04/03/18第4回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会議事録        第4回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会議事録 1 日時 : 平成16年3月18日(木)  13:30〜15:00 2 場所 : 厚生労働省専用21会議室 3 出席者   公益代表     横溝委員、大沢委員、奥山委員、水野委員   家内労働者代表  豊田委員、古川委員、勝尾委員、加藤委員   委託者代表    浅澤委員、泉委員、小林委員、渡邊委員、橋本委員 ○内野短時間・在宅労働課長(以下、内野課長)  定刻となりましたので、ただいまより「第4回労働政策審議会雇用均等分野会家内労 働部会」を開催いたします。本日は2名が欠席ですが、労働政策審議会令第9条の規定 により、定足数を満たしております。  本日は家内労働部会委員改選後、最初の会合でございます。部会長、部会長代理を選 任していただくこととなっていますが、それまでの間進行させていただきます短時間・ 在宅労働課長の内野です。  まず、平成15年4月18日に労働政策審議会雇用均等分科会において、当部会の新委員 が任命されました。お手元の資料No.1の委員名簿のとおり、分科会長より新委員が指名 されています。  初会合ですので、お手元の委員名簿に沿って、本日ご出席の委員の皆様をご紹介いた します。まず、公益委員として大沢委員、奥山委員、清水委員(欠席)、水野委員、横 溝委員です。家内労働者側の委員として勝尾委員、加藤委員、柴田委員(欠席)、豊田 委員、古川委員です。委託者側の委員として浅澤委員、泉委員、小林委員、橋本委員、 渡邊委員は若干遅れるというご連絡をいただいています。  議事に入ります。議事については、お手元の議事次第に沿って進めていきます。まず 議題の1、「部会長及び部会長代理の選出について」、部会長の選任はお配りした資料 No.2、「労働政策審議会令」をご覧いただきたいと思います。3頁、第7条第6項に 部会長の選出方法について、「部会に部会長を置き、当該部会に属する公益を代表する 委員のうちから、当該部会に属する委員が選挙する」となっています。この審議会令上 は委員と臨時委員という委員の種類を書き分けていて、ここで言う「委員」というの は、労働政策審議会の本審の委員を指すということになっています。労働政策審議会の 委員で、本部会に所属していただいているのは横溝委員ですので、横溝委員に部会長を お願いすることとさせていただきたいと思います。部会長より就任のご挨拶をいただく とともに、これからの議事進行をお願いしたいと思います。横溝委員、よろしくお願い いたします。 ○横溝部会長  昨年の4月に労働政策審議会の委員に初めてなって、まだ1年足らずです。この部会 委員の皆様はもう、何期か務めていらっしゃる方が多いと承っています。一番新米の私 が部会長になるというのも、ちょっと憶する気持ちもありますが、規約上そういうこと になっているということですのでお引き受けいたします。何ぶんにも不慣れですので、 皆様のご指導とご協力をお願いしたいと思います。  私事になりますが、私は横浜弁護士会会員の弁護士です。家内労働法が昭和45年にで きたと聞いています。今から15〜16年前(昭和63年か平成元年ごろ)横浜弁護士会内に 女性の権利委員会ができました。いまは「両性の平等に関する権利委員会」と言います が、当時は人権擁護委員会の中の5、6人しかいない非常に小さな委員会で、「女性の 権利小委員会」と言いました。ちょうどパート労働者が非常に増えて脚光を浴びたこ ろ、女性の多くが家内労働に従事しているので、家内労働者を、ちょっと調べてみま しょうということになり、少人数で家内労働の調査をしました。そこで「家内労働に対 する意見書」をまとめ各界にお配りしたことがありました。  今から15〜16年前、家内労働者は100万人前後だったと思います。平成12年ごろの統 計を見ると家内労働者は33万人ぐらい、3分の1ぐらいに減ってしまっており、産業界 の変動をいまさらのように認識しています。  「数は力なり」というのも一面の真理ですが、家内労働者数が少ないとはいえ、産業 界の一翼を担い、家計を支える役目を果たしていらっしゃるのも事実ですので、私たち は、この立場を認識して、できる限り家内労働者の労働条件の向上、生活安定のために お役に立つことができればと思っています。よろしくご指導、ご協力のほどお願いいた します。まず最初に、部会長代理指名の手続きがございます。部会長代理については、 労働政策審議会令第7条第8項の規定により、部会長が予め指名することになっていま す。前の家内労働部会に引き続き、大沢委員に部会長代理をお願いしたいと思います。 よろしくお願いいたします。  早速、議事に入ります。議事の第2「労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会の 公開の取扱いについて」に移りたいと思います。資料に基づいて、事務局よりご説明を お願いします。 ○内野課長  資料No.3をご覧ください。家内労働部会の公開については、昨年3月5日に開催し た「第3回家内労働部会」において、この資料の1の「現行の取扱い」にあるように、 会議、議事録、資料を公開するとしたところです。会議の公開については一般の方の傍 聴を認めるということ、議事録の公開については単に「委員」という表現ではなく、部 会長、公益委員、家内労働者側委員、委託者側委員という形で表記するという変更につ いてお諮りし、ご賛同をいただいたところです。  しかし、その後の他の分科会、部会の状況を見ると、発言者名を表示するようになっ てきています。家内労働部会の上位、雇用均等分科会においても、去る3月12日の分科 会において、他の分科会の議事録の表記にならい、個人名も表記するというように決定 したところです。  そういったところから、この家内労働部会についても、雇用均等分科会と同様の扱い ということで、資料No.3、2の(2)のとおり、委員の発言については「○○委員」 という形で、発言者名も表示するという扱いにさせていただきたいと存じます。皆様方 のご了解をいただければ、今回の部会よりそれを採用することとさせていただきたいと 思います。 ○横溝部会長  ただいまの事務局の説明について、ご意見やご質問があればどうぞご発言ください。  一応、固有名詞を議事録にも出すということですが、よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○横溝部会長  ご異議がなければ、今ご説明があったような方針で取り扱うことにさせていただきた いと思います。今回の議事録からそのようになるということですね。 ○内野課長  はい。 ○横溝部会長  引き続き議事3「第7次最低工賃新設・改正計画の進捗状況及び第8次最低工賃新設  ・改正計画(案)の策定について」、資料に基づいて事務局よりご説明をお願いしま す。 ○内野課長  資料No.4の話に入る前に、初めての方もおられますので、簡単に最低工賃制度につ いてご説明したいと思います。