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第4回今後の労働安全衛生対策の在り方に係る検討会議事要旨


 日時 平成16年5月21日(金)午後4時30分から午後6時15分まで
 場所 経済産業省別館第1012会議室
 出席者
  参集者:櫻井委員(座長)、北浦委員、北山委員、小出委員、中窪委員、芳賀委員、畠中委員、平野委員、森委員、山田委員
  厚生労働省(事務局):恒川安全衛生部長、中沖計画課長、西本安全課長、飛鳥化学物質対策課長、高橋建設安全対策室長、高橋環境改善室長(代理:早木副主任中央労働衛生専門官)、角元化学物質評価室長、田中調査官、浅田主任中央産業安全専門官、高橋主任技術審査官、高橋主任中央労働衛生専門官、山崎主任中央じん肺審査医
 議題
(1)企業ヒアリング概要について
(2)労働安全衛生マネジメントシステム等の企業における新たな安全衛生管理手法の促進について
(3)その他の検討事項について
(4)その他

 議事概要
(1)座長挨拶
(2)前々回議事要旨(資料1)について、内容確認の上何かあれば事務局に連絡するよう要請がなされた。
(3)事務局より、順次配布資料2〜13を説明し、続いて資料3に基づき意見交換がなされた。その主な内容は次のとおり。
資料3の1ページ目について、これまでの議論や世の中の状況からも、災害発生率の高い事業場のみに限らずリスクアセスメントに基づく改善措置の実施は重要であると思う。
これまでも議論したが、枠組みを決めることとその枠組みに沿って知識を増やしていくのは違う話だということを意識してほしい。マネジメントシステムを適用するというときに、中身は今までどおりきちんとしておかなければいけない。枠組みができれば災害が全部防げるという考え方では困る。
基本的な確認であるが、資料を見ると、「リスクアセスメント」や「マネジメントシステム」が一般名詞として使用されている場合と、「OSHMS」など固有名詞で使用されている場合が混在している。「OSHMS」を法的に位置付けたり、優遇措置を与えるということであるが、他の「OHSAS」などではなく、固有名詞としての「OSHMS」を導入することだけに対して優遇するのか。導入するということは、中災防などに査定してもらってということになろうかと思うが、この査定をもって導入したということになるのか。リスクアセスメントやリスクマネジメントの考え方を導入して労働安全をやっていこうというのは良いが、いつのまにか固有名詞になってしまっているのが気になる。
そういう考え方ではないと思う。国が出しているガイドラインを法的にどう位置付けるかという話。
マネジメントシステムは確かに中災防方式はあるが、業種ごとに、建設業をはじめいろいろなシステムがある。これらについては、国の指針に合致した形でやっていただければ問題ないと考えている。ただ、優遇措置に関しては、国が認めるということになるので単に仕組みを導入したということだけでなく、災害が減少しているとかそういうものもなければ難しいのではないかと考えられる。
マネジメントシステムの導入による効果については、前回も聞いたが、今回は違った形のデータで示していただけた。データ的にエビデンスがあり、国としてマネジメントシステムを推進していくということであるが、これを法的に位置付けたり、優遇するということについて、ある事業場がやってますという証拠はどうするのだろうか。何らかの評価が必要であると思うが、固有名詞のある特定のものに対して認定し、その際に保険料を安くするという方向になっているのかどうか。 ○そういうことにはなっていない。今後議論していく話。
資料を見ると、表現の問題かもしれないが、リスクアセスメントの考え方が先に挙げられているが、これはマネジメントシステムをまわす従来にはないツールであり、まず、マネジメントシステムの導入、その後にリスクアセスメントというのが流れとして良い。従来からKYなどをやっているが、最近はリスクアセスメントが良いということで、これをやっていこうとしている。これは枠組みの中の一つの手法であり、いきなり「危険・有害」という言葉が前提のようになってしまうと誤解を招く恐れがある。
リスクアセスメントはマネジメントシステムの一番コアとなる部分である。まず、リスクの顕在化をやってもらう必要があると考えてこういう形で書いた。
