戻る

平成16年5月27日
資料1

論点の整理(案)


1 基本的考え方
 ○ 健康情報は、個人情報の中でも特別に機微な情報として慎重に取り扱われるべきもの。
 ○ 労働者の健康情報の処理に当たっては、事業者は労働者の健康を守る義務と労働者のプライバシーの保護のバランスについて配慮する必要がある。

2 目的の特定と目的外利用の制限
 ○ 健康情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。 「できる限り特定」とは、単に労働者の健康の保持増進ということだけでなく、事業者に使用される誰が、取得された情報の全部又はどの一部に基づいて、如何なる対応をとるのかといった事柄が目的として特定されているものでなければならないのではないか。
 ○ 事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人の健康情報を取り扱ってはならない。

3 収集
 ○ 事業者が法定外で任意に情報を収集するに際しては、本人の同意が必要。
 ○ 本人の責任において同意しない自由は、個人の権利として保護されるべきではないか。利用停止や廃棄についてはどうか。
 ○ 法定であると任意であるとを問わず、本人の選択の自由はこれを認めるべきではないか。この点労働者の受診義務(66条5項)についてどのように考えるべきか。
 ○ 法定の健康診断において、事業者が任意に行うものは別として、検査値そのものの収集まで義務づける必要はあるか。
 ○ 収集の必要性が高くなく、それに比して本人の権利利益の侵害が大きい場合、係る情報の収集は認められるべきではないのではないか。

4 守秘義務
 ○ 人間ドック等の情報の活用が進む中、守秘義務の目的は現行の法定の健康診断の情報以外も網羅する必要があるのではないか。その場合、具体的な範囲を如何に考えるべきか。また守秘義務の課せられる主体の範囲についてはどうか。

5 情報の管理体制
 ○ 健康情報が目的に合致しているかどうかの判断基準や、その判断をする者をルールの中で明確にしておく必要。
 ○ ルール遵守の監視等 ルール遵守を監視する者として誰が適当か。産業医や衛生管理者がいない場合どうするか。
 目的内の使用に仮託して実質的に目的外の使用が行われたような場合の事後的救済についてどうすべきか。

6 開示
 ○ 特殊健康診断の結果の通知を義務づけるべきではないか。

7 第三者提供
 ○ 第三者への提供は、本人の同意を前提になされる必要がある。
 (派遣の場合について留意が必要)
 ○ 合併等事業承継は労働契約の承継であって、労働契約から生じた安全配慮義務も引き継がれるから、健康情報だけを排除して承継させないというのは難しいのではないか。

8 法律による対応
 ○ 個人情報保護法の運用では、データ数5000未満の事業者は対象にならないから、十分な保護を図り難い。労働衛生分野 で法律上の手当をすべきではないか。

9 取扱いのルールの策定と事前の労働者の同意
 ○ 労働者と事業者が事前に協議の上、情報区分毎に収集等処理についてのルールの策定が必要。
 ○ 衛生委員会等の審議においては、産業医等や衛生管理者等の参画のもと、ルール化することが必要である。
 ○ 国は事業者がルールを策定するに当たって依拠すべき指針を示す。

10 ルールには以下のような点が盛り込まれるべきではないか。
 ○ 情報の使用目的
 ○ 事業者に使用される如何なる権限を有する者が、どのような目的のために、どの程度の情報を把握すべきかなどについて、国の示す指針の中で、一般的な原則を設定できないか。
 ○ 収集の際の同意、廃棄等に関すること
 ○ 情報の管理体制(→5)
 ○ 特に配慮が必要な健康情報(→11)の場合で、本人が医師たる産業医等を信頼して漏らしたような情報は、原則として当該医師以外に知らされてはならないのではないか。
 ○ 産業医等による一元的管理について如何に考えるべきか。誰が(生の)検査値を管理するのか。
 ○ 産業医の役割をどのように考えるべきか。産業医の機能の充実を図るにはどうすべきか。
 ○ 労働者の開示請求及び事業者の開示のルール
 ○ 外注の際の契約の在り方

11 特に配慮が必要な健康情報の取扱いの留意点
 ○ 精神の健康に関しては、メンタルヘルスのほかに、在職精神障害者(本人が自発的に申し出た場合に初めて、障害者として事業者に把握されるべきではないか)の問題がある。このことに留意する必要があるのではないか。
 ○ メンタルヘルスに関して、外部資源の活用の際の守秘義務対策等が必要ではないか。

12 小規模事業場への対応
 ○ 事業場の規模の大小で基準を区別すべきではないのではないか。
 ○ 地域産業保健センターの活用も含め検討する必要があるのではないか。

13 その他
 ○ 事業者、労働者への教育、情報提供の在り方


トップへ
戻る