたいと思いま す。  それから今その問題について批判的なことばかり申し上げたように思うんですが、し かし財源論としての支援費制度の介護保険との統合という問題についてはそうであるに しても、基本的に支援費制度の改良定着に努力するということは大切なことだと思って おりますし、そのために介護保険制度が持っている支援費制度にないいい点を取り入れ る必要があるだろうということは強調させていただきたいと思います。  例えば要介護認定基準というのは全国スタンダードを介護保険の場合には前提として おられる、地域格差がミニマイズされる要素になるだろうということがございましょ う。それからケアマネジメント制度が確立と言わないまでも導入されて、サービス提供 業者の過当なサービスをコントロールできる余地があるということが言えると思いま す。言い換えますと、この二つがないことが支援費制度の現状運営に大きく影響してい るんじゃないかというのが私の感じです。  競争原理が導入されることは大変に結構だということは私は前に申し上げたことがあ ります。ただ、競争原理が働く可能性があるかもしれないんですが、現状実態は本人が 受給主体で事業者を選択するという、この基本、真の競争状態になってないんじゃない かという具合に感じられます。措置費の時代と同じように事実上施設への支払いという ことになってはいないだろうか、これが疑問に感じられるところです。  事業者の新規参入が続いて勧められるままに選択する、当否を助言する組織も人間も いない、全国的な基準がないというままに各地域ごとの状況によるから、財政が逼迫し て支出が増大する地域と、そうでない地域とが差が出てきてしまうという、こういうこ とだと思うんです。業者が勧誘するままに受給者がそれに応じるという状態では、これ は競争原理とは言えないのでして、競争原理とは無縁なんです。サービスが向上したと しても、それは事業者の工夫努力による質的な向上でなければならないのに、単に支払 われる金額があるからそれに対応した量的な拡大をしているということだともしすれ ば、この辺は一番改められなければならない問題だろうということです。  こういう介護保険の持っている優れた点を支援費制度に導入して枠組みを強化すると いうこと、これをトライすることが私は何にもまして先決だと申し上げておきたいと思 います。その上で将来的に、例えば私が勝手に想像している名前ですが、障害介護保険 といったような名前で特定の範疇が成立するということがあるということについてまで 否定するというものではないわけです。ただ、最後にお断りしておきますが、これは私 はあくまでも現行と同様に公費である支援費財政の介護保険、障害者介護へのシフトと いうことの基盤であるべきであって、保険料という名の負担を期待してはならないだろ うということです。以上でございます。 ○京極部会長  どうもありがとうございました。一定の体系だった御説明だったんですが、当時の障 害者部会長は三浦フミオ先生でありまして、私も部員だったのですが、ちょっとニュア ンスが違って、慎重に検討すべきというのは、介護保険が発足する時にあたって、高齢 者介護を中心とした体系でございますので、障害者に関してはもう少し時間をかけて議 論をするということで、入るのに反対という議論で議論はされたわけではないんです。 ○丹下委員  いえ,そのつもりで申し上げたわけではございません。 ○京極部会長  もう一つ、今も格差が大変ありますが、市町村の格差に基準は、今後改善は必要と思 いますが、障害程度区分というので、そういうことを一応やった上での格差なんです ね。これは一応国の方で全国的な基準を出していまして、それに基づいて各市町村を判 定しますので、必ずしもこれは厳密に守られているか、もうちょっと調査が必要です が、バラバラに行政の裁量でやられているわけでは必ずしもないわけです。  それから保険事故に関しても、障害年金はもう障害者が入っているわけですから、最 初から障害を前提としていますが、介護保険においても要介護状態の人も保険の加入者 になっていまして、それを排除してその人はサービスの受け手だけというのではなく て、介護保険も払いつつサービスを受けるという体系になっていますので、社会保険と 保険事故の関係は通常の年金のように何才になればとれるとか、障害の事故を受ければ なれるということだけじゃなくて、そういうことも我が国の現状では一応やられている という、事実関係だけですね。 ○丹下委員  その部分については、範囲を限って社会政策的な修正が行なわれているということで すね。 ○京極部会長  まあ私的保険に馴染まないのでそういう形をとっているということが言えるかもしれ ませんね。では猪俣委員どうぞ。 ○猪俣委員  財源問題の検証については将来予測が不可欠であるということになりますが、同時に 新しい制度が創設されたり、定着された場合には新たなニーズを掘り起こしていくとい うことを押さえておく必要があろうかと思います。努力された3割増の予算を組まれた 支援費制度が実際は6割強の増加になったということが端的にそれを表しているんだろ うと思います。  そこで介護保険と支援費制度の統合については様々な御意見、あるいは不安があるこ とはよく理解できましたが、この部会が今まで議論を積み重ねてきた中で、もっと基本 的なことは最低限障害者福祉の間に差別があってはいけない、三障害全てが足並みを揃 えて福祉サービスの提供を受けなければいけない、そういうところは総意としての合意 が形成されたものと理解しています。  そういたしますと、この統合問題を抜きにいたしましても、当然精神障害者も支援費 制度の対象に含まれていかなければいけないということに論理的になります。といたし ますと、これは利用者が飛躍的に増大するということを示しています。まず、この点に ついて部会としての合意ができているのかどうかということを今一度私は確認をしたい と思います。こうした対象者が飛躍的に増加していくということが目に見えている段階 で、介護保険との統合がなくして財政がはたして確保できるのか、大変憂慮せざるを得 ません。  そこで担当事務局に資料の提出をお願いしたいのですが、精神障害者についてもケア マネジメントの手法その他、他の障害者と同じようにこの間定着してまいりました。精 神障害者を支援費制度の適用に含めた場合に、どれだけ対象者が増えるか、どれだけ予 算が増えると予測されるのか、そういうデータを示していただいて、財源問題をぜひ考 えていただきたいと思います。以上です。 ○京極部会長  これについて事務局からお答えはございますか。 ○村木課長  大変難しい宿題でございますが、それを議論するのに何か参考になるようなデータが 作れるかどうかということで、少し検討してみたいと思います。 ○京極部会長  介護保険の時も、高齢者の介護は医療保険で見ている部分と措置制度で見ている部分 と、それからいわゆる保健師さんなどの保健サービスで見ている部分と三層から成り立 って、使っている人がバラバラだったりするわけですが、それを介護保険で一本化した という例もありますので、精神障害者の問題はなかなか難しい問題と思いますが。他に どうでしょうか。小林委員は御専門ですが。 ○小林委員  いま私もこの支援費問題については今猪俣委員がおっしゃられた通り、結局精神障害 者の方々をどうやって助けるのか、支援費でやるのか、支援費ではとてもできないの か、そこが非常に大きな問題だから、ぜひとも猪俣さんが言われたことを、私もそのデ ータはぜひとも見せていただきたい。それを見ないと少し先のことを考える、いい案を 作っていこうということが大事なんですが、そのためにはそういうデータをみんなが一 応見て、それから考えるということが大切ではないかなと思います。 ○京極部会長  その場合27万2,000人ですか、社会復帰を前提に数字を少し計算してもらいたいと思 います。 ○広田委員  よくわからないんですが、支援費に入ってないということで、猪俣委員、精神障害者 だけ入れてもらえなかった、そういうことで長く続いてきたんですが、例えばじゃあ介 護保険は介護保険でさんざん出ているんですが、この間も精神保健福祉課長の矢島さん が大阪に行かれて、私も追っかけで、どういうことが論議されているのかということ で、自費で本当に3万円以上かけて行ってまいりましたが、結局みんな仲間が不安がっ ているんですね。  