1 | 臨床研修を行う施設は,単独型臨床研修施設と複合型臨床研修施設群(臨床研修施設数≧2)とする。
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2 | 単独型臨床研修施設は,臨床研修施設の基準を当該施設単独で,又は研修協力施設と合わせて満たす病院若しくは診療所とする。
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3 | 複合型臨床研修施設群は,1か所の管理型臨床研修施設と,1か所以上の協力型臨床研修施設から構成される。
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4 | 協力型臨床研修施設は,管理型臨床研修施設の機能を補う施設とする。
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5 | 臨床研修施設は,それぞれ他の種類の臨床研修施設となることができる。
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6 | 研修協力施設は,病院,診療所,保健所,社会福祉施設,介護老人保健施設,へき地・離島診療所等とする。
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7 | 研修協力施設は,単独型臨床研修施設及び複合型臨床研修施設群の研修プログラムの一部分を担うことができる。
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8 | 臨床研修施設基準については,通年満たしていなければならない。
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9 | 研修プログラムに関する基準については,すべての臨床研修施設及び研修協力施設においてこれを遵守し,臨床研修を行わなければならない。 |
1 | 指導歯科医
一般歯科診療について的確に指導し,適正に評価を行うことができ,以下のいずれかの条件に該当すること。指導歯科医は,臨床研修指導のための研鑽を続けなければならないこと。なお,臨床経験年数には,臨床研修期間を含むこと。
(1) | 7年以上の臨床経験を有する者であって,指導歯科医講習会(財団法人歯科医療研修振興財団主催)等の指導歯科医のための講習会を受講していること。なお,都道府県歯科医師会会長の推薦があることが望ましいこと。
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(2) | 5年以上の臨床経験を有する者であって,日本歯科医学会分科会の認定医・専門医の資格を有し,指導歯科医講習会(財団法人歯科医療研修振興財団主催)等の指導歯科医のための講習会を受講していること。
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(3) | 大学又は大学の歯学部若しくは医学部の附属施設である病院においては,5年以上の臨床経験を有する者であって,大学又は大学の歯学部若しくは医学部の附属施設である病院に所属し,当該病院長が発行した臨床指導経歴を示す教育評価及び業績証明書を有すること。なお,臨床指導経歴には卒前臨床実習指導を含むこと。 |
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2 | 研修管理委員会
(1) | 研修管理委員会を単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設に置くこと。
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(2) | 研修管理委員会の構成員には,次の者を含むこと。
(1) | 委員長(当該臨床研修施設の長)
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(2) | 研修管理委員会が管理するすべての研修プログラムの研修プログラム責任者(複合型臨床研修施設群の場合には,研修プログラム責任者については管理型臨床研修施設に置くこと。)
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(3) | 複合型臨床研修施設群の場合には,協力型臨床研修施設の指導責任者(当該協力型臨床研修施設の長)
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(4) | 研修協力施設がある場合には,研修協力施設の研修実施責任者
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(5) | すべての参加施設の事務部門の責任者 |
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(3) | 研修管理委員会は,次に掲げる事項を行うこと。
(1) | 研修プログラムの全体的な管理(研修プログラム作成方針の決定,各研修プログラム間の相互調整など)
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(2) | 研修歯科医の全体的な管理(研修歯科医の募集,他施設への出向,研修歯科医の処遇,研修歯科医の健康管理など)
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(3) | 研修歯科医の研修状況の評価(研修目標の達成状況の評価,臨床研修修了の評価など)
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(4) | 採用時における研修希望者の評価
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(5) | 研修後の進路についての,相談等の支援 |
