04/04/15 障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会第16回議事録       障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第16回)           日時:平成16年4月15日(木)13:00〜16:00           場所:厚生労働省17F 専用第18会議室  江草座長  ただいまから第16回の障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会を開きた いと思います。委員の皆様におかれましては大変お忙しい中をお集まりいただきまして ありがとうございました。本日の議事に入ります前に、前回の議事運営に関しまして、 事務局と私から一言申し上げたいと思っております。  高原課長  前回2月26日の検討会におかれまして、議事運営に抗議をされて太田委員が途中で退 席されたわけでございます。その議事運営に関しまして、日本障害者協議会から座長宛 てに申し入れをいただいております。当日、2月26日の検討会、午前中2時間の予定で 議題もたくさんあったわけでございますが、事務局といたしましても今回のお申し入れ の趣旨を尊重して、今後議事運営の進め方、あるいは議題設定、時間配分などにつきま して、これまで以上に十分な配慮を行なっていきたいと考えております。  江草座長  ありがとうございました。それでは私から前回の議事運営にあたりまして、日本障害 者協議会の河端代表からお申し入れをいただきました。それを拝見いたしまして真摯に これを受け止めたいと思いますが、この前の会の運営にあたりまして時間的な制約があ ったとはいえ、多くの委員の方々に可能な限り全員から御発言をいただこうと、こうい う趣旨から議事運営を行なったのでございますが、配慮が足りない面があったことを反 省いたしております。今後一層適切な議事運営をいたしまして、民主的な検討会にして いきたいと思っておりますので、御了承を賜れば大変ありがたいと思います。  大森委員  座長がそういうふうにおっしゃっているのは私もそうだと思うんですが、太田さんも あのぐらいのことで退席するというのは良くないと思いますね。大人気ないと思います ので、今後自重を求めたいと私は思います。  太田委員  大森委員のあのぐらいのこととは、どれぐらいのことを指して言うんでしょうか。説 明を求めます。  安藤委員  事務局から、また座長さんから説明がありましたが、私自身、太田さんのあの退席に ついては太田さん自身も反省する必要があると思います。太田さんとしては別に考える ところがあったと思うのですが、委員として出席した以上、どのようなことがあっても 退席すべきではないと思います。  江草座長  いろいろ御意見もありましょうが、退席なさるようなきっかけを私の言動でお与えし たとするならば大変遺憾であると、私はこういうふうに反省いたしておりますので、今 後はそのような機会を作らないように全員が議事に参加できるような方向で努力してい きたいと思いますので御理解を賜りたいと思っております。それではここでただ今の話 は打ち切らせていただきまして、議事に進みたいと思います。まず事務局から本日の出 欠状況、それから本日の進め方と資料についての御説明を頂戴いたしたいと思います。  高原課長  本日は有留委員、大熊委員、大谷委員、京極委員、竹中委員から御欠席の連絡をいた だいております。山路委員が所用のため途中で御退席をされます。あと、大濱委員、佐 藤委員が遅れてお見えになる予定でございます。それから有留委員の代理で東京都の芦 田課長に出席をいただいております。  次に本日の進め方でございますが、次第を御覧いただきたいと思います。2月3月と テーマごとに三つの作業班を開催をさせていただいたわけでございますが、作業班の報 告がまとまりましたので御報告をいただいてディスカッションをさせていただければと 思っております。これが今日のメインのテーマでございます。あとは有留委員から資料 の御提出をいただいておりますので、芦田課長から御説明をいただくような段取りを考 えております。  次にお手元にお配りした資料でございますが、資料1が知的障害者(児)に関する作 業班のとりまとめの概要版でございます。資料2は視覚・聴覚障害者に関する作業班の とりまとめの概要版でございます。資料3が全身性障害者等長時間介護が必要な方に関 する作業班のとりまとめの概要版でございます。資料4、5、6はそれぞれの作業班の とりまとめの全体版でございます。  それから資料7は平成15年度の支援費制度の在宅サービスの執行状況についての資料 でございます。資料8は前回15回検討会の議事概要でございます。また、有留委員から の配布資料を最後におつけをいたしております。不足などございましたら事務局にお申 しつけください。  江草座長  資料は皆さんお揃いでございましょうか。それでは作業班の報告をお願いをいたしま す。時間の関係もありますので、それぞれ概要の御説明でお願いをしたいと思います。 まず知的障害者(児)に関する支援の在り方作業班の議論の整理につきまして、お願い いたしたいと思います。  天谷専門官  それでは知的障害者、障害児に関する支援の在り方作業班における議論、概要につい て説明をさせていただきます。  1.知的障害者、障害児が地域生活を送る上での主なニーズについて  知的障害者が地域で暮らす上でのニーズは、住まいの確保、日中活動、就労支援、生 活支援や社会参加、相談支援、権利擁護など広範な領域にわたるものであり、これらの ニーズを総合的に捉えることが必要である。  2.知的障害者、障害児に対する地域生活支援の現状について  (1)住まいの確保、居住支援に係るサービス 知的障害者地域生活援助、グループ ホームなど  (2)日中活動・就労支援に係るサービス 知的障害者デイサービスなど  (3)ホームヘルプ・ガイドヘルプを中心とした生活支援、社会参加に係るサービス  知的障害者ホームヘルプサービスなど  3.知的障害者、障害児に対する支援の主な課題と今後の対応について  知的障害者・障害児の地域生活支援の在り方は、単に支援費対象のサービスのみなら ず、他の福祉施策を含めた地域社会全体の視点から捉えることが必要であり、市町村の 主体的な取組に対し、国、都道府県の適切な支援が求められる。  委員から出された主な意見は次の通りである。  (1)全体的な視点では、市町村域、障害保健福祉圏域、都道府県域に適切にサービ スを配置する必要がある。また、障害種別を越えて総合的に相談支援を行なう機能(地 域生活支援センター)が全ての市町村に整備されることが望ましい。  (2)住まいの確保、居住支援では、公営住宅のグループホーム利用の拡大や知的障 害者の単身入居を可能にするなどの入居支援が必要である。  (3)ホームヘルプ、ガイドヘルプを中心とした生活支援、社会参加では、通学、通 勤等への利用ニーズへの対応、複数の利用者が一人のホームヘルパーを利用できる仕組 み、日常生活支援の適用、デイサービス等他のサービスとの代替の可能性、ホームヘル パーの資質向上等が必要である。  (4)ショートステイ、デイサービスでは、中高生の放課後や夏休み対策として児童 デイサービスを利用することについて、他の施策との関係も視野に入れた上での検討が 必要である。  (5)日中活動、就業支援では、知的障害者本人の活動を奨励してもらいたい。ま た、知的障害者本人にもホームヘルパーの資格を取りやすくする必要がある。  (6)相談支援、権利擁護、金銭管理等では、地域生活を支える総合相談窓口、サー ビス利用手続き支援、権利擁護等に関する仕組みが必要である。  (7)ケアマネジメントの手法による支援では、知的障害者や障害児が地域で暮らす 上での様々なニーズと、これを充足するための各種サービスを調整し、結びつけるため の仕組みが極めて重要であり、制度化に向けた検討が必要である。以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。それではただいまの説明に対しまして議長の山路委員から 説明がございますればどうぞ。  山路委員  今の通りでいいと思います。  江草座長  それでは作業班の委員の方々から御発言がございましたらどうぞ。  高原課長  申し遅れましたが、資料4が報告書の本体でございます。資料4を御覧いただきます と、作業班をお願いした委員でございますが、本検討会の板山委員、高橋紘士委員、村 上委員、室崎委員、山路委員、それから東京都の芦田委員の他に育成会の本人活動代表 委員として小泉渉さん、それからピープルファースト東京事務局長の佐々木信行さんに 委員として当事者を代表してお入りをいただいております。  とりまとめは山路先生にお願いをしたわけでございます。検討の経過は2月から3月 にかけまして三回開催しておりまして、外部の関係者お三方からもお話を聞かせていた だいて、議論をとりまとめさせていただいております。以上、若干補足をさせていただ きました。  江草座長  ありがとうございました。それではこの作業にあたられました委員の先生でなくて、 今日御出席の先生から御質問があればどうぞ。  安藤委員  3頁の(5)の中に、知的障害者本人にもホームヘルパーの資格をとりやすくする必要が あるとありますが、実際に知的障害者の中でこのヘルパーの資格をとって活動している 人とか、またその資格取得の条件がきつくて困っているというような実情を知りたいと 思うんですが、どうでしょうか。勉強不足でわからないのですが。  谷口委員  近畿地方では、特に滋賀県などは有名になっておりますが、知的障害をお持ちの方々 に3級のホームヘルパーの資格をとっていただいて、2級のヘルパーさんとセットにし て派遣している例が数多くございます。ですから滋賀県の例なども見てみますと知的障 害をお持ちの方が家事援助専門の3級でお働きになっているというのは非常に近畿地方 ではよく見かけるパターンでございます。  江草座長  近畿地方で他にございますでしょうか。私は大阪の親の会が講習会をやっていらっ しゃるのを伺ったことがあります。そしてそれはある団体から助成金を得られて、活発 にされておるという話を聞いたことがあります。村上さんのところはありますか。  村上委員  いいえ、うちではありません。  江草座長  室崎さんのところはどうですか。  室崎委員  私のところもないです。滋賀の話はよく聞いております。  小田島氏(オブザーバー)  僕は2級の資格を持っています。去年とりました。そして介護も少しやっています。  江草座長  何かグループがあるわけですか。  小田島氏(オブザーバー)  自立生活センターの中でやっています。  板山委員  この知的障害者・障害児に関する在り方作業班で、ヒアリングで長野県の西駒郷山田 さんという部長さんから施設から地域へと、こういう大きな方向について現場でどんな 知恵を出しているかという体験報告をいただきました。そしてそれは一人一人の知的障 害を持つ方たちの自立への意欲とその訓練、努力、そういったものが必要なんだけれど も、単に支援費対象のサービスだけではなくて、他の福祉施設を含めた地域社会全体の 視点から捉えることが必要だという提言がありました。  様々な具体例が報告されましたが、施設から在宅へという生活移行が大変困難な、し かも挑戦的な活動なんだということを私は話を伺いながらしみじみ感じました。これか らの地域生活支援の在り方について、施設から地域へという単なるスローガンではなく て、それを具体的に地域の中で受け止める体制をどう作っていくかが、これからのこの 検討会も含めて地方自治体、関係団体等の仕事ではないかなということを痛感しました ことをちょっと申し上げておきます。  中西委員  私も知的の作業班は二回ほど傍聴させていただいて感心したのは、当事者委員の方は 非常に活発に発言されて議論をリードされていた点です。それで非常に具体的なニーズ が出てきておりましたし、この報告書の中でもあるように、当事者自身のセルフケア活 動とか当事者支援ということが国の方でも支援されていけば、この分野は今後非常に広 く活発に活動していけるのではないかと思いました。  森貞述委員  先程板山委員がおっしゃった件ですが、やはりこれは地域福祉計画を学んできます と、こういうふうに地域で、要するに支援費の対象のサービスだけではない、いろんな サービスを生み出す、そういう力が地域に私は出てくると思います。そういうものをい かにして地域で構築するか、こういうことができれば最終的にその目標とするところは 自ずと皆様方と一致すると思いますので、そのために市町村がどういうことをまず率先 していかなければいけないかということを今この報告で十分わかりましたので、ありが とうございました。  江草座長  他にございますか。  山路委員  今の話に関連する話ですが、やっぱり地域でこの問題をどういうふうに、非常に建設 的なまとめが出されたと思うんですが、それをどう受け止めていくのかというのはまさ に課題だと思うんですが、その中で論点はいくつかあったのですが、やっぱり支援費制 度ができてから地域の相談体制が非常に不十分である、そういう意味ではここに書かれ ていますように障害種別を越えた総合的な相談支援体制を全ての市町村に整備されると いうことをきちんと受け止めて、ぜひ前進させていただきたいということを付け加えさ せていただきます。よろしくお願いいたします。  村上委員  作業班は三回ございましたが、やっぱり何回話しても議論が尽くせないといいます か、ですから結局ここに出ているのは各委員からの現状とか課題とかが出されて、それ から意見も出されたのですが、それをまとめて絞り込む作業にまでは至らなかったの で、ここに書かれてあるのが全部の委員の総意ではないという部分がございました。  佐々木氏(オブザーバー)  三回ではまとめてもまとめきれないところがあります。もっといっぱいやるべきだと 思います。  江草座長  ありがとうございました。