介護保険は介護保険で論じられているんですが、どの部分が介護保険になって、どの 部分が国としては補助金で残そうとして、どの部分が地方に下りていこうとして、どの 部分がいわゆる介護保険なのかということがわからないと、要するにみんなとしては例 えば大阪の仲間なんかだとピアサポーターという形で生活支援センターへ行って、そこ でサービスを提供している仲間もいるわけです。逆にサービスを受けている仲間もいる わけですね。  その辺の中身がわからないと、介護保険だ介護保険だと言っても、私の母親は介護保 険でデイサービスに行ってましたが、例えば作業所というのは介護なのかといった時 に、精神障害者が地域で暮らしていく時に、私自身はホームヘルパーさんに来ていただ いて、それは介護かもしれないけれど、支援の部分がすごく多いと思うんですね。その 中身がわからないと、何を話しているのか、財源がないということはみんなわかってい ることなんですが、そういうことをぜひ知りたいと思います。  それが今猪俣委員と小林委員の方から出た、どういうことなのかということとつなが るのかなというふうに思うんですが、中身を知りたいということと、知らない中でただ 不安だ、やあ5年後、1年後、6年後だということではちょっとわからないんじゃない か。 ○京極部会長  矢島さんのお名前が出ちゃったんですが、何かお答えになりますか。 ○矢島精神保健福祉課長  広田委員から御発言のあった大阪の時にも御説明をさせていただいたんですが、具体 的な中身についてはまだ私ども御説明をできる段階ではなございません。ただ、介護保 険制度にはどういうサービスがあるか、例えばホームヘルプサービスであるとか、それ からいろんな通所の介護ですとか、そういうふうないろんなリハビリのメニューだと か、そういうふうなものがあるというふうな、今の介護保険制度ではどういうふうなも のがあるかということは御説明はさせていただくことはできるんですが、じゃあ具体的 にどういうふうな中身になるのかということについては,秋ぐらいにならないと難しい のではないだろうかというふうに御説明をさせていただいたところであります。 ○京極部会長  ありがとうございました。それではなるべく多くの方に御発言をいただきたいと思い ます。 ○武田委員  二つ意見を述べたいと思います。一つは先程知事会、それから市長会、町村会のお三 方の御意見をお伺いして、直接サービス等をやるところほど何かとても障害者のことを わかってくださる方とそうでないところの格差が大きいなということを感じています。  実はうちの法人の事務局長は去年の3月まで1万人ちょっとの町の町長を3期12年間 やっていた人なんですが、その方に事務局をお願いした時の印象的な言葉が、『12年間 障害者問題いろいろと相談があったけれども、精神の問題に関しては何もサービスがな いことを町長になるまで知らなかった。でもやろうとしたところで町長というのは票が ないと町長になれない。一番大きいのが、特に田舎では農林、それから土木、そして商 工、その票が集まらないことには町長になれない。やれたくたってできない、やはり制 度的なところできちんとやって欲しいと思っていたけど、結果自分はその12年の中で何 もできなかったから、少しでも何かできないかと事務局を引き受ける。』でした。  本来、私的なことをここで述べることではないんですが、先程の町長会のお話を聞い た時に、市長会だと例えば704の母数に対して628、90%近い回答がある。でも町の会だ と非常に少ない、163に対して120,母数自体も非常に、町は一番多いはずなのに母数自 体も少ないし、その関心の低さというものを何か垣間見たような気がいたしました。  ですからぜひお願いしたいなと思ったのが、なかなか住民の声って小さい町ほど届き にくい、また小さい町ほど自分が障害児の子を持っているとか兄弟にいるとかというこ とを、小さい町、小さな自治体ほど届けにくい、隠そうとするところがあるんですね。 やはりそういったことをふまえて何とか国の方でそういったところの関心、介護保険そ のものも今でさえこれだけ小さい町ほど、田舎ほど高齢化率は高いから介護保険の負担 も増えていくようなところだってあると思うのに、この上に来るなよというのが先に来 るんじゃないか。先程あったような数字を示していただいて、じゃあ障害者のことも一 緒に考えた時に、介護保険料はどれぐらい上がると試算されるのか、そこまでいかなく ても検討を始めるのに十分な資料を町村会に出していただけるような努力をしていただ けないかなということを感じました。  それからもう一つ、4月30日に中野サンプラザにおいて障害者8団体の主催で「介護 保険と障害者の福祉施策の環境を考える対話集会」というのが開かれて、参加させてい ただいたんですが、400人予定のところが650人も集われて、その関心の高さを感じまし た。特にこの部会の委員でもある方がたくさん参加されておりまして、その代表の方の 切実な貴重な御意見をお聞きし、対話集会でのポイントをシンポジストの皆様に御報告 をいただいたんですね。そしてこの部会に直接関係があることが多かったので、この席 をお借りします。  10時から4時半までという本当に長丁場にまずびっくりしたんですが、終った時にこ れだけ時間をかける意味があったんだと思いました。主催者から4・30集会に至るまで の詳しい経過資料が配布されていたこと、それと行政側から資料説明が詳しくあったこ と、私たちが聞きたい、不安に思っていることの具体的な質問が各団体からなされて、 討論で行政からの説明だけでなくて、課題を指し示され、個人としての気持ちまで語ら れたことなど、精神障害者のことも同じ比重で議論された。話す方も聞く方も本当に長 丁場で大変だったんですが、ほんの少しだけですが霧が晴れ、向うに何か見えるかもし れないなというふうな気持ちを持ちました。  中身の濃い議論でしたので、十分お伝えすることはできないんですが、村木課長から 引用されたことが印象的で、今年の年金法案を例に『厚生省案が出て、それから意見が 出て、変遇して国会でも対案が出たりする、一つの案が出ても議論が積み重なる、秋に 介護保険の中身が見えた時に賛成したから乗れないということではない、秋からいろん な議論があるんだということを説明いただきました。ここらへん私たちは少し誤解して いる部分も多いんじゃないかなと感じましたし、集会の後半では代表の皆様の大筋の御 意見として早く方向性、制度設計の情報を出して議論をしていきたいという声が多かっ たように思いますし、先程広田さんからも意見があったように、本当に不安なところは 具体的なところが見えないというところの不安が大きいと思います。  ぜひこの部会に出て三障害いろんな問題も見えてきましたし、具体的に介護保険との 共通性とは何か、介護保険とどこが違うのか、介護保険のどこを改正すれば逆に高齢者 もよいサービスを受けられるようになるのか、保険という仕組みでは障害者サービス の、ここのところは保障できるけどここは保障できないとか、先程丹下さんからも非常 に厳しい御意見があったんですが、保険事故とはいったい何なのかということをさっき 考えながら感じていたんですが、もっともっと建設的な議論をこの部会でこれからどん どんやっていただきたいなという希望も重ねて述べさせていただきます。 ○京極部会長  ありがとうございました。ではざっくばらんにお話を伺ってもいいと思いますので、 今まで発言してない委員の方とりあえずお願いしたいと思います。どうでしょうか。 ○北岡委員  今の武田委員の御意見に賛成なんですが、ここは障害者部会ということで、どういう メッセージをいろいろ出していくのかということであると思いますが、私なりの今の思 いやら意見は、介護保険のスキームでできることは介護保険でやるというような制度設 計をしてはどうかというように思います。その理由として、この間もずっと議論が行な われてきましたが、地域間格差の問題、それから安定した財源の確保の問題、そして三 位一体改革のこの改革の私なりの認識のあり方ということから、そういうような意見も 持つわけです。  