最低工賃は工賃の低廉な家内労働者の労働条件の改善を 図るために、厚生労働大臣、または都道府県労働局長が「審議会の意見を尊重して決定 すること」となっています。その額は最低工賃を決定しようとする地域内において、当 該家内労働者と同一、または類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金との均 衡を考慮して、物品の一定単価ごとに決定するというようになっています。平成16年2 月末現在の決定件数は155件という状況です。  ここにある最低工賃の新設・改正計画は、最低工賃の新設、または改正を計画的に推 進することを目的に、都道府県労働局が取り組む具体的業種を設定した計画を策定し、 これに基づいて最低工賃の新設・改正を行っていくよう、昭和58年度を初年度とする3 カ年計画としてスタートしました。平成13年度からの計画で現在第7次、今年度がその 計画の最終年度となっています。  この第7次の進捗状況について、資料No.4でご説明いたします。この計画の全体像 について、資料No.4の次頁にA3判の資料が付いています。こちらに平成13年度、平 成14年度、平成15年度、各年度ごとの改正予定を記しています。適用家内労働者数300 人未満の工賃については、別枠に記入しています。  ちょっと見にくい資料なのですが、3年間の計画ベースで改正を予定したものという 形で並べています。縦の平成13年度の欄に13年度に改正を計画したものを並べていま す。同じように、その時点で平成14年度に計画したものは14年度の欄に書いています。  諸般の事情で、なかなか計画どおりに行かなかったものもありますので、その結果を 色で表示しています。平成13年度中に諮問、あるいは諮問見送りと決めたものについて は青文字となっています。平成14年度中にそういう形で決まったものは緑文字です。さ らに平成15年度中予定のものをピンク文字で表示しています。黒文字がありますが、こ れは未着手のものを原則として書いています。  ただ、第7次計画中で改正を2回予定していたというケースもあります。そういった もので1回しか行わなかったものについては、改正していない1回分について黒字で表 記しています。したがって、平成13年度の欄のところに黒字のものがあります。そのも のについては、横を見ていただくと平成15年度で改正していますので、そこの部分は1 回の改正しかできなかったものです。  このように3カ年計画に従い、計画的に最低工賃の見直しを進めてきたところです。 いま申しましたように、一部計画が遅れたり、未だ着手していないものもあります。こ ういった状況を総括的にまとめたものが1枚目の表になります。第7次計画の初年度と なる、平成13年4月の最低工賃決定件数は171件でした。このうち、第7次計画中に諮 問した件数は87件、決定件数で言うと50.9%という割合になります。  内容別に諮問状況を見ると、「新設」が2件あります。これは全く新たに設置したも のではなく、2つの工賃を1つにまとめた結果です。改正したものは52件(決定件数の 3割)です。「予定を含む」とありますが、最低工賃は審議会の答申を経たあと、答申 要旨を15日間公示し、関係者の異議申出を諮ったのち、官報に公示することとしていま すので、官報公示前の段階のものは「改正予定」と整理しています。「廃止」としたも のが19件、全体の11.1%でした。  次の「見送り答申」については、改正諮問を行ったものの、金額、件名、工程等、す べて前回と全く同じ内容のままとするという旨の答申を得た場合を指しています。第7 次計画中には6件ありました。続いて、現在審議中のものが8件あります。これはすべ て改正諮問中のものです。  「諮問見送り件数」が56件、全体の32.7%です。これは、改正諮問に先立ち工賃相場 その他にかかる実態調査を実施して、どの程度の工賃の改定が行えるかを予め調べた結 果、関係公労使から「今回は工賃額の改正は行わない」といった了解を得た場合、改正 諮問見送りとして件数を計上しているものです。その理由について労働局に確認したと ころ、「経済情勢が厳しく、工賃相場が上がっていない」、「類似作業を行う労働者の 賃金が上がっていない」、「家内労働者数が減っている」、「仕事量が減っている」と いった回答が挙げられています。  そのほか、「未着手件数」は30件で全体の17.5%を占めます。これは、適用家内労働 者数が減少している中で、その動向を見ながら廃止を検討する予定のもの、また関係公 労使の合意のもと、経済情勢などが好転をして、同種の雇用労働者の賃金などが上昇す るまでの当面の間凍結していると考えている、そういった事情のあるものです。以上が 第7次最低工賃新設・改正計画の進捗状況です。  続いて、第8次の計画の策定についてご説明いたします。資料No.5をご覧ください。 まず5頁、これまでの最低工賃の決定状況について簡単にご説明いたします。資料No.5 の円グラフをご覧ください。これは適用家内労働者数別に、先ほどご説明した第7次計 画の最低工賃件数の割合を示したものです。これを見ると、適用家内労働者数300人以 上が全体で57.2%、300人未満が42.8%となっています。  次に6頁、横長のグラフは、最低工賃の決定件数等の推移を表しています。それによ ると第6次計画策定時である平成10年3月には、最低工賃決定件数は183件、適用家内 労働者数は18万人を超える人数でした。適用委託者数は1万5,316人でした。  真ん中の第7次計画策定時である平成13年3月には、最低工賃の決定件数は171件、 適用家内労働者数は15万人強、適用委託者数は1万3,073人に減少しています。そして、 第8次計画を策定しようとしているこの3月は最低工賃の決定件数が154件、適用家内 労働者数は11万7,772人、適用委託者数は1万382人となっています。  7頁のグラフは委託者数及び家内労働者数の推移を見ています。同じように第6次計 画策定時で見ると、家内労働者数総数が46万2,000人、そのうち適用家内労働者数は18 万8,000人ということで、総数に占める適用家内労働者数の割合は約4割となっていま す。  第7次計画策定時、平成12年度で見ると、家内労働者総数33万2,000人のうち、適用 家内労働者数は15万4,000人、全体の46%強となっています。今年度は家内労働者総数 23万4,000人のうち、適用家内労働者数は11万8,000人、50.4%となっています。そうし たことから、家内労働者数は減っていますが適用家内労働者数の割合は高まっている状 況にあります。  これから考える第8次最低工賃新設・改正計画は、平成16年度を初年度とする3カ年 計画です。引続き最低工賃の計画的な改正等を進め、工賃の低廉な家内労働者の労働条 件の改善を図ることを目標としています。  第7次計画と第8次計画の比較を考えるに当たり、3年間の状況を見てみたいと思い ます。資料No.5の4頁をご覧ください。これは第7次計画と第6次計画の比較です。 それぞれの3年間の状況を見ると、「諮問見送り件数」が第6次の10件から第7次では 56件と大幅に増加しました。また、改正までの平均周期も第6次が2.9年だったものが、 第7次では3.7年となっています。こうしたことを参考に第8次計画を考えています。 