作業班としては三回でやめたわけでありますが、これから 新しく村上さんの御意見もありましたことですから、話し合うような機会ができたら大 変嬉しいと思います。それでは次に移らせていただいてよろしいでしょうか。それでは まず視覚障害者・聴覚障害者に関する支援の在り方作業班の議論の整理について御説明 をいただきたいと思います。  柏木補佐 それではまず資料5を御覧ください。視覚障害者・聴覚障害者に関する支 援の在り方作業班における検討の経過につきまして御説明いたします。この作業班は芦 田委員、大杉委員、板山委員、笹川委員、高橋委員、山路委員6名の委員の方で検討い ただきまして、議長は板山委員に務めていただいております。  検討の経過でございますが、第1回目が2月9日、第2回目が2月24日、最後が3月 25日でございました。第2回目は関係者からのヒアリングということで、日盲連の総合 企画審議会副委員長の小林文雄さん、それから大阪聴力障害者協会会長の清田廣さん、 それから東京大学先端科学技術研究センターバリアフリー分野助教授の福島智さんのお 三方からヒアリングを行なっております。そのまとめてございますが、資料2の概要の 方で御説明をさせていただきます。資料2を御覧ください。読み上げます。  1.視覚障害者・聴覚障害者等が地域生活を送る上での主なニーズについて  視覚障害者・聴覚障害者等が地域生活を送る上で、障害の特性に応じて、特に大きい ニーズは次の通りである。  ○視覚障害者=移動の自由が確保されることと情報入手、コミュニケーョンに対する 読み書き面での支援。  ○聴覚障害者=情報入手、コミュニケーション等に対する手話等を主な手段とする支 援  ○盲ろう重複障害者=移動の自由が確保されることと情報入手、コミュニケーション に対する指点字、触手話等個別の支援。  2.視覚障害者・聴覚障害者等に対する地域生活支援の現状について  ○移動の支援=支援費サービスの移動介護(ガイドヘルプサービス)が支援の中心。 また、地方公共団体が実施する各種の施策に対する補助を実施している。  ○情報・コミュニケーション支援=地方公共団体等が実施する各種の施策に対する補 助を行なっているほか、障害者関係団体が実施主体になって事業を実施している。  ○放送通信を通しての情報支援=字幕番組、解説番組等障害者向け放送通信サービス を実施している。  3.視覚障害者・聴覚障害者等に対する支援の主な課題と今後の対応について  (1)視覚障害者・聴覚障害者の支援費サービス利用について  ○サービスの利用手続き等  ⇒相談、情報提供からサービス利用に至るまで、点訳・音訳、代筆、代読、手話通訳 等のきめ細かな利用支援が講じられることが必要。  ⇒先進的な利用者支援の取組を全国に紹介するなど、広く周知を図ることが必要。  ○ケアマネジメント機能  ⇒支援を必要とする障害者のニーズを必要なサービスに適切に結びつけるケアマネジ メントの機能を制度的に位置づけることが必要。  (2)移動の支援(ガイドヘルプサービス)について  ○ガイドヘルプサービスの範囲  ⇒次のような場合は、社会通念上適当なものとして運用するべきではないか。  ・障害者団体の大会、研修会等に参加する場合の宿泊を伴う外出  ・公共交通機関を利用することが困難な場合の自家用車利用(高齢者、過疎地)  ○「身体介護を伴う」移動介護の適用  ⇒特定疾病による要介護者や高齢の視覚障害者の外出は、「身体介護を伴う」移動介 護を適用するべきではないか。  ○ニーズ把握と緊急時の対応  ⇒利用者のニーズを十分に把握するケアマネジメントの制度化とともに、病気、災害 等の緊急時には、事後承認を含む柔軟な取り扱いをすることについて、検討が必要。  ○人材の養成・確保  ⇒従事実績を評価する視点を盛り込むなど、現在の養成研修のあり方について検討が 必要。  ○利用者負担の在り方  ⇒利用者負担の在り方については、応能負担、応益負担に関わらず、とりわけ成人障 害者の利用にあたっては、現行の生計中心者を中心とするものから、利用者本人を中心 とする視点へ変更するべきではないか。  (3)情報・コミュニケーション支援について  ○手話等コミュニケーション支援に関するサービスメニューは、対象者が少なく、市 町村毎に基盤を整備する方式が馴染むのかどうか。また、個人の生活圏が拡大している ことからも、広域の福祉圏や都道府県単位での情報提供支援の在り方や当事者団体、N PO法人等が行なう支援の在り方について、幅広い検討が必要である。  ○さらにはノーマライゼーションの理念のもと、生活のあらゆる場面で、コミュニケ ーションが保障されるためには、福祉施策での取組にとどまらず、あらゆる行政分野を はじめ、司法、立法、民間を含めた取組が取組が期待される。  ○技術革新  ⇒情報化・電子化の進展に伴い、支援の内容をたえず更新していく工夫とともに、ユ ーザー自身の力を育てることが必要である。  ○人材の養成確保  ⇒障害者のニーズが多様化する中で、通訳者の質と量を確保する観点から、ボランテ ィアの活動を支援しつつ、専門的な通訳者の養成を一層推進することが必要。  ⇒盲ろう重複障害者に対する指点字、触手話等個別の支援にあっては、通訳者と利用 者本人の能力が適合している必要がある。支援にあたっては専門的な通訳者によるサー ビスの提供だけでなく、障害者本人の力を育てていく視点が重要である。  江草座長  それではただいまの御説明について板山議長からお願いいたします。  板山座長代理  簡単に、視覚障害者は約30万、さらに聴覚障害者も30万、盲ろう者といわれる人々が 13,000人を越えている、多様な障害のニーズも区々である。そういう人々について地域 生活の支援の在り方の検討をしたわけでありますが、いま朗読いたしましたように幅広 い対応が必要であるという結論であります。支援費制度で限られたサービス、提供だけ ではその目的を達成することはできない、様々な分野におけるバリアフリーがあっての 努力が必要であるということを確認をしたと思っております。特にコミュニケーション とか放送通信、こういったものは行政、司法、立法、NHK、あるいは民間放送、様々 な分野を通してバリアフリーへの努力を求めていかなければ地域生活支援の全き期しえ ない、そういった議論がなされたように思っております。  同時に、現在の支援費制度の中にも市町村間で区々の扱いをされているケースがたく さんある。ガイドラインというふうなもの、あるいは弾力的な運用についての解釈とい うふうなものが少しずつ積み重ねられて、具体的に示されていく必要があるという意見 がございました。また、利用者負担等につきましては、成人障害者については本人負担 を原則とすべしという強い意見が出されていたことを申し添えておきたいと思っており ます。以上です。  江草座長  ありがとうございました。他の委員の方からもお話をいただきたいと思います。  笹川委員  まとめていただきまして、今聞いていて、乗用車利用のところで高齢者、過疎地とな っておりますが、当然重複の障害者も加えるべきではないかというふうに思います。そ の点一つ追加をしていただきたいと思います。  江草座長  他にどうでしょうか。安藤委員さん、どうですか。  安藤委員  4頁の情報コミュニケーションの支援については、板山先生からお話があったよう に、非常に広い範囲で検討していかなければならないわけなんですが、そのことで私た ちが一番悩んでいるのですが、支援費制度とか今後介護保険への統合を考える中での身 体介護とか家事援助については一点の具体的な方向は出ていますが、情報・コミュニケ ーションについてはどのように支援していくか、また方向がはっきりしていない感じな んです。私たちとしては手話については皆さんが持っている音声言語と同じような言語 の領域であって、福祉とかサポートの領域に収めきれない面があるのではないかと思う わけです。したがって手話を含めたろうコミュニケーションについては時間をかけた検 討が必要ですし、そのような場所というものを設定というものを考える時期に来ている のではないかと思うんですが。  江草座長  何か事務局の方で今のお話に御意見はありますでしょうか。  高原課長  本当にこの情報化社会の中で、この情報コミュニケーション支援をどうしていくかと いうのは非常に大きな課題だと思っておりますし、先程、両委員からもお話がありまし たように、やっぱり支援費とか、そういうサービスだけで捉えきれるような話ではあり ませんので、ここらへんをどうしていくか、私どもも問題意識は持っておるつもりでご ざいますし、今の御指摘、御意見も踏まえてまた今後検討を深めていければと思いま す。  江草座長  ありがとうございました。高橋委員さん、御参加なさいましてその時にいかがでした でしょうか。  高橋紘士委員  私は所用があって何回か失礼をいたしましたが、私が感じましたのは、やはりこのコ ミュニケーション支援の場合はテクノロジーの果たす役割が非常に大きいなと思ってお りまして、それだと今までの支援はそういう技術の、たとえばコンピュータの支給とい うことについて長い間壁が通されてきたとか、あるいは1障害に1種類しか給付が受け られないとかという、そういう限界があったような気がいたしますが、それをやはり技 術の進歩に伴って適切な利用しやすい、そういう技術等の開発、いわゆるアシスティブ テクノロジーというふうに言うかと思いますが、そういうものをこれは厚生労働省障害 保健福祉部の管轄だけではなくて、総務省や経済産業省を含めたところできちんと、こ れは逆に言うとあちらで私も委員でそういうプロジェクトに何回か参加したことがござ いますが、そちらの方ではややもすると当事者の立場がおざなりで技術指向になってし まうという、そういう現実がありますので、ぜひそこらへんのところの隘路を突破し て、そういうことも必要だなということを付け加えさせていただきたいと思います。  江草座長  中西さん、どうぞ。  中西委員  我々は聴覚障害者のホームヘルパーの養成などもやっているのですが、そうしますと 手話通訳者を雇って120時間研修をやると80万ぐらいお金がかかるんですね。これは時 給5,000円ぐらいとるところから1,800円ぐらいのところということで、市町村によって バラバラなんですね。  各周辺市町村にお願いして、それを雇って何とか3人ぐらいの介助者が育成されるわ けですが、こういう時にやはり本人に対する支援は出るのですが、我々オーガナイザー 側には支援はないという問題もあるわけですね。それじゃあ本人にそれを全部120時間 分介助者を用意して来いと言うと、それは不可能なんですね。そういう研修にはつけま せんということになりますし、非常に利用が限られているため、本人たちは成長しよう としていく時に支援体制ができない、これを何とか考えていただきたい問題だと思いま す。  江草座長  ありがとうございました。実は今高橋先生がこの厚生労働省だけじゃなくて、他の省 庁に関連したのがあるようなお話がありましたが、私のところへも総務省から障害者の コミュニケーションを増進するために、IT関係ですが、自治体レベルで検討したいか ら参加しないかというようなお誘いを受けたことはあります。それは多分これは役所同 士でおやりになることもいいんだけれど、私どもの方が関係の役所へ話していく方がも っといいのかなという気がいたしました。  私は自分が住んでいる町が、それを私のところへ行って来られたのは市役所の保健福 祉局でなくて、総務局というところからおっしゃって来られたんですね。ですからやっ ぱり住民サイドで声をあげることも必要なんじゃないかな。そしてそれを実らせるため には、それぞれ専門の役所で協力していただくというふうに持っていけたらいいなと思 うんですが、今回の作業班の委員に東京都の芦田課長が加わってらっしゃるのですが、 どんなことをお感じになられましたでしょうか。  芦田委員  そうですね、聴覚の部分につきましては支援費の対象になるサービスがそれほど多く ないので、やはり手話通訳の派遣事業だとか、視覚障害者の方の訓練事業とか、いろい ろ社会生活参加事業と組み合わせて複合的にやっているということで、そういったこと で総体的にサービスの質と量を高めるということが必要なんじゃないかというふうには 考えてはいます。  江草座長  ありがとうございました。今までは作業班に加わっていただいた委員の先生の御意見 でございましたが、他の先生方から何か御質問なり御提言なりはございませんでしょう か。  森貞述委員  先程板山委員が一番最後の利用者の負担の在り方というところで、利用者本人という ことを厳格に述べておられましたが、この辺の考え方というのは、現在、今までの生計 者中心として、その辺の考え方からこちらへ大きく切ったというふうに思うんですが、 その辺の考え方というのは何かあったんですか。  板山座長代理  この利用者負担というのはいつも古くして新しいテーマでありますが、成人障害者の 皆さんは本人の主体的な人生の選択、サービス利用の選択の自由、あるいは契約に基づ く本人主体の生活の仕組み、こんなことを考える上で他人に遠慮することなく自らの力 でサービスは利用したい、その費用も本人負担、これが原則であるべきという主張は極 めて一貫して強いんですね。ただ、その知的障害の分野などでは、保護者、親の立場と いうのがかなり強く主張される傾向がありまして、従来もその点が二本立てになった り、妥協的な中和されたような仕組みがあった場合が長く続いたんですね。最近は生計 中心者ということに、同一生計同一居住ということを前提としつつも、生計中心者とい う形になってきてますが、今回の作業班では改めて障害当事者の皆さんからは特に本人 主体で行くべきだという、こういう御意見が強くて、こういった整理になったというこ とであります。  森貞述委員  参考までですが、今、板山委員の方からお話がありました通り、実は身体障害者関係 の施設、これについての費用徴収制度というのは、いわゆる障害基礎年金ができた昭和 61年の7月に施行されたわけですが、当初はこの費用負担の問題につきましては両親、 それとあとは兄弟、これも入ったんです。