ただ、介護保険とのいわば吸収合併という視点ではなくてというようなことになると 思いますが、これまでやっぱり多くの反対されている方の御意見の中の一つに、同じ介 護保険というスキームの中でやるとしたら、せっかく支援費で地域というキーワードで 施策が動いてきたにも関わらず、もう一度施設中心的な流れになるのではないかという 不安があるのではないかというように思います。それは介護保険下において特別養護老 人ホームなどの待機者が増大したというようなことから、そういう不安があるという方 々がたくさんいらっしゃるということだと思います。  そういうことで今後前向きな議論をたてていくという時に、いくつかの視点をもとに 話を進めていってはどうか。一つは吸収合併ではなくて、どんな重たい障害がある人も 地域の中での生活が可能となるような新しい人的サービスを創造していこうということ と、それから三障害の人にそれぞれ有効な認定システムとサービス提供をその可能とす るやり方を考えていく。  全部で七つあるのですが、三つ目が介護保険制度のスキームからこぼれるといいます か、足りないと言いますか、そういう部分についての新しいサービスの創設を積極的に 考えていく。それから四つ目は、例えば家族と一緒に暮らしている人においても、グル ープホームやアパートで地域生活を希望する人の自立支援を積極的にやっていく。それ から施設、これは入所も通所もそうですが、施設や病院からの退所、退院を積極的に支 援していく。それから働くことができる仕組みも合わせて作っていく。それから差別禁 止法や総合的なフクショウといった形で大きな体系を作っていこうというような視点を 大切にしながら、主体的に積極的にこの議論に参加していって、それである種の、今の お話ですと秋頃にもしそういう案が示せるとしたら、そこからまた議論を始めていくと いうふうなことでないと、先程申し上げた三位一体改革の私なりの認識であるとか、安 定的な財源の確保であるとか、地域間格差という視点において、なかなか積み上げた議 論ができないのではないかという感じがしております。以上です。 ○岡谷委員  議論が非常に多岐にわたるのでなかなか絞ってお話しできないんですが、基本的に私 は介護保険と障害者の統合問題につきましては、要するに共通部分で統合できるところ は介護保険に統合をして進めていくべきではないかなというふうには思います。  ただ、その時に例えば精神障害者の方々の今の現状の問題等を考えますと、本当に地 方自治体、あるいは県にしろ市町村にしろ、それぞれのそういう地方自治体の裁量です とか、考え方だけに任せていて、本当に十分なサービスが提供できるようになるかどう かというところが非常に不安です。  何かやはりそういう精神障害者の方々に対してやはり国がきちんと支援しないといけ ないことは支援しなければならないという、それがどこまではどういうところがきちん とサービスを提供し、どこまでは自分達の自主性でやっていくのかというような、そう いう線引きが制度の中できちんとできるかどうかということが一つ重要かなというふう に思います。  それから私も入所、入院、施設から在宅へという流れについては非常にいいことだと 思いますし、どんどん推進すべきだと思いますが、精神の場合にはやはり地域に患者さ んたちを帰すと言っても、地域そのものでそういう人たちを支援していくためのマンパ ワーというのが圧倒的にやはり足りないという現状があります。それは今まで長い間入 院という施設の中でのケア、治療を中心にしていましたので、そちらの方にどうしても 人が多い、やはり地域でそういう人たちを支えていくためのマンパワーというのをどう やって育成したり増やしたり、そこにどのぐらいのお金がかかる、それはどこが一体責 任をもってやるのかという議論も、やはりサービスを提供するという意味で言えば非常 に重要な視点ではないかなというふうに思います。 ○長尾委員  今、岡谷委員が言われた部分にも若干関係があるわけですが、たしかに今の精神障害 者のおかれている立場というのは、あとの知的身体と比べるとやはり圧倒的に施設整備 とか、そういったものについては差があるわけですね。この中でいわゆる介護保険にそ のままいった場合に、先程猪俣委員が言われた差をなくして支援費にすべきだというお 話もありましたが、その差が本当に介護保険だけで埋まるのかということは非常にちょ っと疑問に思われる部分があるので、ある程度、前回の時もちょっと言いましたが、や はりある部分基盤整備がきちんと行なわれる部分、どの程度まではやはり必要なんだと いうことは国の責任でやるべきものもあってもいいのではないか。  そういう両方がなければ、地方自治体に介護保険としていった場合に、本当にその三 障害の差が埋まるのかということが非常に私自身は疑問に思う部分があるので、そうい った部分がやはり施策としてどうあるべきかということはきちっとやらなければいけな い。本来はやはり精神障害がどうか、全体の障害者施策がどうかということは、何か今 財政誘導だけで語られている部分が本当に多いので、本当は日本の社会保障がどうなの かという理念が先にあって、これはやるべきものだろうとは思うんですが、若干ちょっ と財政論が先に立っているのはおかしいとは思いますが、精神の部分についてはやはり そういう三障害の差をなくすという面もきちっと何らかの形で示してもらわなければ、 これは方向としてはおかしいのではないかというふうに言いたいと思います。 ○京極部会長  ありがとうございました。私も介護保険部会では申し上げているのですが、いま医療 保険と介護保険を峻別していますので、例えば在宅で生活する時にやっぱり病気になっ たすると医療保険の対象になる。特に精神障害者の場合その辺の関係がより濃厚なの で、現行の介護保険制度はややもしますと峻別主義で、分かれ過ぎている嫌いがあっ て、私は在宅医療を進める勉強会に入っておりますが、介護保険制度ができて在宅医療 がちょっと伸び悩んでいるという、逆に足を引っ張っている面もありまして、これは ちょっと行き過ぎじゃないかという意見も持っていますので、これはそのところまでは 保険部会では喋っておりませんが、今後の日本の在宅医療の在り方にとっても、これが うんと進んでいくと、やっぱり片一方で介護サービスが難病患者さんその他でも守って いかなくちゃあいけないという関係が一つあるかと思いますので、先程の介護保険の附 則第2条には医療保険との関係もかなり検討事項として書いてありますのは、その意味 だと思いますのでよろしくお願いします。それでは堂本委員どうぞ。 ○堂本委員  ちょっと大胆なことで申し上げたいんですが、やはり日本の不幸は卵が先か鶏が先か と、岡谷さんのおっしゃったこともわからないじゃないです。ですけれども実際に人材 を地方で確保するまで、じゃあずっと入院して待っていていただくのか、もう私は15年 ぐらい前になりますが、アメリカに行った時にやはり2万人いた精神病院をケネディ政 権の時は一挙に開放したんですね。それで病院にいたお医者さんもナースもみんなまち へ出て行った。ゴーストタウンみたいに今ニューヨークの島の精神病院になっています が、実際に人材養成を待っていたら私は100年たっても解決しないと思います。  その同じ時期に逆に日本はどんどん収容という方向性にいった。やはりその辺のとこ ろがどこかで精神障害の方たちに対して国としての大英断をしていただくということが 必要ですけれども、どこかで思い切らない限り、この悪循環は断ち切れないというふう に思います。やはり当事者の方にしてみれば、私は1日でも嫌な人は嫌なんだと思うん ですね。地方で生きたいという時には生きたい。私も千葉県の中で今ずっとタウンミー ティングというので県内中まいりましたが、精神障害の方もやっと手を上げて涙ながら に話をされる。  そういった時に、それじゃあそこで全然地域で受け皿がないかと言えば、もう本当に それを聞いて私はこれからそのために地域でこの方たちを支えることをやっていきます という人たちが出て来る。だからやっぱりいつまでも病院の中におられたのでは見えな い、そして実際に医療費の方が福祉よりも多くの予算がかかっているとすれば、その費 用でどれだけ地方でだったらもう少し違った形のサービスが提供できるかということも 思うものですから、まずそのことを一つどうしてもどこかでやっぱり英断を下す必要が 国としてあるのではないかと思っています。  