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3 | 研修の記録及び評価
(1) | 研修歯科医手帳を作成し,研修歯科医に研修内容を記入させること。研修歯科医手帳には,病歴や治療の要約を作成させるよう指導することが望ましいこと。
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(2) | 指導歯科医は,研修歯科医の目標到達状況を適宜把握すること。
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(3) | 研修プログラム責任者は,研修歯科医の目標到達状況を適宜把握し,研修歯科医が研修終了時までに到達目標を達成できるよう調整を行うとともに,研修管理委員会に目標の達成状況を報告する。
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(4) | 臨床研修施設の長は,研修管理委員会が行う研修歯科医の評価の結果を受けて,研修修了証を交付する。(複合型臨床研修施設群においては,管理型臨床研修施設の長が交付する。) |
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4 | 研修プログラム責任者
(1) | 研修プログラム責任者は,指導歯科医の要件を満たす者であること。
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(2) | 複合型臨床研修施設群においては,管理型臨床研修施設に研修プログラム責任者を置くこと。
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(3) | 研修プログラム責任者は,複数の研修プログラムを管理しても良いこと。ただし,20人以上の研修歯科医を管理する場合は,原則として副研修プログラム責任者を設置し,受け持つ研修歯科医の数は一人当たりが20人を超えないこと。
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(4) | 研修プログラム責任者は,次の事項を行うこと。
(1) | 研修プログラムの管理
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(2) | 全研修期間を通じて,個々の研修歯科医の管理 |
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5 | 入院症例
適切な指導体制の下に入院症例の研修が可能であり,十分な症例数が確保できること。
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6 | 医療安全のための体制
特定機能病院及び医師臨床研修病院以外の歯科医師臨床研修施設については,次に掲げる事項を満たすこと。
(1) | 単独型臨床研修施設及び管理型臨床研修施設においては,以下の安全管理のための体制を確保しなければならないこと。
(1) | 医療に係る安全管理のための指針を整備すること。 医療に係る安全管理のための指針とは,次に掲げる事項を文書化したものであり,また,医療に係る安全管理のための委員会において策定及び変更するものであること。
ア | 医療機関における安全管理に関する基本的考え方 |
イ | 医療に係る安全管理のための委員会その他医療機関内の組織に関する基本的事項 |
ウ | 医療に係る安全管理のための職員研修に関する基本方針 |
エ | 医療機関内における事故報告等の医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策に関する基本方針 |
オ | 医療事故等発生時の対応に関する基本方針 |
カ | 患者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針 |
キ | その他医療安全の推進のために必要な基本方針 |
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(2) | 医療に係る安全管理のための委員会を開催すること。 医療に係る安全管理のための委員会(以下「安全管理委員会」という。)とは,医療機関内の安全管理の体制の確保及び推進のために設けるものであり,次に掲げる基準を満たす必要があること。なお,無床診療所においては職員会議をもって委員会としてよいこと。
ア | 安全管理委員会の管理及び運営に関する規程が定められていること。 |
イ | 重要な検討内容について,患者への対応状況を含め管理者へ報告すること。 |
ウ | 重大な問題が発生した場合は,速やかに発生の原因を分析し,改善策の立案及び実施並びに職員への周知を図ること。 |
エ | 安全管理委員会で立案された改善策の実施状況を必要に応じて調査し,見直しを行うこと。 |
オ | 安全管理委員会は月1回程度開催するとともに,重大な問題が発生した場合は適宜開催すること。 |
カ | 各部門の安全管理のための責任者等で構成されること。 |
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(3) | 医療に係る安全管理のための職員研修を実施すること。 医療に係る安全管理のための職員研修とは,医療に係る安全管理のための基本的考え方及び具体的方策について当該医療機関の職員に周知徹底を行うことで,個々の職員の安全に対する意識,安全に業務を遂行するための技能やチームの一員としての意識の向上等を図るものであること。 本研修は,医療機関全体に共通する安全管理に関する内容について,定期的に開催するほか,必要に応じて開催すること。また,研修の実施内容について記録すること。
