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制度の比較

1 法の目的

障害者保健福祉施策 高齢者保健福祉施策
身体障害者福祉法
 (目的)
一条 この法律は、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、及び必要に応じて保護し、もつて身体障害者の福祉の増進を図ることを目的とする。

知的障害者福祉法
 (目的)
一条 この法律は、知的障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、知的障害者を援助するとともに必要な保護を行い、もつて知的障害者の福祉を図ることを目的とする。

精神保健福祉法
 (目的)
一条 この法律は、精神障害者の医療及び保護を行い、その社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによつて、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とする。

児童福祉法
 (児童福祉の理念)
一条 すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。
 すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。
老人福祉法
 (目的)
一条 この法律は、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もつて老人の福祉を図ることを目的とする。

老人保健法
 (目的)
一条 この法律は、国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し、もつて国民保健の向上及び老人福祉の増進を図ることを目的とする。

介護保険法
 (目的)
一条 この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。


2 サービスの対象者・利用の決定・ケアマネジメント

  措置制度 精神障害者福祉施策 支援費制度 介護保険制度
サービスの
対象者
身体障害者、知的障害者、障害児、高齢者
精神障害者
支給決定された身体障害者
支給決定された知的障害者
支給決定された障害児の保護者
要介護認定等を受けた被保険者
サービスの対象者の決定
市町村の措置決定(障害児は都道府県、指定都市)
(法令上特に手続きは定められていない。)
市町村の支給決定
市町村の要介護認定等
決定の手続き
行政が必要に応じて決定
(法令上特に手続きは定められていない。利用契約。)
支援費の支給を受けようとする者が市町村に申請する。
要介護認定を受けようとする被保険者が市町村に申請する。
市町村の職員が面接等により調査し、それぞれの制度毎に定められた手続きを経て決定。
市町村の職員が面接等により調査するが、手続きが法令上義務化されているわけではない。

市町村の職員又は委託先の介護支援専門員等が面接し、その心身の状況、その置かれている環境等について調査する。

市町村は、障害の種類及び程度、介護を行う者等の状況、支援費の受給の状況等を勘案して支援費の支給の要否を決定する。
認定審査会が要介護状態に該当するか否か、該当する場合はその要介護状態区分について審査及び判定を行う。
判断基準
総合的な判断だが、個々のサービスの種類及び量について決定するための基準が必ずしも定められているわけではない。
 
勘案事項による総合的な判断だが、個々のサービスの種類及び量について決定するための基準が必ずしも定められているわけではない。
介護サービスが必要かどうかについて介護の手間を時間で表す要介護認定基準に基づいて判断
決定の内容
措置決定は、個々のサービスの種類、量及びサービス提供事業者について決定。
 
支給決定は、個々のサービスの種類及び量についても決定。
居宅サービス区分において、要介護度に応じたサービスの上限(区分支給限度基準額)を設定。
サービス提供事業者については、利用者が決定。
サービスの種類、量及びサービス提供事業者については、利用者が決定。
ケアマネジメント
制度化されていない。
市町村や現場レベルでの対応が期待されている。
制度化されていない。
市町村や現場レベルでの対応が期待されている。
エンパワメントの視点、地域開発の視点などの理念を持つ。
介護支援専門員として資格を制度化し、計画作成費用については居宅介護サービス計画費等として制度に位置づけている。
介護保険のサービス以外のサービスも含めてマネジメントすることが制度上期待されている。


3 計画的な対応

  障害者保健福祉施策 高齢者保健福祉施策
計画の根拠 <市町村>
市町村障害者計画:障害者基本法第7条の2第3項
<市町村>
市町村老人福祉計画:老人福祉法第20条の8
市町村老人保健計画:老人保健法第46条の18
市町村介護保険事業計画:介護保険法第117条
<都道府県>
都道府県障害者計画:障害者基本法第7条の2第2項
<都道府県>
都道府県老人福祉計画:老人福祉法第20条の9
都道府県老人保健計画:老人保健法第46条の19
都道府県介護保険事業支援計画:介護保険法第118条
<国>
障害者基本計画:障害者基本法第7条の2第1項
(新障害者プラン)
<国>
基本指針:介護保険法第116条
計画策定の義務 <市町村>
市町村障害者計画:努力義務(法改正による義務化の動きあり)
<市町村>
市町村老人福祉計画:義務
市町村老人保健計画:義務
市町村介護保険事業計画:義務
<都道府県>
都道府県障害者計画:努力義務(法改正よる義務化の動きあり)
<都道府県>
都道府県老人福祉計画:義務
都道府県老人保健計画:義務
都道府県介護保険事業支援計画:義務
<国>
障害者基本計画:義務
<国>
基本指針:義務
計画の内容 <市町村>
市町村障害者計画
○法律上は特に定める項目は規定されていない。
○障害者基本計画及び都道府県障害者計画を基本とするとともに、当該市町村における障害者の状況等を踏まえ、当該市町村における障害者のための施策に関する基本的な計画を策定することが定められている。
<市町村>
市町村老人福祉計画
○当該市町村の区域において確保すべき老人福祉事業の量の目標
○老人福祉事業の量の確保のための方策
○その他老人福祉事業の供給体制の確保に関し必要な事項

