04/03/22 薬事・食品衛生審議会薬事分科会 平成16年3月22日議事録           薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成16年3月22日(月) 15:00〜   厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(18名)五十音順   青 柳   俊、 池 田 康 夫、 石 橋 康 正、 板 倉 ゆか子、   ◎井 村 伸 正、 岩 渕 勝 好、○上 田 慶 二、 岡 本   彰、    神 山 美智子、 河 村 信 夫、 桜 井 靖 久、 杉 村 民 子、    土 屋 利 江、 広 津 千 尋、 松 本 和 則、 溝 口 秀 昭、   溝 口 昌 子、 吉 田 仁 夫 (注) ◎分科会長 ○分科会長代理   欠席委員(6名)   井 部 俊 子、 岩 田   誠、 長 尾   拓、 南 部 鶴 彦、    早 川 堯 夫、 望 月 眞 弓 3.行政機関出席者   阿曽沼 慎 司(医薬食品局長)、 鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、   吉 岡 荘太郎(総務課長)、 小 出 顕 生(医薬品副作用被害対策室長)、   岸 田 修 一(審査管理課長)、 北 條 泰 輔(医療機器審査管理室官)、   中 尾 貞 男(化学物質安全対策室長)、    平 山 佳 伸(安全対策課長)、 俵 木 登美子(安全使用推進室長)、   金 井 雅 利(血液対策課長)、 浦 山 隆 雄(血液対策企画官)、   境   政 人(農林水産省薬事・飼料安全室長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器審査センター長)  他 4.備  考   本分科会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○井村分科会長 それでは定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会 薬事分科会を開催させていただきます。それでは初めに事務局から資料の確認をお願い いたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。審議事項につきましては、資料1、2、 30となっております。報告事項につきましては資料3〜29となっております。その他の 事項といたしまして、資料31〜32となっております。なお、資料14、19、30につきま しては内容に変更がございましたので、お手数でございますが本日新たに机の上に御用 意させていただきました。差し替えの方をよろしくお願いいたします。また資料1-4、 12、16【追加】、31、32、そのほかに議事次第、座席表、名簿につきましても本日机の 上に配付させていただいております。御確認いただきたく、お願いいたします。 ○井村分科会長 御確認いただけましたでしょうか。大体よろしゅうございますか。そ れでは今も資料の説明の中でありましたように、議題といたしましては審議事項が3件 ございます。それから報告事項がかなり多いのですが、27件ございます。その他の事項 といたしまして審議事項に相当するものが1件と、報告に相当するものが1件予定され ております。  それでは審議に入らせていただきます。まず議題1、資料1でございますが、生物学 的製剤基準の改正についてでございます。これにつきましては医薬品第二部会で審議さ れたものでございまして、報告事項の方にも関連事項の議題がございますので、こちら も併せて報告していただいた方がよろしいかと思います。まず最初に審議事項の方につ きまして、医薬品第二部会長の池田委員の方から御説明をお願いいたします。 ○池田委員 それでは御説明いたします。生物学的製剤基準の全面改正は平成5年に行 われているわけですけれども、それ以来約10年が経過しているところであります。この 度全面改正を行うに当たりまして、医薬品第二部会の下に基準改正のための検討小委員 会を設置して審議を行ってまいりました。その審議の結果につきましては、昨年10月3 日に医薬品第二部会において審議し、了承いたしましたので、本日この分科会で御審議 をお願いしたいと思います。詳しくは事務局の方からよろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは事務局の方から報告事項の議題9、 10も併せて御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは事務局の方から御説明させていただきます。まず審議事項の議題1 でございますが、資料といたしましては資料1が諮問書となっております。資料1-1が 今回の基準改正についての概要をまとめたものでございまして、資料1-2が全面改正の 改正案でございます。資料1-3が新旧対照表、それから資料1-4としまして痘そうワク チン関係の改正案を用意させていただいております。  それでは資料1-1に基づきまして概要を御説明させていただきたいと思います。まず 生物学的製剤基準は薬事法第42条に基づく基準でして、保健衛生上特別の注意を要する 医薬品につきまして、その製法、性状、品質、貯法などに関して定めた基準となってお ります。今回の全面改正の背景ということですけれども、この基準は当初昭和46年に制 定された後、昭和60年、平成5年に全面的な改正がなされております。直近が平成5年 ということですので、約10年ぶりの改正という形になります。この10年間に科学技術 の進展等があったこと、また昨年の改正薬事法施行の関係で7月に生物由来原料基準が 制定されたこと、あるいは日本薬局方やWHO基準等の諸外国の基準との整合性を踏ま えた改正が求められていることから、今般、生物学的製剤基準の大改正につきまして作 業を行ってきたところでございます。これまでの審議経過につきましては、医薬品第二 部会の下にこの基準改正のための検討小委員会を設けました。詳しくは資料1-1の別紙 となっておりますけれども、3ページに審議経過が書かれております。この小委員会、 ワーキンググループで昨年の5月から9月にかけて10回ほど審議を行ってまいりまし た。その結果、先ほど部会長からもお話がありましたとおり、第二部会の方で10月に審 議をしたというものでございます。  それではこの改正の概要につきまして御説明させていただきます。もう一度資料1-1 の1ページに戻っていただけますでしょうか。「IV.改正概要について」の「1.通則」 のところでございます。今回の改正におけるポイントの一点目としましては、ロットの 定義について明確化を図ったというところでございます。これは現行の基準が諸外国、 WHO基準、あるいは日本のGMP省令のロットの定義と整合がとれていなかったとい うことで、そういった基準等と整合性を図るために変更を行ったものです。実際にはこ の下線部のところを追加しております。すなわち現行のロットの定義としましては、「ロ ット」とは通常一つの最終バルクに由来する小分製品の一群をいうと、ただそれだけの 規定でしたが、今般の改正によりましてこの下線の部分、「一製造期間内に一連の製造 工程により均質性を有するように製造された」を付け加えております。  それから二点目は今回の改正の通則21に当たるところです。現在、通常の医薬品もそ うだと思いますが、ロットにつきまして一つのロットには一つの製造番号を付けていま す。またそのほかに生物学的製剤に特有のものとしまして、同じロットであっても分注 区分ごとの記号を付記する場合という形で製造が行われております。この部分の説明に ついて現行の記載から記載整備を図ったということでございます。変更点としましては、 この二つ目のやはり下線部分になりますけれども、「同一の条件とみなし得ない操作に よって作られた小分製品群については、同一の製品番号に分注区分ごとの記号を付記す る」という形にしております。この部分につきましては、現行の記載ですと具体的に微 生物の汚染の機会が同一とみなし得ない操作によって分注されたもの、あるいは同一の 条件とみなし得ない乾燥操作によって乾燥された小分製品群という具体的な事例が二点 ほど掲げられていたのですけれども、それをまとめまして、今回のような表記にしたと いうものでございます。  それから次のところですけれども、これは今御説明いたしましたが、同一ロットでは あるけれども分注区分ごとの記号を付記したものについてどういう試験を行うかという ことについて定めたものでございます。現行の基準では、こういった場合につきまして は一律に含湿度試験と無菌試験をやることとされておりました。今回の改正ではそうい った一律の規定ではなく、この下線部にありますように「製造工程のバリデーション等 により、恒常的にその品質が均一であり、生物学的製剤基準に適合することが保証され ている場合には、小分製品の試験を省略できる」としております。逆を言えば、こうい ったことが保証されていなければ必要な試験を適宜行うということでございます。  それから次の(2)ですけれども、これはロットを構成する血液製剤についてでござい ます。該当するものとしては、例えば血液凝固因子製剤といったものが入ってくるかと 思います。こういった製剤につきましては、最終的な製剤の段階で無菌試験、発熱試験 を行うということは規定されておりますけれども、この最終製品以外の段階で別途製造 工程においても無菌試験、発熱試験を行うということとされております。ここは通則44 に当たりますけれども、今回の改正ではこういった製造工程で行う部分の試験につきま しても、バリデーション等で適切に管理されているということが保証できる場合には試 験を省略できるといった規定を盛り込んでおります。  めくっていただいて2ページになりますが、「(3)単位」でございます。これは日本 薬局方との整合性を図るということ、それから生物学的製剤特有なバイオアッセイ単位 というものが幾つもございますので、それについて規定をしているものでございます。  次に「2.医薬品各条」のところですけれども、(1)といたしまして、今回チメロサール 以外の保存剤の使用を可能にするような記載変更を行っております。現在インフルエン ザワクチンなどは保存剤としてチメロサールが使われておりますけれども、現行の基準 では最終バルクに「チメロサールを0.01w/v%になるよう添加することができる」とい った規定になっておりまして、保存剤としてはチメロサール以外のものを使用できない というような規定になっているわけでございます。それを今回の改正案では、「適当な 保存剤を用いることができる」とすることによって、チメロサール以外の保存剤の使用 を可能とするような改定を行っております。同様の趣旨の改定は昨年1月に日本脳炎ワ クチンなどについても既に行っております。なお、この「適当な保存剤」ということで すけれども、具体的に何を使うか、あるいはどういった濃度で使うかということにつき ましては、この基準以外に承認書の方で担保をすることとしております。  次に(2)ですけれども、これは試験に使用する動物の条件について記載整備を行った ということで、今まで「約幾つ」と書いてあったところを幅記載としたことですとか、 マウス、モルモット、ウサギにつきまして記載を統一したというものでございます。  それから「(3)削除品目」ですけれども、ここに挙げられている2品目につきまして は既に承認、整理をされているということで、今回の大改正の機会に削除することとし ております。  次に「3.一般試験法」ですけれども、まず(1)の標準液等に関する記載の整備を行っ ております。標準希釈液につきましては標準液から作るわけですけれども、これまでそ の濃度を生物学的製剤基準の一般試験法で各試験法ごとに規定しておりました。今回の 改正では標準液を三つの異なる濃度に適宜希釈して標準希釈液を作るということで、こ の標準希釈液の濃度はその試験に応じて適宜定めるとし、基準上にはこれを規定しない ことといたしました。