その方針が1頁目にございます。2頁目でこの方針と第7次計画とを比較し、対比表に しました。具体的に見直しを行った点には、下線を引いております。第7次計画では最 低工賃の改正周期を原則2年ごとに行うことを目標としていましたが、第8次計画では 「改正等の周期を3年をめど」と改めました。しかし、改正周期が長くなることによる 弊害を防止することから、最低工賃の実効性を確保するため、原則として3年をめどに 実態を把握して改正を行うことを目標としたいと考えています。  第7次計画では最低工賃の改正を優先して行う要件の1つとして、「適用家内労働者 数300人以上」としていました。ここのところ家内労働者数が減少していることから、 「適用家内労働者数300人程度」という、幅を持たせるように改めました。この方針案 をもとに作成したのが3頁の一覧表です。この一覧表に沿って、各労働局で検討を進め ていただきます。平成16年度には46件、平成17年度には61件、平成18年度に52件の改正 を予定しております。  以上が第7次の進捗状況、第8次計画についての考え方についての説明です。 ○横溝部会長  ありがとうございました。ただいまの事務局の説明について、ご意見、ご質問があり ましたらお願いします。 ○豊田委員  今ご説明をいただいた第7次、第6次の差異は一目瞭然なのですが、改定の平均周 期、2.9年がなぜ3.7年になっているのか。その辺の理由、事情がわかったら教えてほ しいというのが1つです。  先ほどお話があったように、諮問の見送り件数が極端に増えてきていますが、今後も そういう方向が続くのかどうか。先ほどのお話で、いわゆる家内労働者数が減ったか ら、最低工賃でカバーされる家内労働者の比率が高まってきているという悲愴な話も出 されているわけです。むしろ、形骸化をしていってしまうのではないかという懸念があ るのが1つです。本来であれば、第7次では最低工賃の改定については原則として2年 をめどにしていても、実際は2.9年とか、3年近くかかっているわけです。これを今度 「3年をめどに」とすると、それが4年になり5年になっていきはしないのかという問 題があります。低廉な家内労働者の労働条件の改善ということで強調されているなら、 当然最賃との連動も含めた方向での取組みをもっと検討しないとどうなのかなという気 がしますので、その点を最初にお聞きします。 ○内野課長  いくつか重なる点があるかと思います。時期が長くなったということに関しては、や はりこういった経済情勢の中で、先ほどもちょっと申し上げましたが工賃相場が上がっ ていない、類似作業を行う労働者の賃金が上がっていないという状況の中で、なかなか 新しいことができないので様子を見つつ進めて行くこととしたため、長くなっている面 があるかと思います。また、最賃との連動ということで言うと、最賃もいまなかなか厳 しく、そちらも上がっていないという状態で、事実上連動している面があるのかと思い ます。  それにより、今度これを3年にすることによって、さらにそれが伸びるのではないか ということに関しては、これによって引っ張られるというよりはむしろ経済情勢などと いったことの中で、必要な改正が出てきたら動くでしょう。そういった意味で、目標が あったらそれに引っ張られて遅くなるといった形では動かないのではないかと思ってい ます。  資料でご説明したように、それぞれの労働局が、それぞれの計画の中で、その時期に なったときにそれが見直せるかどうか、それを考えていくというように、こちらは認識 しているところです。 ○豊田委員  違った角度でお聞きします。第2回のこの部会でも問題になった、「本来、もっと情 報を提供すべきではないか」という公益の先生方の意見もあったわけです。「最低工賃 の決定一覧」というものを毎年作っていらっしゃると思います。ここにはいま報告され た、全国の改正報告なのです。  要するに、その中身が大事だと思います。家内労働者の実態はどうなっているのか、 それに対して底上げをする最低工賃はどの程度なのか。そこのところが全体で共通の認 識になって、どうすればいいのかという論議がされないと、折角ご苦労されてこれをま とめていても活きてこないのではないかという懸念もあります。この点について前回 (第2回)のときには、そのあと早速全部の委員に送られてきたと思います。ただ、第 3回目の前後は出てこないのです。  なぜ、これを特に言っているかというと、やはり実態を見る上で最低工賃が全国的に どのような中身になっているのか。これを見なければ問題点はわからないと思います。 例えば、この前も質問してそれっきりになっているのですが、平成11年度と12年度で は、経費のある最低工賃と経費のないものがあるのです。平成11年度で8件、12年度で 10件ある中、例えば兵庫県の綿・スフ織物業では、専門用語でしょうが「50ポプリンの ストライプ物」とあります。これで見ると、8時間換算額で2万9,153円、必要経費を 除いて8時間換算をすると1万3,682円。必要経費を除いた金額とそうではない金額に、 大変な差があります。  こういうところもあれば、必要経費が一銭もないというところも結構あるのです。例 えばこの報告では、東京の革靴については「経費がない」となっています。ただ、いわ ゆる東京の労働局の発行している最低工賃の必要経費、標準作業量、これを見ると必要 経費についても、ずっと改定ということではないのですが、経費が計上され、消費税が アップされたことによって必要経費もアップをされるというようにされてきています。 それがここには反映されていないし、ちょっと正確ではないのではないかという感じが しています。  その辺、全国的にどうなっているのか。全体の委員が理解できるような資料を出して もらって、その中での問題点を詰めないと、折角ご苦労されていることが行政に活きて こないのではないかという感じがします。  過日、「毎年作っているなら出してほしい」と言ったら、「今回のは見づらいのでい ま新しく検討している」ということでした。見づらくてもかまいませんから、そういう ものは本来委員に配ってください。情報を広く提供しなかったら実りあるものにならな いのではないかという感じがします。その辺、考え方を示していただければと思いま す。 ○内野課長  作業が遅れまして、そういった形のものを今日お出しすることができませんでした。 申し訳ありません。それが出来次第、またお配りし、以後の部会ではなるべく間に合う ように作業を進めたいと思います。 ○横溝部会長  出来次第、個別にいただけるということですか。 ○内野課長  はい。 ○豊田委員  1日あたり8時間労働で換算した場合、全国的にものすごくアンバランスなのです。 1日8時間やって、極端に言うと何万というところもありますし、それこそ2,000〜 3,000円というところもあるという差異があるわけです。  もともと工程で決めていますから、どうしてもそのような矛盾がある。そこら辺の問 題をきちんと詰めないと問題の解決にならない。第8次の改定についても、ただ第7次 の改定率があまり進まなかったから3年に延ばすということでは、やはり本来の法の趣 旨が活きてこないと強く懸念します。その点が1つです。  