04/04/23 平成16年度第1回会議雇用創出企画会議議事録 平成16年度第1回雇用創出企画会議 1 日時  :平成16年4月23日(金)15:00〜17:00 2 場所  :経済産業省別館9階920号会議室 3 出席委員:小野旭委員(座長)、大矢和子委員、二宮隆一委員、樋口美雄委員、        久本憲夫委員、細内信孝委員 4 行政側出席者:青木政策統括官       (労働政策参事官室)草野労働政策参事官、堀江政策企画官、千葉室長補佐       (労働基準局)寺山監督課監察官、長賃金時間課長補佐       (職業安定局)勝田雇用政策課長       (職業能力開発局)木原基盤整備室調査官   三菱総合研究所:木村研究員、荻野研究員    5 議題   コミュニティ・ビジネスによる雇用創出等に関する論点について 6 議事経過 ○小野座長  時間になりましたので、平成16年度第1回「雇用創出企画会議」を開催いたします。 前回の3月の会議では、コミュニティ・ビジネスにおける働き方に関するアンケート調 査の結果報告、及びワーキンググループの検討結果報告が行われたわけです。本日は前 回の議論の結果を踏まえ、「コミュニティ・ビジネスによる雇用創出等に関する論点に ついて」を議題として検討いたします。  なお、本日は矢作委員、八幡委員、山川委員がご欠席となっております。  まず、前回のアンケート調査の結果報告において、委員の皆様方からご指摘のあった 事項を踏まえ、クロス集計を行ってくださっているようですから、その結果について、 三菱総合研究所よりご説明をお願いします。 ○調査委託先(三菱総合研究所・木村)  資料1は、前回の会議で追加のご要望のあったものを集計したものです。1頁は、事 業規模と従事者規模のクロス集計をしたものです。これについては事業所の調査に対 し、全体のサンプルを対象とした集計結果です。上段に実数、下段に構成比を書いてお ります。構成費は全部のサンプル1,480を分母にした構成比となっております。黄色く なっている所を丸で括ってありますが、そこの辺りに集中しているということです。こ れを足し上げますと、従事者規模が15人以下、事業規模が1,000万円以下の所に、約5 割が集中しているわけです。  2頁は、このうちNPOについて集計した結果です。NPOの集計は1,007のサンプ ルですが、下の段の構成比をご覧いただきますと、従事者規模については大体50人以下 の所、事業規模ですと300万円以下の所に集中しており、ここが全体の約6割になりま す。全体に比べると事業規模がやや小さいという傾向が、ご覧いただけるかと思います。 従事者規模については、全体より若干大きいのではないかという感じになっております。  3頁は事業所のうち、有限会社と株式会社についての集計結果です。この数は248件 で、従事者規模は15人以下の所に集中しており、事業規模については2,000万円以下の 所です。黄色くなっておりますが、そこに大体6割ぐらいが集中しており、全体の事業 所の集計と比較いたしますと、人数的には全体と同じぐらいですが、事業規模が大きい という傾向がご覧いただけると思います。  4頁は、ワーカーズ・コレクティブと企業組合についての集計値で、これが200あり ます。従事者規模については、100人以下の所に少し広がっていることが、ご覧いただ けるかと思います。事業規模については500万円以下の所ですから、NPOと株式会社、 有限会社の間ぐらいになるかと思いますが、約5割がそこに集中していることになりま す。従事者規模が大きいという傾向が、これから顕著にご覧いただけるのではないかと 思います。これらが規模等に関するクロス集計の結果です。  5頁では、人員不足と採用経路の関係を少し分析したいということで、過去半年以内 に従事者を採用した事業所について、採用経路を聞いているわけです。それと運営上の 課題として、人員不足を挙げているか挙げていないかという割合で比較しております。 逆の構成比の取り方もありますが、これは採用の経路別に不足か不足していないかの表 になっております。右から3つ目の「公募(ハローワーク)」が、「人員不足なし」と いう回答が約7割と大きく、そこがいちばん不足度合の少ない所です。採用経路でまい りますと、いちばん左の「知人・友人・スタッフの紹介」というのが、件数としてはか なり多いわけです。2番目に、公募の「ハローワーク」と「インターネット、掲示、求 人情報誌」というあたりが多いという状況になっております。  3点目として、6頁をご覧ください。ここでは従事者の報酬額の分布を、少し詳細に 見ようということです。これはNPOに限らせていただき、NPOにおける時間当たり 賃金額を分布として見ていったわけです。この図は常勤が左側のブルー、非常勤が右側 のオレンジ色の所です。分布ですのでそれぞれこれを足すと100%になると思います。 右側の1,200円以上の所になりますと、非常勤に比べて常勤のほうのウエイトが高くな るという傾向が、ご覧いただけるかと思います。また常勤・非常勤のいずれも、時間当 たり賃金額が600円を超える事業所の割合は9割以上です。常勤が92.9%、非常勤が 93.8%ということで、600円を超えない所は、わりと少ないことがご覧いただけるかと 思います。  7頁が、賃金形態ではない報酬の分布です。NPOにおいては賃金以外の報酬形態が 多く、請負契約、謝礼・実費という形態、または賃金かどうか明確に識別しないで支払 っているという、3通りの形態があります。そのうち指定された労働時間で働いている 従事者は、労働者性をもつ可能性があるということで、そういう所の報酬額の分布を見 ているわけです。これも事業所の調査結果ですが、時間当たり報酬額が600円を超える 事業所の割合は、請負契約(オレンジ色のグラフ)の場合は、600円を100%の事業所で 超しております。謝礼・実費の場合は70%が600円を超しています。明確に識別してい ない場合は55%ということで、請負契約以外は賃金で支払われるのに比べますと、600 円以上の割合がかなり低いことが、ご覧いただけるかと思います。以上が前回の会議で ご指摘いただいた追加の集計結果です。 ○小野座長  いまの説明について、ご質問あるいは疑問等がありましたら、どうぞお出しいただき たいと思います。  コミュニティ・ビジネスの事業所は、1,480が対象ですね。 ○調査委託先(三菱総合研究所・木村)  はい、1,480の回答をいただいております。 ○小野座長  そのうちNPOが1,007で、これがいちばん多いですね。 ○調査委託先(三菱総合研究所・木村)  はい、そうです。 ○小野座長  有限会社や株式会社が248、ワーカーズ・コレクティブや企業組合が200ですね。する と残りが25ぐらいあるのですが。 ○調査委託先(三菱総合研究所・荻野)  「その他」という選択肢か、無回答ということです。 ○細内委員  このクロス集計表を見ますと、1つは大体50%とか60%の塊ができていますね。この 状況におけるそれぞれのポジショニングの課題、相関性か何かデータでわかりません か。例えばNPOの事業規模が300万以下の所は、経営上どういうことが課題になって いるか、資金源が足りないとか、人材が不足するということを列挙していただくと、さ らに問題がわかりやすいのではないかという気がするのです。 ○調査委託先(三菱総合研究所・木村)  具体的な報告書の中では、いろいろ分析をして作っておりますので、いまの点につい て、もし可能であれば検討したいと思います。 ○細内委員  それぞれに特徴があるかもしれないということですね。 ○小野座長  そうですね。折角こうやっていろいろグループを作ったわけですから。 ○細内委員  実は私は昨年度、東北のある県のアドバイザーをやりまして、同じような分析をやっ ているのです。法人格はNPOが主体ですが、その中で特にコミュニティ・ビジネスの 事業規模が300万以下で、例えばスタッフの数が3名以下とか、それぞれそのポジショ ニングにおける事業体において、それぞれの問題意識がわりと明確になっているので す。ある県ですから、例えば人材が不足しているとか、適正な処遇がされていないため に機動力が付かないといったことが、逆に事業規模としてスタッフの数を増やすには何 が課題かということが絞りやすかったのです。しかし今回の話は全国でおやりになって いるので、もし全国と東北のある県との比較が可能だったら面白いなと感じているので す。 ○小野座長  それはいまご指摘になったような観点から、アンケート結果を見れば集計が。 ○調査委託先(三菱総合研究所・木村)  まだ集計をいろいろやっておりますので。 ○小野座長  集計して次回にでも出していただければ、ありがたいと思います。 ○久本委員  同じような話ですが、やはり類型化をしていただきたい。コミュニティ・ビジネスと いっても、ここではNPOなのか株式会社なのかという区別、形式的な類型化はあるの ですが、規模によってかなり違うのではないでしょうか。また目的によっても違うので はないでしょうか。ですからその類型化を、もう少し踏み込んだ形でやっていただきた いなというのが、第1の希望です。  第2の希望としては、これは事業所単位で数や分布を出されていますが、普通、企業 の調査でもそうですが、小さい所がものすごく大きい比重を占めるわけです。ところが 雇用という観点から見ると、労働者の立場から見ると、例えば200人雇っている所と2 人の所とでは、100倍の違いがあるわけです。人数が具体的に出ていたか選ばせるのだ ったか、今はちょっと覚えていないのですが、人数という観点からこういったものを案 分して、それを加重して分布を出していただけたらと思います。つまり賃金にしても、 個人サイドから見た分布ですね。そういうものを出していただけたら、ありがたいと思 います。 ○小野座長  この分布は、事業所の分布ですね。 ○久本委員  事業所の分布ですね。ですから1人、2人も1だし、200人、300人も1なのです。労 働者のもらっている賃金の分布となると、個人のことになりますので。 ○小野座長  それは分かりますか。 ○久本委員  できると思います。 ○調査委託先(三菱総合研究所・木村)  実は人数をマトリックス上でその属性ごとに記入いただいておりますので、全部記入 していない所がかなりあるのです。 ○久本委員  無回答だったということですね。 ○調査委託先(三菱総合研究所・木村)  そうしますと今の集計から落ちてしまうのです。限られたサンプリングについて、そ ういうことは可能なのです。 ○久本委員  それか、ザクッとやってしまうかですよね。ちょっと乱暴なのですが、例えば150〜 200人の所だったら、175人と仮定して、それだけの比重をかけてやる。 ○調査委託先(三菱総合研究所・木村)  ただ問題は前回も出たのですが、従事者というのを、雇用で考えるのか、ボランティ アも含めて考えるのか、その境い目をどこまで含めて考えたらいいのかというのがある のです。 ○久本委員  曖昧ですよね。 ○調査委託先(三菱総合研究所・木村)  雇用だけに限ってやるのか、そうでないのかによって全然違ってきます。 ○久本委員  両方やっていただくと、ありがたいなと思っているのです。ちょっと作業が増えて大 変ですが、比較していただけると面白いと思うのです。 ○小野座長  もともと曖昧なところのある領域を扱っているわけですからね。 ○樋口委員  7頁ですが、指定された労働時間で働いているのに賃金ではなく、請負や謝礼・実費 というのが、この間いただいたものでもかなりの人数がいることがはっきりしてきたわ けです。なおかつ、私はよく分からないのですが、請負は賃金が相対的に高く、それ以 外の謝礼・実費というのは、すごく低いですよね。多分、最賃を下回っている人たち が、かなりいるのでしょう。そこで「指定された労働時間」と聞いているのは、どのよ うなことかと思うのですが、これはどういう扱いになるのですか。時間か何かですか。 ○寺山労働基準局監督課監察官  どういう意図で「指定された労働時間」という言葉をお使いになったのかは、よく分 からないのですが、おそらく請負であったとしても、これこれの時間帯において仕事を 任されるということは、あり得べしだと思います。したがって「労働時間」という言葉 自体は、労働基準法で出ている言葉ですから、少し紛らわしい言葉ではないでしょう か。例えば「就労している時間」とか。 ○樋口委員  ただ7頁の四角で囲まれている所に、「労働者に該当する可能性あり」とまで書いて あるのです。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  確かにおっしゃるように、「労働者に該当する可能性あり」ということですから、ま さに実態判断で、該当する場合と該当しない場合のそれぞれがあると思うのです。おそ らくこの調査結果から出ている含意と言いますか、インプリケーションは一体何かと考 えてみると、これは全部が全部「労働者」と言えるわけではないのかもしれませんが、 中には最賃以下で支払われているような、本来労働者であるべき人間がいる可能性があ ることを、この調査結果は示唆しているのではないかと考えています。 ○樋口委員  私は法律が専門ではないのでよく分からないのですが、このように労働時間を指定さ れたりしても、雇用関係や労働関係にないようなことは、法的に認められていると考え てよろしいのですか。 ○寺山労働基準局監督課監察官  いまのご質問ですが、労働者性をどうやって判断するかということだと思います。現 在のNPOなりボランティアなりに対して、労働基準法上の労働者性があるかどうかに ついては、ボランティアが非常に多面的、または多様化していることから、個々に判断 する、または具体的に判断するといった取扱いになっております。いちばん簡単なメル クマールですが、「労働時間」という言葉の意味の裏には、雇っている方から雇われて いる方に指揮命令が行われ、その指揮命令の対価として、きちんとした報酬が払われて いるのであれば、一般的には労働者になると考えられます。労働時間というのはその一 つです。言葉では別ですが、時間がきちんと指定されているというのは、指揮命令を判 断する一つの要素になると思います。 ○細内委員  今回のこの調査は、少し分けて考えたほうがいいのではないかと思っているのです。 つまり組織のミッションと、マネージメントを展開するのと、オペレーションがごっち ゃになっているのです。例えばイギリスのチャリティ法に則って、免税扱いになるとい う考え方ですと、組織のミッションにはメンバーが要るわけです。このメンバーは、ボ ランティア的な要素で参画してくるケースが高いのです。そしてオペレーションをやる 実際のワーカーには、最低労働賃金を担保していると思うのです。