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社会保障審議会−福祉部会
生活保護制度の在り方に関する専門委員会
第10回(平成16年4月20日)資料3
【大川委員提出資料】


 自立支援のうち、就労実現に向けて必要と思われる現場での課題を、私の経験や同僚からの聞き取りなどに基づき、整理してみました。

現場事例(1) 就労支援にあたって、当事者(保護受給者)が直面する様々な課題の例

保護開始時
 ・ 安定した居住地がない
 ・ 住民票が現住地にない
 ・ 戸籍が未判明である
 ・ 戸籍が失われている。
 ・ 日常生活に必要な衣類・家具什器が不足している。
動機付けの段階
 ・ まだ働けるとは思えない。
 ・ なぜ、福祉事務所から働くように言われるのかわからない。
 ・ 働かなければいけないことは分かっているが、どうしても意欲が湧かない。
聞き取り段階
 ・ 治療中の疾病があり、定期的な通院が必要である。
 ・ 疾病があり、従事できる職種が制限されている。
 ・ 労災受傷歴・及び職業病罹患があり、従事できる職種が制限されている。
 ・ 未就学(あるいは小学生)の子どもがいる。
 ・ 子どもがいるので、病気のとき等は、急に休まなければならないことがある。
 ・ 多重債務を抱えている。
 ・ 義務教育しか受けていない(あるいは、満足に学校に行っていない)
 ・ 読み書きがほとんど出来ない。
就労支援開始時
 ・ 今の自分が、どういう仕事が出来るのかイメージが湧かない。
 ・ 自分の希望する職種の求人がない。
 ・ どのくらいの勤務時間の仕事を探したらいいのか(希望したらいいのか)わからない
 ・ どのくらいの賃金の仕事を探したらいいのか(希望したらいいのか)わからない
 ・ 就職に有利な資格がない
 ・ 履歴書の書き方が判らない
 ・ 履歴書に貼る写真がない
 ・ 履歴書を自分で書く自信がない。
 ・ 職歴が思い出せない。
 ・ 常勤仕事についた経験がほとんどない。
 ・ 日雇・転職の繰り返しなど、求職にあたって不利な職歴を持っている。
 ・ 最長職と明確に言える経歴を持っていない。
 ・ どのような方法で、求人情報を集めたらよいかわからない。
 ・ 職安の利用方法がわからない
求職行動開始時
 ・ 以前、職安の窓口(あるいは面接)のときに不愉快な思いをしたことがある。
 ・ 自宅に電話がなく、連絡がとりにくい。
 ・ 過去の料金滞納などにより、電話架設が出来ない。
 ・ 保証人となる人がいない。
 ・ 運転免許証が失効している。
 ・ 過去取得した資格の証明を紛失している。
 ・ 資格関係の住所変更手続きをしていない。
 ・ 職安にどのくらいの頻度で通ったらいいのか、わからない。
就職面接段階
 ・ 約束の時間どおり、会場に行けるかどうか不安である。
 ・ 求職活動のときに着ていく服(スーツ類)がない。
 ・ 面接のとき緊張してしまう。
 ・ 口下手なので、うまく話せない
 ・ 今まで働いてなかった理由を、どう説明していいか、わからない。
 ・ 通院・育児の事情をどう説明していいかわからない。
就労開始時
 ・ 仕事の内容が、提示された条件と違う。
 ・ 給料が安い。
 ・ 職場の人間関係がうまくいかない。
 ・ 仕事をはじめたら、以前の疾病が再発した。
 ・ 職場の不安・不満を、雇用主に伝えていいかわからない。
 ・ 転職を考えたい。
 ・ 仕事をやめてしまった

現場事例2 就労支援にあたって、実施機関と職安(ハローワーク)との関係で課題となること

連携が上手くいっている場合
 ・ 職安が隣接しているため、被保護者もよく利用している。
 ・ 毎週求人情報を職安から提供を受けて、福祉事務所に掲示している。
 ・ 生活保護世帯に対する、職安職員の理解がある.
 ・ 連絡会を定期的に開催している。
連携が上手くいかない場合
 ・ 被保護世帯に対する偏見が強い。
 ・ 職安職員の業務内容に個人差が大きい。
 ・ 被保護者の相談や、連絡会の開催など、業務連携に拒否的である。
 ・ 保護ケースワーカーが求職活動に同行しない。


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