それから先程から出ている、私も北岡さんがおっしゃったことに本当に賛成なんです が、今日のテーマであるニーズをきちっと把握をしてやっていかないと、今日の御議論 の中でも知事会と市町村会というような形でお話が出てましたが、次元の違うところで 話をされているものですから、やはりさっきいろんな細かいところまでプランを立てる 必要があるんじゃないか、それは介護保険の認定のレベルがというようなお話が出てい るのですが、障害者が介護保険の方でサービスを受けるとすれば、それはほとんど全く 違ったまた認定の基準を作らなければならないでありましょうし、それから国からの今 三位一体で動いているようなことも、これは県に来る部分は多分非常に少ないです。ほ とんどが基礎自治体に行くというようなことになっていく。  そういった中でもう今までのことがあるので国で決めて欲しいということがあったと しても、全体としてのこの福祉の問題以外のことでもどんどん基礎自治体の方に移行し ている中で、どうやって基礎自治体の中にきちっとしたそういった新しい制度を確立す るのかというのが、私たちにもしかしたら課せられているのではないか。特にさっき北 岡さんが言われましたが、どういう社会的なリソースをそれぞれの市町村に、民間の方 もいらっしゃる、NPOの人もいる、近所隣の方もいる、そういった方たちがどう本当 にそこで温かさを作っていけるかというような時代になってきていると私は思います。  ですから全てが公的なことだけではなくて、障害者のサービスに対して公的な部分も 非常に熱い、しかしそれに対して違った形のサービスも、サービスというのは民間のサ ービスとかボランティアのサービスとかNPOのサービスのことを言っているのです が、そういったものとの組み合わせをどうこれから構築できるかということ、そのこと がとても大事だというふうに思っています。  最後にやはり先程お示しいただいた資料の中で、身体障害と精神障害の方が高齢化し ている割合が非常に多い。そうするとどこでそういうことの年齢的線引きをするのか、 これは非常に困難な問題があります。少子高齢化が進めば進むほど、やはり障害者の方 も高齢化していくわけですから、その高齢化していく中で普通障害を持った方じゃない 方たちも高齢化して障害者と同じような状態になっていく。そこのところでどう本当に 別の制度でどこまでやっていけるのかという問題にいずれは直面するのではないか。そ のことを今からシミュレーションして考える必要があるのではないかということ。  そして最後に申し上げたいのは、やはり障害者にとっては生活ということと、やはり どれだけ就労ができるかということがとても大事であって、この就労のシステムを入れ 込んでいくということと介護保険のあり方とをどう組み合わせていくかということを考 えないといけないのではないかというふうに考えています。ありがとうございました。 ○松友委員  全日本育成会の松友です。全日本育成会というのは先程武田委員がおっしゃった4月 30日に対話集会を主催した8団体の1団体でありまして、この8団体は別の表現では、 浅野知事の表現によるとこれまで二度厚生省の前に押しかけてきた団体の8団体の一人 であります。それで特に今日は非常に実りのあった議論だと思うので、少し整理をする 必要があろうかなという感じがします。  と言いますのは、私が確認しなくちゃあいけないのは、いわゆる介護保険の議論とい うのは、これは介護の保険制度がスタートした時には5年後には見直すんだということ で、スケジュール的に介護部会ができて見直しをやっているということなわけでありま す。ただ、問題は支援費制度が1年も経たないうちに財源問題が大騒ぎになって、いわ ゆる財源問題との関係でとにかくという形が出てきているので、ちょっと介護で本来障 害福祉をやるべきかどうかという議論がちょっと冷静にできてない。だけど改めてなる べく冷静にやる中で、これをきちんと議論すべきだなということが第一点だと思いま す。  第二点は、前回のこの部会で明確になったように、介護部会の方はもう障害部会に下 駄を預ける、平たく言うとなるべく来んで欲しいという思いを込めて言われている。と いうことは我々が当事者としてどういうふうにするかという、少なくとも5年間の、場 合によってはこの先100年間の方向性をこの部会に下駄を預けられているという、これ は大変な事態だというふうに思うわけです。これは我々は自覚するしかない。進むか退 くか寝るかは別にしてね。  三点目は、いろいろ議論を聞いてますと、浅野さんを除くとお二人の市長会、それか ら町村会もそうだったし、丹下委員は非常に明確に、基本的に介護との統合を反対とい う方が多いんですね。丹下委員の整理は非常によくわかりました。ただ、言えることは 我々8団体の中でも賛否両論今議論しておりますが、その時の反対という意見と理由が 全く正反対なんです。敵の敵は味方でといえば味方になるかわからないんですが、これ はどういうことなのかということを冷静に議論しなきゃあいけない。このままいけばど う考えたって今多数決でやれば反対で決まるわけなんです。  ただ、それで本当にいいのか。だからそこではやっぱり介護保険に何年か前の時に入 らなかった、あの時の慎重ということと含めて私たちは議論していたわけですから、そ れがいつの間にやら議論か消えちゃったわけですから、改めて本当は戦略的、国家戦略 全体を含めてきちんと議論しなきゃあいけないわけですが、そこまでなかなか時間がな いとしたら、ある程度中長期的な流れの中で冷静に議論していかなくちゃあいかんだろ うということが一つだと思います。  じゃあどれが統合を賛成しているのかというか、統合を進めているのか。口を開けば みんな反対か、私たち育成会みたいに慎重というか、まあ誰か手をあげたら乗りましょ うというばかり言っていて、平たく言いますと誰も手を上げてないわけですよ。ところ が実際1月の我々障害関係との議論をしますと、どうも行政サイドはその統合の方にも っていかないともたないという判断をされているようだということはわかるのですが、 あとは学者の方とかいろんな議論されている方がありますが、どうも明確に統合の方が いいかどうかというあたりの整理ができてないという感じがするわけです。  それで先程浅野さんがおっしゃって私も大変重要だと思うものは、ある面では精神の 話が今非常に盛んに言われています。その通りですね。精神はゼロに近い。とともに我 々知的の方も一気にホームヘルプ等を利用したか、何か知的が利用したから財政が赤字 になったぐらいのデータが出ているわけですが、これも似たような形で地域で暮らせな い状態があった。それが支援費制度という中でニーズが一気に顕在化した。それでもデ ータを見ますとわかりますが、市町村の中でも事業所があるのはまだ半分ぐらいですよ ね。これから来年再来年といったらこの数倍のニーズが出て来るだろう。  結局なぜ十何万人が入所施設にいなくちゃあいけないかということを考えれば、地域 にマンパワーがないからだというか、マンパワーを含めた受け皿、サポートシステムが 弱いからだという現実的背景があるわけですね。ところがそれを少なくとも制度として 居宅支援サービス等を作ったとなると、一気にやはりスープの冷めない距離で生きてい きたいと思うのは当然であって、それは一気にニューカマーなのかオールドカマーか別 として、一気に増えるのは明確なんですね。  問題は精神とともにこういう新たなる需要に、この支援費制度の改良改善で堪えれる かどうかというものを明確に考えるべきだ。何もあっちがいいから隣の芝生にすぐに移 る必要はないですが、どう考えてももう我が家は崖崩れで家が崩れている時に、ノーな のか、まだ芝生が枯れた程度でもう一回掘り起こせば芝生は何とかなるのか、そのあた りから見た時に行政はもはや無理だとおっしゃるのは、昨年苦労された財政問題があっ ただろうと思うんですが、私たちは一緒にとまではいかなくても、我々の将来の財源見 通しを考えた時にどうなんだろうか。  そのリアルな、もっと露骨に言うとのんびり5年間議論しているだけの我々の時間的 余裕は本当にあるのか。