それが日本の場合 は、ミッションとオペレーションが一体となって、法人格も様々な株式会社、NPO法 人などになっていて、このクロス集計も取られていると思うのです。問題提起として、 そろそろ組織のミッションと、マネージメントと、オペレーションにおける役割機能、 場合によってはNPO法の問題点なども含めて提案していったほうが、見えてくるよう な感じがするのですが、いかがでしょうか。 ○樋口委員  そのときNPOのリーダーの方には、特に労働法関連の教育は、多分なされていると 思うのですが、知っていてこういうことになるのでしょうか。それとも知らないでやっ ているのでしょうか。 ○細内委員  両方あるのではないですか。勉強されている方は知っていると思いますが、まだまだ 勉強の途中の方は、よく把握されていないという感じがしますね。 ○小野座長  最賃以下で働いている人がいるわけですが、最賃がいくらかというのを知らない人が いるわけですよね。 ○細内委員  そういう意味でオペレーションをやっている方は、その組織のメンバーになれないと いうのを、私はイギリスで見てきたのです。要は、はっきり分けて考える。今までずっ と議論が混在していたのは、そこら辺が一緒になっているような感じがするからです。 ですからミッションに参加するボランティアとしてのメンバーと、オペレーションであ るワーカーが一緒になっているから、これをボランティアに取ったり、労働者的に取っ たりして、そこら辺が非常にごっちゃになっているのが、今の日本の状況ではないかと いう感じがいたします。 ○樋口委員  労働基準局としては、何を基準に労働者性が発生するかといった説明や、パンフレッ トみたいなものはあるのですか。 ○寺山労働基準局監督課監察官  現在のボランティア団体に対して、特にパンフレットやリーフレット等を配布し、ご 説明するということはなく、そういった団体から労働者性が認められるかどうかという ことについて、労働基準監督署等に問合わせがあった場合は、丁寧にお答えするといっ たことになります。個人的にそういったボランティア団体の方とお話をしているときに 気付いた点ですが、例えば「ボランティア団体」と一言で申し上げても、その中には介 護保険事業者として、きちんと事業を運営されている団体もあります。その場合には、 介護保険事業として、きちんとした労務形態を取っている団体においては、ボランティ アと労働者(ワーカー)が、非常にきちんと分けられている傾向があるように、個人的 には思いました。 ○久本委員  そういう意味では「有償ボランティア」という言葉自体が、非常に曖昧なのです。こ れが現実にあるものですから。つまり、全くただというのは何だけれど、少しだけもら うと、ボランティアもそういうサービスを受ける人も、何となく納得するという中間的 なところがあって、完全に「労働者」と言われると、ちょっと違うみたいな。ですから 有償ボランティアをどう考えるかというのを明確にしないと、おそらくこの問題は解決 しないような気がしますね。この注でも、「有償ボランティア」と書いてあるわけです から、これをどう考えるかが非常に問題だと思います。 ○樋口委員  よく知りませんが、法的にははっきりしているのですか。基準局ではガイドラインは 出ているのですか。 ○寺山労働基準局監督課監察官  特にボランティア用のガイドライン等は出ておりませんが、労働基準法自体がしっか りした体系を持っている法律ですので、その判断は個々にきちんとなされると考えてお ります。ただ、ボランティア団体の方、またはボランティアの方の中で非常に誤解を招 きやすい考え方は、ボランティアをしている人に対して、労働者性を、例えば公的、ま たは違反として事実認定をすると、あたかも自分はボランティアをしているのではなく なってしまったかのような印象を与えるのですが、私どもとしては、ボランティアさん の中で、その一部が労働者性が認められるということは、その法的効果として、労働者 としての法的効果が与えられるという点と、ボランティア団体として使用者との責任が 取らせられるという点が発生するだけで、その団体のミッションとしてボランティア性 が損なわれるとか、働いている方が社会奉仕活動をするという気持を損なうものでは全 くない、ということをよく説明しませんと、大変誤解を招きやすいという点がありま す。 ○草野参事官  混ざってやっているとおっしゃるように、非常に不分明なところがあるわけです。イ ギリスについておっしゃったように、ミッションでやるのと運営のところを分けるやり 方で、どこまでをどういうように分ければ、そこのところが違うということになるの か、実態的にそういうものを研究してみる必要があると思います。ボランティアならい い加減にやればいいというものではなく、やはり約束をきちんと守ってやらなければい けないわけですから、それをやっているうちに混ざってやっていると、使用従属に近く なってくるという実態があると思うので、オペレートでやる部分とミッションでやる部 分と、どうやって分けられるのかというあたりを、実態を見ながら、イギリスなども参 考にさせていただきながら、研究してみる必要があると考えます。 ○樋口委員  何か災害が起こったときの適用ということでは、労災の問題もあるかもしれないです ね。 ○草野参事官  ある程度ボランティアの数が少ないうちは、非常に志の高い方がやっていますが、層 を広げていくとなると、ある程度有償ということを考えないと、インセンティブが働か ないという部分があるわけです。ただ、それをやると使用従属に近くなるので、そこの ところがますます不分明になりますから、余計に整理しておく必要が非常に強いのでは ないかと思います。 ○小野座長  6頁では600円を基準にしていますが、全国の時間当たりの最賃の平均値は、大体こ の辺ですか。 ○長労働基準局賃金時間課長補佐  都道府県でバラバラになっておりますが、いちばん低い沖縄県などでは、605円が最 低賃金となっております。加重平均ですと664円です。 ○小野座長  東京はどのぐらいですか。もう700円を超えていますか。 ○長労働基準局賃金時間課長補佐  708円です。 ○小野座長  6頁の600円より下の所は、法律的には具合が悪いわけですね。 ○久本委員  私の感覚としては、むしろNPOにおいてこんなに少ないのかなという感覚です。と いうのは、現実に最賃を調べても、必ず最賃以下というのが普通の企業でも出てくるの です。 ○樋口委員  最賃以下の人数のパーセントが10%とか。 ○久本委員  いわゆる未満率です。ですから、それと比べると意外と少ない。 ○小野座長  未満率は全国平均でもあまり多くないでしょう。 ○久本委員  多くないと思います。 ○小野座長  大体、事業主が最賃の額を知らなかったとか、そのようなものが多いでしょう。です から全部が悪意でやっているとも言えないのです。 ○久本委員  もう1つあるのは、例えば月給12万円というように、月給制で払っていて労働時間で 割ってしまうと、最賃を割るというケースがあるのです。 ○小野座長  ほかに何かご質問はありますか。先ほど規模別によって課題が違うのではないかとい うご発言がありましたが、それは面白い論点ですので、まだ余力はあるでしょうから是 非。ちょっと難しいところもあるかもしれませんが、賃金のところも個人別にというこ とで、できればお願いしたいと思います。  それでは次の議題に移ります。