それでそれが非常に大きな問題になりまし て、1年間、東京都もそうでしたが、国の方も闘争があって、特に脳性マヒの人たちを 中心に、端的に言いますと赤ん坊扱いにするなという、そういう形で実はたしか62年の 時にこれはとれた。しかしもう一つのところのやはり御夫婦の問題と、それとお子さん の問題と、あまり年をとられた方のことをちょっと障害関係では思わなかったというこ とは事実だと思うんですが、やはりそれが今の時期になってきまして、本人の社会生活 自立ということになってきますと、やはりその辺の扶養の関係も当然変わって来なきゃ あいけないのかなと、私個人的にはもうそういう形に来たのだろうという、そういう判 断はしております。参考まででございます。  江草座長  他の委員の先生からいかがでございましょうか。御発言がないようでしたら次の全身 性障害者等長時間介護が必要なものに関する支援の在り方に関する作業班の議論を御説 明いただきたいと思います。  渡辺専門官  それではお配りしております資料3及び資料6をご準備ください。まず資料6から御 説明をさせていただきます。当作業班の班の構成ですが、芦田委員、板山委員、太田委 員、大濱委員、高橋委員、谷口委員、中西委員、森祐司委員、山路委員の9名の委員の 皆さんで構成されて、議長は高橋委員にお願いしておりました。  経過について御説明しますが、2月23日に第1回、3月10日に第2回、第2回の中で 関係者からのヒアリングということで、参考人で4名の方に来ていただいております。 NPOすてっぷ理事長の光岡芳晶さん、療護施設自治会全国ネットワーク代表の小峰和 守さん、仙台往診クリニック医師の川島孝一郎さん、全国公的介護保障要求者組合委員 長の新田勲さん、そして第3回は3月29日に行なわれております。それでは資料の3の 概要の方から御説明させていただきます。  1.全身性障害者等長時間介護が必要なものが地域生活を送る上での主なニーズにつ いて。大きく二つございます。  ○地域社会の中で自立した生活が実現されるよう、個々人の生活スタイルにあったサ ービスが用意され、そのサービスは利用者の自己選択・自己決定したニーズに基づき、 サービスが展開されるとともに、社会参加活動に対する支援を十分に行なえる視点が重 要である。  ○この視点をふまえて、全身性障害者等長時間介護を必要とする者のおおよその範囲 は、『日常生活において、多くの場面で人的支援を必要とするような、障害の重い全身 性障害者等』であり、その主なニーズは『医療的ケア・コミュニケーション支援・見守 り等』に関することが大きい。  この二つ目の視点ですが、資料6の方の2頁目をお開きいただきたいと思います。こ こでは概要版ですので少し区切って書いておりますが、おおよその範囲は本体の方の2 頁の1の下の一つ目のところに記載しているものでございます。また、その主なニーズ に関しましては、資料6の3頁目、主なニーズとその支援の事例ということで、代表的 な事例、ニーズの高い事例と支援の事例ということで、表にした形でお示しをしており ます。例えば吸引、呼吸器管理を必要とするもの、支援の事例といたしましては医療的 ケア、断続的な介護との組み合わせが必要であるというような内容でございます。  戻りまして資料3の方です。  2.全身性障害者等長時間介護を必要とする者に対する地域生活支援の現状について  こちらの現状につきましては、各委員やヒアリングの参考人の方から出された主な意 見を列記しております。  (地域での生活支援の現状について)  ・支援費、ホームヘルプサービスについては、一人あたりの利用時間に地域格差があ るほか、サービスの内容ごとに大きな差がある。  ・医療的ケアを必要とするものに対する身体介護は、生命維持を担っており、日々介 護内容に変化がある特殊な介護である。  ・全ての全身性障害者が24時間の支援が必要とは限らない。また、知的障害者(強度 行動障害者)の中にも長時間の支援が必要な者もいる。  ・全身性障害者の持つ障害は、言語障害と様々な複合的要素があり、一人暮らしの場 合、障害が軽度でも、長時間の介助が必要なものもいる。  (施設等の利用者の現状について)  ・療護施設入所者は、高度な医療、手厚い看護を必要とする者か、地域での生活支援 体制が整っていないため、仕方なく入所しているものであり、地域生活に移行する場合 の不安は、市町村の受け入れ体制ができていない、住宅の保障がない、家族への負担を かけたくないという理由があるというアンケート調査の結果もある。  3.全身性障害者等長時間介護を必要とする者に対する支援の主な課題と今後の対応 について  (地域での生活支援について)  ・医療的ケアを必要とするものや、言語障害等によってコミュニケーションに困難が 伴う者については、長時間同じ介護者が支援する方法の検討が望まれた。  ・障害者が地域で暮らすには、家族から独立して生活をする支援体制が不十分である との指摘があった。  ・重度障害者の生命の維持とともに、家族の介護疲労の軽減が必要で、習熟したホー ムヘルパーが家族と同様の長時間介護を行なうこと等により、家族が休養をとることが できるような仕組みを検討する必要があるとの指摘があった。  ・地域生活を行なうにあたり、どのような居住形態が必要か議論することが望まれ る。  ・就労、日中活動、緊急サービスや緊急時以外にも必要な時に呼べる待機ヘルパーを 用意するなどの仕組みを考える必要がある。  (施設等利用者の地域生活移行について)  ・自立生活体験室等を使ってサービスの試行的な利用を行い、初回のアセスメントは ピアアセスメントで行なった上で、自分のニーズを把握しながら支給決定を行なってい く、体験的自立のための支援費利用を制度化し、従来のアセスメントを越える公明性を 持たせる必要がある。  ・地域生活への移行は、地域生活の体験や情報提供、家族や施設の情報提供をしなが ら自立しやすい環境を作っていくこととエンパワメント支援が必要である。  ・施設の役割については、これまでのサービスを充実させる役割と、地域移行をサポ ートする役割の二本化が必要である。  ・施設で暮らしている障害者が地域生活での生活を希望した場合、徐々に地域に出て 行けるようなシステム、応援体制が必要である。  ・施設入所者が自立生活体験室や外出体験をするための支援費を受けられるよう、時 間割で施設訓練等支援費と居宅支援費をトレードオフする仕組みが必要である。  ・一部の自治体に利用者が集中することを避けるため、障害者の出身地の自治体に負 担を求めるような方策をとる必要がある。  (人材について)  ・医療技術やコミュニケーション技術といった特殊技能があるヘルパーには訓練期間 が必要で、介助に習熟するまでの時間がかかるので、新旧のヘルパーが並行して入る時 間を必要なだけ併給することを検討する必要がある。  ・医療的ケアのニーズがホームヘルパーが准看護師の資格をとる事例があり、看護資 格を義務づけずに、医師の実習によりヘルパー資格でも可能とする必要がある。  ・介護者の選択は、障害者自らが介護者を採用、教育、コーディネートしたいという ニーズと介護者を教育し管理できる事業者を選択するというニーズがある。  (制度の工夫について)  ・パーソナルアシスタンスを希望する障害者に対しては、介護者と直接契約を結ぶこ とができるように、介護費用を本人に支給するダイレクトペイメントなど、障害者の自 立性や自主性を尊重する新しい仕組みを尊重する必要がある。  ・地域生活を送る上で、自立生活プログラムやピアカウンセリングといった当事者に よる精神的な支援、地域生活へのノウハウ支援、当事者が支援するセルフヘルプ等の支 援を制度に仕組めるか議論が必要である。  ・障害者と高齢者とでは違いがあり、障害者は自立と社会参加することが大切であ り、高齢者と意識やニーズが違うので、障害者の場合は自立と社会参加をどう捉えるか という視点での議論が必要である。  ・在り方検討会としてケアと自立の概念を定める必要がある。  (サービス利用にあたっての諸課題について)  ・ケアマネジメントは一般論としては必要だが、単にケアマネージャーと言うと介護 保険制度における介護支援専門員が実施するケアマネジメントと同一視されるので、ケ アマネの内容を十分吟味し、セルフマネージドケアをふまえた生活支援の目的を確立す るケアマネジメントの検討が必要である。  ・介護時間や介護費用の認定は、本人の障害状況と生活希望に沿ったものを基本と し、市町村が要否決定を行なう場合には、本人と市町村が協議して、障害者のニーズを 組み入れることが必要であり、問題が生じる場合は、障害者、障害当事者団体や地域福 祉団体を交えて、本人と市町村が協議して決定をする仕組みや障害当事者が含まれてい る権利擁護機関の充実についての検討が必要である。  ・現在の勘案事項におけるアセスメントの現状のアセスメントツールの中で、利用者 にとっても最もニーズを伝えやすいツールであるのでこれを残すこと。  ・ケアプランづくりを義務づけられない支援費制度は利用者にとって使いやすいもの となっている。また、現在の勘案事項による支給決定は全身性障害者のニーズを反映で きる適切なものである。  ・支援費制度は制度である以上、市町村が支給を決定している。支給決定において は、当事者の希望を尊重しながらも、どう支援が必要か、その必要なサービスの質や量 に客観性があるのか、客観性のある物差しづくりについての検討を要する。  ・支援の在り方、サービスの在り方論は重要であるが、一方、資源は有限であるた め、どういう支援が障害者には必要で、そのためにはどのぐらいの費用が必要なのかに ついて、国民一人一人が納得し得る社会的な合意が必要である。以上が諸課題と対応に ついての主な意見でございます。  江草座長  ありがとうございました。それでは高橋先生からお話いただけますでしょうか。  高橋委員  この作業班は三回ございましたが、そのうち一回はヒアリング等がございまして、い わゆる中身を詰めて意見が一致したという、そういう形での議論の整理というよりは、 それぞれの委員の皆さんが発言をしたことを重要と考えられるものについて列挙したと いう、そういう形で整理をさせていただいたということをお断りをしておきたいと思い ます。  とは言いながらも、資料3で書きましたように、全身性障害者等長時間介護が必要な ものの主なニーズについてということについては、これはほぼ議論の整理がついたのか なという、そういう印象は持っております。その上で様々な議論が行なわれ、また4人 の皆様にお越しいただいたヒアリングは、私は大変充実したヒアリングだったと思って おりますし、とりわけALSの患者さんをサポートしておられる先生の方から詳細な資 料をお出しいただきまして、現状の課題、問題点等が非常にクリアに出されたかという ふうに思っております。  これは資料の一部が8頁の方に出されておりますが、そういうことを含めましてやは り全身性障害者等長時間介護が必要な者に対する支援の在り方をきちんとこれから充実 をさせていくということが前提の上で、しかしそういう方々がどこにどのぐらいいらっ しゃるのか、そしてどのような支援を必要とするのかという見通しというか、そういう ものについては今後、これは私の個人的な見解でございますが、きちんとした精査をす る必要があるのでないか。  そしてその上でやっぱりきちんとした支援体制を地域で、地域生活支援という、この 趣旨を活かした形で確立をしていくための手立て、そういうものをどういう形で充実し ていくかということについては、私はより詰めた議論が必要だと思いますので、これは 検討会の方で是非詰めた議論が必要なのかという、これは私自身の個人的な見解でござ いますが,そういうことをこの作業班に参加をしていて感じた次第でございます。な お、それぞれの御立場からの御意見が多々あろうかと思いますので、委員の皆様の方か ら是非積極的に補足発言をしていただけたらと思っております。  江草座長  それでは委員の先生方から次々と御発言いただきます。まず中西さんからお願いしま す。  中西委員  この作業班はやっぱり最初からアセスメントの問題とか、時間的な制約の問題とか、 そういう問題が背景にあったわけですが、我々としては国が出された客観的な評価基準 だとか、サービスの効率性だとか、ケアマネジメントによる合理性とか、こういうもの については、そういうものはあまり強調することによって利用者のサービスを制限して いくことにならないかということで、それに対する問題提起が最初行なわれたわけで す。  我々の生活を支えていくサービスをどのようにニーズ把握していくかということは重 要な問題ですが、最初からアセスメントツールを使い、サービスの上限を決めていくよ うな形では真のニーズが現れて来ないんですね。やっぱり我々は支援費制度の中で生活 実態がもうでき上がってきているわけですが、やはりそれをきちんと把握して、全身性 の人でどのような時間が必要になってきているのか、それを積算することによって全体 の国のニーズというのが把握できるわけですから、今までは全体的なニーズ把握を怠り ながら政策設計をしてきたというところに問題があって、そこではいつまで経ってもフ ラストレーションが残っていく。そこで総パイ10万時間必要なんだというふうなことで 市町村単位に分かってくるというふうになってくれば、それを10万時間、1年に1万時 間ずつ予算をあげていけば10年で達成できるというような目標値も設定できるわけです から、我々はそのような具体的な政策設計を望んでいる。そしてまた実際の今地域で暮 らしている皆さんのニーズが行政側の上限設定によって消されてしまわないような政策 運営をしていただきたいというのが基本的なみんなの委員の意見だったと思います。  江草座長  この全身性障害者と長時間介護が必要な者に関する支援の在り方作業班の委員の方々 は今日はほとんど御出席でございますので、どなたからでもお話をいただければ有り難 いと思います。谷口さんからどうぞ。  谷口委員  やはり私もあの作業班でも言っておったのですが、もうちょっと全身性障害を持つ人 たちの生活実態をより詳しく調べる必要があるのではないかなと思っています。