もう1つは、伝統的産業での家内労働者が減ってきている中で、新たにワープロ作業 等の在宅テレワーク、家内労働の所が相当増えてきている。その中で、例えば長野県だ け最低工賃にいわゆるワープロ作業が認められているわけです。これがほかの所にない というのも変な話ではないか。新たに状況をつかんでそういう面での新設を大いにやっ ていく必要があるのではないかと思っています。その辺はどうなのでしょうか。 ○内野課長  一般的に、ワープロ作業がすべて最低工賃の対象になるというよりも、和文タイプで していたものについて最低工賃を決めていた経緯があります。ワープロで作業するよう なケースについては、使っているものが違うだけで認めなくなるのかといったようなこ とがありましたので、家内労働法では製造物という概念ですので、ワープロ作業の場合 はフロッピーの加工という解釈をして認めたという経緯があります。  一般的に言う在宅ワークというか、情報機器を使った作業というのは増えてはいま す。ただ、それがそのまま、家内労働法で定める製造業との関係で言うとちょっと違う 面があります。こういったことについては、また来年度、実態調査を考えています。ま た実態を把握して、実際に家内労働者と似ている点、違う点を研究していきたいと考え ているところです。 ○浅澤委員  大変プリミティブな質問で恐縮です。いまご説明いただいた6頁、7頁の表にから み、冒頭の横溝部会長のお話の中にもありましたが、ピークがいつごろで、その数字が いかがなものかというのはわかるでしょうか。特に7頁関連ですが、いまが23万4,000 人、うち適用家内労働者数11万8,000人、このピークは何年でどのぐらいの数だったの か。 ○小林委員  資料No.6の4頁を見るとわかるかと思います。 ○浅澤委員  ピークが昭和48年、204万人ですか。 ○内野課長  これは家内労働者の数字です。最低工賃の適用家内労働者数はちょっと違います。 ○浅澤委員  かなり近い数字ではないですか、半分ぐらいになるような。わかりました。これで結 構です。 ○横溝部会長  よろしいですか、ほかの方はいかがでしょうか。 ○橋本委員  第7次、第8次の対比表は見出しを付けただけの改定という意味ですか。 ○内野課長  そうです。1と2には見出しが付いていたけれども、3には付いていなかったという 意味での整理です。 ○橋本委員  廃止について、適用家内労働者数が100人未満に減少した場合、「廃止することも検 討すること」と書いてあるのはまどろっこしいかと思うのですが、実際に廃止されたケ ースが何例かもちろんあると思います。やはり、100人未満ということで廃止されたの か。もし事例があれば、それに即してご紹介いただけますか。 ○山下短時間・在宅労働課課長補佐(以下、山下課長補佐)  100人未満になったからというより、例えば最近、ある県の横編ニットは適用家内労 働者数が14人になってしまったということでした。人数の減少もさることながら、実質 的にもう効力を失っているということで廃止になっています。 ○橋本委員  いままでは一応100人はクリアしたが、この数年間で激減したということなのでしょ うか。 ○山下課長補佐  少しずつの場合もありますし、激減もあります。100人未満になったからすぐ廃止と いうことではなく、まず労使間で、そのまま存続させておくかどうか、実質的な効力が あるか否かを検討していただいてから結論を出しているところです。 ○加藤委員  工賃の改定の平均周期を第6次と第7次で比較すると伸びているのですが、実際には 何年も改定されていない工賃もあると思います。短いものでどれぐらい、長く改定され ていないものならどれぐらい、その理由もわかればと思います。 ○山下課長補佐  一番短いものでは、この第7次計画中に2回改正したというものがあります。長いも のは平成元年というものもあり、10年以上改正していないということになります。 ○加藤委員  10年以上改正していないというのはどういう理由からなのですか。 ○山下課長補佐  主な理由としては人数が減っているので、改正諮問した結果、改正というよりは廃止  の方向に行くというものもあります。 ○内野課長  改正が難しいものについては、どうしても改正を見送ることになります。 ○浅澤委員  いま資料No.5で、方針の案が説明されました。これを承認するのがこの会の課題だ と思います。私はこれでよろしいのではないかと思うわけです。  ただ、その前提に立ちつつもこのような疑問を持っています。最低賃金の動きなども そうなのですが、明らかに止まっています。私は実は中賃もやっていたのですが、中賃 の議論ではデフレ経済が止まらない状況下においては、最賃は据置きどころか、引下げ も必要ではないかという議論も労側にぶつけて議論してきた過程があります。  そういう経済情勢、とりわけ賃金に関連するインデックスである物価・一般賃金の動 向があまり動いていない時代、非常に無責任な意見になるのですが、これからどうなる かわからない、しばらく続くのではないか。そう見ると、今回の第8次計画というのは 結構だと思うのですが、今後ともこの改正計画がいつまでも続いていくのか。あるい は、こういう計画そのものをオートマチックに続けていくこと自体がどうなのか。その ような見直しの議論を抜本的にこの場ですべきではないかという疑問を持っています。  今回のこれは賛成ですが、そのような議論をこの場、あるいはどこかでしないといけ ないのではないか。第何次計画でどんどん行くというのは値上がり経済の発想であっ て、いまの状況でこういうことを毎年同じように続けていくというのはどうなのか。こ のような感じを持ちながら、「今年はしょうがないな」という気持です。そのような意 見はありませんか、このまま行けということでしょうか。 ○豊田委員  ちょっと立場は違いますが、私も同じような意見です。現場の監督官の方も、局のほ うも相当苦労されています。日本は1円が最低単位なのですが、いま工程で何円何銭と 決めており、37銭というものもあるわけです。工程は何十工程とあり、それを全部決め ているわけです。  それが本当に現場の実態に合っているのか、という問題があります。家内労働者とい うのは平均作業能率があるわけです。しかも、新卒程度の初任給と同じような考え方 で、言わば熟練工の考えではなくて、まさに年期の明けた職人の最初の技術水準で、そ の仕事がどれぐらいできるかという標準能率があるわけです。  そうすると、それを時間換算でいくら出来るかということでやっているわけです。8 時間換算で大体このぐらいになる。それを1つのメルクマールにして最賃との均衡を図 っているわけです。その点で言えば、もう少しその辺の整理をし、少なくとも最賃に 即、同等に連動するということでなくても、それに準ずるような形にする。平成3年や 平成5年、平成元年にやったきりそのままということでなく、最賃の場合は毎年回答さ れても最近は0ということもあります。それはそれでそういう事なのですが、そういう 点での改善の方向をしていけばもう少し実りあるものになっていくのではないか。  そうしないと、最低工賃がある家内労働者と最低工賃のない家内労働者や、最低工賃 でカバーされる人とされない人がいるのはおかしい。法の下の平等から言っても問題が あるのではないか。