資料はその後に付いていますが、「コミュニティ・ビ ジネス(以下CB)による雇用創出等に関する論点について」ということで、事務局か らご説明をお願いします。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  資料2の「雇用創出企画会議 論点(案)」ですが、全部で9枚にわたってペーパー をしたためております。ここに書かれている内容について、委員の皆様はどのようにお 考えでしょうかということでまとめたものです。  構成については、1頁に「CBの社会的意義」とは具体的にどのようなものなのかを まとめています。2頁は「働く側からみたCBの可能性」ということで、若年者、高齢 者、障害者等、それぞれの属性別に見て、CBがどのような可能性を有しているのか取 りまとめているものです。3頁の「CBの多様な展開のための課題と方策」は、大きく 2つのセクションに分かれています。最初に、CBが多様な分野において事業展開を図 っていくことができるように、それを促していくための課題と方策は一体何なのかとい うことが1つです。5頁は、若年者、専業主婦など、多様な主体がCBに参加するため の課題と方策を、それぞれについて書いています。8頁は「CBと企業・行政」という ことで、CBと企業との関係、CBと行政とのかかわりについて、どのように考えてい くかまとめているものです。  まず、1頁の「CBの社会的意義」の2番目の○は、CBは雇用機会の拡大という点 で期待されているところです。この旨は「雇用創出企画会議」の第1次報告書におい て、重点を置いて記述されているところです。「CBの機能はこれに止まらず多岐にわ たる」ということで、今回は幅広に見たというスタンスを明らかにしています。  CBは次の点で地域社会にとって大きな意義を有しており、EUではいま第3のシス テムが期待されている面があるようですが、「日本版第3のシステム」、あるいは「第 4次産業」などという言われ方をする方もいらっしゃいますが、こうしたものとして確 立される可能性があるのではないか。  それはどういう意義なのかということで、最初の・は、我が国社会は、行政主導から 住民・民間主導に転換しようとしている、また、全国一律対応から、地域の個性などを 重視するという方向に向かってきているということです。2番目の・は、地域における 結び付きは最近脆弱化しており、長期的に見て希薄化してきているのではないかと思わ れます。こうした中で、児童虐待といった社会的病理、あるいはここには書いていませ んが街の安全のようなものもあるかもしれませんが、こうした諸々のことが生じている わけです。これらに行政が入り込むには限界があるわけで、その解決のために地域の個 別の事情にきめ細かく対応できる存在であるCBが期待されるのではないか、というこ とを書いています。  2頁の「働く側からみたCBの可能性」です。CBにおいて働いたり社会参加される 側からみて、次のような可能性を持っているのではないかということでまとめていま す。まず、若年者について言えば、無業者・フリーターなどが最近急に増えてきている わけですが、職業意識をいかに高めていくかということが1つポイントになっていると ころです。こうした状況下において、若年者がCBで就労、あるいはボランティア体験 をすることは、自分が役に立っているという実感が得られることを通して、意識が高ま るという効果などが期待できるのではないかという指摘です。  次に高齢者についてですが、団塊の世代を中心として、これまで企業一辺倒の働き方 をされてきた方も多かったわけですが、地域に軸足を置いて活動されたり、あるいは企 業と地域双方において活躍したいといったニーズ、あるいはマグマが増えてきているの ではないかと思っております。CBはその受け皿になり得るのではないかということで す。  障害者においても、CBにおける活動により、生活の質の改善、就労意欲の醸成が期 待できるのではないか。  専業主婦においても、無業のままで長いこと期間が経っておられる方もいらっしゃる わけですが、本格的な就労に向けての1つのステップとして、CBにおける就労や社会 参加が有効なのではないか。また、主婦の方々の日々の生活実感というのは、地域生活 に密着しているCBの活動に結び付く場合がありますので、主婦の方々はCBの主要な 担い手としても期待されるのではないかということです。  3頁は、先ほど来、賃金のあり方についてご議論していただいているところですが、 「有償ボランティア」と称していても、仕事に就く時間が指定されるなど、場合によっ ては労働者性の存在がみられるケースもあり得るのではないか。契約の明確化、最低賃 金額以上の額を支払ったり、サービス提供者の処遇の明確化を図っていくことが望まし いのかもしれませんが、この辺りはさらなる検討が必要かと考えています。  続きまして、3の「CBの多様な展開のための課題と方策」ですが、今後、CBの多 様な展開を通じて雇用の場の拡大を図っていくとともに、若年者や高齢者などが、CB を舞台として、多様な自己実現を図っていくための環境を整備していくことが重要では ないかということです。  最初に「多様な分野における事業展開を促進するための課題と方策」ですが、CBの 活動分野をみると、あえて言えば、福祉が突出していると言ってもいいかもしれませ ん。まちづくりもそれに続いているという状況です。ほかの分野の占める割合は、それ ほど大きくはないという状況にあります。  もちろん、福祉やまちづくりが重要であることは論をまたないわけですが、それ以外 にもCBの成長促進が望まれる分野は多々あるのではないか。例えば、若年者が長期間 無業でいる弊害は大きいわけで、職業意識形成のための諸事業を行うCBが現れること も考えられます。また、労働者個人自らが職業能力の形成を図っていく必要性が高まっ てきている中で、地域の中で気軽に教育訓練を受けられるような場を設定していくこと も考えられるのではないかと思います。  4頁は、CBがこうした活動を行うに当たって、直面している問題点として、どんな 点が挙げられるのかということをまとめています。最初の・ですが、CBには有給の常 勤職員や無給のボランティア、さらにCBの収入で主な生計を立てている方、そうでな い方、いろいろな方々がいらっしゃいます。こうした方々をコーディネートして、ミッ ション、創業の精神を共有できるような環境をうまく作っていけるようなコア人材とい いますか、「中核的人材」の方々が現実において少ないし、また、こうした方々が事業 展開されようとする際に、資金や雇用などの管理に関して相談できる機関は、現状にお いては少ないという状況にあります。  また、「中核的人材」の方々などが同じような志を持った方々と交流することによっ て、成功体験や失敗体験を学んだり、あるいは事業展開のヒントとなる情報を収集した りすることは重要であろうかと考えています。ただ、現状において、そうした機会が乏 しいのではないか。ほかにも、活動場所を確保することが難しいといった問題。さらに は、行政からの補助金が主収入であるケースもしばらくの間あり得るわけですが、例え ば行政からの委託事業の中で、人件費に充当できないという制約が付されることが多い といった問題点が指摘されることもあります。  4頁の下のほう、こうした問題を解決するために、地方自治体や国がどんな施策を講 じていけばいいのかということですが、創業時、あるいは事業展開時に総合相談を行え る窓口については、今年度から試験的な事業を開始しようと思っているところです。