いわゆる乗り遅れというと変ですが、我がタイタニック号は沈 むのか、穴を塞げば何とかやれるのかのあたりのリアリズムが非常に弱いような気がす るんですね。気がついてみて、みんなで沈めば怖くないといって北極海に沈むのも一つ の得策かもわからないけれども、そのあたりがどうなのか。それから見ると反対の人の 議論は非常に明確である。賛成の部分がもう一つはっきりしない。  そういう意味で最後に結論から申しますと、実は8団体はもう大激論をしました。先 日の4月30日の総括を巡って。というのは8団体といっても民主的な社会ですから、い ろんな考え方と生き方と団体の内部でもありますから、それをふまえながらやはり障害 者が地域で暮らせる制度を、今到達したレベルをどう保持するかという意味において一 致していて、その中でどういう形で進んでいくかというと、これはかなり議論がありま した。  その中で一致して「お前が唯一数少ない委員だからちゃんとこの部会で伝えろ」と言 われましたので、責任をもって伝えますが、要するにもう大体議論は出尽くしたんじゃ ないか。少なくとも障害団体はどんなに不安があるかを出せとか、何が聞きたいのか言 って来いとかいうのはあったけど、大体議論は出尽くしたんじゃないか。  各団体の下部討議というか、いろんな内部で出す時に一体支援費制度に移るとした 時、例えば一体不安がどうなるのか、例えば二階建てだの、横出しだの、何か家の増築 みたいな話が出るけれども、具体的にそのあたりはどうなのか、もちろん今の段階では 言えない、あるいは出したとしても向うが相手があることだし、いろんなことがあるか ら変わるかもわからんけど、少なくともいわゆる試案というか、あるいはこういうこと はやっぱりやるべきだという案みたいなものをやはり出した上で議論をしていかない と、説明のしようがない。賛成したくてムズムズしている人も賛成できないし、もちろ ん反対している人は当然出てこないわけだから、これはもう話にならない、そういう段 階だ。  だから要するにもし行政というか、事務局として出さないのだったら、例えば法制審 議会なんかだと別に委員会ができて、そこで作って、それを試案として出してきたり、 あるいは座長はどうも聞くところによると統合の方向の賛成のようだから、いや、わか りませんよ、そうすると座長提言でも出して来いとか、何らかの具体的な議論をやって いかないと、もう何と言うか、これ以上話は進まない。それでシーズンだけが進んで、 秋なんてすぐ先だ。大体本来は5月いっぱいで結論だったんじゃないか。そういう意見 が噴出したわけであります。  結論から言いますと、誰がどのような形で出すかは別として、ある程度議論できる、 かなり明確なる試案というか、あるいはスケルトン案というか、あるいは妄想案、何で もいいですが、とにかくちょっとそこをふまえた中でこれがどうなのかということを議 論しないと、本当に空を見ながら議論している段階はもう終ったんじゃないかというこ とを、これは私個人の意見でもありますし、私たち当事者団体として若干の苛立ちを含 めてその提案をさせていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。 ○京極部会長  ありがとうございました。次は笹川委員お願いします。 ○笹川委員  先程財源の問題がございました。私ども一番不安を感じるのは、もし介護保険に統合 された場合に、今の介護保険でさえもかなり厳しい状況にある、そのために対象者を20 才まで引き下げるというようなことが言われているわけですが、そういう介護保険の現 状を、そういう中へ支援費制度が入っていった場合に一体どうなるのか、この辺が全く わからないわけです。我々会員に説明するにしても、そういった問題がはっきり伝えら れないと、とにかくいってみよう、あとは結果待ちだみたいなことではとても納得させ られないんですね。現在の介護保険の運営状況が分かれば少し聞かせていただきたいと 思います。 ○斎藤委員  多くの委員の皆さんから、その中身が見えないので賛否を問われてもこちらで態度表 明できないという意見なんですが、全く同じなんですね。それで少し具体的にお伺いし たいんですが、この資料2の参考3のところで、障害者の総数約660万と出ております。 この660万のうち60%は逆に65歳以下なんですね。この65才以下の人たちのうちに、新 しい介護保険にかりに統合されたとすると、どの程度の人たちが在宅サービスを使った り施設サービスを使ったりするのか。  または今の介護保険では三つの施設類型がありますが、それが障害者が統合されるこ とによってどのような施設類型を描いているのかとか、また障害者独自の在宅サービス としてどのようなものがあるのかとか、このようなものが出て来ない限り、賛否を問わ れても我々団体を代表してここへ来ていますので、なかなかお返事をすることができな いんだろう、その辺が皆さん不安にも思っているところなんだろう。  それで座長にちょっとお伺いいたしますが、これは我々の部会の方から介護保険部会 の方にぜひとも検討してくださいとお願いする場合に、骨子だけを出すのか、ある程度 今言ったような障害者が加わることによって財政がこうなるとかああなるとか、そうい うものをつけて出すのか、その辺はどうなんですか。 ○京極部会長  これは決まった様式があるわけではありませんので、ただある程度私は詳しい理由付 けが、今日は丹下委員からも御発言がありましたし、国民が納得する理由づけが必要だ と思いますが、それはどこまで議論できるかということもありますが、ただ、こうした いと言っても作文ではないので、政策提言ですので、やはりかれこれしかじかの理由 だ、その結果こうなるだろうとか、こういう点には留意してもらいたいとか、注文もつ ける必要もあると思うので、今の介護保険に、もしかりに障害者介護が入ったとして も、部屋は同じ部屋でそこにギュウギュウ押し込まれても困りますので、やはりある程 度共通の居間と独立した個室みたいなものがないとやれないし、それから介護保険の中 だけではできないものがたくさん障害者介護はございますので、それはどう財源保障す るのかということがないと難しい。ただ、財政的な計算までしろうということは、これ はどちらかというと行政の仕事でございますので、我々審議会でそこまでやることはな いと思いますが、それはむしろ行政の方にお願いして、説得力ある資料を作っていかな ければいけないと思っています。 ○斎藤委員  そうしますと今この段階に来て、もう三位一体改革の答えももうすぐ出るんでしょう けれども、行政の方では今私が質問したような中身というのはある程度できておるんで すか。 ○村木課長  制度設計については今一生懸命検討しているところでございます。ただ、先程おっし ゃられた、例えばじゃあこれからニーズどのぐらいになるんだろうとか、そういった基 礎データのところというのはある程度整理をしていくことができるというふうに思って おります。先程から例えば秋に制度設計というお話がありましたが、なぜ秋かという と、それはかりに私どもがボールを投げて、それを受け止めてもらえれば、要するに介 護保険そのものも高齢者の介護の問題として今検討されている。それから私どもは私ど もで障害の問題をここで検討している、そういうものをトータルに見て、もし障害も入 ってきて介護保険を設計をする、その最終的な共通の居間だかと個室だとか、さっき部 会長がおっしゃられたような、そういうものの設計は秋ということでございますから、 逆に私どもはこの場で障害者施策としてどういうものが必要か。それから北岡委員がお っしゃったように、その中で介護のスキームをこれは使えそうだとか、使ってもいい、 あるいはいろんなメリットがあるからぜひそこは使いたいというようなことはこちらの 部会で十分議論をいただいて向うにボールを投げることができると思います。そういう 御議論をいただければ、私ども事務方としてそれの理論的な裏付けとか、データの整理 とか、そういうことを一生懸命やっていく、そういう形になろうかと思います。 ○斎藤委員  17年18年で3兆円の税源移譲ということで、厚生省は国の全体予算の大体2割ぐらい 使っているわけですが、2年間でざっと見積もると6千億ぐらい削減されるんじゃない かと、これはあくまでも仮定の話ですね。