検討会、研究会等  審議会議事録  厚生労働省ホームページ

老老発第0427001号
平成16年4月27日






都道府県
指定都市
中核市
保健所設置市(区)





老人保健主管部(局)長 殿
厚生労働省老健局老人保健課長


「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」
の一部改正について



 がん検診等については、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針について」(平成10年3月31日老健第64号)において、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(以下「がん検診指針」という。)をお示ししているところであるが、今般、「がん検診に関する検討会」(座長:垣添忠生国立がんセンター総長)において、受診率の向上及び死亡率減少効果のある検診を推進する観点から検討を行い、中間報告書を取りまとめたところである。
 当該中間報告書においては、
 ・  乳がんについては、マンモグラフィ(乳房エックス線検査)を原則として実施することとし、年齢による乳腺密度やマンモグラフィによる検診体制の整備状況を考慮して、当分の間は視触診も併せて実施すること
 ・  子宮がん(子宮頚部がん及び子宮体部がんをいう。)については、
(1) 子宮頚部がんの罹患のリスクが上昇傾向にある若年層に対して、活発な性活動などの危険因子の周知を行うとともに、十分に受診の機会を提供すること
(2) 子宮頚部がん検診の受診者のうち、子宮体部がんの有症状者及びハイリスク者に対しては、第一選択として、十分な安全管理のもとで多様な検査を実施することができる医療機関の受診を勧奨すること。しかしながら、本人が同意する場合には、子宮頚部がん検診に併せて、適切な安全管理のもとでの子宮体部の細胞診を実施すること
等を提言している。
 「がん検診に関する検討会」の中間報告書を踏まえ、がん検診指針の一部を別添のとおり改正し、本日から適用することとしたので、貴管下市町村及び関係団体に対し周知方をお願いする。
 また、がん検診等については、平成16年度中に全ての市町村で改正後のがん検診指針に則して事業が実施されるよう、貴管下市町村及び関係団体と連携を図り、特段のご配慮をお願いする。


(照会先)
 厚生労働省 老健局 老人保健課
保健指導係
 担当 須藤  佐久間
 電話 代表 :03-5253-1111 内線3946
 直通 :03-3595-2490



別添
がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針新旧対照表

改正後 改正前
1 目的
 がんは、わが国における総死亡の約3割を占めており、全がん死亡率は現在も増加傾向にある。一方、予防に関する知識の普及や早期発見を通じて、がん予防が期待されるものも少なくないことから、がん予防重点健康教育及びがん検診を実施し、がん死亡を減少させることを目標とする。

2 がん予防重点健康教育
 重点課題
がん予防重点健康教育の課題は、次のとおりとする。
 (1)  子宮がん(子宮頚部がん及び子宮体部がんをいう。以下同じ。)予防健康教育
1 目的
 がんは、わが国における総死亡の約3割を占めており、全がん死亡率は現在も増加傾向にある。一方、予防に関する知識の普及や早期発見を通じて、がん予防が期待されるものも少なくないことから、がん予防重点健康教育及びがん検診を実施し、がん死亡を減少させることを目標とする。

2 がん予防重点健康教育
 重点課題
 がん予防重点健康教育の課題は、次のとおりとする。
 (2)  肺がん予防健康教育
 (3)  乳がん予防健康教育
 (4)  大腸がん予防健康教育

 教育内容
 がん予防重点健康教育は、概ね次に掲げる事項に関して行うものとする。
 (1)  子宮がんに関する正しい知識及び活発な性活動と子宮頚部がんの関係の理解等について
 (1)  肺がん予防健康教育
 (2)  乳がん予防健康教育
 (3)  大腸がん予防健康教育

 教育内容
 がん予防重点健康教育は、概ね次に掲げる事項に関して行うものとする。
 (2)  肺がんに関する正しい知識及び喫煙と肺がんとの関係の理解等について
 (3)  乳がんに関する正しい知識及び乳がんの自己触診の方法等について
 (4)  大腸がんに関する正しい知識及び食生活等と大腸がんとの関係の理解等について

 その他の事項については、「保健事業実施要領の全部改正について」(平成12年3月31日老健第334号厚生省老人保健福祉局長通知)の別添「保健事業実施要領」の第3健康教育等に準ずるものとする。

 その他の留意事項
 (1)  子宮がん予防健康教育を行う場合にあっては、子宮 頚部がんの多くに性感染症であるヒトパピローマウイルスが関与していることを踏まえ、必要に応じ、教育関係者や母子保健担当者とも連携を図る等、その効率的・効果的な実施に配慮すること。
 (1)  肺がんに関する正しい知識及び喫煙と肺がんとの関係の理解等について
 (2)  乳がんに関する正しい知識及び乳がんの自己検診の方法等について
 (3)  大腸がんに関する正しい知識及び食生活等と大腸がんとの関係の理解等について

 その他の事項については、「保健事業実施要領の全部改正について」(平成12年3月31日老健第334号厚生省老人保健福祉局長通知)の別添「保健事業実施要領」の第3健康教育等に準ずるものとする。

 その他の留意事項
 (2)  肺がん予防健康教育を行う場合にあっては、肺がん検診の実施会場において同時に実施する等、他の事業との連携や対象者の利便に配慮すること。
 (3)  乳がん予防健康教育を行う場合にあっては、わが国 での40歳代の女性に罹患率が高い状況を踏まえ、働く女性に対する健康教育を実施する産業保健とも緊密な連携を有した実施体制をとる等、その効率的・効果的な実施に配慮すること。
 (1)  肺がん予防健康教育又は乳がん予防健康教育を行う場合にあっては、それぞれ肺がん検診又は乳がん検診の実施会場において同時に実施する等他の事業との連携や対象者の利便に配慮すること。
 (4)  大腸がん予防健康教育を行う場合にあっては、大腸がん予防の上で食生活改善等の一次予防と二次予防(検診)とが共に重要な役割を担う点を踏まえ、大腸がん検診と緊密な連携を有した実施体制をとる等、その効率的・効果的な実施に配慮すること。

3 がん検診
 総論
 (1)  がん検診の種類
 がん検診の種類は、次の診査及び当該診査に基づく指導とする。
  ア  胃がん検診
  イ  子宮がん検診
  ウ  肺がん検診
  エ  乳がん検診
  オ  大腸がん検診
  カ  総合がん検診
 (2)  対象者
  ア  胃がん検診、肺がん検診、乳がん検診及び大腸がん 検診については、当該市町村の区域内に居住地を有する40歳以上の者を対象とする。
  イ  子宮がん検診については、当該市町村の区域内に居住地を有する20歳以上の者を対象とする。
  ウ  総合がん検診については、当該市町村の区域内に居住地を有する40歳及び50歳の者を対象とする。
 (3)  実施回数
 がん検診は、原則として同一人について年1回行うものとする。ただし、乳がん検診及び子宮がん検診に ついては、原則として同一人について2年に1回行うも のとする。なお、総合がん検診を行った者については、胃がん検診、子宮がん検診、肺がん検診、乳がん検診及び大腸がん検診は行うことを要しないものとする。
 (2)  大腸がん予防健康教育を行う場合にあっては、大腸がん予防の上で食生活改善等の一次予防と二次予防(検診)とが共に重要な役割を担う点を踏まえ、大腸がん検診と緊密な連携を有した実施体制をとる等、その効率的・効果的な実施に配慮すること。

3 がん検診
 総論
 (1)  がん検診の種類
 がん検診の種類は、次の診査及び当該診査に基づく指導とする。
  ア  胃がん検診
  イ  子宮がん検診
  ウ  肺がん検診
  エ  乳がん検診
  オ  大腸がん検診
  カ  総合がん検診
 (2)  対象者
  ア  胃がん検診、肺がん検診及び大腸がん検診については、当該市町村の区域内に居住地を有する40歳以上の者を対象とする。
  イ  子宮がん検診及び乳がん検診については、当該市町村の区域内に居住地を有する30歳以上の者を対象とする。
  ウ  総合がん検診については、当該市町村の区域内に居住地を有する40歳及び50歳の者を対象とする。
 (3)  実施回数
 がん検診は、原則として同一人について年1回行うものとする。ただし、乳がん検診(乳房エックス線検査を行う者に限る)については、原則として同一人について2年に1回行うものとする。なお、総合がん検診を行った者については、胃がん検診、子宮がん検診、肺がん検診、乳がん検診及び大腸がん検診は行うことを要しないものとする。
 胃がん検診
 (1)  目的
 胃がんは我が国のがんの中でも最も多くみられ、これを早期に発見し治療に結び付けることは、がん予防対策上重要な課題であり、このため胃がん検診を実施し早期に発見することによって、がんの予防を図ることを目的とする。