こ れは私どものほうで全国に2カ所ほど、総合相談窓口を中間支援団体にお願いして、事 業を実施しようと考えていますが、さらに地域のニーズに関する情報収集・提供、コー ディネート人材の育成、人材のマッチングを行うなど、多面的な支援を行う窓口に改組 していくことが考えられないかということです。  「中核的人材」が円滑に事業を展開するのに役立つように、同じ志を持つ者が情報交 換を行う場としての「たまり場」を上記窓口に設けて、参加者間の触発を図って、成功 事例・失敗事例などの情報提供を行うことも考えられるのではないかという指摘です。  5頁の・は、空き教室のようなものが典型的なケースかと思いますが、地方自治体が 遊休公共施設を無償または低額で一定期間貸与するということも考えられるのではない か。また、委託費用のあり方についても、その使い方について弾力性を持たせることも 考えられるのではないかという指摘です。  現在、国においては離職者を対象にして、NPO委託訓練を実施しているところです が、そのカリキュラムは福祉が中心で、ほかの分野におけるカリキュラム開発が必ずし も十分に進んでいるとは言い難い面もあります。したがって、今後は幅広い分野でカリ キュラムの開発を行っていくとともに、カリキュラム策定のノウハウを集約・整理し て、幅広くCB、あるいはCBに支援を行う団体に提供していくことが重要なのではな いかと考えているところです。  1つ飛ばして、今度は「多様な主体がCBに参加するための課題と方策」の若年者に ついてです。若年者の方々の無業期間が長期化するのを回避するという意味合いにおい ても、CBにおける就労等は有益な面があるのではないかと思います。ただ、問題点と して、CBは日々の業務に忙しいわけで、個々の若者の状況に応じて懇切丁寧に指導を 行ったり、訓練を行ったりすることは難しい状況にあります。したがって、CBにおけ る若年者の受入れを進めていくためには、CBの支援団体などにおいて、若年者の活動 を開始される前に職業マナー講習を行っていくことが効果的なのではないかと考えてい るところです。  6頁ですが、政府としても、そうした講習の取組みを支援していくこと、CBにおけ る就労ボランティア体験をデュアルなどにつなげていく工夫を行う必要があるのではな いかということです。  6頁の在職者の所ですが、在職者の方々においては十分な情報や相談を受ける機会に 乏しい面もあり、ボランティアなどをやろうと思っても、なかなかマッチングまで至ら ないという実情もあります。また、兼業禁止義務の適用を受けたり、短時間勤務制度が 存在しないことから、一部の時間を地域活動に振り分けていくことが難しいといった問 題点もあります。  現在、ボランティア活動については、勤労者マルチライフ支援事業を国としても実施 しているところですが、こうした事業のスキームを活用しながら、在職者の社会貢献活 動に関するマッチング機能を高めていく必要があるのではないかと考えています。ま た、企業が勤労者の「多元ライフ」が実現するよう支援していくという道筋も大切な点 ではないかと思って、こうした観点からの取組み・好事例について、企業に対して幅広 く情報提供を行っていくことが有益なのではないかという指摘です。  6頁の高齢者ですが、同様に高齢者の方々におかれましても、CBにおいて就労・ボ ランティアを行おうと思っても、なかなか情報がないという問題などがあるわけです。  7頁ですが、そのためシルバー人材センターなどの場を活用して情報提供、あるいは マッチングに努めるといったことなどが施策のあり方として考えられるのではないかと いうことです。  次に障害者ですが、障害者が継続的に就労できるようにしていくためには、住居の近 くで同じ仲間とともにリハビリ、あるいは職業訓練を行えるようにすることが有益では ありますが、現状としては障害者を指導・サポートする人材が不足していることが制約 要件になっているところがあろうかと思います。  政府としても、障害者の職場適応に当たって、指導・サポートを行うジョブコーチを 派遣したり、「障害者就業・生活支援センター」という、障害者の就業・生活面の支援 を一体的に行う組織、こうした事業をNPOなどに委託するという取組みを進めている ところで、さらなる事業展開が望まれるのではないかということです。  続きまして専業主婦ですが、専業主婦の方々についてはCBで働く、あるいは事業を 起こすことが期待されているところもあるわけですが、やはり情報不足の問題などがあ ります。そこで、専業主婦の方々が集まる場、具体的に言えばファミリーサポートセン ター、新型保育施設といった所において、CB支援団体が社会参加講習を実施された り、あるいは社会参加活動のマッチングのための情報提供を行うといったことも有益な のではないか。また、そうした活動に対して、国などが一定の支援をすることも考えら れるのではないかという指摘です。  4の「CBと企業・行政」ですが、まず「CBと企業」です。CBにおける活動経験 者を企業の中に迎え入れたり、在職者の方がCBにおいて活動を行ったりすることがで きるようにしていくことは、企業にとっても大きな意義を持つのではないかと思ってお ります。すなわち、社員構成が多様化する。それだけではなくて、個々の社員が多元的 な思考を獲得していくことを通して、新しいアイディア、あるいは付加価値を創造する 源になるのではないかと考えられます。また、CBにとっても、事務局スタッフについ ては専門性に加えて各種の実務経験を求めています。企業において技術と経験を積んだ 方々が社会貢献をする場として、CBが期待されている状況にあるのではないかと考え ています。  さらに言えば、最近CSRという流れが大きくなってきているわけですが、そのCS Rの一環として、企業においては地域貢献対応というのも迫られているところがありま す。企業において、勤労者の方の「多元ライフ」が実現するよう、短時間勤務制度を設 けるなどして、社員のCB活動を支援したり、寄付を提供したり、空いている会議室の スペースを開放したりという形で、CBの事業運営に対する各般の支援を行うことも望 まれるのではないかということです。  最後に「CBと行政」ですが、国民の生活が豊かになる中で、地域住民のニーズが個 別化・多様化しており、ニーズに応える主体としての地域の役割は高まっています。ま た、国民の行政への要望は広がっておりますが、行政の守備範囲を安易に拡大できない という面もあって、地域住民が主体となるCBの可能性は拡がっているとは言えるので す。ただ、CBは、営利企業に近いものまで含めて、千差万別の状況にあるのではない かとみられるところです。もちろん、CBの性格上、法的規制の枠に入れるなどという ことは適当ではありませんが、個々のCBが地域密着性・創造性・機敏さなどを活かし たものになっているかどうか、自分たちでちゃんと評価を行うことも大切な点なのでは ないか。あるいは業務方針などについて、積極的に情報を発信していくことも求められ るところなのではないかと考えています。  行政がCBを支援したり、一部事業を委託するに当たっても、適正なCBを選定した り、アイディア公募という形で、CB本来の創意工夫が活かされ、促されることを重視 することが望まれるのではないかということです。  