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第14回男女雇用機会均等政策研究会議事要旨


日時 平成16年5月13日(木)13:00〜15:00
場所 専用第21会議室(厚生労働省17階)
出席者 浅倉、奥山、黒澤、田島、中窪の各委員
議事
 報告書スケルトン(案)について
 意見交換

議事概要 ;
 1 報告書スケルトン(案)に沿って議論が行われた。
 2 議論の概要は次のとおり。

 1 全体の構成について
  ○ 項目立ての順番として、ポジティブ・アクションは、最後にした方が良いのではないか。違法な間接差別にあたらなくても、ポジティブ・アクションにより、社会構造そのものを変えていくことが可能であるが、その場合、ポジティブ・アクションだけでは不十分なので、他の労働市場を整備する施策、例えばライフ・ワーク・バランス的な考え方等様々な関連施策も最後に追加したらどうか。

  ○ 項目立ての順番として、妊娠・出産等による不利益取扱いはどちらかといえば性差別の1つと位置づけ、間接差別とポジティブ・アクションは構造的な格差を是正する手法と考えれば、間接差別、ポジティブ・アクションの順とするのもいいのではないか。

  ○ ポジティブ・アクションは将来に向けたより積極的な方策であるから、最後にするのもいいかもしれない。ただ、間接差別と妊娠・出産を比べた場合、間接差別の方がより一般的な「性差別理論の一類型」であり、妊娠・出産に関する不利益取扱いは、特殊な女性特有の問題なので、この2つの順番も変えてしまって、男女双方に対する差別の禁止→間接差別→妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い→ポジティブ・アクションとするのもありうる。

 2 「はじめに」について
  ○ 「男女双方に対する差別の禁止」については均等法の法の精神に関わるもので、非常に重要な事項なので、もっとポジティブに書くべきではないか。
 歴史上女性が不当な扱いを受けてきた結果、様々な問題があり、その上で均等法自体も女性優遇を許容していた制定当時から優遇禁止の方向に変化してきているのであり、その流れの中で今回は制定当時から究極的な姿とされてきた性差別禁止法への移行の体制が整った、としてはどうか。
 ポジティブ・アクションについては、性差別禁止法となった場合でも、歴史的経緯から女性に対する不利な状況は存在するのだから、それを改善していく必要がある。また、妊娠・出産等を理由とした不利益取扱いについては、性差別禁止法とした場合であっても、妊娠・出産は女性特有の問題なので、これについてしっかり対処しないと、実質的な男女の平等は図れない。さらに、間接差別については、どれだけ差別規制を行っても、目に見えない差別は存在するので、それに対する1つの効果的なアプローチとなりうるというつながりがある。

  ○ 均等法が成立してから20年近くが経過し、諸外国の状況も変化してきていること、また、日本国内においても男女共同参画社会基本法が成立するなど、差別は不合理なもの、という大きな動きがあることを書き込むべきではないか。

 3 「男女双方に対する差別の禁止」について
 〔(1)男女双方に対する差別の禁止について〕
  ○ 「自らの意思をもって離れることのできない属性による不合理な差別」については「意思をもって離れることのできない属性」が重要なのではなく「労働能力と全く関係のない属性」により差別されることが問題なのではないか。

  ○ 男女双方に対する差別の禁止とする意義として、男女間賃金格差の解消を挙げているが、ここは、もっと広く男女間の格差解消とした方が良いのではないか。

 〔最後の○について〕
  ○ 「女性の活躍状況」よりも「日本における男女間格差の現状を十分に踏まえる」としたほうが趣旨に合うのではないか。

 4 「ポジティブ・アクションの効果的推進方策」について
  ○ 差別禁止だけですべての差別をなくすことはできないし、むしろ使用者に対しても不名誉な烙印を押さずに、より積極的に推進するほうがプラスとなる面もあって、そこにポジティブ・アクション独自の役割があるということを書くべき。また、ポジティブ・アクションに取り組んでいる企業があまり多くないということも書いてはどうか。

  ○ ポジティブ・アクションについて「雇用状況報告の作成を義務付けても目立った進展がない例等」としているが、様々な意見がある、という書き方で良いのではないか。また、イギリスにおいても、非常に効果が上がっていて、それはオポチュニティ・ナウ等の活動の効果かもしれないが、不確実であるのだからやはり、「様々な」という形に止めた方が良いのではないか。