 (2)  検診の実施
 検診項目は、問診及び胃部エックス線検査とする。
  ア  問診
 問診に当たっては、現在の病状、既往歴、家族歴、過去の検診の受診状況等を聴取する。
  イ  胃部エックス線検査
  (ア)  胃部エックス線検査においては、胃がんの疑いのある者を効率的にスクリーニングする点を考慮し、原則として間接撮影とするが、地域の実情に応じ、直接撮影を用いて差し支えない。間接撮影は7×7cm以上のフィルムを用い、撮影装置は被曝線量の低減を図るため、I.I方式が望ましい。
  (イ)  撮影枚数は最低7枚とする。
  (ウ)  撮影の体位及び方法は日本消化器集団検診学会の方式によるものとする。
  (エ)  造影剤の使用に当たっては、その濃度を適切に保つとともに、副作用等の事故に注意する。
 (3)  胃部エックス線写真読影
 胃部エックス線写真の読影は、原則として十分な経験を有する2名以上の医師によって行うものとする。
 (4)  結果の通知
 検診の結果については、精密検査の必要性の有無を附し、受診者に速やかに通知する。
 (5)  記録の整備
 検診の記録は、氏名、年齢、住所、過去の検診受診状況、胃部エックス線写真の読影の結果、精密検査の必要性の有無等を記録するものとする。
 また、受診指導の記録を併せて整理するほか、必要に応じて個人票を作成し、治療の状況等を記録するものとする。
 (6)  受託実施機関
  ア  受託実施機関は、常に日本消化器集団検診学会の定めたところにより精度管理を行わなければならない。
  イ  胃部エックス線写真は、少なくとも3年間保存しなければならない。

 子宮がん検診
 (1)  目的
 子宮がんは早期治療を行えばほとんど治ゆすることから、早期発見は重要である。子宮がん検診は、子宮部及び体部に発生するがんを早期に発見するために行う。
 (2)  検診の実施
 検診項目は問診、視診、子宮部の細胞診及び内診とし、必要に応じてコルポスコープ検査を行う。
 問診の結果、子宮体部がんの有症状者及びハイリスク者に対しては、第一選択として、十分な安全管理のもとで多様な検査を実施することができる医療機関の受診を勧奨する。ただし、引き続き子宮体部の細胞診(子宮内膜細胞診)を実施することについて本人が同意する場合には、子宮頚部がん検診に併せて引き続き子宮体部の細胞診を行う。
 胃がん検診
 (1)  目的
 胃がんは我が国のがんの中でも最も多くみられ、これを早期に発見し治療に結び付けることは、がん予防対策上重要な課題であり、このため胃がん検診を実施し早期に発見することによって、がんの予防を図ることを目的とする。

 (2)  検診の実施
 検診項目は、問診及び胃部エックス線検査とする。
  ア  問診
 問診に当たっては、現在の病状、既往歴、家族歴、過去の検診の受診状況等を聴取する。
  イ  胃部エックス線検査
  (ア)  胃部エックス線検査においては、胃がんの疑いのある者を効率的にスクリーニングする点を考慮し、原則として間接撮影とするが、地域の実情に応じ、直接撮影を用いて差し支えない。間接撮影は7×7cm以上のフィルムを用い、撮影装置は被曝線量の低減を図るため、I.I方式が望ましい。
  (イ)  撮影枚数は最低7枚とする。
  (ウ)  撮影の体位及び方法は日本消化器集団検診学会の方式によるものとする。
  (エ)  造影剤の使用に当たっては、その濃度を適切に保つとともに、副作用等の事故に注意する。
 (3)  胃部エックス線写真読影
 胃部エックス線写真の読影は、原則として十分な経験を有する2名以上の医師によって行うものとする。
 (4)  結果の通知
 検診の結果については、精密検査の必要性の有無を附し、受診者に速やかに通知する。
 (5)  記録の整備
 検診の記録は、氏名、年齢、住所、過去の検診受診状況、胃部エックス線写真の読影の結果、精密検査の必要性の有無等を記録するものとする。
 また、受診指導の記録を併せて整理するほか、必要に応じて個人票を作成し、治療の状況等を記録するものとする。
 (6)  受託実施機関
  ア  受託実施機関は、常に日本消化器集団検診学会の定めたところにより精度管理を行わなければならない。
  イ  胃部エックス線写真は、少なくとも3年間保存しなければならない。

 子宮がん検診
 (1)  目的
 子宮がんは早期治療を行えばほとんど治ゆすることから、早期発見は重要である。子宮がん検診は、子宮頸部及び体部に発生するがんを早期に発見するために行う。
 (2)  検診の実施
 検診項目は問診、視診、子宮頸部の細胞診及び内診とし、必要に応じてコルポスコープ検査を行う。
 問診等の結果、医師が必要と認める者に対しては、引き続き子宮体部の細胞診(子宮内膜細胞診)を行う。
  ア  問診
 問診に当たっては、妊娠及び分娩歴、月経の状況、 不正性器出血等の症状の有無、過去の検診受診状況等を聴取する。
  イ  視診
 膣鏡を挿入し、子宮部の状況を観察する。
  ウ  細胞採取の方法
 子宮部の細胞診については、子宮管及び膣部表面の全面擦過法、子宮体部の細胞診については吸引法又は擦過法によって検体を採取し、迅速に固定した後、パパニコロウ染色を行い顕微鏡下で観察する。
  エ  内診
 双合診を実施する。
 (3)  子宮部及び子宮体部の細胞診の実施
  ア  検体の顕微鏡検査は、十分な経験を有する医師及び臨床検査技師を有する専門的検査機関において行う。この場合において、医師及び臨床検査技師は日本臨床細胞学会認定の細胞診指導医及び細胞検査士であることが望ましい。
  イ  子宮部の細胞診の結果は、細胞診クラス分類 (I、II、IIIa、IIIb、IV、V)によって分類し、精密検査の必要性の有無を決定し、速やかに検査を依頼した者に対し通知する。
  ウ  子宮体部の細胞診の結果は、「陰性」、「疑陽性」及び「陽性」に区分し、速やかに検査を依頼した者に対し通知する。
  エ  判定後の検体は、専門的検査機関において少なくとも3年間保存しなければならない。
 (4)  結果の通知
 子宮部の検診の結果については、精密検査の必要性の有無を附し、子宮体部の細胞診の結果については、子宮体部の細胞診の結果及びその他臨床症状等を総合的に判断して、精密検査の必要性の有無を決定し、受診者に速やかに通知する。
 (5)  記録の整備
 検診の記録は、氏名、年齢、住所、過去の検診受診状況、子宮部及び子宮体部の細胞診の結果、子宮部及び子宮体部のそれぞれの精密検査の必要性の有無等を記録するものとする。
 また、受診指導の記録に合わせて整理するほか、必要に応じて個人票を作成し、治療の状況等を記録するものとする。
 (6)  受託実施機関
  ア  受託実施機関は、細胞診を他の細胞診検査センター等に依頼する場合、細胞診検査機関の細胞診指導医や細胞検査士等の人員や設備等を十分に把握し、適切な機関を選ばなければならない。
  イ  検体は、少なくとも3年間保存しなければならないい。

 肺がん検診
 (1)  目的
 肺がんは、わが国のがんによる死亡の1位を占め、今後も増加傾向にあるものと予測されている。したがって、肺がんの予防はがん予防対策上重要な課題であり、その二次予防として、肺がんを早期に発見するために、肺がん検診を実施する。
 (2)  検診の実施
 検診項目は、問診、胸部エックス線検査及び喀痰細胞診とする。喀痰細胞診は、問診の結果、医師が必要と認める者に対して行う。
  ア  問診
 問診に当たっては、喫煙歴及び血痰の有無は必ず聴取し、かつ、過去の検診受診状況等を聴取する。
  イ  胸部エックス線検査
 胸部エックス線検査は、結核予防法(昭和26年法律第96号)第4条第3項に規定する定期の健康診断等において撮影された肺がん検診に適格な胸部エックス線写真を用いた読影とする。
  ウ  喀痰採取の方法
 問診の結果、喀痰細胞診の対象とされた者に喀痰採取容器を配布し、喀痰を採取する。喀痰は、起床時の早朝痰を原則とし、最低3日の蓄痰又は3日の連続採痰とする。
 また、採取した喀痰(細胞)は、固定した後、パパニコロウ染色を行い顕微鏡下で観察する。
 (3)  胸部エックス線写真の読影方法
 胸部エックス線写真は、2名以上の医師(うち1名は、十分な経験を有すること)によって読影することとし、その結果に応じて過去に撮影した胸部エックス線写真と比較読影する。
 (4)  喀痰細胞診の実施
  ア  検体の顕微鏡検査は、十分な経験を有する医師及び臨床検査技師を有する専門的検査機関において行う。この場合において、医師及び臨床検査技師は、日本臨床細胞学会認定の細胞診指導医及び細胞検査士であることが望ましい。
 また、同一検体から作成された2枚以上のスライドは、2名以上の技師によりスクリーニングする。
  イ  専門的検査機関は、細胞診の結果について、速やかに検査を依頼した者に対し通知する。
  ウ  判定後の検体は、専門的検査機関において少なくとも3年間保存しなければならない。
 (5)  結果の通知
 検診の結果については、問診、胸部エックス線写真の読影の結果及び喀痰細胞診の結果を総合的に判断して、精密検査の必要性の有無を決定し、受診者に速やかに通知する。
 (6)  記録の整備
 検診の記録は、氏名、年齢、住所、過去の検診受診状況、胸部エックス線読影及び喀痰細胞診の結果、精密検査の必要性の有無等を記録するものとする。
 また、受診指導の記録を併せて整理するほか、必要に応じて個人票を作成し、医療機関における確定診断の結果、治療の状況等を記録するものとし、さらに、精密検査の結果がんと診断された者については、必ず個人票を作成し、組織型、臨床病期、治療の状況(切除の有無を含む。)等について記録するものとする。
 (7)  受託実施機関
  ア  受託実施機関は、細胞診を他の細胞診検査センター 等に依頼する場合、細胞診検査機関の細胞診指導医や細胞検査士等の人員や設備等を十分に把握し、適切な機関を選ばなければならない。
  イ  喀痰細胞診に係る検体及び検診結果は、少なくとも3年間保存しなければならない。
 (8)  検診の実施体制
 肺がん検診の実施に当たっては、精度管理等の検診の実施体制の整っていることを要件とする。
 (9)  肺がんの予防についての指導
 喫煙の肺がん発生に対する寄与率は高く、一次予防としての喫煙等の指導及び肺がんに関する正しい知識等の啓発普及は極めて重要である。したがって、検診や肺がん予防健康教育等の場を利用するとともに、必要な者に対しては喫煙者個別健康教育を実施し、禁煙についての教育・指導を推進する。一方、若年層に対しても、積極的に禁煙及び防煙に関する指導並びに肺がんに関する正しい知識等の啓発普及を図るよう努めるなど、防煙・禁煙・分煙にわたる、総合的なたばこ対策の推進を図るよう努める。