また測る検体の方ですけれども、この標準希釈液の最高濃度と最 低濃度の範囲内で適宜希釈して試料とすることとしております。  それから次の「(2)エンドトキシン試験法」については、日本薬局方が改正になりま した関係でそちらのエンドトキシン試験を準用することとしました。ただし二つ目にあ りますけれども、生物製剤特有のものとしまして、今までエンドトキシン試験が不適だ った場合の再試験として発熱試験を行っておりました。その旨がこの一般試験法に書か れておりましたが、今回の改正によってこの再試験の適用につきましては一般試験法か ら削除いたしました。ただ、現状では再試験として発熱試験の適用が必要な品目がまだ 血液製剤関係で2品目ございますので、そちらにつきましてはその医薬品各条の方に再 試験の適用について記載をすることとしたいと思います。  それから「(3)チメロサール定量法」ですが、こちらにつきましては四塩化炭素を使 用しない測定系を導入する、あるいはチメロサールの量を減らしていくことへの対応と しまして、より感度の良い試験法の導入ということで、資料に挙げられております二つ の試験法を今般導入するというものでございます。  生物学的製剤基準の大改正につきましての説明は以上ですけれども、分科会長からお 話がありましたとおり関連する議題が報告事項の9、10に出ておりますので、それにつ いても併せて御説明させていただきます。まず資料11を御覧いただきたいのですけれど も、これは生物学的製剤基準の一部改正についてということです。全面改正については 分科会審議事項という取扱いになっておりますが、一部改正については報告事項という ことで決められておりますので、そういった関係でこれについては報告になっておりま す。この資料11には大きく三つに分けて品目の基準改正について書かれておりますが、 これはすべて医薬品第二部会で審議済みで、それぞれ既に告示もされております。  簡単に御説明いたしますと、まず「1.ガスえそウマ抗毒素(ガスえそ抗毒素)及び乾燥 ガスえそウマ抗毒素(乾燥ガスえそ抗毒素)の改正」ですけれども、これは主な改正内容 が四点ございます。(1)は免疫グロブリン含量を現行の90%から95%に引き上げておりま す。(2)の免疫化学試験は非常に感度の悪い試験でございますので、(1)での含量引上げに 伴いましてこの試験自体を削除しても問題ないと判断し、削除しております。それから (3)、(4)は蛋白質含量試験についてですが、これは単位抗毒素当たりの蛋白含量を規定し ている試験でして、いわゆる純度試験として位置付けられるものでございます。当初は 原液についてこの試験を行っていたということですが、実際の製造工程を見ますと原液 段階から最終製品に至る段階では特段精製の行程は入っていないということですので、 この純度試験として位置付けられる蛋白質含量試験につきましては原液の試験から削除 して、小分製品の試験として入れるという趣旨で改正を行っております。  それから「2.乾燥BCG膀胱内用(日本株)の改正」につきましては、容器をアンプル からバイアルへ変更するという一部変更申請が出されておりまして、それに伴って安定 剤の増量、あるいは添付溶剤の増量が行われ、生物学的製剤基準の浸透圧比という項目 の方で必要な改定を行っているというものでございます。  「3.細胞培養痘そうワクチン及び乾燥細胞培養痘そうワクチンの改正」です。これに つきましては乾燥細胞培養痘そうワクチンの方が、これまでの基準では5℃の保存で2 年間の有効期間と定められておりましたが、これは−20℃で3年間とし、1年間有効期 間を延ばすという変更を行っております。また、併せて製造用株に関しての製法につい て明確化を図るという改正を行っております。実は今申し上げた痘そうワクチン関係の 告示が3月5日であったため資料1-2の印刷に間に合わなかったもので、申し訳ござい ませんが痘そうワクチンに関してはこの最終的な大改正後の姿ということでお示しした 資料1-4を本日別途配付させていただいているということでございます。  それから最後の報告ですけれども、議題10、資料12の生物由来原料基準の一部改正 についてです。この「2 改正内容について」のところを御覧いただきたいのですけれど も、今回血液製剤総則「1輸血用血液製剤総則」において、「ABO式血液型」という 表現を「式」を取って「ABO血液型」とするという改正を行っております。これは学 会等でも一般的に「式」を取って「ABO血液型」という言葉を使っているということ から変更するものです。なお、同じ表現が原料基準以外に生物学的製剤基準の方でもあ りますので、こちらの大改正でも同じ記載整備を図るということを予定しております。 以上でございます。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明につきまして御意 見あるいは御質問がございましたら、どうぞお願いいたします。審議事項と報告事項が 2件ございましたけれども、いかがでございましょうか。どうぞ。 ○神山委員 私のような素人がこういうものを読みますと、中身を理解するのも非常に 難しいのですけれども、例えば概要の方に「製造工程のバリデーション等により」とあ って、「バリデーション」とは何かというようなこともございます。当てはまる日本語 がないのなら別ですけれども、もしあるのでしたら説明のところでは括弧を付けて日本 語を入れるなどしていただきたいものだと思います。 ○事務局 申し訳ございません。私どもは一般的に「バリデーション」という言葉を使 っておりますので、こういう形で書かせていただきましたけれども、今後資料の方につ きましては分かりやすく、できれば日本語で説明を付記するということで対応させてい ただきたいと思います。 ○神山委員 それで、「バリデーション」とはどういう意味なのですか。 ○事務局 これは製造工程でしっかりしたデータに基づいて順序よく品質管理ができて いるかということを示すために検査を行っているというもので、GMPの関係でよく使 われている言葉でございます。無菌試験といっても、これを行った際、最終的に本当に 無菌かどうかという感度をその試験自体で把握するのは非常に難しいわけです。無菌試 験で合格したとしても、その検出感度というのはかなり低いものになっております。し たがって、その製造工程自体をきちんと品質管理するということが重要になってきてお ります。工程管理によってどういう試験をどういう形でやるかというのは非常に複雑な のですけれども、一般的に最終製品の規格に頼らず製造工程一段階ずつきちんとデータ を取って次の工程に進んで、トータルとして出来上がったものが大丈夫であるかどうか ということを確認していくといった概念でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問はいかがでしょう。 それでは本件につきましては御承認いただいたということでよろしゅうございますでし ょうか。ありがとうございました。では続きまして議題2、血液製剤の安全性の向上及 び安定供給の確保を図るための基本的な方針の一部改正についてでございます。これに つきましては血液事業部会で審議されたものでございますので、初めに血液事業部会長 の溝口委員の方から御説明をお願いいたします。 ○溝口(秀)委員 本件は昨年7月から適用されております血液法に基づく基本方針の一 部を、薬事法の改正に合わせて修正するものでございます。詳細の方は事務局から御説 明させていただきます。よろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは事務局の方からお願いいたします。 ○事務局 引き続きまして事務局から御説明させていただきます。資料30を御覧いただ きたいと思います。まず1枚目が諮問書でございます。内容につきましては次の1ペー ジに書いてございますが、血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基 本的な方針の一部改正でございますけれども、これにつきましては1月26日開催の血液 事業部会で審議、了承され、分科会の方に上程されたものでございます。この基本方針 につきましては、昨年5月に告示され7月30日から適用されております。今回の改正に つきましては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法が本年の4月1日に施行されま す関係で薬事法の条文が多少変わるということで、それに伴う変更でございます。内容 につきましては本質的な中身というよりも字句の問題の改正でございます。  概要につきましては1ページに書いてございますけれども、3ページに新旧対照表が ございますのでこちらの方で御説明したいと思います。改正案が上欄、現行が下欄に書 いてございます。まず一つ目、「第六 血液製剤の安全性の向上に関する事項」の中の一 号のところでございます。今までの規定では感染症報告を厚生労働大臣に報告するとな っておりましたが、4月に医薬品医療機器総合機構ができた後は、機構に情報整理を行 わせる場合にはそちらに提出していただくことになるという改正案でございまして、 「厚生労働大臣」の後に括弧書きでその旨を追加したということでございます。それか ら二つ目、現行の三号のところで「薬事法第六十九条の二」と書かれてありますけれど も、これも薬事法が変わりましたので「薬事法第六十九条の三」に変更したということ でございます。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして御質問ある いは御意見ございましたら、どうぞお願いいたします。よろしゅうございますでしょう か。それではこの件につきましては御承認いただいたことにさせていただきます。あり がとうございました。  引き続きまして議題3でございます。これは動物用医薬品ズブリン30、同50、同100、 同200の輸入承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒劇薬の指定についてでございま す。これにつきましては動物用医薬品等部会で審議されたものでございますので、初め に同部会の吉田委員の方から御説明をお願いいたします。 ○吉田委員 ズブリンはナガセ医薬品株式会社から承認申請されたテポキサリンを有効 成分とする犬用の経口投与剤であります。平成16年1月20日の動物用一般医薬品調査 会で審議され、事前の調査、審議を終了し、同年3月2日の動物用医薬品等部会で審議 され、本会に上程して差し支えないということなりました。詳細につきましては事務局 から説明をお願いいたします。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは事務局の方から説明してください。 ○事務局 農林水産省でございます。それでは議題3、資料2を御用意ください。黄色 のタックが幾つか付いておりますが、「申請書」とあるタックをお開きください。本製 剤はナガセ医薬品株式会社から輸入承認申請されましたズブリン30、同50、同100、同 200でございます。本剤はテポキサリンを主剤とする犬の運動器疾患に伴う炎症及び疼 痛の緩和を効能・効果とするもので、ヒト用の医薬品としても動物用医薬品としても初 めての成分でございます。したがって、新有効成分含有動物用医薬品として御審議をお 願いいたします。  それでは本剤の概要につきまして御説明いたします。「概要」とありますタックをお 開きください。2枚めくっていただきまして1ページでございます。まず起源又は開発 の経緯でございますが、そもそもこのテポキサリンはヒト用の消炎鎮痛薬として開発が 進められていました。しかし、シクロオキシゲナーゼ(COX)の発見によりヒト用の NSAIDの開発の流れが変わり、テポキサリンの開発が一時中止するに至っております。 ところがこのテポキサリンは極めて強いCOX阻害剤であること、また犬を用いた長期 毒性試験で毒性が認められなかったことにより、これを動物用の経口剤として開発する に至ったということでございます。  