そういう点も含めて、そこら辺の問題の改善が求められているので はないか。  この間、小委員会を何度かやったのですが、大体途中で全部デッドロックにぶち当た ってしまった。最後までやらないというのが私の意見です。「さじを投げる」と言うと 語弊がありますが、そこを下げてきてしまっている。形骸化した中身になってきてしま っているものを苦労しながらやっている旨があるのかなというように、これは全くの私 見です。 ○内野課長  それぞれの現場で、例えば工賃を決定するとき工程ごとに見るということについて も、実態が変わってきたという中で工程を合わせるという形で工程ごとの見直しを行っ ております。洋服の場合も、いままでは男子服、婦人服と分けていたものを、同じよう な工程を足し合わせてみて既製服一般にするという形の見直しは、委員の方から見ると ちょっと小さな見直しかもしれませんが、そういった工夫はされています。 ○横溝部会長  ほかに何かございますか。今後の重要な課題が今いろいろ提案されたと思います。 ○加藤委員  先ほど豊田委員がおっしゃったように、同じ家内労働者でも最低工賃の適用される人 とされない人がいる。ワープロ作業も長野県には最低工賃があるけれども、ほかの県に はない。どういう人に適用されていて、恩恵を受けているのだろうかと思ってしまいま す。やはり、どこの県で仕事をしていても、同じような仕事をしていればきちんと最低 工賃の適用を受けられるような制度になっていく必要があるのだろうなと思います。 ○内野課長  最低工賃の話は、確かにその県によって決められているかいないかで適用されるかど うかの部分があります。ただ家内労働法自身としては、そのほかの安全衛生の話、家内 労働手帳を持つといった話は、別に地域に限定されているわけではないことを申し添え ておきます。 ○加藤委員  「新設について」とありますが、関係団体等から新設の要請が出された。そうする と、どこかの県で工賃を新設してもらいたいと思ったら、家内労働者がまず団体を作っ てから新設の要請をするという手続になるのでしょうか。 ○内野課長  それぞれ要請を受けてというか、この新設ケースについては栃木県の実態を見て、委 員の方たちと関係団体の方たちが婦人・子供既製洋服製造業と男子既製洋服製造業を分 けている必要はないというお話が出てきたものですから、そこで二つの最低工賃を合わ せたということです。 ○山下課長補佐  新たに関係団体を作らなくても、既にある団体の申請でかまわないことになっていま す。これは家内労働者側、委託者側、どちら側からも申請できます。新設については、 その工賃に関係している団体等からの申し出ということになっていますので、新たに作 ってという必要はありません。 ○加藤委員  個人でもいいのですか。 ○豊田委員  駄目だという規定はありません。 ○横溝部会長  作業内容が多様で、家庭内作業のようなものがあって、なかなか調査や統計が難しい 点もあると思います。いまのご発言はずいぶん大事な問題だと思いますので、今後の課 題ということで考えていきたいと思います。可能なことはまた、皆さんに情報提供して いただくということでよろしいでしょうか。                 (特に意見なし) ○横溝部会長  それでは、議題4「平成15年度家内労働調査結果について」ご説明をお願いします。  これを伺うと、いまのご質問も少し参考になる回答が出ると思います。 ○山下課長補佐  資料No.6「平成15年度家内労働調査結果について」概要を説明いたします。  まずこの調査結果についてですが、2つの調査を一緒にしています。1つは「家内労 働概況調査」、これは家内労働者数、委託者等について、昨年10月1日現在で各都道府 県にある労働局が「委託状況届」等をもとに集計した数値を取りまとめたものです。も う1つの「家内労働実態調査」は全国の家内労働者の中から一定の方法で抽出した 3,922人を対象として、家内労働者の実態について、昨年9月30日現在のものを取りま とめたものです。回収率としては91.7%、3,598人から回答をいただいています。  1頁、「概況調査」から説明いたします。まず家内労働者数については、昨年10月1 日現在で23万4,717人となっています。これは前年に比べ、8.8%の減少となりました。 この減少幅はいままで10%を超えていた平成13年度、14年度に比べて低い下げ幅に落ち 着きました。補助者数は1万1,759人、昨年に比べて6.3%の減少となっています。家内 労働者数と補助者数を加えた家内労働従事者数は24万6,476人となっています。  続いて、家内労働者を男女別に第1表で見ると、男性の比率は8.4%、女性は91.6% です。女性のほうが男性に比べて減少する人数が多いため、結果としては男性の占める 割合が少しずつ増加しています。  次に、業種別に家内労働者数を見ると、衣服、その他の繊維製品製造業が31.8%、電 気機械器具は14%。その他(玩具などの雑貨等)が13.9%。この3業種を合わせると全 体の約6割となっています。  類型別に家内労働者を見ると、専業的家内労働者の割合は全体の5%、内職的家内労 働者が全体として94%、副業的家内労働者は全体の1%となっています。  第4表で、家内労働者を都道府県別に見ると、一番多いのは大阪府、次いで東京、愛 知、静岡となっていて、この4都府県で全体の3割近くを占めています。  次に、第6表、危険有害業務に従事する家内労働従事者数についてです。危険有害業 務に従事する家内労働者、補助者を合わせた数は2万1,362人で、家内労働従事者数全 体に占める割合は9%となっています。業務の種類別に見てみると、動力ミシン、ニッ ト編機など、動力により駆動される機械を使用する作業が、1万5,898人と最も多く、 危険有害業務を従事する家内労働従事者数の全体の4分の3を占めております。  最後に委託者の概況についてです。昨年10月1日現在で委託者数は、1万7,400人と なっています。以上が概況調査です。  続いて11頁「家内労働実態調査」の方を説明いたします。まず家内労働者の年齢につ いてですが、第1表をご覧ください。「60歳〜70歳未満」が最も多くなっています。一 番多く従事している年齢階級が、前回(平成12年度)と比べて50歳台から60歳台へと高 くなっています。また、50歳台、60歳台の全体に占める割合は6割で、前回より1割近 く増え、家内労働者の高齢化が進んでおります。  男女別に見ると、男性は50歳以上が92%を占めています。女性のほうは男性に比べて 年齢層は広がっています。第2表に平均年齢が出ています。男性は63.2歳、女性は54.3 歳となっています。  (2)経験年数です。経験年数10年以上の方の占める割合が、男性、女性、専業、内 職、副業、全部を含めて一番多くなっています。  次に13頁の世帯主との関係についてです。家内労働者の世帯について見ると、家内労 働者本人が「世帯主以外の者」が83.7%を占めています。これを女性でみると、「世帯 主以外の者」が90.3%で、そのうち81.4%が世帯主の配偶者となっています。  世帯主の配偶者の場合における世帯主の就業状況を第5表で見てみると、一番多いの が雇用労働者、それから年金受給者、自営業者の順になっています。  