危険というのは良くわかるが、「危険」と「有害」は離すわけにはいかず、それをどう評価するかが難しい。今の議論は「危険」が中心になっているのではないか。
化学物質については別の場所で議論している。化学物質の有害性をリスクとしてとらえるにはどうするかということについて、できないというわけではない。
OSHMSができたとき、今やっている取組みをベースにして徐々にOSHMSという形に移行していこうということで指導があった。導入したのに怪我が増えているといった問題もある。なぜかと考えると、枠組みはすぐ作れるが、現場が動いてない。ある時、職長に対してOSHMSの教育をしたが、全然興味がなく、当事者意識がなかった。企業ヒアリングなどでも、安全担当者はうまく回っているというが、現場がちゃんと動いているか疑問。これをどうしていくかが課題。
この問題は2つに分けて議論する必要がある。一つは、OSHMSを安衛法の中でどう位置付けるかということ。もう一つは、その一番の出発点であるリスクアセスメントを強行規定としてどう位置付けるかということ。資料もこういった視点で書かれていると思う。鉱山保安法の改正についてみると、リスクアセスメントは位置付けられているが、OSHMSは位置付けられていない。しかし、安衛法にはしっかり位置付けるべきであると思う。
資料3の考え方の方向の2ポツ目は具体的な提案となっていると思う。
資料9で、規制を作るにあたっては、国際規格に準拠すべきという説明があった。これはOSHMSの場合についてもいえるのか。この場合ILOのガイドラインに基づくということか。また、現行のOSHMS指針には、リスクやリスクアセスメントという表現が使用されておらず、危険有害要因特定、という表現になっているが、このあたりも併せて手を入れていく必要があるのか、どのように認識しているのか。
WTO/TBT協定は、貿易について国際的な流通の障害を排除していこうという考え方であるので、マネジメントシステムのようなものについては対象にならない。
リスクなど、英語の表現は避けているのではないか。
日本語としてわかりやすい表現としたのではないかと思う。
先ほど議論があったように、まずはじめにマネジメントシステムがあり、次にリスクアセスメントを強制的にやるものだというのをはっきりさせるのが良いのではないか。諸外国ではリスクアセスメントは法制化されているが、マネジメントシステムは法制化されていない。リスクアセスメントをやればいいですよというのではなく、これまでの議論でも教育や管理などいろいろな要素が上がっているので、全体をやってリスクアセスメントもやるということにしないとどこかで抜けが出てくる。
資料4に災防計画が載っているが、この基本方針を具体化するということか。安全文化とリスクの問題があり、これを解決する仕組みとしてマネジメントシステムの推進をするという論法になっている。今回は、安全文化という抽象的な概念ではなく、経営体制、安全衛生委員会の審議事項に組み入れるなど、災防計画を一歩進めて具現化したんだと理解してよいか。
安全文化の創生、リスクへの対応をどうしたら良いかと考えたとき、そういうファクターを会社の体制の中に組み込んでいく、そういった意味で御指摘のとおり具現化していくということになる。
「危険・有害要因」をリスクと考えてよいのか。
「危険・有害要因」は危険源そのもの、ハザードということ。
「危険・有害要因」そのものを評価するということはないのか。
機械設備であれば、はさまれ、まきこまれを引き起こす危険があると、それをまず特定する。その後にリスクの大きさを評価していくということ。
ある化学物質があるとすると、有害性の大きさと暴露の可能性を掛け合わせたものがリスクということになる。これを評価していくということ。
そういうことからいっても、総括安全衛生管理者等の職務の中に、もう少しわかりやすく、「危険・有害要因」の特定とリスクの評価を入れていく必要があるのではないかと資料にある。そのとおりかな、と思うがこの点についてはどうか。
ISO12000シリーズなどは、、新しい設備を作る上では合理的にできていると思うがすでにある機械を使用しているなかでどのようにリスクアセスメントやっていくのかが課題。ISO12100の中にも書いてはあるが、誤操作などの際にも広げなさいと。これがなかなか難しく、実際こういったことに気づくのが難しい。気が付かない危険は誰もわからない面がある。そのあたりをどうやって気づかせていくのか、法的にどうするということではなく、何かいい知恵があればと考えている。