次に10ページをお開きください。本剤の物理的、化学的性質でございますが、このテ ポキサリンは白色の粉末で、クロロホルムに溶けやすくエタノール(95)又はアセトンに やや溶けにくく、水にほとんど溶けないという性状のものでございます。  続きまして32ページをお開きください。「IV.急性毒性に関する試験」でございます。 テポキサリンの急性毒性をマウス及びラットを用いて検討いたしました。試験方法を表 IV-1に、試験結果の概要を表IV-2に示してございますが、試験結果につきましては、 マウス、ラット共に経口投与の場合のLD50値は400mg/kg以上と。静脈内投与の場合 はマウスでは算出できませんでしたが、ラットにおきましては120mg/kg以上という結 果でございました。  続きまして35ページを御覧ください。「V.亜急性毒性及び慢性毒性に関する試験」 でございます。まず亜急性でございますが、36ページの表V-1-2に結果の概要を示し てございます。テポキサリンのラット4週間経口投与による無毒性量では雄が15mg/kg/ 日、雌は無作用量が求められなかったと。しかし、雌の低用量(15mg/kg)群で認められ た所見は肝臓の重量の増加のみであったという結果でございます。  続きまして49ページをお開きください。「V-2.慢性毒性」でございます。テポキサ リンをラットに26週間強制経口投与してその慢性毒性を検討しましたところ、50ペー ジの表V-2-2に結果の概要を示してありますが、無毒性量は雌雄それぞれ5mg/kg/日 というふうに判断されております。  今度は90ページをお開きください。「VII.安全性に関する試験」でございます。犬を 用いたものでございますが、テポキサリンを10mg、50mg、150mg/kgで1日2回ずつ4 週間連続投与いたしました。その結果表のVII-1-2に示しますように、異常所見というも のは全く認められず、300mg/kg/日が無影響量であると判断されてございます。  続きまして95ページの下のパラグラフでございますが、「犬における1年間安全性試 験」でございます。この薬の常用量の10倍量であります100mg/kgを長期間投与しまし た結果、胃幽門部粘膜に病巣が認められ、ここに潰瘍や上皮びらん、出血病変等が観察 されたという結果が示されてございます。  続きまして120ページをお開きください。「XII.臨床試験」でございます。国内の9 か所及び海外の16か所におきまして、急性又は慢性の運動器疾患又は筋骨格疾患と診断 された犬を対象に7日間の反復投与による臨床試験を行いました。有効性の評価につき ましては、国内の臨床試験では有効率を算定し、海外の臨床試験では臨床スコアの算出 により評価いたしました。また安全性の評価につきましては、治験の担当者による身体 検査や臨床検査といったものから評価いたしました。その結果、有効性につきましては、 国内の臨床試験では53症例がその対象とされまして有効率は71.7%でございました。 治験の担当者及び被験動物所有者による総合評価では、それぞれ88.5%及び92.3%が有 効又は著効というふうに判断されてございます。また海外の臨床試験では100症例が対 象とされまして、すべて有意な改善が認められてございます。治験の担当者及び被験動 物所有者による総合評価でもそれぞれ83.8%及び78.6%が有効又は著効と判断されて ございます。安全性につきましては、国内の臨床試験では54例中2例、海外では107例 中8例が副作用として報告されたのみにとどまってございます。したがいまして、以上 の結果から本剤の安全性及び有効性は高いものと評価されている次第でございます。  最初のページに戻っていただきまして、「審議経過票」をお開きください。この票に 誤りがありますので訂正させていただきます。まず5の「用法及び用量」と6の「効能 又は効果」の中身が逆になってございます。失礼いたしました。正しくは用法及び用量 が「体重1kg当たりテポキサリンとして10mgを1日1回、経口投与する」というもの で、効能又は効果が「犬:運動器疾患に伴う炎症及び疼痛の緩和」でございます。それ から8の2行目でございますが、最後の方に「薬事分科会に報告して」とありますが、 ここは「上程して」の間違いでございます。また9が「新投与経路動物用医薬品」とな ってございますが、「新有効成分含有動物用医薬品」の誤りでございます。以上三点誤 りがありました。訂正させていただきます。  この票におきまして8の欄に示しますように、3月2日の動物用医薬品等部会で御審 議いただきまして承認を可とし、薬事分科会に上程して差し支えないとなっております。 なお、再審査期間は新有効成分含有動物用医薬品ということで、6年とするという結果 でございました。また毒劇薬の指定につきましては、先ほどの資料の説明の中で本剤の 常用量の10倍量を投与した群において胃幽門部に潰瘍ですとか上皮びらん、出血病変と いったものが認められたことから、常用量の10倍量を投与して組織に障害を認めるもの ということで劇薬指定を提案させていただきます。以上でございます。御審議のほどよ ろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ただいまの御説明で何か御意見、御質問ご ざいましたらどうぞ。いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。板倉委員、 どうぞ。 ○板倉委員 この商品については、獣医師が飼い主の方に薬を渡して使わせるようなタ イプのものだと考えてよろしいのでしょうか。 ○事務局 これは要指示医薬品に指定されておりまして、獣医師の診察の下に飼い主さ んに処方されるものです。使われ方は7日間の連続投与ということになりますので、そ の間は飼い主さんが自ら投薬されるという形になると思います。 ○板倉委員 取り扱いの添付文書のようなものはどこを見ればいいのかよく分からなか ったのですが。 ○事務局 審議経過票の4ページ、別紙3)に「使用上の注意」というものがありまして、 これが添付文書として付けられる中身でございます。 ○板倉委員 多分これだろうと思ったのですけれども、「4.適用上の注意」のところで 投与したときに湿潤するまで口を閉じさせることと書いてあって、こういったことまで 含めてきちんと飼い主の方に説明して渡されるものなのかどうかというのが、どういう ルールになっているのかよく分からなかったのです。特に犬ですから、使い方がきちん とした形で飼い主に伝わらないとうまく使えないのではないかと、ここを見てちょっと 思ったので御質問させていただきました。獣医師から飼い主の方にどのように与えるか ということについては、私たち一般の消費者には余り知られていないわけですから、ど うなっているのかなという疑問がありました。 ○井村分科会長 吉田先生、その辺で何かございませんか。 ○吉田委員 一般的には人と同じようにインフォームド・コンセントと言いますか、十 分な説明をして納得された上でお渡しするということが常識になっております。ですか ら、まずめったなことで投薬上の事故は起きないと考えていただいて結構です。それと もう一つは、飼い主さんの方もやはり犬を自分の子供のようにかわいがる方が多いです から、いわば子供さんを小児科に連れて行ったという気分でお使いになる方が多いので すね。ですから、常識的な範囲でお使いいただければまず事故は起きないというふうに 判断しております。よろしいでしょうか。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。何となく説明が足りないという御意見のよ うに思いましたけれども。 ○吉田委員 薬剤に対する説明は、やはり飼い主さんのセンスによってかなり差がござ います。中身を文書で御理解いただける方、いわゆる口頭での十分な説明が必要な方、 あるいは我々が図解で説明をしなければならない方ということもあります。ですから、 ときには文書以上の説明も必要なことがございます。ですが飼い主さんは有能な方が多 いですし、めったなことでは事故は起きておりませんので、まず心配はないと思います。 ○板倉委員 というより、「取扱い上の注意」にある乾燥した手でないと扱えないとい う部分まできちんと説明してもらえるのかなということが心配だっただけでございまし て、犬がとり過ぎて事故が起こるというふうに思ったわけではありません。私も犬を飼 っていたことがありますが、えさを与えるときには手がぬれていることも当然あるもの ですし、えさに混ぜて与えたりするような部分で犬が食べるのかなということも含めて、 個人的に自分が使うとしたきにきちんと使えるのだろうかと疑問に思ったものですか ら、注意が行き届けばいいなという希望がありまして御質問させていただきました。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。大体この注意書で何とかなるのではない かという気がいたしますけれども、よろしいですか。 ○板倉委員 この取扱説明書自体は使用者には行かないわけですよね。要指示薬ですか らお医者様の方に行くところなので、その先の取扱注意の部分がきちんと渡ればいいな と思いまして、これについてはどうなっているのかという疑問だけです。 ○井村分科会長 それはもう獣医さんの御説明に頼る以外は仕方がないかなという気が いたします。大体よろしゅうございますでしょうか。ほかにございませんでしょうか。 それでは、この件につきましては御承認を頂いたということにさせていただきます。  以上で三つの審議事項が終わりになりまして、次は報告事項に入ります。まず議題1 から簡単に事務局の方から御説明お願いできますでしょうか。 ○事務局 それでは資料3を御覧ください。医薬品による副作用の被害救済につきまし ては、医薬品副作用被害救済制度に基づき、医薬品を適正に使用したにもかかわらず発 生した副作用による健康被害者に対して救済給付を行っているわけですが、健康被害者 からの給付請求で医薬品機構を通し厚生労働大臣に対して判定の申出があれば、薬事・ 食品衛生審議会において諮問を行い、副作用被害判定部会において審議され、部会の答 申として判定の結果を医薬品機構に通知しています。そこで平成15年度第5回における 副作用被害判定部会の結果について御報告いたします。部会開催日は平成16年1月22 日。申請の内訳につきましては新規が29件、継続が8件、現況が3件の計40件。調査 結果において支給決定することが適当と考えられるもの28件の内訳につきましては、請 求どおり支給決定するものが14件、請求期間の一部について支給決定するものが12件、 請求内容の一部について支給決定するものが2件となっています。また不支給決定する ことが適当と考えられるもの8件の内訳につきましては、医薬品以外の原因によるもの が6件、副作用による疾患が入院治療を必要とする程度ではない場合が1件、また副作 用による障害が日常生活を著しく制限する程度の状態でない場合が1件となっていま す。さらに追加情報を得て再度審議することが適当と考えるものが4件となっておりま す。以上で平成15年度第5回副作用被害判定部会の結果報告を終わりにしたいと思いま す。               ── 桜井委員着席 ── ○井村分科会長 ありがとうございました。委員の皆様、表の一番最後のところを御覧 ください。「継続審議」というものが四つ並んでおりまして、そこの一番右端の「判定」 というところで「不支給」と「支給」が混ざっているのがちょっと不思議だなとお思い になったかもしれませんが、これは現時点では不支給あるいは支給という判定ができる けれども、審議は継続したいという意味らしいので、元来ここはまだ完全には判定でき ていないということだと先ほど伺いました。それでよろしゅうございますか。 ○事務局 はい、そのとおりです。 ○井村分科会長 そういうことだそうです。ただいまの御説明に対しましていかがでご ざいましょうか。