第6表で世帯主の収入、平均月収額を見ると、雇用労働者、自営業者ともに、25〜35 万円未満が最も多くなっています。年金受給者は25万円未満が9割を占めております。  次に家内労働者の就業状況の、(1)「1か月の就業日数」について男女別に見てみ ると、男女ともに20〜25日未満が最も多く、続いて25日以上となっています。20日以上 働く者を男女別に見ると、男性は7割を超えていますが、女性は55.5%となっていま す。これを類型別に見ると、専業では25日以上が最も多く、内職では20〜25日未満、副 業では10〜15日未満が多くなっています。  さらに第8表で、平均就業日数を業種別に見てみると、繊維工業が20.4日と最も長く なっています。映像・音声・文字情報制作が11.8日と最も短くなっております。映像・ 音声・文字情報制作を具体的に言いますと、いままで印刷・同関連産業の中に出版が分 類されていたのが、昨年の産業分類の変更により、出版が映像・音声・文字情報制作と いう分野に入ったので、出版のほうから出されているワープロ作業のような内職はこち らの分類に入りました。  (2)「1日の平均就業時間数」についてです。第10表をご覧ください。1人当たり の平均就業時間を男女別に見ると、男性では7.4時間、女性では5.3時間となっていて、 男性のほうが女性より2.1時間長くなっています。また、これを類型別に見ると、専業 では8.4時間、内職では5.3時間、副業では4.1時間となっています。さらに業種別に見 ると、一番長いのは繊維工業の7.2時間、その次に皮革製品の6.5時間となっています。 一番短いのは映像・音声・文字情報制作の4.5時間となっております。  次に、仕事量の変動とその理由についてです。第11表をご覧ください。平成15年9月 の仕事量を、3年前(平成12年9月)と比較した場合の増減についてです。「仕事が減 った」と回答した者の割合は、47.5%で、「変わらない」が39.4%、「仕事量が増えた 」は6.8%となっています。「仕事が減った」と回答した者について、その理由を尋ね たところ、委託量が減ったというのが大多数でした。  第13表をご覧いただくと、業種別に仕事量が減った割合を比較しています。一番「仕 事量が減った」と回答した業種としては、皮革製品が73.3%と最も高く、次いで映像・ 音声・文字情報制作、衣服・その他の繊維製品、金属製品という順になっています。  続いて18頁、1か月の工賃額については、第1図にあるように、平成15年9月の家内 労働者の工賃月収額を男女別に見ると、男性では15〜30万円未満が最も多くなっていま す。15万円以上の者は全体の3割を占めております。女性で見ると、2〜4万円未満が 一番多くて、35%となっています。その次に4〜6万円未満が20%となって、9割弱の 者が8万円未満となっています。  第14表での平均工賃月収額を男女別に見てみると、男性の1カ月の平均工賃月収額は 11万4,457円、女性は4万595円です。類型別に見ると、専業では14万4,192円、内職で は4万531円、副業では3万1,846円となっています。いずれも前回調査と比べると減少 していて、その減少額は専業の男性で多くなっています。  これを業種別・男女別で見てみると、男性では窯業・土石製品が17万2,408円と最も 金額が高くなっていて、次いで皮革製品の17万446円となっています。女性では、映像 ・音声・文字情報制作が7万5,254円、繊維工業が5万8,609円と、5万円を超えていま すが、それ以外の業種は5万円未満となっています。  (2)「1時間当たりの工賃額」についてです。第16表をご覧ください。家内労働者 1人1時間当たりの平均工賃額を男女別に見ると、男性では692円、女性では451円とな っています。これを類型別に見ると、専業では757円、内職では451円、副業では539円 となっています。  (3)「必要経費」についてです。第17表をご覧ください。平成15年9月の家内労働 の仕事に要した補助材料、工具、機械油等の必要経費を見てみると、「必要経費あり」 と回答した者は、全体の18.8%です。これを男女別で見ると、男性で「必要経費あり」 と回答した者が48.6%で、必要経費の額は平均で3万2,700円となっています。女性で は16.1%にとどまって、平均必要経費額も4,555円となっています。必要経費を要する 作業に従事している者の割合は、男性のほうが高くなっています。  続いて22頁の「工賃の支払い」についてです。工賃の支払い場所については、男女と もに金融機関(口座振込)が一番多くなっています。次いで自宅となっています。次に 工賃の支払方法ですが、1カ月に1回支払われるというのが、95.6%と大半を占めてい ます。  次に4の受託関係についてです。原材料・加工品の受渡し場所としては、自宅が一番 多く、次いで委託者の営業所等となっています。(2)「委託契約の方法」についてで す。家内労働者が委託契約をどのような方法で行っているかを見ると、「家内労働手帳 」を交付している者の割合は約78%です。文書により委託契約を行っている者の割合は 「ノート類」も含めると9割を超えています。しかしながら、口約束というのも9.3% ほど見られます。  5「安全衛生等」についてです。第22表、23表をご覧ください。災害発生の恐れのあ る機械・原材料を使用しているものの割合は、18.9%となっています。男女別に見る と、男性では47.8%、女性では16%と、男性の割合が高くなっています。これを業種別 に見ると、繊維工業が53.9%と最も多く、その次に皮革製品、金属製品等となっていま す。  (2)「危害防止措置状況」についてです。第24表をご覧ください。災害発生の恐れ のある機械・原材料を使用している家内労働者のうち、危害を防止するための措置を講 じている者の割合は40.9%となっています。危害防止措置を講じるようになった理由を 男女別に見ると、男女とも、「仕事の性質上そうしたほうがいいと思ったから」が大半 を占めています。  第25表をご覧ください。使用している機械・原材料別に、危険有害防止措置を講じて いる者の割合を見ると、「発火性・酸化性・引火性の物質、または可燃性のガス」が最 も多く、66%となっています。次いで「プレス・シャー」を使用している者、次に「木 工用丸のこ盤・手押しかんな盤・面取り盤」と続いています。  次に(3)「健康診断の実施状況」についてです。過去1年間健康診断を受診した家 内労働者の割合は、64.3%となっています。  (4)「負傷・疾病等の状況」については、過去2年間に負傷したり疾病にかかった ことがある者の割合は、0.9%となっております。  最後に6「家内労働者の就業意識等」についてです。家内労働者が働いている理由を 男女別に見ると、男性では1位が「生計を維持するため」、次いで「家計の補助のため 」となっています。女性では「家計の補助のため」が一番多く、次いで「余暇時間を活 用するため」、「自分の自由になるお金を得るため」という結果になっています。  第30表をご覧ください。家内労働を選んだ理由を見ると、男性では「都合のいい時間 ・時期に働けるから」というのが一番多く、次いで「外に出て働きたいが適当な就職口 がないから」、「簡単な仕事だから」という理由が多くなっています。