リスクアセスメントをやる際、定常作業の時は作業手順に沿ってやっている。問題となるのは、非定常作業である。時々起こる異常の際や、準備や段取りというところをどうリスク管理するかが一つの課題となる。ここを抑えることができれば後は人に対する教育が重要になってくると思う。この非定常といわれているところをきちんとやるのが難しい。手法としては存在しているが、かなりの企業では定常作業と非定常作業を分けてやっている。
非定常作業については担当者の技能にまかせている面が多い。非定常作業の危険を考えるのは大事であるが、どこに危険があるかを知りなさいといってもどうやって知ればよいのかわからない。
リスクアセスメントの新しいところは何か間違いを犯した場合の予測、対応である。それがリスクとハザードとの違い。単に定常、非定常という話ではない。誤操作なども想定して評価することでリスクアセスメントが生きてくる。あるとき、病院において機械安全の考え方を試みたことがあるが、このときは、単純にここに危険があるということだけでなく、もしこういうところで患者さんを間違えたらとか、ここで転んだらとか、ありとあらえる違反やヒューマンエラーをブレーンストーミングにより洗い出し、どれくらいの確率で起きるのか、もし起きたらどうなるのかについて考えた。従来の対策とは違い、今回なぜリスクアセスメントの考え方を取り入れるのか、これまでのように決められたことをやるのではないというところまで踏み込まないと、今までの対策とリスクアセスメントの違いを理解してもらえないのではないか。
可能性という話が出たが、この可能性を感じるということが第一の関門であり、これは事故経験者が一人いると感受性が格段に上がったりする。わからないものをどうするのか、という話もあったが、わからないものは腹をくくってあきらめるしかない。安全を一生懸命やっている人にはつらいことであるが、そうしないと今やろうとしている議論がすべてだめになる。私など、新しい事故がおきたらノウハウの宝庫だと思って徹底的に調べて修正転換していく。
そういったノウハウの継続もマネジメントシステムの一つの考え方である。
特に民族的なものもあって、我々は水平展開は下手じゃないかと思う。
定常・非定常の話がでたが、リスクアセスメントのやり方自体は同じ。定常時はノウハウとして蓄積されるが、非定常は作業自体が少ないので、蓄積しようとすると膨大な量になってしまって難しい。化学物質などもそうだと思うが、一番難しいところ。
化学物質については別の場所で検討会を行ったところであり、どこまでを十分なリスクアセスメントとして求めるかなど、リスクアセスメントの議論もした。化学物質の場合、国際的に十分な基準を満たそうとするのは相当な専門家が必要。大企業だったら何とかできるかもしれないが中小企業では到底無理である。しかも、十分なリスクアセスメントというのはプロセスが決まっており、それに沿って本当に十分なことをやれるかどうかは、データ収集の問題やばく露状況の調査等もあり、途中で断念して今までの経験で補完せざるを得ないといった場合も多々あると聞いている。
化学物質に限らず、ヒューマンエラーについてもそうであるが、ある程度の専門知識が必要である。そこを指導、リードすることなしに広めるのは難しい。先ほど知らないことはできないという話があったが、ある業界の方に、危険感受性が低いのでリスクアセスメントはやっても無駄だと言われたことがあり、はじめは感受性が低くても、繰り返しやっていくうちに感受性が上がっていって良い方向に行くと思うので最初からあきらめないでやってみませんかという話をしたことがある。
そこまではできないということを知っておいて、できる範囲の中のことをきっちりとやるのが建設的ではないか。あることをやれば全部なくなるといって実際に全部やってみたら起こってしまったということだって有り得る。
ある意味リスクアセスメントやリスクマネジメントはゼロ災と考え方が違うのかもしれない。リスクの大きいものから除去するといっており、小さいリスクは後からやるといっている。許容できるリスクなどという考え方が日本に入ってきたのは非常に画期的なことだと思う。
リスクアセスメントには、自分で考えてやるという意識の問題によるところがある。
資料をみてもわかるように、マネジメントシステムを導入した会社は災害がものすごく減っている。だから、やろうという意思だけでも随分違うと思う。そこで、これじゃあゼロにはならないという議論になるだけで話が進まなくなってしまう。