この件は独立しておりますのでここで御意見を伺いたいのですが、御 質問ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。それでは続けてやっていただ いて申し訳ないのですけれども、医薬品第一、第二部会の分の議題2〜8までを御説明 お願いします。 ○事務局 それでは、まず新薬関係の報告事項である議題2〜6について御報告させて いただきます。資料4〜8になります。本日の報告は議題2、3が1月30日開催の医薬 品第一部会、議題4が2月26日開催の医薬品第一部会、議題5、6が2月20日開催の 医薬品第二部会において各々審議され、いずれも承認して差し支えないとされた計5件 についてでございます。  まず初めに資料4をお願いいたします。レビトラ錠5mg、同10mgについてでございま す。一般名は塩酸バルデナフィル水和物。申請者はバイエル薬品株式会社でございます。 本薬はホスホジエステラーゼ5阻害作用を有し、勃起不全に用いる新有効成分医薬品で ございます。再審査期間は6年とされており、原体は劇薬に該当し、製剤は毒、劇薬の いずれにも該当しないとされております。また生物由来製品、特定生物由来製品のいず れにも該当しないとされております。  続きまして資料5をお願いいたします。サンドスタチンLAR筋注用10mg、同20mg、 同30mgについてでございます。一般名は酢酸オクトレオチド。申請者は日本チバガイギ ー株式会社でございます。本薬は消化管ホルモン産生腫瘍に伴う諸症状の改善、先端巨 大症・下垂体性巨人症における成長ホルモンのソマトメジン-C分泌過剰状態及び諸症状 の改善に対し、従来の製剤では1日2〜3回の連日皮下注が必要であったものを4週間 に一度筋肉内に注射するという新投与経路、新剤型医薬品でございます。再審査期間は 6年とされており、当該製剤は劇薬に該当するとされております。なお原体は既に劇薬 に指定済みでございます。また生物由来製品、特定生物由来製品のいずれにも該当しな いとされております。  続きまして資料6、ベンゾダイン注についてでございます。一般名はイオマゼニル 123I。申請者は日本メジフィジックス株式会社でございます。本薬は外科的治療が考慮 される部分てんかん患者におけるてんかん焦点の診断に用い、脳内の中枢性ベンゾジア ゼピン受容体の分布を画像化する新有効成分の体内診断用放射性医薬品でございます。 再審査期間は6年とされており、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当するとされております。 また生物由来製品、特定生物由来製品のいずれにも該当しないとされております。  続きまして資料7、メロペン点滴用0.25g、同0.5gについてでございます。一般名 はメロペネム三水和物。申請者は住友製薬株式会社でございます。本薬はカルバペネム 系抗菌薬であり、今般適応菌種としまして髄膜炎菌、適応症として化膿性髄膜炎の追加 及び小児用量の追加を行う承認事項一部変更申請が行われたものでございます。再審査 期間は4年とされております。  続きまして資料8、ビリアード錠300mgについてでございます。一般名はフマル酸テ ノホビル ジソプロキシル。申請者は日本たばこ産業株式会社でございます。本薬はヌク レオチド系逆転写酵素阻害作用を有し、HIV-1感染症を効能・効果とする新有効成分 含有医薬品であり、希少疾病用医薬品でございます。再審査期間は10年とされており、 原体・製剤共に劇薬に該当するとされております。また生物由来製品、特定生物由来製 品のいずれにも該当しないとされております。  続きまして議題7、アルガトロバンを希少疾病用医薬品として指定することの可否に ついて、資料9に基づき御報告させていただきます。1枚めくっていただきまして、今 般希少疾病用医薬品として新たに指定させていただく品目は、三菱ウェルファーマ株式 会社及び第一製薬株式会社から申請されたアルガトロバンです。これはヘパリン起因性 血小板減少症(HIT)における血栓症の予防及び治療、経皮的冠インターベンション施 行時(HIT発症リスクのある患者を含む)の血液凝固の防止、血液体外循環時の灌流血 液の凝固防止(血液透析)を予定効能としたものでございまして、日本における対象患者 は年間約6,500例と推定されます。本件は平成16年1月30日に開催されました医薬品 第一部会において御審議いただき、希少疾病用医薬品として指定して差し支えないとの 結論を頂いたものでございます。  最後になりますが議題8、放射性医薬品基準の一部改正について、資料10に基づき御 報告させていただきます。今般放射性医薬品基準に新たにイオマゼニル123I注射液を各 条に追加するとしたこと、また各条に既に記載されているテクネチウムスズコロイドの 注射液につきまして、その各条の一部を改正することとしたものでございます。なお、 本件は平成16年2月26日に開催されました医薬品第一部会において御審議いただき、 改定して差し支えないとの結論を頂いたものでございます。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ちょっとスピードが速かったので御質問も あるかと思いますが、いかがでございましょうか。どうぞ。 ○桜井委員 資料5のサンドスタチンLARについてちょっと伺いたいのですが、これ は生分解性のマイクロスフェアに薬をくっつけてという記載があるわけでございます が、8ページに粒度分布が「径はほとんど□□□□□μmである」という記載がござい まして、もし生分解性の粒子にこの薬剤を付けてやるとすると、粒子の大きさは徐放の スピードなりに相当大きく影響すると思うのですが、この辺はいかがなのでしょうか。 それから添付文書なのですが、「【組成・性状】」の「添加物」の欄に生分解性の乳酸 ・グリコール酸共重合体(11:9)グルコースエステル、D-マンニトールという記載があ るのですけれども、私の見たところではマイクロスフェアにくっつけているというよう な記載はないように思いまして、それがいかがかなと思ったわけでございます。その点 ちょっと御説明お願いいたします。 ○井村分科会長 事務局はお答えできますか。お願いいたします。 ○事務局 事務局よりお答えいたします。本品で用いられております乳酸・グリコール 酸共重合体(11:9)グルコースエステルにつきまして、ただいま先生からコメントがご ざいました有効成分をマイクロスフェアにくっつけているという表現でございますけれ ども、正確にはこのポリマーと有効成分を一緒に混ぜた状態で攪拌しながら徐々に硬化 させるマトリックスマイクロスフェアのことでございまして、このマイクロスフェアの 中に含まれているというふうにお考えいただければと思います。先生から御指摘のござ いました粒子径と放出速度の関係でございますけれども、提出された資料によりますと 粒子径が大きくなるほど放出が抑えられるというようなデータとなっております。しか しながら、これは医薬品でございますので、規格及び試験方法のところで粒子径を一定 の幅に規定しておりまして、その規定に適合する粒子径の間であれば有効性に影響はな いということが確認されております。それから添付文書の添加物の記載についてでござ いますけれども、先ほど御説明いたしましたようにこれらはマイクロスフェアに含まれ るものということで、くっついているわけではございませんので、一応添加物という扱 いでよろしいのではないかと思います。 ○桜井委員 添付文書の「【用法及び用量】」のところに「20mgを4週ごとに3か月間、 殿部筋肉内に注射する」との記載がありますね。そうすると、これはやはり今御説明の あったように粒径によってリリースのスピードが違ってくるという、その辺のリリース の精度などはこの薬効に関係してこないのでしょうか。 ○事務局 御指摘の点でございますけれども、もちろん粒子径がかなり変わってくれば 薬効に影響してまいります。しかしながら、具体的には有効成分の放出試験及び粒子径 の規格設定をしておりまして、決められた規格の範囲内に適合していれば、動物や人に 投与した場合の放出速度には影響がないということが確認されております。 ○桜井委員 そうすると、その粒径の分布が放出のスピードがある一定のところで収ま るように制御されているというふうに考えていいのですか。 ○事務局 そのとおりでございます。 ○桜井委員 ありがとうございました。 ○井村分科会長 よろしゅうございましょうか。ほかに御質問はございませんでしょう か。広津先生、どうそ。 ○広津委員 資料4なのですけれども、ここに書かれているブリッジングの論旨が自分 の中でうまくつながらないので、ちょっと質問させていただきます。まず21ページの辺 りで薬物動態に関しては「用量調節の必要性はない」というふうに議論されているので すが、37ページの効果に関する用量反応性の図では合致しているようには見えない。と ころがその下の方に病型をそろえると似てくるとありまして、この辺りまではブリッジ ング成立という論調だと思うのです。その後の39ページの用量設定の妥当性辺りから特 に41ページの一番上の部分にかけては、高用量20mgに関して海外試験では重症の患者 で高い有効性が認められたけれども、日本ではメリットはなさそうだというふうに差が 強調されているのです。ちょっと質問したいのは、ここはやはり背景をそろえれば似て くるだろうという解釈なのか、それとも20mgを除外したより低用量でならブリッジング が成立するという、部分的成立というような概念があるのかということに関してなので すが。 ○井村分科会長 今の御質問の趣旨はお分かりいただけたと思いますが、いかがでござ いましょうか。ブリッジングが成立するかどうかということの解釈はいかがでしょう。 ○事務局 国内でブリッジング試験として実施した用量反応試験と海外の臨床試験の成 績を見比べて、先生から御指摘のあった図2について、有効性に関しまして若干違いは ありますものの、審査において20mgまでを含めてブリッジングは成立しているという判 断がなされております。その上で、用法・用量の設定につきましては有効性と安全性の 観点から検討をいたしました。それから形状的に若干違いがある点につきましては、国 内の被験者の大部分が機能性の背景を持つ勃起障害患者であったこともございまして、 その辺りも含めて最終的な用法・用量の判断において、20mgの用量を最高用量として認 めるのは困難だろうという判断に至っております。この点につきましては病型の内容も 含めまして専門委員より御指摘がございました。国内では症例としてほとんど組み入れ られていない難治の勃起障害患者も含めて日本人の患者における20mgの有効性、安全性 のデータを積み上げるということで、特に糖尿病及び脊髄損傷を有する患者のデータを 臨床試験によってとっていくことになっておりまして、この点を承認条件として付して おります。 ○井村分科会長 広津委員、いかがでしょう。 ○広津委員 安全性を加味してということで除いた場合に、この有効性について41ペー ジの頭に書いてある辺りはやはり疑問なのですけれども、これは背景をそろえれば似た ような結果が得られるはずだというふうに考えているのでしょうか。 ○井村分科会長 どうぞ。お願いします。 ○審査第二部長 補足させていただきます。基本的には先生のおっしゃるとおりと考え ております。つまり難治性の器質性の勃起障害の患者さんの割合が日本人で非常に低か った、比較的容易に治療ができる機能性の勃起障害の患者さんたちを主に集めてしまっ た試験であったということを勘案して、対象となった患者の病型が少し違うものですか ら、実際の用量反応パターンが少しずれたと考えて評価をいたしました。ただ、日本人 で難治の器質性障害を持っている患者さんのデータが余りにも少なかったものですか ら、この部分は市販後に脊髄損傷患者、あるいは糖尿病を背景とするような難治の勃起 障害の患者さんたちの試験を追加して行うことによって反応性を更に確認できる。