 乳がん検診
 (1)  目的
 乳がんの罹患率及び死亡率は、年々増加している。乳がんは、早期に発見し、治療を行えば、予後は良好であり、乳房の温存による生活の質の維持・向上が期待される。乳がん検診は、乳房に発生するがんを早期に発見するために実施する。
  ア  問診
 問診に当たっては、妊娠及び分娩歴、月経の状況、不正性器出血等の症状の有無、過去の検診受診状況等を聴取する。
  イ  視診
 膣鏡を挿入し、子宮頸部の状況を観察する。
  ウ  細胞採取の方法
 子宮頸部の細胞診については、子宮頸管及び膣部表面の全面擦過法、子宮体部の細胞診については吸引法又は擦過法によって検体を採取し、迅速に固定した後、パパニコロウ染色を行い顕微鏡下で観察する。
  エ  内診
 双合診を実施する。
 (3)  子宮頸部及び子宮体部の細胞診の実施
  ア  検体の顕微鏡検査は、十分な経験を有する医師及び臨床検査技師を有する専門的検査機関において行う。この場合において、医師及び臨床検査技師は日本臨床細胞学会認定の細胞診指導医及び細胞検査士であることが望ましい。
  イ  子宮頸部の細胞診の結果は、細胞診クラス分類(I、II、IIIa、IIIb、IV、V)によって分類し、精密検査の必要性の有無を決定し、速やかに検査を依頼した者に対し通知する。
  ウ  子宮体部の細胞診の結果は、「陰性」、「疑陽性」及び「陽性」に区分し、速やかに検査を依頼した者に対し通知する。
  エ  判定後の検体は、専門的検査機関において少なくとも3年間保存しなければならない。
 (4)  結果の通知
 子宮頸部の検診の結果については、精密検査の必要性の有無を附し、子宮体部の検診の結果については、子宮体部の細胞診の結果及びその他臨床症状等を総合的に判断して、精密検査の必要性の有無を決定し、受診者に速やかに通知する。
 (5)  記録の整備
 検診の記録は、氏名、年齢、住所、過去の検診受診状況、子宮頸部及び子宮体部の細胞診の結果、子宮頸部及び子宮体部のそれぞれの精密検査の必要性の有無等を記録するものとする。
 また、受診指導の記録に合わせて整理するほか、必要に応じて個人票を作成し、治療の状況等を記録するものとする。
 (6)  受託実施機関
  ア  受託実施機関は、細胞診を他の細胞診検査センター等に依頼する場合、細胞診検査機関の細胞診指導医や細胞検査士等の人員や設備等を十分に把握し、適切な機関を選ばなければならない。
  イ  検体は、少なくとも3年間保存しなければならないい。

 肺がん検診
 (1)  目的
 肺がんは、わが国のがんによる死亡の1位を占め、今後も増加傾向にあるものと予測されている。したがって、肺がんの予防はがん予防対策上重要な課題であり、その二次予防として、肺がんを早期に発見するために、肺がん検診を実施する。
 (2)  検診の実施
 検診項目は、問診、胸部エックス線検査及び喀痰細胞診とする。喀痰細胞診は、問診の結果、医師が必要と認める者に対して行う。
  ア  問診
 問診に当たっては、喫煙歴及び血痰の有無は必ず聴取し、かつ、過去の検診受診状況等を聴取する。
  イ  胸部エックス線検査
 胸部エックス線検査は、結核予防法(昭和26年法律第96号)第4条第3項に規定する定期の健康診断等において撮影された肺がん検診に適格な胸部エックス線写真を用いた読影とする。
  ウ  喀痰採取の方法
 問診の結果、喀痰細胞診の対象とされた者に喀痰採取容器を配布し、喀痰を採取する。喀痰は、起床時の早朝痰を原則とし、最低3日の蓄痰又は3日の連続採痰とする。
 また、採取した喀痰(細胞)は、固定した後、パパニコロウ染色を行い顕微鏡下で観察する。
 (3)  胸部エックス線写真の読影方法
 胸部エックス線写真は、2名以上の医師(うち1名は、十分な経験を有すること)によって読影することとし、その結果に応じて過去に撮影した胸部エックス線写真と比較読影する。
 (4)  喀痰細胞診の実施
  ア  検体の顕微鏡検査は、十分な経験を有する医師及び臨床検査技師を有する専門的検査機関において行う。この場合において、医師及び臨床検査技師は、日本臨床細胞学会認定の細胞診指導医及び細胞検査士であることが望ましい。
 また、同一検体から作成された2枚以上のスライドは、2名以上の技師によりスクリーニングする。
  イ  専門的検査機関は、細胞診の結果について、速やかに検査を依頼した者に対し通知する。
  ウ  判定後の検体は、専門的検査機関において少なくとも3年間保存しなければならない。
 (5)  結果の通知
 検診の結果については、問診、胸部エックス線写真の読影の結果及び喀痰細胞診の結果を総合的に判断して、精密検査の必要性の有無を決定し、受診者に速やかに通知する。
 (6)  記録の整備
 検診の記録は、氏名、年齢、住所、過去の検診受診状況、胸部エックス線読影及び喀痰細胞診の結果、精密検査の必要性の有無等を記録するものとする。
 また、受診指導の記録を併せて整理するほか、必要に応じて個人票を作成し、医療機関における確定診断の結果、治療の状況等を記録するものとし、さらに、精密検査の結果がんと診断された者については、必ず個人票を作成し、組織型、臨床病期、治療の状況(切除の有無を含む。)等について記録するものとする。
 (7)  受託実施機関
  ア  受託実施機関は、細胞診を他の細胞診検査センター等に依頼する場合、細胞診検査機関の細胞診指導医や細胞検査士等の人員や設備等を十分に把握し、適切な機関を選ばなければならない。
  イ  喀痰細胞診に係る検体及び検診結果は、少なくとも3年間保存しなければならない。
 (8)  検診の実施体制
 肺がん検診の実施に当たっては、精度管理等の検診の実施体制の整っていることを要件とする。
 (9)  肺がんの予防についての指導
 喫煙の肺がん発生に対する寄与率は高く、一次予防としての喫煙等の指導及び肺がんに関する正しい知識等の啓発普及は極めて重要である。したがって、検診や肺がん予防健康教育等の場を利用するとともに、必要な者に対しては喫煙者個別健康教育を実施し、禁煙についての教育・指導を推進する。一方、若年層に対しても、積極的に禁煙及び防煙に関する指導並びに肺がんに関する正しい知識等の啓発普及を図るよう努めるなど、防煙・禁煙・分煙にわたる、総合的なたばこ対策の推進を図るよう努める。