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(4) | 医療機関内における事故報告等の医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策を講ずること。 医療機関内における事故報告等の医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策とは,医療機関内で発生した事故の安全管理委員会への報告等,あらかじめ定められた手順や事例収集の範囲等に関する規程に従い事例を収集,分析することにより医療機関における問題点を把握して,医療機関の組織としての改善策の企画立案やその実施状況を評価するものであること。また,重大な事故の発生時には,速やかに管理者へ報告すること等を含むものであること。なお,事故の場合にあっての報告は診療録や看護記録等に基づき作成すること。
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(5) | 医療に係る安全管理を行う者を配置すること。 医療に係る安全管理を行う者(以下「安全管理者」という。)とは,当該施設における医療に係る安全管理を行う部門の業務に関する企画立案及び評価,施設内における医療安全に関する職員の安全管理に関する意識の向上や指導等の業務を行うものであり,次に掲げる基準を満たす必要があること。
ア | 医師,歯科医師,薬剤師,看護師又は歯科衛生士のうちのいずれかの資格を有していること。 |
イ | 医療安全に関する必要な知識を有していること。 |
ウ | 病院においては,当該施設の医療安全に関する管理を行う部門に所属していること。 |
エ | 当該施設の医療に係る安全管理のための委員会(以下「安全管理委員会」という。)の構成員に含まれていること。 |
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(6) | 病院においては,医療に係る安全管理を行う部門を設置すること。 医療に係る安全管理を行う部門(以下「安全管理部門」という。)とは,安全管理者及びその他必要な職員で構成され,安全管理委員会で決定された方針に基づき,組織横断的に当該施設内の安全管理を担う部門であって,次に掲げる業務を行うものであること。
ア | 安全管理委員会で用いられる資料及び議事録の作成及び保存,その他安全管理委員会の庶務に関すること。 |
イ | 事故等に関する診療録や看護記録等への記載が正確かつ十分になされていることの確認を行うとともに,必要な指導を行うこと。 |
ウ | 患者や家族への説明など事故発生時の対応状況について確認を行うとともに,必要な指導を行うこと。 |
エ | 事故等の原因究明が適切に実施されていることを確認するとともに,必要な指導を行うこと。 |
オ | 医療安全に係る連絡調整に関すること。 |
カ | その他医療安全対策の推進に関すること。 |
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(7) | 患者からの相談に適切に応じる体制を確保すること。 患者からの相談に適切に応じる体制を確保することとは,病院においては,当該施設内に患者相談窓口を常設し,患者等からの苦情,相談に応じられる体制を確保するものであり,次に掲げる基準を満たす必要があること。また,これらの苦情や相談は医療機関の安全対策等の見直しにも活用されるものであること。
ア | 患者相談窓口の活動の趣旨,設置場所,担当者及びその責任者,対応時間等について,患者等に明示されていること。 |
イ | 患者相談窓口の活動に関し,相談に対応する職員,相談後の取扱,相談情報の秘密保護,管理者への報告等に関する規約が整備されていること。 |
ウ | 相談により,患者や家族等が不利益を受けないよう適切な配慮がなされていること。 |
なお,診療所においては,意見箱等の患者からの意見を適切に収集する体制をもって代えてよいこととする。この場合も上記ア〜ウに準ずる体制を確保すること。 |
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(2) | 協力型臨床研修施設においては,上記の(1)から(5)までの体制を確保し,(6)及び(7)の体制整備に努めること。なお,当該施設内に患者からの相談に適切に応じる体制が確保されない場合にあっては,管理型臨床研修施設等に患者相談窓口を確保し,その活動の趣旨,設置場所,担当者及びその責任者,対応時間等について,患者等に明示すること。 |
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7 | 歯科主要設備等
歯科主要設備とは,到達目標の一般目標と行動目標に掲げる研修内容の習得に必要な設備をいうこと(例:歯科診療台,歯科用エックス線装置,パノラマエックス線装置,オートクレーブ,超音波歯石除去器,生体モニター,口腔内画像処理システム,吸入鎮静装置等)。
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8 | 臨床研修に必要な設備等
(1) | 当該施設で行う臨床研修に必要な図書及び雑誌が整備されていること。 臨床研修に必要な図書及び雑誌の整備とは,内外の専門図書及び雑誌を有し,かつ,年間において相当数の図書及び雑誌の購入を行うものであること。
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(2) | 病歴管理者を明確にし,組織的な病歴管理が行われていること。
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(3) | 原則として,インターネット環境が整備されていて,Medline等の文献データベース検索や教育用コンテンツの利用環境等が整備されていること。
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(4) | 研修歯科医のための宿舎が確保されていることが望ましいこと。 |
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1 | 研修歯科医の処遇について
(1) | 研修歯科医の処遇とは,以下のものをいうこと。
(1) | 常勤又は非常勤の別