それ から医療上やはりそのような患者さんたちにこそ高用量の投与が必要であろうというこ とが専門協議で指摘されたのですが、そこを現段階では見送らざるを得ないということ で20mgの用量については抑えたという結果でございます。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。ではそのような承認条件になっているとこ ろも含めて…。神山委員、どうぞ。 ○神山委員 今の承認条件のところなのですが、糖尿病及び脊髄損傷を有する患者にお ける臨床試験を実施することが承認条件になっていても、添付文書には反映されなくて 構わないと。何か特別に慎重投与とか、そういうことにはつながらないものなのでしょ うか。 ○審査第二部長 一応海外では脊髄損傷患者さんに投与した経験のデータ等といったも のがございまして、特別に危険であるということではありませんが、効き目が出にくい というようなところはあると思います。ただ、通常この部分は診療に当たる専門家、医 師の判断でお使いになっていただけるものではないかと考えております。糖尿病及び脊 髄損傷を有する勃起障害患者さんが市販後に臨床試験の対象になっているのだというこ と自体は、この添付文書の一番最後のページに承認条件として書いてございます。最近 は承認条件として書かれているものは添付文書にすべて必ず記載するようになっており ますので、見る方が御覧になればある程度そういった事情が推察でき、特にそういう患 者さんに対して安全性上の特別な配慮が必要なものの場合は、それを必ず安全性上の注 意のところに反映させるようにしております。本件につきましては特段の必要性は今の ところはないというふうに考えております。 ○井村分科会長 よろしゅうございますでしょうか。20mgを10mgにしたということも 意味があるのかもしれません。ほかにございませんでしょうか。よろしゅうございます か。それでは先に進ませていただきます。議題9、10は既に御説明いただいております ので、議題11、12につきましてお願いいたします。 ○事務局 それでは資料13を御覧いただきたいと思います。議題11、平成16年度の献 血の推進に関する計画を定めることについて御報告させていただきます。まず1枚目は 諮問書でございます。この計画につきましては1月26日開催の血液事業部会において審 議され、了承されました。それを受けまして2枚目が審議会の答申となってございます。 この答申を受けまして2月5日付けで告示になりましたのが3枚目の計画でございま す。内容につきましては2ページをめくっていただきますと、第1節で平成16年度に献 血により確保すべき血液の目標量といたしまして219万リットルが必要であるというこ とになっております。第2節では目標量を確保するために必要な措置といたしまして、 献血に関する普及啓発として「愛の血液助け合い運動」の実施等がございます。3ペー ジでございますけれども、献血の推進に際し考慮すべき事項といたしまして、献血者が 安心して献血できる環境整備、血液検査による健康管理サービスの充実等が挙げられて おります。また4ページにその他関係者による取組を推進することが記載されておりま す。第3節はその他の献血の推進に関する重要事項といたしまして、献血推進施策の進 ちょく状況等に関する確認、評価を行っていただくこと、災害時等における献血の確保 等を定めてございます。  次に資料14を御覧いただきたいと思います。議題12、平成16年度の血液製剤の安定 供給に関する計画(案)につきまして御報告させていただきます。まず1枚目が諮問書で ございます。この計画につきましては先週の3月19日に開催いたしました血液事業部会 において審議され、了承されたところでございます。今後の予定でございますが、この 答申を受けまして今月下旬に告示する予定になっております。内容については1枚めく っていただきますと、第1の平成16年度に必要と見込まれる血液製剤の種類及び量とい たしましては、別表第1の表に記載されたとおりでございます。第2の平成16年度に国 内において製造され、又は輸入されるべき血液製剤の種類及び量の目標につきましては、 別表第2のとおりでございます。第3の平成16年度に確保されるべき原料血漿の量の目 標としましては94万リットルといたしました。第4の平成16年度に原料血漿から製造 されるべき血液製剤の種類及び量の目標といたしまして、別表第3のとおりでございま す。続きまして、第5のその他原料血漿の有効利用に関する重要事項でございますけれ ども、原料血漿の配分といたしまして製造業者に配分する際の標準価格及びその量が書 いてございます。次に血液製剤の安定供給の確保のために望ましい在庫について、3ペ ージに書いてあるとおりでございます。以上でございます。   ── 青柳委員退席 ── ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの血液事業部会から上 がってきた報告につきまして何か御質問ございますか。よろしゅうございますでしょう か。それでは次に議題13、14につきまして御説明をお願いいたします。 ○事務局 議題13、14につきまして事務局から御説明させていただきます。まず議題 13、資料15でございます。こちらの第一パラグラフにも「ヒト由来細胞・組織加工医薬 品等の品質及び安全性の確保に関する指針」とございますけれども、この指針とはヒト 由来の細胞・組織を加工した医薬品又は医療用具の品質及び安全性確保のために必要な 基本的要件を定めたものでございます。先月2月6日に開催されました生物由来技術部 会において、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングのACC-01という自家培 養軟骨につきまして、この指針に適合していることが確認されましたので、御報告申し 上げます。なお、これまでも申し上げておりますけれども、この確認申請の制度はあく までこれから治験に入る前にそのものの品質安全性の確認を行うことを目的としたもの でございまして、生物由来技術部会で確認いただいたことが直ちに本品目の細胞・組織 加工医療用具としての製造承認に結び付くものではございません。  資料の「(1)品目名」、「(2)確認申請者」は既に申し上げたとおりでございます。 少し飛ばして「(5)申請品目の概要」でございます。ACC-01は患者の関節から採取した 軟骨細胞をコラーゲンに包埋して約4週間培養した自家培養軟骨でございまして、採取 した患者自身に移植されるというものでございます。「(3)審議経過」のところにござ いますように、本品目は平成15年4月に生物由来技術部会にかかりまして、その際最終 製品に残存するウシ血清の安全性等について御指摘がございました。今年2月にそれに 対する申請者の回答を同部会で再度御審議いただき、最終的に安全性が確保されている という御判断を頂いたものでございます。今後承認申請のための臨床試験が大学病院等 の五つの施設で行われるということでございます。資料15は以上でございます。  次に議題14でございますが、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性 の確保に関する法律の施行についてでございます。関係する資料は資料16と本日配付さ せていただきました資料16【追加】でございます。昨年、遺伝子組換え生物等の使用等 の規制による生物の多様性の確保に関する法律、いわゆるカルタヘナ法の検討が政府部 内で進んでおりました。そのため厚生労働省としても、遺伝子組換え医薬品を所管する 立場からこのカルタヘナ法にどう対応すべきかということについて、生物由来技術部会 とその下の医薬品等における遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する検討小委員 会、いわゆるカルタヘナ検討小委員会において御検討いただく旨をこの分科会で御報告 したところでございます。  資料16の1ページにカルタヘナ法の概要をお示ししておりますけれども、この法律は 今年の2月19日より施行されております。1ページの真ん中辺りに「遺伝子組換え生物 等の使用等に係る措置」という項目がございますけれども、カルタヘナ法では遺伝子組 換え生物等の使用形態に応じて、開放系で使用する「第1種使用等」と環境中への拡散 防止措置を採りつつ使用する、いわゆる閉鎖系で使用する「第2種使用等」とに分け、 それぞれ関係する大臣の承認又は確認を受けなければならないということにされており ます。カルタヘナ検討小委員会及び生物由来技術部会では、この第1種使用等における ヒトを含めた環境への影響評価の考え方や、第2種使用等における拡散防止措置の基準 等の技術的事項について御検討いただきまして、資料16の2ページでございますが、こ れまでその結果も盛り込んだ形で関係省とも連携を取り、関係政省令の告示を策定して きております。なおこれらの具体的な条文については、本日お配りした「資料No.16【追 加】」に「日本版バイオセーフティクリアリングハウス(J-BCH)が開設されました」と書 かれておりますが、このウェブサイトに掲載されております。  資料16にお戻りいただきまして、3、4ページは医薬品等の分野における遺伝子組換 え生物等の開放系及び閉鎖系での使用に係る規制を図示したものです。まず3ページは 開放系での使用に係る規制でございますが、対象としましては遺伝子治療用医薬品や遺 伝子組換え生ワクチンといったものが想定されております。この図の横軸が医薬品の開 発段階、縦軸の上がカルタヘナ法、下が薬事法関係の規制を表しております。このカル タヘナ法の左側の黄色い部分が研究開発段階を示しておりまして、この段階では文部科 学省の第2種使用等の確認の対象となると。そして右の方に行って、少し茶色い部分の 実用化段階に入ったところの製造から厚生労働省の規制に入ってくるということでござ います。それから○で囲われたところがありますけれども、○の中の上のピンクの部分 はカルタヘナ法の観点から開放系で使用するための第1種の承認、下の水色の部分は薬 事法の観点から品質・安全性の確認を受けなければならないということでございます。 そして治験届が提出されますと、その後右の方に行って薬事法に基づく30日調査、治験 開始、承認申請、承認というステップを経ることになります。  次に4ページでございますけれども、こちらは閉鎖系での使用の規制でございます。 こちらの対象は組換え大腸菌等の遺伝子組換え体を用いて医薬品を製造するようなケー スでございまして、こちらも左の黄色の研究開発段階は文部科学省の第2種の確認です が、実用化段階から厚生労働省の第2種の確認の義務がかかってくると。それから下の 薬事法の組換えDNAの製造指針は、このカルタヘナ法の第2種使用の確認制度ができ たことに伴い廃止いたします。  次に5ページでございますが、これはカルタヘナ法に基づく審査体制等を説明したも のでございまして、左の方から医薬品の種類ごとに審査体制を示しております。脚注に もございますように、色の違いが所管の違いに対応しております。上の「1.第1種使用 等の医薬品に係る審査体制」については、左から臨床研究用の遺伝子治療用医薬品であ れば厚生科学審議会、治験薬としての遺伝子治療用医薬品やヒト用の遺伝子組換え生ワ クチンであれば生物由来技術部会で厚生労働省が所管であると。それから右端の治験薬 としての動物用遺伝子組換え生ワクチンも生物由来技術部会ですけれども、こちらは農 林水産省の所管になります。厚生労働省が所管する治験薬に対する遺伝子治療用医薬品 調査会と、組換えDNA技術応用医薬品調査会は、今年4月から設立される独立行政法 人医薬品医療機器総合機構の方で専門協議をやってもらうということで、これまでの調 査会は今後は独法の専門協議の方に移行したいと考えております。一方、独法はヒト用 の医薬品しか審査を行わないため、動物用医薬品は引き続き生物由来技術部会の下に動 物用組換え医薬品に対する調査会で御審議いただく予定でございます。  それから5ページの「2.