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「結核対策の包括的見直しに関する提言」(概要)

平成14年3月20日
厚生科学審議会結核部会


<基本理念>
結核は依然として我が国最大の感染症として重点的取り組みが必要
将来的には、他の感染症対策との整合性を考慮した対応をすべき
現在、高齢者、大都市部の問題を中心に、対策を充実強化すべき
現在の行政システム、医療システム等の最大限の活用とメリハリをもった施策体系の再構築を
より人権を重視した「患者支援・患者中心主義」の施策へ
一律的、集団的対応から、最新の知見やリスク評価等に基づくきめ細かな対応へ

<主な具体的な対策の見直し>
1.結核の早期発見・予防
(1) 定期健診の見直し
(1) 一律的な定期健診からリスク評価を重視した効率的な健診
・小・中学生の定期健診: 小学1年時の健診は廃止。中学1年時のツ反を用いた健診については、廃止する案と継続する案の両案を併記。(→合同委員会報告書及び分科会意見における結論を踏まえ、平成14年11月に公布された結核予防法施行令の改正(平成15年4月施行)により、小学1年時及び中学1年時の健診は廃止)
・15歳以上40歳未満のローリスク層: 入学時、転入時、就職時、転勤時、節目時のみ胸部X線検査を実施
・40歳以上: 現行の健診を維持
・ハイリスク層・デンジャー層: 年1回の胸部X線健診の確実な実施
定期外健診として実施されている業態者健診を定期健診に位置付けることの検討
(2) 有症状受診対応の強化
(3) 接触者健診の強化

(2) BCG接種
(1) BCG再接種の廃止
(→合同委員会報告書及び分科会意見における結論を踏まえ、平成14年11月に公布された結核予防法施行令の改正(平成15年4月施行)により、BCG再接種は廃止)
(2) 初回接種(乳幼児)の徹底
ツ反陰性者へのBCG接種を行う案とツ反を行わずに全員にBCG接種を行う案との両案を併記。(→合同委員会報告書及び分科会意見では、ツ反を行わずに全員にBCG接種を行うとの結論が出された。)

2.結核の医療対策
(1) 治療性効率向上のための措置
(1) 標準治療法の普及と徹底
結核診査協議会の機能強化等の第三者による治療内容のチェック、適切な治療に対してのみ公費負担を行う等の方策の検討
(2) 直接服薬確認療法(DOTS)の積極的位置付け
院内DOTSの確実な実施及び地域DOTSの実施体制の構築
(3) 発病前治療の導入
予防内服について、適切な抗結核薬の組み合わせ、投与期間、対象とする者の選択基準等についての基準を明示すべき

(2) 医療の受け皿の整備
(1) 結核病床の機能分化の促進
感染性の有無と合併症の有無に基づく、きめ細やかな医療提供体制の検討
(2) 結核病床の計画的整備・確保
結核指定医療機関等の施設基準・診療機能の基準等の明示
(3) 人権を尊重した確実な医療の提供
患者・感染者の人権と感染を受ける可能性のある者の人権の両面からの人権尊重の観点に立った医療の提供のための次のような対応の検討
@) 人権に配慮した行政手続の整備
A) 最新の知見に基づく医療基準の提示
B) 基準を明示した上で医療機関を知事が指定(5年毎の見直し)
C) 医薬品の確保・研究開発に関する国の努力義務
非結核性抗酸菌症について、治療等の保険適用などの整備

3.結核対策を進めるインフラの充実強化(行政機関、医療機関の役割分担)
(1) 事前対応型行政
(1) 結核発生動向調査体制等の充実強化
(2) 国の基本指針の策定
(3) 都道府県の予防計画の策定

(2) 国、都道府県等の機能の明確化

(3) 公衆衛生対策上の拠点としての保健所の役割の明確化
結核対策の実働部隊として位置付けを明確化

(4) 国内対策の延長としての国際協力への取り組み
組織的、財政的な措置


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