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自宅に家族を残し建設工事に従事する者の
通勤災害に係る労災訴訟事件の概要
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判決年月日等
平成12年11月10日 秋田地方裁判所(国敗訴)
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事案の概要
平成5年3月13日、秋田県男鹿市内において、自宅に家族を残し建設工事に従事する鳶職人3名が、休日を利用して会社所有のワゴン車で自宅に帰り、就労日の前日に自宅から赴任先宿舎へ戻る途中、橋梁から車が転落し、全員死亡したもの。
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裁判のポイント
就労日の前日に自宅から赴任先宿舎に移動する行為を通勤災害と捉え得るか否か。
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判決の概要
(1)
被災者の赴任先宿舎は、通勤災害における「住居」であるとしつつ、その一方で、自宅から本件工事現場と一体となった付帯施設である赴任先宿舎に向かう行為は、まさに「就業の場所」に向かうのと質的に異なるところがないというべきであるから、「就業の場所」と同視できるものである。
(2)
鳶職という危険な業務に従事することに備えて、十分に体調を整えるため、就労日の前日に赴任先宿舎に帰任しようとしていた場合には、その移動は業務に密接に関連するというべきで、「就業に関して」行われたものと解すべきである。
(3)
したがって、原告の亡夫等3名が被災した交通事故は、通勤災害に該当する。
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