第2種使用等の医薬品に係る審査体制」でございますが、第 2種使用等については、研究開発に係る遺伝子組換え医薬品は文部科学省、ヒト用医薬 品の製造に係る遺伝子組換え生物等は今年4月から独法の専門協議、動物用は第1種と 同じく動物用組換え医薬品の調査会ということになる予定でございます。  最後に6ページでございますけれども、医薬品、医療用具に係る規制がカルタヘナ法 の施行を機にどのように変わるかという全体像を医薬品等の種類ごとに整理したもので ございまして、カルタヘナ法の施行前は薬事法の下で品質・安全性及び構造設備の観点 から規制が行われておりましたが、カルタヘナ法の施行後は薬事法に加えまして、この ピンク色で示した部分にカルタヘナ法の規制が新たにかかってくることになります。事 務局からの説明は以上でございます。 ── 溝口(秀)委員退席 ── ○井村分科会長 ありがとうございました。それではただいまの生物由来技術部会から 上がってきた報告事項について、御質問あるいは御意見がございましたらどうぞ。よろ しゅうございますか。どうぞ。 ○桜井委員 資料15の話ですが、これはいわゆる再生医療と言われている分野に属する プロダクトだと思います。それで私の質問は、確認申請から2年半以上たっているわけ ですね。この分科会はむしろ安全ということを慎重に議論する会だろうと思いますけれ ども、それと同時にやはり昨年厚生労働省でも産業ビジョンというものをお出しになっ たわけでありますが、こういった再生医療とか将来性のあるようなアイテムについての 産業としての見方というのも非常に大事だと思うのです。これを拝見すると確認申請日 から2年半時間を要したということで、例えばこれの海外の状況はいかがなものかとい うことと、やはりこんなに時間は掛かるものなのでしょうか。これは要するに治験を始 める前の段階の審議だと思うのですが、大体こういうことをやっているのはベンチャー 企業が多いわけです。このジャパン・ティッシュ・エンジニアリングというのもやはり 一種のベンチャー企業であります。そういうところというのは、やはり治験や臨床試験 というのがものすごいバリアというか山になっていまして、日本でなかなかベンチャー が育たない理由というのはほかにもいろいろあると思うのですけれども、やはり治験な り何なりというのは一つの大きな負担だと思うのです。そこへ入るまでに2年半も掛か るということですと、それからまた更に先に治験があるわけで、そのベンチャーの方の 言い方をまねすれば、厚生労働省は別に金も何も掛からないから何年でも待たせるけれ ども、我々は借りている金に全部利息が掛かるのだと。要するに2年でも3年でも利息 が掛かる金を払っているのだという言い方を私は聞いたことがあるのです。そうなりま すと、もちろん慎重に安全性を確保しなければいけないというのは当然のことだと思う のですが、効率性というかその辺について、ちょっと事務局の御見解を伺いたいと思い ます。 ○井村分科会長 事務局の方から何か、どうぞ。 ○事務局 私ども審査する側といたしましては、やはり全くの新技術を用いたものでご ざいますので、特に初めてヒトに適用される前には安全性に関して慎重な審議が必要だ という認識に立っております。ただ一方では先生御指摘のように、こういった技術は国 際的にも非常に開発競争の厳しいところでございますので、確かに余り時間が掛かって しまっては遅れをとるという面があることも承知はしております。新独法が設立されま すとこういう用具に対しても事前の相談制度が拡充されますので、これからはそういっ た中で、例えば資料のクオリティーを今よりももっと上げるとかということで、時間の 短縮につなげていきたいと計画はしております。 ○桜井委員 私の申し上げたいのは、慎重は必要だと思います。これはもう異論のない ところですが、非効率は困ると思うのです。やはり効率が悪いということはそれだけ国 際競争力が弱くなりますし、いろいろな点でこういう一つの産業としての見方というの も大事だと思いますので、その辺を御配慮いただければと思います。 ○井村分科会長 恐らく皆さんの御意見も同じようなものだと思います。独法化が行わ れますと、恐らくそういう効果が現れてくるのではないかと期待しております。先に進 ませていただいてよろしゅうございますでしょうか。  それでは医療機器関係部会の方から議題15、16と出ておりますので、続けて御説明を お願いいたします。 ○事務局 それでは事務局より議題15、医用X線CT装置基準(案)について御説明させ ていただきます。まずこの医用X線CT装置基準の中身の前に、医療用具の背景を御説 明させていただきたいと思います。改正薬事法によりますと、医療用具については平成 17年度から医療機器と名前が変わりまして、制度としては今現在国際的な分類としてリ スク分類に応じた規制がございますが、このリスクに応じてそれぞれ医療機器を分類し、 その分類ごとに応じて必要な規制を行うこととしております。そのうち不具合が生じた 場合でも人体へのリスクが比較的低いと考えられるものについては、平成17年度から管 理医療機器として規制を行うこととなっております。この管理医療機器については今現 在は薬事法に基づき大臣承認を行っているところでございますが、今後は第三者認証制 度を取り入れまして、その第三者認証機関において必要な認証を行うこととしておりま す。  まず資料17-1の1ページを開いていただきたいと思います。第三者認証制度というの は、国が要件を満たす機関を第三者認証機関として認定し、この第三者認証機関が申請 者から認証申請がなされたものについて必要な適合性確認を行い認証するという制度で ございます。この評価内容については、基本要件基準への適合性、適合性認証基準への 適合性、それから品質保証基準への適合性を確認することとなっております。  次の2ページをお願いいたします。「医療機器第三者認証基準のイメージ」でござい ますが、これは二つから構成されております。一つは基本要件基準と言いまして、すべ ての医療機器に当てはまる基本的な要件でございます。この基本要件基準が一般的に要 求する事項でございまして、あともう一つそれとは別に個別の基準として適合性認証基 準と言われているものがございます。この適合性認証基準は日本工業規格(JIS)に「使 用目的、効能又は効果」を加えたものを告示することとして今現在予定しているもので ございます。資料17-1の後ろの方、右下のところに「参2」というものがございますが、 適合性認証基準への適合性の判断方法といたしましては、まず基準適用品目の一般的名 称の定義に合致するか、その次にJISに該当するか、それから今度は適合性認証基準 で定める使用目的、効能又は効果を逸脱しないかということをそれぞれ確認しまして、 適合性認証基準に適合する段階でこの第三者認証品目として必要な作業を行うこととな っております。  この適合性認証基準の作成については、次のページの「参3」に「規格(JIS)の種 類別による適合性認証基準作成類型」というものがございますが、それぞれ個別製品ご とに規格があるかどうか、それから製品群ごとに通則規格があるかどうか、それぞれに 応じて幾つかの類型がございます。この考え方については、3月4日に開催しました医 療機器・体外診断薬部会と医療材料部会の合同部会において、この考え方についてそれ ぞれ議論を行うことが適切であるという形で御了解いただいております。  それで本日御報告させていただく医用X線CT装置でございますが、資料17-1の3ペ ージに「医用X線CT装置システムの基準関連図」を記載させていただいてございます。 先ほども御説明させていただきましたとおり、これは適合性認証基準としてJISに使 用目的、効能又は効果を加えたものとなっております。この医用X線CT装置自身とし ましては、高電圧装置、X線管、機械装置から構成されておりまして、その三つの大き な部分は医用X線CT装置基準としてJISZ 4751-2-44にすべて包括されております。こ の考え方は資料17-2に記載していますとおり、まず「医用X線CT装置基準(案)」があ りまして、その後「医用X線CT装置基準」としてJISを引用し、その後使用目的、 効能又は効果としてそれぞれ必要な記載事項を記載させていただいているものでござい ます。これについては今後必要な告示作業を進めることとしております。以上でござい ます。            ── 審査管理課長退席 ── ○事務局 続きまして、新医療用具関係の報告の議題16について御報告させていただき ます。資料18をお願いいたします。本日の報告は3月4日開催の医療材料部会において 審議され、承認して差し支えないとされたCypherステントについてでございます。物と いたしましては別紙1を見ていただければと思います。本品についてはジョンソン・エ ンド・ジョンソン株式会社から輸入承認申請のありました冠動脈用のステントでござい ます。対照血管径が2.5〜3.5mmの冠動脈に新規病変(病変長30mm以下)を有する症候性 虚血性心疾患患者の治療に使用するものでございます。生物由来製品、特定生物由来製 品のいずれにも該当せず、再審査期間は3年とされております。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ただいまの医療機器関係の議題15と16に 関して、御質問あるいは御意見がございましたらどうぞ。まず議題15はいかがでござい ましょうか。よろしゅうございますか。それでは議題16、資料18でございますが、こ れに関しましては先ほど上田委員の方から、「構造・原理の概要」の中のちょうど真ん 中辺りに、「ポリ(ブチルメタクリレート)」という化合物名がございまして、この括弧 が要らないのではないかという御指摘がございました。この辺については要らないと思 ってよろしゅうございますか。 ○事務局 先生方の御指摘のとおりでございます。修正させていただきたいと思います。 ○井村分科会長 それからまたくだらないことですが、「性能・使用目的・効能・効果」 の最初の言葉は「対照」の「照」が違っていますよね。何か御意見ございますでしょう か。よろしゅうございますか。どうぞ。 ○事務局 ただいま御指摘いただきました「対照」の「照」ですが、この漢字はこちら の方が正解ということでこちらの方で。 ○井村分科会長 そうですか。どういう意味なのでしょうか。 ○事務局 恐らく先生がおっしゃったのは「対象」という漢字の方だと思いますが、そ ちらの方ではなくて、これは使う血管はもう既に閉塞しておりますのでこの血管径はな いのですが、その血管がもし開存している場合にどれだけの広さ、どれだけの径がある かという意味で使っているのでこちらの「対照」という漢字を用いております。 ○井村分科会長 お分かりいただけましたでしょうか。私は理屈は分かりました。あり がとうございました。これはこれで正しいそうです。やろうと思っているところがもう ふさがっているので、ふさがらないいわゆる対照のものはという意味だそうです。どう も失礼いたしました。ほかにございませんでしょうか。よろしゅうございますか。それ では議題17と18を続けてやっていただけますでしょうか。 ○事務局 それでは議題17の化粧品基準の一部改正についてですが、こちらは資料19 を用いて御報告させていただきます。本日差し替えさせていただきました資料19を御覧 いただきたいと思いますが、その2ページでございます。  経緯といたしまして、化粧品基準の第2項において、防腐剤、紫外線吸収剤及びター ル色素以外の成分に関する配合禁止が規定されております。具体的には、添加剤として のみ使用される成分は除きますけれども、医薬品の成分ですとか、それからネガティブ リストという言い方をしておりますが、別表第1に掲げるようなものは化粧品には配合 できないという規定になっております。今般、化学物質の審査及び製造等の規制に関す る法律の中で、「継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがあるもの又は 継続的に摂取され又はこれにさらされる場合には生活環境動植物の生息又は生育に支障 を及ぼすおそれがあるもの」について国際的に規制を行うこととしております。