今年公立保育所の2,000億を超える削減につ ながったわけですね。  一つお伺いしたいんですが、この公立保育所の国それから県、それから市、町村の財 源の負担率が一般財源化される前と後でどう変わったのかというのが一点と、おそらく 3,000億ぐらい、また17年度来るんでしょうが、これは出せなければ結構ですが、タイ ミングもあるでしょうが、何かをお考えになっているのか、この二点をちょっとお伺い いたします。 ○村木課長  もともとの基本的な考え方は国2分の1、県4分の1、市町村4分の1という形でご さいますが、その一般財源化された時に、例えばどれだけの税源が動いたかとかいうの はちょっと今数字がありませんが、基本的には全部実施する自治体に財源ごと移ったと いうことでございます。国から補助がいってる形はもうゼロになったということでござ います。それから17年度18年度についてどうかということでございますが、これはまだ 私どももこれを差し出すというものが言えるような段階ではございません。  それから国の財政の中での厚生労働省のウェイトというのは、2割とかそういった、 今おっしゃられた数字かもしれませんが、実際に国庫補助負担金というベースで見ます と、もう残されている財源の中で厚生労働関係が半分ぐらいなんだろうという理解でご ざいます。そういう意味では3兆円とありますが、必ずしもその元の分母通りの比率と いうことはないと思いますが、1割2割では済まない可能性も非常に高いというような 状況でございまして、去年は私ども実は生活保護をということでやったわけでございま すが、その辺もふまえてこれから中でも詰めていくというような状況になろうかと思い ます。 ○京極部会長  それでは嵐谷委員から手が上がりました。どうぞ。 ○嵐谷委員  私も日身連の代表ということで、言葉に気をつけながら発言させていただきますが、 大部分が私の意見ということで御理解をいただきたいと思います。先程来からいろいろ と統合するかしないか、反対か賛成かというようなところまで話が進んだように思いま すが、実際問題まだここに不安材料がものすごいあるわけです。じゃあこの部分はどう するかという、その不安材料をどういう形にするのか、ここらが全く明解に出ておりま せん。  介護にしてでも、高齢者と障害者では似たところもあるけれども、全く違う部分、全 身障害者なんて言えばもうほとんど24時間ずっとつきっきりにならなければならない。 高齢者の人ではおそらくそういうことはないだろう。いろんな形でそういう制度がどう なるのか、そこらあたりをもうちょっと明解にしていただきたい。  そしてまた先程来から地域へ地域へという話が出ておりますが、地域でじゃあどの程 度どういう形にするのか全く明解なものが見えてきてないんです。あくまでも10年間に 72,000人の精神障害者を地域でという、受け皿が作ってないのにじゃあどうするのか。 ここらあたりをもうちょっと明確に出していただいたら、もうちょっと論議の仕方も方 向が変わってくるんじゃないかなと思います。  また、もちろん障害者そのものはいわゆる経済的な能力は非常に低いわけです。だか ら負担能力とか保険料とか、そういうところにもどの程度どれだけの金額が必要なの か、負担がいるのか、そういうこともまた明解に出していただきたい。そのようにも思 いますし、また障害者間の差別というような、ちょっ言葉でいいのか悪いのかわからな いけれども、精神障害の方なんかは今のところでは支援費制度では全く関係がないとい うような状況の中で、今後それをどう進めていくのか、いろんな形でまだまだきっちり としたもの、論議の中心になるものをもうちょっと明解にしていただけたら、いろんな 答えが出てくるんじゃないかなと思います。反対か賛成かじゃなしに、もうちょっと時 間をかけるつもりで論議したいなと考えております。以上です。 ○京極部会長  ありがとうございます。君塚委員は次回また発言ということなんですが、もし団体の 代表として御発言があれば、どうぞ。 ○君塚委員  全体の中ではニーズとマンパワー、それに対してのお金の問題だと思うんですが、ニ ーズは私たちの経験ではどんどん変わってきています。これからも変わる可能性はある と思う。例えば高次機能障害によると自閉症児、あるいはアルコール性胎児症候群とい うのはお酒による知能障害が圧倒的に爆発的に出る可能性もあって、ニーズが変わって 来る可能性がありますし、新しい新生児医療の治療によって死んでしまう子が生き延び る、そのために重度化のお子さんという形がこれから変わって来るということで、ニー ズは何かという時に、私たちずっとニーズということを考えているけれども、具体的に 目の前ではこれがニーズだというのがわからないんですね。5年10年経った後で見ると これがニーズだったという形で、そういうふうに対応してきて変わったんだなというの がわかります。  今、肢体不自由児施設なんですが、子どもたちにとっては知的障害、あるいは精神障 害のお子さんたちが訓練に来ています。今後どういうふうにそういう人たちが私たちの サービスの結果集まって来てそれが主流になるかどうか、今見通しがたちません。ちょ っとずつ職員配置などでサービス対応しているという段階です。それからマンパワーの 中では、やはり子どもの世界は特に親御さんが少しでも自分のお子さんの能力を高めた いということで、いろんなところの情報を得て自分たちでいいというところに出かけて 行きます。極端な場合は家族揃って家を引っ越してきます。施設の近くに住み着くとい うことが今あります。そういう形で障害児の場合にはそのサービスを求めてということ で、自由競争的な面、まあ医療が入っていることもあるんですが、そういう面がありま す。  お金の話では先程中負担中福祉というふうな話があったんですが、医療費の中で日本 のGNP比でOEDC26カ国中21位だと思うんですが、WHOは日本の医療が世界で最 もいいというお墨付きをつけていると思うんですね。そういう意味では中負担高医療と いうふうな状況だと思うんですが、その福祉の世界でどういうふうにするかというとこ ろで、私たちが見た範囲でもこのグループはもうずっと収入が黒字で安定している、こ ちらはとても苦しい、それから支援費の中でも安い人件費のために優秀な若い男性が入 って来ないために同性介護ができない、そういうふうなお金の動きから見た面でのバラ ンスが悪いということですが、競争世界ということになると余計懸念される面もあるの ですが、実際そういうお金の中での動きをまず把握して、いい案が出るかどうか、単に 入所から在宅にすればお金が安くなるかというと、そうは限らないと思っています。  例えば東京都で重たい重身の大人の方は月に税金が80万ぐらい平均で投入されていま す。それから肢体不自由児のそういう施設の中では都立では5億円使って8千万稼いで います。そういうものは都が全部税で穴埋めしている。ちょっと試算の方法が違うから 厳密でないかもしれませんが、そういう報告にはそうなっていたりしますので、その辺 のもう少しお金の動きを分析して、必要なところにより必要なお金という形で、もう一 つは新しい受け皿を作る時には余計お金がかかるということを念頭に入れて、どれぐら い必要なのか。例えばハートビル法で学校にはエレベーターをつけなければいけないと いう法律で、全国につければエレベーターだけで2千億円かかるから、文部科学省はで きなくて地域で教育委員会に任せておいおいやっていくという現実があるんですが、そ ういう形では移行に関するお金というものはどれぐらいかというのを考えていかないと 進まないのではないかと思います。 ○福島委員  今日は自治体の方のお話を最初にお聞きして、浅野知事のお話で印象に残ったことと して、介護保険という枠組みに移ることで国民全体を巻き込んでいく。障害者という枠 の中ではなくて国民全体を巻き込んでいくということは一つの今後の展開において重要 ではないかという御指摘はもっともだろうと思いました。  もう一つ、制度の問題で、例えば介護保険、障害者が移ることによってもちろん障害 者の福祉がうまく機能しない部分があるだろう。