24時間 介護というのが本当にどのぐらい必要なのか、どういう方にとって必要なのか、そのス ケーリングというのがやっぱり必要なのではないかな。その本人のニードも確かに、こ れも中心であることは間違いないのですが、それを制度化させていくためにはやっぱり スケーリングが必要になってきて、そのスケーリングを出すための努力をもうちょっと する必要が我々にはあるのではないかなと思っております。  江草座長  今回の御意見の中にそれが反映してあるわけですね。それでは次は大濱さんお願いし ます。  大濱委員  今のスケーリングの件に関連してですが、中西委員、谷口委員の話とも兼ね合いがあ りますが、客観性やその物差しづくりについては、非常に微妙で難しいと思います。例 えば私と同じ障害を持っていても、生き方というのは皆さん違うわけで、私の場合です と非常に社会参加が多いのですが、一方では社会参加はあまりしたくない、家にだけい たいというような障害者もいるわけで、その辺の物差しづくりというのは障害者個々で 大きく違っていますので、非常に難しい。  特に医療的なことが入ってきますと、もっと複雑に絡んでくるわけですね。例えば頚 髄損傷ですと風邪を引いたらすぐに肺炎になってしまうとか、そういう特殊な医療的な ケアが入ってきたり、貧血の度合いというのは皆さん違うわけです。あとは痛みの問題 というのは全然見えなくて、全く違うわけです。ですからその障害特性によって違って くるので、その客観的な物差しというのは作るのがなかなか難しいのが現状です。では 個々人にどれぐらい聞いたら作れるかなど、その現状というのは、今、谷口委員の方で 精査すると言われましたが、かなりキメ細かい精査が要るのではないかというような感 触がしております。ですからいわゆる客観性とか公平性とかという、一口に言葉で言い 表せない部分というのがものすごく多く、なおかつ地域生活を皆さんしているという現 状がありますので、その辺はよく理解していただきたいなと思っております。  江草座長  そうですね。分類というのはとても難しい。また、することがいいのかどうかわから ない。一見同じように見えるけれども、全く違うということだってありますよね。しか もその人の生きることについての考え方の違いというのもまた大きいでしょうし、これ は全く外から掴めないんですよね。とは言うものの、何かのことをやらないと千差万別 ということでは悪い。だったらどうするかということもやらなきゃあいかんのだろうと 思うんですが、これはまさにこの在り方検討会の一つの原則であるとともに、これから 具体的な展開ということで、いつまでも同じことを繰り返すわけにはいきませんが、何 らかの形でやらなきゃあいけないんだと思います。じゃあ太田委員さん、どうぞ。  太田委員  この問題は本当にこれらの障害者施策を展開していく上で重要な問題でありますし、 また非常に難しい問題だというふうに認識しています。私は20年前、10年前、この10年 間の間に全国の養護施設を30〜40カ所も見て回ったことがありまして、その中で人生に 展望も希望もなくそこで暮らしている障害者の姿を間近に見て、また清瀬療護院という 施設で12年間暮らさせていただきまして、同じ仲間と共にそこの人たちがどういう思い で生活しているかということを少し肌身で感じてきました。より多くの人たちがそうい う場ではなくて、地域生活の中で当たり前に暮らしていけるような施策を何とかと思っ てこれまで運動をして来ました。  そういう中で財政状況の問題もあり、一方では24時間といわれている介護を受けてい る人たちの生活をどう保障していくかという問題もあり、いろんな要素が絡み合い、そ こから問題が浮かび上がってきています。やはり一言では言えないことなんだろうなと 思います。  また、これが同時に日本の障害者福祉がノーマライゼーションという理念を目標とす るならば、やはり着実に進めていく必要がある。着実にどう進めていくかという方法論 を理想と現実をやはり行ったり来たりしながら進み、また市民の人たちに理解を得るこ ともノーマライゼーションの思想であると思いますので、そういうことも必要だと思い ます。  私が作業班で印象に残っているのは、一つには施設でお暮らしの人々が家族のことを 考えて自分たちは施設にいるんだというようなお話をされたことが一点と、今お話があ った客観性の物差しの議論が交わされたことです。客観性というのは難しいとは思うん ですが、一般論としては私は社会制度としては社会政策である以上は客観性がなき政策 はあり得ないという立場もとります。ただ、今ここで客観性という言葉を用いる時に、 それは障害者には権利と生活を抑制するための客観性というふうな動きというふうに捉 えかねない、それは財政問題があるからです。そういう複雑な問題を抱えて議論をした いというふうな認識を持っております。以上です。  江草座長  ありがとうございました。先程の大濱委員さんのお話と同じではないのですが、かな り人それぞれの客観性ということから見ると、考え方があるんだろうけれども、そう客 観視するだけでもうまくないんじゃないかというふうに私も今お話を聞いて受け止めま した。さて、次に板山先生からお話を伺いたいと思います。  板山座長代理  私は支援費制度全体を通して、公的な情勢施策としてよくもこれを作ったものだと、 いささか行政に経験があるものとしては驚いているんです。市区町村の実施は極めて区 々、市町村の窓口で支援費の支給は決定はするけれども、そのサービスの中身、程度等 は事業者と当事者の話し合い、契約の中で成り立っているという姿、市町村間に大きな 差は出る、実施が区々になる。様々なケースバイケースで多様な実施がなされている。 これは当然の結果だと思うんです。今度財政的にも破綻をきたすようなことになっても 無理からぬ制度設計の上に私は準備が不十分だったという感じを実は持っているんで す。今回の検討を通してもそういうことをしみじみと感じます。  生命は地球よりも重い、たしかにそうでありますから、全身性障害者等長時間の介護 を必要とする人々、医療的なケアも必要とする人々、その人々が求めているサービスに 対して適切に対応していく必要はあります。ありますが、同時に一般的に制度を運営し ていく場合におけるサービスの基準、そういったものは当然にあってしかるべきだと思 うんですね。物差し、サービスの程度を決める、そういう客観的な物差しというのは作 られるべきだと私は思っています。そしてその中で本当に必要なニーズに対しては、特 別基準というふうな仕組みで応えていく努力を行政的には仕組むべきだと思っている、 そうでなければ予算の積算にしても、ニーズの対象者の把握にしてもほとんど困難だ と、私は思うんです。  ただし、24時間介護を要する人々というのはそんなにたくさんあるものではない。そ れで私はこの間ちょっと申し上げたんですが、データも出していただきましたが、私た ちの生活費は月に大体1人平均すると30万から40万ぐらい、勤労者の賃金もそのぐらい だ。24時間介護をもし今日の支援費の限度額でこれをカバーするとすれば月に140〜50 万円のお金がかかる。しかしこれが本当に必要なら出すことはあっていいと思う。現に 重症心身障害児施設等では月に150万円を越える費用が使われている。身体障害者の療 護施設でも40万円を越える、50万円近い経費が出されている。特別養護老人ホームの介 護保険でも月36万から40万円のお金が出されているわけでありますから、それはそれぞ れのニーズに応じて適用されることは私はあっていいと思いますが、行政制度として仕 組みを作っていく上では一応の物差しがあり、標準的サービスの限度の時間、金額等が 設定されてしかるべきだと思うんです。  そういうものをどういうふうに仕組んでいくか。生活保護の最低生活保障水準が長い 長い歴史を積み重ねて研究に研究を重ねて作られたように、長時間介護のニーズに対応 する限度額、サービスの仕組み、こういったものは作られていくことについて検討する 必要が私はあると思う。そういうものをしっかりと作り上げる努力を別途調査費等検討 して、続けてやっていくことをむしろ提案をしたいと思います。  それがなくてこんな程度の検討の中で、現実に必要だからみんな出せという関係の中 で作られていく行政施策というのは客観性を持ち得ないし、一般的市民の支持が得られ るかどうか、私は大変に不安であります。今回の作業班のレポートは各論併記というこ とになったのも、そういう前提としての調査研究データ等の不足があるからではないか なと感じながら、委員としては参加しておりました。これからのさらに引き続いての検 討の中で一つの方向が見いだせたらなと、こう思っています。  江草座長  ありがとうございました。それでは中西さん、どうぞ。  中西委員  まあ障害者に使う費用が高いか安いかというのは、これは政策の問題ですね。官僚が 決めることではなくて、国家として何を重要視するかという問題から来るわけで、重度 障害者のことをやることが国策としてどういう意味を持つかというと、「私が健康でも もしも事故に遭ってああいう重度障害者になったとしても、こういうふうに生活が保障 されるんだ、呼吸器をつけるようになってもこういうふうに施設で暮らさずに地域で暮 らしていけるんだ」というふうに国民の一人一人が思った時に、「自分は事故に遭って も呼吸器をつけても安心じゃないか、この日本で暮らしてきて良かった」と思って、障 害を持たない人たちはきっと今の生活にもっと基盤の安定した安心感を持って暮らせる ようになると思います。  スウェーデンが実際そうでした。こういう長時間の介助の人にお金を出すのは無駄 じゃないかといった議論があった時に、それを説得することはできないんですね。自分 の給料と比べてどうかと言われたら、それは説得出来ない。でも実際にその人たちが地 域で暮らし始めた時に、その姿を見て、ああ安心じゃないか、あんな重度の人が暮らせ るなら自分も安心じゃないかと言って、国民の意見がガラッと変わって、もうそのこと に対して疑問を呈する人は1人もいなかったということですから、これはやってみな きゃあわからないんですね。だから国民を何とか納得する方法とかおっしゃるけれど も、その前にまずやって御覧なさい。やってみてから国民の反応を考える方がいいと思 います。  我々も何も策を持たないわけではありません。例えばこの資料6の5頁の中には、施 設から地域への移行については、自立生活体験室等を使ってサービスの試行的利用を行 なって、初回のアセスメントはピアアセスメント、障害者の同じ程度の障害を持つ人 が、あああなたの場合はこのぐらいかかるんだ、僕の場合はこのぐらいの時間で、太田 さんと同じだったらこのぐらいの時間だねと、これはおおよそ適用可能なんですね。  ですからケースワーカーさんも市町村の中では窓口で、まあ太田さんがこのぐらいの 時間ならあなたもこのぐらいの時間だね、ああ太田さんより私の方がどうかというふう な比較で時間決定を今してらっしゃると思うんです。これは非常に客観性を持ついい方 法です。特に身体障害者の当事者自身が同じ障害を持つ時に、ああ僕よりももっと活発 に動くのならもうちょっと必要だよねというふうなことまで、そこでアセスメントでき るわけです。そういうアセスメントをカナダではオンタリオ州で使っているわけです。 ピアアセスメント方式で自分のニーズを把握しながら支給決定を行なっていく、実際自 分のニーズを体験室なりで暮らしてみないとこれはなかなかわかりにくいので、そうい う方法が一つです。  それからまとめの方の4頁には制度の工夫についてで、パーソナルアシスタンス方式 のことも触れています。これは今までの家庭内や移動外出だけの介助だけではなくて、 雇用の場、就労の場含めてもう全部を一括してみようよ、ですから今は就労してしまう とこのホームヘルプサービスは使えないとか、通勤通学に使えないという規定がありま すから、仕事ができるようになったのに通勤手段がないから支援費制度では仕事に就け ない、それから学校に行こうにも家族が送り迎えしてくれないから行けないというよう なことで、教育の機会も奪われている。就労の機会も奪われているというふうなことに 対して、やはりホームヘルプサービスはもう限界だ、パーソナルアシスタンスサービス として就労の場、雇用の場も含めて自宅から継続してサービスが使えるような方法を考 えなきゃあいけないだろう、そういうふうな大幅な制度変革を今しなければいけないん だろうという提案なんです。厚労省だけでなくて、文科省も労働省も一体になったわけ ですから、できないことではないと思います。  それでその時に介護費用を介助者と直接契約を障害者が結んでダイレクトペイメント をしていく。中間業者が介在しないわけですから、当然費用単価も安くて済む。我々は 長時間介助が必要な人に、じゃあ自分でマネジメントできる人は自分でやってもらって 中間業者は要らないじゃないか、本人同士で介助者を選んで、そこでそのお金について は他の口座には振り込めない、もう介助者の口座にしか振り込めないという形でイギリ スのダイレクトペイメントはやっているわけですが、そういうふうに公明性を持たせる こともこれも可能である。東京都で我々がダイレクトペイメントをやろうとして調査研 究をした時には今の法制上可能である、バウチャー方式によれば可能であるというふう に東京都も言っているわけです。それは可能な範疇なので、財源問題を言われるならば 我々の提案を考えて欲しい。  それから全体のまとめじゃない方の施設との対比金額表が出ているんですね。資料6 の8頁ですが、ここでは例えば全身性長時間介助の必要な人で、ALS等の人がその病 院で暮らす場合と在宅で暮らす場合とどっちが費用がかかるんだ。どっちみちその人は 殺すわけにはいかないんですから、在宅が嫌だと言えば病院に行くわけですね。病院に 行った場合は下の金額です。これは12カ月で1,832万かかります。それプラス支援費制 度がこの中で764万かかります。在宅で長時間介助をやるわけですから、これは日常生 活支援の単価の安いのでおそらくやるでしょうから、1,566万ということで、上限から 言えば在宅にいる方が安上がりです。