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参考資料1

医療情報ネットワーク基盤検討会
検討状況の中間取りまとめに対する関係機関等の意見


I.検討の経緯と基本姿勢
 ○医療情報のネットワーク化に関して、「国民に分かりやすく説明し、国民が安心感を持てるようにしていくことが必要である」ということについては、全くその通りだと思います。この間、様点な企業での情報流出が問題となっています。情報の扱いについては過剰なくらい敏感で、不信感をもって接するようになっているのが世情ではないでしょうか。多くの人が、医療情報の共有化によるメリットを共感し、セキュリティー対策を万全にすること、そして、そのことに対する責任の所在を明確にしなければ、実現は難しいと思います(医療機関)。
 ○医療情報ネットワーク基盤として、必要なものとしてPKI、HPKI、電子化を認める文書の範囲の設定、電子保存の解説、等が明確になったことは成果である。ただし、施設間データ交換を実際に行う為の医療情報の標準化にもう少しメスをいれて、具体的施策に結びつけることが今回の検討を現実化するために必要である(情報モデル、メッセージ交換規約の推進体制の早急な立ち上げが望まれる、などの表現が欲しい)(ベンダ)。
 ○本検討会はグランドデザインに掲げられたマイルストーンの一つと認識している。グランドデザインでは4つのステップで保健医療分野のIT化が進むとしていて、その目指すところが医療の効率、質の向上であり、ここに向けて国民も参加し国民の目を通してこれを実現して行くと理解している。この目的に向けて、本検討会の成果の位置づけが明確でない。これは、作業班が3つの課題に焦点を当てていること、この3つの課題が目的にどのように関連しているのかが明確でないためと思われる。検討会の課題は、(1)書類の電子化、(2)診療情報の安全な運用の基盤構築、(3)そのためのガイドライン作り、と分解できるように考えるが、もっとも大きな課題は、医療情報の安全な運用基盤であろう。さらに、この基盤は医療機関内外での運用基盤に分けられ、内部ではPKI等の適用と適切な運用が課題であった。問題は外部で、特に運用に対して課題がいろいろ出されたように思う。このような、どこへ向かうための議論であるか、今検討しているのはそのどこに当るのかなどを明確にしないと、とりまとめの聴衆は理解しにくいのではないかと思われる(ベンダ)。
 ○医療情報のネットワーク化に伴うプライバシー保護や情報セキュリティに対する国民の不安は、運用方法(例えば、患者情報をネットワーク経由で多施設が参照できる運用、電子署名付き診断書を電子メールで送信する運用など)に応じてその程度は大きく異なると思われる。したがって、プライバシー保護や情報セキュリティに係る技術的な対応策については、想定される運用ごとにそのメリットだけでなく、リスクを含めて分かりやすく示すことが必要である(医療専門職能団体)。
 ○「電子媒体による保存を認める文書は、医師法及び歯科医師法に規定する診療録等、医療法に規定する診療に関する諸記録等」と記載されている。電子媒体による保存を認める文書等としては、平成11年4月22日に出された通知に明示されているとおり、保健師助産師看護師法で規定する助産録等も含まれているが、中間取りまとめに記載されている表現では、助産録等が対象とならないとの解釈もできる。したがって、電子媒体による保存を認める文書は、医師法及び歯科医師法に規定する診療録等、保健師助産師看護師法に規定する助産録等、医療法に規定する診療に関する諸記録等と明示していただきたい(医療専門職能団体)。
 ○個人情報漏洩については医療そのものに対する信頼にも影響するため情報開赤については慎重に検討している。漏洩については悪意を持って行われる場合以外にも、意図せず生じる可能性があるため、医療情報の情報化を行いながらも十分な公開に踏み切れておらず、現在のところ、共有範囲は院内にのみとどまっている(医療機関)。
