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第15回「食品の表示に関する共同会議」の議事概要
(平成16年4月28日(水))


1.委員の出欠
全委員出席

2.概要
(1)アレルギー物質を含む食品の表示について
 順天堂大学堀口先生から、資料1について説明。
 門間委員から、資料2について説明。

  委員: 資料1の6頁の「5 製造上の自由度が減少している」とはどのような状況か。
  説明者: 食品を輸入する国にアレルギー表示の制度がなく、輸入品に詳細な表示がないため、製品に表示ができないことから、国産品に切り替える流れがある。
  座長: 「4 輸入品に対して情報不足である問題が発生している。」の関連である。
  委員: 食品衛生監視員の経験(履歴)はどうなっているのか。又経験(履歴)による差はあるのか。
  説明者: 経験年数は1年未満、3年未満、10年未満、10年以上の4区分で、各4分の1の割合であった。また、経験による回答の差はなかった。
 なお、食品衛生監視員のほとんどは兼任の職員であった。
  委員: アレルギー表記の問題は難しく、
(1)企業に求められる水準が高くなってきており、中小など対応しきれないところが見受けられる。
(2)企業がコンタミネーションを恐れ、防衛上、注意喚起のアレルギー表記が増えてきている。防衛が過度になると患者の選択が狭められる。
 このような状況であるため、企業の教育、啓発が最重点と考えられる。
  委員: 企業が、(1)濃度に関係なくアレルギーの表記。(2)コンタミネーションを恐れ、注意喚起の表記をする動きがある。当初のアレルギー表記の考え方と実情が乖離しているのではないか。
  座長: アレルギーの有無でなく、どの程度入っているのか。アレルギーの表記の難しい問題である。企業防衛の観点から表記する傾向があり、現実的にどのような表記が可能であるのか、具体的に検討を進めて参りたい。

(2)加工食品品質表示基準及び生鮮食品品質表示基準の一部改正等について
 ア.意見口述
 緑茶及び緑茶飲料の表示に関し、社団法人日本茶業中央会柳沢専務理事から意見口述がなされた。(意見の要旨については、配付資料中「口述人意見要旨」参照。)

  委員: 緑茶飲料は、家庭で飲むお茶と同様の工程で製造されているのか。
  口述人: 会社によって違うと思う。緑茶飲料の製造では、茶葉のブレンドが命である。製造工程は家庭で煎れるものに加え、抽出液を配合して製造するものもある。
  委員: 果汁を使ったジュースは高度な技術で製造されていることがわかる。緑茶飲料についても、技術的なバリアを乗り越えて製品化されたものと理解している。消費者は家庭で煎れるものと同じという感覚は持っていないと思うが。
  口述人: 緑茶飲料は果汁飲料と違い、製品に占める水分の割合が多い事もあり、配合技術が異なっている。家庭で入れるお茶は茶葉そのものの香りを楽しむことに重点が置かれており、飲料とは基本的に違う。
  (口述人退席)

 イ.生鮮食品品質表示基準の改正について
 事務局から、資料3−1、資料3−2について説明。

  座長: 畜産物の原産地表示の見直しについては、昨年の秋にこの共同会議で審議し、12月に取りまとめられていたが、今回それが具体的な生鮮食品品質表示基準の改正案として示されたので、ご審議いただきたい。
  委員: 第4条(2)イ(イ)の確認となるが、銘柄の表示に関し、牛に限らず他の家畜を含めた畜産物が対象ということでよろしいか。
  事務局: そのとおり。

  (生鮮食品品質表示基準改正案は原案どおり了承され、JAS調査会に報告されることとなった。)