そうするとどっちにいても同じだけかけるのであ れば、本人が充実した生活ができる在宅でやらせてあげた方がいいんじゃないか、そう いう論拠で我々はこの金額の問題は国民への説明も可能だというふうに思っています。  江草座長  ありがとうございました。それでは芦田さん、お願いします。  芦田委員  東京都においては全身性障害者の日常生活支援のサービス提供時間は平成15年度、昨 年度は1人当たり月242時間になっておりまして、全国平均の数字を大幅に上回ってお ります。これは平成9年度から全身性障害者の介護人派遣事業というのをホームヘルプ サービスの枠内でやってきた、その積み重ねの到達点であろうというふうに考えていま す。そういう中で今日常生活支援を受けている方は1,100人いらっしゃるのですが、た くさんのサービス提供事例を積み重ねる中でサービス提供時間数の決定の考え方等も経 験則によって積み上げてきたという経緯が、それが今の到達点になっているのだろうと 思っています。  ただ、本来サービスの提供時間数というのは個々人の障害程度等に基づいた必要な時 間数が個別的に、また合理的に決定されるべきであるということはその通りですので、 実際には区市町村の意見としては、そういういろんな積み重ねの中で今こういう到達点 になっているんだけれども、やはりもう少し客観的なサービス把握の手法とか考え方、 そういうものも必要ではないかという意見もやっぱりあることは事実です。そういった ことも踏まえて障害程度に応じた算定の基準だとか、見守りの概念というのは、もう少 し明確にする必要があるのではないかというふうに考えています。  江草座長  それでは森さん、どうぞ。  森祐司委員  一応高橋先生がお話になっておりましたけれども、三回でこういう大変重荷の仕事を 討論できたということは大変貴重だったと思います。基本的に言いますと、いわゆる全 身性の障害者、長時間介護の必要な人たちの実態といいますか、なぜ24時間必要かとい うところにだいぶ論議がいったんだろう、医療の問題も含めましてね。それともう一つ は、私は特にお願いをしたんですが、いま施設解体論問題も出てきておりますが、療護 施設の人たちからの意向、それも聞いていただいたということで、よかったなと思って おります。  ただ、これが目的だからしょうがないのかなと思ったんですが、あまりにもいわゆる 24時間の人たちの保障の問題で、いわゆるホームヘルプの問題が中心になってしまっ た、やっぱり24時間なり一生生きるためには、決してホームヘルパーだけの問題ではな かったわけでございます。そういう面でもう少し時間があれば、その方も出てきただろ うという気がしております。  もう一つは、先程から出ておりますが、いわゆる客観的な物差し、基準、これについ てはいろいろ出てきたわけですが、煮詰まった、こうなんだなというところまではいか なかったんだろう。それともう一つは、やはり財源問題も出てきているわけですね。お そらく初めてかもしれませんが、この8頁のところにどのぐらいかかるというのは比較 になっております。  ただ、たしかあの時に板山先生の方から療護施設等についてはどのぐらいかかるんだ というような質問があったような気がするのですが、いわゆるそういう問題と、それら を含めてやはり財源的な問題というのはやっぱり通らなければならない問題なんです ね。だからそういう問題ももう少し踏み込みたかったなということもあります。しかし 我々が一応全身性に関係する人たちだけが集まって話をするよりも、やはりこういう大 きな舞台でやる時期に来ているのかなと、そういうような気がしております。その場合 においてはやはり障害という大きな枠組みの中から、どう地域生活を送るかという形 で、私とすれば精神障害者のことも含めながら話がまとまればいいなと、こう思ってお ります。以上です。  江草座長  ありがとうございました。一通り作業班の委員の先生からお話をいただいたわけであ りますが、ここまでまいりましたので、高橋先生お願いいたします。  高橋委員  大濱さんがおっしゃった通りニーズというのは個別的です。しかしながらやはり基準 というのは今までの悪しき措置時代の歴史がありますよね。それがありますから、要す るにキャップで押さえるという形で議論をする、それよりはやはり一つの目安、これは いろんなタイプがあり得るだろうと思いますが、そういうものを想定しながら、これは 今の仕組みが公的な資源を使っている仕組みである以上は、やはりある程度の総量に関 する合意を作らなければいけない。こういう生活をするのできちんと公的に支えていく ということに関する、私は合意形成のプロセスが非常に重要で、それはおそらく市町村 が主体ということになれば、市町村でもきちんと先程の積み重ねというのがその一つの 表現かと思いますが、そういうことを含めて、しかしながら一方で、やはり行政的な立 場から見るときちんとした予算編成という仕事をやはりやらなければいけないわけです ね。  そうするとそれが実態的なニーズにできるだけ近づけるような努力をするための道具 としてそういうものを使って、要するに上限を設定して、その範囲に収めるということ ではなくて、やっぱりニーズに応え得るような総量を獲得していくための道具として使 えるようなものはやはり必要だろうというふうに私は考えております。  そしてそれが基本的に言えば世論というか、これは世論というのは私は何も一般化し ているわけではございませんが、様々な人たちをやはり説得しなければこれは制度とし て成り立ちませんから、これはそれぞれの責任のある立場から言えばそうだということ で、そのためにも道具をやはり作っていただかなければ、多分そういう方々がいろんな 方々を説得するためには使えない。  それはもちろん当事者の方々が様々な手段を尽くしての世論形成をしていただく、こ れはまさに当事者などがこれまで切り開いてきた道であって、大変高く私は評価してお りますし、それと同時にやはりそれを執行する側でもそういうことをするための道具と してのものはやはり必要だろう。ただし援助は個別的、支援は個別的ですが、制度運用 ではそういうものがないと動かないんだろうというふうに私は認識しておりまして、し かしそれにしてはまだきちんとしたデータが少な過ぎる、これが本当に正直なところで ございます。やはりデータというのは先程中西さんがおっしゃった、個々の経験をふま えたデータということもありましょうし、様々な形でデータをとりながら、それを積み 上げていくということなしにはやはりそういう議論はできない、軽々に物差しというこ とではなくて、今後やはり大いに様々な議論をしていただきたいというふうに、この件 については私はそう感じております。以上です。  中西委員  個々のアセスメントをやらないと言っても、実態的にその物差しを作ればそういうこ とになっていくんですね。これは我々は経験しているところで、この予算の絡みでどう しても必要だという論はわかります。ですから我々も地域の中で市に対して来年、じゃ あ自立する人は何人いる、そしてこの人について1日8時間以上の人は2人だ、それで 予算を組んでおいてくれというふうにして8月に予算を提出して、それで翌年度の1年 の間に自立する人の予算を確保してもらうというふうなことをやるわけですね。  これは未来への予測ができなければできないですから、やっぱり当事者と話し合いな がら市町村が一緒に話し合っていくのが一番いい。それを突然じゃあ8時間の人が移入 して来た、でもそれじゃあもう予算がないから今年度は自立できないよというふうな話 になるわけですから、それはもっと公明性という以上の、市町村と我々との関連とか、 それができないといけないわけですね。予算というのはそういう問題です。だから前も って何か国がツールを作ってやればうまくいくというものでは、これはないだろうとい うことが一つです。  それから配分基準って今やってますよね。125時間とか、こういうふうに総量で、じゃ あ全身性の呼吸器をつけた人は600時間だとか700時間だとか、やっておけば125時間基 準が4人分必要なんだというようなことはもともとわかっていれば、それで市町村はお 金が足らなくなるわけじゃないので、今回の配分もうまくいかないのは、そういうふう な準備不足があったんだと思いますね。だからもっとニーズをきっちり掴んでいれば、 お金を配分した時にどこも足らないということは言わなかったと思う。  そういうふうな、だからこれは個人を規制することではないですね。だから我々は個 人を規制するような物差しは反対だ、だからそれは一人一人個人のニーズというのは国 が決めることも市町村が決めることもできなくて、本人自身しかこれはできないんだけ れども、我々がそれをより客観的にするためにはピアアセスメントという方法もある よ、このぐらいまでが限界で、これ以上個人の考えに立ち入って、あなたの生活はここ までにしなさい、外出は4時間にしなさいというふうな決め方をする類のアセスメント だと、やはり人間の成長を阻害するので、若い障害者の人たちが希望をもって生きれな くなるということで、皆さんにも御協力をいただきたいな。我々は我が儘を言っている わけじゃなくて、ただ地域で普通に生きていきたい、そして人生を全うしたいと思って いるわけで、それに皆さんが御協力をいただければ有り難いと思います。  小田島氏(オブザーバー)  今、中西さんからの話を聞いたんですが、やっぱり施設障害者もこれから地域に出る のに,じゃあ介護保険になったらどうなるんだということと、それからこの間も作業班 で僕が言ったことに対してのことなんですが、地域で出て施設から戻るということに関 してなんですが、僕たちはもう施設はなくなってもいいと思っているんですよ。地域で みんなで暮らせればいいんじゃないか。そのお金をどのぐらい国の方で出してくれるの かということで、支援費になったら逆に今度は施設が使えなくなっちゃって、じゃあ施 設の人は出られなくなったらどうするんだという、そういう問題もこれからあるんじゃ ないかなと僕は思っているんですが、そのあたり課長さんお願いしたいと思っているん ですが。  江草座長  それではまだ実はこの全身性障害者の作業班の委員ではないのですが、今日御出席い ただいております委員の方で何人かの方にはまだ御発言をいただいておりません。です からこの問題も含めて、過去の三つの作業班の問題、どれでも結構でございますから御 発言いただければ有り難いと思います。佐藤委員さん、大森委員さん、そして村上さ ん、室崎委員さん、早崎委員さんという順番ででもお話をいただいたら思います。それ では佐藤さん、どうぞ。  佐藤委員  先程から、これは今直近の話題が全身性障害者等長時間介護が必要な方の支援の問題 でしたが、多分どのような場合でもさっきから議論の中心になっている客観性というこ とがあるんだろうと思います。これはやっぱりサービスが、これは再配分の問題だと思 いますので、給付と負担という関係の中で議論がされるべきことだという意味で、客観 性というのはそういうことなんだろうというふうに思います。何をもって客観性という かというのは、多分いろいろ議論を尽くしてもなかなか出てこないだろうと思うし、お っしゃるように人はみな全て多様に個別的に生きているわけですから、そう簡単に割り 切れるような話ではないと思います。  そこでシステムとしてものを考えた時に、私はこの検討会が立ち上がった時から、自 分が現実に地域で事業をやっていて感じている問題点として、一つ間違えると支援費制 度、特に居宅生活支援費に関してさえも実際には、かつて村上さんが一人施設というよ うな表現をされましたが、まさに紐付きで囲い込んでいくというような危険性が、私自 身事業者としてこうやれば相当うまくこの仕事は運営できるということを感じていて、 やっぱりそこをどう排除するかということでなければならないだろうと思います。  先程中西さんからスウェーデンのお話がありましたが、私は不勉強でスウェーデンの ことはろくに知りませんが、私の知る限りでは、確かに非常に多くの費用が拠出されて いる、だけど日本のようにそれが民間の事業者に委託されてやっているというのではな くて、もちろん支援費ということではなくて公的サービスとして行なわれているわけで すが、市町村の行政の主体性と責任と、そしてマンパワーも、これは市町村によってか なり違うところもあるらしいですが、原則としては公的なセクターがマンパワーの管理 もマネジメントもするというようなことで、つまり投入されたお金が適切に利用者のと ころに届くような仕組みということに関して非常に神経質になっていると思うんです ね。  私は、この支援費制度が一つ間違えると非常におかしなことになる、自分が事業者と して感じたのは、かなりのお金が投入されながらも、それが利用者の生活の広がりとか 向上につながるのではなくて事業者を潤してしまう。この歴史は施設の福祉の中では時 々問題にされてきましたが、総じて見ると施設にだってたくさんのお金が投入されてい るけれども、一番幸せになったのが障害者でなくてむしろ経営者一族だった。30年の歴 史を見れば30前から同じ部屋にずっといる人がいるけれども、施設経営者は30年前とは ずいぶんと違う世界を手に入れることができたというようなことがあったりして、ここ はやっぱり必要なものを投入するということに関して言うと、誰が一番幸せになれると いうか、誰が一番利益を受けることができるのかということを担保する仕組みがない と、それは多分給付と負担の関係の中で社会的な理解を得ることができないのではない かということを一つ思いました。  それからもう一つ、先程予算の組み方の話の時に、ちょっと私の聞き間違いかもしれ ませんが、中西さんがおっしゃったのは、例えば来年2人地域で生活する人がいるから これだけ用意しておけというふうな形で予算を組んでいくとおっしゃいましたが、その 町ではといいますか、中西さんの団体とか、そういうところを通っていかないと地域生 活ができないということ、そういう聞き間違いではないでしょうか。私はやっぱりそこ も多様だと思うんですね。  