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「健康食品」に係る今後の制度のあり方についての論点整理(抜粋)

平成15年10月20日
「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会

 (略)

 「健康食品」の利用・製造・流通の実態は、国民の健康づくりに有効に機能しているか。   「健康食品」の安全性・有用性の確保、消費者に対する適切な情報提供、利用者の期待に応えうる「健康食品」はどうあるべきか。

(1)(2) (略)

(3)現行の保健機能食品制度の問題点
 現行の保健機能食品については、特定保健用食品の評価基準の緩和、医薬品と誤認しないような表示の見直し、特定保健用食品の安全性及び有効性の再評価、栄養機能食品の基準の拡大といった意見がある。また、例えば、いわゆるダイエット食品がミネラル類又はビタミン類を栄養強化することによって、ダイエット効果を強調しながら栄養機能食品である旨を標ぼうしたり、他の機能を併せて表示するなど制度の趣旨から見て不適当な事例への対応について検討するべきである。
 保健機能食品制度は平成13年に創設されてまだ間がなく、特定保健用食品や栄養機能食品の趣旨やその区分について必ずしも国民に十分に浸透したとは言えない状況にある。こうした状況を踏まえ、新たな制度の検討に当たっては、制度自体が消費者の混乱を招かないよう検討していく必要がある。

(4)「健康食品」の安全性の確保
 「健康食品」は、何よりも安全性が確保されていなければならない。しかし、現行では、医薬品の承認制度のような制度は無く、特定保健用食品を除き、事前に安全性を審査する仕組みはない。今回の改正食品衛生法によると、通常の摂取方法と著しく異なる方法により摂取される食品について、食品衛生法上の危害の発生を防止するため必要性があると認めるときは、暫定的に流通禁止措置を講じることができるよう強化された。こうした点を踏まえつつ、「健康食品」について新たな制度化を行うためには、まず制度の枠組みの中でどのように「健康食品」の安全性を担保するのか検討すべきである。
 食経験や食習慣、収集した海外情報等を含め、安全性の評価法の検討は重要課題と考えられるが、科学的な根拠に基づいた安全性が評価される必要がある。例えば、ハーブ等については、濃縮率、配合量、食経験も評価するべきである。また、エキス、カプセル、錠剤などの形状をした「健康食品」は、効果のある成分を高濃度に摂取することになる。このような「健康食品」の安全性について、どのレベルまで安全性を求めるかについても検討すべきである。さらに、アドバイザリースタッフによる過剰摂取、食べ合わせ、医薬品との相互作用等の安全性に関する情報の提供、安全性等を確保する仕組みとして、国又は第三者機関による製品の品質を保持するための食品GMPの導入等について、監視のあり方とその内容等を検討するべきである。その他、通信販売、訪問販売、店頭販売などの多様な販売形態を踏まえつつ、流通の段階で安全性に関する情報を消費者や事業者にフィードバックする方法のあり方についても検討する必要がある。また、改正食品衛生法による暫定的流通禁止措置を講じる必要性を判断するための情報収集をどのように行うかも、重要な検討課題である。
 なお、「健康食品」の安全性については、昨年夏の中国製ダイエット用食品による健康被害の発生以来、危害の未然防止の観点に立ち、食品の摂取と健康被害の因果関係が確定していない段階においても健康被害の発生した食品名が公表される仕組みが構築され、健康被害防止対応要領の策定が行われた。さらに、今回の食品衛生法改正においては、国民の健康の保護を図る観点から、食品の摂取と健康被害の因果関係が確定していない段階においても流通禁止措置を講じることができるよう一層強化された。今後は、こうした食品衛生法に基づく監視指導を徹底するとともに、健康被害が発生した食品名の公表と、「健康食品」の過剰摂取や医薬品との併用による健康被害について、引き続き、調査研究及び対策を進めていくべきである。

 1及び2を踏まえ、行政、関係業界、消費者の果たすべき役割、制度はどうあるべきか。
(1)行政の果たすべき役割
 行政については、国民保健の向上を目的としつつ、行政改革の流れの中で最小限の関与にとどめるべきという考え方や、国民の健康の保護の観点からより積極的な対応を図るべきといった考え方等を踏まえて検討を進めるべきである。
 健康被害発生や有効性・安全性に関する情報等を国民及び関係者に幅広く迅速に提供してリスクコミュニケーション等を積極的に図ることや、実験データ等の情報提供システムを構築することなど、民間では実施困難な施策については積極的に行政の役割を果たしていくべきである。
 また、虚偽誇大広告等の監視を含め、表示制度が正しく運用されるためには、行政コストを最小限にしつつ監視指導を徹底する必要があり、効率的な監視方法を検討するべきである。

(2)関係業者の果たすべき役割
 食品安全基本法あるいは食品衛生法に規定されているとおり、「健康食品」の安全性の確保は一義的に関係業者の責務であることは言うまでもない。これに加え、「健康食品」の表示の裏付けとなる科学的根拠を示すことも関係業者の責務であると考えられる。
 また、関係業界は自主的に表示の適正化に取り組むとともに、消費者に対するより一層の正確な情報を提供しなければならない。消費者からの相談や苦情の解決に対しても、消費者に対してより積極的な役割を果たすべきである。

(3)消費者の果たすべき役割
 消費者は、「健康食品」に関する知識と理解を深め、自分の健康状態に適した「健康食品」を選択できるよう努めるべきである。

(4)マスコミの果たすべき役割
 マスメディア等は、国民の健康づくりにおける情報源として大きな役割を果たしていることから、「健康食品」に関する情報の発信者であることを期待したい。「健康食品」の有効性・安全性、「健康食品」制度等について正確でバランスのとれた情報提供に努めるべきである。

(5)関係有資格者等の果たすべき役割
 薬剤師、管理栄養士又はアドバイザリースタッフなど十分な知識と技能をもつ有資格者等が、販売や普及啓発等に際して、より積極的に役割を果たすべきである。


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