今回の議論で、いわゆる安全管理者、衛生管理者にリスク評価とか、リスクハザードの特定とかをやらせるという考え方については、結構大きな事業場の話であって、中小企業にリスクアセスメントを普及させることも重要であると思う。安全管理者の選任の必要が無いところにいかにやらせるかは非常に大切なことではないかと思う。
労災保険料の優遇措置などが有効なのではないか。
中小企業が行うということになると、もう少し簡便なものを用意する必要がある。リスクというのは、それぞれの業界で異なる。中小企業で何かポイントを定めてやっていくようなものを考える必要がある。リスクアセスメントについては、業界や会社に要素だけ与えておいて後はやってもらうという形になり始めているのではないか。マネジメントを50人未満でやるのは難しい、10人未満となると無理だと思う。そのあたりの開発が重要だと思う。
マネジメントシステムのフルコースは大企業、中小企業は最低限のリスクアセスメントまでという形で、中小レベルでできるようなものを用意していくことによって中小におけるリスクアセスメントの普及定着が図られると思う。そういうところで支援措置を工夫してみるのも一つの手段かなと思う。
中小企業における危険有害要因については、行政で蓄積している災害情報を分析すれば網羅できるのではないか。中小企業には未知の領域は少ないと思う。また、中小にわからない部分まで考えさせるのはきついように思う。自分で考えることも必要であるが、こういう業種にはこういう危険有害要因があるということを外部から知らせてあげる必要がある。
ツールという面では、中小企業向けのものはいろいろな工夫が可能であると思う。そもそもリスクを点数化していく必要があるのかという話もある。小さいところは点数など付けずとも優先順位が明らかであると思う。大企業などは組織も大きいので、経費の配分の上で優先順位をつけて点数化しておく必要があるかもしれない。いろいろな方法で大企業、中小企業向けのメニューを考える必要がある。
実際に建設業を例に取ると、中小企業である専門工事業者向けにどこにリスクがあるのかといったようなツールを用意するなどの支援事業を実際に行っている。同じように一般の製造業などの中小企業向けにそういったものを作成したりするのも一つのやり方ではないかなと思う。
化学物質は何万種類もあるが、そのうち100種類くらいしか規制されていない。何を使っているかがわかればターゲットが絞れて指導もできると思う。
中小に対しては、他の政策と同じように自主点検型ではなく指導型になる。そういった意味でツールを用意する必要がある。
これとは別に、出口の部分の議論、つまり評価の結果についての改善措置の部分が具体化されていないのでなかなか完成しないのではないか。機械安全を例に見ると、組織への働きかけ、訓練の直し方、特に組織への働きかけは、マネジメントシステムへの接触になる。これは作業手順なども関係するが、組織や労務管理まで影響する。
資料には、そもそもこの検討会設置の背景となっている現場における就業形態などの変化といった問題意識が書いていない。そういうところを改善するのは、リスクの改善、人の部分を改善するといったことになるので、マネジメントシステムも安全衛生にとらわれず、幅広い枠組みで考えていく必要があるのではないか。
マネジメントシステムを行うというのは、実際具体的に現場で起きることにどう対処するかということだと思う。素人的に考えると想像力が必要だと思う。何か起こりうるのではないかと考え、またそれに対処できるのがマネジメントシステムの効果の一つだと思う。
すべてを生かすも殺すもOSHMSを法的に位置付けることによるのではないかと思う。個人的には、安衛法第3条の第1項の規定は、民事の面で判例法理として確立している安全配慮義務の考え方を安衛法では、事業者の責務として明らかにしてあるものと思っているが、これを取っ掛かりにして、たとえば、「国は、事業者が行う法第3条の責務の履行を促進するため、指針を策定し、これを公表することができる」といったような規定を設ければ、安全配慮義務を前提として、マネジメントシステムを労働安全衛生法にしっかりと位置付けることができるのではないかと思う。
機械についても似たようなことがいえるか?何か一つ筋が通ったものがないと動かないということになるのか。