  ○ ポジティブ・アクションの手法の類型(2)はアメリカのことを書いていると思うが、計画の提出義務づけで終わるのではなくその後のフォローもしていることがわかる表現にすべき。

  ○ ポジティブ・アクションについて、「規制的手法によれば企業及び行政それぞれにコストを伴うこと」として否定的な側面だけ記載するのではなく、「効果は高いがコストも伴う」というように、両論併記にした方が客観的ではないか。

  ○ ポジティブ・アクションの推進についての取組を周知・徹底するのみならず、コーポレート・ガバナンス的な視点から、SRI(社会的責任投資)についても盛り込んではどうか。

  ○ カタリスト等の民間団体の情報収集・啓発活動についても書くべき。

  ○ ポジティブ・アクションを推進することが企業にとっても有用であるという側面をもう少し盛り込んではどうか。
 日本ではどうしても、お役所主導になりがちであるが、ポジティブ・アクションについては、役所発信ではなく、民間団体や投資家や社会全体がサポートするような環境作りが大切。
 女性の管理職比率が高まると、企業の効率が高まるという文献もある。ポジティブ・アクションに取り組むことは、企業の利益に見合うものだという実証分析についても言及してはどうか。<

 5 「妊娠、出産等を理由とする不利益取扱い」について
  ○ 妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いに関して、同じ状況にある男性よりも不利に扱わないというだけであると今よりも後退してしまわないか不安がある。
 あまり妊娠・出産にかかる保護をきつくすると、女性のコストが高くなり、結果として女性の採用が敬遠されるようになる懸念もある。
 妊娠・出産に関する保護については、男女の実質的な平等のために重要ということを書けばいいのではないか。また、裁判例の動向に留意すべき、と記述されているが、東朋学園事件の最高裁判決などに言及することが必要。

 6 「間接差別について
  ○ 間接差別については、項目の最初に附帯決議や国際的動向、昨年の女子差別撤廃委員会に言及して欲しい。

  ○ 「結果の平等との関係」の「結果の平等」の意味を明確にして記述すべき。

  ○ 欧米諸国の通常の法制度としては間接差別が禁止されているが、適用状況は様々である、ということを書いたらどうか。また、何年か前からコンセンサス形成が必要と言われていて、この研究会での検討によってコンセンサスを形成してきたと思うのに、もう一度「理解を徹底する必要がある。」というのは分からない。
 この研究会で得られたコンセンサスについて、今後は、社会一般に対して理解の徹底を図る必要があるという意味である。なぜなら、間接差別の概念については、まだ社会一般には共通認識として受け入れられていない。
 今まで、我が国では間接差別という言葉だけがあり、差別の救済法理が明らかでなかったのをこの研究会で明らかにした。その次は社会的レベルでその理解を共通化し、対応を考えていくという順番であろう。

  ○ 間接差別については、法律上に明文規定を置かないと周知されないと考える。「諸外国では法制化されており日本においてもその方向を目指すべき」程度のことは可能であれば書くべきではないか。
 間接差別の概念は人により異なっている。英米でも異なる。どこまでの範囲とするのかの議論をしないで法律に規定すべき、ということを書くのは難しいのではないか。

  ○ 現行均等法で間接差別まで読めるというのと、間接差別についてはコンセンサスがないために規制できない、という二つの話が混在していた。この研究会報告では、少なくとも間接差別は違法であるということは明記し、それを現行均等法の規定で読めるか、新規に条文を書くか、という選択肢についても明らかにすべき。
 立法化するのか、解釈で対応するのか等、選択肢はたくさんあると思うが、その辺は今ある法律との関係でどうするのかという問題も大きく、そこまでこの研究会が提言すべきかどうか疑問。
 確かにそこまで書くのは難しいかもしれないが、間接差別はなくしていくという方向性は明確にすべきではないか。

  ○ 間接差別のイメージを示す必要があるという点では異論はないが、どういう形で示すにしても、イメージが一人歩きする可能性があるので、注意して出して欲しい。

以上

照会先:
  雇用均等・児童家庭局 雇用均等政策課 立石(内線7836)


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