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第2回ILO懇談会議事要旨

1.日時:平成16年4月9日(金) 14:00〜15:30

2.場所:厚生労働省専用第11会議室

3.出席者:(敬称略)
 (1)労働者側
日本労働組合総連合会総合国際局長
日本労働組合総連合会労働法制局長
日本労働組合総連合会国際局部長
 
中嶋 滋
長谷川 裕子
大久保 暁子
 (2)使用者側
日本経団連国際協力センター専務理事
日本経済団体連合会国際労働政策本部長
日本経済団体連合会労働政策本部長
 
鈴木 俊男
讃井 暢子
川本 裕康
 (3)政府側
厚生労働省大臣官房総括審議官(国際担当)
厚生労働省大臣官房国際課長
厚生労働省大臣官房国際課海外情報室長
 
長谷川 真一
村木 太郎
野地 祐二

4.議題
 (1)ILO理事会の報告等(報告)
 (2)未批准条約について(協議)

5.議事要旨
(司会)
 それでは第2回ILO懇談会を開催いたします。私は厚生労働省大臣官房国際課長の村木でございます。私が、本日の司会を務めさせていただきます。初めに開催に当たりまして、本日の懇談会の主催者である厚生労働省総括審議官の長谷川より一言ご挨拶させていただきます。

(長谷川総括審議官)
 本日は、お忙しいところお集まりいただき心より感謝申し上げます。これより第2回ILO懇談会を開催いたします。
 本懇談会は、ILO第144号条約が昨年6月に発効したことを受け、本条約第2条第1項で定める政労使の代表者の間での効果的な協議を行うことを目的として開催するものです。ご承知の通り、昨年8月末に第1回の会合を開催し、今回が2回目の会合となります。
 前回、第1回の会合におきましては、既批准条約の年次報告についての協議ということで議論を行いましたが、今回は、条約第5条第1項(c)の規定に基づき、未批准条約について議論するということになっております。
 本条約の協議を通じて、政府、使用者団体及び労働者団体の間の意志の疎通が、より一層深まるものと期待しております。
 ご参集いただいた労使のメンバーにおかれましては、国際労働行政の発展のためにも、建設的な議論が行われるよう、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 また、未批准条約に関する検討や議論を円滑に行っていく上では、関係する各府省庁及び省内各部局の協力が不可欠と考えます。これまでのご協力に心より感謝申し上げると共に、引き続きご協力をお願いいたします。

(司会)
 続いて懇談会のメンバーをご紹介させていただきます。労働側から中嶋日本労働組合総連合会総合国際局長、長谷川日本労働組合総連合会労働法制局長、大久保日本労働組合総連合会国際局部長、使用者側から鈴木日本経団連国際協力センター専務理事、讃井日本経済団体連合会国際労働政策本部長、川本日本経済団体連合会労働政策本部長でございます。政府側は、先ほどご挨拶申し上げた総括審議官、国際課長、海外情報室長がメンバーとなっております。
 それでは初めに、議題1「ILO理事会の報告等」ということで、政府側より、資料に基づいてご説明させていただきます。

(政府側説明)

(司会)
 ただ今の件についてのご質問、また補足的なお話がありましたらお願いいたします。

(労働側)
 分担金についてですが、アメリカ、日本の両国が納めないとILOの事務の執行に大きな影響を与えることから、きちんと納めてほしいという要望が労働側の議論として強くありましたことを申し上げます。

(政府側)
 分担金の支払いにつきましては、事務的経費なのできちんと払うべきというご批判を労使よりいただいておりますことは承知しておりますが、一方、ILOの財政規律について見直していただきたいという思いもございます。財政規律については、今後、労使とも話をしながら追求していきたいと考えております。

(司会)
 続きまして、議題2になりますが「未批准条約」に関する協議に入りたいと思います。まず初めに、第155号条約及び第162号条約について、政府側よりご説明させていただきます。

(政府側)
 第155号条約については、重大災害が頻発している中で、法令の整備を含め労働安全衛生対策の強化を図っていきたいと考えており、同条約と国内法制の整合性の確保の検討を進めてまいりたいと考えております。
 第162号条約についても、本年10月より施行される改正労働安全衛生法施行令など、必要な法令の整備が進められており、国内の法制との整合性の確保についての検討を進めてまいりたいと考えております。