 ○厚生労働省の「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」を基に、わが国の医療の情報化を進めていく方策にはおおいに共感を覚える。患者さまにとって何罰必要なのかを第一に置き、医療機関にとってのメリットを考慮する必要を感じた。たとえば、問診、病歴、現病歴、家族歴、検査データ、処方せん、アレルギー情報などは患者さまにとって大切なデータであり、どこの医療機関でも第一に欲する情報である。これらの情報は現在の運用でも一医療機関の中でも、外来、検査、入院時に度々あらゆる場所からデータをひっぱり、最悪なことに、患者さまに幾度も同じ事をおうかがいするという現象が見られる。このあたりを患者基本情報として捉え、施設を超えた情報交換や共有を進めていきたいと考える。ネットワーク上でのこうした多くの個人情報が瞬時に大量に流出し悪用されることが無いよう十分な対応策を国、工業会、医療機関が団結して国民が納得し安心してこの情報共有の利便性を理解してもらえるためのよりいっそうの努力が必要と考える。また、医療に係る文書の電子化については全てをシステム化しネットワーク上で共有する必要は必ずしも必要と感じていない。システム化すべきものは瞬時に大量に物理的な制限雅無く、高速に処理・共有する必要のあるものと定義づけて検討する必要があるのではないかと感じている。この中間取りまとめを更に発展させられ国民の健療管理と医療の情報管理の発展に貢献されることを強く願います(医療機関)。
 ○過去の通知及びガイドライン作成時からの技術進歩、時代進歩(電子カルテの普及度合等)を考慮した上でのガイドラインの見直しのポイントを明確にすることが望ましい(ベンダ)。
 ○個人情報保護と守秘義務の関係について検討することが望ましい(ベンダ)。
 ○セキュリティマネジメントに関連する項目に関しては、ISMSに従った整理するかの検討を行うことが望ましい(ベンダ)。
 ○医療情報ネットワークの基盤整備を行うにあたっての前提に、認証局と病院、または病院と病院、医院が接続されることが条件になります。一般の医療施設でインターネット接続を行う場合、保守をどのように行うかが問題となります。その場合のセキュリティの設定いかんでは、個人情報の漏洩、またはシステムの破壊等の問題が発生してきます(医療機関)。
 ○医療情報ネットワークの設置に関しては、一般的なインターネット接続による方法よりある程度クローズドな回線を使用した(専用線接続、VPN等)ほうが問題発生の心配が無い様に思います。安価な方法として、例えば医師会、市町村の協力で、拠点ごとに認証局やインターネット等へ接続するためのサーバを設置してもらいそこに各病院の端末をVPN接続する。その接続には、当然パスワード、およびMACアドレスの認証等のセキュリティをかけておこなう。そして、そのサーバにファイアーウォール等のセキュリティ対策をしてもらえればかなり安全に情報のやり取りが可能になるのではないでしょうか。現在の状況で、各病院間でセキュリティの設定を行うのは、無理がありますし。安全対策を行っていない病院とのデータ交換などのやり取りは危険が大きすぎると思います。まず安全なインフラの整備を行っていただきたい(医療機関)。
 ○当病院の院内ネットワークの個人情報の保護、情報セキュリティの確保は電子認証により行われており、更にID・パスワードにより電子カルテ操作権限の制限をしています(医療機関)。
 ○情報の共有化については、医療機関同士の連携も将来の構想として検討していますが、地域での電子カルテ自体の普及がまだ進んでいないことや、スタンダードなシステムが構築されておらず、連携を取る場合には新たな費用が嵩む、又はシステムの不具合によるリスクが考えられます。今後、電子カルテのベンダー側の技術開発、連携が重要な要素になってくると思われます(医療機関)。
 ○必ずしも論点が明確でなく、検討会が行うことと外部が行うことの区別ができていないのではないか。ガイドラインを作ることは賛成であるが、医療機関の判断・運用にかかることは医療機関に任せるべきであり、検討会では医療機関同士の情報交換に際して必要な概念の整理、技術基盤の確認、現状での問題点の整理、実行スケジュール、プランの策定に重きを置くべきではないか(医療機関)。