 乳がん検診
 (1)  目的
 乳がんのり患率及び死亡率は、年々増加している。乳がんは、早期に発見し、治療を行えば予後は良好である。乳がん検診は、乳房に発生するがんを早期に発見するために実施する。
 (2)  検診の実施
 検診項目は、問診、乳房エックス線検査(マンモグラフィ)並びに視診及び触診(以下「視触診」という。)とする。乳房エックス線写真の読影と視触診は、両者を同時に実施することを原則とする。なお、乳房エックス線写真の二重読影については、この限りではない。
 (2)  検診の実施
 検診項目は、50歳未満の対象者については、問診並びに視診及び触診(以下、「視触診」という。)とする。
50歳以上の対象者については、原則として、問診、視触診及び乳房エックス線検査とする。視触診と乳房エックス線写真の読影は、両者を同時に実施することを原則とするが、当面の間についてはその限りではない。
  ア  問診
 問診に当たっては、乳がんの家族歴、既往歴、月経及び妊娠等に関する事項、乳房の状態、過去の検診受診状況等を聴取する。
  イ  視診
 乳房、乳房皮膚、乳頭及び腋窩の状況を観察する。
  ウ  触診
 乳房、乳頭及びリンパ節の触診を行う。
  エ  乳房エックス線検査
  (ア)  別紙に規定する基準に適合した実施機関において、両側乳房について、内外斜位方向撮影を行う。
  (イ)  40歳以上50歳未満の対象者については、(ア)における内外斜位方向撮影とともに、頭尾方向撮影も併せて行う。
  ア  問診
 問診に当たっては、乳がんの家族歴、既往歴、月経及び妊娠等に関する事項、乳房の状態、過去の検診受診状況等を聴取する。
  イ  視診
 乳房、乳房皮膚、乳頭及び腋窩の状況を観察する。
  ウ  触診
 乳房、乳頭及びリンパ節の触診を行う。
  エ  乳房エックス線検査
  (ア)  別紙に規定する基準に適合した実施機関において、両側乳房について、内外斜位方向撮影を行う。
  (ウ)  乳房エックス線写真の読影は、適切な読影環境の下において、二重読影(うち1名は十分な経験を有する医師であること)により行う。
 (3)  結果の通知
 検診の結果については、問診、乳房エックス線検査及び視触診の結果を総合的に判断して、精密検査の必要性の有無を決定し、受診者に速やかに通知する。
  (イ)  乳房エックス線写真の読影は、適切な読影環境の下において、二重読影(うち1名は十分な経験を有する医師であること)により行う。
 (3)  結果の通知
 検診の結果については、問診、視触診及び乳房エックス線検査(ただし当該検査を実施した場合に限る。以下同じ。)の結果を総合的に判断して、精密検査の必要性の有無を決定し、受診者に速やかに通知する。
 (4)  記録の整備
 検診の記録は、氏名、年齢、住所、過去の検診受診状況、乳房エックス線検査及び視触診の結果、精密検査の必要性の有無等を記録するものとする。
 また、受診指導の記録を合わせて整理するほか、必要に応じて個人票を作成し、医療機関における確定診断の結果、治療の状況等を記録するものとする。
 (5)  検診の実施体制
 乳がん検診の実施に当たっては、精度管理等の検診の実施体制の整っていることを要件とする。
 特に、乳房エックス線検査については、適切な方法及び精度管理の下に実施することが不可欠であることから、市町村は、保健所、地域医師会、受託実施機関等関係者と十分協議を行い、地域における実施体制の整備に努めるものとする。
 (4)  記録の整備
 検診の記録は、氏名、年齢、住所、過去の検診受診状況、視触診及び乳房エックス線検査の結果、精密検査の必要性の有無等を記録するものとする。
 また、受診指導の記録を合わせて整理するほか、必要に応じて個人票を作成し、医療機関における確定診断の結果、治療の状況等を記録するものとする。
 (5)  検診の実施体制
 乳がん検診の実施に当たっては、精度管理等の検診の実施体制の整っていることを要件とする。
 特に、乳房エックス線検査については、適切な方法及び精度管理の下に実施することが不可欠であることから、市町村は、保健所、地域医師会、受託実施機関等関係者と十分協議を行い、地域における実施体制及び実施可 能性を勘案した上で、その導入について判断するものとする。
   また、都道府県に設置されている成人病検診管理指導協議会乳がん部会は、検診が適切な方法及び精度管理の下で円滑に実施されるよう、広域的な見地から地域医師会、受託実施機関、精密検査機関等関係者と調整を行う。
 (6)  乳がんの予防についての指導
 乳がんは日常の健康管理の一環としての自己触診によって、しこり(腫瘤)が触れるなどの自覚症状を認めることにより発見される場合がある。したがって、検診の場で受診者に対し、定期的な乳房エックス線検査による乳がん検診を受診することの重要性だけでなく、乳がんの自己触診の方法、しこりを触れた場合の速やかな医療機関の受診、またその際の乳房疾患を専門とする医療機関の選択等について啓発普及を図るよう努める。
   また、都道府県に設置されている成人病検診管理指導協議会乳がん部会は、検診が適切な方法及び精度管理の下で円滑に実施されるよう、広域的な見地から地域医師会、受託実施機関、精密検査機関等関係者と調整を行う。
 (6)  乳がんの予防についての指導
 乳がんは二次予防としての自己検診が可能ながんであり、その効果も高い。したがって、乳がん検診の場で受診者に対し、定期的な検診受診の重要性だけでなく、乳がんの自己検診の方法、乳がんに関する正しい知識等について啓発普及を図るよう努める。
 大腸がん検診
 (1)  目的
 近年増加しつつある大腸がんは、将来がん患者数の1位を占めるものと推計されている。しかし、大腸がんは早期に発見すれば治癒し、死亡率を減少させることが可能である。このため、大腸がん検診を実施するものである。
 (2)  検診計画の策定等
 大腸がん検診の実施に当たっては、精密検査の実施体制が整っていることが不可欠である。このため、市町村は、保健所、地域医師会、受託実施機関等関係者と十分協議の上、地域医療機関の大腸精密検査対応能力を勘案し、検診計画を策定する。
 また、都道府県に設置されている成人病検診管理指導協議会大腸がん部会は、市町村が策定した検診計画について、検診が円滑に実施されるよう広域的な見地から医師会、受託実施機関、精密検査機関等関係者と調整を行う。
 (3)  検診の実施
 検診項目は、問診及び便潜血検査とする。
  ア  問診
 問診に当たっては、現在の症状、既往歴、家族歴、過去の受診状況等を聴取する。
  イ  便潜血検査
 免疫便潜血検査2日法で行う。
  (ア)  測定用キット
 それぞれの測定用キットの特性並びに市町村における検体処理数及び採便から測定までの時間等を勘案して、最適のものを採用する。
  (イ)  採便方法
 採便用具(ろ紙、スティック等)を配布し、自己採便とする。
 なお、採便用具の使用方法、採便量、初回採便から2回目までの日数、初回採便後の検体の保管方法等は検診精度に大きな影響を与えるので、採便用具の配布に際してはその旨を受診者に十分説明する。
また、採便用具の配布は、検体の回収日時を考慮して適切な時期に行う。
  (ウ)  検体の回収
 初回の検体は、受診者の自宅において冷蔵保存(冷蔵庫での保存が望ましい。)し、2回目の検体を採取した後即日回収することを原則とする。やむを得ず即日回収できない場合も、回収までの時間を極力短縮し、検体の回収、保管、輸送の各過程で温度管理に厳重な注意を払うこととする。
 なお、検診受診者から受託実施機関への検体郵送は、温度管理が困難であり、検査の精度が下がるので原則として行わないものとする。
  (エ)  検体の測定
 検体回収後速やかに行う。速やかな測定が困難な場合は、冷蔵保存することとする。
 (4)  検診結果の区分
 大腸がん検診の結果は、問診結果を参考に、免疫便潜血検査結果により判断し、「便潜血陰性」及び「要精検」に区分する。
 (5)  結果の通知
 検診の結果については、精密検査の必要性の有無を附し、受診者に速やかに通知する。
 (6)  記録の整備
 検診の記録は、氏名、性別、年齢、住所、過去の検診受診状況、受診指導の記録、検診結果、精密検査の必要性の有無、精密検査受診の有無、精密検査の確定診断の結果等を記録するものとする。また、必要に応じ個人票を作成し、これらの情報について整理するほか、治療の状況や予後その他必要な事項についても記録するものとする。
 (7)  受託実施機関
  ア  受託実施機関は、検診の精度を向上させるため、検診機器の保守点検、整備及び検査等の標準化に関するチェック機構の確立並びに検診従事者の資質の向上に努めなければならない。
  イ  受託実施機関は、大腸がんに関する正確な知識及び技能を有するものでなければならない。
  ウ  受託実施機関は、検体の測定を適正な方法で原則として自ら行わなければならない。
  エ  受託実施機関は、精密検査実施施設と連絡をとり、精密検査結果の把握に努めなければならない。
  オ  受託実施機関は、検診結果を少なくとも3年間保存しなければならない。
 (8)  検診の実施体制
 大腸がん検診の実施に当たっては、精密検査の実施体制が整っていることを要件とする。なお、精密検査は、原則として全大腸内視鏡検査又はS状結腸内視鏡検査及び注腸エックス線検査(二重造影法)とする。

 総合がん検診
 (1)  目的
 総合がん検診は、地域住民の多様なニーズに対応する観点から、節目検診として総合的ながん検診を行うことを目的とする。
 (2)  実施方法
 総合がん検診は、がん検診のすべてを同時に実施するものであり、原則として同時実施が可能な医療機関において実施するものとする。
 (3)  検診の実施
 総合がん検診は、2から6までに規定する検査の項目及び次に掲げる検査の項目(医師が必要と認める者について行う場合に限る。)について、2から6までに規定する実施の方法及び次に掲げる実施の方法により実施する。ただし、肺がん検診における胸部エックス線検査については、検診実施医療機関で直接撮影により撮影された胸部エックス線写真を用いるものとする。
 直腸検査
 原則として直腸鏡検査を実施する。
 (4)  その他
 「結果の通知」、「記録の整備」、「受託実施機関」等については、2から6までに定めるところに準じて実施するものとする。

 受診指導
 (1)  目的
 がん検診の結果「要精検」と判定された者について、医療機関への受診を指導することにより、的確な受診が確保されることを目的とする。
 (2)  対象者
 がん検診の結果「要精検」と判定された者
 (3)  受診指導の実施
  ア  指導の内容
 がん検診の結果「要精検」と判定された者に対し、医療機関への受診を指導する。
  イ  結果等の把握
 医療機関との連携の下に、受診結果等について把握に努めること。
 (4)  記録の整備
 受診指導及びその後の受診状況の記録は、診査の記録に合わせて記録し、継続的な指導に役立てるものとする。

