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労働者災害補償保険制度の概要


 目的
 労災保険は労働者の業務災害及び通勤災害等に対して迅速かつ公正な保護をするために保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進、被災労働者及びその遺族の援護、適正な労働条件の確保等を図ることにより、労働者の福祉の増進に寄与することを目的としている。
 なお、労働者の業務災害については、使用者は労働基準法に基づく災害補償責任を負っているが、同法の災害補償に相当する労災保険給付が行われる場合には、この責任は免除され、労災保険が実質的に事業主の災害補償責任を担保する役割を果たしている。

 適用
 労働者を使用する全ての事業に適用される(国家公務員、地方公務員(現業の非常勤職員を除く。)及び船員は適用除外)。
 ただし、農林水産業の事業の一部は、暫定的に任意適用事業となっている。

 (参考)
 イ  適用事業場数  約265万事業場  (平成14年度末)
 ロ  適用労働者数  約4,819万人  (平成14年度末)

 保険給付及び特別支給金
  資料 No.1−4(参照)

 労働福祉事業
 適用事業に係る労働者及びその遺族の福祉の増進を図るため行われ、次の4つの事業が実施されている。
(1)  被災労働者の円滑な社会復帰を促進するために必要な事業
イ 労災病院等の設置・運営
ロ 義肢等の支給、等
(2)  被災労働者及び遺族の援護を図るために必要な事業
イ 特別支給金の支給
ロ 労災就学等援護費の支給
ハ 労災特別介護施設の設置・運営、等
(3)  労働者の安全及び衛生の確保を図るために必要な事業
イ 労働災害防止団体に対する助成
ロ 産業医学の振興
ハ 産業保健の推進、等
(4)  適正な労働条件の確保を図るために必要な事業
 未払賃金の立替払事業、等
 なお、労働福祉事業(特別支給金の支給を除く。)に要する費用については、労災保険事業全体の事務費とあわせて、保険料収入等の122分の22の範囲を限度とすることとされている。

 特別加入
 労働者以外の者でも業務の実態、災害の発生状況などからみて、労働者に準じて労災保険により保護するにふさわしい者(中小事業主等、一人親方等、特定作業従事者、海外派遣者等)に対し、特別の手続により加入を認め、その業務災害及び通勤災害について保護が与えられている。
 補償内容は、労災保険法上の労働者とほぼ同様である。

 費用の負担
(1) 労災保険の事業に要する費用は、原則として、事業主が負担する労災保険料によってまかなわれている。
(平成16年度予算 保険料収入:約1兆443億円、国庫補助:約13億円)。
(2) 保険料の額は、賃金総額に保険料率(事業の種類毎に、災害率に応じて、5/1,000〜129/1,000)を乗じて算定される。
(3) 個々の事業主の負担の具体的公平を図るとともに、その自主的な災害防止努力を促進するため、個々の事業ごとに収支率(保険料額に対する保険給付額と特別支給金額の合計の割合)をみて、非業務災害分を除く保険料率の40%(建設事業等の有期事業については35%)の範囲内で保険料率又は保険料額が増減される(個別事業メリット制)。


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