女性では「都合 のいい時間・時期に働けるから」が最も多く、次いで「家事・育児等のために外に出て 働けないから」が続いて、その次に「外に出て働きたいが適当な就職口がないから」と 続いています。  (3)「家内労働以外の仕事及び家内労働を始める直前の仕事」についてです。現在 している家内労働以外の仕事の有無を見ると、今している家内労働以外の仕事はしてい ないが大半を占めています。していない者について、現在の家内労働を始める直前の仕 事の状況を見ると、男性については正社員、あるいは仕事は何もしていなかったという 者が多く、女性では何も仕事をしていなかったというのが最も多く、次いでパートタイ マーをしていたとなっています。現在の家内労働の継続希望については、続けたいとい う者が87%を占めています。  最後になりますが、(5)「家内労働をする上で困っていること」については、困っ ていることのある者が半分を超えております。家内労働の継続希望の有無別に、続けた い家内労働者について見ると、困っていることがないという者のほうが多くなっていま す。しかし、「やめたい」という家内労働者については、「困っていることがある」者 の割合が8割に達しています。以上です。 ○横溝部会長  ただいまの説明について、ご意見、ご質問がありましたらご発言ください。 ○豊田委員  1つは、あまりにも時間がなさすぎるのではないかと言いたいのです。いまの説明だ けでも、資料が事前にあって見ていれば、ある程度のことはわかるのではないかと思い ます。説明は説明で大変わかりやすかったのですが、もう少し時間を取らないと形骸化 してしまうのではないか。せっかく皆さん貴重な時間を割いて集まっているわけですか ら、できれば実りあるものにする上で、もう少し時間配分を検討されてはいかがかとい うのが意見です。  作業者が減っている、高齢化しているなど、いろいろな問題があるのですが、最大の 問題は作業の空洞化だと思います。とりわけ日本の経済を支えている中小企業が本当に 疲弊してしまっているという問題があると思うのです。そういう点では、家内労働者が 1カ月平均で5万円いかないとか、時間当たりの工賃も男性で692円、女性で451円と か、いま生活保護も東京では単身で14〜15万円です。働かないほうが金をもらえるとい うモラルハザードを起こすような状況というのは、私はいかがかと思うのです。  職人になった私どもの関係する家内労働者に聞くと、手に職を付ければ食いっぱぐれ はないと言われて、一生懸命丁稚奉公で4年も5年もやって、一人前になった途端に、 仕事はどんどん外国へいってしまうという問題があるわけです。ですから、家内労働者 の実態だけを見ても、なかなか問題の解決にはならないのではないかと思います。  そういう点で、私は今回下請け法が改正されて、親企業から中小企業、下請け企業へ の不当なことに対する是正措置がだいぶ強まったということで、そういう点では非常に 大事だと思います。そのこととリンクさせて、その最低限につながる家内労働者の底上 げを、法規制としてもう少し強めていく必要があるのではないかと思います。逆に言う と、いま縷々説明されたような状況について、省としてどういうふうにお考えだったの かを、できれば聞かせてほしいと思います。 ○内野課長  おっしゃるとおり、こういった背景には産業の問題、特に製造業のこういった形でや っている作業というのは、日本の中でという形でなくてもでき、国際競争の中、委託量 自体が減ったという話もありましたが、日本で仕事自身を見つけるのが難しくなってい るのが1つあるかと思います。  それと、先ほどの説明の中でもありましたが、そういった中で収入が少なくなってく る背景には、高齢化との関係で、人によっては年金などがあるかもしれませんし、もし くは作業的に集中していっぱい時間をかけることができないといった、いろいろな側面 があることを感じています。産業構造、高齢化など変化をしている中で、どう焦点を当 てるか行政としても深刻な難しい問題だと考えているところです。 ○水野委員  毎年そのようなご発言が出て、構造的な問題だ、と重苦しく終わってしまうのです が、大量生産で、非常に単純な労働の製造業は、もう海外へシフトしていくしかないと 思います。日本の労働者の労働内容をもっとオリジナリティ・高付加価値・少品種とい うものに特化していく形で、生き残っていくしかないのではないかと思うのです。  そうなると当然のことながら、労働者の能力を高めるような教育とセットにして、あ る意味では日本の労働行政全体を変えていく、ギアを切り替える。多品種・大量生産の 製造業の時代から、労働者の高い能力によって高付加価値のものを生み出す。高能力を 持つ労働者の国からは資本はシフトできないということになりますので、そういう形で の労働力の性格に変えていくしかないのだと思うのです。  そのための考えをどこで設計しているのか。最低賃金の法規制を高めて、最低賃金と 生活保護をイコールにするような形での、従来の硬直した保護では無理だと思うので す。税金を投入するとすれば、最低賃金を生活保護化するようなところに投入するので はなく、労働者の質を高めるようなところに投入すべきだと思うのです。そういう日本 の労働政策全体を切り替えるような発想をどこで考えていらっしゃるのか。我々がして いるのは、かつて日本の産業が大量生産の時代であったところの、言わば非常に末端の 作業で、いまや消えつつある領域の問題に事務局の時間がこれだけ投入されていること について、もったいない思いをしています。ギアを切り替えて、もう少し創造的な解決 をしていくところに注いでいただければと思いながら、毎年この会議に参加していま す。  先ほどワープロの問題が出ましたが、そういう作業を担える労働者を育成しつつ、高 賃金を与えていくほうへ切り替えていくべきだと思うのですが、そういう制度設計につ いてはこの部会は考える場所ではない、死にゆく恐竜の尻尾のような作業を毎年してい るわけですが、そうではない新しい構想をお考えいただける場というのはあるのでしょ うか。 ○内野課長  日本には資源がありませんから、人材という方向に力を入れているところです。若年 者の問題、産業構造が変わっていく中で、企業で働く人たちを能力開発によってどう変 えていくか、おっしゃるとおりの形で進めておりますが、いま実際にいらっしゃる20万 人余の家内労働者の方が、それに乗れるかというとなかなか難しい面もあります。今度 は一人ひとりが抱えているもの、今までやってきたこと等の事情を見ていかなくてはな らないからです。そういったことからいうと、方向としての大きな政策のものと、個々 人が乗れるかというところで、若干の乖離がさらに問題点として出るのかと思います。 ○大沢委員  調査の中で家内労働の定義を見ますと、ここでは家内労働の中でも製造業で働く人を 中心に議論をしているわけです。ただ、時代が大きく変わって家内労働の定義を「在宅 ワーク」と変えてみると、非常に増えているのです。それと、高学歴者もかなり在宅ワ ークに入ってきていて、世界的な傾向として、家内労働の性格が非常に変わってきてい ます。技術革新が起きて、今また家内労働に戻りつつある状況だと思うのです。  ですから、この部会は非常に重要な意味を持っています。