 その他の事項については、「保健事業実施要領の全部改正について」の別添「保健事業実施要領」の第5健康診査等に準ずるものとする。

10  健康手帳にがん検診の記録に係るページを設ける場合にあっては、別添様式を標準的な様式例とする。

11  その他の留意事項
  別紙のとおりとする。

 (10 別添様式は省略)

別紙
がん検診実施上の留意事項

 子宮体部の細胞診
 (1)  子宮体部の細胞診の実施
    対象者
 子宮頚部がんの問診の結果により、有症状者及びハイリスク者に対しては、第一選択として、十分な安全管理のもとで多様な検査を実施することができる医療機関の受診を勧奨することとなるが、引き続き子宮体部の細胞診(子宮内膜細胞診)を実施することについて本人が同意する場合には、子宮頚部がん検診に併せて引き続き子宮体部の細胞診を実施する。
 なお、子宮体部の細胞診の対象者は、日本産科婦人科学会を中心とする関連学会等によって作成される予定のガイドラインを参考とする。
 大腸がん検診
 (1)  目的
 近年増加しつつある大腸がんは、将来がん患者数の1位を占めるものと推計されている。しかし、大腸がんは早期に発見すれば治癒し、死亡率を減少させることが可能である。このため、大腸がん検診を実施するものである。
 (2)  検診計画の策定等
 大腸がん検診の実施に当たっては、精密検査の実施体制が整っていることが不可欠である。このため、市町村は、保健所、地域医師会、受託実施機関等関係者と十分協議の上、地域医療機関の大腸精密検査対応能力を勘案し、検診計画を策定する。
 また、都道府県に設置されている成人病検診管理指導協議会大腸がん部会は、市町村が策定した検診計画について、検診が円滑に実施されるよう広域的な見地から医師会、受託実施機関、精密検査機関等関係者と調整を行う。
 (3)  検診の実施
 検診項目は、問診及び便潜血検査とする。
  ア  問診
 問診に当たっては、現在の症状、既往歴、家族歴、過去の受診状況等を聴取する。
  イ  便潜血検査
 免疫便潜血検査2日法で行う。
  (ア)  測定用キット
 それぞれの測定用キットの特性並びに市町村における検体処理数及び採便から測定までの時間等を勘案して、最適のものを採用する。
  (イ)  採便方法
 採便用具(ろ紙、スティック等)を配布し、自己採便とする。
 なお、採便用具の使用方法、採便量、初回採便から2回目までの日数、初回採便後の検体の保管方法等は検診精度に大きな影響を与えるので、採便用具の配布に際してはその旨を受診者に十分説明する。
また、採便用具の配布は、検体の回収日時を考慮して適切な時期に行う。
  (ウ)  検体の回収
 初回の検体は、受診者の自宅において冷蔵保存(冷蔵庫での保存が望ましい。)し、2回目の検体を採取した後即日回収することを原則とする。やむを得ず即日回収できない場合も、回収までの時間を極力短縮し、検体の回収、保管、輸送の各過程で温度管理に厳重な注意を払うこととする。
 なお、検診受診者から受託実施機関への検体郵送は、温度管理が困難であり、検査の精度が下がるので原則として行わないものとする。
  (エ)  検体の測定
 検体回収後速やかに行う。速やかな測定が困難な場合は、冷蔵保存することとする。
 (4)  検診結果の区分
 大腸がん検診の結果は、問診結果を参考に、免疫便潜血検査結果により判断し、「便潜血陰性」及び「要精検」に区分する。
 (5)  結果の通知
 検診の結果については、精密検査の必要性の有無を附し、受診者に速やかに通知する。
 (6)  記録の整備
 検診の記録は、氏名、性別、年齢、住所、過去の検診受診状況、受診指導の記録、検診結果、精密検査の必要性の有無、精密検査受診の有無、精密検査の確定診断の結果等を記録するものとする。また、必要に応じ個人票を作成し、これらの情報について整理するほか、治療の状況や予後その他必要な事項についても記録するものとする。
 (7)  受託実施機関
  ア  受託実施機関は、検診の精度を向上させるため、検診機器の保守点検、整備及び検査等の標準化に関するチェック機構の確立並びに検診従事者の資質の向上に努めなければならない。
  イ  受託実施機関は、大腸がんに関する正確な知識及び技能を有するものでなければならない。
  ウ  受託実施機関は、検体の測定を適正な方法で原則として自ら行わなければならない。
  エ  受託実施機関は、精密検査実施施設と連絡をとり、精密検査結果の把握に努めなければならない。
  オ  受託実施機関は、検診結果を少なくとも3年間保存しなければならない。
 (8)  検診の実施体制
 大腸がん検診の実施に当たっては、精密検査の実施体制が整っていることを要件とする。なお、精密検査は、原則として全大腸内視鏡検査又はS状結腸内視鏡検査及び注腸エックス線検査(二重造影法)とする。

 総合がん検診
 (1)  目的
 総合がん検診は、地域住民の多様なニーズに対応する観点から、節目検診として総合的ながん検診を行うことを目的とする。
 (2)  実施方法
 総合がん検診は、がん検診のすべてを同時に実施するものであり、原則として同時実施が可能な医療機関において実施するものとする。
 (3)  検診の実施
 総合がん検診は、2から6までに規定する検査の項目及び次に掲げる検査の項目(医師が必要と認める者について行う場合に限る。)について、2から6までに規定する実施の方法及び次に掲げる実施の方法により実施する。ただし、肺がん検診における胸部エックス線検査については、検診実施医療機関で直接撮影により撮影された胸部エックス線写真を用いるものとする。
 直腸検査
 原則として直腸鏡検査を実施する。
 (4)  その他
 「結果の通知」、「記録の整備」、「受託実施機関」等については、2から6までに定めるところに準じて実施するものとする。

 受診指導
 (1)  目的
 がん検診の結果「要精検」と判定された者について、医療機関への受診を指導することにより、的確な受診が確保されることを目的とする。
 (2)  対象者
 がん検診の結果「要精検」と判定された者
 (3)  受診指導の実施
  ア  指導の内容
 がん検診の結果「要精検」と判定された者に対し、医療機関への受診を指導する。
  イ  結果等の把握
 医療機関との連携の下に、受診結果等について把握に努めること。
 (4)  記録の整備
 受診指導及びその後の受診状況の記録は、診査の記録に合わせて記録し、継続的な指導に役立てるものとする。

 その他の事項については、「保健事業実施要領の全部改正について」の別添「保健事業実施要領」の第5健康診査等に準ずるものとする。

10  健康手帳にがん検診の記録に係るページを設ける場合にあっては、別添様式を標準的な様式例とする。

11  その他の留意事項
  別紙のとおりとする。

 (10 別添様式は省略)