例えば介護保険が上限がある、利用で きる部分に上限があって、それを超えると自己負担になるけれども、それでは対応でき ない障害者も出て来るだろう。それに対してそもそも医療保険との関係で介護保険自体 にも問題がある可能性があるのだから、それはまた制度を変えればよいのではないかと いう御発言でした。  ただ、それを逆転させると、じゃあ支援費制度に問題があるのであれば、支援費制度 を変えればよいではないかということにもなりますので、やはり介護保険に移ることが 最初にありきという議論ではなくて、制度をどのように設計していくかということは議 論すべきだろうと思います。  精神障害の方が支援費には入っていないので、介護保険に入っていたらいいですよと いう議論も今日はございましたが、そうではなくて、精神障害の人も含めて全ての障害 者がうまく支援を受けれるような枠組みを作ることがまず第一であって、それが支援費 なのか介護保険なのかという議論は次元が違うだろうと思います。  ただ、こういった諸々のことを含めても、実際問題財源がなかったら、ガソリンがな ければエンジンが動かないではないかということは最終的な段階では一番深刻な問題 で、最終的に一番影響を受けるのはエンドユーザーとしての一人一人の障害者なので、 そこにいる私たちがどの時点でそれを判断する、決断するかだろうと思うんですね。つ まり、実際の一人一人の生活に最終的にとばっちりが来てしまうかもしれない。その時 にどこかで誰かが死んでしまうかもしれない、サービスが少なくて亡くなってしまうか もしれない、そういったことも含めてギリギリのところでどう判断するのか。  最後の方で出て来ましたように、やはりある程度具体的なスケルトンでありますと か、骨組みになる設計図、デザインをもとにして、そろそろ具体的な検討をする時期な のかなというふうに思っております。今回のこの時期で明確な結論が出せない可能性も ありますが、方向性についてはある程度水路づけをしておかないと、同じことの繰り返 しになりかねませんので、ただその水路づけをする過程においてどういう議論がなされ たかが、その後に影響をするだろうと思うんですね。  ということで具体的なドラフトはないし、デザインをもとにして議論をするというこ とと、あとは不安や疑問も様々な不安を抱えている団体側の皆さんがおられると思いま すので、そういった方々の不安に一つ一つ答えていく。わからないところはわからな い、予想できないところは予想できない、だけども予測できる部分もあるかもしれない ので、そうやって一つ一つつぶしていかないと総論的なニーズの議論では限界だろうと 思います。以上です。 ○京極部会長  ありがとうございました。大変理論的な整理をされておられます。それでは国民の立 場から永井委員、どうですか。 ○永井委員  皆様の議論を伺っていて、やはり少子高齢化の中で国民的な互助の精神というのを涵 養するというような意味から、統合のスキームにはまるものはやはり介護保険と統合す るという方向なのかなという感想を持ちました。その場合、国保の問題もありますし、 一体負担率がどういう条件のもとでどのぐらいなら耐えられるだろうかという、これは やっぱりその制度設計の中でしっかりと考えなければいけないというふうに思いまし た。  それで結局私どもの仕事というのは国の施策に対する提言というのをするわけです が、同時にやっぱりこれは地方公共団体といいますか、そこでの議論がどうなるのか、 つまり受け入れマンパワーの問題もあって、こういう政策に対する合意形成というのは 地域ごとにどのぐらいできるのかというようなことを考えますと、やっぱり市長さんの 考え方も今伺ったところ真っ二つなようですね。  したがって首長一人一人のそれは情報公開もしていただきたいのですが、その地元の 理解、シンパシーを生むような、先程千葉県の知事がおっしゃったように、やっぱりタ ウンミーティングみたいなものを積み上げて、私は国の施策とそれから地方のそういう 合意形成というのと両輪でやっていくしかないのではないかなというふうに思いまし た。そういうことでまとめあげていくということですね。  そしてマンパワーのことを考えますと、確かに一般財源化していくら出すのかという 問題もありますが、一方ではその地域の中でネットワーク事業みたいなサービス事業も NPO事業の活動の中で主婦中心にできておりますし、一つはそういうことから小さい ながらも積み上がれば産業振興的な動きも出て来る、その中から税収も上がるかもしれ ないというような、こういう循環の中で考えていくということではないかなというふう に思いました。  ですからしっかりどの程度の負担率になるのか、年齢をどのぐらいまで下げていくの か、一気に20才まで下げるのか、みんなが就職できる、最近非常に学校に滞留する若者 達が多くて、20才で堪えきれるのかどうかよくわからなくて、25とか30というところま で介護保険の加入者を下げていくのか、その辺のところもやっぱり細かいデータを、こ れは事務局のお仕事なんですが、積み上げながらやっぱりその介護保険と合流するにあ たってのバリアというか、何が障壁なのかということをきちんと資料を出していただい て議論をするという方向ではないかなというふうに思いました。 ○京極部会長  ありがとうございました。次は高橋清久委員お願いします。 ○高橋(清)委員  もうほとんど今までの御意見で尽きているとは思うんですが、私のスタンスは理念的 なものは二つありまして、一つはやはり国民の誰もが障害になり得る、いつなるかわか らないという、そういう状況を国民の一人一人が理解するということ。それからやはり そういう障害を持った人への相互扶助といいますか、そういう考え方がもっと浸透して 欲しいというふうに思います。そういう立場から言えばやはり介護保険が一番理念にあ うかなというふうに思っております。  もう一つは、介護保険を推進する立場としては、サポートする立場としては、やはり 精神障害者の不平等感をどうしてもなくさないといけないだろうということです。支援 費の中に入っていくのは非常に非現実的だと思いますし、やはり介護保険のシステムの 中でどういうふうに三障害の差別を少なくしていくか、それがより現実的だろうとは思 っています。  ただ、こういう議論をしていてもなかなか議論が煮詰まらないと思いますので、今ま での方々の意見にも出てましたが、やはり何かシミュレーションというか、モデルとい うものをどこかで作って、事務局でもいいし、座長案でもいいし、あるいはこの部会の 中の有志でもいいし、あるモデルを作って統合した場合にはこういうメリットがあり、 こういう問題点がある、統合しなかったらやはりメリットとデメリットとこんなものが あるという、具体的なモデルを三つか四つ示していただいて、それをもとに議論してい くのが具体的な結論に向かった議論の進め方ではないかと思います。ましてこの障害部 会から介護部会の方にボールを投げなければならないとすれば、もうすでにそういうこ とをしなければならない時期に来ているのではないか、そんなふうに思います。以上で す。 ○京極部会長  ありがとうございました。時間が来ましたので、あと1〜2名に絞りたいと思いま す。それでは広田委員お願いします。 ○広田委員  事務局が大変なことはよく承知しておりますが、ぜひこの委員会の日程を、何か直前 まで決まらないんですよね。それで私はこの日程を大事にしていますから早めにしてい ただきたい。特にいろんなことをやろうとしているわけですから、早めに組んでいただ きたいということが一つと、もう一つは精神障害者がフィットネスクラブに入れないと いうことがある大きな新聞社で取り上げられたんですが、私は横浜市内で自分はちょっ と太りすぎということと骨折した後ということで、フィットネスクラブに行こうと思い まして、あたりましたら逆に障害者割引があるということがわかったんですね。  ですからそういう時に厚生労働省はその業者の自主性に任せるとか、そういうコメン トではなくて、むしろ遅れている精神障害者が地域の中で健康に暮らしていくためにも 手帳を持った精神障害者にフィットネスクラブのサービスをしていただきたいというよ うなコメントをしていただくと、啓発にもなります。 ○福島委員  先程高橋先生がおっしゃっていたシミュレーションのことですが、私もいろいろな議 論を整理して比較する上でそういったものは必要だろうと思います。だからそこで支援 費に残った場合と介護保険が統合された場合の予測されるメリット・デメリットをそれ ぞれ双方4パターン出すべきだろうと思います。  つまり支援費のデメリットと介護保険のメリットだけを出すのではなくて、支援費に 残った時の肯定的な側面と否定的な側面、それから介護保険に移行した場合の肯定的な ものと否定的なものという四つの側面を出さないと、フェアな比較はできないだろうと 思います。  そのためにやはり団体側の意見をきちんとヒアリングするということ、私は3月の初 めにも提案させていただきましたが、ぜひこの部会でもヒアリングをして、具体的にど ういう不安や疑問が出ているのかをふまえて、それに可能な回答をした上で、いま言っ たようなシミュレーションをして整理していけば最終的な判断ができるのではないかな と思います。以上です。 ○徳川委員  簡単に申し上げます。非常に多くの議論があるのですが、地元と実際具体的にやって いる人の意見というのも、これは非常に重要で、これはまとめなければいけないし、だ けども残念ながらそれは時には真っ二つになることもあると思います。今日の資料の中 でドイツとスウェーデンとオランダとイギリスの資料が入っていると思うんですが、こ れは非常に重要でありまして、今後私たちは保険に進むのか、税に進むのかという、日 本の今後を決める非常に重要なところにあると思うんですね。それとも第三の日本型の 道をとるのか。ですからこれについていろんな団体の御意見を聞くことはもちろん大事 です。  私たちは次の時に言わせていただきますが、同時にこれを少し理論構築して、理論的 にはどういう歴史で、どの国はどうなって、どういうところがあるということをきちっ と、少しはこれについて中立的に研究していらっしゃる学者の方にスタディしていただ いた方がいいんじゃないか。それについて我々はもう少し理論的に考えないと、ただ下 手をすると利害関係だけになってもいけないなと思ってますので、そういう機会があれ ば一つお願いしたいと思います。以上です。 ○京極部会長  検討させていただきたいと思います。時間が来ましたので私の方から三点ほどお話さ せていただきます。介護保険制度施行の前の介護保険法を作る時から関わっていますの で、いろんなことが想起されますが、今日の時点で考えますと、第一点で一体介護とは 何かということがはたして本当に明確になっているかどうか。  実は介護保険法の中で介護の定義がされたのではなくて、社会福祉及び介護福祉法の 中で初めて介護の定義をされて、それをもう少し弾力的に介護保険法では適用いたしま した。その場合の介護福祉士の規定の中に、身体上または精神上障害があることにより 日常生活を営むに支障があるものにつき、入浴、排泄、食事その他の介護を行い、並び にそのもの及びその介護者に対して介護に関する指導を行なうことということも入って おるわけです。これを具体的にどうするかというと、介護保険法では福祉サービスのみ ならず医療サービスも含めてそれに対応できる。つまり介護保険法では縦割りのサービ スを横にかなり使ってやることができるということになったわけでございます。  そして介護保険法、まず法律を生み出す時にいろいろ議論がありましたが、やっぱり 保健医療福祉の連携というのが財政的な支援と並んで大きな意味があって、金の問題だ けで介護保険法だけができたわけではなくて、高齢者介護が財政的にパンクしたから介 護保険を作りましょうと言ったわけでは決してなくて、もちろん財政的な問題もござい ましたが、今考えてみると確かに介護保険法がなかったら措置制度のもとでこれだけ高 齢者介護が進んでいると言えませんので、はっきり財政的な支援の問題もありました が、それと同時に保健医療福祉の連携が進む、望ましい姿として21世紀展開されるとい うことで、ああいう仕掛けになったわけであります。そういう点で障害者介護の問題 も、保健医療福祉ということはあまり言われませんが、むしろ就労とか住まいのことを 言われますが、そういう点でどうなのかということを改めて考える必要がある。  それから三点目は給付と負担の関係ですが、当初は20才からということで、これは国 民連帯の支援で高齢者介護についてもやろうということになったんですが、やや理念倒 れで給付と負担はやはり一致しないといけない。20才の方が、例えば高齢に伴う介護と いうことになりますと65才まで待たなくちゃあいけない。交通事故で脊髄損傷で車椅子 の人が介護サービスを使えない。これはちょっと矛盾がありますので、老化に伴う介護 に限定いたしました。これは制度設計上議論していく中で最後に決めてきたことであり ます。したがって負担者を第二号被保険者として40才からに、せいぜいそこまでという ことにして、20才からのことは断念いたしました。  しかし考えてみますと、ドイツなんかの場合は20才からということで先に決まってい まして、国民連帯で高齢者の介護を守りましょう、ついては20才からの交通事故に伴う 介護も含めて入れないと負担ばかりして給付がない世代かできてしまいますので、それ はまずいということで後から入ったんですね。ところが我が国では今議論されている時 にちょっと誤解がありますのに、20才から保険料負担を増やすために障害者を何かこっ そり入れるみたいな形で、新聞等でもちょっと説明しているのもありますが、これは大 きな間違いで、やっぱり国民連帯として年齢や障害を問わず全て介護の必要な人たちに ついては介護保険から適用しましょう、その時に障害に伴う介護も難病等その他いろん な理由で先程広義に申し上げた定義にのっとる介護についても、等しく介護保険でまず サービスを提供しましょうと、こういうことだと思うんですね。その上で障害の区別問 題がございますので、それはプラスαで税でやる。あるいは介護保険の中に特別加算を する等いろんな工夫がありますので、そういうふうに考えていただければと思っており ます。  ということでちょっと余計なことを申し上げましたが、実は今始まった議論ではなく て、介護保険発足の1997年、その以前からもずっと議論があるわけで、ただ障害者に関 わる多くの人たちでどうしようかという議論は確かに近年始まったわけなんで、議論が 足りないところがたくさんありますが、理念論としてはかなり当初からあったというこ とをとりあえずお伝えして今日は結びにしたいと思います。それでまた次回もございま すので、次回の中で日程等につきまして事務局から御説明をお伺いし、今日どうしても 発言したいという方は次回に発言いただくことにして、これで終りたいと思います。 ○間企画課長補佐  次回につきましては、本日の御議論をふまえていただきながら引き続き議論をお願い したいと思っております。まず君塚委員から御意見を発表していただくとともに、就労 支援や住まいといったことも含めて、これまで御議論いただきました論点について追加 的な御議論をお願いしたいというふうに考えております。また、本日いただきました様 々な御提言につきましては、部会長と御相談をして進めてまいりたいと考えております し、御要望の資料につきましても出来得る限り順次御提出させていただきたいというふ うに考えております。  次回は5月31日(月)の午後から厚生労働省9Fの省議室におきまして開催をさせて いただきたいと考えております。現時点での出欠状況がおわかりでしたら、お手元にご ざいます出欠表に御記入をいただきたいと存じます。なお、詳細につきましてはいつも 通り後日事務局より御連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げ ます。 ○京極部会長  それではこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。   (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                     厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3017)