しかし ながら、専ら化粧品の場合には薬事法で対応することとなっておりますので、そういう 観点からこの趣旨を化粧品基準に反映させることによって、復唱になりますけれども、 専ら化粧品の原料として用いられることが目的とされているもので、「自然的作用によ る化学的変化を生じにくいものであり、かつ継続的に摂取される場合には人の健康を損 なうおそれがあるもの又は継続的に摂取され又はこれにさらされる場合には生活環境動 植物の生息又は生育に支障を及ぼすおそれがあるもの」に関しては配合はできないとい うことです。具体的な中身といたしましては、同じページの下のアンダーラインのとこ ろでございますけれども、「、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48 年法律第117号)第2条第2項に規定される第1種特定化学物質又は同条第3項に規定 される第2種特定化学物質に指定されているもの及びこれらに相当するもの並びに」を 追記させていただきました。  なお、この化粧品基準の一部改正については平成15年9月12日に開催された化粧品 ・医薬部外品部会において審議され、改正して差し支えない旨の了解を得ておりました が、今もお聞きになってかなり感じられたかもしれませんけれども、文言に関して非常 に複雑になってしまっていますので、そこを平易な表現とすることが可能かどうか検討 することという宿題を承りました。そして具体的には化粧品基準のアンダーラインのと ころでございますけれども、このような形で第1種特定化学物質又は第2種特定化学物 質に指定されているもの、及びこれらに相当するものという言い方で改訂することとい たしました。それを本年2月10日開催の化粧品・医薬部外品部会において改めて御報告 させていただきまして、特段問題ない旨の確認をさせていただきましたので、本日化粧 品基準の一部改正案として御報告させていただきます。 ── 安全対策課長退席 ── ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは毒劇について、お願いいたします。 ○事務局 続きまして議題18の毒物及び劇物取締法に基づく運転要員確保の基準の改 正について、資料20に基づきまして御説明申し上げます。  毒物及び劇物取締法においては、黄燐など23種の毒物又は劇物を車両を使用して1回 につき5,000kg以上運搬する場合の運搬方法について、運転距離に応じて運転要員を確 保するよう基準を定めております。具体的には、一枚めくっていただきまして次の参考 資料の部分でございますけれども、「厚生労働省令で定める距離を超えて運搬する場合 には、車両一台について運転者のほか交替して運転する者又は助手を同乗させること」 と。この省令で定める距離というのは、その下にございますように計算式が決まってお りまして、高速道路を走る場合には1日当たり最大340km以上走るときには交替要員が 必要ということになっております。  一枚目に戻っていただきますが、この規定は長距離運転者の疲労に起因する事故防止 の観点、それから事故発生時の適切な応急措置、緊急通報等の必要性を考慮いたしまし て、昭和47年に高圧ガス保安法など類似の関係法令と共に導入されたものでございま す。一方、自動車運転者の労働時間に関しては、ILOに準拠した基準が厚生労働省告 示によって定められておりまして、自動車を運転する場合に運転時間で一定の制限が設 けられているところでございます。このように距離に関する規制と時間に関する規制が 両方あったものでございまして、近年国際整合性を図る観点から、関係法令において従 来の運転距離に基づく基準を運転時間に基づく基準に変更するという検討などが行われ てきているものでございます。この基準の変更については、規制改革の推進計画の中で も挙げられているものでございます。  このような背景がございまして、本年2月の毒物劇物部会で審議いたしました結果、 毒物又は劇物の長距離にわたる運搬時における運転確保要員の基準に関しては、これま での運転距離に基づく基準から、国際整合性なども勘案して運転時間に基づく基準に改 めることが適当という御結論を頂いたものでございます。  具体的な基準案でございますが、「2.改正基準案について」に載せておりますけれど も、基準が適用されるのはこれまでと同様1回につき5,000kg以上運搬する場合でござ います。これまで一定の距離を超えてとなっていたものを、長時間にわたる運搬となる 場合必要な員数の交替する運転者を同乗させるということで、「長時間にわたる運搬」 というのはILO条約などとも整合性を図りまして、ここに記載したとおり連続運転で 4時間を超える場合、若しくは運転時間が1日当たり9時間を超える場合とさせていた だいているところでございます。毒物劇物部会でこのような御結論をいただきまして、 現在事務的には関係政省令の改正の準備を進めさせていただいているところでございま す。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。議題17、18について何か御意見ございます か。よろしゅうございますでしょうか。  大変時間も押しておりますが、それでは議題19〜27については動物用医薬品等部会か ら上がってきているものでございますので、まとめて御報告をお願いいたします。 ○事務局 それでは動物用医薬品等部会関係の報告事項について、議題19〜27まで御説 明いたします。まず議題19、資料21でございますが、動物用医薬品スワイバック AR コンポ2の製造承認でございます。申請者は共立製薬株式会社です。本剤はボルデテラ ・ブロンキセプチカ菌由来シアル酸結合型赤血球凝集素とパスツレラ・ムルトシダ菌抽 出抗原を主剤とする豚用のワクチンで、ボルデテラ・ブロンキセプチカ及び毒素産生パ スツレラ・ムルトシダの混合感染、又はそのいずれかの菌の感染による豚の萎縮性鼻炎 の予防を効能・効果とするものです。平成15年11月27日及び平成16年3月2日に開 催されました動物用医薬品等部会で御審議いただき、承認を可とし薬事分科会に報告し て差し支えないとされたものでございます。  続きまして議題20、資料22でございますが、動物用医薬品“京都微研“ポールセー バーIBの製造承認でございます。申請者は株式会社微生物化学研究所です。本剤は鶏 伝染性気管支炎ウイルスGN株を主剤とする鶏用のワクチンで、鶏伝染性気管支炎の予 防を効能・効果とするものです。平成16年3月2日の動物用医薬品等部会で御審議いた だき、承認を可とし薬事分科会に報告して差し支えないとされました。  議題21、資料23でございますが、動物用医薬品ビムロンの製造承認でございます。 申請者はバイオベット株式会社です。本剤はインターフェロン アルファを含有する牛用 の散剤で、1か月齢未満の牛のロタウイルス感染症による軽度下痢の発症日数の短縮、 症状改善、増体量低減の改善を効能・効果とするものです。平成16年3月2日の動物用 医薬品等部会で御審議いただき、承認を可とし薬事分科会に報告して差し支えないとさ れたものでございます。  議題22、資料24でございますが、動物用医薬品リマダイル注射液の輸入承認でござ います。申請者はファイザー製薬株式会社です。本剤はカルプロフェンを含有する犬用 の注射剤で、整形外科及び軟部組織疾患に関わる手術における術中・術後の疼痛の緩和 を効能・効果とするものです。3月2日の動物用医薬品等部会で御審議いただき、承認 を可とし薬事分科会に報告して差し支えないとされました。  議題23、資料25でございますが、エースワーカー錠0.5、同1、同2、同8の製造承 認でございます。申請者は三共株式会社です。本剤は塩酸テモカプリルを含有する錠剤 で、犬の僧帽弁閉鎖不全による慢性心不全の改善を効能・効果とするものです。3月2 日の動物用医薬品等部会で御審議いただき、承認を可とし薬事分科会に報告して差し支 えないとされました。  議題24、資料26でございますが、動物用医薬品「プリッド テイゾー」及び「ユニプ リッド」の輸入承認でございます。申請者は「プリッド テイゾー」が帝国臓器製薬株式 会社、「ユニプリッド」が株式会社組合貿易でございます。本剤はプロゲステロンと安 息香酸エストラジオールを含む牛用の膣内留置剤で、牛の発情周期の同調を効能・効果 とするものです。3月2日の動物用医薬品等部会で御審議いただき、承認を可とし薬事 分科会に報告して差し支えないとされました。  続きまして議題25、資料27でございますが、動物用生物学的製剤基準の一部改正に ついてでございます。動物用生物学的製剤については、各製剤が承認され再審査が終了 いたしますと、薬事法第42条第1項に基づき動物用生物学的製剤基準に新たに各条を追 加するということをいたしております。今般こちらに示します9製剤について再審査が 終了し、それぞれの各条について平成16年3月2日の動物用医薬品等部会で御審議いた だき、本案を了承し薬事分科会に報告して差し支えないとされました。各条の詳細な内 容については省略させていただきますが、その中身としては1ページに示しますように、 「1 定義」、「2 製法」、「3 試験法」、「4 貯法及び有効期間」と大きく分けて 4項目で構成され、「2 製法」と「3 試験法」は更に細かい項目が立てられておりま す。なお、「3.4小分製品の試験」のうち太字になっている部分については、国家検定 の項目にもなってございます。  続きまして議題26、資料28でございますが、動物用生物由来原料基準の一部改正に ついてでございます。動物用医薬品等の原材料のうち生物に由来する物質については、 その採取や選択の方法など一定の基準をこの動物用生物由来原料基準に規定してござい ます。その中に反すう動物由来物質に関する基準がございまして、今般その一部を改正 するというものでございます。一枚めくっていただきますと右下隅に1ページと振って ございますが、そちらに改正の趣旨が書いてございまして、今般牛の脊柱の取扱いに関 して食品安全委員会の方に意見を求めましたところ、「特定危険部位に相当する対応を 講じることが適当」という評価の結果が示されたところでございます。このことを受け まして、動物用医薬品等の原材料で、脊柱は既にBSE発生国については使用禁止とさ れておりますが、ゼラチンについてはその原料として一部認められておりましたので、 そこの部分を改正したいというものでございます。  改正内容を分かりやすく示した表が一番最後のページに付いてございます。この表は 反すう動物由来物質に関する基準の内容を分かりやすく示したものです。BSEのリス クにより各臓器を4段階に分け、さらにその原産国をBSEの高発生国、発生国、非発 生国の三つに分けているものでございます。黒で塗りつぶしてある部分は使用が禁止さ れており、白い部分は一定の要件を付して許可しているものでございます。ところが、 ゼラチンについては○で示してありますように黒塗りの部分でも一部認められていると ころがございます。しかし、今般脊柱が特定危険部位とされたことから、BSE発生国 を原産国とするリスクI又はリスクIIに分類される臓器を用いて造られたゼラチンは使 用してはならないとしたものでございます。本案については3月2日の動物用医薬品等 部会で了承され、薬事分科会に報告して差し支えないとされたものでございます。 ○事務局 続きまして議題27でございますが、お手元の資料29を御覧いただきたいと 思います。動物用医薬品の使用の規制に関する省令の一部改正でございます。本件につ いては3月2日の動物用医薬品等部会で了承されたものでございます。動物用医薬品の 使用の規制に関する省令でございますが、薬事法の第83条の4に基づき定められている ものでございます。畜水産物中への動物用医薬品等の残留を防止する観点から定められ ているものでございまして、一般に「使用基準」と申しているものでございます。