別紙
がん検診実施上の留意事項

 子宮体部がんの検診
 (1)  検診の実施
    対象者
 子宮体部の細胞診(子宮内膜細胞診)の対象者は、原則として最近6月以内の不正性器出血を訴えたことのある者で、
  (ア)  年齢50歳以上の者
  (イ)  閉経以後の者
  (ウ)  未妊婦であって月経不規則の者
  のいずれかに該当する者とする。
  イ  問診の留意点
 問診時に聴取する不正性器出血は、いわゆる不正出血、閉経後出血、不規則月経、下着に付着した染み程度の赤色斑点(スポッティング)、一次的な少量の出血、褐色帯下等出血に起因するすべての状態を含む。したがって、問診の際にはこのような状態を正しく把握するよう留意する。
  ウ  細胞採取の留意点
 子宮体部の細胞診においては、吸引法又は擦過法によって子宮内膜細胞を採取するが、対象者は主として更年期又は更年期以後の婦人であることから、子宮管が狭くなっていること等を考慮し、吸引法及び擦過法の両器具を準備しておくことが望ましい。
 検診車や保健所等で検診を実施する場合であって、吸引法又は擦過法のいずれかの方法を用いても器具の挿入ができないときには、速やかに医療機関を受診するよう受診者に指導するとともに、医療機関における細胞診の結果等の把握に努める。
 (2)  指導区分等
 原則として、子宮体部の細胞診の判定結果が「疑陽性」及び「陽性」の者は「要精検」とし、「陰性」の者は、その他の臨床症状を勘案し精密検査受診の要否を決定するが、精密検査受診の必要がない場合は「精検不要」とし、それぞれ次の内容の指導を行う。
  ア  「要精検」と区分された者
 医療機関において精密検査を受診するよう指導する。
  イ  「精検不要」と区分された者
 日常生活において不正性器出血等に注意するよう指導する。
  イ  問診の留意点
 問診時に聴取する不正性器出血は、いわゆる不正出血、閉経後出血、不規則月経、下着に付着した染み程度の赤色斑点(スポッティング)、一次的な少量の出血、褐色帯下等出血に起因するすべての状態を含む。したがって、問診の際にはこのような状態を正しく把握するよう留意する。
  ウ  細胞採取の留意点
 子宮体部の細胞診においては、吸引法又は擦過法によって子宮内膜細胞を採取するが、対象者は主として更年期又は更年期以後の婦人であることから、子宮頸管が狭くなっていること等を考慮し、吸引法及び擦過法の両器具を準備しておくことが望ましい。
 検診車や保健所等で検診を実施する場合であって、吸引法又は擦過法のいずれかの方法を用いても器具の挿入ができないときには、速やかに医療機関を受診するよう受診者に指導するとともに、医療機関における細胞診の結果等の把握に努める。
 (2)  指導区分等
 原則として、子宮体部の細胞診の判定結果が「疑陽性」及び「陽性」の者は「要精検」とし、「陰性」の者は、その他の臨床症状を勘案し精密検査受診の要否を決定するが、精密検査受診の必要がない場合は「精検不要」とし、それぞれ次の内容の指導を行う。
  ア  「要精検」と区分された者
 医療機関において精密検査を受診するよう指導する。
  イ  「精検不要」と区分された者
 翌年の検診受診を勧めるとともに、日常生活において不正性器出血等に注意するよう指導する。
 肺がん検診
 (1)  喀痰細胞診の実施
  ア  対象者
 喀痰細胞診の対象者は、問診の結果、原則として
  (ア)  50歳以上で喫煙指数(1日本数×年数)600以上の者(過去における喫煙者を含む。)
  (イ)  6月以内に血痰のあった者
  のいずれかに該当することが判明した者とする。
  イ  喀痰採取の方法
 喀痰細胞診の対象者に有効痰の採取方法を説明し、保存液の入った喀痰採取容器を配布し、喀痰を採取する。喀痰は、起床時の早朝痰を原則とし、最低3日の蓄痰、又は3日の連続採痰とする。
 採取した喀痰(細胞)の処理方法は、以下のとおりである。
  (ア)  ホモジナイズ法又は蓄痰直接塗抹法により、2枚以上のスライドグラスに擦り合わせ式で塗抹する。塗抹面積はスライドグラス面の3分の2程度とする。
  (イ)  蓄痰直接塗抹法では粘血部、灰白色部等数箇所からピックアップし、擦り合わせ式で塗抹する。
  (ウ)  パパニコロウ染色を行い顕微鏡下で観察する。
  ウ  判定
 喀痰細胞診の結果の判定は、「肺癌集団検診の手びき」(日本肺癌学会集団検診委員会編)の「集団検診における喀痰細胞診の判定基準と指導区分」によって行う。
 (2)  胸部エックス線検査に用いる適格な写真
 胸部エックス線検査に用いる肺がん検診に適格な胸部エックス線写真とは、肺尖、肺野外側縁、横隔膜、肋骨横隔膜などを十分に含むようなエックス線写真であって、適度な濃度とコントラスト及び良好な鮮鋭度をもち、縦隔陰影に重なった気管、主気管支の透亮像並びに心陰影及び横隔膜に重なった肺血管が観察できるものであり、かつ、次により撮影されたものとする。
  ア  間接撮影であって、100mmミラーカメラを用い、定格出力150kv以上の撮影装置を用いた、120kv以上の管 電圧による撮影
  イ  間接撮影であって、定格出力125kvの撮影装置を用い、110kv以上の管電圧により、縦隔部の感度を肺野部に対して高めるため希土類(グラデーション型)蛍光板を用いた撮影
  ウ  直接撮影であって、被験者―管球間の距離を1.5m以上とし、定格出力150kv以上の撮影装置を用い、原則として120kv(やむを得ない場合は100〜120kvでも可) の管電圧及び希土類システム(希土類増感紙及びオルソタイプフィルム)を用いた撮影
 (3)  胸部エックス線写真の読影
 胸部エックス線写真は、2名以上の医師によって読影し、それぞれの読影結果に基づき比較読影する。その方法は、次のとおりとする。
  ア  二重読影
 2名以上の医師が同時に又はそれぞれ独立して読影するものとするが、このうち1名は十分な経験を有すること。読影結果の判定は、「肺癌集団検診の手びき」(日本肺癌学会集団検診委員会編)の「肺癌検診における胸部X線写真の判定基準と指導区分」によって行う。
  イ  比較読影
 二重読影の結果、「肺癌集団検診の手びき」(日本肺癌学会集団検診委員会編)の「肺癌検診における胸部X線写真の判定基準と指導区分」の「d」及び「e」に該当するものについては比較読影を行う。比較読影は、過去に撮影した胸部エックス線写真と比較しながら読影するもので、地域の実情に応じて次のいずれかの方法で行う。
  (ア)  読影委員会等を設置して比較読影を行う方法
  (イ)  二重読影を行った医師がそれぞれ比較読影を行う方法
  (ウ)  二重読影を行った医師のうち、指導的立場の医師が比較読影を行う方法
   読影結果の判定は、「肺癌集団検診の手びき」(日本肺癌学会集団検診委員会編)の「肺癌検診における胸部X線写真の判定基準と指導区分」によって行う。
 (4)  指導区分等
 指導区分は、「要精検」及び「精検不要」とし、それぞれ次の内容の指導を行う。
  ア  「要精検」と区分された者
医療機関において精密検査を受診するよう指導する。
  イ  「精検不要」と区分された者
翌年の検診受診を勧めるとともに、禁煙等日常生活上の注意を促す。
   なお、指導区分の決定及び精度管理等については、「肺癌集団検診の手びき」(日本肺癌学会集団検診委員会編)等を参考にする。
 また、胸部エックス線写真の読影の結果、結核等肺がん以外の疾患が考えられる者については、受診者に適切な指導を行うとともに、結核予防法第4条第3項に規定する定期の健康診断等の実施者又は医療機関に連絡する等の体制を整備する。
 (5)  記録の整備
 精密検査の結果がんと診断された者については必ず個人票を作成し、組織型、臨床病期、治療の状況(切除の有無を含む。)等について記録する。
 また、がんが否定された者についてもその後の経過を把握し、追跡することのできる体制を整備することが望ましい。
 (6)  検診の実施体制
 肺がん検診に必要な実施体制は、次のとおりである。
  ア  検診実施市町村の所在する都道府県に、成人病検診管理指導協議会肺がん部会が設置されていること。
  イ  胸部エックス線写真の読影及び喀痰細胞診の両方が実施できる体制にあること。
  ウ  一定の研修・講習等を受ける等胸部エックス線写真の読影に習熟した検診担当医が確保されていること。
  エ  二重読影及び比較読影のための写真等の管理保管体制が整備されていること。
  オ  エックス線検査受診者数(経年受診者再掲)、エックス線検査受診者中の高危険群所属者数、採痰容器提出者数、要精検者数、精検受診者数及び発見原発性肺がん患者数(「早期の肺がん」数及び切除数再掲)等について、性・年齢5歳階級別に表章し、成人病検診管理指導協議会肺がん部会に報告される体制にあること。
  カ  その他精度管理に関する事項が適切に実施できること。
 (7)  肺がん検診に用いる胸部エックス線写真
  ア  胸部エックス線写真は、結核予防法第10条に規定する健康診断に関する記録に準じ、結核検診の実施者において保存するものとし、肺がん検診の実施者から一時的利用の依頼があった場合には、迅速かつ円滑に応じられるようその管理体制を整備すること。
  イ  結核検診の実施者が結核検診を他の機関に委託して行う場合にあっては、委託契約締結に際して、胸部エックス線写真の保存及び肺がん検診の実施者からの一時的利用の依頼に対する便宜の供与等に支障の生じないよう所要の配慮をすること。
  ウ  肺がん検診の実施者は、結核検診において撮影された胸部エックス線写真を用いて肺がん検診を行うことを肺がん検診の受診者に周知せしめるとともに、利用する胸部エックス線写真を損傷しないよう十分な注意をもって取り扱うものとし、利用後は速やかに返却すること。なお、胸部エックス線写真の利用に伴う胸部エックス線写真及び関連する記録の検索並びに運搬に係る費用については、肺がん検診の実施者において負担すること。