(司会)
 以上についてのご質問等ございましたらお願いいたします。

(使用者側)
 第162号条約については随分環境が整ってきたと考えておりますが、第155号条約につきまして、これまで批准しなかった理由と、今後批准に向けた方向性をお聞かせいただきたいと思います。

(政府側)
 この条約の内容については労働安全衛生法等の法令によって概ね実施されていると理解しておりますが、例えば、2以上の企業が同一作業場で同時に活動する場合の協力について、一定の請負関係にある企業についてのみ法律上規定されています。
 昨年夏以降に頻発した重大災害を契機として、昨年11月に大規模製造業事業場を対象として実施した「安全管理体制及び活動等に係る自主点検」の分析結果等を踏まえ、「大規模製造業における安全管理の強化に係る緊急対策要綱」を本年3月に策定したところでもあることから、本要綱も踏まえつつ、国内法制の検討を行う中で、批准に向けた環境も整っていくのではないかと考えております。

(労働者側)
 製造業においては、正社員、請負、派遣の3形態の労働者が含まれるケースがあると思います。今般の派遣法改正により、派遣労働者については派遣先・元双方に安全衛生義務が課せられたところですが、請負についてはそのような義務はありません。そういった状況も含め、今後トータルに安全衛生管理を整備していくという姿勢であると認識してよろしいのでしょうか。

(政府側)
 それらがカバーされればとは思いますが、具体的な検討はこれからということになります。

(労働者側)
 労働者側としては第155条約を批准すべきと従来より主張しているので、是非検討すべきだと思います。

(使用者側)
 第155号条約に関してはこれからの検討になるということはわかりましたが、第162号条約については、すぐにでも批准するということでしょうか。

(政府側)
 国内法制の整備等詰めるべき点もありますので、この場で具体的には申し上げられないことをご理解いただきたいと思います。

(司会)
 続きまして、労働側よりご希望のありました、第111号条約と第173号条約についてとなります。まず、労働側よりご発言をお願いします。

(労働者側)
 第111号条約は、ILOの基本条約の一つであり、早急に批准すべきではないかと考えています。人権擁護法は廃案になりましたが、受け皿を出してもらう等、環境整備を進めてほしいと思います。
 第173号条約については、現在国会で破産法改正の審議をしており、法改正にあわせて批准すべきと考えます。

(司会)
 第111号条約につきまして、まず政府側から発言したいと思います。

(政府側)
 第111号条約については、雇用及び職業に関する差別に対する施策は関連労働法令によって基本的には講じられているものの、本条約は雇用及び職業に関する広範な差別を対象としているため、条約と国内法制との整合性について引き続き検討する必要があると考えております。

(司会)
 何かご質問、ご意見等ございますでしょうか。

(労働者側)
 人権擁護法案が廃案となり受け皿となる法律が存在しないということ以外に、第111号条約の批准を困難にしている原因はあるのでしょうか。

(政府側)
 基本条約なので早期に批准すべきとは考えておりますが、人権擁護法案が廃案となり、それに代わるものがない状態であるということ、また、論点はいろいろとございますが検討中であるということで、ご理解をいただきたいと思います。
 批准に向けて、今後引き続き検討したいと存じます。

(司会)
 続きまして、第173号条約について、政府側から発言させていただきます。

(政府側)
 第173号条約においては、労働債権に国及び社会保障制度の債権よりも高い順位の特権を与えることとされているところ、今回の破産法の改正によっても、未払い賃金等の順位は租税債権と同順位にとどまる等、批准が難しいという状況は変わっていないものと考えております。

(司会)
 ご発言がありましたらお願いいたします。

(労働者側)
 ご説明を伺うと、批准に向けてのハードルが高いということですね。国の債権と同順位までは来たが、さらに優先されるところまで行かないといけないわけですね。

(司会)
 それでは他にご発言がなければ、議題2、未批准条約についてはこのぐらいにしたいと思います。他にご発言がございましたらお願いします。

(発言なし)

(司会)
 それでは、本日の議題は以上でございますので、これにて閉会といたします。
 なお、本日の会合の議事要旨は公表する予定としております。議事要旨については事務局で作成し、ホームページ上に公表したいと考えています。
 懇談会は終了とさせていただきましたが、ご出席の方から別途ご発言等ございますでしょうか。

(意見交換)

(司会)
 他にご発言等がなければ、本日はこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。

−了−

照会先:
 厚生労働省大臣官房国際課
 課長補佐 平塚
 03-5253-1111(7308)
 03-3595-2402(直通)


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