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第8回 介護福祉士試験の在り方等介護福祉士の質の向上に関する検討会議事要旨


第8回 介護福祉士試験の在り方等介護福祉士の質の向上に関する検討会


1 日時 平成16年5月14日(金) 16:00〜18:00

2 場所 厚生労働省社会・援護局第2会議室(中央合同庁舎5号館4階)

3 出席者  江草 安彦座長
 <出席者:五十音順、敬称略>
 石橋 真二、岡部 純子、小林 光俊、佐藤 美穂子、佐野 利昭
 竹中 浩治、高岡 國士、中島 健一、村尾 俊明

 <事務局>
 椋野 美智子 福祉基盤課長、濱谷 浩樹 福祉人材確保対策室長、
 角田 宗広 福祉人材確保対策室長補佐、宮田 典子 介護技術専門官

 議事
 (1)介護福祉士の現状と課題について−介護保険との関係を含めて−

 (2)論点整理について

 説明
 「介護福祉士の現状と課題について−介護保険との関係を含めて−」について中島委員より配布資料に沿って説明

 発言の概要

 ・介護福祉士の問題は、国家試験の在り方、介護福祉士の質の問題及び介護福祉士の専門性の定義、専門性の向上と介護福祉士取得者の待遇の問題という3つの課題がある。そして、これらの課題を改善するためには、可能な部分から前向きに改善していく必要がある。可能な部分を改善することが、他の改善が必要な部分にも影響を及ぼしていくのではないか。

 ・資格制度の議論を行う時は、その資格のあるべき姿を明らかにしたうえで、現実との調整を図るべきである。

 ・介護保険創設期は介護福祉士を含むケアワーカーの量の確保を必要としたが、 35万人以上の介護福祉士が養成されている現在、高い質を確保することを課題とする時期に入っており、そのような時期に入っているという共通認識をもつことが必要である。

 ・介護の定義について、身体介護を明確に位置付けるために入浴、排泄、食事といったいわゆる3大介護を強調した内容となっているが、現在、特に寝たきりでない痴呆性高齢者の位置付けや援助形態の変化、医療依存度の高い障害者への介護等、制度創設時に比べて介護業務の内容や範囲が変化しているため、介護福祉士の定義を、いわゆる3大介護を中心とする利用者の生命を維持することだけでなく、尊厳を持って生活するという利用者やその家族の生活全体を見据えた定義に見直す必要があるのではないか。

 ・3大介護を中心とするケアプランは生活プランの一部分に過ぎず、生活環境や本人が自ら行っている生活行動等を含めた生活全体にかかるケアプランを構築することが重要である。

 ・地域にある社会資源すべてを活用して、利用者の地域生活を構築することが必要である。

 ・社会資源の活用、利用者支援、精神的な援助等を充実していかなければサービスの質は向上しない。

 ・介護福祉士は3大介護だけを業務として認識するのではなく、利用者の要求に応じて業務を行うものであるとの意識が必要である。

 ・利用者の自己決定権を重視する傾向にあるが、高齢・痴呆等により自己決定が困難なケースに対しては何らかの配慮が必要ではないか。

 ・介護福祉士が生活プランに基づく日常的ケアを実現するためには、ソーシャルワーク的な機能を果たす必要がある場面が多いので、利用者に応じてソーシャルワーク的な内容も行っていくべきではないか。

 ・身体介護、家事援助を含めて、日常的介護はこころのケアの要素が必要ではないか。また、介護福祉士の専門性に治療的な要素を含んだこころのケアの技術を含めるべきではないか。

 ・介護福祉士はこころのケアよりも、人間が心に張りを持って生きる、生き甲斐の部分に対して介護福祉士の専門性が発揮できるのではないか。

 ・施設における介護であれ、在宅における介護であれ、健康に何らかの問題があれば医療職と連携することが重要である。

 ・利用者の希望をすべて叶えることは理想であるが、現実は不可能であり、その調整を図るのはケアワーカーの重要な仕事であるのではないか。

 ・これまで特別養護老人ホーム等の入所生活では当たり前の事とされていた「金銭の使用機会が与えられない」「自由に外出できない(閉じこめ、支援体制の不備)」「週2日しか入浴の機会がない」「プライバシーを確保できるトイレがない」等を、介護保険制度下では、人権を侵害する虐待あるいは虐待に類似するものと捉え、改善を図っていく必要がある。

 ・介護の定義を拡大すると、拡大した部分を介護福祉士のカリキュラムに追加する必要がある。その場合、2年間で介護福祉士の養成が間に合うのか検討する必要がある。

 ・カリキュラム改定を行った際に居宅介護実習を義務付けたにも関わらず、実際に養成施設では重点をおいて行われていない。しかし利用者の視点に立った生活支援や居宅支援を行うという観点から居宅介護実習は重要である。

 ・介護福祉士に不足している部分を強化するカリキュラムは必要だが、医療職や社会福祉士等の他資格と差別化を図ることも必要ではないか。

 ・医療系の資格では獣医師が6年制大学へ移行する等資格要件が厳しくなっている。介護福祉士もそのような流れを意識して議論することが必要ではないか。

 ・介護福祉士のベースがあり、さらにその上に痴呆や在宅等の専門性を構築するという資格取得後の目標を設定することが重要ではないか。

 ・介護福祉士の質の向上は重要であるが、介護福祉士の基礎として必要最低限の質と、より高いレベルの質と段階に分けて考える必要があるのではないか。

 ・介護の質を確保するためには、ホームヘルパー1級から3級と介護福祉士の関係の整理を検討すべきではないか。

 ・介護業務に従事する職員は介護福祉士を基礎資格と位置付けるべきではないか。

 ・将来的には、介護福祉士の質の向上と社会的認知の向上を念頭においた取得方法の再検討が必要ではないか。

 ・介護福祉士を取得するためには、養成施設卒業者も含めて全員が国家試験を受験することとし、また、国家試験の受験資格を介護福祉士養成課程の修了した者としたらどうか。

 ・全員に養成課程の受講を求めるとするならば、現に介護業務に従事している者の受講に配慮した夜間開講や通信課程の普及・拡大を図る必要があるだろう。ただし、通信課程の導入については、スクーリング体制の強化を図る必要がある。
また、実務経験者と一般の方は同じカリキュラムにするのが理想だが、現実にカリキュラムを同じものにできるかは慎重に検討する必要があるだろう。


 次回の日程について
  第9回検討会は5月31日(月)開催予定

(問い合わせ先)
厚生労働省社会・援護局福祉基盤課
担当者:宮田、曽我
電話:2844、2849
直通:03−3595−2617


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