 乳がん検診
 (1)  検診の実施
 肺がん検診
 (1)  喀痰細胞診の実施
  ア  対象者
 喀痰細胞診の対象者は、問診の結果、原則として
  (ア)  50歳以上で喫煙指数(1日本数×年数)600以上の者(過去における喫煙者を含む。)
  (イ)  6月以内に血痰のあった者
  のいずれかに該当することが判明した者とする。
  イ  喀痰採取の方法
 喀痰細胞診の対象者に有効痰の採取方法を説明し、保存液の入った喀痰採取容器を配布し、喀痰を採取する。喀痰は、起床時の早朝痰を原則とし、最低3日の蓄痰、又は3日の連続採痰とする。
 採取した喀痰(細胞)の処理方法は、以下のとおりである。
  (ア)  ホモジナイズ法又は蓄痰直接塗抹法により、2枚以上のスライドグラスに擦り合わせ式で塗抹する。塗抹面積はスライドグラス面の3分の2程度とする。
  (イ)  蓄痰直接塗抹法では粘血部、灰白色部等数箇所からピックアップし、擦り合わせ式で塗抹する。
  (ウ)  パパニコロウ染色を行い顕微鏡下で観察する。
  ウ  判定
 喀痰細胞診の結果の判定は、「肺癌集団検診の手びき」(日本肺癌学会集団検診委員会編)の「集団検診における喀痰細胞診の判定基準と指導区分」によって行う。
 (2)  胸部エックス線検査に用いる適格な写真
 胸部エックス線検査に用いる肺がん検診に適格な胸部エックス線写真とは、肺尖、肺野外側縁、横隔膜、肋骨横隔膜などを十分に含むようなエックス線写真であって、適度な濃度とコントラスト及び良好な鮮鋭度をもち、縦隔陰影に重なった気管、主気管支の透亮像並びに心陰影及び横隔膜に重なった肺血管が観察できるものであり、かつ、次により撮影されたものとする。
  ア  間接撮影であって、100mmミラーカメラを用い、定格出力150kv以上の撮影装置を用いた、120kv以上の管電圧による撮影
  イ  間接撮影であって、定格出力125kvの撮影装置を用い、110kv以上の管電圧により、縦隔部の感度を肺野部に対して高めるため希土類(グラデーション型)蛍光板を用いた撮影
  ウ  直接撮影であって、被験者―管球間の距離を1.5m以上とし、定格出力150kv以上の撮影装置を用い、原則として120kv(やむを得ない場合は100〜120kvでも可)の管電圧及び希土類システム(希土類増感紙及びオルソタイプフィルム)を用いた撮影
 (3)  胸部エックス線写真の読影
 胸部エックス線写真は、2名以上の医師によって読影し、それぞれの読影結果に基づき比較読影する。その方法は、次のとおりとする。
  ア  二重読影
 2名以上の医師が同時に又はそれぞれ独立して読影するものとするが、このうち1名は十分な経験を有すること。読影結果の判定は、「肺癌集団検診の手びき」(日本肺癌学会集団検診委員会編)の「肺癌検診における胸部X線写真の判定基準と指導区分」によって行う。
  イ  比較読影
 二重読影の結果、「肺癌集団検診の手びき」(日本肺癌学会集団検診委員会編)の「肺癌検診における胸部X線写真の判定基準と指導区分」の「d」及び「e」に該当するものについては比較読影を行う。比較読影は、過去に撮影した胸部エックス線写真と比較しながら読影するもので、地域の実情に応じて次のいずれかの方法で行う。
  (ア)  読影委員会等を設置して比較読影を行う方法
  (イ)  二重読影を行った医師がそれぞれ比較読影を行う方法
  (ウ)  二重読影を行った医師のうち、指導的立場の医師が比較読影を行う方法
   読影結果の判定は、「肺癌集団検診の手びき」(日本肺癌学会集団検診委員会編)の「肺癌検診における胸部X線写真の判定基準と指導区分」によって行う。
 (4)  指導区分等
 指導区分は、「要精検」及び「精検不要」とし、それぞれ次の内容の指導を行う。
  ア  「要精検」と区分された者
 医療機関において精密検査を受診するよう指導する。
  イ  「精検不要」と区分された者
 翌年の検診受診を勧めるとともに、禁煙等日常生活上の注意を促す。
   なお、指導区分の決定及び精度管理等については、「肺癌集団検診の手びき」(日本肺癌学会集団検診委員会編)等を参考にする。
 また、胸部エックス線写真の読影の結果、結核等肺がん以外の疾患が考えられる者については、受診者に適切な指導を行うとともに、結核予防法第4条第3項に規定する定期の健康診断等の実施者又は医療機関に連絡する等の体制を整備する。
 (5)  記録の整備
 精密検査の結果がんと診断された者については必ず個人票を作成し、組織型、臨床病期、治療の状況(切除の有無を含む。)等について記録する。
 また、がんが否定された者についてもその後の経過を把握し、追跡することのできる体制を整備することが望ましい。
 (6)  検診の実施体制
 肺がん検診に必要な実施体制は、次のとおりである。
  ア  検診実施市町村の所在する都道府県に、成人病検診管理指導協議会肺がん部会が設置されていること。
  イ  胸部エックス線写真の読影及び喀痰細胞診の両方が実施できる体制にあること。
  ウ  一定の研修・講習等を受ける等胸部エックス線写真の読影に習熟した検診担当医が確保されていること。
  エ  二重読影及び比較読影のための写真等の管理保管体制が整備されていること。
  オ  エックス線検査受診者数(経年受診者再掲)、エックス線検査受診者中の高危険群所属者数、採痰容器提出者数、要精検者数、精検受診者数及び発見原発性肺がん患者数(「早期の肺がん」数及び切除数再掲)等について、性・年齢5歳階級別に表章し、成人病検診管理指導協議会肺がん部会に報告される体制にあること。
  カ  その他精度管理に関する事項が適切に実施できること。
 (7)  肺がん検診に用いる胸部エックス線写真
  ア  胸部エックス線写真は、結核予防法第10条に規定する健康診断に関する記録に準じ、結核検診の実施者において保存するものとし、肺がん検診の実施者から一時的利用の依頼があった場合には、迅速かつ円滑に応じられるようその管理体制を整備すること。
  イ  結核検診の実施者が結核検診を他の機関に委託して行う場合にあっては、委託契約締結に際して、胸部エックス線写真の保存及び肺がん検診の実施者からの一時的利用の依頼に対する便宜の供与等に支障の生じないよう所要の配慮をすること。
  ウ  肺がん検診の実施者は、結核検診において撮影された胸部エックス線写真を用いて肺がん検診を行うことを肺がん検診の受診者に周知せしめるとともに、利用する胸部エックス線写真を損傷しないよう十分な注意をもって取り扱うものとし、利用後は速やかに返却すること。なお、胸部エックス線写真の利用に伴う胸部エックス線写真及び関連する記録の検索並びに運搬に係る費用については、肺がん検診の実施者において負担すること。

 乳がん検診
 (1)  検診の実施
    対象者と検診間隔
 50歳未満の対象者に対しては、原則として同一人につき年1回検診(問診及び視触診によるもの)を実施するものとする。
 50歳以上の対象者に対しては、同一人につき2年に1回検診(問診、視触診及び乳房エックス線検査によるもの)を実施することを原則とするが、地域の実施体制等を勘案して乳房エックス線検査を実施しない場合にあっては、引き続き、同一人につき年1回検診(問診及び視触診によるもの)を実施する。
    検診の実施方式
 乳房エックス線検査の実施に当たっては、原則として、乳房エックス線写真の読影を行いながら視触診を実施するものとする(両者を同時に行うのは、本項のエの(ウ)にいう2名の読影者のうちの1名で差し支えない。)。
    検診の実施方式
 乳房エックス線検査を実施する場合には、原則として、乳房エックス線写真の読影を行いながら視触診を実施するものとする(両者を同時に行うのは、本項のオの(ア)にいう2名の読影者のうちの1名で差し支えない。)。ただし、地域の実施体制が十分でない場合には、当面の間につき、視触診と乳房エックス線写真の読影を別の実施機関において行うことも差し支えない。
   なお、実施方法を定めるにたっては、受診者の利便に配慮するとともに、検査結果を速やかに受診者に通知する等、検診の円滑かつ適切な実施に支障をきたすことのないように努める。
    視診の留意点
 視診に当たっては、乳房の対象性(大きさ及び形)、乳房皮膚の陥凹、膨隆、浮腫及び発赤、乳頭陥凹並びに乳頭びらんの有無について観察する。
    触診の留意点
 触診は、指腹法、指先交互法等により、両手で乳房の内側から外側(又は外側から内側)に、かつ、頭側から尾側に向かって、乳房を軽く胸壁に向かって圧迫するように行う。
  (ア)  乳房の触診
 腫瘤、結節及び硬結の有無、性状等を診察する。
  (イ)  リンパ節の触診
 腋窩リンパ節及び鎖骨上窩リンパ節の腫脹の有無、性状等を診察する。
  (ウ)  乳頭の触診
 乳頭からの異常な分泌物の有無、性状等を診察する。
    乳房エックス線検査の留意点
  (ア)  実施機関の基準
 乳房エックス線撮影の実施機関は、当該検査を実施するに適格な撮影装置(原則として日本医学放射線学会の定める仕様基準を満しているものとし、少なくとも適切な線量及び画質基準を満たすことが必要である。)を備えるものとする。
 なお、マンモグラフィ検診精度管理中央委員会(日本乳癌検診学会、日本乳癌学会、日本医学放射線学会、日本産科婦人科学会、日本放射線技術学会及び日本医学物理学会により構成される委員会をいう。以下同じ。)が開催する乳房エックス線検査に関する講習会又はこれに準ずる講習会を修了した診療放射線技師が乳房撮影を行うことが望ましい。
   なお、実施方法を定めるにあたっては、受診者の利便に配慮するとともに、検査結果を速やかに受診者に通知する等、検診の円滑かつ適切な実施に支障をきたすことのないように努める。
    視診の留意点
 視診に当たっては、乳房の対象性(大きさ及び形)、乳房皮膚の陥凹、膨隆、浮腫及び発赤、乳頭陥凹並びに乳頭びらんの有無について観察する。
    触診の留意点
 触診は、指腹法、指先交互法等により、両手で乳房の内側から外側(又は外側から内側)に、かつ、頭側から尾側に向かって、乳房を軽く胸壁に向かって圧迫するように行う。
  (ア)  乳房の触診
 腫瘤、結節及び硬結の有無、性状等を診察する。
  (イ)  リンパ節の触診
 腋窩リンパ節及び鎖骨上窩リンパ節の腫脹の有無、性状等を診察する。
  (ウ)  乳頭の触診
 乳頭からの異常な分泌物の有無、性状等を診察する。
    乳房エックス線検査の留意点
  (ア)  実施機関の基準
 乳房エックス線写真の撮影の実施機関は、当該検査を実施するに適格な撮影装置(原則として日本医学放射線学会の定める仕様基準を満しているものとし、少なくとも適切な線量及び画質基準を満たすことが必要である。)を備えるものとする。
 なお、マンモグラフィ検診精度管理中央委員会(日本乳癌検診学会、日本乳癌学会、日本医学放射線学会、日本産科婦人科学会、日本放射線技術学会日本医学物理学会及び日本医学物理放射線学会により構成される委員会をいう。以下同じ。)が開催する乳房エックス線検査に関する講習会又はこれに準ずる講習会を修了した診療放射線技師が乳房撮影を行うことが望ましい。
  (イ)  乳房エックス線写真の撮影について
 前項に規定する撮影装置を用いて、両側乳房について、内外斜位方向撮影を行う。内外斜位方向撮影を補完する方法として、50歳以上の対象者にも頭尾方 向撮影を追加することは差し支えない。
  (イ)  乳房エックス線写真の撮影について
 前項に規定する撮影装置を用いて、両側乳房について、内外斜位方向撮影を行う。内外斜位方向撮影を補完する方法として、頭尾方向撮影を追加することは差し支えない。
  (ウ)  乳房エックス線写真の読影について
 読影室の照度やシャウカステンの輝度に十分配慮する等読影環境を整えた上で、視触診と同時併用で読影を行い、更に十分な経験を有する医師(マンモグラフィ検診精度管理中央委員会が開催する読影講習会又はこれに準ずる講習会を修了していることが望ましい。以下同じ。)による読影を行うことを原則とする。視触診と同時併用で読影を行うことができない場合においても、2名以上の医師(うち1名は、十分な経験を有すること)が同時に又はそれぞれ独立して読影するものとする。
 読影結果の判定は、乳房の左右の別ごとに行う。
  (エ)  機器等の品質管理について
 実施機関は、撮影装置、現像機、シャウカステンその他の当該検査に係る機器等について、日常的かつ定期的な品質管理を行わなければならない。
  (オ)  その他
 上記(ア)から(エ)の詳細については、「マンモ グラフィによる乳がん検診の精度管理マニュアル」(厚生省老人保健推進費等補助金・マンモグラフィによる乳がん検診の推進と精度向上に関する研究班・平成12年1月)を参考とする。
  (ウ)  乳房エックス線写真の読影について
 読影室の照度やシャウカステンの輝度に十分配慮する等読影環境を整えた上で、視触診と同時併用で読影を行い、更に十分な経験を有する医師(マンモグラフィ検診精度管理中央委員会が開催する読影講習会又はこれに準ずる講習会を修了していることが望ましい。以下同じ。)による読影を行うことを原則とする。視触診と同時併用で読影を行うことができない場合においても、2名以上の医師(うち1名は、十分な経験を有すること)が同時に又はそれぞれ独立して読影するものとする。
 読影結果の判定は、乳房の左右の別ごとに行う。
  (エ)  機器等の品質管理について
 実施機関は、撮影装置、現像機、シャウカステンその他の当該検査に係る機器等について、日常的かつ定期的な品質管理を行わなければならない。
  (オ)  その他
 上記(ア)から(エ)の詳細については、「マンモグラフィによる乳がん検診の精度管理マニュアル」(厚生省老人保健推進費等補助金・マンモグラフィによる乳がん検診の推進と精度向上に関する研究班・平成12年1月)を参考とする。