具体 的には一枚めくっていただきましたような形で使用の基準が定められておりますが、動 物用医薬品としての製剤がございまして、使用できる対象動物、用法・用量ということ で、どのくらいの量をどういう投与をすると。そういった場合に使用禁止期間といたし まして、食用にするために当該動物を出荷する、あるいはミルク等の生産物を出荷して はならない期間を定めているものでございます。  お手数ですが一番後ろのページを御覧いただきたいと思います。今般食品あるいは乳 中の残留基準値について平成15年11月26日に告示がございまして、今年の6月1日か ら施行されることになっております。サラフロキサシン、ストレプトマイシン及びジヒ ドロストレプトマイシン並びにダノフロキサシンの3成分について新しく残留基準値が 設定されることになっております。残留基準値といたしましては一番右の欄にございま すが、それぞれの動物の各臓器等について定められております。このうち我が国で動物 用医薬品として承認がございます2と3について、現在動物用医薬品等の使用規制に関 する省令で定められいる使用基準について検証いたしました。その結果、ジヒドロスト レプトマイシンを含有する注射剤について、筋肉注射部位で残留基準を超えるおそれが あるということでございますので、所要の見直しを行うものでございます。見直しにつ いては、ジヒドロストレプトマイシンを有効成分とする四つの注射剤について、現行の 使用禁止期間を牛・豚であれば30日を90日、鶏であれば14日を42日という形で延長 するものでございます。さらに、このジヒドロストレプトマイシンの配合剤が3種類ご ざいますので、同じ考え方で改正するというものでございます。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。この動物用医薬品等部会から上がってまい りました報告、随分すごいスピードで御説明いただきましたけれども、何かございます か。どうぞ、板倉委員。 ○板倉委員 馬については基準が変わらないように見えるのですが、これは…。 ○井村分科会長 どれですか。 ○板倉委員 最後に御説明いただきました資料29のストレプトマイシン等の注射剤な どの基準のところ、使用期間とかそういったものですけれども、牛に比べると馬が短く なっているのは、今参考1で御説明いただきましたように、特に残留基準がないことと の関連でしょうか。 ○事務局 御指摘いただきましたように、今回見直しされる残留基準は馬に適応がござ いませんので今回は見直しをしておりませんが、食品衛生法に基づく残留基準のポジテ ィブリスト制というものがございますので、今後それに併せて見直しを考えてまいりま す。 ○井村分科会長 よろしいですか。どうぞ、神山委員。 ○神山委員 資料21の方は「と畜場出荷前6週間は注射しないこと」ということがある のですが、資料22や23にはそういうものがないように思ったのですけれども、必要な いものでしょうか。それから余計なことだとは思うのですけれども、牛の発情を促進す る薬などというものがどうして必要なのか、何か牛がかわいそうだなという気がするの ですが。 ○事務局 まず一点目の出荷制限期間が付いている製剤と付いていない製剤があるとい うことですが、資料21でお示ししていますワクチンについては、アジュバントと言いま して、免疫賦活剤が入っております。これが注射されますと注射部位にしばらく残りま すので、それが食用に回ってはいけないということで、それが消えるまでの一定期間出 荷制限を設けさせていただいております。しかし、その次に示しました資料22や23の 製剤についてはそういうものが入っていませんので、特段出荷制限が付いていないとい うことでございます。  それから二点目の発情周期を同調する製剤、一番最後の「プリッド テイゾー」ですが、 今はもう多頭化飼育になっていますので何十頭もの牛を飼っている中で、それぞれ1頭 ずつが銘々に毎晩発情ということになりますと、人工授精をするのに非常に手間がかか りますので、なるべく一度に何頭か人工授精ができればということで、こういった製剤 を用いて発情の同期化を図っているというものでございます。省力化のための薬でござ います。 ○井村分科会長 ほかに御質問ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。そ れでは以上で報告事項は終わりでございます。  ちょうど時間が来てしまいましたが、もう少しお付き合いをいただきまして、残って おりますその他の事項2件。最初は薬事分科会における確認事項の一部改正、これは審 議事項に相当すると思いますが、御説明お願いいたします。 ○事務局 それでは資料31、「薬事分科会規程及び薬事分科会における確認事項の一部 改正について(案)」を御覧ください。関係法令の施行に伴い、薬事分科会規程及び薬事 分科会における確認事項の一部改正を行います。最初に薬事分科会規程の一部改正とい たしまして、一番目に独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成14年法律第192号) 第20条第2項の規程に基づく所掌の追加。二番目に、所掌の追加に伴い部会名「副作用 被害判定部会」を「副作用・感染等被害判定部会」に改称がございます。  これらについては次のページを御覧ください。薬事法改正により生物由来製品につい ては特性に応じた安全性確保のための措置を講じたところであります。しかし、これに 基づき独立行政法人医薬品医療機器総合機構の設立に併せて、「ヒト細胞組織等に由来 する医薬品等による健康被害の救済問題に関する研究会」(平成14年3月29日付け)の 報告書を踏まえ、今後生じ得る生物由来製品による感染等の健康被害については、独立 行政法人医薬品医療機器総合機構法において平成16年4月1日より生物由来製品感染 等被害救済制度が設立されることになりました。そのため、副作用被害判定部会におい て新たに感染救済における専門家を委嘱し、感染救済給付の請求のあったものが生物由 来製品を介した感染であるかどうか、その他医学的薬学的判定を要する事項に関し厚生 労働大臣に判定の申出があったときは判定を行い、医薬品機構に対してその結果を通知 することになります。「資料1」にその内容のフロー図が書かれてございます。以上で す。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ただいまの御説明でございますが、何か御 意見、御質問ございますでしょうか。これを承認してよろしゅうございますか。それで はお認めいただいたということでございます。どうぞ。 ○事務局 今の資料31で生物関係のところも若干ございますので、そちらについて御説 明させていただきたいと思います。資料31の1ページの(1)の(2)でございますけれど も、こちらは先ほど報告事項の議題14のカルタヘナ法のところでも申し上げましたけれ ども、カルタヘナ法の施行に伴い組換えDNA技術応用医薬品等の製造のための指針に ついてという局長通知を廃止いたしますので、8ページの9のところ、「遺伝子組換え 技術を応用した医薬品等の製造のための指針に関する事項」という部分を削除いたしま す。  それから同じく資料31の1ページ、「(2)薬事分科会における確認事項」の「(1)生物 由来技術部会の組織改正に伴う処理区分の変更」でございます。18ページの表の3と4 のところですが、これもカルタヘナ法のところで申し上げましたけれども、今年4月か らの独立行政法人医薬品医療機器総合機構の設立に伴い、独法の専門協議に移行します ことから、事務局で処理というように変更させていただいております。ただし、その下 の「※」にございますように、動物用医薬品等については独法では審査しませんことか ら、従前どおり調査会等で処理していただく予定でございます。以上です。 ○事務局 引き続きまして、資料31の1ページ、(2)の(2)について御説明させていただ きます。化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律が昨年一部改正されまして、こ の4月1日に一部改正法が施行されます。これに伴いまして、具体的には17ページと 19ページになりますけれども、化学物質安全対策部会の確認事項などが一部変更されて おります。17ページの真ん中ぐらいでございますけれども、「新規化学物質の判定等の うち」ということで、これまで「判定」となっておりましたが、それ以外の事項が追加 されたことに伴い文言を修正しております。それから19ページの方には、化学物質安全 対策部会のうち化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の関連部分について、改 正法に基づき事項の追加等がされておりますので御報告申し上げます。以上でございま す。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ただいまの確認事項の一部改正について、 よろしゅうございますでしょうか。お認めいただいたということにさせていただきます。  ではもう一つの件でございますけれども、これは報告事項でございまして、薬学教育 制度及び薬剤師国家試験制度の見直しについて、御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料32を用いて御説明させていただきます。医療技術の高度化、医 薬分業の進展等に伴う医薬品の安全使用といった社会的要請にこたえ、医療の担い手と して質の高い薬剤師が求められておりますが、この社会的要請にこたえるためには、大 学の薬剤師要請のための薬学教育において、教養教育、医療薬学、実務実習を充実した 教育課程の編成により、臨床に係る実践的な能力を培うことが必要であると、厚生労働 省、文部科学省の検討会で提言されております。これを受け、現行の4年生の大学にお ける薬学教育では十分でなく、6年間の教育が必要とされました。これを受けまして、 厚生労働省、文部科学省ではそれぞれ学校教育法及び薬剤師法の改正案を国会に提出い たしました。  学校教育法の改正でございますが、大学の薬学を履修する課程のうち、薬剤師の要請 を目的として臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とする課程については、 その修業年限を6年とするという改正内容でございます。また、薬剤師法の改正でござ いますが、学校教育法の改正に伴い、修業年限6年の大学の薬学を履修する課程を修め て卒業した者に薬剤師国家試験受験資格を与えると、このような改正でございます。  ただし、学校教育法の中で研究者など多様な人材の養成を目的とする修業年限4年の 課程も存置することになりましたので、新制度に円滑に移行するための経過的取扱いと しまして、法施行後12年でございますが、平成29年度まで薬学の4年生課程に入学し、 その後薬学の修士課程を修了した者が一定の要件を満たす場合には受験資格を付与する と。これが両法律の改正のポイントでございます。  制度導入の予定でございますが、平成18年4月1日とされております。以上でござい ます。              ── 総務課長退席 ── ○井村分科会長 ありがとうございました。この件に関しまして、何か御質問ございま すか。よろしゅうございますでしょうか。こういう状態で国会にかかることになってお ります。  以上で本日の議題はすべて終了しておりますが、何か事務局の方で付け加えることは ございますでしょうか。特にございませんか。それでは本日の議事は終わりでございま すけれども、次回の日程は6月に予定しておりますが、当然後ほど先生方の御都合を伺 ってから決定することになります。本日は不手際でちょっと時間が延びましたが、どう もありがとうございました。これで終了させていただきます。                                   ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714) - 37 -