市町村老人保健計画
○当該市町村における老人に対する医療等以外の保健事業の実施に関し、機能訓練及び訪問指導について確保すべき事業の量の目標その他必要な事項の目標

市町村介護保険事業計画
・各年度における介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込み
・介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込量の確保のための方策
・指定居宅サービスの事業又は指定居宅介護支援の事業を行う者相互間の連携の確保に関する事業その他の介護給付等対象サービスの円滑な提供を図るための事業に関する事項
・その他介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を図るために市町村が必要と認める事項
<都道府県>
都道府県障害者計画
・法律上は特に定める項目は規定されていないが、障害者基本計画を基本とするとともに、当該都道府県における障害者の状況等を踏まえ、当該都道府県における障害者のための施策に関する基本的な計画を策定することが定められている。
<都道府県>
都道府県老人福祉計画
・介護保険法第118条第2項第1号の規定により当該都道府県が定める区域ごとの当該区域における養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの必要入所定員総数その他老人福祉事業の量の目標
・老人福祉施設の整備及び老人福祉施設相互間の連携のために講ずる措置に関する事項
・老人福祉事業に従事する者の確保又は資質の向上のために講ずる措置に関する事項
・その他老人福祉事業の供給体制の確保に関し必要な事項

都道府県老人保健計画
・介護保険法第118条第2項第1号の規定により当該都道府県が定める区域ごとに医療等以外の保健事業の供給体制の確保に関する事項

都道府県介護保険事業支援計画
・当該都道府県が定める区域ごとに当該区域における各年度の介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総数その他の介護給付等対象サービスの量の見込み
・介護保険施設その他の介護給付等対象サービスを提供するための施設の整備に関する事項
・介護支援専門員その他の介護給付等対象サービスに従事する者の確保又は資質の向上に資する事業に関する事項
・介護保険施設相互間の連携の確保に関する事業その他の介護給付等対象サービスの円滑な提供を図るための事業に関する事項
・その他介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を支援するために都道府県が必要と認める事項


4 サービスにかかる費用の負担

  措置制度 精神障害者 支援費制度 介護保険
費用の支出者

(最終的に費用を負担する者)
援護の実施者である市町村
(一部都道府県)
精神障害者社会復帰施設の設置者、精神障害者居宅生活支援事業の実施者
援護の実施者である市町村
保険給付については、保険者である市町村
(保険給付以外は利用者が負担)
費用の負担

(最終的に費用を負担する者に対する補助や負担)
居宅サービスの措置に要する費用に対する補助
居宅サービスを市町村が実施する場合の費用に対する補助
居宅サービスに関する費用に対する補助
介護給付及び予防給付に要する費用に対する負担
都道府県:1/4以内
国:1/2以内
都道府県:1/4以内
国:1/2以内

居宅サービスを市町村以外の者が実施する場合の費用に対する補助
市町村:1/4以内
都道府県:1/4以内
国:1/2以内
都道府県:1/4以内
国:1/2以内
国:1/4
都道府県:1/8
市町村(一般会計):1/8
保険料:1/2

(保険料は、人口割合に応じて、第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40歳〜64歳)とで負担する。)
施設への入所措置に要する費用に対する負担
都道府県:1/4
国:1/2

(指定都市及び中核市が実施する場合には都道府県の補助及び負担はない)
社会復帰施設の運営に要する費用
都道府県:1/2
国:1/2

(指定都市には、都道府県の補助はない)
施設サービスに関する費用に対する負担
都道府県 1/4
国 1/2

(指定都市及び中核市が実施する場合には都道府県の補助及び負担はない)


5 利用者負担

  措置制度 精神障害者 支援費制度 介護保険
負担をする者
の範囲
身体障害者、知的障害者、(障害児)、高齢者
扶養義務者
利用者である精神障害者
利用者が属する世帯の生計中心者(居宅サービスのみ)
利用者である身体障害者、知的障害者、(障害児)
扶養義務者
利用者である被保険者
負担の基準
応能負担
利用者と扶養義務者それぞれの費用徴収表がある。(障害児は扶養義務者のみ)
限度額あり。
ホームヘルプは応能負担、その他は応益負担(実費負担)
ホームヘルプのみ利用者・生計中心者について費用徴収表がある。
限度額なし。
応能負担
利用者と扶養義務者それぞれの費用徴収表がある。(障害児は扶養義務者のみ)
限度額あり。
応能負担
1割負担
限度額あり
負担の軽減
一ヶ月の負担の限度額あり
 
一ヶ月の負担の限度額あり
一ヶ月の負担の限度額あり(高額介護サービス費)
制度導入時には、ホームヘルプサービスについて1割負担に関する軽減の経過措置あり。
生活保護の介護扶助のみ適用する仕組み(単給)あり
社会福祉法人等が利用者負担を減免する場合、行政がその一部を補填する仕組みあり



介護保険制度の概要

介護保険制度の概要の図


(注1)65歳以上の者(第1号被保険者)の数は、平成15年6月末現在。40歳から64歳までの者(第2号被保険者)の数は、平成15年度の見込数。
(注2)国の負担(25%)及び1号保険料の負担(18%)は全国平均の値。


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