 (2)  指導区分等
 指導区分は「要精検」及び「精検不要」とし、それぞれ次の内容の指導を行う。
  ア  「要精検」と区分された者
医療機関において精密検査を受診するよう指導する。
  イ  「精検不要」と区分された者
次回の検診受診を勧めるとともに、日常の健康管理の一環としての乳房の自己触診に関する指導をする。
 (2)  指導区分等
 指導区分は「要精検」及び「精検不要」とし、それぞれ次の内容の指導を行う。
  ア  「要精検」と区分された者
 医療機関において精密検査を受診するよう指導する。
  イ  「精検不要」と区分された者
 次回の検診受診を勧めるとともに、乳房の自己検診に関する指導をする。
 (3)  記録の整備
 精密検査の結果がんと診断された者については、必要に応じて個人票を作成し、医療機関における確定診断の結果、治療の状況等について記録する。
 また、がんが否定された者についてもその後の経過を把握し、追跡することのできる体制を整備することが望ましい。
 (3)  記録の整備
 精密検査の結果がんと診断された者については、必要に応じて個人票を作成し、医療機関における確定診断の結果、治療の状況等について記録する。
 また、がんが否定された者についてもその後の経過を把握し、追跡することのできる体制を整備することが望ましい。
 (4)  検診の実施体制
 乳がん検診に必要な実施体制は、次のとおりである。
  ア  検診実施市町村の所在する都道府県に、成人病検診管理指導協議会乳がん部会が設置されていること。
  イ  成人病検診管理指導協議会乳がん部会に届出がなされ、かつ、乳がん検診に関して一定の研修・講習等を受ける等乳がん検診に習熟した検診担当医が確保されていること。
  ウ  乳がん検診の結果「要精検」とされた者について、精密検査の受診結果等が記録され、その記録が成人病検診管理指導協議会乳がん部会に報告される体制にあること。
  エ  その他精度管理に関する事項が適切に実施できること。

 大腸がん検診
 (1)  大腸がん検診の精度管理
 大腸がん検診の精度は、採便方法、検体の保管、測定・判定方法等検査に関する要因と精密検査受診率、精密検査の精度等検診システムに関する要因の両方に影響される。したがって、市町村及び受託実施機関は、検診実施に当たっては、検体の取扱いに特に留意するとともに、要精密検査となった者の把握とその追跡調査を行うこと。なお、精度管理の指標としては、要精密検査率(便潜血検査陽性率)、精密検査受診率、大腸がん発見率、早期がん発見率等が挙げられるが、さらに、感度、特異度等を算出し、精密検査を含む全検診システムの評価を行うとともに、その維持、向上に努めること。
 (2)  検診の実施体制
 大腸がん検診に必要な実施体制は、次のとおりである。
  ア  検診実施市町村の所在する都道府県に成人病検診管理指導協議会大腸がん部会が設置されていること。
  イ  成人病検診管理指導協議会大腸がん部会が、市町村の作成した検診計画について、精密検査の円滑な実施の観点から十分調整できる体制にあること。
  ウ  検診実施市町村が次の項目について成人病検診管理指導協議会大腸がん部会に、毎年、報告できる体制にあること。
  (ア)  検診対象者数、受託実施機関名、測定キット名、1日分のみの検体提出者数
  (イ)  受診者数(受診率)、要精密検査者数(要精密検査率)、精密検査受診数(精密検査受診率)
  (ウ)  がん発見数(がん発見率)、早期がん発見数(早期がん発見率)
  エ  一定の研修・講習を受ける等大腸がん検診に習熟した臨床検査技師が確保されていること。
  オ  その他精度管理に関する事項が適切に実施できること。
 (4)  検診の実施体制
 乳がん検診に必要な実施体制は、次のとおりである。
  ア  検診実施市町村の所在する都道府県に、成人病検診管理指導協議会乳がん部会が設置されていること。
  イ  成人病検診管理指導協議会乳がん部会に届出がなされ、かつ、乳がん検診に関して一定の研修・講習等を受ける等乳がん検診に習熟した検診担当医が確保されていること。
  ウ  乳がん検診の結果「要精検」とされた者について、精密検査の受診結果等が記録され、その記録が成人病検診管理指導協議会乳がん部会に報告される体制にあること。
  エ  その他精度管理に関する事項が適切に実施できること。

 大腸がん検診
 (1)  大腸がん検診の精度管理
 大腸がん検診の精度は、採便方法、検体の保管、測定・判定方法等検査に関する要因と精密検査受診率、精密検査の精度等検診システムに関する要因の両方に影響される。したがって、市町村及び受託実施機関は、検診実施に当たっては、検体の取扱いに特に留意するとともに、要精密検査となった者の把握とその追跡調査を行うこと。なお、精度管理の指標としては、要精密検査率(便潜血検査陽性率)、精密検査受診率、大腸がん発見率、早期がん発見率等が挙げられるが、さらに、感度、特異度等を算出し、精密検査を含む全検診システムの評価を行うとともに、その維持、向上に努めること。
 (2)  検診の実施体制
 大腸がん検診に必要な実施体制は、次のとおりである。
  ア  検診実施市町村の所在する都道府県に成人病検診管理指導協議会大腸がん部会が設置されていること。
  イ  成人病検診管理指導協議会大腸がん部会が、市町村の作成した検診計画について、精密検査の円滑な実施の観点から十分調整できる体制にあること。
  ウ  検診実施市町村が次の項目について成人病検診管理指導協議会大腸がん部会に、毎年、報告できる体制にあること。
  (ア)  検診対象者数、受託実施機関名、測定キット名、1日分のみの検体提出者数
  (イ)  受診者数(受診率)、要精密検査者数(要精密検査率)、精密検査受診数(精密検査受診率)
  (ウ)  がん発見数(がん発見率)、早期がん発見数(早期がん発見率)
  エ  一定の研修・講習を受ける等大腸がん検診に習熟した臨床検査技師が確保されていること。
  オ  その他精度管理に関する事項が適切に実施できること。


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