次のなお書きの所は、行政とCBというよりは、むしろ行政内部の問題なのかもしれ ませんが、市町村行政と国の関係です。市町村行政によるCB支援が本格的に展開され ていくことが本来的には望ましいわけですが、現状においては必ずしも十分でないとこ ろもあろうかと思います。国が呼び水となるべく、CBに対してモデル的な支援事業を 行って、その成果を幅広く市町村に広めていくことも望まれるのではないか。また、最 近、地方分権の流れの中で、市町村におかれてはいろいろ権限なども大きくなってくる 面もあろうかと思いますが、例えばCB施策を立案しようという場合において、具体的 にどんな事業をやるのかということを自分たちで考えていく場合に、なかなかノウハウ のようなものがないという問題点もあるかもしれません。こうした場合、国が情報、あ るいはノウハウを提供していくことなどにより支援していくことも考えられるのではな いかということです。  今後、行政と適切な連携を図りながら、CBが全国津々浦々に展開されて、失われつ つある地域のつながりが新たな形で構築されて、地域社会の再生が推進されていくこと が期待されるのではないか。そのような考え方について、委員の皆様方はどのようにお 考えでしょうかということで、今回、論点を提示させていただいた次第です。よろしく お願いします。 ○小野座長  質疑応答に入りたいと思います。いまの事務局の説明に関して、ご意見、ご質問があ りましたら、ご自由に出していただきたいと思います。 ○細内委員  1つ加えると、先ほど私のほうからミッション性、組織性、労働性と3つほど提案さ せていただいたのですが、実はもう1つ大きな問題があって、税制の問題です。例えば 流山にユー・アイネットがありますが、ふれあいボランティア切符がいま千葉の地裁で やっているかと思うのです。税制の問題でこれが事業所得としてみられるというのが絡 んでいて、この辺も合わせて数字を明確にしていかないと、非常にこんがらがって、わ かりにくいものになっていくのではないかと思います。  もう1つ言わせていただくと、例えば最近ですと、足立区に東和銀座商店街という商 店街がありますが、そちらで2003年4月に大卒の新人を4、5人、初めて雇用したので す。そういう視点で考えると、学卒なり20歳代の新人を雇用できる経営体力をCBでど う作っていくか、そういう視点が課題としてあるのではないか。  もう1つの課題で言うと、ワーカーズ・コレクティブという働き方があると思うので すが、先ほどのデータで言うと、ワーカーズ・コレクティブの平均が大体、事業高500 万です。500万ですと、若い人の雇用、要するに新規で採用できないと思うのです。先 ほどのアモール・トーワは年商5億です。5億というのは、足立区が給食の派遣事業を 委託したり、地域で支え合う仕事を出していく仕組み・仕掛けがあるのです。ですか ら、特に新人を雇用できる経営体力を地域としてどうやってつけていくか、そういう視 点も事業別にそれぞれ考えていく必要があるのではないか。事業別というのは、組織別 であったり、ミッション別であったり、労働性別であったりです。それに応じて税制も メリハリをつけていくような施策を打っていかないと、一様に税制はこうであるからと いうのは、例えばNPOがいま現在税の控除を受けられるのは、法人数は1万6,000を 超えているうち、たった10いくつかと思います。そういうことからも、こういう組織の 経営という視点に立つと、若い人を雇用できないというのが経営上からも見えてくるの ではないか。その辺をもう少しはっきり浮かび上がらせるような研究会なり、この研究 会の延長線上でお考えになるのも問題解決の1つになるのではないかと感じています。 ○大矢委員  こちらは、「CBの社会的意義」と「働く側からみたCBの可能性」と出ているので すが、受ける側としてのベネフィットのようなものが、もう少し明確になっていく必要 があるのではないかと考えます。例えば、この場合ミッションと運営主体がスモールビ ジネスという形で、かなり期待されていますが、実際に行う方の質が有償ボランティア という形で曖昧になっていると、実質的には受ける側として積極的に受けたいという形 にならないのではないかと思われるのです。そういう意味では、ミッションと運営とあ る程度規定して、それでモデルづくりや仕組みづくりをやっていく必要があるのではな いかというように、行政として働きかけていく必要があるのではないかと考えるので す。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  いまご指摘が多々あったわけですが、税制の問題については、私どもの研究会報告書 の中でどこまで盛り込めるかということもあるわけです。ただ、問題自体としては、重 要な課題であると認識しております。今後、報告書に向けて盛込み方など、どこまで盛 り込めるかということも含めて、また先生方とご相談させていただきたいと思います。  同じく細内委員から、新人雇用の力をつけていかなければならないといった趣旨のお 話がありましたが、これについてCBの今回の調査で、どのぐらい雇用吸収といったも のを考えているのかということについて、調査しているところです。これは雇用者だけ ではなくて、ボランティアも含めてということですが、回答企業のうち、1人でも採用 意向のある事業所は8割弱ぐらいありました。それで、前回たしか11人ぐらいという形 でお出ししたのですが、二宮委員から、これはあまりにも多すぎるのではないかという ご指摘もあったように記憶しています。私どもも、さらに精査させていただいて、イレ ギュラーな数値を省いたら大体6人ぐらいの値になりました。それでも6人とみるべき なのか、それとも6人というのがそれほど少ないとみるべきなのか、そこは微妙かと思 います。ただ、いまCBにおいては若年を受け入れたいという意欲が、この数値を見る 限り、おそらく全くないというわけでもないのだろう。そうは言いながらも、そのまま 素直にスッと受け入れられるかというと、それはそうもいかない問題もあって、若年の 方を適切にサポート、あるいは指導するような状況などがないと、あるいは若年者の力 が高まった状況で受け入れるという形でないと、なかなか受け入れ難いといったこと も、同じ調査結果から浮かび上がった面です。こうした辺りをどう考えていくかという のが、1つ我々としても課題かと考えています。  続きまして、大矢委員から出た、例えば迎え入れる側のCBの質の問題についてのご 指摘ですが、確かにおっしゃるように有償ボランティアか、あるいは労働者なのかとい ったことを明確にしていくということも、筋道としては考えられる点ではあろうかと思 います。CBのほうで、具体的に若年者など、いろいろな方を受け入れるに当たって、 CBとしてどういう体制なのか、そもそもどういう事業をやっていて、どういうミッシ ョン性の下に動いているのかといったことなどをきちんと伝えていくことは、非常に大 事なことであろうかと思っております。こうした情報発信性を積極的にやっていくこ と、あるいは自分なりに評価していくといったことなどを推し進めていただきたいとい う気持は、私どもとしても持っているところです。 ○久本委員  いまお話を伺って少し気になったのは、在職者の所です。6頁で「兼業禁止義務」云 々というお話がありますが、これは8頁の中ほどの「CBと企業」の2番目の○にもつ ながってくるわけです。