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(2) | 研修手当,勤務時間及び休暇に関する事項
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(3) | 時間外勤務及び当直に関する事項
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(4) | 宿舎の有無
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(5) | 社会保険・労働保険(公的医療保険,公的年金保険,労災保険,雇用保険)の適用の有無
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(6) | 健康管理
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(7) | 歯科医師賠償責任保険の適用の有無
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(8) | 自主的な研修活動に関する事項(研究会への参加の可否及び費用負担の有無) |
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(2) | 研修歯科医がアルバイトをせずに研修に専念できるよう,研修歯科医の処遇の内容を定めること。
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(3) | 医師臨床研修医の処遇にかんがみ,相当の処遇が確保されることが望ましいこと。研修歯科医については,一般的には,労働者性が認められると考えられることから,労働基準法等労働関係法令に規定される労働条件に相当する処遇が確保されることが必要であること。 |
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2 | 処遇内容の公表
研修歯科医を募集する際に,研修歯科医の処遇の内容が公表されていること。
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3 | 処遇の実施
公表された処遇の内容のとおりに研修歯科医の処遇が実施されていること。
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4 | 研修歯科医の採用方法
研修歯科医の新規の募集及び採用は,原則として,公募によるものであること。
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5 | 臨床研修の中断及び再開について
(1) | 研修管理委員会は,研修歯科医が臨床研修を継続することが困難であると認める場合には,当該研修歯科医がそれまでに受けた臨床研修に係る当該研修歯科医の評価を行い,単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設の管理者に対し,当該研修歯科医の臨床研修を中断することを勧告することができること。
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(2) | 単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設の管理者は,研修管理委員会の勧告又は研修歯科医の申出を受けて,当該研修歯科医の臨床研修を中断することができること。
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(3) | 単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設の管理者は,研修歯科医の臨床研修を中断した場合には,当該研修歯科医の求めに応じて,速やかに臨床研修中断証を公布しなければならないこと。
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(4) | 臨床研修を中断した者は,臨床研修施設に,臨床研修中断証を添えて,臨床研修の再開を申し込むことができること。この場合において,臨床研修中断証の提出を受けた臨床研修施設が臨床研修を行うときは,当該臨床研修中断証の内容を考慮した臨床研修を行わなければならないこと。 |
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6 | 臨床研修の修了について
(1) | 研修管理委員会は,研修歯科医の研修期間の終了に際し,臨床研修に関する当該研修歯科医の評価を行い,単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設の管理者に対し,当該研修歯科医の評価を報告しなければならないこと。この場合において,研修管理委員会は,臨床研修中断証を提出し臨床研修を再開した研修歯科医については,当該臨床研修中断証に記載された当該研修歯科医の評価を考慮するものとすること。
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(2) | 単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設の管理者は,前項の評価に基づき,研修歯科医が臨床研修を修了したと認めるときは,速やかに,当該研修歯科医に対して,臨床研修修了証を交付しなければならないこと。
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(3) | 単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設の管理者は,第一項の評価に基づき,研修歯科医が臨床研修を修了していないと認めるときは,速やかに,当該研修歯科医に対して,理由を付して,その旨を文書で通知しなければならない。 |
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