ピアアセスメントだとかセルフマネージドケアだとか、あるいは障害者自身が介護人 を雇うというような、そういう提案はそれは一つ一つ積極性があると思うんですが、そ れはやっぱり窓口の一本化を意味するものではないだろうというふうに思いますので、 その点、先程の表現が雑でそういうふうに私に聞こえてしまったのだったら訂正してい ただいてもいいかと思うんですが、まあそんなことでとにかく広範な人々が、高齢者の 介護もこれからどんどん費用がかさむ時代になっていくわけでしょうから、本当に持続 可能な制度として仕組みを考えていくためには、時間はかけてもよいのではないかと思 いました。  大森委員  全身性障害者のこの作業班の御報告に限っていくつか申し上げたいと思います。より よく理解してできればいい仕組みを作っていきたいという観点から何点か単純な質問と いうか疑問でございますので、この場でお答えいただかなくても今後の検討の時にはっ きりしていただければ結構だと思っています。  まずこの資料3の方でまいりますと1頁の一番上の○ですが、ここの考え方について 疑問がございます。これはサービスを利用者が自己選択、自己決定するということはよ くわかります。しかしニーズそのものも全てのニーズが利用者の自己選択、自己決定し たものでなければならないというのは、ちょっと私は理解しにくいんです。何か決定し たニーズに基づいてサービスも自己選択、自己決定しますので、そういうことになるん だろうか。そうするとこのニーズについてはもっぱら利用者が全て決めるということに なるので、これは社会の仕組みとして相当難しいことをお考えになるんじゃないかと、 ちょっとここがはっきりわからないものですから、そこを少し明確にされたらどうかと いうのがまず第一点目です。  それから先程の中西さんの御発言である程度分かったのですが、3頁の真ん中のとこ ろの例のピアアセスメントで行なった上でという、そこのくだりですが、この従来のア セスメントを越える公明性を持たせるという、この公明性という概念も最近あまり聞き 慣れない言葉でして、公明党という政党が登場してからあまりこの概念は使わない。半 分冗談ですが。多分ここで言われている、普通に考えるとアセスメントはできるだけ公 平で公正で透明度が高い、他で仮にもう一度検証してもきちっとそういう決定の運びに なるという、そういう仕組みのことを普通は言うので、アセスメントを考える場合に は、このように考えることが本当に公明性を担保することになるんだろうかというのが 私の素朴な疑問でして、少しそれも検討してもらいたいなと思っております。  それから4頁の、これはどういうふうにお考えになっているかも疑問ですが、4頁の 上の段落で一部の自治体に利用者が集中することを避けたい、そのためには障害者の出 身地の自治体に負担を求めるんだという、そういう方策も考える必要があるというので すが、これは仕組みとして考えるのは相当難しくて、一般的にある自治体の経費がかさ んだ時には、それに応じてその自治体にある費用負担の支援をするという意識を作り出 すことはそんなに難しくないと思うんですが、障害者の出身地の自治体に負担を求める というのは、これは制度設計上も地方自治の仕組みとしても相当難しいので、これをも し推進されるならばどうやって可能になるかということをある程度おっしゃいませんと 簡単ではないかと思っています。  それからその同じ4頁の下の段落で、これも相当重要なことをおっしゃっているので すが、パーソナルアシスタントを希望する障害者の場合には、介護費用は本人に支給す るというダイレクトペイメントは先程中西さんが主張されたんですが、これも結構難し くて、私どもが高齢者の介護保険制度を設計した時に、これと全く同一ではございませ んが、本人と一緒に暮らしている家族に一定の介護費用の現金を渡して、家族で介護し てもらったらどうかという議論をした時に、本当に家族はそのお金を使うだろうか、場 合によったら家族を依然としてそこに拘束しつづけるんじゃないかというようなことも ございまして、そのことと違うことが書かれているのですが、本当にこの仕組みが望ま しいかどうかについても少しまだ検討の余地がありそうだという素朴な疑問を持ちまし た。  次は5頁の上の二つ目ですが、障害者と高齢者の違いをことさら際立たせ過ぎている と思っています。介護保険の方も相当の要介護を必要とするような高齢者というのは、 高齢障害者の話でして、ここもあまり違いを議論されない方がいいのではないか。ここ で言ってる高齢者の中にも自立とか社会参加ということを含めて、新しい生活スタイル を築いていきたいということが相当データはございますし、あまりここを強調しすぎて いるんじゃないかという印象が私にはございます。  それから最大問題は5頁のその下のところでして、ケアマネジメント、サービス利用 にあたっての諸課題についての下のところでございます。・の二番目です。すぐに私が 理解できない、この仕組みは要するに介護に要する時間とかそれに伴う費用の決定、要 否の決定だけじゃなくて、その決定を本人と市町村の協議でやれ、協議が整わない場合 は各種の団体が支援する、これは協議で決めるわけですから、政治過程になるわけです よ。本当にこの仕組みでやると結局政治過程になりますから、たまたまそこの担当者の 意向、あるいはそこの協議のプロセスにおける力関係で決まるようなことの余地を残す んでね。  介護保険を作った時は我々はその仕組みをどうやって避けるために要介護認定制度を 作ったかと苦慮したわけです。したがってこの考え方は真っ向から要介護認定等を否定 する考え方だというふうに私は、この字面だけで言ったら読めるんです。ただし、一言 言いますと、できるだけ障害者の皆様方のニーズに即したように介護の時間とか費用の ようなことが決められる仕組みを作り出すことに別に反対はしていませんが、市町村と 直に協議をする。この市町村とは何者なのか、第三者的な要介護認定機関とするのでは なくて、市町村と協議するというのは、これはもう形を変えた措置制度に戻る話でし て、片一方で市町村についてこれほど不信感が募っていながら、片一方でこのタイプの 安心できる市町村をどうやって作れるかということなしにこの議論は成立しないのでは ないかと思っていまして、ここももう一度議論を重ねてもらいたいというのが、他にも たくさんございましたが、一応私が気がついた以上でございます。今後議論を深めてい ただければと思います。  江草座長  それでは次は早崎委員さん、お願いします。  早崎委員  今の大森先生のお話は感銘を受けましたが、私も気になっておりましたのは資料3の 6頁の一番目のところと、その前にもそうなんですが、今までいろいろと議論をしてお りましたケアマネジメントシステムが必要かどうかというようなことでは、大前提に介 護保険ではシステムがあるにも関わらず、この支援費制度にないために議論が起きてい るというふうに認識していたのですが、厚生労働省があえてそういう認定機関のような ものを、第三者的なものを設けなかったというのは、ここにありますケアプランづくり を義務づけられない支援費制度は利用者にとって使いやすいものになっているというの であれば、障害者の方々からすると介護保険のように第三者がああだこうだということ を言わなくてもいいのではないかという制度ですよというふうに言った方が、逆にすっ きりするんじゃないかな。  私たちはそうだと障害者の権利なり生活というものが、今までの措置制度からすると 守られていない部分があまりにもあったために、第三者的に認定をするというようなも の、また生活設計等を一緒に作り上げていくために、そのケアプランという意味がそこ にあるのではないかというふうに認識していたのですが、もしこういうものが本当であ れば逆に要らないんじゃないのというふうにも思うんですね。  ですから私としてはそういう部分も、はじめからずっと私は聞かさせていただいて、 私の生活実態からすると、お隣の中西さんが発言されるあの内容というのは、ある意味 からすると非常に新鮮に聞こえるんですね。今まで私自身になかった内容がどんどん出 てきますので、障害者の生き方、障害者の考え方というものはこういうものなんですよ という発言をされておりますので、我々からすると、いわゆるマネジメントするという のは専門的に資格者がというようなことで、一緒に計画をたてていきましょうかという ふうにいうと、お節介はしなくてもいいというような面も聞こえてきますので、それな らばマネジメントの必要な人とマネジメントの必要のない人がいる、プラスやはり認定 というものが不平不満があった時に県に不服申し立てができればよろしいんですが、そ れは結果的にはまた実施主体は市町村ですから、それは市町村でよく協議をしてくださ いということになると、決定する機関に文句を言っても、決定するところに言うわけで すから、発展しないという問題が起きますでしょう。  ですからそういう意味からすると、非常に適切なものであるという言い方と、逆に違 う面もありますよということで、議論がされてきたと思いますが、私自身の場合はマネ ジメントシステムを作る場合がいいんじゃないんですかというふうに思っておりました が、反面、こういうものもあるのであれば、こういうものをどう残すのかというふうに 議論をしていただければありがたいなと思います。  もう一つ、介護保険の方で実際非常に困っておりますのは、ケアマネジャーがいるが ために逆にやりにくいというのがありまして、例えば在宅支援というのは当事者が何々 をしたいと言った時にわざわざケアマネージャーでないと、いわゆる居宅のためのプラ ンを作らないと調整ができないからというものがあるのですが、例えばホームヘルパー がサービス提供責任者としてその方の生活、一体的に計画をもってやりましょう、それ がよく出ておりましたヘルパー自身がマネジメントできないかということと一体的な考 えですが、僕はむしろ障害者支援にはマネジメントがないのであれば、現場でのサービ ス機関と利用者とがマネジメントしましょうという方がいいのではないか。わざわざ別 のものを作るものだからややこしくなるというふうにも思いますので、その面も一度お 考えいただければと思います。  江草座長  ありがとうございました。それでは村上さんどうぞ。  村上委員  長時間介護を必要とされる方はイコール全身性障害者の方という、何かそういうイメ ージがあるのですが、最重度の知的障害者の方々をはじめ、他にもたくさんいらっしゃ るということをぜひぜひ忘れないでいただきたいというのと、今回の作業部会の報告を お聞きしまして、障害特有のニーズというのはかなり明確になってきたなというふうに 思っておりますが、ただ御本人の障害の特性だとか状況だけではなくて、むしろ環境に よってサービスが要るとか要らないとかいうことが多く影響しているところがあると思 われます。  そうした時にやっぱり長時間介護の中身をもっともっと明確にしていく、それからそ の長時間介護を必要としている方々はどのような方で、どれぐらい人数がいらっしゃる のかという、大変な作業かもしれませんが、そういうデータがやっぱり必要なのではな いか。たしかに地域で生きていくためには24時間様々なサービスがいると思います。そ れは私も絶対に思います。  ただ、必要だとは思うんですが、安全で安心して地域で生きていくために必要なサー ビス、つまり命を支えるサービス、これは24時間公費で賄ってもいいと、きっとほとん どの方が思われるんじゃないかと思います。ただ、人生をより充実させるためのサービ ス、暮しの豊かさを支えていく、それを支援するサービスが全て公費でいいのかどう か、ここの部分をもう一回丁寧に議論するのがいいのではないかというふうに思われま す。  江草座長  次は室崎委員さん、お願いします。  室崎委員  今、村上さんが言われたのですが、実は知的障害でいまグループホームの判定基準を I区分II区分と、区分を二つ作っているわけです。そうしますといろいろな基準を照ら し合わせて見ると、結構区分Iが多くなってしまっているんですね。これでは予算的に 困るんじゃないかなというような部分があって、今その区分Iには実際にはどういう方 が該当するのかをもう一回洗い直してみようということで、福祉協会と一緒に洗い直し をしています。その中で私はこの全身性障害者の長時間介護という、この資料3を見さ せていただいて非常に参考になるなという部分があったわけです。  今、村上さんが言われたように、最重度の知的障害の介護の中身というか、そういう ものが実際施設を経営している人もわかってない部分もあるんですよね。一部非常に少 ない方々なものですから、その人たちを特別枠の援助がいるということで重度加算みた いなものをつけていかなければいけないんじゃないかなという話を今しておるわけで す。そうすると最重度の知的障害の方々がどれぐらいグループホームを利用したいと思 われてるのか、在宅でいらっしゃるのかという、その数がわからないので、その辺を ちょっと調べてみようというような話も今出ております。  それと先程知的障害、老人の方々のケアマネジメントは要るのかな要らないのかとい う話も出ておりますが、私たちの知的障害はやはり支援センターがまずあって、そして そこが本人や保護者に対して24時間の安心を見せながらいかに支援サービスのケアプラ ンをたてて、サービスをつなげていくかという、重要な役割が地域に必要とされていま す。ぜひ私は市町村ごとというか、圏域ごとにでも支援センターをやっぱりやってもら いたいなということを非常に思っております。  それから先程お話がありましたが、実は私のところも法人で今非常に疑問に思ってい ることが一つあるのです。それは老人のデイサービスのことなんですが、企業がどんど ん入り込んでくるともう競争のようになっちゃって、どんどん呼び込みみたいな感じで 個別に歩きながら勧誘して歩かれるという非常な事態が出ておるんですよね。そういう のを見ますと、必要ないろいろなニーズはあるかもわかりませんが、やっぱりそこには きちっとした客観的な物差しを持ちながら、それをチェックする部分もなければ、給付 と負担という問題で、もう市民の皆さんが文句を言いつつあるんですよね。