II.医療における公開鍵基盤(Public Key Infrastructure :PKI)のあり方の検討状況
 ○暗号化の方法(PKIの仕組みを使うのか否か等々)に関する検討することが望ましい(ベンダ)。
 ○医療分野だけに留まらず他分野でも活用されている技術を利用することにより導入時、運用時のコスト負担が大きくならないような基盤作りを希望致します(医療機関)。
 ○医療機関等を組織として認証することについては、当該組織を代表する者を個人として認証することと併せて、開設者や管理者(病院長等)としての役割を例えば、hcRoleに位置づけること等により、結果として組織の認証が可能となるという選択肢も考慮するとあるが、医療機関等の組織を代表する者は流動的に変わる。また、開設者については、医師以外の場合もある。したがって、個人を基本とした認証の上に、組織の認証を行うのではなく、組織そのものを認証局に登録することについても検討すべきである。このことについては、これまでも意見として述べているとおり、施設認証の必要性については明示していただきたい(医療専門職能団体)。
 ○よくまとまっていると思います。HPKlの早期整備を望みます。医療機関の法人としての認証を代表者の自然人としての認証に置き変えるのは問題が大きいように思えます。HPKlで法人としての認証が得られればよいと思います(医療機関)。
 ○セキュリティー対策の具体的な手法として、医師等による電子署名の仕掛け作り、基盤整備は必須だと思います(医療機関)。
 ○電子署名や公開鍵について運用も検討しているが、鍵の個人管理に際しては職員に徹底した管理ができるものかどうかに躊躇があり、運用にはいたっていない。文書内容自体を暗号化する対策は公開鍵においては将来的な安全確保となるのは難しい印象をもっているが、ほかに解決策を知っているわけではない。最近は従来の電話回線を使った通信において、患者個人が特定できないように名前を塗りつぶしたりするなどして個人と文書を切り離すなどの工夫を行っていることもあり、電子媒体上もなんとか患者個人と文書を切り離して運用できないものかを模索するなどしている(医療機関)。
 ○現状の進め方で、とくに疑問はありませんが、将来的には民間の認定特定認証局を設置する方向に賛成です(医療機関)。
 ○医師の印鑑(本人認証)システムについて提案いたします。1.医師免許と同時に、医師免許ICカ一ドを交付する。2.1Cカードには、医師個人情報と同時に、本人確認のシステムを組み込む(cf指紋による認識、本入鍵の初回登録等)。3.電子カルテシステムでは、そのICカードをリーダーに差し込んでいないと、医師資格でのオーダリングや証明書類が発行できないしくみをつくる。4.学会参加とか、出勤管現(名義貸しができなくなる)とか、もろもろの管理運営にこのICカードを使用する。5.カードリーダーとコンピューターシステムOSとの間のインターフェイスは非公開として、デバイスドライバーは、厚生労働省が管理配布する。インターネット回線による認証がウイルス等の侵入口になる危険性が高いだけに、こうしたクローズドの認証システムが必要と思います。それとも、話題のベリサイン社のような認証システムを採用されますか(医療機関)。
 ○署名の議論において、医師等として、医師、歯科医師、薬剤師のみ触れられているが、「実地に則した詳細な検討を行った」のであれば、看護師や技師などの職種に関して言及してもよいのではないか(医療機関)。