CBに対して在職者が貢献するというのが、例えば収入がある とか、兼業禁止を外して、別にサイドビジネスをやるようなイメージというのはちょっ と強すぎるかなという気が私はしたのです。  むしろそうではなくて、「退職後に円満に地域貢献活動」と書いてありますが、在職 中も地域貢献活動はできると思うのです。それはまさしく本務を削ってというよりは、 むしろ休みのときとか、家に帰ってとか、いろいろな知識を持っておられるわけですか ら、そういった在職の人が、CBをやっている人に対していろいろな情報とか、相談に 乗ってあげるとか、サポート体制をとるというか、サポートをするという形で在職者を 位置づけたほうが、在職者の人は退職後だけではなくて、在職中もちゃんと地域貢献を するし、いろいろな知識も、教えてくれと来たら「それはこういうことだよ」というよ うに、いろいろな情報を教えてあげる。そういう形で、ある意味では本来の仕事に対し てあまり無理、負担をかけないような形でのサポートのあり方はたくさんあると思うの です。だから、ここは雇用創出というところもありますので、在職者の雇用を創出する 必要はあまりないような気もするので、むしろそういった観点から、在職者の役割を位 置づけたほうがいいのではないか、という印象を私は持ちました。 ○細内委員  8頁について、そういう視点で言うと、私は、企業が地域との交流をどうしていくべ きかという視点に立つ必要があるのではないかと思います。それとパートナーシップの 築き方です。例えば神戸の震災のとき、長田区にあった一部上場の会社は、バケツリレ ーで消火して食い止めたのです。もともとそこが創業の地だったのですが、実はその 後、本社を移転して、また戻ってきたのです。コミュニティ・レストランということ で、地域の住民にも来ていただくように社員食堂を開放して、交流ないし地域に活かさ れる企業ということを前面に出されて、まちづくりに加わっている。そういう意味から 言うと、今回の委員の方々は企業の方がたくさんいらしていると思いますので、企業と して地域への交流のあり方であるとか、パートナーシップの組み方も含めて、ここは少 し強調されたほうがいいような感じがしますね。 ○二宮委員  以前から兼業禁止についてはお話していて、そういう意味では実際にグローバル競争 やお客様への対応といった中で、兼業でできるほどなまやさしいものではないというの が私どもの実感だったわけなのです。それは決して兼業を否定しているわけではなく て、企業や職種によっても違いがあって、多様性があっていい。また、契約の自由とい う部分もあって、ただ一律におかしいとか、見直すべきだという論調は少し行きすぎか なという感じがします。  一方では、いま少しお話が出ましたが、例えば企業でもボランティアでコミュニティ 活動等をしている人も少なくありません。私どもの会社でも、去年80人ぐらいがボラン ティア休暇のようなものを取っているのですが、それはあくまでボランティアであっ て、各自ができる範囲でやっている。そういう意味で、ここの論点の所で、たぶんいち ばん言いたいのは、雇用創出のためにはやはりCBを育てていく必要があるのだと。そ のためには、例えばいろいろなスキルを持った企業の社員を活用していく必要があるの だ、ということだと思うのですが、それがあまり兼業や雇用というほうに行ってしまう と、やや誤解を招くのかと。久本委員がおっしゃるように、支援という位置づけだろう と。  やはり雇用創出ということになると、久本委員もおっしゃられたように、いま働いて いる人を兼業とか短時間勤務というように持っていってしまうと、方向性として細切れ 雇用をどんどん進めていくのかと、ちょっと違うのかという感じがしました。やはり失 業者の雇用などを含めて、新規雇用を増やしていくことに焦点を当てていったほうが雇 用創出企画会議としての意味があると思います。  そういう意味では、もう1点の関連でいくと、この雇用創出企画会議の論点というこ とでこれを見た場合に、CBということだけでしたらこれでもいいと思うのですが、や はり雇用創出ということだろうと。そういう意味ではこの会議でいままでさまざまな経 過があって、いまCBに着目をしているということをふまえ、雇用創出とCBの関係と いうか、雇用という観点から見たCBの意義というものを、再度、整理をしておく必要 があるかというように感じました。 ○大矢委員  そういった意味で、CBのミッションと運営形態を全体に広げて考えるよりも、ある 程度規制していったほうが、会社としてもボランティアとして出やすいし、行政として 支援する場合も、ミッション性という意味で明確になっていたほうがやりやすいという 意味で、全体的にCBの定義としてはかなり広いものがあるのですが、今回ここにもう 少し狭義的な部分で枠を設けたほうがいいのではないかと、ちょっと考えます。 ○樋口委員  在職者についてのCBに対する支援というのは、いろいろな考え方があるのかもしれ ませんが、1つの考え方としては在職者はまさに多様化していて、正社員がもう6割程 度になってきているわけです。それ以外のパートなどいろいろな方がいらっしゃる中 で、その人たちが兼業というか、それをボランティア活動としてつなげていくというの は当然ではないか。そういうのがあっても然るべきだと思うのです。  正社員についても、いくつかの企業では、それぞれ50代になってからということを前 提につけている企業も多いわけですが、地元への参加を促進する。ついては兼業禁止規 定を外します、ということをやっている所もあって、そこは個々の企業の判断でしょう が、今後考えればどういう所が伸びていくのかというのは、結果からおのずと出てくる かと思うのです。だから、そこのところはどのように書くかというのは、議論があって 然るべきかと思います。  もう1つ、今回CBの「中核的人材」の形成・育成ということを入れていただいたの は、非常にありがたいところで、先ほどから出ている、例えば労働法の問題、あるいは 税制の問題、さらには資金調達の問題を、実際にCBを始めようと思う人は、それぞれ 悩んでいるところがあるわけです。ところが、残念ながら縦割り行政というか、いろい ろな所がそれに対応していくということで、例えば資金の問題であれば、金融機関に問 合わせをするとか、税制については税務署、労働問題については基準局に聞くなど、い ろいろあると思うのですが、これはやはり大変な手間なのです。こういうものをワンス トップサービスではないですが、どこかで提供していく。それに各国なり自治体なりが サポートしていく仕組みをとっていかないと、今までの状態を続けながら、それぞれ一 生懸命やっているというのは、これはそれなりにいいと思いますが、どこかでそういう コーディネーションを、行政としても考えてほしいという気がするのです。まさにユー ザーの立場に立った行政をここで展開していただきたいということを、どこかで入れて いただけたらと思います。 ○小野座長  千葉さん、先ほど2カ所ぐらいで試験的にワンストップ的なことを考えているという ことでしたが、それを説明していただけますか。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  ペーパーを準備させていただければよかったのかもしれませんが、いま口頭で説明さ せていただきます。あくまでもモデル的な事業という位置づけではあるのですが、現 在、全国2カ所ほどのCB、ないしはNPOを支援する団体に委託することを想定はし ているところです。