だからそこ のところをやはりニーズはいろいろあるけれども、客観的で、そしてそこの物差しはあ る程度ハッキリしておかないと非常に危険な部分が一方であるなというふうに感じてお ります。以上です。  江草座長  ありがとうございました。では最後になりましたが森市長さん、お願いします。  森貞述委員  お預かりする基礎的な自治体の立場からいきますと、とりわけ5頁の先程大森委員も 御指摘になられましたが、本人と市町村が協議して云々のここのところで、やはり職員 も含めて当然それは、また新たな一つのいわゆる既得権をという、そういうものを作っ ていく。私どもとしてはそういうものを排除してより透明性を高めていくというのが今 私どもがとらなければいけない立場なんで、こういうことというのをこれから、特に分 権型社会というのは、それぞれの自治体がきちっとやっぱり対処して問題だという、そ ういうことからいったら私はこの点については大変疑問に思います。  それと合わせて私どもは皆様方から税を徴収させていただきます。そうしますとその 税がどのように使われるかということを私どもが住民から試されるわけです。この辺の 視点というのは、やはり先程いろいろと問題になっております物差しという、これがど ういう物差しが一番いいのか、これはまだ議論があると思いますが、それによってもう 一つは受益と負担というバランスというのはやはり自治体として考えていかなければい けない、私は大きな課題だと思っておりますので、そういう中でぜひとも6頁の最後の ところに国民一人一人が納得し得る、しかもそれが持続できるような、そういう合意が 必要ではないかというふうに考えます。  江草座長  ありがとうございました。では高原課長どうぞ。  高原課長  先程オブザーバーの小田島さんから御質問があった件に対してお答えしてなかったの で、それも含めて、施設から地域に出て暮らしていくためにどういうことを考えていく のかという、これは特に知的障害者・障害児に関する作業班のレポートの中ではっきり 出ていると思うわけですが、地域で暮らすということを考えた場合に、やはりホームヘ ルプのような、いわゆる生活支援や介護ニーズだけではなくて、日中の活動の場や働く こと、それからその基盤にある住まいの問題をどう考えるか、こういうことをトータル に考えていかなくちゃあいかんのだということだろうと私どもは思っておりますので、 今たとえば働くことについて言いますと、省内に雇用部局と一緒になった検討会をこし らえて、できるだけ働くことを厚生労働省として支援していけるような、そういうこと も議論し具体化していこうと考えておりますし、住まいの問題についても国土交通省と も議論も始めておりますので、そういうことでトータルに地域で暮らしていけるという ことをこれから具体化していきたいなと思っております。  この三つの作業班は、確かにそれぞれの回数、制約はありましたが、相当充実した御 議論をいただきまして、障害種別ごとに、例えば視覚障害、聴覚障害者、盲ろう重複障 害、なかなかこういう場では詰めた議論ができない細かなニーズについていろいろお聞 かせいただき、それを制度の運用上どう工夫していけばいいのか、こういうところにつ いてはこれから政策運用の見直しの中で検討していきたいと思っておりますし、あとは 今日も出た御議論の中で三つの作業班に共通する議論というのがやっぱり多いと思いま す。  それはこの全体会の場の中で十分御議論をいただければ、例えばお一人お一人のニー ズとサービスを適切に結びつけるメカニズムというのは、これはやっぱり必要じゃない か、それをケアマネジメントと呼ぶのかどうかとか、当事者のニーズをどう反映させて いくのかという、その具体論の中ではいろんな議論があると思いますが、そういうニー ズとサービスを適切に結びつけるメカニズムを制度上きちんと位置づけるべきだという ことは、かなり共通した御意見だったと思いますし、そういうところについて議論を深 めるのであれば、こういう全体会の場で御議論をいただいた方がよろしいかと思いま す。  また、おそらく長時間利用の問題につきましては、対象者の範囲をどう考えるか、そ れから具体的なニーズをどうとらえていくか、これは後ほどこの今後の検討会の進め方 の中でお諮りをしたいと思っているわけですが、今後ホームヘルプの国庫補助基準の在 り方について御検討をいただきたいと思っておるわけですが、おそらくその中でやっぱ り長時間の利用をどう考えるかというのは非常に大きなテーマになると思いますので、 そういう中でいろんなデータを、私ども厚生労働科学研究の特別研究で遅まきながらそ ういうフィールドスタディをお願いしたりしてる部分もございますし、できるだけその データや実態もお出ししながら御議論をお願いできればと考えております。以上でござ います。  江草座長  ありがとうございました。それでは中西さん、どうぞ。  中西委員  いろいろ御批判御意見をいただいて有り難いと思います。非常に先鋭的な考え方とい うか、未来志向で考えていますから、大森先生も未来志向で考えていただくと怖いと思 いますが、高齢障害の違いなんてという問題は、もうそういうレベルの問題ではなく て、もっとプリサイスルな議論に今入りつつあって、障害のことがだんだんわかってく るに従って違うんだよということが、もっと時間をかければお分かりいただけると思い ます。  それとやはり今言われているアセスメントとか、市との協議の問題とか、このあたり の問題もどういうシステムを組むのかというのは、今、介護保険でやっているシステム というのは必ずしもうまく機能してないし、それを我々が適用されればおそらく不平不 満はいっぱい出ると思いますね。そういう意味ではこの地上にそれほどいいアセスメン トツールなんかどこにもないんだということをまず知っていただいて、日本が先駆的な ものを作るんだという意味ではいろんな提案をさせていただいていると思います。  ですからこの検討会と作業班の方をもうちょっとダイレクトペイメントだとか、新た なシステムを提案しているわけですから、具体的な政策にもっていけるまでにはもう ちょっと時間がかかるので、お時間をいただきたい。もう少し継続させていただいて、 全身性の作業班はやらせていただきたいし、他の作業班もおそらく同じ意見を持ってい るので、ぜひともこの機会にやる以外に僕はないと思うんですが、大きな時代の変化の 中で、我々も大きな努力を払って何の成果もないのでは困るので、きちんとした成果が あるようなもう一押しの努力を予算を組んでいただいて、全身性作業班は少なくとも続 けさせていただきたいと思います。  江草座長  ありがとうございました。今皆さん各委員の先生方のご発言をお聞きになりまして、 中西さんの言葉によるともう少し足りないということでございますが、それはそれとし て私はある程度方向性、課題、あるいは積み残し、どんな言葉でもいいですが、まあ割 合に前に進んで来ておるのではないだろうか、これを是非政策にも反映していただけた ら嬉しいという気持ちはみんな一緒だと思います。私は有益だったと思っております が、もっとこれを有益にするにはどうしたらいいかというのが中西さんの御意見と、こ ういうふうに思っております。ともかく今日は今2時間20分ぐらいノンストップで頑張 ってきましたので、ここで10分休憩しまして、それからあと今後の在り方の問題、それ から実は東京都から資料が提出されておりますので、そのことについても大急ぎで進め ていきたいと思います。それでは少し休憩させていただきます。                   (休憩)  江草座長  それでは再開いたしたいと思います。東京都から御提供いただいた資料を先に御説明 をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  芦田委員  今日は資料を2種類御提出させていただいておりますので御説明をさせていただきま す。まず、介護保険制度の見直しに向けた東京都からの提案(抄)という資料ですが、 これは4月5日に発表したものです。今日お手元に配布させていただいたのは障害者福 祉との統合についての見解を述べた部分を抜粋したものです。  都の見解としましては、資料1頁にございますように、介護保険制度及び支援費制度 の理念を発展させる観点から、統合については広く国民の理解を得るための十分な議論 が必要ということと、統合には困難な課題が山積しており、実施する場合には十分な準 備期間を確保すべきということです。一部の新聞報道で、東京都は統合は必要との立場 をとって若年層も含めた障害者を介護保険に組み入れる方向で検討すべきだと訴えてい るというような報道がありましたが、そういう趣旨ではございません。あくまで障害者 が必要なサービスを自ら選択して利用するという、支援費制度の理念を発展させるとい う観点が基本であるというふうに考えています。  安定的な財源の確保は重要ですが、今の介護保険にそのまま統合するというのではな くて、具体的にどのような制度設計にするのかということをまずきちんと議論すべきで あるということを書いています。統合するためには意見書にあげられているような様々 な課題を解決することが不可欠であって、そういう議論をしないうちに拙速な統合はす べきでないということを、そういう意見であるということを申し上げておきたいと思い ます。  もう一点の資料ですが、これは作業班の方にも提出したものですが、この検討会に対 する東京都の意見として提出したものです。まず、ホームヘルプサービスの15年度の国 庫補助金の問題ですが、3月23日に国から国庫補助金の交付予定額が示されましたが、 東京都全体で12億円の不足額を生じておりまして、1億円を越える歳入不足になった自 治体も3カ所あります。これまで東京都をはじめとして地方自治体や障害者団体は実際 のサービス提供実績に基ずく所要額を交付するように再三要求してきたにも関わらず、 大幅な不足が生じたということは大変遺憾であるというふうに考えています。  また国の説明資料では、今日の説明資料もそうなんですが、今年度の国庫補助金の不 足額は14億円という説明がされておりまして、新聞等でも報道されていますが、これは あくまで国庫補助基準の範囲内の数字であって、正確な数字ではないというふうに考え ています。サービス提供実績に基づく所要額に対しては、25億円不足したという話も聞 いておりますので、この数字を公表して議論すべきであるというふうに考えています。  そもそも国庫補助基準については本検討会の中でもほとんど議論されていないわけ で、この国庫補助基準の中だけで数字をとらえるべきではないというふうに考えていま す。結果的に15年度の国庫補助金の配分は、従来から高い水準でサービス提供を行なっ てきたところを削って全国に広く薄く配分したということになります。こういうやり方 で本当に支援費制度の理念が実現できるかどうかは疑問であるというふうに考えていま す。  その他にも作業班の議論のまとめには入っていないものも含めて、全般にわたって意 見を提出していますので、後ほど御覧いただきたいと思います。特に障害者の地域生活 移行を実現するためには居住の場としてのグループホームの拡充が最も重要であると考 えておりまして、それは理念ではなくて、具体的に実現するためのグループホームの施 設整備費の補助制度であるとか、家賃助成制度の創設等の必要性についても意見を述べ ております。以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。ただいまの御説明に御質問なさる方はありますか。ありま せんようですので次に進ませていただきたいと思います。今後の検討会の進め方につい て御説明をいただきたいと思います。  高原課長  それではお手元の資料7を御覧いただきたいと思います。先程、東京都の芦田課長か らもお話がありましたが、まず平成15年度のホームヘルプサービス等の予算の執行状況 について御報告をさせていただきました上で、今後の本検討会の進め方についてお諮り をしたいと思っております。資料7の1頁を御覧いただきたいと思います。  私ども最後の最後までギリギリのところまで財源確保のいろいろな努力をしたわけで ございますが、結果的にホームヘルプサービスのところを御覧いただきますと、当初予 算額がその下のところにございますが、278億に対しまして、国庫補助基準による所要 額が約90億上回るということで、368億という数字になりました。私どもギリギリの努 力をした結果、最終的に何とか追加財源76億を確保することができたわけでございます が、それが354億という数字でございます。この国庫補助基準内の所要額368億に対しま して、96%というカバー率になっておるわけでございます。  先程御指摘がございましたが、国庫補助基準を上回る部分の額が約11億ございます。 そういう意味ではサービス提供実績に基づく全ての所要額の2分の1ということで申し ますと、379億円という数字が所要見込み額ということでございます。全国的にはこの 国庫補助基準を上回る額が11億ということであったわけですが、地域的に見ますとうち 9億円が東京都ということで、大半が東京都下の市区町村という状況でございます。  ちょっとお手元の資料の4頁、2頁目以降に現在の国庫補助基準を御参考までにつけ させていただいております。4頁目のところをご覧いただきますと、昨年の1月に私ど もと関係四団体の皆さんとの合意事項ということで国庫補助基準に関する考え方を整理 させていただいておるわけですが、1番目のところにございますように、この国庫補助 基準は市町村に対する補助金の配分の目安、交付基準であって、個々人の支給量の上限 を定めるものではないという点、2番目として今回の国庫補助基準は現在の平均的な利 用状況をふまえて設定するものであり、今後支援費制度施行後の利用状況等をふまえ見 直すこととするということ、それから3番目といたしまして円滑な移行という観点か ら、国庫補助基準で算定することにより、従前の国庫補助金を下回る市町村については 移行時において原則として従前額を確保するということなどが書かれておるわけでござ います。