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「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第10回)」

住まいの確保に関する主な意見を事務局として整理したもの



 親亡き後のことを考えた場合に、知的障害者の親御さんが自分のところを知的障害者のグループホームとして考えていきたい、という動きが地域で起こっているが、地域の資源をそのように有効に活用していけば生活の根拠ができ、社会参加にもつながっていくという考え方が有効ではないか。

 今まではシルバーハウジングというのは高齢者だけというふうに捉えてきた。しかし高齢者は高齢者、障害者は障害者というふうに縦で切るのではなく、地域の中の限られたものをどのように使っていくかという視点から考えていくべき。

 基本的に知的障害者は公営住宅に入ることはできない。それは自分自身で身の回りのことができないからとされてきた。一方、身体障害者についても、最初は、自分のことをできることが基本とされていたが、今は介助を受ける環境が整備されていれば入居できるようになった。しかし、知的障害者、精神障害者に関してはまだそこはクリアされてない。国の法律上クリアされてないため、市町村はやりたくてもやれない。

 国をはじめ脱施設が言われているが、脱施設を促進するために様々な取り決めが必要であり、メインになるのはやはり生活の場、グループホームだと思う。これについて、例えば建築や改修に伴うイニシャルコストの助成制度が全くない。スローガンでなくして、施設から地域への流れを具体的に作り出すための裏付けとして、グループホームの創設に際するイニシャルコストの補助制度を設けるべきではないか。



「精神障害者の地域生活支援の在り方に関する検討会」

第5回検討会までとの意見を事務局して整理したもの(抄)



(1)  生活の場(住まい)
 ◆  公的な保証人制度を本当に整備してほしい。一方で、公営住宅が空いている場合に身体の障害者の方たちと同様に、優先入居をつくってほしいというふうに再三国土交通省に交渉をしておりますけれども、精神障害の人たちのいわゆるヘルパーだとか、そういう支援体制がきちんと整備できてないので、公営住宅に単身入居なんていうのはだめですと言われる。その理由は、精神障害に対するヘルパーなどのサービスが多分行き届いてないだろうと思われていることと、そういう人たちはイメージ的に使える人ではないというふうな決めつけがあるのではないか。
 ◇  保証人をつくっていく取り組みや、あとアパートを探してもなかなかない。とても少ない年金等で生活していこうとして公営住宅などにチャレンジしたくても、そういうものには入れないという仕組みに今はなっており、国土交通省の人たちは、精神障害者のサポートがもっと厚くならなければ考えられないと言う。
 ◇  公営住宅について、障害者に優先度を高めるような制度がつくられているが、知的障害者・身体障害者の場合はまだいいのですが、社会的に精神障害者という方々に対する考え方が熟してないという面があり、だれがその保証人のなり手がない。それを今度は公的保証人をというのであれば、その責任体制が明確でないと、単に公的保証人でうまくいかなかった場合に、自治体や首長の責任を追求するような状態になりかねない。保証の方法があるのか、これは地方自治体として真剣に考えなければならないが、今のところ、なかなかそれを受け入れるような知恵というものが浮かんでこないというのが実態。
 ◆  住居を借りるのに、精神障害者だと言うと断られてしまうので、難病を患っているというなどして、病気の名前を言って入居をしている人がたくさんいる。10年以上住んでいた人が、精神障害者の雑誌が配布されていたのを大家さんに見られ、部屋を出て行くよう求められたということを聞いたことがある。これらをみると、公的保証人によって、退院させやすくしてほしいと思う。
 ◇  アパートを借りるというのは非常に困難な状況。地域で生活する場合にそれをどうするかは大きな課題。
 ◆  自立ということで考えれば、1人の生活が大事であり、例えばアパートを借りるにしても、公的保証人制度があればアパートを借りることができる。それがないがゆえになかなか生活の場を確保できないことが大きな問題。
 ◇  民間のアパートを借り上げるような制度があれば、単に施設を整備するよりも効率的ではないか。
 ◇  現役層から未成年にかけては、精神症状の動きがあったりする世代であり、柔軟な支援が必要になる。また、そういうときの問題行動があると、住居を貸してくれない、外に出られないという問題がある。いわゆる保証人制度など、住居のことが非常に大きいと感じる。
 ◇  症状が激しい入院期は医療のかかわりがとても重要だが、地域に出るにしたがってだんだん、むしろ、私たち専門家と呼ばれる者がかかわることが弊害になっていく。どう地域住民にサポートをお願いしていくかという形を進めていくことが、彼らが地域の一員になれることではないか。
 ◇  JHC板橋では、クラブハウスが直接的に住居を運営するということではなく、いくつかの不動産業者と連携を組み、協働しながら、クラブハウスが代替的な契約を実行するということで、アパートや住居の確保に所属するクラブハウスと契約を結ぶということで住居確保に貢献をしている。


(2)  訓練・生活支援、生活の場(住まい)との関係
(1) 生活訓練、生活支援機能を有する入所施設(援護寮、福祉ホーム)
 ◇  援護寮とか福祉ホームが本当に必要か疑問。これらは、体験を繰り返して2年たったら次へ行ってくださいと、また体験を繰り返さなければいけない。それなら、少しサービスが手厚い関係があれば、一気に地域のグループホーム等で、この体験を繰り返す期間を地域でやっていくことができる。
 ◇  病棟を住まいへ転換するというのはあり得ないと思う。幾ら内装を変えたところで、そこは病棟であり、敷地の中であっても同じようなもの。泊まり込みの機能を持たせたリハビリテーション施設としての転換だったら、多いにあり得ると思う。
 ◇  福祉ホームB型のような機能を持ち、それで十分なケア付きでスタッフがいて、何かあればすぐ職員か駆けつけてくれて、かつ、入居期間の制限がないというような高齢者の施設というのは必要だと思う。

(2) 居宅支援事業(グループホーム、ヘルパー、ショートステイ)
 ◇  グループホームでどんどん高齢化が進んでいるが、今のグループホームでは軽装備なので、高齢者は心配だと思う。このようなグループホーム(あるいはその他の施設)は、何かあったらすぐスタッフが駆けつけて来られるように。場合によっては病院の敷地内でも良いのではないか。
 ◇  グループホームや当事者の単身入居で、大家、あるいは付近の住民から言われることは、何かあったときにどこへ連絡すればいいんだ、ということ。24時間どこへ電話すればいいんだと、本人からもこの声が挙がってくる。このバックアップ体制の構築が安心できる体制ということにつながっていく。
 ◇  バックアップ組織が弱いことがグループホームの良さでもあるが、このバックアップ組織を義務化することが必要なことだと思う。
 ◇  痴呆性の高齢者のグループホームのような小規模多機能ホームがあると、自宅にいながらそこも利用できて、使いたいときに使えるものが中学校単位ぐらいにしていくと、できるのではないか。
 ◇  グループホームの入居者は高齢者が多く、様々な介護が必要になってくる場面も多々あるが、そのような場合にその管理人だけではとても対応ができない。そうすると、グループホームであってもホームヘルプ等を利用できるようなサービスの拡大が求められるのではないか。
 ◆  まず公営住宅をグループホームとして活用する方法を考えるべき。
 ◇  川崎市の単独事業ということで、公的保証人制度というのを2000年からやっている。ただ、現時点で、百何人の方がこの制度を利用しているが、障害者で使っているのは、実際4年間で20人強なので、決定的な施策にはならない。
 ◆  単身で生活する可能性が実際あるので、公営住宅への単身を含む施策を、優先枠を拡大するという考えにぜひ進むべきではないか。もう一つはグループホームなどの住居、保護的なシェルターの施策が必要。


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