 ウ.加工食品品質表示基準の改正について
 事務局から、資料4−1〜5、参考資料1、参考資料2のうち、特に参考資料2について説明。
  座長: 前回、対象品目を横断的枠組みとして整理するよう事務局にお願いしていたところ、資料4−2のとおり品質表示基準として文章化された。口述人意見も含めて意見を頂きたい。
  委員: 参考資料2の3ページの表について、該当する食品がないとしているものに今後、該当するものが出てきたらどうするか。また、実態として国産しかない食品や輸入品しかない食品は対象外とすることについては既に合意されているとのことだが、消費者はそのような食品であるかどうかわからないので、今後の課題としても対応して頂きたい。
  事務局: まず1点目について、資料4−2附則3にあるように「製造及び流通の実態、消費者の関心、国際的な規格の検討状況を踏まえ、必要な見直しを行う」と見直し規定を設けている。今回は第1段階として、横断的枠組みの加工食品品質表示基準の改正ということで一応の整理をさせて頂いたが、今後、新たに該当するものが出てくるなど必要が生じれば見直しを行っていくこととしたい。2点目については、実態として国産のみ流通しているものはたとえ表示を義務づけても全て「国産」との表示になり、そもそも商品選択のために役立たないことから、あえて義務づけるまでもないと考える。
  委員: 加工食品は単に原産地だけでなく加工内容も大きく影響する。その点では、消費者にとって緑茶と緑茶飲料は違うと考えると思う。
 もちやこんにゃくなど個別の品目を対象とする必要性には個人的に疑問が残るが、我々の目に触れる際はこんにゃく芋ではなく、加工してこんにゃくにした段階のものが最初なので、やむを得ないという点は理解する。一方、野菜冷凍食品など従来品目毎の品表基準で原料原産地表示をしてきたもののうち今回残るものは、横断的枠組みの中で整理した方が、今後見直していく際にも検討がしやすいのではないか。
  事務局: 従来から実施してきた品目を横断的枠組みの中で整理することについては、品目整理の観点からは理解できるものの、行政としては、制度の安定性、継続性の観点も重要である。これらの品目に関係する業界も努力して対応してきている。消費者としても、今まであった表示が突然無くなると困惑する。品目整理の点で違和感があることはわかるが、これらの品目を引き続き義務表示の対象とすることについて、理解して頂きたい。
  座長: 加工食品にも出来るだけ原料の原産地を表示して頂きたいということから検討をしてきたが、これらの先行品目については、今回横断的に整理した品目よりも加工度が高く、「生鮮」からは離れたとしても、今後の見直しも視野に入れた先行事例として残しても良いと考える。
  委員: 消費者に対する情報提供として、引き続き品目拡大をお願いしたい。緑茶について、先程丹委員から、消費者は家庭でいれるお茶と緑茶飲料とでは違うという感覚を持っているという話があったが、私は同じものであるという感覚である。しかしながら、今回の対象品目としてはまず緑茶からということであろう。
  座長: 他の飲料との関係もあり、最初のラインを横断的に引いた結果である。今回で最終ではなく、あくまでも最初の一歩であ り、見直すべき所は今後見直していくということとしたい。
  委員: 3点ほど質問したい。
(1) 従来の対象品目については、例えば農産物漬物では上位4品目について表示が義務付けられているのに対し、今回の横断品表では50%を超えるものに限られていることは、ダブルスタンダードであり、消費者は混乱するのではないか。
(2) 細かい点だが、参考資料1の注1に書いてある「おおむね」は削除した方がいいと思う。
(3) あんについて、今回砂糖を加えないものだけを対象とされており、前回の会議までの議論と変わっているが経過・内容を教えて欲しい。
  事務局:
(1) 先程もご説明したとおり、農産物漬物や野菜冷凍食品については、今回の横断的な対象品目よりも進んだ例として、現在の基準を引き続き存続していくこととしている。
(2) ご意見のとおり、「おおむね」は削除することとする。
(3) 前回までの議論を踏まえ、加工度の面からゆで、蒸しという観点であんを考えると、「ゆでた豆」にあたる「つぶあん」は他の農産物と同様対象となり、これを粉砕した「こしあん」についても「つぶあん」と扱いを分けることはかえってわかりにくくなることから対象とする。一方、これに砂糖を加えたものは、横断的に見ると「煮豆」と同様「煮る」(ゆで+調味)に該当するため、対象外と整理した。あくまでも事務局からの案であり、この場でこの点につきご審議頂きたいと考えている。[「当日説明資料」参照]
  委員: 「砂糖を加えたあん」については、「調味」しており「煮豆」と同様なので対象外と整理するということか。
  委員: 事務局の分類案に賛成である。加糖していないあんは確かに最終製品としては、消費者にはあまり馴染みはないが、あんを義務表示の対象とすることにより、あんの加工メーカーによる最終製品での任意表示につながる。調味したものを除くという横断的な整理が出来ており、賛成である。
  委員:
(1) もちについて、「つき」という工程を経たものが対象となることは反対である。「つき」は「つぶす」とは違い、粉末化と同じくらい加工程度が高いと考える。もちを対象とするのであれば、小麦粉はどうなるのか。
(2) こんにゃくについて、消費者に届く最初の形態がこんにゃくであるため対象とするという説明は理解するが、このような製品は他にもあるのではないか。
(3) 冷凍食品の利用も増加しており、野菜冷凍食品だけが対象というのも釈然としない。
(4) 塩蔵品について、塩分含有量が50%以上であれば対象外となるのか。
 このように疑問は延々と続いてしまう。今回の整理について、他の委員に異論がないということであればそれに従いたい。全委員のご意見を拝聴したい。
  事務局: 塩蔵品の扱いについてはこれから整理することとなるが、実際に食すことのない塩が50%以上を占めていることを理由に対象外とすることは理解が得られないのではという感覚を持っている。今後、Q&Aで明確にする。
  座長: 横断的な線引きは今回が最初であり、これからより加工度の高い方向へ線を移動させていくということであろう。
  委員: 通常の消費者が購入するという観点では、参考資料2の工程による分類は妥当である。今後見直す際にも参考となる。
 「JAS制度のあり方検討会」において、例えば国内産であることを強調表示するといった場合のJAS規格化の検討が行われているが、加工度の高い食品については、表示の義務付けというよりもむしろこうした新しい制度で検討していくことが望ましいのではないか。
  委員: スローフードの流れのなかで、最終製品前の加工段階の食品など、地産地消や国産国消の動きのなかで独自の食文化にちなんだ食品が作られており、こうしたものに対応していくことが重要である。今後も見直しを行っていくということで基本的合意が得られたということにしたい。
  委員: 緑茶は、特に若い人の間では、ボトルに入った緑茶飲料との認識があり、表示があった方がよい。また、消費者は無糖のあんを買うことがあるのか。
 また、今回の改正をいかにして消費者に普及していくのかも重要である。事業者のコンプライアンスも含め、表示がしっかり行われていることを確保していく必要がある。