性格を変えて見ると、実は 重要な家内労働者の在宅ワークというものを、日本の社会の中でどう捉えるか。しかも かなり高度な人材が在宅ワークをしているわけで、育児や介護との両立が可能というこ とでは、非常に期待できる働き方だと思うのです。  ここでは最低賃金という形で、日本の労働条件の最低は保っていこうという枠組をつ くっているわけです。それを今度はもう少し拡大して、専業で在宅ワークをするか、あ るライフステージの一時点を在宅ワークでするかは別にしても、この位置づけ次第で女 性の活用も可能になるし、人材育成も可能になる。  来年度に向けて、在宅ワークの調査もされると聞いていますが、可能であればそれと 絡めて、この家内労働法を在宅ワークに適用するような可能性とか、どういった人たち が在宅ワークにいるのか、家内労働者と在宅ワークの人の関連性について、来年度は話 をしていただきたい。そういった人たちの労働条件が担保できるような形で、むしろ就 業機会の可能性を広げるという形での労働法制のあり方を考えることも重要なのではな いかと思いました。 ○内野課長  確かに家内労働と在宅ワークは似ている部分はあります。在宅ワークといった場合、 仕事を委託してするという形式があるのですが、そういった方たちの働き方の中で仲介 者という方がいます。いま議論したような、家内労働とパラレルの形で、委託者と家内 労働者との1対1の関係というよりは、その間に仲介者や仲間がいて、ある意味では簡 単に情報をやり取りする中で、自分が急にできない仕事をパッと人に回したりと、契約 関係などについても、なかなかはっきりしない実態があります。法律で何ができるかと いう以前に、その辺りの実態を調査した上で、それが法律的に何か問題があるのかとい うことから考えていかなければいけないと思って、特に調査の部分でどういう設計にす るかを考えているところです。  それと、もう1つおっしゃられたように、在宅ワークといった中に高学歴の方、学歴 は関係なく高度な仕事ができて、ある意味でSOHOという方たちもいらっしゃるので すが、今度はそうなると労働法の体系、どういう人たちをどのような形で保護すべき か。つまり、そういう人たちは契約という中で、個人の責任でやっているかもしれない という、今度は保護すべき対象になるのかどうか、その辺の議論もかなり大きなものが あるのかと思っています。法律の議論にいく前に、いろいろと実態のほうから把握する のが大切かと思っているところです。 ○大沢委員  今日は賃金の話に終始されましたが、それ以外にも雇用保険の適用とか、ここでは扱 えませんが年金などについても、議論をしていく必要があると思います。1970年代にこ ういった議論をしたときには、格差を拡大しないという方向で、最低を上げていって、 みんなで経済発展の成果をシェアするという形で考えられていました。これから就業機 会の多様化によって、いろいろな選択肢を人々が選べるようになると、その就業機会の 中には、雇用保険、年金、そういった賃金以外の面でも、労働条件において他の就業形 態と差がないことも重要になってくると思うのです。  そうすると、賃金だけではなく、そういった社会的な権利というものにおいて、在宅 ワーカーが同じような権利を有しているのかどうかということも考えて、同等な権利の 中で就業者が雇用形態を自由に選ぶような社会の環境づくりが、今後は必要になってく るのではないかと考えています。 ○横溝部会長  在宅ワークと家内労働法の関係は、随分前にご議論があったやに承っておりますが、 結局家内労働法第2条の定義との兼ね合いが根本問題だと思います。幸い平成16年度 に、いろいろと在宅ワークの調査をなさると伺ったので、実情がどうかということが非 常に大事だと思いますので、それも調査していただいて、今後どのように取り組んでい くかというのをまた考えるということで、本日のところは部会を終わらせていただきた いと思いますが、何かご意見はありますか。 ○豊田委員  いろいろ言いたいことはあったのですが。1つはいまのお話で、日本政府が1996年に ILOで賛成をして成立されたホームワーク条約、当初政府は、第4議題で、第二次討 議で、労働大臣官房国際労働課の仮訳では「家内労働」ということで訳していたので す。採択されてしばらく経ったら、ホームワークがこのように解釈できるのかわかりま せんが、「在宅形態の労働に関する条約」と訳されました。この中では、いま出されて いる問題について一定の方向性を出しているのです。  サービスも製造も含めて、家内労働者というゴチャゴチャした定義をしないで、「家 内労働とは」ということで、スパッと切っているわけです。これは日本政府が非常に先 見性があったのではないかと思います、賛成していますから。賛成したところがこれを さぼって棚上げにすることは許されないので、その点はぜひこの部会でも確認しておけ ればと思いました。  あと、「年別監督の指導実施結果」というのが出ていて、罰則事項が表示されている のですが、第26条に非常に大事な2項目あるのが全く抜けています。これがなぜ抜けて いるのか。この辺はきちんとしないと、なぜこれだけを出していないのかというのはい つも思っていたのですが、なかなか言う機会がなくて、今日言わせていただきます。  それから予算のところですが、平成10年度の家内労働対策予算は、1億3,900万円あ ったですが、今回は7,400万円と半減してしまっています。  先ほど来公益委員から出されているように、いわゆる同等の扱いということで、特に この間倒産によって家内労働者の工賃の未払いが相当あるのです。例えば自己破産し、 債権者集会で破産管財人の弁護士が、これは優先債権だということで証明を出したがら ない。労働福祉事業団では、家内労働者だから受け取れませんと門前払いになる。一方 では、破産管財人はこれは一般債権だからおかしいではないかと裁判を起こしたら、裁 判で破産管財人のほうが異議を撤回して優先債権になったのです。  これは労働福祉事業団に提出したら、やはり家内労働者だから駄目だという話で、そ れはおかしいと相当交渉したら、家内労働者であっても賃確を認めるという矛盾がある のです。現実に破産法の関係も改善され、民法も改定されてきているので、その辺の問 題も含めて、もう少し社会保障の関係、労働者に保護されている基本的な権利を。我々 としては、別に保護をしろという話ではないのです。本人が主張するかどうかは本人の 問題ですから、何もおんぶにだっこをしようというのではなく、基本的権利を付与すべ きではないかということなのです。この点は、今後家内労働の部会でも方向性を出した ほうがいいのではないかと思います。 ○横溝部会長  事務局のほうから、その他の資料についてご説明はありますか。 ○山下課長補佐  ご質問があれば承ります。 ○横溝部会長  いかがでしょうか。                  (特になし) ○横溝部会長  ご質問はないそうですので、本日の部会はこれで終了させていただきます。  また、本日の署名委員は加藤委員と小林委員にお願いします。  ありがとうございました。 資料照会先: 雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課家内労働係(内線7879)