4番目のところには検討会の設置というものが、本検討会のことでございます が、書かれておるわけでございます。こういう合意事項を踏まえまして、現在の国庫補 助基準が整理されておるということでございます。  2頁目のところをご覧いただきますと、一般の障害者の場合、視覚障害者等特有のニ ーズを持つ方の場合、全身性障害者の方の場合ということで、国庫補助基準が各区分ご とに決められておるという、そういう状況でございます。したがいまして先程申し上げ ました国庫補助基準内の所要額の368億という数字につきましては、先程の従前額の確 保、従前額保障も含めた額ということで御理解をいただければと思っております。  今、私どもはこの国庫補助基準を上回った部分の分析を含めまして、いろいろと分析 作業なり整理の作業を進めさせていただいております。特に先程の東京都の芦田課長の 方からもお話がございましたが、東京都の場合、全身性障害者の方に対するサービスの 提供時間が平均して240数時間というふうなお話がございました。一方でこの国庫補助 基準上は配分の目安として月当たり125時間という、この125時間という数字は支援費制 度が始まる前の平成13年度の全国的な利用の実績が80数時間だったかと思いますが、そ れの5割増し程度の額を目安として、ですからそういう意味では全国的な利用の平均値 をベースに設定させていただいたわけでありますが、東京都の場合に国庫補助基準を上 回る額が多いということにつきましては、特に長時間の利用についての全国的な平均的 な利用実態と、特に東京都を中心とする大都市部との利用実態との間にかなりの差があ るということであろうかと思っております。  このあたりもう少し分析も進めていきたいと思っておるわけでございますが、こうい う先程申し上げましたように平成15年度の利用の状況がほぼ見えてきたわけでございま す。もちろんこれは確定数値ということではございませんが、こういう利用状況を踏ま えて国庫補助基準についての見直しの議論を本検討会において今後お願いをいたしたい と考えております。  私どもももう少しいろんな分析でございますとか、各市区町村の運用の実態でござい ますとか、少し必要に応じて調査もし整理をしていきたいと思っておりますので、若干 のお時間をいただきまして、次回私どもの希望といたしましては5月の下旬から6月の 頭の時期に本検討会を開催させていただいて、国庫補助基準についての本格的な議論を スタートさせていただければと考えております。以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。ただいまの御説明について御質問はございますでしょう か。  中西委員  高原さんは今6月上旬にこの検討会の中で国庫補助基準の議論をスタートとおっしゃ ったけれど、どういうふうに進められるつもりなんですか。今125時間なり、50時間で ある、この基準値自体の見直しみたいなことですか。  高原課長  今の国庫補助基準についての見直しについての議論を進めていきたいということでご ざいます。ただ、まだ残念ながら私ども今の時点で具体的な腹案というのは持っており ません。これは先程申しましたようにもう少し分析なり調査をいたしまして、考え方を 整理をしていきたいと思っております。  江草座長  他にございますでしょうか。  大濱委員  課長からもう少しわかりやすい説明をいただきたいのですが、ここにホームヘルプで 結局14億足りない、それで身体のデイとショートで22億余ってますという数字が出てい ますが、これについてもう少しわかりやすい説明を頂きたいというのが一点です。  それとあとは国庫補助基準、これは一応算定のあくまでも基準であるということです から、本来でしたらやっぱり東京はそういう従来からベースが高いということを考える と、このことを配慮していただくような方法はないのか、全然ないのか、わかりやすく 説明を貰いたい。  高原課長  今年度の執行について端折った説明をしてしまいましたので、今の大濱委員御指摘の 点について補足で御説明をさせていただきたいと思います。資料7の下の参考のところ を御覧をいただきますと、在宅サービス全体として、そのうち四つの区分としてホーム ヘルプ、身障のデイ、ショート、知的児童のデイ、ショート、グループホームと四区分 書かせていただいておるわけでございます。その中で身障、デイ、ショートにつきまし ては、当初予算額94億に対して実際の所要見込み額が72億ということで、この部分だけ とりますと22億余る見込みだったわけでございます。  実はこれは予算は当然のことながらどういう事業にあてるということを前提として、 それを個々の項目ごとに整理をして国会でも御承認をいただいておるわけでございます が、それぞれの予算費目についてはグルーピングと申しますか、それぞれの項とか目と か、それぞれのグルーピングがございます。特にこのホームヘルプサービスにつきまし ては、ちょっと予算的な技術的なことになりますが、社会福祉諸費という項目に入って おります。 一方、身体障害者のデイサービスにつきましては、身体障害者の保護費と いう項目に区分をされておりまして、実は予算の項をまたいで流用が認められる経費等 につきましては、これは極めて限定的になっておりまして、対象としては災害復旧費の ような、当初の通常なかなか予想されにくいものに限定されておる関係上、ホームヘル プサービスや身体障害者、デイサービスなど、旧厚生関係の経費については、そういう 項をまたいでの流用というのが一切認められない性格の経費でございます。したがいま してこの22億はホームヘルプに回せないということが一つ。  それからじゃあこの22億が全く余ったのかということでございますが、これは実は残 念ながら現状障害者施策の場合、足りない経費がこのホームヘルプだけではございませ ん。例えば進行性筋萎縮者の措置費でございますとか、訪問入浴サービス事業費でござ いますとか、これは同じ身体障害者の保護費の項の中の事業なわけですが、相当大きな 不足額が見込まれたということで、残念ながらこの22億はすでにそういう経費に充てさ せていただいておるという、そういうことで、このホームヘルプには回せなかった、そ ういう前提で私どもギリギリの努力を各項目の中でした結果が1頁目のところにある数 字だということでございます。以上が補足の御説明でございます。  それから大濱委員の二点目の御指摘でございますが、その御指摘につきましては15年 度の国庫補助基準の執行としてはいかんともしがたい分が問題かと思っておりますが、 16年度といいますか、今の国庫補助基準の見直しの御議論をしていただく中で、今御指 摘のあったような点も含めてどうこれから考えていくかという点については、私どもも 十分検討していきたいと思いますし、この検討会で御議論をいただきたいと思っており ます。  中西委員  この検討会が開かれるきっかけというのが、支援費制度の予算の不足から出て来てい て、それでこの会議を開く前提として我々合意したのが、この基準値額による配分は必 ず守るという約束を厚労省はしたわけですね。これは大臣も約束し、省としての約束だ ったわけですが、その基準額による配分すらできなかったということで、それは我々と しては承服しがたいものがあるわけです。これは少なくとも最低限守ってもらわなきゃ あいけない。  できれば東京都が言ったように実所要額についても保障して欲しいのにということな んですが、当初はこれでは基準額で配分して、それで調整交付金が残って、それで東京 都の足りないところへはそれで調整するんだということであったわけですよね。こうい う基本的な合意事項が守られないで、この検討委員会がさらに開かれているということ に対しては、やはり国からきちんとしたこの検討会に対しての意思表明なり謝罪がない と難しいんだろうなというふうに思います。  高原課長  本検討会でも何度か途中経過の御報告をさせていただいたと思っております。15年度 の最終確定結果ではありませんが、こういう結果が出たわけでございますが、私どもと しましては本当にホームヘルプ一つとってみましても76億という、本当にギリギリの努 力の結果としてこういう予算、追加財源を確保させていただいた。  それでも国庫補助基準内の額にも足りなかったというのは事実でございますし、最終 的に市町村にご負担をかける結果になったことについては心苦しく思っておるわけでご ざいますが、この点については前回も申し上げたかもしれませんが、本当にギリギリの 努力の結果であるということについて御理解をいただいた上で、国庫補助基準の問題に ついても御議論をいただければと思いますし、あとは平成16年度の事業運営につきまし ては、この前もお諮りもした事業運営上の工夫というものも進めながら、何とか厳しい 事業運営ではございますがやりくりをしていきたいという状況でございますので、御理 解をいただきたいと思います。  中西委員  我々としてはこのことについてはさらなる努力をしていただきたいというふふうに思 います。やはり市町村が施設から在宅へという動きは今止まろうとしてます。だから我 々も市町村に話して新しく施設から出たい人がいると言っても、もう予算が組めないと いうふうに言っているわけですし、今年度の欠損を出した市町村については、ほとんど 支援費の新規サービス利用を基準の週18時間ぐらいに落とされるという事態が起こって います。大阪においてもこの支援費制度の手帳の再交付がやっておられますが、そこで も切り下げが行なわれているというふうな事態を迎えていますので、これは早急に手を 打って市町村を安心させてあげないと来年度どころか、今の支給手帳の変更に際して重 大な支障をきたすことになると思います。  安藤委員  今後の進め方ですが、この検討会のレベルといいますか、範囲の中での検討ではもう どうにもならない時期に来ているのではないんでしょうか。社会保障審議会の障害部会 の審議も始まっていますが、今年の6月には介護保険の見直しの中で障害者福祉をどう するか、大枠を決めなくてはならないというような方向が出ているわけです。  全体的な見方としては三位一体など、国の財政事情があるのでほぼ介護保険と障害福 祉の統合といいますか、整合性というものはやむを得ないのではないかというような雰 囲気も出ているわけですね。そしてその大枠が決まった場合、障害者福祉においても支 援費制度の中身についても、より基本的な検討が必要になるわけなんです。ところが6 月頃、国の標準基準を検討しようというような内容で介護保険と障害者との統合という ような問題が出ている時に変更した審議で了承しろというのか、その点がよくわからな いんですが。  高原課長  今、安藤委員が御指摘のように、今、社会保障審議会の障害者部会がすでにかなり精 力的な審議をスタートしていただいております。これは障害者部会はかなり制度の大枠 にかかる話、昨日も開催されたわけですが、例えば働くことや住まいの場をどういうふ うに考えていくかとか、そういう制度論に関わるような大枠の話を順次今障害者部会の 方では御議論いただいているというふうな状況でございます。  私は先程この検討会の問題として御提案した国庫補助基準の問題というのは、あくま で現行の支援費制度の国庫補助金に基づく国庫補助金を考えるにあたっての補助基準と いうことであります。そもそもこの検討会を立ち上げた直接的なきっかけであるわけで すから、この問題についてはこの検討会できちんと御議論をいただき一定の方向性をま とめていきたいということで、そこの部分は整理ができるものだと考えております。  谷口委員  予算が足りないというようなお話をずっとしておりますが、私も京都におりまして、 私は今相談機関の一員として非常に努力をしている点というのは、例えば身体介護から 日常生活支援への切り替えというようなこともやっぱり行なっているわけです。そうし たら利用者としてはそんなに介護を受ける内容としては変わらない、私はそういう努力 を私たち障害者一人一人も国民としての努力というのをしていかないといけないのでは ないかなと非常に痛感しています。京都市全体で日常生活支援に切り換えると3億円浮 くという結果がもう出ております。ですからそういうふうな長時間介護を必要とする我 々もせっかく日常生活支援という非常にいいサービス内容があるわけですから、そうい うふうな努力を私たちは続けていきたいなと考えている次第でございます。  江草座長  ありがとうございました。谷口さんからも大変参考になる御意見を頂戴いたしまし た。さて、今日の予定の時間がほぼまいりましたので、次回の検討会について改めて事 務局から説明をしていただけますでしょうか。  高原課長  今まさに各委員の日程をお聞かせいただいておりますので、5月下旬、遅くても6月 の頭の範囲で次回の日程をセットさせていただきたいと思っております。  江草座長  それでは議事概要につきましては大変僣越ですが、今まで通り事務局の責任おいて私 がこれに加わりましてまとめさせていただき、ホームページ等で公表するということに したいと思いますが、よろしゅうございましょうか。  委員各位  異議なし。  江草座長  ありがとうございました。それでは今日は大変活発な御質問と御発表によりまして盛 り上がった3時間でございましたが、これで終わらせていただきたいと思います。あり がとうございました。 照会先           [障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会事務局]                            厚生労働省社会・援護局                            障害保健福祉部障害福祉課                              藤原(内線3043)                              TEL 03−5253−1111                              FAX 03−3591−8914