資料9でWTO/TBT協定の話があるが、強制規格を作る場合、国際規格を基礎として用いることが義務付けられているが、ISO12100が該当するということか。
ISO12100の内容を、強制規格と位置付けるならば、この条項が適用される。
「shall」という用語を用いており、国際文書としては非常に強い表現になっている。ISO12100が該当するということになると、機械の包括安全基準を安衛法の中にどう位置付けるかというのは、当然前提としてはISO12100をどう位置付けるかという話になると思う。ISO12100は今年の秋にはJIS化されるという話もある。この資料11の297ページでわかりやすく図解されている部分を労働安全衛生法の第5章の中にきちんと位置付ける必要がある。もちろん基本的、包括的な義務である法3条の1項は当然前提とした上の話であるが。
資料3の2ページ目について、インセンティブ措置は必要であると思うが、インセンティブを与えるには、評価をする機関を特定する必要がある。また、中小企業がやる場合には、業種別の団体を活用してはどうかと思う。インターネットでも見たが、業種別の団体が自分の会員企業を評価をしている例があり、そういったものも考える必要があるのではないかと思う。
インセンティブには評価が必要であるので、その仕組みについて検討する必要がある。
評価制度は、インセンティブをつけるのに必要であるということに異論はないが、評価制度の負担ばかりが大きくなり、インセンティブが消えてしまうというのは問題。そもそも中小企業にとってのインセンティブと大企業にとってのインセンティブは同じものなのか。
たぶん法的なものが非常に重要であると思うが、社会的な評価がポイントになると思う。マネジメントシステムも社会的にどう認めるかというのがひとつのポイントになる。
大企業の社会的責任に着目する必要がある。昨年成立した少子化次世代支援法では、行動計画というのを作成し、労働局長が認定することとなっている。認定を受けたところは、認定を受けたことを示すマークをいろいろなものにつけられるというお褒めの措置がある。そういう措置を、OSHMSについてインセンティブ措置として位置付けるのはどうか。そのほか、国や地方公共団体の公契約の際に優先的に扱うなども考えられる。また、中小企業については、厚生労働行政のなかであれば、やはり労災保険料率を下げるというのが一番かなと思う。もっとも認定の負担が大きすぎるというのでは問題であるが。
先ほど、結果が出なければだめだという話もあった。
労災保険料率については、快適職場の際にも話があった。しかし、中小企業はほとんど手を挙げなかった。その理由として中小企業に優遇措置は与えられるが、そのかわり、災害が起きたら料率が上がるというので敬遠したのだと思う。今度やるとしたときも、そういう話だと手を挙げたがらないのかという不安はある。
努力した企業がその努力を社会的に理解してもらえる制度が必要であると思う。そういう意味で企業名をオープンにする公開制度を導入するのが良い。中小企業にしても、親企業に対するアピールになる。災害を起こしたといっても、その形によって評価は異なるべき。管理的要素に欠陥が全く無くても災害は起こるので一緒にするのはどうかと思う。
行政で中小企業に対して安特、衛特をやっているが、その対象として改善されたところをマネジメントシステム構築、認定に結び付けていったら効果があると思うが。
社会に対するイメージアップというのは非常に重要であるが、行政のパンフレットは、作業服を着た絵などを使っており古臭い。ISOが非常に普及してもてはやされてたのも非常にモダンなイメージがあったという面もあると思う。もっと安全衛生についてのイメージを変えていくべき。「人間を大切にする企業です」といったように、新しいイメージをもたせることが必要。
真面目にやっていても避けられない労働災害はある。形だけ導入してさぼっているところとどう区別するかが難しい。雪印の事故でハサップが形のみであるというのが露呈した。マネジメントシステムの導入により、形だけでインセンティブを与えられたところが事故を起こした場合にどうするのか。インセンティブをつけるにあたっての制度検討が必要。形式だけではなくて結果を出したところにインセンティブを与える必要があるのかもしれない。
インセンティブの与え方にはいろいろあると思う。結果がでないと与えないというのもあるし、一つのパーツとしてできている部分についてのみ与えるというのもある。今後検討していく。