  (原料原産地表示の義務対象に挙がっている生あんの市販品を回覧。)

  座長: 消費者への情報提供はきわめて重要であり、事務局においては、積極的な広報をぜひお願いしたい。
  委員: 参考資料1については、これで決定ということか。鍋物セットのような異種混合品は、どのように整理しているのか。
  事務局: 参考資料1に挙げた品目は例示であり、今後、個別具体的な品目について意見をいただきながら、事務局において整理していくこととし、最終的にはQ&Aで明示したい。また、鍋物セットや焼肉セットのような商品では、50%を超える食材は実際にはないのかもしれないが、基準としての整合性の点から、また、そのような商品が今後流通する可能性も踏まえ、対象とした。
  委員: 消費者の立場からは、対象範囲が狭まり不満もあるが、これまでに聞いてきた事業者等からの意見も踏まえれば、今回の案は前向きな第一ステップと理解している。
 見直し規定は、はっきりしていない。様々なタイプのシステムが今後充実していくと見込まれる中、例えば2年後に見直す等、積極的な対応も考えてよいのではないか。
  事務局: 表示は、義務か義務でないかという二分法ではないものである。例えば有機JAS規格等、表示するか否かは任意だが表示する場合には一定のルールを設けるといった枠組みもある。また、ご指摘のように、今後はICチップ等も普及し、表示をめぐる状況は日々刻々と変化していくことから、今回の決定を今後いつ見直すということをあらかじめ見通すことは困難であるが、少なくとも行政における検討は行い、しかるべき時期に諮ることとしたい。

  (改正案は、原案のとおり了承され、JAS調査会に報告されることとなった。)

(事務局より、次回以降の日程について、第16回を5月31日(月)10時から、第17回を6月23日(水)10時から、いずれも郵政公社本社ビル2階共用会議室において開催する予定である旨、説明があった。)

以上


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