III.医療に係る文書の電子化についての検討状況
 ○現在、電子化が認められていない文書については、必須要件を吟味し、電子化をすすめるということについては、同感です。ただ、処方せん(特に院外処方せん)については、悪用による被害が甚大であることも考慮し、現行通り、紙運用を原則とするべきだと思います。紙運用を原則としながら、バーコードやICタグなどを補完的ツールとして使用するのが現実的ではないかと思います(医療機関)。
 ○調剤記録の施設内保存の定義を明確にすることが望ましい(ベンダ)。
 ○電子文書で他施設に送付した場合、電子署名、暗号化等により相手施設に送付できると思います。その後、送付済みの電子文書に変更が生じた場合、文書の修正後再送付する事になります。この場合、相手施設に2つの電子文書が届く事になります。何れの電子文書も電子署名、暗号化の手続きを踏んでいますので、一見どちらが原本となるか混乱します。また、先に送付した電子文書の破棄の確認は送付側で確認することができません。この電子文書が2次利用される場合(例:処方箋等で利用する場合)、調剤薬局に修正前の処方箋が届きます。続いて、修正後の処方箋が届きます。患者には修正後の処方箋で薬が渡されますが、先に送付した処方箋が調剤薬局に残っています。病院側では先に送付した処方箋を無効にしたり、調剤薬局が処方箋を破棄したという確認ができません。(現行においては、先に発行した紙の処方箋を病院が回収する事で対応しています)電子文書の破棄を発行元でコントロールできる、何らかの対策が必要ではないかと思います(医療機関)。
 ○セキュリティの問題は重要な問題ではあり、利便性とセキュリティは相反する面も多いですが、技術的な面からは追いかけっこの様相もあり、特に『医療に係る文書の電子化』については、「電子認証」「電子署名」の現在の技術からすれば、十分適用可能であり、運用によっていかにより厳重な運用がなされるかが重要ではないかと考えます。『文書の電子化』は特にその利便性から、早急にすすめていただきたい事項です(医療機関)。
 ○公開鍵の使用は、診療情報データをメールを利用してやり取りを行うことを前提としていますが、前段に述べたようにその前のインフラの整備いかんでは、困難な作業になると思われます。第一にメールの安全性が、完璧であるという前提が無ければいけません。インターネット等を使用しない場合、電子署名された媒体を持ち運び、その媒体を、提供先の医療機関等で開くことができる必要があります。その文書のフォーマットなどの規格は今後どのように統一していくのでしょうか。現在の、医療画像におけるDICOM規格と同様な規格が必要になると思われます。早急に、どのような規格を標準にされるのかを打ち出していただかないと、医療機関およびベンダーも二重に負担が増えることになります(医療機関)。
 ○書類の電子化に関する現在の議論は電子政府のための医療文書の運用に終始している。これはこれで必要なことであるが、診断書等で議論したように、類似した書類の対比で整理することで対応が可能であるように考える。問題は処方箋。作業班で意見が出されたように単に電子化するだけでは大きなメリットが望めないのではないかと思う。国民のメリットを考えると、たとえば、保険薬局に行かずとも薬を入手できるなどがあるが、これには対面販売の規制がある。IT化は、現行のルールを変えることによって、さらに利便性を上げることが期待できるが、これをどのように考えるか、行政の対応も課題と思う。また、もし問題が起こったときの責任もあるが、現状を考えるとこの議論は困難か。であるならば、処方箋の問題は、課題を明確にして、これ以上の議論を行わないということもあってもよいかも知れない(ベンダ)。
 ○処方箋を電子化した場合、改竄できないように暗号化した場合、情報の復元化をどこで行うかが問題になると考えられます。処方箋を扱う、薬局全てに専用の復元化装置を置くのか、又、暗号化された情報を見るために、患者様、医院、病院など全てに復元する装置を設置するのかが問題になると思います。また、新たな仕組みができたときその旧式の機械を全て更新する必要が発生することを考慮しなければなりません。今のように院外薬局に直接病院からデータを送る事ができない場合、処方箋などは、紙による運用が良いように思います(医療機関)。
 ○診断書等はMSワードを起動して電子的に保存はできるが、印刷して記名捺印後患者様に交付しています。医師は、交付後電子カルテにその旨を記載する(医療機関)。
 ○処方せんの電子化については、どういう方向性が考えられるか不明である。表現の改善を望む。当面、一斉の電子化は困難というのは明確にし、どういうふうに電子化するかのロードマップ、方向性が必要と思う。「処方せん自体の電子化については、医療機関から患者等へ直接交付される等の制度上の要件を満足するとともに、紙媒体への記名押印または署名と同等の電子署名の実施が必要となる。これら必須の要件を満たしつつ、処方せん自体を電子化することを実現しようとすれば、例えば、技術的な可能性としては、ICカード等の媒体へ電子的に作成された処方せんを移入する方法等が考えられるが、薬局への持参途上で患者等が容易に内容確認できない等の問題がある。」上記文書の最後の、薬局への持参途上で患者等が容易に内容確認できない等の問題は、紙による処方せんとの併用等により問題回避する。また、電子化処方せんと紙による処方せんとの関係および実現方法については、今後のロードマップ作成など検討を待つところである。「ICカード等の媒体への電子的に作成された処方せん」については「ICカード等の媒体への電子的に作成された処方せん、あるいはネットワーク上のサーバに電子的に保存された処方せん」と実現方法は広く書いていたほうが良いと思う(ベンダ)。
 ○これまでは、主に病院間および病院と診療所、薬局との情報ネットワークを中心に議論がなされてきたが、地域ネットワーク医療を円滑に進めていく上でも医療機関と訪問看護ステーションとの診療情報等に関するネットワーク基盤についても検討していただきたい(医療専門職能団体)。
 ○この検討会の範囲外の作業かもしれませんが、様々な書類が電子化されることを前提に、現行法制で医師等の署名が求められている書類について、本当に署名が必要であるのか再検討のうえ、文書の電子化についての要件を検討していただきたいと思います。放射線照射録等、医療機関外で運用される可能性のない文書については、電子署名法によらなくても、医療機関内の独自の個人認証も認めるべきだと考えます。院外処方せんについて詳細な検討がなされていて感心しました。院外処方せんの電子化は難しいという印象を持ちました。急いで電子化するメリットはないと思います(医療機関)。
 ○照射録、診断書、処方せんのほかに、情報提供書(紹介状返事)というものに関しての考え方も進んでいると思いますが、教えていただければと思います(医療機関)。