認定をするにあたって、規格適合だけを確認するのは簡単であるが、パフォーマンスまで評価することも重要になってくる。一方で、マネジメントシステムを導入して事故が起こった場合の話があったが、事故が起きた際に改善していくことも含めてマネジメントシステムなんだということで割り切ってしまうのも良いと思う。
マネジメントシステムを評価していく際には、労働安全衛生法の遵守状況をベースにし、どう運用しているのかを見ていけばよい。それで災害が減っていけば広まっていくと思う。あまり難しく考えずに、従来の安全衛生管理をどうやっていくか、そこで問題が起こった場合はどう改善するかということでスパイラルをまわしていけばよい。そうすると誰がまわすかという話になるので、総括安全衛生管理者と経営者をどう見るかというのがポイントになってくると思う。
最後はマネジメントシステムが導入されていることを個々の労働者が意識しないよう事業ができるのが理想的。管理者の立場から見るとマネジメントであることがわかるというのがよい。中小企業の方が意外とすんなり導入されるかも知れない。
資料3の3ページ目について、小零細企業における法の実効性確保の問題は、昔から変わっていない。個別企業が外部の機関と契約を結んで、直接の労務指揮に係ること以外の安全衛生に関する諸措置を当該外部の専門機関にゆだねるというシステムを構築するのが良い。それに要する費用の一部はインセンティブとして措置する保険料で埋める。そうすると、市場原理を利用して中小企業における安全衛生に関する装置の普及が図れるのではないか。
社会情勢の変化、働き方の多様化が広まっていることを背景に、安全衛生法の新しい仕組みが必要であるということでこの検討会は立ち上げられたと思うが、こういった今の枠組みで対策を取るのが難しいところに対してマネジメントシステムをうまく導入できるのか。今までは、大企業は良いが、中小企業はどうするのかという議論はあったが、このことを考えると大企業もいろいろな就業形態があるのでどう扱うのか。
前々回、安全管理者が資格要件だけで教育も受けていないという議論があったが、マネジメントシステムの教育機関を設けて、資格を与えるというのはどうか。親会社の担当に資格を付与して協力会社への指導をさせるというのはどうか。教育というのは大事だと思う。
監査についての教育は見るが、導入のための教育はあまり見ない。
資料の中で、総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者等の等は法定的なものに限定し、それ以外の人は、安全衛生委員会の方に参加するということをもって全員参加と考えているのか。ラインの長といったような方は、安全衛生委員会の方で受けているということか。
基本的には、企業の安全管理というのは、総括安全衛生管理者のもとに、安全管理者、衛生管理者がそれぞれ技術的な事項を分担するというのが、法律上の整理になっている。確かにラインの部長みたいな管理者をどうするのかという部分は一つの課題であるが、その部長の中でもライン管理をやっている場合もあれば、全くその部分はスタッフの安全管理者にまかされているという場合もある。
この等は産業医ということではないのか。
例えば安全衛生推進者のことを言っている。
前回のヒアリングの際に、派遣、構内下請労働者が急増しているという話があったが、各社大企業であることもあるが、共通して言えるのは、下請労働者等も含めて現場レベルで協議会を作っているということ。そういった就業形態の多様化の中において、各企業によってやり方は違うが、あらゆる形で、安全衛生について協議していくことが重要になっていく。就業形態の多様化以外にも、生産様式も異なり、各社により独自の機械を導入したり、原材料なども違うという現状を踏まえ、役所が一つの基準を作ってそれを守ってもらうというのは難しいので、マネジメントシステムをひとつの枠の中にいれた。
「労働安全衛生マネジメントシステム」や「OSHMS」という呼び名では一般受けせず、一般的に普及するのが難しいのではないか。

(5)次回日程は6月29日(火)14:00〜16:00とし、これまでの議論のまとめと報告書骨子について検討することとする。

(以上)

照会先 :厚生労働省労働基準局安全衛生部
計画課
TEL03−5253−1111
(内線 5550)
担当:田中、中野、虎澤


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