例えば、こうした所にCBなどを立ち上げようという方々が、いろ いろな面でお悩みになっているわけです。雇用管理の面、あるいは融資に関してどうい う施策があるのかということについて、ここに行けばこういう施策を得ることができる といった交通整理、立ち上げるに当たっての相談に乗れるような窓口を設けたいと考え ているところです。この結果を広く発信して、全国における展開の呼び水の1つとした いと考えています。 ○樋口委員  まさにそういうことで、例えば、そういう情報を持った上でベンチャービジネスを始 めた人と、全くわからず始めた人では、そのあとの倒産確率が全然違うということで、 これは海外でも出ているわけです。ですから、この分野でも似たようなところがあるの ではないか。やはりそれなりの知識を持ってからスタートすると、そのあとの資金繰り の問題もだいぶ違ってくるかと思いますので、是非そうしたものを促進していただきた いと思います。 ○小野座長  例えば、いま私が何かCBをやりたいと言ったらどこへ行けばいいですか、というこ となのですね。手っ取り早く言うと、役所としては例えばどこへ行きなさいと言うわけ ですか。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  もちろん現在、役所組織としても創業支援サポートセンターという組織が港区の三田 にあります。NPOだけではないのですが、こうした所においても、起業に当たっての ご相談に乗らせていただいているところではありますし、そうした所を紹介させていた だくことなどは考えられるかと思っております。 ○小野座長  ボランティアを認めている企業は、大きさで言ったら大きい企業に多いのですか、そ れとも中小に多いのですか。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  私は古いデータしか記憶していないのですが、そういう意味で言えば、現実問題とし てはかなりの割合で兼業禁止義務的なものがかかってはおります。ただ、ボランティア というところになると、どの程度までになるのか、明確なものは数字としてはいますぐ 出ません。その点については、あとで数値として流させていただきたいと思います。 ○久本委員  樋口委員と同じなのですが、やはりユーザーの立場に立ってといいますか、利用者の 立場に立って考える場合に、CBというのは都道府県単位がベースで、ある意味では都 道府県がイニシアチブを取るのが本来かと。市町村では、大きい所はいいですが、普通 の所はなかなか難しいという感じがします。だから、この報告書においても、その辺を もっと強調されるのと、縦割り行政ではないですが、国のレベルでも、省庁を跨いだ協 力体制を我々もやっていくという意思表明が少しほしいという感じです。いかがでしょ うか。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  省庁を跨いだ意思表明につきましては、もともとCBというのは、別に厚生労働省だ けにかかわる話ではありませんので、経済産業省、あるいは国交省など、いろいろな所 がかかわっています。ですから、提言の中にはそうした連携体制などが必要だというこ とを盛り込むことについて検討することは必要なのかと、今の時点で私どもとしては思 ってはいますが、その点はまたご相談をさせていただきたいと思っています。 ○樋口委員  よくまとまっていると思います。 ○小野座長  という評価をしてくださいました。私も読んでいて、大変うまくまとまっていると思 いました。ただ、前回のアンケートがありますが、あれは報告書では実際にどのように なるのですか。最終版の話をするのは早いかもしれませんが。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  まず、アンケート調査については、現在、中間的な報告という形で報告をさせていた だいて、今日もその位置づけは変わっていないのですが、5月中に最終的な形として、 先に調査報告書として出したいと考えています。その成果をも踏まえながら、6月まで に当会議としての2次報告書という形で、CBに関してまとめることができればと、私 どもとして今の段階では思っています。 ○小野座長  「働く側からみたCBの可能性」という所で、高齢者、障害者、専業主婦と、いろい ろ分けますね。実際問題として、今回の調査で、例えば障害者はどのぐらいいたのか、 それはわからないわけですか。年齢は調べていますね。そういう基礎的なものが入った ような形で報告書を作れますか。それはまた別ですか。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  今回の調査結果報告の結果を活用して記述する部分としては、おっしゃるように、例 えば若年者、高齢者というところが中心になろうかと思います。障害者については、先 ほど三菱総研さんも言われていましたが、今回、直接調査をしていませんので、この調 査とは切り離して、当方としてもバックデータのようなものをいろいろと加味させてい ただいた上で、報告書をまとめる方向にしたいと考えています。 ○小野座長  調査結果に関して、在籍者がどのぐらいCBに入り込んでいるのかなど、議論すると きにデータが入っていると、読む人は大変興味を持てると思います。  ただいまの論点について、ほかに是非言っておきたいことがありましたらどうぞ。非 常によくまとまっているということですか。私も本当にそう思います。  特にご意見がないようでしたら、次回以降の会議のスケジュールについて、事務局か ら説明していただければと思います。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  次回会議についてですが、6月の報告書取りまとめに向けて、報告書の素案について ご議論していただければと考えています。次回の会議については、5月25日(火)の3 時半から、省議室での開催を予定しています。案内については、後日送付させていただ きますが、よろしくお願いします。 ○細内委員  2頁の下のほうに、「障害者については」とあります。ここは「QOLの高まりや、 勤労意欲の醸成」という形で出ているのですが、もう1つ、彼ら自身は「納税者になり たい」と。要は、社会参加として働くことによって納税者になりたいというのが、私が いくつか聞いた彼らの生の声の1つなのです。だから、ここにビジネスの視点とか、働 くことを障害者が望んでいるというのは、やはり納税者になるということの誇り、プラ イドで、CB的なことを、町中でクッキー屋さんをやったり、作業所ができたり、パン 屋さんができたり、はたまた足利のほうではワインなどを造ったりしている所があるの です。ですから、何を彼らが望んでいるかというのは、社会参加して新しく納税者にな るという気持が、今注目を集めている、というのを少し入れていただければと思いま す。 ○小野座長  それは重要な点です。書き加えていただければと思います。ほかにありますか。で は、本日はどうもありがとうございました。                                      以上 照会先 :政策統括官付労働政策担当参事官室 政策第一係 電話番号:03(5253)1111 内線(7723)