IV.医療に係る文書の電子保存についての検討状況
1.適切な電子保存の推進
 ○解説資料集作成については、是非お願い致します。明文化された法令が少ない中で、全国どこの医療現場でも細かな疑義事項が多々発生していると思います。また、電子化された医療環境の質向上のためにも、システム運用に対する標準化された客観的な評価基準は必要だと思います(医療機関)。
 ○放射線照射録やスキャナーで取り込んだ文書の取り扱いについてなど、具体的な検討がなされていると理解します。当院においては他施設とのネットワーク接続は将来構想の一部ですが、現在はまだ未検討の段階ですので、公開鍵基盤の分野こついては標準化されるのを待ちたいと思います。一方、文書類の電子化と電子保存については現在実施中ですが、院内での議論と周知に多大な時間と労力を要するため、ガイドラインの充実や標準化の普及を早期に実現されることを期待します(医療機関)。
 ○医療分野の個人情報における「個人情報保護法」の運用は未だ明らかではないかと思います。アメリカのHIPPA法、あるいは最近のYahooに見られるような個人情報の大量流出を鑑みると、患者情報について医療機関がどこまで責任を持つべきなのかはっきりしません。特にtraceabilityの問題は、その運用を厳しく規程されると、現在日本で稼動している電子カルテシステムの多くが根本的な変更を余儀なくされるのではないでしょうか。また日常診療中でも現在のシステムは患者さんの情報が容易に同定される(easily identified)システムです。聞くところによるとHIPPA法を参考にしてこのeasily identifiedされないようなシステムが条件になるのではとの情報もあります。しかし運用だけでは患者情報に関するセキュリティを保つ事はなかなか困難です。その点からは、若干利便性が失われても、患者情報が漏れにくいシステムと仮に漏れた場合の企業(病院)、個人の責任、罰則規定が必要になるのでしょうか。すなわちシステム上、traceabilityはどこまでを要求されるのか、患者情報のeasily identifiedとはどのような状態を示すのか、今後のシステムの変更、開発依頼にも関わってくるので、これらについての指針が早急に明示されることを期待します(医療機関)。
 ○技術の革新の速い代わりに規格が陳腐化するのも速い世界であり、将来の技術革新時においても過去のデータが有効に活用できるような移行性を配慮した保存仕様の検討を希望致します(医療機関)。
 ○医療分野の個人情報保護の施策との関連が必要ではないか。医療分野の個人情報保護の施策が運用に関連してくると思われる。医療機関にあっては、医師には個人情報の漏洩等に対して刑事罰があるのに、他ではそれがないから外部での保存、利用は問題であるとの議論があった。HIPAAでは、この辺りも罰則を明確にしている。日米では事情が違うので、HIPAAをまねて罰則を設けよとはいわないが、ある程度の悪用に対する歯止めは必要だと思う(ベンダ)。
 ○「技術仕様や運用体制を適切なものとする努力を払っていることに関する説明貫任」というのは、具体的にはどういう内容こなるのでしようか(医療機関)。

2.診療録等の外部保存
 ○外部保存の形態を整理することが望ましい。対象は、病院、診療所、地域ネット全ての形態を含むのか、ハウジング、ホスティングの両方を考えるのか、など(ベンダ)。
 ○外部保存に関する用語の定義を明確にすることが望ましい。保存・利活用の定義、原本の定義(帳簿法との関連も考慮して)、ASPの定義など(ベンダ)。
 ○外部保存のメリット、デメリットの明確にし、外部保存を行う目的を明確にすることが望ましい(ベンダ)。
 ○診療録等の外部保存については、個人情報に係るデータを暗号化して保存し、その復号鍵を保存依頼側の医療機関が管理することなどを想定し、これらを含め外部保存を行う主体が必要な要件を満たすことを前提とすることが提示されている。この保存依頼側が医療機関の復号鍵を管理することを考慮しても、医療機関等の施設自体が認証局に登録されていたほうがよいのではないか(医療専門職能団体)。

3.紙文書のスキャナーによる電子保存について
 ○スキャナ読み取り時の真正性担保の方法について、検討を行うことが望ましい(ベンダ)。
 ○各種の文書に必要とされるタイムスタンプについては、公的なサービスとして安価に医療機関向けに提供できる仕組み作りが必要であると考えます。また、各文書に要求されるタイムスタンプの精度に関して、実運用面を配慮した指針をご提示頂きたいと思います(医療機関)。
 ○他施設からの診療情報提供書などを電子カルテシステムで効率よく運用するためには、スキャナー取り込みでイメージで保存する方法しか存在しない現状において、運用の指針を速く出していただきたい。現在は、原本を保存しているが、何年か後にその原本を、提出する状況が発生した場合、行方不明になっている可能性が無いとは限らないのが現状であります。取り込んだイメージが改竄できない仕組みを必要十分条件にして運用を認めていただく必要があります。また、イメージを別な医療機関に提供する場合の、信憑性の保障を行う必要も有ると考えます(医療機関)。
 ○当院では、書類の電子化に時間がかかること、人的な行為が発生することや原本の真正性を確保しずらい等の問題からスキャナーでの電子保存は実施していません(医療機関)。

4.その他
 ○診療記録等の電子化が促進されることにより、カルテの保存期間や診療録等の範囲、記載義務など医療情報をとりまく環境は大きく変化していくことも想定される。医療情報ネットワーク基盤の整備にあたっては、介護保険との関連も含めて地域医療基盤整備等の変化も考慮した検討が必要である(医療専門職能団体)。
 ○医療機関間で署名を必要としない患者個人情報のインターネットを用いた交換について、暗号化が必須なのか、どのようなFireWallが必要なのかなど、明確なガイドラインを示していただけると助かります(医療機関)。
 ○厚生労働省として医療機関向けのセキユリティ対策はどうあるべきか、具体的な技術や設備などの対策基準を提示してもらえないでしょうか。例えば、ウイルス対策を実施したネットワークを構成する場合にウイルスの定義ファイルの更新を随時行う必要がありますが、その場合インターネット接続に関する技術や機器、設定等を具体的なレべルとして整理し、電子カルテの導入、オーダリングの導入時にはこのレベルまで行っておくのが望ましいといった基準になります。日本はセキュリティへの関心が低いと言われていますが、一般に病院としていくらの投資をしたら良いか判断基準が見えず、高額な投資をしても絶対安全とは言えず、逆に安価な技術や設備を用いてもある程度のセキュリティ対策を構築できると思うのです。職員として具体的なことになると書物などからではなかなか理解できないのが実状です。また、そのようなシステムを構築、運用する場合は、院内でどのような人材を育成し、職員への教育はどの内容でどれくらいの期間で行う必要があるのかなど具体的なレベルとして示していただけたらと思います(医療機関)。
 ○今回の中間とりまとめに関して、多くの課題があることがわかってきましたが、病院としては、インターネットに接続する際のセキュリティ(ファイアウォールを含めたハード環境に関する)指針があれば教えていただきたいと思います(医療機関)。
 ○ネットワークという文言が検討会名称に盛り込まれているので、病病連携、病診連携、行政との連携、支払者との連携、保険会社との連携、医療機関と患者との連携といった分類(観点)による論点整理があってもよいのではないか(医療機関)。
 ○標準化の根幹に関わる、患者番号の同定(または患者番号の統一)や各種マスタの標準化について、具体的な記述が見あたらないので検討していただきたい(医療機関)。
 ○国民皆保険制度下での、患者基本情報(保険情報、病歴情報、診療情報)の一元管理を進めるために必要な財政的な措置も必要である(医療機関)。
 ○患者請求に係るオンライン化(双方向)も検討していただきたい(医療機関)。
 ○患者サービスの観点から、高額療養費の請求や自治体医療、公費負担医療などの請求も一元管理できるよう検討していただきたい(医療機関)。
 ○一般社会やその他の業界に比較して約15年以上遅れていると言われていた医療界も13年度に出されたグランドデザインにより急速なIT化が進んで来ている様に思います。大きな要因として、電子カルテの補助金等の支援があります。このような検討会においてIT化を進めていることと、この様に現場の意見を聞きながら進めることは非常に良いやり方だと思います。ただ今回の検討状況を読んでみると、実施しなければならない項目、真正性・見読性・保存性を確保するために様々なことを行う必要がある様です。わかってはいながらも、一つの事項を行うために多額の費用が必要となります。真正性一つをとってもその実現案は、ID・パスワードのみというスタンダードなやり方から、指紋、音声等の認証、カード、ペン等といった様々なやり方が開発されているようです。妥協すればそれなりの費用で収まりますが、それを追求すると費用はいくらあっても足りない状況です。補助金もしくは電子カルテを入れることで大きなメリットがあればよいのですが、それがないと折角伸びているIT化に陰りが出てしまうのではないでしょうか。次の手を早急に打つ必要があり、デファクトスタンダードが何かを提示する必要はないでしょうか。コスト、リスク、プライバシー保護、情報セキュリティーにおいて、特にプライバシーとセキュリティーについては、確実に守らなければならないものなので、原則と義務を明らかにし、何らかの補助もしくは支援をお願いしたい。3つの原則を守るにあたり、やはりこの原則を具体化する必要があると思います。それにより、ベンダの意識も統一されるのではないでしょうか。ベンダにより電子カルテの捕らえ方、認識、システム(メカニズム)及び運用が大きく違っているようです。我々ももっとスキルとポリシーをしっかりと持たなければならないのですが、結局ベンダに依存してしまうところが大きくなります。ベンダの戦略等に流されないようにしなければならないし、インタフェースの統一によりメーカ間の低コスト化と柔軟性を実現する事が出来ると思います。電子的に保存出来ない帳票についても電子署名等でさらに検討が必要だと思います。病診・病病連携を行うにおいても、会議の中で討議されているように、公開キー、電子署名・認証、インタフェース等の提示を行う必要がありますが、これもやり方次第でどのようにでも出来るのではないでしょうか。平成18年度までの目標をクリアする為にもっと具体論を(補助、低コスト、電子カルテの点数加算等)病院側のメリット的なものを提示するような仕掛けが必要ではないでしょうか(医療機関)。


(参考)

検討状況の中間取りまとめ意見照会先


日本医師会
日本歯科医師会
全国自治体病院協議会
日本病院協会
全日本病院協会
日本薬剤師会
日本看護協会
都道府県
(電子カルテ導入に係る国庫補助を受けた医療機関に転送を依頼)
経済産業省商業情報政策局医療・福祉機器産業室
(委託事業で取り組みを行った実施主体に転送を依頼済)
総務省自治行政局自治政策課
内閣官房情報通信技術(IT)担当室
文部科学省高等教育局医学教育課大学病院支援室
保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)
日本画像医療システム工業会(JIRA)
日本医療情報学会
医療情報システム開発センター(MEDIS)



中間取りまとめ意見照会に回答のあった関係機関等


行政機関 1機関  (※大学病院関係者の7つの意見をとりまとめた回答)

医療専門職能団体 1団体

ベンダ関係 1団体

医療機関  15施設


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